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風流滑稽譚 仙人部落

色っぽい女性を得意とした小島功さんの漫画を元にした艶笑譚風の映画化。

元々長編漫画ではなく、仙人の世界を描いた雑誌掲載の読み切り短編のようなものだったと思われるので、映画のストーリーはほぼオリジナルだと想像する。

沼田曜一が死んで(?)別次元に行くのは「地獄」(1960)を連想させる。

仙界の表現は、墨絵風のラフな絵で山などを描いた書き割りの前でコントのように役者が演じているだけで、あくまでも軽いタッチの作品である。

ストーリーもナンセンスと言うか、意味が良く分からない部分もないではない。

例えば、仙界でトラブルの元になると言うことは分かるのだが、主人公が自殺する現場にまで、紙パンティや精力剤を持って来ている…などと言う設定がさっぱり分からない。

仙界から現実に戻って来た主人公が、急に兄嫁に対し、強い態度に出る理由も良く分からない。

そう言うナンセンスで、いかにもチープな作品に、美輪明宏や菅原文太が出ていると言うギャップが、今の視点で見ると面白い。

美輪さんが女装をしているシーンもあるのだが、目鼻立ちが濃くて、どう観ても女性には見えないのだが、悪戯好きな不良少年っぽい雰囲気は良く出ている。

「黒蜥蜴」以前の作品としては一番出番が多い作品だと思う。

沼田曜一は、何だかヅラでもかぶっているようなかちっとした髪型で登場しているし、終始、仏頂面でおかしくもなさそうにコントを演じているように見えるのも面白い。

大空真弓さんが新東宝作品に出ており、唄まで披露していると言うのも驚きだった。

ところで、沼田曜一と美輪明宏がコンビで活躍しているのは、「ウルトラQ」の「ガラモンの逆襲」(1966)を連想せずにはおかない。

トラックの運転手に扮した沼田曜一が途中で乗せた美貌の男(実はセミ人間)は、元々、美輪さんのイメージだったと言うからだ。

特撮と言うほど大げさな技法は使われてないが、仙人のホステスが小さくなって、男客の家まで付いて行く表現などがある。

当時、缶詰の豚肉を鯨肉でごまかしたりする事件があったのか、それを茶化す風刺ネタが登場したり、インスタントコーヒーの宣伝を劇中でやっていたりするのも興味深い。

日活では良くあったことだが、新東宝作品ではあまり観た記憶がない。

「パンティ反対デモ」は、1959〜1960年頃の「安保反対デモ」のパロディだろう。

トランジスタグラマーなどと言う言葉も懐かしい。

全体的に軽い艶笑譚なので、難しい表現などはないのだが、例えば、ピストルに変身した天兵の引き金を美輪さん扮する小毛が引くと、銃口から水鉄砲のように水が飛び出し、その後、人間の姿に戻った天兵が「太陽が黄色く見える」等と言う辺りは、分かる人と分からない人がいるだろう。

作品としては珍品の類いだと思う。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1961年、新東宝、小島功アサヒ芸能連載漫画原作、松本功脚本、曲谷守平監督作品。

熱海

立派なヒゲの軍人の絵の額が飾られている秋山家の屋敷に朝やって来た秘書の奈良山大吉(菅原文太)は、屋敷の主人で鉢植えをいじっていた松山種圧(九重京司)から、家内は忙しいかい?と聞かれたので、今日は全国デパート会議にご出席ですと報告する。

帰りかけた大吉は、もう用事すんだの?と掃除機をかけていた女中のトモ子(橋恵子)から聞かれたので、秋子さん、どうしてる?と逆に聞く。

その秋子は、10時過ぎだと言うのにまだ二階のベッドで寝ていたので、起こしに行くが、昨日は遅かったのよ、もうちょっと寝かしといて…などと言うので、今日はアルバイトやらないんですか?とトモ子は念を押す。

鳩時計を観ると、もう11時になっていたので、うるさいわね~とぼやきながら起き出した秋子が窓を開け放って外を見ると、下で誰かがキャンパスに絵を描いていた。

気になって双眼鏡で覗いてみると、それはマンガ家の小島功さんで、キャンパスにはお得意の色っぽい仙人の絵が描かれていた。

タイトル(ラベロ、ラベロ~♪と言う主題歌が流れる)

その後、双眼鏡で二階の窓から錦ヶ浦の方向を監視していたトモ子は、崖の上に立った男の後ろ姿を発見、慌てて下にいた秋子に知らせようと部屋を飛び出すが、足を滑らせ、階段から落ちてしまう。

それでも、お嬢さん!カモです!カモ!と秋子に知らせる。

崖の上から身を投げようとしていた内木天兵(沼田曜一)は、いきなりジャンパーの後を引っ張られたので驚く。

引っ張っていたのは秋子で、ちょっと待ってよ!と言うので、止めないでくれよと天兵が迷惑がると、そうじゃないのよ、飛び込む前に相談に乗って欲しいの、こっちに来なさいよと崖から少し離れた場所に連れて来ると、私はこう言うものなのと言いながら自分の名刺を渡す。

そこには、東洋女子大社会学部 秋山秋子と書かれてあり、自分は今、「自殺者および心中者とそのセックスに関する心理学的考察」と言う卒論を書いている所であり、まだデータが少ないので、話を聞かせてくれない?と言うと、いきなりテープレコーダーのマイクを突き出し、どうして死のうと思ったの?どうして飛び込みを選んだの?とインタビューを始める。

