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仮面ライダー1号

 

1号ライダーが登場する劇場版は最近もあるので、本作は「本郷猛=藤岡弘、映画」と解釈するべきだろう。

もちろん、タイトル通り「1号ライダーメインの映画」ではなく、「現役の仮面ライダーゴーストのゲスト出演」という形になっており、新旧の世代を同時に狙った企画だと思う。

藤岡さんは若く見えても実年齢は年配なので、その登場シーンは、昔の颯爽と言うよりもっさりした印象になっており、年配者特有の説教臭いシーンが目立つ。

その「懐かしいが爺むさい部分」と「今風のチャラいライダータッチ」が融合しているかと言うと、ちょっと微妙かな?と言う印象を受けた。

全体的に特に出来が悪いと言うほどでもないが、抜群に面白い!と言うほどでもなく、劇場版としては普通くらいと言った所ではないかと思う。

おやっさんの孫と言う立花麻由と本郷猛の関係性もいまいち分かりにくい。

3年前に猛に棄てられたと言っている麻由の言葉からすると、3年前までは絶えず一緒にいたと言う事なのだろうか? その辺が世界中で戦って来たと言う本郷の言葉と巧く合致しない。

3年前まで一緒にいたのなら、特殊なアイコンが身体に埋まっていたと言う麻由の特殊性は、本郷も気づいていたはずで、その辺の説明も何もない。

何となく、藤岡さんのメッセージ性を含めた藤岡さんアピールと、ライダーの戦いの見せ場を御都合主義でつなげているだけと言った印象が強く、大人が納得するような展開ではない。

ライダーは元々幼児向けだから…と言う事なのだろうが、それを一応承知で見ているこちらとしても、何となく釈然としない部分が残る。

おそらく、昔から続いて来た「子供&オタク向けだから」が逃げ口上になり、話の整合性など無視したゆるい製作姿勢になってしまっているのではないかとも感じる。

本作は良くも悪くも、藤岡さんの「顔見世興行」なのだと割り切るべきだろう。

1号ライダーと言えば、ライダー人気を定着させた2号ライダーとの共演が売り物だったはずなのだが、その2号が登場しないもどかしさもある。

ショッカーも、何十年も何の成果もないのに、いまだに組織が継続している不思議な組織なのだが、かつて逃げ回っていた幼児たちが成長したらしき中年世代が代わって逃げている様子を見ると、ショッカーと特定世代の「楽しい馴れ合いごっこ遊び」なのだと分かる。

ノバショッカーの参加者たちも、その「馴れ合い世代」が引き継いでくれているのが見て取れる。

ヒロイン役の立花麻由のキャラ設定も微妙な気がする。

あんまり魅力的に見えないのだ。

ただし、大杉漣さん演じる地獄大使お約束の臭い演技はそれなりに泣かせる。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、「仮面ライダー1号」製作委員会、石ノ森章太郎原作、井上敏樹脚本、金田治監督作品。

仮面ライダー生誕45周年記念

タイ バンコク

町の飲食店で1人食事をしていた本郷猛(藤岡弘、)は、突然店に入って来た男から後頭部に銃を突きつけられる。

うちの若いのがお前に痛めつけられたそうだな…と、猛のテーブルの正面に座った男が睨みつけてくる。

しかし猛は動じず、食べかけていた食事を最後まで食べ終えると、いきなり前面の男にパンチを食らわすと同時に背後の男たちも叩き付け、店の外に放り出す。

そして、何事もなかったかのようにテーブルに金を置くと、おばちゃん、ごちそうさん、美味しかったよと声をかけ、店を出て行く。

騒ぎを聞きつけた警官が駆けつけてくる中、店を去りかけていた猛は、急に胸を押さえ、崩れ落ちるが、その時、財布が地面に落ち、その財布にはセーラー服姿の少女の写真が入っていた。

