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情熱の花

ザ・ピーナッツのヒット曲を題材にした歌謡映画で、上映時間49分程度の中編

更生施設の少年と婦人警官との音楽を通じた心の交流を描いた内容だが、中編と言う事もあり、若干、無理矢理作った感動話風と言うか、わざとらしさが気になる展開のように感じないでもない。

一番気になるのは、ターゲットが不鮮明というか、子供向けなのか大人向けなのかはっきりしないこと。

そもそも、更生施設を脱走した少年(と言っても、見た目は高校生くらいに見える)が、その後、好きだった音楽を拒否するほど心を閉ざすのは、殺人事件に巻き込まれてしまったため…と言う設定なのだが、この設定自体にかなり無理があるように感じる。

大人向けならそう言う展開でもありかも知れないが、どう見ても全体の構成からすると、ターゲットは子供たちのように見えるからだ。

子供向けの映画で、殺人描写はさすがにショッキング(当時としては)というか、重過ぎるのではないか?

昨今の刺激重視のコミック原作ものなどとは訳が違うのだ。

直接、少年が手をかけていないとしても、相手に大怪我を負わせた…くらいの表現で良かったのではないか?

ヒロインが兄の死の哀しみを乗り越えるために子供たちの更生を手助けしようとする…と言う説明なのだが、常日頃、脱走少年たちを保護しているヒロインなのだから、職業上、子供たちの更生を心底願っているという流れは、別に兄の死と言う悲劇がなくても成立すると思う。

ヒロインを演じている稲垣美穂子さんという女優さんが、子供向けの愛らしいタイプではなく、ちょっと陰があるような大人に見えることに関係しているのかもしれない。

子供向けと言っても、もう少し上のハイティーンくらいがターゲットだと考えると、音楽好きな子供たちが児童音楽コンクールに出たり、遠足に出かけたり、ラスト、小学生くらいの保が泣いて田村を見送ると言った辺りの描写は幼過ぎるのではないかと感じる。

ザ・ピーナッツがゲスト出演しているくらいだから、そのファン層がターゲットと言うことなのだろうが、歌の内容などを聞いていても、殺人など殺伐としたものを連想するようなものではないだけに、この内容には違和感が残る。

おそらく、脚本家などが描きたかったものと、若年層のアイドルファンというターゲットに微妙なずれがあったとしか思えない。

ラストに唐突に、小学生の保がクローズアップされるかのように描かれているのが、そのずれの象徴のように見える。

途中での保の描写に、観客が感情移入するような部分はなかったからだ。

子供にあまり関心がない大人が、無理矢理、子供を使った映画を作らされてしまった…と言う風に見えなくもない作品のような気がする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1960年、日活、東洋一原案、勝目貴久脚本 、 堀池清脚本+監督作品。

電話が鳴り、受話器を取った婦警の秋津多美子(稲垣美穂子)が、東京学園から逃亡した子供がいる?

名前は田村政治(亀山靖博)、おでこに絆創膏を貼っている?と、その子の特長を聞く。

タイトル

警視庁音楽隊が「情熱の花」を演奏しながら町を練り歩いている。

地下鉄から地上に上がって来た田村政治は、ちょうど通りかかった音楽隊のパレードの中、須川伸二(沢本忠雄)ら、トランペットを吹いているグループに注目しながら、暫く付いて行くように一緒に歩道を進む。

その頃、少年たちの更生施設「東京学園」では、脱走した田村がトランペットを持って来るかどうか、みんなで賭けをしていた。

賭けの材料は、メダルやパチンコなど、子供たちの遊びの中での宝物だった。

田村は、神田の楽器店のショーウィンドーを眺めていたが、そこにやって来て、待ったかい?と言いながら肩を叩いたのは、不良仲間の山口(木下雅弘)だった。

2人は一緒に、その楽器店に入り、山口がギターを見せてくれ、そっちのは、いくら?3800円ですなどとと店員の秋津省二(上野山功一)の気をそらせている中、トランペットのケースの前に立っていた田村は、後ろ手でトランペットを掴むと店の外に逃げ出す。