あっけにとられながらも、相手の勢いに飲まれた天兵は、実は僕は東京で…と自殺に至った事情を話し始める。

(回想)日本のクリスチャン・ディイールと称され、毎年モードグランプリや通産大臣賞を獲得している売れっ子の人気デザイナー大森安治(人見明)のモードショーの会場では、大勢の記者たちが大森にインタビューをしている所だった。

最初に出て来たカクテルドレスは、中国の敦煌時代もモデルにしたものでしょう?と記者から質問が出ると、そうよ、今年のモードは古典とパイオニアのオブジェをミックスしたものなの。私のアイデアは、思考の中断においてインスピレーションが湧くのなどとオネエ言葉で解説していたが、何を言っているのか、記者たちにはチンプンカンプンでさっぱり分からなかった。

それでも、センスがずば抜けていると記者たちは噂しあいながら帰って行く。

ショーも終わった後、大森は奥の事務所にやって来た天兵に、出来た?と聞きながら、天兵が描いたスケッチブックを観る。

もうすぐ、ネグリジェのオーダーがあったマダム・マヤが来る時間なので、この場で急いで描いてと急かす大森。

実は、大森のデザインは、全て天兵の作品だったのだ。

そこに、マダム・マヤ(小畠絹子)がやって来たので、大森はまだ描きかけだった天兵のスケッチをひったくると、アブストラクトにYラインを強調してみましたなどと、それをさも自分が描いたようにマダムに見せる。

マダムは、、ワンダフル!私のハートが痺れちゃったわなどとすっかり気に入ったようだった。

そんなマダムと大森の生々しい会話は、奥の事務所のスピーカーから丸聞こえだった。

そこにやって来たのが、婦人雑誌の記者近藤洋子(三条魔子)で、今日は大森に依頼していた原稿を取りに来たのではなく、今度、先生にイタリアに研究しに行って頂きたいんですと社の企画を申し出る。

それを聞いた大森は、スパゲッティ!マカロニ!ピザ!シェリー酒!みんな本場の物が食べられるのね!と感激する。

先生の身の回りの面倒は、みんな私に観させて頂きますわと洋子が申し出ると、世の中、ギブアンドテイクですものねと大森は承知し、その場で洋子と濃厚なキスをする。

その後、やって来た女社長松本照子(花岡菊子)にコーヒーを用意しようと大森が命じると、照子は時間がないと言うので、だったらちょうど良いのがあります…と、BONインスタントコーヒーを勧め、金の無心をする大森だったが、奥の事務所でデザインスケッチを続けていた天兵は、社長と大森の声が部屋のスピーカーを通して聞こえて来たので、イライラし、耳に紙を詰め、さらに毛糸の顔出し帽をすっぽりかぶり、雑音が聞こえないようにして仕事を再開する。

その後、洋子が原稿を取りに来たので、大森は笑顔で応対をしながら、机の下の呼び出しボタンを押す。

しかし、奥の事務所の天兵は耳に栓をしていたので、合図のブザーが聞こえなかった。

大森は少し焦りながら、壁の一部の穴から事務所の方へ手を伸ばし、原稿の催促をするが、天兵は気づかない。

何をしているんですか?と洋子が怪しむと、美容体操なのなどとごまかした大森だったが、とうとうカーテンの奥の事務所に自ら入って行く。

すると、天兵が仕事をしていたので、大森は苛立って、天兵!と呼びかけるが反応がない。

それで、顔出し帽と耳栓を取って、何です、この様は!サイン通りに動いてちょうだい!と怒りながら、机の引き出しの中にあった「春のモード」の原稿を取り出す。

先生、仕事中くらいはマイクを切ってください、仕事に集中出来ませんと天兵は訴えるが、いつも私に言っていること覚えているわね?と大森は問いただす。

天兵は、僕は先生を離れると生きていけない…といつも言わされている通りに答えると、それだけじゃないでしょう?と大森が睨んだので、代筆をしていることを親兄弟にも話しませんと続ける。

あんたの描く物なんて、単なる素人のエチュード、私の名前で出しているから売れるのよ!今は、仕事の才能より、マスコミを泳ぐ社会的な手腕がいるんですからね、分かった?じゃあ、仕事を続けなさいと命じ、事務所から出て行く。

その日、帰宅した天兵は、兄の運兵(鈴木信二)とその妻のり子(山村邦子)とその妹と同居していたが、元々自分の家なのに居候扱いされており、風呂場のたらいで洗濯をしていた。

そこに兄が帰って来たので、「性生活の知恵」などを読んでいた欲求不満気味なのり子は、夕食のテーブルにつく。

兄の皿にはステーキが二枚と盛りだくさんな料理が盛られていたのに対し、隣に座った天兵のさらにはメザシが数本しか乗っておらず、明らかに食事は兄と差をつけられていた。

運兵が毎日のこってり料理にうんざりして、自分のステーキを1枚天兵に分けてやると、天兵さん、お風呂の水道ちゃんと止めて来てくれた?確認して来て?と食卓から追い出し、あなたが食べないんだったら、私が頂くわと夫が天兵に渡したステーキを取り上げてしまう。

天平さんの食事は、食費の中から賄っているのよとのり子が運兵を睨みつけていると、戻って来た天兵は自分の分のステーキを食べようと箸を伸ばしかけ、もうテーブルの上にないことに気づく。

そこに、のり子の妹の近藤洋子が帰って来て、お土産だと言い、強精剤「オルゾン」を姉に手渡すと、自分は食事を済ませて来たと言い、自室へ向かう。

今月の食費と家賃はいつ払ってくれるの?とのり子が天兵に聞いたので、お前、天兵から家賃まで取っているのか?天兵はこの家で産まれたんだぞと驚く。

天平さんも社会人なんだから当たり前でしょう?うちの妹だって食費と家賃を払っているのよとのり子は言い返し、あなたも夫としての勤めを果たしてよなどと言うと、生卵を無理矢理飲まそうとする。