店の外に集まっていた野次馬たちは、去っていく男の後ろ姿を見ながら、すごい男だったな…と感心するが、隣の男が、知らないのか?あれは本郷猛だ!と教える。

タイトル

「大天空寺」では、御成(おなり)(柳 喬之)と天空寺タケル(西銘駿)がカラオケ勝負をしていたが、タケルは92点の高得点が出たので有頂天になる。

すると、女装した仙人(竹中直人)が登場し、自分も勝手にカラオケ勝負に参加してくる。

そこに駆け込んで来たシブヤ(溝口琢矢)とナリタ(勧修寺玲旺)が、町が大変な騒ぎだ!と知らせたので、タケル、月村アカリ(大沢ひかる)、御成らは外へ飛び出していく。

1人残って歌っていた仙人は100点が出たので大喜びし、自慢げにみんなの方を振り返るが、そこにはもはや誰もいなかった。

町では、民衆が謎の怪人部隊から逃げていた。 毒トカゲ男、ガニゴウモル、シオマネキングら伝説の組織「ショッカー」だった。

そんな中、逃げていた少女が転び、その少女に近づいた毒トカゲ男が、立花麻由(岡本夏美)だな?お前の力が必要だと言いながら捕まえようとする。

その時、突然、周辺で爆発が起こり、驚いた怪人たちが道の方を見やると、反対方向から3人の男女を戦闘にした別の集団が近づいてくるのに気づく。

それは、ウルガ(阿部力)、イーグラ(長澤奈央)、バッファル(武田幸三)ら、元ショッカーの一員たちだった。

ショッカーを逃げ出したお前たちが何の用だ?と毒トカゲ男が嘲ると、3人で新しいショッカーを作る事にしたとウルガは宣言し、その場でショッカーと戦い始める。

そこに駆けつけたのがタケルたちで、いつもの眼魔と違わない?とアカリが戸惑う中、タケルは仮面ライダーゴーストに変身し、現場に近づく。

あなたが仮面ライダーゴーストですね?とウルガが気づく。

その時、麻由が逃げ出すが、それを追おうとするショッカーの戦闘員たちの前に立ちはだかったのが本郷猛だった。

戦闘員たちと戦う猛の姿に気づいたゴーストは、誰だあの人は!と驚く。

ウルガに電気攻撃をかけるゴースト 「大天空寺」では、まだ仙人が1人でカラオケを歌っていたが、そこに戻って来た御成は、何がどうなっているんでしょう?と首を傾げる。

何か知らない?おっさんと聞くと、新たなる敵は古くからの敵「ショッカー」!昔々、世界征服を狙っていた秘密結社だ。

ライダーの活躍で、日本から海外へ拠点を移したと聞く。

今、内部抗争が起きているらしい…と教えた仙人は、こんな所に落とし穴が!と驚きながら消えていく。

逃げた麻由の事が気になるアカリは、タケルに眼鏡をかけさせ、麻由が通っていると言う城南大学付属高校に潜入捜査しにいくように命じる。

その頃、ダークスーツに身を固めた新戦闘員を集めた建物内で、ウルガ、イーグラ、バッファルらが、経済を征服する新たな組織「ノバショッカー」設立の宣言をしていた。

その頃、ショッカー基地内では、半分以上が裏切って「ノバショッカー」に移った事を知ったシオマネキングらが、このままでは地獄大使に合わせる顔がない!もうすぐ復活なさるのに…と嘆いていた。

その基地内には、眠った地獄大使(大杉漣)が入った容器が置かれていた。

大使が望む麻由を手に入れるんだ、その時こそ世界征服できる!と毒トカゲ男が言う。

タケルは教育実習で麻由のクラスを受け持つ英語教師に化け、潜入捜査を開始するが、あまりに発音がひどいので生徒たちから呆れられる。

最後には、麻由から発音を直される始末。

昼休み時間、クラスメイトと外で弁当を広げる麻由の様子を見ていたタケルは、ちょっと話があるんだけどと放課後声をかける。

麻由は、バイトがあるので、その後でならと言い、花屋のバイトに行く。

バイトを終えた麻由は、店の外で待っていたタケルにピンクのカーネーションをプレゼントしてくれる。

「大天空寺」に戻って来たタケルから麻由ちゃんは良い子だったと聞いたアカリは、麻由ちゃん?潜入捜査に言ったの分かってるの!と文句を言う。

それを聞いていた御成は、アカリ君、嫉妬ですか?その元素記号はLOVE!とからかう。

もう良い!次は私やるから!とタケルから眼鏡を奪い取ったアカリは、今度は自分がそれをかけ、物理の先生として麻由の様子を探りにいく。

授業中、麻由の様子をそれとなく観察していたアカリは、確かに良い子である事は気づくが、突然その麻由が倒れたので、助け起こそうと近づくと、倒れた麻由の目が青く光り、私には高貴な血が流れている!下がれ!無礼者!と突然麻由が居丈高な態度に豹変する。


