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犯罪6号地

「ダイインングメッセージ」がメインに使われていると言うのが珍しい高松英郎主演の捜査もの。

この頃の高松英郎さんはスター的な華やかさこそあまりないが、とにかく颯爽としておりカッコ良い。

ヒロイン役の仁木多鶴子さんは、仁木悦子原作の映画化「猫は知っていた」でのヒロインだった方。

今回は、寂し気で健気な雰囲気の女性を演じている。

藤山浩一や杉田康と言ったこの当時のお馴染み脇役たちが、ちらり登場しているだけなのがもったいない感じだが、髪の毛ふさふさの中条静夫のヤクザ役と言う貴重なものも見られる。

貴重と言えば、この作品でコール・ガール役をやっている市田ひろみも見物。

和服姿で、お茶のCMに出て一時期人気者だったおば様の若かりし日の姿だが、目が大きく、ちょっとバタ臭い風貌は、この手のバンプ風の役には合っている。

以前、「徹子の部屋」に出演した時、若い頃はバンプ役を求められたけど、声が高過ぎて似合わなかった…と自分で言っておられた記憶があるが、この作品を観る限り、風貌と声に違和感はない。

派手目の顔立ちで元気一杯と言った雰囲気なので、陰のある大人の女みたいなキャラは難しかったのかも知れない。

本庁エリートと所轄のぶつかり合いとか、周囲に何もない埋立地時代のお台場が出て来る辺り、「踊る大捜査線」などを連想して感慨深い部分もある。

歌謡曲っぽい唄が挿入されたりするのは、ちょっと俗っぽい印象もあるが、浜口庫之助さんが担当している明るめの音楽が、麻薬に絡む連続殺人と言う、一見暗く陰惨になりがちの展開を救っている。

テンポも良く、捜査ものとしてはかなり面白かった作品である。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1960年、大映、阿部桂一脚本、村山三男監督作品。

タイトル

(女が歌う歌声をバックに)波止場を歩く2人の男の足下(スタッフ・キャストロール)。

後から歩いていた男は、くわえ煙草を吐き捨て靴で踏みつぶすと、上着の中から消音器付き銃を取り出し、前を歩いていた愚連隊杉山英次(藤山浩一)に向けたので、驚いた杉山は、止めろ!と帯えながら、石炭の山を登って逃げようとするが、背中を撃たれ転がり落ちて死亡する。

ベートーベンの「第五 運命」のレコードが鳴る中、自宅らしき畳の上でタバコを吸っている浴衣姿の男の腕。

「青山さん!」と玄関口で呼びかける声がするが、大音響で気づかない。

青山さん!と玄関を開けた警官が、新町交番のものですが、非常呼集です。殺しらしいですと告げると、慌ててレコードを止めた所轄署の刑事青山秀夫(高松英郎)は、ご苦労さん!と答えて現場に急行する。

現場で港のクレーンを整備しに来て死体を発見した技術者から事情を聞いていた青山は、本庁の一課から出向いて来た顔なじみの足立健次(友田輝)に、被害者は杉山と言う東西組と言う管内の愚連隊の一員で、恐喝や暴行で3回ほど引っ張ったことがあると伝える。

鑑識は、ガイシャは3カ所撃たれており、弾が二個摘出で来た。死体は東大に送りますと、現場を仕切っていた大久保捜査一課長(伊東光一)に伝えに来る。

大久保捜査一課長は、刑事たちに、早速、聞き込みを始めるよう頼む。

(ジャズが流れる中)港の作業員たちから聞き込みをする刑事たちの姿

鑑識の科学検査課では、すぐさま弾丸の線条痕から凶器の割り出しを始める。

「石炭山殺人事件捜査本部」

鑑識からの連絡で、凶器はルガー新型22口径で、まだ日本には入ってないと言うことだったので、外国人が持っているのではないか?消音器付き拳銃ではないかとの意見が出る。

山本捜査係長(見明凡太朗)は、杉山のダチ関係を調べてくれと刑事たちに頼むと、大久保課長に、今、東西組の患部を恐喝で捕まえてますと伝え、留置場から出して取り調べてみる事にする。

山本係長が、杉山のホシに心当たりはないかね?と聞くと、ハジキでばっさりやられたとなると見当がつかないと言うので、ペイをいじっていた事は?と聞くと、あんな率の悪い事はしないと幹部は関わり合いを否定する。