食後、デザイン画を描いていた天兵の部屋にパジャマ姿でやって来た洋子は、簡単なイタリア語の本ない?等と言いながら、あるわけないわよねとバカにする。

その時、天兵のデザインがに気づき、あんた、わりかし良いデザイン画描くじゃない!などとスケッチを手に取って見るが、何だ、全部大森先生のイミテーションじゃないとバカにする。

その時、天兵は立上がると、思い切って、洋子さん、僕と結婚してください!とプロポーズするが、洋子はあざ笑い、あんた、それ本気?サラリーいくらもらってるの?財産もないし…とバカにすると、ついでに教えとくけど、今日、私、大森先生と婚約をして来たのよと言われてしまう。

翌日、大森事務所には、丸久デパートの鬼山重太(御木本伸介)が、大森から、今日からここの理事長になって頂くと社員たち全員に通達していた。

鬼山は挨拶もせずに部屋を見て回ると、掃除がなっとならん!などといちゃもんを付け始め、今日より出社時間を1時間早くし、退社時間は1時間遅くしてもらう。儲ったら大入り袋を出すが、損をしたら我慢してもらう。不服ならいつでも辞めてもらって結構!などと社員たちは全員言い渡す。

挨拶の後、部屋へ戻りかけた天兵は、「殺し屋が狙っている」と言うポスターに目を留める。

大森は鬼山に付き添い、建物の案内をしていたが、そこに業者が、推薦分を描いて頂く見本を持って参りましたとやって来たので、商品を受け取ると、明日までに書いておくわと大森は気安く引き受ける。

その後、大森は奥の事務所で仕事を始めた天兵に、業者から渡された新商品の箱を渡すと、明日までにこの感想を書いておいてちょうだいと命じる。

1人になった天兵が箱の中を改めて観ると、それは「コンパクトパンティ」と言う7色のカラフルな紙のパンティだった。

その時、部屋にかけられていた指示パネルの「検定」にランプが点いたので、慌てて内容をメモに取ろうと身構えた天兵だったが、部屋のスピーカーから、女の客のスリーサイズを測りながら何やらエッチなことをしているらしい大森の声が聞こえて来たので、気になった大森は、壁の一部を外すとホールの方を覗こうとする。

そこにやって来たのが鬼山理事長で、何をしてるのかね?今日からこの部屋はわしが使うことにする!と叱ると、天兵が覗いていた穴を自分でも覗いてみる。

仕事もしないで出歯亀やっとたのかね?と振り向いて天兵を睨みつけた鬼山は、貴様のような助平社員は首だ!といきなり言い渡す。

それを聞いた天兵は、首!?と絶句してしまう。

(回想明け)話を聞き終えた秋子は大笑いし、どうやら、死ぬより他に仕方ないわね。死ぬ前にアルバイトさせて!死ぬ前に着ているものを全部ぬいでちょうだい等と言い出したので、それじゃあ、追いはぎじゃないかと天兵は驚くが、私が追いはぎだったら、刃物や鉄砲を持っているはずでしょう?どうせ死ぬんだから、時計や財布はもういらないでしょう?

私は両親に死なれ、今は叔父の家に世話になって学校に通っているので、学費の足しにしたいのよ…などと言う。

仕方なく、上着や財布を差し出した天兵だったが、コンパクトパンティが入った箱だけは慌てて取り戻す。

金目の物を受け取った秋子は、じゃあ、学校に行くから、張り切っておやんなさい!早くしないと風邪引くわよと言い残し、スクーターで帰って行く。

確かにくしゃみが出て寒かったので、恐る恐る崖の先端に進み出た天兵だったが、やっぱり恐かったので、助けてくれ〜と叫ぶと、とっさに頭上にあった木の枝にしがみついてしまう。

しかし、天兵の重みに耐えかねた枝はあっさり折れ、天兵はそのまま落下して行く。

競馬、競輪、デモの映像などが、螺旋模様や四角い渦巻き模様と重なる。

天兵は花畑の中に倒れていた。

おや?、人間だな…、地獄と天国のどちらにも行けず迷い込んだと見えるわい…とその様子を観ていたのは仙人の格好をした名鏡先生(左卜全)だった。

雲を伝い花畑に降り立った名鏡先生は、こら!起きよ!と声をかけると、くしゃみをしながら天兵は目覚める。

ここはどこですか?と見知らぬ老人に聞くと、ここ仙界じゃ、仙人の住む世界じゃと言うので、天国ですか?と天兵は念を押すが、仙界だと言っとるじゃろうが、頭の悪い御仁だ…と呆れた名鏡先生は、瞬時に天兵の衣装を仙人用のものに変えてしまう。

そして、起き上がった天兵を自宅に連れて行くと、家の方から小橋を渡って小毛(美輪明宏)と言う美少年がやって来たので、これはわしの孫じゃと名鏡先生は天兵に紹介する。

小毛の方には、しばらく住むことになるが、何も知らん御仁だから面倒を見てやれよと天兵のことを頼む。

小橋を渡り、名鏡先生の住まいに連れて行かれる天兵の懐から、謎の箱を仙術で奪い取った小毛だったが、中に入っていたのが観たこともない紙製のものだったので、何でえ!あいつ、しけてやがんなぁ〜とバカにすると、又仙術で元に戻しておく。

名鏡先生の住まいに着いた天兵は、仙術で茶を入れてくれた名鏡先生に、仙術を身につけたいので、弟子にしてくれと頼み込み、わしは弟子は取らんことにしているのだが…と渋る名鏡先生に承知させてしまう。