それに気づいて追いかけた秋津は、一緒に追って来た山口に邪魔されもみ合いになる。

やがて、山口の身体が離れると、秋津の腹から血が吹き出ていた。

山口がナイフで刺したのだった。

トランペットを盗んだ田村は、倒れた秋津を観て愕然とする。

その後、橋の下で川面を眺めていた田村は、右眉の上に貼っていた絆創膏を剥がして棄てようとするが、そこに、田村君でしょう?と声をかけて来たのが多美子だった。

みんな心配してるわ。学園に帰りましょう?と優しくなだめ、その後、ジープで「東京学園」に田村を連れて来る。

そのジープを取り囲んだ子供たちは、お姉さんだ!あ、田村だ!トランペットじゃなく、あんなの連れて帰って来た!と囃し立てる。

園長室に田村を連れて来た多美子は、園長佐伯裕司(松下達夫)や教師から感謝される。

何でも田村は日頃から知ったかぶりばかりし、トランペットが吹けると自慢したばかりに、じゃあ、証明してみせろと他の子供たちから責められたようで…と、教員が説明し、園長も、幸い、逃亡中、何も悪いことはしとらんようだし…と安堵する。

多美子も、橋の下で補導した時には、何も持ってませんでしたと報告する。

その時、学園の子供たちが、鍋を叩きながら校庭を行進して来たので、みんな音楽が好きなんですねと多美子が感心し、楽器も買ってあげられないので…と悲しむ園長に、今度警視庁の音楽隊の人に相談して、演奏を聴かせてもらいましょうか?音楽を通じて子供たちが更生したら素晴らしいじゃないですかと提案する。

梶保(亀谷雅敬)は、1人でいた田村の側にやって来ると、兄ちゃん、俺は兄ちゃんが帰って来て嬉しいんだ。父ちゃんが連れに来たときも俺は帰らなかった。兄ちゃんの方が好きだからさと話しかける。

一方、署に戻って来た多美子は、入口から出て来た須川から、大変なんだ!多美子さん!君のお兄さんが殺されたんだ!と告げ、一緒にジープに乗せられ現場に出向く。

翌日、桜田門の警視庁前のお堀端で須川に会った多美子は、犯人のめどがまだつかない事を知ると、トランペットを「東京学園」に吹きに行って欲しいの、もう約束したの…と頼む。

多美子さんにあっちゃ敵わないな…と呆れた須川だったが、多美子さんには明るい顔をしていて欲しいので…と言い快諾すると、今日は?と多美子の予定を聞く。

すると、多美子は脱走少年の補導よと明るく答える。

とあるクラブのステージで、双子の歌手(ザ・ピーナッツ)が「情熱の花」を練習していた中、支配人から「田川五郎」と言う少年です。奴が来てから、時々、金がなくなるんですよねと説明を受けながらやって来たのが多美子だった。

ボーイ姿の田川五郎という少年に、宮本君?宮本徹君でしょう?と問いかけながら多美子が近づくと、急に宮本は逃げ出そうとしたので、店の男性従業員が取り押さえる。

そんな中、双子の歌手が多美ちゃんじゃないの?久しぶりねと声をかけて来たので、私、婦人警官なの。今日は少年の補導で来たのよと多美子は教える。

そこへ、支配人が、荷物はこれだけですと、小さなふろしき包みを持って来たので、それを受け取った多美子は、従業員に捉えられた宮本を連れて帰ることにする。

それを見送る双子の歌手は、随分変わったわね、多美子さん…と驚いたようだった。

須川伸二を連れ、多美子がやって来た「東京学園」では、少年たちが子豚を追いかけていた。

教室で須川を紹介した園長佐伯は、トランペットで色んな曲を聞かせてくれるそうですと集まった少年たちに伝える。

そんな中、豚小屋の世話をしていた保が田村に、兄ちゃん、俺たちも聞きに行こうよと声をかけるが、田村は全く興味がなさそうに仕事を続ける。

手伝いのおばさんふみ(三崎千恵子)が、あっちに行かないのかい?あんなにラッパ好きだったじゃない?と話しかけ、田村の様子が変なので、外に出た時、何かあったんじゃないかい?と聞いても無視されたので。そんな子を持った親は気の毒だよ…とぼやく。