20日ほど前まで杉山はパチンコ屋の2階に住んでいたね?と聞くと、ホステスをやっている大沢和子と言う女と本願寺裏のアパートで同棲していたと言うので、早速そのアパートに刑事を向かわせる。

大沢和子(若松和子)は、杉山が殺されたと聞くと驚いたようだった。

山本係長の前にやって来た和子は、心当たりを聞かれると、秋田の奴が殺したんだわ!と言い出したので、杉山の兄貴分ですと、横で聞いていた青山が係長に捕捉する。

会長が、あの人の方を可愛がっているのを妬んでいたし、パチンコの景品以外のものはあの人に任されたから。

それにあの人、私の事を好きだったらしいのよなどとぬけぬけと和子は言う。

青山は、早速東西組の事務所である「東西興行」に向い、そこにいた組員たちに秋田はいないか?と聞くが、今頃、列車の中でしょう?一昨日、信州に法事で帰ってますと言う。

信用出来ないと感じた青山は、信州に問い合わせしてみようか?と脅してみるが、そんな必要はありませんよと言いながら帰って来たのが、当の秋田(杉田康)だった。

アリバイはありますぜ…と嘲笑して来たので、一応、信州の実家の連絡先だけ確認する青山だったが、どうやら秋田の言葉に噓はなさそうだった。

その後、橋の袂で川を見ていた杉田の弟分、工藤洋一(野口啓二)を見つけた青山は声をかけるが、兄貴をやった奴を見つけて叩き殺してやる!などと工藤が息巻くので、ヤクザの末路なんてあんなものだと言い聞かし、更生するよう勧めるが、何か手伝う事はありませんか?と言って来たので、杉山があの日の夕方からの足取りが分からないので、何か知らないか?と聞いてみる。

工藤は、俺しか知らないけど、あそこに行ったんでしょうと言い、クラシックレコードをかける音楽喫茶「のくたーん」と言う店を教え、そこにいるみどりと言う女が気に入っていたらしいと言う。

「のくたーん」にやって来た青山は、テーブルにやって来た沢本みどり(仁木多鶴子)に話を聞きたいと申し出ると、みどりはマスター(小原利之)を呼び、支配人室で話を聞く事にする。

あの日、杉田は6時頃やって来て、ヘンデルをかけていた9時ちょっと過ぎに帰って行ったと答えたみどりは、杉田はいつも工藤さんと言う若い人や、前にコールマン髭の外国人と来た事もあったと言うので、青池は驚き、マスターとみどりに、その外国人の写真を警察で確認してもらう事にする。

鑑識の写真課にみどりと共にやって来たマスターは、膨大な資料写真を前に辟易しながら、4時から組合の寄合があるのでと言い、途中で帰宅、その後はみどり1人で写真を探し出す作業を続けていたが、途中でめまいを起こすほどだったので、青山が労るが、難路か頑張って確認作業は寄るまでかかってしまう。

しかし、結局、コールマン髭の外国人は見つけることができず、駅までみどりを青山は送って行ってやるが、皆さん真剣ですねとみどりは青山たち刑事の仕事ぶりを褒める。

悪と戦うのが仕事ですから…、もし、我々が戦うのを止めたらどうなりますか?と青山が答えると、もう一つ驚いたことがあったんですと言うみどりは、刑事さんって、ただ怖い人かと思っていたんですが、青山さんみたいな人もいたんですねと言い出したので、どう言う意味ですか?と青山が戸惑うと、私、ここで失礼します…と会釈し、みどりは1人駅に入って行く。

数人の男女が色々情報を話している映像に、杉山殺しは顔見知りの犯行と推定されえ、台東署は都組の国松と言う札付きの愚連隊から話を聞くことになった…とラジオニュースが流れる。

お前が持っていた拳銃に最近撃った形跡があるのはどう言う事だ!と責められた国松(中条静夫)は、その銃は一昨日、売人から買ったばかりで何も知らないと言う。

国松が持っていた銃はルガーの新型だったので、あの晩どこにいた?と聞くと、酔っていて覚えてないと言うだけなので、国松、お前がやったのか?と青山は半分冗談で話しかける。

少し頭を冷やした方が良いようだな…と山本係長が言い、拘留しようとすると、俺を指したのは誰だ!と国松は怒りながら連れて行かれる。

足立が、目鼻つきましたね…と話しかけると、山本係長は、まだ何とも言えんね…と笑いながら部屋を出て行く。

奴はシロだよ。勘なんだが…と青山が言うと、これはノビや恐喝じゃないんだ。勘なんて入れるべきじゃない!と反論すると、捜査記録には勘で逮捕した例もいくつもあるぜ。捜査にはインスピレーションみたいなものは必要なんだ!と青山も負けていない。