名鏡先生は、仙術は道術とも言い、強い心を持たねばならぬと言いながら、仙術で一冊の書を出現させる。

「修身道徳集」と書かれたその書を開いてみた天兵は、女を観たら口説くべしと書かれてある通り読んでみる。

すると名鏡先生は、礼儀だからな…と言い、それを読んで、図々しく、厚かましく、横着にならないといけないと言い聞かすと、男子協定として、明日から座禅をやると宣言する。

そして家の外に出た名鏡先生は、早く明日になれ〜!と外の風景に命じると、にわかに周囲は夜になり、すぐに鶏が鳴く朝を迎える。

いよいよ天兵の仙術修行が始まる。

山の中では何人もの男たちが座禅を組んでおり、長い間座っている物の身体には花が咲いたり、木が生えている者もいた。

天兵もその中に混じって座禅を組んでいたが、その前を通りかかった色っぽい鈴玲(魚住純子)が、あなたニューフェースじゃない?ちょっとイカすわね。修行が終わったら、遊びにいらっしゃい。部落でバーやってるのと言いながら、素足を天兵の目の前に出して見せる。

煩悩が多い天兵は、つい去って行く女の方を残念そうに眺めていたが、名鏡先生の杖が天兵の頭を叩き、こら!よそ見をするな!と言う名鏡先生の声が聞こえて来る。

天兵はそのまま座禅を続け、身体に木が生えただけではなく、雪の降る季節を迎える頃には、首から下が岩になってしまう。

修行第二弾、名鏡先生は、相手を観て術を施さんとならんことを教えてやると言い、山道に天兵を連れて来る。

まずは通りかかった幼い女の子の前に、若い飴売りの姿に化けて近づき、飴をあげてお礼のキスをしてもらう。

臨機応変のわざと言うのじゃ…と天兵に教えた名鏡先生は、続いて、今度は老婆がやって来たので、太った哀れな物乞いに化け道ばたに座ると、老婆は気の毒がり、お供え物を置いて行く。

それは、たらこの握り飯だったので、名鏡先生は腹が減っていたのでちょうど良かったなどと言いながら食べ始めると、今度は天兵にやらせてみる。

見よう見まねで、物乞いの姿になり、通りかかった女性に、哀れなコ○キでございます〜などと言いながら、わざとらしく椀を差し出した天兵だったが、まあ、汚いわね!と嫌がられるだけ。

それを観た名鏡先生は、相手を観て化けんか!と叱る。

天兵は、布団や電気スタンド、つい立てなど、路上に寝室のセットを出現させてみるが、嫌らしい!と嫌われ、女性は逃げて行く。

名鏡先生は呆れ、天兵の出した布団類を消すと、今度近づいて来る女のおっぱいに触ってみせると言うと、一枚の紙に変身する。

女は、道に落ちていた紙を拾い上げると、嬉しそうに折り畳んで着物の胸元に入れて去って行く。

あっけにとられてそれを見送っていた天兵の所に、小毛がやって来たので事情を話すと、そりゃ大変だと言うことで2人は女の後を付けて行く。

紙を拾った女は公衆便所に入って行く。

その後、天兵と小毛は、偉い目に遭った!紙になんて化けるもんじゃない、大失敗じゃ…などとぼやきながら、滝壺で身体を洗っている名鏡先生を発見したので、笑ってしまう。

ある日、天兵は女に化ける術の仕上がり具合を名鏡先生の自宅で観てもらっていたが、すぐに胸の中に椀を入れていることを見抜かれ、こんな小道具を使うようじゃまだまだじゃと注意される。

手本として、名鏡先生はその場で女に変身し、杖を花に変えて口にくわえ、天兵を誘惑してみると、興奮した天兵は名鏡先生の化身である事も忘れ、むしゃぶりつこうとする。

そこに帰って来た小毛が驚き、側に落ちていた名鏡先生の杖で、天兵の頭を殴って正気付かせる。

元の姿に戻った名鏡先生は、これだからチョ○ガーは困る。気を付けなさいと顔をしかめる。

その後、天兵は小毛と共に、アバンチュールを求め、山の中にハイキングに来る。

「痴漢に注意!」と書かれた大きな看板が立った側で、小毛が、ラベロ、ラベロ〜♪などと歌っている間、たき火を起こし、ポットのお湯を沸かした天兵は、BONコーヒーをいれようとするが、その時、女が近づいて来たことに気づいた小毛が、天兵さん、ピストルになりなよと頼み、嫌がる天兵と仙術ジャンケンをする。

小毛は岩に化け、天兵は、その岩を挟んだハサミに変身し損ねたので、負けた天兵は仕方なくピストルに変身する。

それを手に取った小毛は、近づいて来た娘にピストルを向け、脅かそうとするが、その時、ピストルの銃口から水が飛び出し、急に天兵の姿に戻ってしまったので、娘は驚き逃げてしまう。