電車に乗って、多美子と一緒に帰る須川は、あんなに喜んでくれるとは…、又行ってみるよと嬉しそうに言う。

しかし、その後の警視庁の屋上での練習では、須川は何度も自分のパートを失敗する。

練習後、同僚の荒木(高山秀雄)が須川に、同じ所を3回もとちるとはな~…、学園の方は止めた方が良いんじゃないか?と忠告して来るが、これで止めたら、又みんなひねくれてしまうと須川は学園の子供たちのことを案じる。

疲れ過ぎて精神的に参っているんだよと荒木は指摘する。

その後、1人で「東京学園」にやって来た多美子は、須川が来ないことに子供たちが騒ぎ出したので、須川から預かって来たトランペットを取り出してみせ、須川さんはみんなのことを忘れてないわと言い聞かせ、子供たちにトランペットを吹かせてやる。

その頃、田村に近づいていた不良仲間の山口が、下手に口を割ると、おめえも死刑だぞ!おめえの廻りにはいつも俺の目が光っているんだ。勝手な真似をしやがると承知しねえぞと脅し、雨が降って来たのでその場を去って行く。

子供たちが吹くトランペットの音が聞こえる中、田村は走るだけだった。

雨上がり、警視庁に刑事たちが帰ってくる。

須川を屋上に誘った多美子は、荒木さんから聞いたわ。あなたはやっぱりお仕事の方が大切だと思うの。私、気がとがめて…と、自分が安易に「東京学園」に誘ったことを後悔する。

その時、深刻じゃないか、二人とも…と声をかけて近づいて来たのは、音楽隊の隊長(雪丘恵介)だった。

荒木君たちが相談に来たんだ。1人1人、学園に応援に行って良いと言ってくれた。わしも行くことにしたよ。困ったことがあったら、どしどし相談しに来てくれと隊長は言う。

そんなある日、多美子がいつものように子供たちにトランペットを吹かせ、ちょうど保が吹いていた時、保、止めろ!何べん言ったら止めるんだ!止めないんなら!と言いながら教室に乱入して来た田村が、トランペットを取り上げ机に叩き付けて壊してしまう。

一緒に観ていた先生たちは、止めろ!なんてことするんだ!と田村を羽交い締めさせ叱りつける。

ラッパなんか持って来なけりゃこんなことにならなかったんだ!と田村は多美子を睨みながら叫ぶ。

そんな田村に佐伯園長は、ラッパを目の敵にし、なぜ保を虐めるんだ?最近の君は変わったね?一体どうしたんだ?と問いかけるが、田村は何も答えようとしない。

田村が連れて行かれた後、私、何とかして田村君と仲良くしてみたいわと呟き、先生は、トランペットを見るとキ○ガイみたいになるんですよ…と、普段は誰よりも生き物を大切にする子なんです…と、先生も理解できないように打ち明ける。

あの子に必要なのは、信頼や愛です。私に任せて欲しいのですと多美子は園長や先生に伝える。

その後、「東京学園」に車が二台やって来て、そこから降り立ったのは双子の歌手だった。

双子の歌手は、一緒に連れて来た西原(小坂翠)と言う楽器店の店員に何かを見せるように指示する。

西原が車の後部を開けると、そこに詰まれていたのはたくさんの全音の楽器だった。

さらに、「スリーセブン」の子供服もお持ちしましたと西原は佐伯園長に言う。

豚小屋の掃除をしていた田村の所にやって来た保は、兄ちゃん!双子の歌手が来たよ!と教えるが、田村は、うるせえ!と怒鳴り返しただけだった。

教室では、双子の歌手が子供たちの前で「悲しき十六才」を歌い始める。

子供たちも一緒に「ヤヤヤヤンヤン♪」歌い、ふみも教室に聞きに来ていたが、そのふみの所へやって来た田村は、おばさん、豚が病気みたいなんだと声をかけるが相手にされないので豚小屋に戻って行く。

