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駕瞑羅4 真実

第一次怪獣ブームを経験し、子供の頃から無類の怪獣好きだった監督が「平成ガメラ三部作」に心酔しながらも、渇望していた「4」が作られないことに絶望し、落語家として稼いだ金と物作りの器用さを基に、自ら製作してしまったという曰く付きの自主怪獣映画。

製作費350万(監督談) 

事前に、当時既に解散間近だったはずの徳間大映の事務所に電話を入れ、「自主映画なので商業利用はしない(料金は取らない)」説明をしたところ、あっさり撮影許可が降りてしまったらしいのだが、「平成ガメラ」の登場キャラや音楽まで流用してしまっているので、身内で密かに楽しむ分にはかろうじて許されても、「大人が作る作品としては著作権的にアウト」の作品のはずなのに、なぜか監督の落語家としての知名度もあってか何度も上映会が開かれ、そこそこ一部のマニア間でその存在は知られているという特異な存在になっている。

なお初期上映会では、怪獣仲間からの提案で、併映として「ひょっとこガメ太郎」と言う、これ又自主ミニアニメが付くという、当時やっていた東宝のゴジラシリーズを彷彿とさせるような凝りよう。

角川のイベントルーム「神楽座」で行われた林家しん平監督最新作「深海獣雷牙 対 溶岩獣王牙」の初号試写会の特別プロローグ上映という形で久々に本作を再見したが、10年以上前、無料上映会で始めて見た時以降、いわゆる「自主怪獣映画」を見る機会が個人的に増えたこともあり、「自主怪獣映画特有の面白さと問題点」のようなものが薄っすら見えてきたような気になっていたこともあり、この作品は思いの外「自主怪獣映画」としては出来が良かったんだと言うことに気づかされた。

後から上映された新作の「深海獣雷牙 対 溶岩獣王牙」が、残念なことに「自主怪獣映画」が陥りやすい「あるあるパターン」に見事にハマってしまって正直出来が悪かったこともあるのだが、「駕瞑羅4 真実」が先に上映されたこともあり新作との対比で面白く感じたというわけではない。

概して初心者が作る「自主映画」は「プロが編集で削りに削って圧縮した上映時間と同じ様な長さをテクニックもないのに作ろうとする」ためにドラマがスカスカな上に役者の演技もど下手レベルだったりで、結果、見るに堪えない冗漫な画面展開になることが多いのだが、「駕瞑羅4 真実」は45分という「自主映画としてはかなり危険な長さ」だったにもかかわらず、ドラマを必要最低限に抑えてあり、後はCGによる見せ場の連続という形にしてることもあり、結構最初から最後まで飽きずに見ることができる。

もちろん「駕瞑羅4 真実」が「自主映画にしては面白く見える」理由はすぐにいくつか思いつく。

キャラクターや設定自体に馴染みのない新作ではなく、「駕瞑羅4 真実」は「平成ガメラ三部作」と言うベースを見る側が既に知っており、その世界観やキャラクターの大半を改めて説明する必要がないからというのが大きい。

さらに音楽なども「ガメラ三部作」の音楽をそのまま流用しているので、多少画面がちゃちでも「平成ガメラ」の雰囲気に浸りやすいこと。

それから、大迫力警部補役の螢雪次朗さんや自衛隊の撮影映像がそのまま使われているのも自主映画らしからぬ魅力を感じる部分だろう。

展開的には「主役怪獣の交代劇」や「レギュラーキャラの乱暴な処理の仕方」など、人によっては、ん?と感じるのではないかと思われる部分がないではないのだが、後半は昭和シリーズの第一作「大怪獣ガメラ」(1965)にリンクしていたりとオマージュ要素も楽しく、45分も決して長く感じさせないのが見事と言うしかない。

確かこの作品、自主映画仲間やCGの助っ人などが全国からサポートしていたと記憶しているが、改めて今見ると、その人達の力も大きいと感じた。

CGなどは、当時まだアマチュアができるレベルなど知れていた時代だったにもかかわらず良く健闘しており、これがこの作品の見せ場の大半を支えている。

ミニチュアや着ぐるみにこだわりすぎるとかえって手間ひまがかかりすぎ「自主怪獣映画」の制作難易度を無駄に上げてしまうので、効果的にCGを使う方が「低予算の自主映画」では効果があるということが、奇しくもこの当時から証明されていたということかも知れない。