だらしないな、天平さん…と小毛は呆れるが、腰の抜かしたようにしゃがみこんだ天兵は、太陽が黄色く見えるよなどとぼやく。

ブローニングだったら6連発だよと小毛が教えると、こっちは2つしか入ってないよ…と天兵は情けなさそうに答える。

その後天兵は、小毛に連れられ松林に来ると、前から、警官の袁術(水原爆)と女がやって来たので身を隠す。

女は、小毛に騙された!あの小僧、一生恨んでやるわ!などと訴えていたが、それを袁術が慰めている所だった。

2人が通り過ぎると、あんな女に目をつけるなんて、あんたも女を観る目がないねと天兵がからかうと、小毛は、生意気言うんじゃないよ!と怒る。

しかし、良い女が来た!と気づいた小毛と天兵は又岩陰に身を潜める。

歌いながら松林にやって来たのは、部落長の1人娘、秀麗(大空真弓)と召使いの豚玲(橋恵子)だった。

秀麗は、天兵が熱海の崖の上であった秋山秋子に瓜二つだった。

小毛は、俺、良いこと考えた!と言うと、姿を消し、2人に近づくと、松の根本で大きな松茸に変身して秀麗の気を引こうとするが、秀麗に教えられた豚玲が刃物を取り出し、根本から切り取ろうとしたので、慌てて人間の姿に戻る。

驚いた秀麗は、変な人に関わらないようにしましょうと豚玲を連れて去ってしまう。

危ない所だったなと天兵が小毛に近づいて来ると、この道ばかりは危険がつきまとうからねと小毛は答える。

その様子を側で観ていたらしい袁術の頭の帽子の上に点いた赤色灯が廻りだし、わいせつ物陳列罪で逮捕する。特にお前は長く入ってろ!と言い、小毛に手錠をかけてしまう。

ファッショじゃねえか!などと小毛は毒づくが、袁術は一緒にいた天兵も一緒に逮捕しようとする。

すると、待って、袁術さん!と戻って来た秀麗が、そっちの人はちっとも悪くないわと天兵のことを弁護する。

参考人として…と言い訳しかけた袁術だったが、部落長の娘の頼みと言うこともあり、あっさり手錠を外してくれる。

俺は?と小毛が言うと、悪気でしたんじゃないでしょうからと秀麗は許し、結局、小毛も手錠を外されることになる。

今悪いことしたら逮捕するぞ!と袁術は小毛に言い聞かすが、そっちこそ職権乱用じゃねえか!と小毛は悪態をつく。

天兵は、どうもありがとうございましたと秀麗に頭を下げるが、あなた、ちっとも悪くないわ。きれいな目をしているもの…と秀麗は微笑み、さよなら…と告げて去って行く。

山を降りた小毛と天兵は、中から女の怒鳴り声が聞こえて来る屋敷の塀の所にやって来る。

ここの丁玲って言う女房、すげえヒステリーだからと小毛は教え、塀の一部をスライドのように降ろして、中を覗けるようにする。

中では、あんた、まだ50じゃない!人の出来ることができないなんて、愛情ないの!と怒りながら、丁玲(山下明子)が亭主の羅貫中(鬼山重太)を、箒で追い回していた。

塀を元通りにした小毛は、天平さん、ヒステリーってどうして起こると思う?と聞くと、欲求不満な人?と天兵は答える。

ここの主人、ダメなんだと思うよと小毛は気の毒がる。

小毛は天兵を料理屋に連れて行く。

その店の主人孫瑞奉(人見明)は、デザイナーの大森にそっくりだったので、天兵は驚く。

孫は、女房から、あんた、又豚仕入れて来たのね?どうして鯨にしなさいよ!と客に聞こえよがしに文句を言って来る。

うちは100年も続いているチャ○料理屋だよ。缶詰会社はないんだから…と孫が抵抗すると、今晩は寝かせないからね!と女房(三条魔子?)はヒステリーを起こし出したので、それじゃ、食前食後じゃないか…とうんざりした顔で、孫は女房に連れて行かれる。

その夫婦喧嘩が聞こえていた天兵は、鯨なんか使ったら承知しないぞと小さく抗議する。

その後、小毛は女に化け、天兵をバー「酒仙」に連れて行く。

天兵がオンザロックを注文すると、新妻に扮した小毛が、あなたは仙人酒がお身体に良いんじゃない?と勧めたのでそれにするが、小毛の方はマムシ酒などを注文する。

カウンター席に座っていた天兵は、背後のボックス席に座っていた客趙雪子(鈴木信二)が、兄の運兵そっくりなのに気づき驚く。

客の方も、天兵を観て驚いたようで、あんたは死んだ弟にそっくりだ!と驚いて立上がる。

天兵は、あんたも私の兄そっくりなんだけど、兄は情けない男で、僕が女房からいびられていてもかばうことも出来ない人間でした…と言うと、趙は、そうですか…と面白くなさそうな顔になり席に戻る。

そんな趙の相手をしていたホステス冷婉(浜野桂子)が、今晩、あなたの家に連れて行ってとせがむので、冗談じゃないよ、うちにはこんなのがいるから!と自分の顔を隠した真似をする趙だったが、それなら大丈夫、私、トランジスタグラマーの術と言うのを覚えたの、ここを押してみてと冷婉は言って立上がるとおなかを突き出してみせる。

趙が嬉しそうに冷婉のへその辺りを押してみると、鈴玲の身体は20cmくらいに縮まる。

小さくなった冷婉は、甲高くなった声で、あなたの家に連れてって!絶対奥さんには分からないわよと言うので、喜んだ趙は、小さくなった冷婉を掴んで服の襟の中に入れるといそいそと帰って行く。

それを聞いていた天兵は、何事かを小毛に耳打ちし、小毛は1人で先に店を出て行く。

その小毛とすれ違うように店に来たのが、先ほどヒステリー女房から不能をいびられていた羅貫中だった。

趙の家に一足先に入り込んだ小毛は、ベッドで、本を顔にかぶせたまま寝ている妻丁玲に気づき、その本をどけてみると、年増女だったので、なんでぇ、チャンバーじぇねえかとふて腐れるが、悪戯心を起こし、仙術で、丁玲の身体を浮かび上がらせ、そのままタンスの中に入れてしまう。