所轄にいると岡っ引き根性が染み込むようだな…と足立が嫌味を言ったので、何!と青山は気色ばむが、そこに山本係長と一緒に戻って来た大久保捜査一課長が、駆け出しの頃は同じ釜の飯を食った仲じゃないか…と2人をなだめる。

山本は青山を呼び寄せ、警視庁捜査一課は花形だ。人間、自分の仕事に自信を持たないとダメだなと諭すが、その時、鑑識から電話が入り、杉山の銃と国松の銃は別だったと言う報告を受ける。

さらに、そこに聞き込みから戻って来た刑事が、大沢和子には外国人のパトロンがいるとの報告をする。

台東署に呼びだされたロイ・シュメルンと言う外国人は、自分には国に妻も子供いる。こんな侮辱はない!といきり立つが、そこに、当の大沢和子が連れて来られても、こんな女は知らないととぼける。

あんた、何言ってるのよ?と和子は呆れたようだったが、青山はロイにパスポートの提示を求める。

おとなしく従ったロイだったが、その中をめくっていた青山は、ロイと和子のツーショット写真が挟み込まれていたのを発見し、これは和子さんじゃないですか?と聞いたので、ロイも、さすがに、これ以上シラを切り通すことは出来ないと諦めたようだった。

雷門辺りを歩く刑事たちは、地元のチンピラに話しかけていたが、そんな中、青山に秋田がからかうように話しかけて来る。

その直後、青山は同僚を先に帰し、自分は別行動を取る事にする。

一方、地元のチンピラがたむろしていた開店前の酒場にやって来た刑事たちは、工藤洋一が最近金回りが良いらしく、ばりっとした格好をしていると言う情報を聞き込む。

青山は、再び音楽喫茶「のくたーん」にやって来ていた。

そこには、新調のスーツを着た工藤が来ており、青山の姿を観ると、挨拶をしてすぐに帰ったので、応対に出て来たみどりに、気持ちの良い青年なんだが、あんな生活から抜け出せないんだ…と工藤の事を残念がる。

おやつれになりましたね?とみどりから労られた青山は、「第五」聞かせて下さいとリクエストする。

工藤は、大沢和子の部屋に来ると、札束を渡し、稼いだんで受け取ってくれ。俺はもう大人なんだよ。金だって稼げるんだ。姉さんを幸せにしてみせるよ!前にここに泊めてもらった時、姉さん、兄貴と…、俺、あの時置きてたんだ。あの時から俺、姉さんの事が好きだったんだよと迫って来たので、和子の方も、私も洋ちゃんの事、前から好きだったのよ!と言い、2人は抱き合いキスを交わすが、和子はその間、左手を伸ばして、床に落ちた札束を握りしめていた。

その後、射的場で遊んでいた工藤を見つけた青山は、最近、和子と同棲しているんだって?と話しかけるが、博打でついているだけだよ。放っておいてくれよ!と邪険にする。

そんな中、和子は自室で、消音器付き銃を突きつけられていた。

怯えて後ずさる和子だったが、撃たれて寝室に倒れ込む。

死体発見後、現場に駆けつけた青山は、部屋の中に現金が残っていた事、和子も22口径の銃で撃たれている事を知る。

山本係長は、この2つの殺しは関係がありますねと大久保課長に伝える。

その時、刑事の1人が、寝室の壁に残されていた血文字を見つける。

「シ-6」と書かれているようだったので、その現場写真を署で検討するが、山本係長は、和子が、自分を殺そうとした奴を知らせようとしたものでしょうね…と推測する以上の推理は出なかった。

女給殺人事件の本部も台頭署内に出来る。

そんな中、鑑識から電話が入り、それを取った青山は、杉山と数子殺しの拳銃は同じだったとの結果を家長に知らせる。

ロン・シュメルンの事務所に和子殺害の当夜のアリバイの確認に来ていた刑事は、部屋に入ってきたこの女性と昨夜は箱根に泊まりましたと言うので、奥さんですか?と聞くと、ガールフレンドだと言う。

その外国人女性は、ホテルのレシートを見せ、日本の警察はダメね!友達を助けて下さい!ドーリーが捕まってます…などと奇妙な事を言いだしたので、詳しい事情を聞く事にする。