やはり、麻由には何かあると気づいたアカリは、放課後、川のほとりを帰っていた麻由に近づき話を聞こうとするが、さっきはすみませんでした。私、何か気が遠くなって…と麻由はしおらしく詫びてくる。

その時、突然出現したショッカーの戦闘員は麻由に襲いかかるが、麻由は敢然と立ち向かい始める。

しかし、そんな麻由に、立花麻由!貴様の魂貰い受ける!と言いながらシオマネキングが襲いかかろうとするが、そこに出現したのは本郷猛だった。

大丈夫か?麻由!と声をかけた本郷猛は、ジャケットを脱ぎ捨てると、ライダー変身!と叫ぶ。

それを見たシオマネキングは、まさか、貴様は!と驚くと、そこに駆けつけたタケルもゴーストに変身し、戦闘員と戦い始める。

1号ライダーはシオマネキオングにライダーキックを食わせ、シオマネキングは川に墜落し爆発する。

人間に戻ったタケルは、すごい!あなたは?と聞くが、その時、麻由が猛!本当に猛なの?と本郷に近づく。

麻由!と猛は近づくが、そんな猛の頬を叩いた麻由は、その場を逃げていく。

その後、タケルと共に「大天空寺」に連れて来られた本郷猛は、本堂内で座禅を組む。

その姿を見た御成は、完全なる心頭滅却!と驚く。

その姿をタケルやアカリと見た仙人は、あれぞ1号ライダー、本郷猛だ!この世に登場した最初のライダーだと教える。

アカリは、本当に1号ライダーさんなんですね?と感動しながら話しかける。 だとしたら、何年戦っているんですか!と驚く。

君もライダーか?とタケルに話しかけた本郷猛は、天空寺タケル、仮面ライダーゴーストと名乗ったタケルに、君は既に死んでいるな?と指摘する。

そんな猛に御成は、見破った!と驚く。 猛は、ライダーも変わったな…、死んだ人間が人間を守るとは…と感心し、自分を守るために戦っているのか?とタケルに聞く。

その時、それは違う!そいつは人のために戦っているのだと声をかけて来たのは、深海マコト(山本涼介)だった。

君もライダーか?と猛は聞く。 人の命が大事に思わない人はいない…、だが、何故そう思う?と猛が聞くと、この世で一番命が大事だからですよとタケルが答えると、古い台詞だなと苦笑した猛は、命は何だ?と再び聞く。

タケルが答えに窮すると、じゃ、宿題だ、なぜ命が大事なのか?と猛は言う。 麻由さんとはどう言う人なんですか?とタケルが聞くと、君たちとは関係ない事だと猛は無視する。

翌日、アカリは高校の授業で、今日は特別抗議の先生を呼びましたと生徒たちに紹介し、本郷先生どうぞ!と呼び込む。

教室に入って来た本郷猛を見た麻由は猛!と驚く。

猛は黒板に「生命」と書き、命は尊い…、君たちはどうして生まれて来たのか…、我々の命は何のために存在するのか?と熱っぽく生徒たちに語りかける。

世界中を歩いてみて、飢餓や暴力をこの目で見て来た。命をつなぐのも人間同士なら、破壊するのも人間の自己中心主義やエゴイズムだ!と語る猛だったが、生徒たちは付いていけずざわつきだす。