ただそうは言っても素人作品の悲しさ、技術面はともかく展開に問題点がないではなく、一番気になったのは「平成ガメラ」のオマージュ作品であるにもかかわらず「ガメラシリーズ」には元々登場しない「スーパー兵器」が登場している点である。

ここはしん平監督自身が昔の上映会で自ら「ガメラ」と「ゴジラ」映画の決定的相違点として触れていたことなので確信犯的に登場させていることは理解出来たとしても、残念ながら作品内で「スーパー兵器」が「生きてない」。

それでなくても後半登場する「新ガメラ」には新たな武器が備わっており、CGを使ってやたらと古いロボットアニメのような武器合戦の様相を呈する部分があるのに、さらに人類側まで「スーパー兵器」を登場させたのでは、ご都合主義まみれのテレビのちびっこ向け「特撮ヒーロー番組」である。

監督ご自身特撮だけではなくアニメも大好きらしく、ガメラやギャオスが次々に新兵器を繰り出すあたりのアイデアは、アニメの影響だと明かしておられた。

さらに、ギャオスが瞬間移動風の動きを見せたりするのはハチドリの動きを参考になさったとも…

後半、両親とともに子供がガメラの都市破壊に巻き込まれ犠牲になるという初代ゴジラを彷彿とさせるようなシーンも登場するが、その子どもは監督ご自身のお子さんだそうである。

後半出現したガメラは昭和初代ガメラのイメージを踏襲しているような所があるが、地球がギャオス撃退のため、急ごしらえで復活させてしまった新造生物だったため、人類の味方であるとか、子供の味方であるという旧来のガメラの記憶はないという設定だったようだ。

結局、この作品を作る動機は「平成ガメラ三部作」への憧れ、続編期待からであったのかも知れないが、いつしか「監督自身の子供時代のテレビも含めた第一次怪獣ブーム体験への回帰」になってしまっている。

せっかく前半は「平成ガメラ」にあった「初期怪獣映画らしい怪奇映画っぽさ」の再現が垣間見られたのに、後半は「ちびっこ向けヒーローショー」では、怪獣ファンの観客としても評価は分かれるだろう。

結論的に言えば、「駕瞑羅4 真実」はファン映画としての楽しさと未熟さが絶妙のバランスで混在しながらも、幸運にも「そこそこ楽しめる稀有な存在」になっているような気がする。

※「プロジェクトX G4への道」なる本作のメイキング映像も存在する。
▼▼▼▼▼ストーリーを途中まで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2003年、林家しん平監督作品。

自衛隊のジェット戦闘機が3機、5機…と、飛来するギャオスの群れに突っ込んで行く。

すぐ背後にギャオスに迫られた戦闘機の操縦席からパイロットが脱出するが、そのまま口を広げたギャオスに捕食されてしまう。(「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」にそのままパクられてい)

ギャオスの超音波メスで破壊されるジェット機。

満月の中、片手になったガメラが地上から飛び立ち、無数のギャオスと空中で戦い始める。

ガメラが背面跳びの状態で回転すると、そのジェット噴射の煙が逆円錐状態で舞い上がり、その中から巨大な勾玉が空中に出現し、ガメラの腹部に降りてくると合体する。

巨大なエネルギーが生まれ、宇宙にまでオレンジ色の光が伸びる。

しかし背面状態で回転ジェットを続けていたガメラの腹部に対し、複数のギャオスが回転しながら飛び回り、超音波メスで集中攻撃してくる。

1999 GAMERA

GAMERA4(とタイトル)