捜査本部では、青山たちが必死に「シ-6」と言うダイイング・メッセージを解読しようと頭をひねっていたが、品川駅の6番線と言うことではないですか?と1人の刑事が指摘する。

その考え方だと新宿駅にも当てはまるし、信濃駅に6番線は…ないか…などと青山は頭をひねる。

そこに、ロンの事務所から戻って来た刑事が、外国人が誘拐されて脅されているらしんですと大久保課長に報告したので、どう言う事なんだ?と聞くと、ジェームズ・ドーリーと言う外国人貿易商が、東京駅の前で監禁誘拐されたらしい。

その後、解放されたらしいが、何か弱みを握られたらしく、浅草の「エース」と言う喫茶店で今日の3時に又会うらしいんですと刑事は言う。

それを聞いた大久保課長は、捕まえてみるか?と言い出すが、青山は、問題は「エース」と言う店は盛り場のど真ん中にあり、外国人を強請るくらいですから相手は相当な奴でしょう。万一の時は都民に被害者が出る危険性もありますと指摘する。

結果、3時前の「エース」の中には、矢まあ元係長以下、刑事総動員の形で客として張り込むことになる。

そこに、ジェームズ・ドーリーらしき外国人がやって来て、青山の隣のテーブルに座る。

店内の時計が3時を知らせると、あごひげが目だつ「ポパイ」のブルートのような大男が入って来てジェームズの隣のテーブルに腰掛けるが、ジェームズのテーブルに座って話を始めたのは、チンピラ風の2人組だった。

ジェームズが、カバンの中から札束を詰めた包みを取り出していると、一斉に刑事たちがチンピラを包囲し、あっという間に2人を確保する。

一緒に台東署に連れて来られたジェームズは、あの2人に監禁され、乱暴された上に、警察に言うと殺すと脅されたと説明するので、今度からはこういうもめ事に巻き込まれたら警察に知らせて下さいと注意する。

ジェームズは、日本怖い所です。私、大変、忙しいです。帰って良いですか?と言い、感謝して帰って行く。

そんな中、工藤の行方が分からなくなっており、高飛びしたのではないか?和子がやられてからは、ぱったり東西組にも寄り付かなくなったと青山は大久保課長に伝えていたが、そこに、若い女性の来客があると言うので、誰かと思っていると、「のくたーん」の沢本みどりだと言う。

屋上で会ってみると、以前お話ししたコールマン髭の外国人は、2度店に来たと言いましたが、良く考えてみると3度来てましたと言う。

それだけのためにわざわざ来て下さったんですか?と青山が感謝すると、捜査の方、巧くいってらっしゃいますの?青山さんの表情観ていると怖い暗い真剣ですね。男の人の仕事に賭ける情熱は凄いなどとみどりが言うので、いや、女性だって…と青山は照れるが、女は仕事に一生を賭けるなんて出来ないの…、女には、仕事なんかよりもっともっと大切なものもあると思うの…などと意味ありげな事を言いながら、みどりは熱い視線を青山に注ぐ。

そこへ、工藤の死体が上がった。溺死ですと部下が知らせに来たので、みどりに別れを告げ、青山は発見場所の埠頭に向かう。

工藤の死体は解剖に廻されることになる。

その後、捜査本部では、黒板に事件関係者たちの関わり合いを示した図表を貼り、大久保捜査課長が今後の捜査方針を刑事たちに説明する。

やはりポイントとなるのは、「シ-6」と書かれた和子のダイイングメッセージにあるように青山は感じ、それを指摘する。

山本係長は、事件の背後には売春とか麻薬などの相当大きな組織があるような気がすると発言するが、そこに戻って来た刑事が、本庁からの連絡で、大沢和子の指紋は売春組織の中に載っていたとの報告がある。

山本係長は、コール・ガールだな…と呟き、青山も、去年の2月頃までやってたんだな?と確認し、「シ-6」と言うのは、コールガール組織のサインじゃありませんか?と指摘する。

早速、本庁の売春係に出向いた青山は、コール・ガール組織への紹介状(入場券)を譲り受け、実際に自分が客として潜入してみる。

しかし、応対に出て来たコール・ガール(美山かほる)に「シ-6」を知らないか?と聞いてもはぐらかされるだけだった。

あけみ(市田ひろみ)と言うコール・ガールと外で落ち合った青山は、同じように「シ-6」を知らないか?と聞くと、あんたデカか?ブンヤさん?と怪しんで来たので、金を胸元に押し込んで青山はそそくさと逃げ出す。