それに気づいた多美子は豚小屋に行き、どうして聞きに来ないの?と田村に聞くが、今はそれどころじゃないんだ。ここのわらを入れ替えないと、豚は死んでしまうんだと言いながら、田村は必死に地面に敷いていた藁を取り替えていたので、多美子もそれを手伝い始める。

何故手伝うんだ?余計なお世話だ!と田村は迷惑そうに言うが、そうじゃないわ!あなたがおとなしくしていられたのも音楽好きなんでしょう?と多美子が言うと、嫌いだよ!と田村は答える。

教室では、子供たちが楽器を演奏する中、双子の歌手は、「心の窓にともし灯を」と言う次の歌を歌っていた。

田村と炊事場に来て、豚の餌用のジャガイモを切ってくれと多美子に頼む。

多美子は、田舎の井戸端でやったわと懐かしそうにジャガイモを切り始め、これが終わったら聞きに行かない?と誘うが、遊んでもらいたいのかよ?みんな俺たちのこと不良って言ってるぜ。うるせえな、放っといてくれよ!あんたは俺をここに連れ戻しに来た人だろ?ただそれだけの関係だよと田村はすねる。

違うわ、あなたは弟よ。その気になれば、みんな兄弟になれるのよと言い聞かせ、みんなが歌を聞いていた教室の前まで田村を連れて来た多美子だったが、おれ…と何か言いかけた田村は、脱兎のごとく逃げ出してしまう。

ある日、警視庁前で須川と会っていた多美子は、私、学園の遠足に誘われたの、バスに乗って行くのよと教え、あの田村って子は、よっぽど哀しい過去を背負っているんでしょうと事情を話していた。

須川はそんな多美子に、今度、都の児童音楽コンクールがあるんだ。出来はどうであれ、一生懸命やれれば良いねと話す。

後日、多美子は「東京学園」の子供らと山奥の河原に遠足に行く。

河原に着いた子供たちは「おてもやん」を全員で歌い始める。

そんな中、1人だけ仲間たちから離れ、岩場でふて寝をしていた田村に近づいた多美子は、どうしてみんなと歌わないの?と聞くと、歌なんて大嫌いだ!と田村は怒り出す。

田村君、君さえしっかりすれば、今度のコンクール入賞するかも知れないのよと言いながら、多美子が持って来たトランペットを渡すと、それを受け取った田村は「情熱の花」を吹き始める。

その音に気づいた子供たちが田村の方に注目する。

佐伯園長や先生たちも驚き、おい田村!お前、コンクールに出れるじゃないか!と嬉しそうに声をかける。

やがて、子供たちは「悲しき16才」を歌い始める。

やがて、昼食時間となり、多美子は自分が作って来たおにぎりを田村に食べさせながら、これから素直な良い子になるわね?と言い聞かせると、脱走した日の事、本当のことを言ってと聞く。

すると、おとなしくしていた田村が急に怒り出し、やっぱりあんたはポリ公なんだ!俺が吐くとでも思ったのか!調べてたんだな?と言うと、岩を登り出して逃げる。

慌ててそれを追いかける多美子。

やがて、急な崖をよじ上っていた田村は身動きができなくなる。

待ってらっしゃい!今私が行くから!と声をかけた多美子は、崖の上から手を伸ばし、田村を引き上げようと身を乗り出すが、バランスを崩し、そのまま谷川に落下してしまう。

それを観た田村は、あっ、お姉さん!と叫ぶ。

何とか助けられた多美子だったが、左腕を骨折し、入院することになる。

学園の先生は、この程度の傷ですんだのは奇跡だって言ってました…と、見舞いに駆けつけて来た須川に教える。

多美子が寝ていたベッドの横には、ずっと田村が付き添っていた。

運が悪かったんだけど、彼女の兄さん、ただの死に方じゃなかったんです。神田の楽器店に勤めていたんだけど…、その悲しみを癒そうと、子供たちとせっせと触れ合っていたんですよ…と先生に話している須川の声を聞いていた田村は複雑な顔になる。