そんな中、みんな静かにしなよ!せっかく猛が話してるんだから…と麻由が注意する。

その後、川のほとりで猛と会った麻由は、何無理してんのよ、猛…と話しかける。

遺書に授業を聴いていたタケルも、あの授業、心に残っていますと言葉をかける。

私も残ってるよ、猛のした事…、心に残っている…、私を捨てた事…と麻由は猛を責める。 僕は君の祖父と約束した。

君が一人前になるまで見守ると…と猛が言うと、私、ずっとひとりぼっちだった!と麻由が責めるので、そうか…、すまなかった…と猛は詫びる。

しかし麻由は、だめ!言っても!と素直にならないので、これからはずっと麻由の側にいるよと猛は詫び、もう許して挙げよう、麻由ちゃん…とついて来たアカリも諭す。

何故自分が狙われているか心当たりない?とタケルが聞いても、知らない!私が美人だからじゃない?などと麻由はとぼける。

そして、何でも言う事を聞いてくれる?猛がいなかった3年間のお祝いをして!3年分のお誕生日!と甘えるので、猛は分かったと笑顔で答える。

その後、本郷猛と麻由は、一緒にアーケードゲームをしたりして遊ぶ。

しかし、その後、猛は道路工事のバイトに精を出していたので、それを陰ながら見ていた麻由は、お金もないくせに無理なんかしちゃって…とつぶやく。

そんな麻由に2人の若者が近づいて来てからかうと、また麻由の目が青く光り、うるさいんだ!虫けら共!と叫ぶと、2人のスケボー青年を弾き飛ばしてしまう。

夜、猛と麻由は、メリーゴーランドに乗っていた。

そんな中、ノバショッカーは、新しいビジネスのためのフォーメーションを始動させる。

建物の中央部分から巨大なエネルギー波が立ち上り、町中のアカリが次々に停電していく。

ちょうど麻由が1人で乗っていた観覧車も、途中で停止してしまう。

その異常事態に気づいたショッカー本部では、何がノバショッカーだ!地獄大使が蘇ったらノバなんて…と毒トカゲ男は悔しがる。

(回想)聞くが良い!我が僕よ!私の肉体は3年後に蘇る!その時、一人の娘を私に捧げるのだ!と毒トカゲ男に呼びかける地獄大使

(回想明け)飛べ!麻由!俺が受け止めるから!と、遊園地の下で待っていた本郷猛が観覧車に閉じ込められた麻由に呼びかけ、その言葉に従い、勇気を振り絞って飛び降りた麻由の身体を、しっかり本郷猛は受け止める。

「大天空寺」では、仙人が、1つだけアカリが付いている竹ものこそ、敵のアジトに違いない、やっつけて来い!とタケルたちをけしかけるが、本郷さんも一緒の方が心強いんだけど…とアカリは言い出す。

麻由と一緒に遊園地から帰って来ていた本郷猛に会いに行ったアカリやタケルは、本郷さん、お願いです、力を貸してください!これはただの停電じゃないと思うんですと頼む。

しかし、麻由が、ダメ!猛はずっと戦って来たんだから!行っちゃダメだよ!とわがままを言い出したので、約束する、やっと出会った麻由の笑顔を失いたくないと猛は言う。

それを聞いたマコトは、ふぬけに用はない!と吐き捨て、自分だけ先に行こうとするので、兄ちゃん!と呼びかけながらタケルも付いていく。

ノバショッカー本部では、これからビジネスの本番…、日本政府と取引だとウルガ が張り切っていたが、そこに不審者接近中!の警報が響く。

タケルとマコトがバイクでやって来たのを監視カメラで確認したウルガ 、イーグラ、バッファルの3人は、建物の玄関から出て来て出迎える。

やっぱりお前たちの仕業だったか、ショッカー!とタケルが呼びかけると、我々はノバショッカーだ!今の社会は自由競争なんだよ、あなた方はそれを邪魔しようとするんですか?とウルガは嘲笑する。

ゴーストとスペクターが変身すると、イーグラ、バッファル、ウルガも怪人に変身する。 無駄ですね、あなた方の力ではどうする事も出来ないとウルガはゴーストとスペクターを嘲る。

その言葉通り、ゴーストとスペクターのダブルライダーキックもウルガらには通じなかった。

その後、首相官邸にやって来たウルガたちは、首相を前に、新しいエネルギーを自分たちが供給するので、契約書にサインしろと迫っていた。

我々が受け入れると思うかね?と首相は拒絶するが、新エネルギーは新しい発展を作る。

それとも、歴史に汚点を残したいでっすか?とウルガは迫る。

日本中の電気が全面ストップした首相は、ノバショッカーの契約書にサインするしかなかった。

この結果、全国のパソコンなどが復旧するが、ウルガは新エネルギーの供給量をもっとアップさせ、日本中の電力関係の部品や製品が爆発していく。

トイレに入っていた仙人は、便座が急に熱くなったので驚く。

川には汚染水が流れ込み、森の木も枯れ始める。

その頃、本郷猛は、山の中の山荘の前で黙々と薪割りをしていた。

そこにタケルと御成たちがやって来て何をしてるんですか?と聞くので、自分は自然と共に生きているだけだと答えた猛は、宿題の答えは出たのか?なぜ命が大切なのか?とタケルに問いかける。