あけみは、バカヤロー!バカにしやがって!と怒鳴って来るが、金をもらったので満更でもなさそうだった。

一方、山本係長は、ジェームズ・ドーリーから金を巻き上げようとしていた宮井(渡辺鉄弥)と平塚(三角八郎)のチンピラ2人から、ジェームズの弱みが何なのか聞き出そうとしていた。

なかなか口を割ろうとしない2人だったが、戻って来た青山も加わり、粘り強く尋問を続けるうちに、ドーリーは麻薬団のボスである事が分かって来る。

そんな大物がお前らなんかに簡単に強請られるものか!と青山は嘲るが、正体を知るために3年もかかったと言う平塚は、ドーリーと言うのは、日本でも1、2を争うペイの大親分なんですよ。それを突き止めるために、宮井の奴とペイの売人になって調べたのだと言う。

それを聞いていた山本係長は、麻薬取締官に来てもらうか…と判断し、青山には、無理せんで休んだらどうだ?とねぎらう。

しかし、青山は、頭は弱くて本庁勤めにはなりませんでしたが、身体だけは丈夫に出来ていますから…などと答えて、帰ろうとはしなかった。

その後、台東署にやって来た麻薬捜査官は、運び人?それまで、どんな奴がいたんだ?と平塚に聞くと、俺たちに仕事を頼むのはケンちゃんと言う愚連隊で、その上に塩田って奴がいて、その上には陳正源と言う中国人、その上にはジョーダン、フック、パターソンといて、一番上がドーリーでさとすらすらと答える。

一度、車のトランクに隠れて本拠地の側まで言ったことがあるけど、暗かったので海の側と言うことしか分からなかったと宮井も証言する。

部屋の外に山本と青山を連れ出した麻薬捜査官は、奴らの言ってる事は確かですよと驚いたように教える。

すぐさま山本係長らは、ドーリーが住んでいる東都ホテルに向かうが、すでにホテルを出て、今夜の飛行機で帰国するはずだと知る。

一旦、本部に戻った山本は、深夜まで羽田に向かった部下たちからの連絡を待つ事にする。

11時40分、山崎刑事(杉森麟)から電話が入り、最終便はすでに飛び立ったが、ドーリーは飛行機には乗っていなかったと言う。

それを聞いた山本係長は、羽田から発ってない。本庁の外人係に連絡してくれと指示を出す。

そんな中、青山だけは、まだ「シ-6」の謎を解こうと考え続けていた。

そんな青山に気づいた足立が、所轄さん、いい加減にしろよ!彼女だけにしか分からんん数字だよ。もっと確実な線を追うべきだと嫌味を言うので、この文字が無意味だと言うのか?と青山がむっとすると、要するに古いんだ。もっと合理的にやれって言ってるのさと足立もいら立って来たので、その口争いを聞いていた山本係長は、神経がイライラしているのはお前たちだけじゃない!と2人を叱りつける。

刑事たちは、刑事部屋で寝る仕度を始める。

そんな中、青山だけは寝ないで、ずっとダイインングメッセージの謎を考えていた。

深夜、電話がかかって来たので、青山が出ると、相手はみどりで、私、もうお目にかかれなくなりました。田舎に帰るんです。少しの間でしたが、あなたとおつきあいできて幸せでした…と言い、電話は切れてしまう。

「のくたーん」で電話をかけていたみどりから受話器を取り上げたのは謎の男だった。

一方、電話を受けた青山の方は、こんな時間に電話なんて変だ…と考え、もう1度、黒板に貼られていた事件の相関図を見つめる。

青山はその紙に「ノクターン」と書き込み、杉山、外人、工藤…、みんな関係あるのでは?あの時、工藤が店にいたのもおかしい。みどりさんは何かを知らせようとしてたんじゃないか?コールマン髭の外国人が来たのか?みどりさんに何か危険が迫っている!みどりさんが危ない!と直感した青山は、単身「のくたーん」に乗り込む。