須川が帰った後、先生はそんな田村に、帰って寝なさいと声をかけるが、田村は首を横に振る。

ずっと徹夜で多美子に付き添っていた田村は、毛布から多美子の右手が出ていたので、そっと毛布の中に入れてやる。

すると、目覚めた多美子は田村に微笑みかけて来る。

田村君!と嬉しそうに声を出した多美子だったが、田村はその視線を受け止めきれず、思わず目をそらしてしまう。

多美子は又眠ってしまったので、自責の念に駆られた田村はいつしか泣き出していた。

そして、先生が部屋の隅の椅子で眠っている隙を狙い、病室の窓から外へ逃げ出してしまう。

翌朝、田村がいなくなったことに気づいた先生は、どこまで根性の腐ってる子なんだろう?と嘆くが、ベッドで目覚めた多美子は、あの子が黙って逃げるはずがありませんと弁護し、私には不吉な予感がするんです…と案ずる。

そこに須川が見舞いにやって来るが、多美子が無理矢理病室から出て行こうとする姿を見て驚く。

その頃、田村は町をうろつき、山口を探しまわっていた。

多美子、須川、先生も田村を探し回る。

やがて、田村は山口を見つけ、自首して下さいと声をかけ、手を引いて行こうとする。

路地裏に来た山口は、しつこい田村を殴りつける。

そこに、多美子たちがやって来て、喧嘩をしている2人を発見する。

田村君!よしなさい!と多美子は声をかけるが、姉さんの兄さんを殺したのはこいつなんだ!と田村は叫ぶ。

須川と先生が押さえた山口は、田村!てめえも共犯じゃねえか!と言ったので、思わず田村はその場を逃げ出す。

租の後ろ姿に向って多美子は、田村君!帰ってくるのよ!と呼びかける。

「東京児童音楽コンクール」開催当日

開始時間になっても田村は戻って来なかった。

控え室で待っていた須川は多美子に、兄さんの事件で彼は直接手をかけなかったかも知れないんだと慰める。

多美子も、私恨まないわ…と答えたその時、ドアが開き、田村が姿を現す。

田村君!と多美子が驚くと、お姉さん!と田村も答える。

やっぱり帰って来てくれたのね、ありがとう!さ、みんなが待ってるわ!と声をかける多美子。

「東京学園」チームは全員ボーイスカウトのユニフォームを着てステージに登場する。

舞台脇では、佐伯園長や先生たちも多美子と共に、得意のトランペットを吹く田村の姿を見守る。

その時、会場前にジープが到着し、警官と刑事が降り立つ。

舞台袖にやって来た刑事は、その場にいた多美子に令状を差し出す。

多美子は、そんな刑事に、待って下さいと頼む。

ステージでは子供たちの演奏が続いていた。

田村は泣きながらトランペットを吹いていた。

演奏が終わり、客席から拍手が起こる。

それを観ていた多美子も涙ぐんでいた。

多美子は田村を連れ、刑事のジープに乗せようとしていたが、そこにやって来た保が、兄ちゃん、どこに行くんだよ?悪いことでもしたのかよ?と聞いて来る。

保、虐めたりして悪かったな…、すぐに帰って来る。豚のこと頼んだぞ…と伝えた田村は多美子とジープに乗り込んで出発する。

兄ちゃん!と泣きながらジープを追ってくる保。

途中、転んだ保だったが、すぐに立上がると、兄ちゃ〜ん!と呼びかける。

走るジープの後部座席から、そんな保を見守る田村の肩に、そっと手を置いて慰める多美子。

兄ちゃ〜〜ん!保は道に立ち尽くし、いつまでも泣いていた。


 

 

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