一方、1人「酒仙」に残っていた天兵の方は、地上界から持って来ていた強精剤「オルゾン」を、隣に座った羅貫中に渡していた。

これを飲めば、私の仙術が蘇るのですか?と羅は半信半疑のようだったが、石くらいには変身できますよと天兵が言うと、あなたは私の命の恩人です!と感激した羅は、試してきますと言い残し、さっさと帰宅する。

その後、店で1人になった天兵は、ホステスたちに、持って来た「コンパクトパンティ」を披露する。

ホステスたちは全員、パンティが何なのか知らないので、何するものなの?と聞きに集まっていた。

人前ではちょっとね…と天兵がもったいぶると、今晩私の部屋で教えてくれないとママが誘って来る。

あなたの全てを観ることになるかも知れないよと天兵が言っても、良いわ、好奇心のためなら…などとママは応じる。

帰宅した羅貫中から、石になれると聞いた女房の丁玲は喜び、早く術を見せて!と言うとベッドに誘う。

電気を消した丁玲だったが、急に灯りを点けると、あなた!全部石になっているじゃないの!と憤慨する。

薬を飲んで仙術を使った羅は、ベッドの上で人型の石に変身していた。

その頃、仙術で小さくなった鈴玲を服の胸元に入れたまま、家に戻って来た趙雪子は、ベッドで寝ているはずの女房の姿がないので、里にでも帰ったのだろうと安堵する。

それを知った冷婉も元の大きさに戻り、趙は、浮気をしましょう♪浮気はこの世の天国だ♪などと、ベッドの横ではしゃぎ出す。

その声で寝覚めたのが、タンスの中の空間に寝たまま浮かんでいた巧々で、術が切れて立ち上がると、タンスの表に出て、あなた!又浮気してるの!と後ろを向いていた趙に怒鳴りつける。

その声に気づいた冷婉は、又、瞬時に小さくなって趙の服の胸の中に隠れてしまう。

趙は、何もしてないよととぼけるが、二度と浮気が出来ないようにしてやるわ!と怒った巧々は、仙術をかけ、趙の下半身を消してしまうのだった。

一方、酒仙のママ鈴玲の家にやって来た天兵は、寝室で黒い紙パンティを履いてみた鈴玲を見物していた。

ママはパンティを大層気に入ったようで、人間って案外良いこと考えるわねと喜ぶ。

そんな鈴玲をベッドに誘った天兵は、スタンドの電気を消す。

その間、こっそり部屋に入ってきた小毛は、コンパクトパンティの白を1枚盗み出すと、「酒仙」に戻り、それを欲しがったホステスの1人を連れ、外へ出て行く。

公園のベンチにホステスと座った小毛だったが、ホステスを、お前は真珠のようだなどと口説く一方、両手にコッペパンを持ち、ぱくぱくと食べ始める。

これにはホステスも怒り出すが、俺だって、食い気の他に色気も一人前だと言う所を実戦してるんだ!などと小毛は威張る。

そこに、何してる?と近づいて来たのが警官の袁術で、お前、惚れられてもいないくせにと小毛をバカにすると、愛されてるさ!殺されるほどと小毛が見栄を張ると、では、殺人容疑でその女を逮捕する!と言い、袁術はホステスを連れて行ってしまう。

小毛は、ペテンにかけやがって!この野郎!と悔しがる。

翌日、天兵から鈴玲と一夜を明かした話を聞いた名鏡先生は、良い目を観たなとうらやましがり、そのパンティとやらはどうした?と聞くと、やってしまったと天兵が言うので、お前は、女があんなものを履いた方が良いのか?そんなものが普及したら、女子の相場が吊り上がり、男の社会の競争が激しくなる。つまりは革命じゃ!わしが行って、取り戻して来ようとと言い出すと、さっさと出かけて行く。

あら?名鏡先生。こんなに朝早く、何の用かしら?と出迎えた鈴玲に、昨夜、天兵と言う若者にもらったものをわしに貸してくれんかと名鏡先生は頼むが、何のことかしら?天兵さんって誰?と鈴玲はとぼける。

それを聞いた名鏡先生は、始末におえんな、女と言う奴は…、バレていても噓をつく…とぼやくと、明電の電気掃除機を仙術で出し、鈴玲の着物の裾を全部頭の上に吸い上げてしまう。

鈴玲の下半身はむき出しになり、黒いパンティをはいているのも丸見えになる。

名鏡先生の家の前の小橋で、紙パンティの虫干しをしていた天兵は、パンティが6枚しかなく一枚足りないことに気づく。

すると、側で釣りをしていた小毛が、それなら俺がもらったよ。それを見せたら女はすぐなびきやがったんだけど、これからと言う時にポリ公にパクられやがって!などと言うので、じゃあ、今、あのパンティは警察にあるのかい!と驚いた天兵は、革命だ!と呟く。

警官の袁術は、バーで飲んでいた王大夫署長(菅原文太)に何やら耳打ちして報告する。

それを聞いた王署長は、すぐさま橋の下で釣りを楽しんでいた部落長(九重京司)の所に行くと、少年から没収したパンティと言う人間の下着を披露する。

パンティを観たことがなかった部落長は、どうやって着るのか?と聞くので、ここから足を出し、したから身につけるのだそうですと王署長は、紙製の白パンティの説明をする。

それを聞いた部落長は、こんなものが流行ったのでは、仙界の醇風美俗が地に堕ちる!と嘆き、どうしたものだろう?と屋敷で聞いて来たので、王署長は、仙界永遠の平和のために焼き捨てるのが妥当かと…と答える。