裏の通用口から入り込んだ青池は、無人のはずの店内でみどりを探すが、人の気配を感じたので二階に上がると、窓が開いており、下の道路を車が出発する所だった。

窓から飛び降りようとした青山だったが、背後から近づいて何ものかに後頭部を殴られ昏倒する。

倒れた青山にとどめを刺そうと銃を向けた男は、仲間の男に、撃つんじゃない!と止められ、急いで全員逃げ出して行く。

気がついた青山は、目の前に不気味な老婆が立っていたので、奴らはどこに行った!と聞くが、老婆はただ、遠い所へ…と言うだけだった。

ふらつく頭を押さえながら支配人室にやって来た青山は、何か手掛かりがないかと物色を始める。

何も残ってないかに思えたが、机の上の領収書に気づき、それを読み始める。

その中の一枚に「オイル」と書かれていたので、すぐさま、その領収書の発行元のガソリンスタンドへ向かう。

応対した店員は、車に乗っていた人は英語をしゃべっていたので、どこへ行ったかは良く分からないと言うだけ。

諦めかけた青山だったが、その時、聞いたわよ、私!と声をかけて来た女性がいた。

車に乗ったコール・ガールのあけみだった。

君はあの時の!と青山が思い出すと、私、ちょっと英語分かるのよと明るく話すあけみは、芝浦の先の方で、砂地だからタイヤが埋まるとかとか言ってたわと言う。

すぐさま、店員から東京地図を見せてもらった青山は、ある一点に目を留め、これだ!と叫ぶと、その場で本部に電話を入れる。

刑事部屋で寝ていた熊谷刑事が電話を受け、全員を叩き起こす。

電話を代わった山本係長に、「シ-6」は芝浦6号台場の事です!と青山は電話で告げる。

青山は単身、真っ暗な「芝浦6号お台場埋立地」にやって来る。

近くを探していると、連中が乗って来たと思しき車が停まっていたので、見張りの男をやり過ごし、建物に接近する。

見ると、あの「エース」に来たあごひげの男も見張っていた。

隙を観て、建物の中に侵入した青山は、そこで会議のような事をやっているドーリーら外国人グループを発見する。

どうやら麻薬組織の幹部連中のようだった。

外国人たちは、ドーリー博士まで誘拐されたんだから、この際、仕事を中止しよう。日本だけが市場じゃないと相談しているようだった。

3人も殺された。杉山は麻薬を盗もうとし、和子はしゃべり過ぎ、工藤も知り過ぎた…。そろそろ日が昇る、出かけようと話し、全員立上がりかける。

その時、物陰に潜んでいた青山は電球を撃って壊し、動くな!と制止する。

すぐさま麻薬組織の連中も撃って来て、銃撃戦が始まる。

その時、パトカーが現場に近づいて来る。

ポリ公が来たぞ!と外国人や子分たちが騒ぎ始める中、青山はドーリーと取っ組み合いをしていた。

みどりさんをどこにやったんだ!と叫びながら戦っていた青山だったが、ドーリーは銃を取り出し青山に突きつける。

その時、背後から手下が青山に飛びかかり羽交い締めにして来るが、建物内に飛び込んで来た足立が発砲して来る。

その後も、青山は、外国人らと戦いながらみどりを探す。

足立は、夜明けの建物の水槽部分でブルートのようなあごひげ大男と戦っていた。

さらに、トラック部隊が到着し、大勢の警官が荷台から降りて来る。

麻薬組織一味のほぼ全員が逮捕され、連行する中、青山は一緒に連行されて行く「のくたーん」のマスターや外国人幹部らに、みどりさんをどこにやった!と詰めよるが、誰も答えようとはしなかった。

その時、建物の上に立っているみどりを発見した青山は、みどりさん!随分探しましたよ。どこに行ってたんですか?と嬉しそうに近づくが、暗い表情のみどりは、青山に両手を突き出すと、私も連れて行って下さい。私は悪い女です。杉山や工藤などの手先に運び屋をやらせていたんです。

私はドーリーの女なんです!と告白したみどりは、泣き出す。

そこにやって来た足立たち刑事2人が、みどりに手錠をかけ連れて行く中、青山だけはその場に残っていた。

足立らに連れられ、パトカーに近づいていたみどりは、突如苦しみだし、その場で倒れたので、部下は、デカ長!と青山を呼びかけるが、建物の上に佇んでいた青山の耳には届かないようだった。

青山さん…、私、青山さんに会えて…、青山さん…と呟きながら、みどりは息絶える。

デカ長!青山〜!との呼びかけにようやく気づいた青山が近づいて来たので、デカ長!みどりさんが毒薬を飲んで…と部下が伝えると、死んだか…と呟いた青山は、俺たちが気がつくのが一足早かったら…と悔やみ、デカなんてこんなものだよ…、可哀想に…、彼女はたった1人ボッチだったんだ。きれいに葬ってやろう…と部下に告げる。

警察車両が全車引き上げて行く中、青山だけは埋立地に残り、1人佇んでいた。(唄が重なる)


 

 

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