しかし、タケルは、それは…と口ごもるだけだった。

そこに、山菜を積んで来た麻由は、タケルたちに気づくと、先生、まさか、猛に戦わせようと!と睨みつけてくる。

すると猛は、勘違いするな、俺たちを手伝いに来てくれたんだと麻由に言い聞かせ、タケルには薪割り、御成には水汲み、アカリには火起こしの仕事を言いつける。

その後、一緒に焚き火を囲んだタケルは、自分たちはアイコンを集め、英雄たちの力を身につけるんですと猛に説明する。 そんなタケルとアカリは学校の先生じゃないんでしょう?と麻由は聞く。

その時、猛が胸を押さえて立ち止まったので、どうかしたの?と麻由は案ずるが、何でもないと猛は答える。

そんな猛に、一緒に戦ってくださいとタケルは頼むが、何故人を頼る?俺には一緒に戦った仲間は何人もいたが、人に頼った事などないと猛は言う。

その時、良いもの捕まえたよと言いながら、麻由が手のひらを広げると、ホタルが飛び立つ。

次の瞬間、猛がその場に倒れる。 その頃、ウルガたちと会った政府の首脳陣は、君たちが供給したエネルギーで我が国は被害を被っている。

これは契約違反じゃないか!すぐにエネルギーをストップしたまえ!と迫っていた。

しかしウルガは、それはそちらにエネルギーを制御する技術力がないだけで、我々の技術があれば制御できることだ、その技術を受ける契約書にサインを!と逆に迫る。

その頃、ショッカー本部では、地獄大使が入っていた冷蔵保存容器の蓋が開き、側には、溶けた戦闘員と思しき白い泡が床に残っていた。

地獄大使が蘇っていたのだ。

立花麻由はどこにいる?と地獄大使は振り返って毒トカゲ男に聞く。

本郷猛は山荘内のベッドに寝かされていた。

外でタケルやアカリたちは、まさか、本郷さんがあんなに具合悪いなんて…と驚いていた。

お医者さんも言ってたじゃない、あの身体で生きているのが不思議だって…とアカリが言うと、会いに来たんだ、麻由ちゃんに!とタケルも気づく。

ベッドの横に付き添っていた麻由は、私、寂しいからってわがままばかり言ってごめんなさいと謝る。

俺はどこにいても、お前の事を忘れる事はなかった。人を助ける事は、お前を助ける事だったんだ。

人はつながっている尊い命なんだ。

無数の星が銀河になっているようなものだ。みんな一つなんだ。麻由には清い血が流れている…、立花藤兵衛の血がな…と、ベッドに横たわった猛は語りかける。

そんな山荘に、赤い鞭を持った地獄大使とショッカー軍団が近づいてくる。

娘を渡せ!と叫ぶ地獄大使の声に気づいた本郷猛は、ベッドから起き上がり、窓から外の様子をうかがうと、麻由!ここを動くな!と命じると、自分は外に出る。

貴様は地獄大使か!何故貴様が生きている!と猛が呼びかけると、お前はまだ戦っていたのか!と地獄大使の方も猛を見て驚愕する。

猛は苦しそうに胸を押さえるが、うれしく思うぞ、その熱き闘志が!と大使は喜ぶ。

その時、麻由が飛び出して来て、戦っちゃダメ!と猛にすがりつくが、その姿を見た地獄大使は、立花麻由か?と呼びかけると、鞭で麻由の身体を絡めとり、あっという間にさらっていく。

その後を御嘔吐する猛に、タケルは、無理だよ、その身体では…と止めるので、猛は、追え!と頼む。

その後、麻由は、とある場所の台上に寝かせられていた。 待ちかねたぞ、この時を!と言うと、地獄大使は、その台上の麻由に念力を送る。

そこにタケルたちが駆けつけるが、第の周囲には決壊が張られており、中に侵入する事は出来なかった。

このこの身体の中にはアイコンが眠っている。俺は地獄で神か悪魔か分からん奴に聞いたのだ。 そのアイコンは未完成で、人間の身体に埋め込む事で完成するのだ。 蘇れ!アレキサンダー大王!と地獄大使は麻由に向かって呼びかける。