竜宮風穴

この中にギャオスの卵があるはずだと言いながら自衛隊員たちがギャオスの風穴の内部に侵入する。

洞窟の奥ではアルビノギャオスが仲間の卵をついばんでおり、月夜の中、突然洞窟から外へ飛び立ってゆく。

その直後、食い散らかされた卵の残骸を自衛隊たちが発見する。

翌日、自衛隊のヘリが飛び立つ。

阿字ヶ浦海岸 海辺に漂着した巨大生物の遺体が発見される。

自衛隊が、巨大生物はガメラと確認という報告を上げる。

日本語タイトル

斉藤審議官(林家しん平)は総理に電話を入れ、巨大生物の死体処理は遠方からの戦車砲撃で行い、マスコミ人には東海村の放射能漏れと発表し、付近に近づけさせないようにします、ガメラは我が国の抑止力でもあります。

アメリカの国防省にも連絡し、怪獣は駆逐済みということにしますと報告する。

長峰真弓()は斉藤審議官からの電話をホテルで受け、それでは明朝…と答える。

「落語魂」と書かれたTシャツ姿で寝ていた大迫力(螢雪次朗)はギャオスの巣である洞窟の中を逃げ回る悪夢にうなされていたが、携帯の音で目覚める。

形態の相手は長峰で、明日の朝7時に会う約束をし、その後何かを話しかけようとするが、既に電話が切られていることに気づき、電話を切ると、逃げたらいかんて…と自らに言い聞かすとまた寝床に横になる。

翌朝 東京防衛大学情報処理センターにやって来た大迫は再開した長峰に、米森さんとは?と聞くと、さっぱりしましたと言われたので、強か姉さんね〜と感心すると、さっき隊員が、どっかの海岸に巨大生物の死骸が打ち上げられたと言っているのが聞こえ、確かにガメラと…と教えると、確かめましょうと長峰は答える。

そこに斉藤審議官がやって来て、度々呼び出してすまんね、伊藤博士が来られたと2人に話しかけてくる。

伊藤博士は風穴の調査の結果、ギャオスの卵からこれまでと違うDNAが発見されたと説明したので、それを聞いた長峰は新しいギャオスが生まれたのでは?と心配する。

大迫も、大変だ、ガメラがいないというのに!と新たな事態の可能性におののく。

そんな2人に斉藤審議官は、他言無用にしていただきたいと釘を刺す。

外では自衛隊たちが整列し、ガメラに向かって敬礼をする。

阿字ヶ浦海岸にやって来た大迫と長峰は、既に跡形もなくなった巨大生物の姿を想像しながら、ここにガメラが上がったとですか…、墓場に行こうとしたんですかね…とつぶやく。

銀座では、多数のギャオスの死骸と卵が風穴内で発見されたが、みな死んでいたというニュースが流れていた。

しかし自衛隊のレーダー室では、新たなギャオスが飛行しレーダーから消え去るのを確認していた。

翌日、自衛隊が出動するのを大東亜テレビの女性レポーターが報告する。

多数のアパッチヘリと戦車隊が富士山麓に集結し、樹海の中に潜んでいた白いギャオスの姿を双眼鏡で確認する。

戦車隊は砲撃を開始するが、アルビノギャオスは空に飛び立つ。

それを見た長峰は、アルビノですと指摘、それを聞いた大迫は、奇形ですか?気持ち悪か〜、ほんなこつ…と眉をひそめる。

アルビノギャオスは超音波メスで接近してきたアパッチヘリを破壊してゆく。

熱海城に接近したギャオスは、超音波メスで城も貫いて壊す。 F-15戦闘機もギャオスに撃墜されていく。

テレビ報道が富士樹海から飛び立ったギャオスのニュースを刻々と報道する。

その夜、地元の温泉宿に泊まった大迫は浴場で知り合った男から背中を流してもらい、警部などと呼ばれたので、警部補ですばい…と訂正しながらも嬉しくなり、部屋に戻ると缶ビールを片手に笑顔になる。

その時、外から犬の鳴き声が聞こえてきたので、窓を開け、やかましか!と怒鳴りつける。

そんな大迫が泊まった宿の裏手にアルビノギャオスが降り立ち、明かりが灯っていた大迫の部屋の屋根を破壊する。

別の部屋で寝ていた長峰はふと目覚め、大迫さん?と思わず口走る。

斉藤審議官に電話が入り、大迫力と免許証で確認したのか?と念を押す。

翌日、情報センターで長峰と会った斉藤審議官は、大迫くんの事件は聞いたよ、元気を出し給え…と、ショックで何も答えず帰って行く長峰の背中に声を掛ける。

その後、車で富士学校の研究棟へ向かった斉藤審議官は、開発中のプラズマ砲でギャオスが確実に倒せるのか?国連の許可は出ていますと責任者に問いかけるが、責任者はまだ実験もしていないのにわかりませんよと困惑するだけだった。