それが良いだろうと納得した部落長だったが、1つの書類に50もハンコを押さねばならないのが最近辛く、胃が痛くなって来た。50年もわしはハンコばかり押して来たからな…と愚痴ると、娘の秀麗にハンコを押させる。

その時、密かに髪に刺した櫛をコンパクトカメラに変え、夫の机の上に置かれていた紙パンティの写真を撮影したのは、部落長の妻三姐(花岡菊子)だった。

部落長の屋敷の庭先に忍び込んでいた小毛は、一緒に岩陰に隠れて様子を観ていた天兵と共に、これで革命もなくなったねと安堵する。

しかし、屋敷にいた部落長が王署長に、あれとの婚礼は、桜の咲く頃の大安吉日ではいかがかな?と庭にいた秀麗を観ながら話していたので、それを聞いた天兵は、あの子は警察署長の許嫁だったのか…とがっかりする。

それを聞いた小毛は、天平さん、惚れたらしいね?取っちゃったら良いじゃないとけしかけ、2人は手を合わせる。

その後、ロープに吊るされた紙パンティは、警官たちによって燃やされる。

しかし、その裏で、工場長の羅貫中は、三姐が秘密裏に撮影したパンティのスライドを見せられながら、これをうちの工場で作れと命じられていた。

ただし、私の名は出さず、あくまでも工場長の責任でやりなさい、私はトップレディなんですから…などと三姐は言うので、警察にバレたらどうします?と羅が怯えると、こう言うときのために、私は亭主を政治家にしたのよと三姐はうそぶく。

その頃、小毛と天兵は、秀麗の背後で、大きな花に化けていた。

秀麗はその花に気づくと喜び、水をあげましょうと言うと水の方へ向かおうとするが、片方の花の葉っぱが、秀麗の衣装の裾に引っかかり、行かせないような格好になる。

あんた不良ね!と秀麗が怒って立ち去ると、天兵は、姿を現してしまって尻餅をついた小毛に、ダメじゃないかと言いながら、自分も元の姿に戻る。

しかし、諦めきれない2人は、まだ庭に残り、家の中で歌を歌い出した秀麗の様子を監視する。

秀麗は猫のミーちゃんを抱いていたが、女中の豚玲が風呂が沸いたと知らせに来る。

その様子を窓から覗き込んでいた天兵に小毛は何やら耳打ちする。

すると、天兵は喜び、その場で自分の姿を消し、秀麗の着物に化ける。

屋敷内に忍び込んだ小毛が、入浴中の秀麗が掛けていた衣装と、天兵が化けた衣装をすり替えて逃げ出す。

そんなことに気づかない秀麗は、豚玲、好きな人いるの?等と聞くと、その期ものお前にあげるわ。私もう飽きたの、着替え持って来てちょうだいなどと言い出す。

窓の外でそれに気づいた小毛は、急いでアゲハチョウに化身すると、天兵が化けた衣装を着て鏡の前に立った豚玲の背中に留る。

天平さん!と小声で話しかけると、着物に化けた天兵は、助けてくれ!こんなオカチメンコ、我慢できるか!などとぼやいたので、何ですって!オカチメンコ?と聞こえたらしい豚玲が怒り出す。

何とか屋敷から一旦脱出した2人だったが、その時何かをひらめいたらしい小毛が、天兵さん、全体確実な方法を思いついたわ!これなら難攻不落の城も堕ちるはずよ!と言いながら何事かを耳打ちする。

それを聞いた天兵も、巧い!と声を挙げる。

その後、2人は、魚の干物を繋いだ紐で、猫のミーちゃんを庭先へおびき出すと、捕まえて瓶の中に隠してしまう。

天兵はその場で猫のミーちゃんに化け、それを抱えた小毛は、秀麗の寝室のベッドの上に置くと、自分は側の電気スタンドに化ける。

そこに秀麗がやって来て、何も気づかず、天兵が化けたミーちゃんを抱き上げると、自分もベッドに腰掛け、結婚なんて嫌よね?お前もそう思う?でも本当に愛する人が出来たら、しても良いと思うの、いつか松茸狩りした時会った人、とてもきれいな目をしていた…、あなた、知ってる?などとミーちゃんに向かって話しかけて来る。

ここにいるよと言いながら姿を現した天兵に驚いた秀麗は、あなた、不良少年ね?と言いながら、部屋を飛び出そうとする。

その前に立ちはだかった天兵は、秀麗の口を押さえながら、悲鳴を上げない?と確認し、僕はあなたが好きだったからここに入ったんです。悪いのは僕です。あなたの好きにしてくださいと頼む。

すると、おとなしくなった秀麗は、ベッドに戻り、ねえ、電気を消して…と頼む。

電気スタンドに化けていた小毛は、自分の頭をひねって電気を消す。

天兵と秀麗は、ベッドの上でキスをするが、その途端、電気スタンドの上が爆発し、倒れてしまう。

後日、仙界では、「パンティの大売り出し」が始まる。

客寄せ用に呼ばれや芸人たち(スイングボーイズ)が歌を歌って宣伝する。

紙パンティは飛ぶように売れたので、作った三姐と羅貫中は側で観ていて大喜び。

しかし、間もなく町に、「パンティ反対!」を叫ぶ男だけのデモ隊が出現する。

部落長の屋敷の門前を守っていた警官たちは驚き、全員横に整列すると、点呼を始めるが、全員麻雀のパイの名前だった。

部落長に会いに来た王署長は、デモ隊の要求は何だと聞かれ、パンティの製作者を即刻追放せよと言っておりますと報告する。

すぐにそうしろと部楽長は命じるが、奥様も関係しておられますと王署長は言う。

さらにでも大破、内閣の総辞職も要求しておりますと王が言うと、声なき声はわしを支持しておると部落長は自己弁護する。

このままではクーデターがおきます、わが部落に、パンティを持ち込んだものを追放すれば、閣下の名前は上がりますし、その間に善後策を御考えになれば宜しいのでは?と王署長は提案する。