その名を聞いたアカリは、紀元前3世紀、マケドニア帝国を作った人物よ!と指摘する。

蘇れアレキサンダー! すると、麻由の身体が空中に浮き上がる。 そこにやって来た本郷猛は1号ライダーに変身して結界を蹴破ろうとするが、弾き飛ばされてしまう。

その時、爆発が起き、そこにやって来たのが、ウルガたちノバショッカーの面々だった。

貴様たちがどうしてここに!と毒トカゲ男が驚くと、俺は強い方に付くと言いながら、ガニゴウモルがノバショッカーの方へ近づいていったので、貴様が裏切っていたのか!と毒トカゲ男は気づく。

ショッカーとの場所カーの争いが始まり、毒トカゲ男をウルガが倒すと、地獄大使が赤い鞭で振り回す。 ゴーストはガニゴウモルを倒す。

そんな中、ウルガは、世界一のアイコンは俺にこそふさわしいと叫ぶと、空中に浮かび上がっていた麻由の身体の中から光の珠が飛び出し、それをウルガが受け取り、この偉大なるアイコンはノバショッカーのものだ!と叫ぶと、アイコンと合体し変身を始める。

そのパワーに、その場にいたショッカーもノバショッカーも全員振り飛ばされてしまう。

空中から落下した麻由の身体を受け止めた1号ライダーは本郷猛の身体に戻るが、麻由…と呼びかけた後息を引き取る。

本郷猛の遺体は野外で荼毘に付される事になる。

タケルらとともにその前にたたずんだ麻由は、私、泣かない、絶対に泣かない!だって猛と約束したから、強く生きるって!と人ごとのように言う。

タケルは、許さん!俺は絶対に許さない、ノバショッカー!と怒りを露にする。

松明を持った御成は、許してください、本郷殿、こうする事があなたの望みだと聞きました…と言いながら火を点けようとするが、ちょっと待って!もう少しだけ…とそれを止めたは、猛の遺体にすがりつき泣き出す。

その頃、アレキサンダーと合体したウルガは、相手の力の強さに飲み込まれてしまい、ノバショッカー本部をも破壊するほど手が付けられない暴走状態になっていた。

そんな中、仮面ライダースペクターはイーグラと戦っていた。

本郷猛の遺体を入れた木組みに火が投ぜられ、闇の中で木組みが燃え上げる。

それを見守るタケルは、本郷さんの分まで頑張りますから!と誓う。

そこに、町でノバショッカーが暴れているんだ!とユルセン(声-悠木碧)が知らせにくる。

アカリは麻由ちゃん!と呼びかけるが、 1人にしてください!と麻由は頼む。

ゴーストが戦っている所へ駆けつけたタケルは、マコト兄ちゃん!と呼びかけながら変身する。

燃え上がる猛の身体を見ながら、猛のバカ!と絶叫しながら、その場に崩れ落ちる麻由。

ウルガは、アレキサンダーのパワーに自分の魂が押しつぶされる恐怖を味わっていた。

そうしたウルガの暴走はイーグラたち仲間も止める術はなかった。

猛の荼毘を見守っていたは、何で死んじゃったのよ!せっかく…、せっかく会えたばかりだったのに…、会いたいよ!猛!もう一度!お願い、帰ってきて!と絶叫していた。

すると、本郷猛の腰に巻かれていたライダーベルトの風車が回りだし、周囲の炎を吸い込み、巨大な火の束となり空中に舞い上がる。 巨大な炎はフェニックスの方となる。

次の瞬間、燃え盛っていた組木は爆発し、その中から蘇った本郷猛の姿が現れる。

猛!麻由! 本郷猛に抱きついた麻由は、聞こえる!猛の心臓の音が、すごく強い!とその胸に耳を押し当て喜ぶ。

お前たちの心が俺を呼び戻した!と猛が言うと、分かってるわ、何で猛が生き返ったか、今の私なら分かる! 私のためじゃないよね、みんなが待ってるよ、猛!と麻由は呼びかける。