その夜、空を明るくした雷光に気づく斉藤審議官。 アルビノギャオスも、暗くなって又飛び立つ。

都民に避難命令が出る中、空を見上げた自衛隊員は、ギャオスという鳥に日本中がめちゃくちゃにされるのか!と悔しがる。

その頃、沖ノ島付近の海中で新たなガメラが目覚める。

付近を航行中だった船舶がその動きをレーダーで察知、巨大生物が50ノットで東京方面へ向かうと言う連絡を入れる。

何?ガメラ!間違いないか!新しいガメラが又生まれたんだ!と報告を受けた斉藤審議官は興奮する。

横浜に飛来したガメラは容赦なく街を破壊してゆく。

ランドマークタワー上階に設置された自衛隊司令部に斉藤審議官がやって来て、ガメラを攻撃するのかね?と確認する。

隊長は、あの横浜の惨状を見てくださいと審議官に説明すると、ガメラに対して攻撃する!と迷うことなく指示を出す。

すると斉藤審議官は隊長の腕を掴み、止めてくれ!ガメラは味方だ!と静止しようとするが、隊長はその手を振り払い、審議官をお送りしろ!と部下に命じる。

横浜マリンタワーをなぎ倒すガメラ。

そんなガメラの背中に飛来したアルビノギャオスが掴みかかる。

新たなガメラは左肘部分から光のトゲのようなものを出すとそれをギャオスに投げつける。

それでもアルビノギャオスもひるまず襲いかかってきたので、ガメラは火球を発射して応戦する。

司令部では、プラズマ砲の攻撃がギャオスでは反応が出ないので、ガメラにプラズマを撃ち込むと隊長が判断していた。

プラズマ砲を搭載した「SSPM-2」戦車が現場に到着し、攻撃態勢に入ろうとするが、ガメラは火球をランドマークタワーに浴びせ、司令部を破壊してしまう。

ビルの下でその様子を見上げていた斉藤審議官は、その爆発に舞い込まれ吹き飛ばされる。

大きな月明かりの中、ギャオスとガメラの空中戦が始まる。

アルビノギャオスの胸部が持ち上がり、体内から無数の針状のものがガメラに対して発射される。

ガメラは火球を発射した後、縦方向に回転飛行をしながら背中のトゲをギャオスの身体にぶつけてゆく。

さらにガメラは両肘から光るトゲを出すとアルビノギャオスに体当りする。

するとギャオスの腹を貫通するトゲ。

2匹の怪獣はそのまま地上に落下するが、地上で待機していたプラズマ砲はガメラに向かって放たれる。

しかしそれにもめげず歩き出したガメラは東京タワーの根元付近に来ると、火球を発射しタワーを倒す。

付近のホテルに宿泊していた長峰だったが、倒壊してきた東京タワーでホテルごと破壊されてしまう。

プラズマ攻撃はさらにガメラに対し加えられるが、ガメラは東京都庁前にやってくると火球で破壊し、そのまま回転ジェットで空中に飛び立ってゆく。

東京は火の海になる。

沖縄首里の亀神社

神社の階段の下でタバコを吸っているのは、左手を吊った大迫のように見えた。

ラジオニュースがガメラにより直径400kmのクレーターが出来、その中から耐久卵に酷似した卵が見つかったが、どれも原型をとどめていないと報道していた。

大迫らしき男は長い神社の階段をゆっくり登ってゆく。

エンドロール(泣きなさい、笑いなさいと言う「花」の曲が流れる中)

※記憶違いでなければ、10年以上前、最初に見た時のこの作品のラストは、神社の境内に到達した大迫が手に持っていた何か怪獣に関する小物のようなものを見つめるカットだったような気がするが、今となっては確かめようがない。
 


 

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