それが良い!ハンコならいくらでもあると喜ぶ部落長。

結果、捕まった天兵は、秀麗、小毛、名鏡先生らも見守る中、排他的憲法に則り、美術品閲覧違反の罪で崖の上から伸びた板の上を歩かされる刑に処せられることになる。

天兵は、執行人たる王署長に賄賂を渡そうとするが、王は受け取らない。

そんな天兵に目隠しをした袁術が諦めろと言葉をかけたので、君は良いことを言ったからこれをあげると、天兵は賄賂を袁術に渡し、自ら、崖の上から突き出た板の上を歩いて先端部分に来る。

王署長が、エイ!と大きな刀で斬る振りをすると、天兵は落下して行く。

気がついた天兵は、熱海の病院のベッドの上だった。

脇には、兄の運兵夫婦が見舞いに来ていたので、兄さん!と声をかける。

目覚めた天兵を観た医者(左卜全)は、もう大丈夫!これでご安心です。しばらく安静にしていれば、すぐに起きられると兄夫婦に告げると部屋を出て行く。

後に残った看護婦が、入院料の請求書をのり子に渡して出て行く。

僕どうしたんです?と天兵が聞くと、崖の松の木に引っかかっていたんだと運兵は言う。

その日のうちに退院し、自宅に戻った天兵だったが、相変わらず食事は兄とは大違いだった。

さらにのり子は、自殺未遂なんて恥さらしな…、私、近所に顔向けできないわ。おまけに失業したなんて…、もう食費も家賃も払えないんでしょう?と嫌味を言って来る。

しかし、全く気にせず食事を始めた天兵は、義姉さん、僕は正直だけが取り柄です。払うと言ったら払います!と言い切る。

その時、玄関のブザーが鳴ったので、のり子は、天平さん!と声をかけるが、天兵は気にせず食事を続ける。

じゃあ、あなた出てよ!と運兵に出て行かそうとするので、兄さん、行くことないよ、姉さんが行くべきです、それが一番妥当ですと天兵は言う。

運兵と天兵兄弟は、互いに顔を見あわせ笑いあう。

まあ!と驚いたのり子だったが、仕方なく玄関に出ると、そこに来ていたのは鬼山だった。

私の不明で、天分豊かな若者を馘首するとは…、明日よりご出社するよう御伝え下さいと詫びて鬼山は帰って行く。

それを聞いたのり子は、あんなのろまが天才だなんて…とあっけに取られる。

運兵とのり子は、今、鬼山さんがこれを置いて行ったよと果物籠を持って来て、これは大森さんのお見舞いだって…と分厚い封筒も差し出し、大分、入っているようだね?と顔色をうかがって来る。

その間、天兵は、何も驚く素振りも見せず、当然のように、そう…と答え、飯を食い続けるだけだった。

そこに帰って来た洋子は、私、騙された!あのドーハのペテン師!何が思考の中断よ!中断しっぱなしじゃないの!イタリア行きもダメになって…、私、悔しい!と叫ぶとその場で泣き崩れる。

すると、そのショックで、側に置いてあった猿の人形が突然動き出し、シンバルを叩く。

翌日、デザイン事務所に出社した天兵は、すっかり態度が変わった大森から、茶を入れてもらったり、肩を揉まれたりしていた。

そこにやって来た鬼山が、先生!ただいま、社長から電話がありまして、明日、お食事に招待したいと申されていますと言うので、デザイン画を描いていた天兵は、あっさり、うかがいますと返事をする。

翌日、熱海の松山家のベランダで、照子社長と会っていた天兵は、デザインの勉強にはどこの国が良いの?と聞かれたので、フランス、イタリア、ギリシャ…と挙げると、今度ヨーロッパ旅行行ってらっしゃい、1年ばかりと照子社長から言われる。

それを隣で聞いていた松山種圧は、又、天兵君を金儲けに使うのかい?と呆れると、そうじゃないのよ、これからは日本から流行が産まれるように、力を付けて来て欲しいのよと照子社長は笑う。

その時、裏の木戸を開け庭に入って来た田舎訛のクリーニング屋(美輪明宏)は、お手伝いのトモ子を呼ぶと、持って来た花を手渡す。

二階の秋子の部屋にやって来た天兵は、崖から飛び降りたとき、どんな気持ちだった?卒論の締切明日なのよなどと聞いて来る。

弱ったな…と窓辺で秋子と並んだ天兵は返事に窮するが、猫のミーちゃんを秋子が抱き上げ、どうかしたの?天兵さん?と聞かれたので、秋子さん!僕と結婚して下さい!と突然申し込む。

そんなこと、急に言われたって…、第一、あなたのことまだ良く知らないし…と秋子が戸惑うと、そんなことありません!仙界で…と言いかけた天兵は、僕はあなたを愛してますし、これからも愛し続けます!と宣言する。

感激した秋子と天兵は、口を近づけようとするが、何度やり直しても途中で止まってしまう。

その時、隣でキャンパスに向かって絵を描きかけていた小島功さんが、双眼鏡で2人の様子に気づき、これは失礼と言うと、キャンパスに書かれていた男女の顔の口の部分に、伸びた唇を描きたし、2人がキスをしているようにする。

それと同時に、秋山家の二階の窓際にいた天兵と秋子もキスをしていた。


 

 

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