その頃、アレキサンダーのアイコンに支配されてしまったウルガは暴れ回っていた。

ゴーストは蛇の顔になった地獄大使を見て驚いていた。

その頃、本郷猛は、「立花レーシングクラブ」と書かれた古びた看板が納められた無人の廃倉庫にやってくる。

地面に落ちていた壊れた写真立てから、おやっさんと若い頃の自分が写った写真を拾い上げた猛は、おやっさん、帰ってきたよ…とつぶやくと、倉庫の片隅に置かれていたバイクのカバーをめくってみる。

そこには新しいネオサイクロン号とライダージャケットが置いてあった。

おやっさん、一緒に行こう!とつぶやいた猛は、ライダースーツを着込む。

ゴーストとスペクターが暴走ウルガと戦っている中、地獄大使も倒れていた。

そこにネオサイクロン号にまたがってやって来た本郷猛の姿を見たタケルは驚く。

待たせたな!俺は今まで一緒に戦ってくれた仲間が支えている。だから不死身だ! それを聞いた地獄大使は、さすが古き敵、本郷猛だ!と言いながら立ち上がったので、共に戦う気か?と猛は驚く。

地獄大使が蛇の顔に変身すると、ゴーストも変身。 許さんぞ、ノバショッカー!俺はこの世で一番大切な命を守るために戦う!と猛が言うのを聞いたゴーストが、それは古いって!と突っ込むと、にこりと微笑んだ猛は、俺は本郷猛、ライダー1号だ!と言ってのけると、ライダー変身!と叫ぶ。

ゴーストとスペクターは、次々に過去のライダーに変身、ノバショッカーと戦う。

1号ライダーは、ビルの側面を駆け上ったウルガを追い、ビルの屋上から組み合ったまま地上の車の上に落下。

ゴーストは、感じる!俺と本郷さんがつながっている!マコト兄ちゃん!と叫びながら戦うが、イーグラに苦戦する。

その時、ライダーパンチ!と1号ライダーが加勢してくれたので、ありがとう、本郷さん!とゴーストは感謝する。

決めろ!タケル!と1号ライダーは鼓舞する。

ゴーストはイーグラを倒す。 その間、ウルガと戦っていた地獄大使が今だ!と叫んだので、俺たちは一つだ!と1号ライダーが叫び、1号ライダー、ゴースト、スペクターの3人ライダーが同時にキックをウルガに浴びせる。

ウルガは大爆発を起こし、猛やタケルたちは元の人間の姿に戻る。

さすがだ…と言いながら、ウルガの身体から分離したアイコンを受け取った地獄大使はその場で握りつぶす。

こんなものに頼っても、自分を失うようでは意味がない…とつぶやいた地獄大使だったが、ネオサイクロン号に本郷猛がまたがると、待て!本郷!俺との決着はどうなるんだ!と呼び止めるが、力つきたのかその場に倒れる。

その時、地獄大使のマスクが外れ、白髪になった顔が現れる。

待て!本郷!俺と戦ってくれ!と倒れたまま呼びかける地獄大使に、身体を労れと言葉をかけた猛は、その場を立ち去っていく。

待ってくれ!本郷!俺と戦ってくれ~!それが俺たちの…と絶叫した地獄大使は息絶える。

その後、麻由とタケルたちは海辺に来ていた。 終わった…、海も空も元に戻った…、あの人の力がなかったら…とタケルはまだまだ未熟な自分を反省する。

麻由ちゃんから聞きました、本郷さんがまた旅立つって…と話しかけられた麻由は、私、分かったの、猛はどこで戦っていても、私を守ってくれるって…、みんな一つにつながっているから…

僕も分かったんだ、みんなの命がつながって一つの命になるって…とタケルもつぶやくと、それが宿題の答か?良い答えだと、ネオサイクロンにまたがった本郷猛がやって来て声をかけてくる。

生きるってことは命をつなぐ事、先祖からつながって来た愛の連鎖だと猛は言う。

もう一つ分かった事があったんです、本郷猛は俺の永遠の英雄だって!とタケルは言う。 猛は麻由の頬を触り、その手を麻由が握りしめる。

本郷猛はネオサイクロン号で出発し、自然に1号ライダーに変身する。

風力発電の風車が背後で回る中、風の力で変身したのだった。

(メイキング映像とともに)エンドロール

ライダーはいつも君たちの側にいる。 何があっても君たちと一緒だ。 生きて生きて生き抜くんだ! ライダーは君たちと共にいる!(のテロップ)
 


 

 

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