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花のヒロイン 

 

 

 

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黒の挑戦者

社会派推理のイメージが強い大映「黒のシリーズ」だが、本作は既に新東宝で「南郷次郎探偵帳 影なき殺人者」(1961)として映画化されている、島田一男原作の二度目の映画化でカラー作品になっている。

女にモテモテのイケメン弁護士が活躍する一種の通俗ミステリで、新東宝版では天知茂が演じていた南郷次郎を本作では田宮二郎が演じている。

本作を見ている最中は全くそのことに気付かず、南郷次郎物を前にも見た記憶があったので新東宝版をチェックしていて話も同じであることに気付いた。

劇中でペリー・メイスンの名が出ていることから、弁護士が主役のミステリの発想は案外その辺から来ているのかもしれないと感じた。

新東宝版もテンポが良く、それなりに面白かった記憶があるが、本作も悪くなく、特に冒頭のシーンは意外性と怖さが同居しており出色の出来だと思う。

主人公南郷の相棒役を務める板津部長刑事を板長と略して呼ぶのは、同じ島田一男原作「事件記者」で山本部長刑事を山長と呼ぶのと同じような現場感覚なのだろう。

全体的に軽いタッチで、特に「黒のシリーズ」の名を冠する意味もないような気がするが、単独の娯楽作品としては気軽に楽しめる作品になっていると思う。

助手役を演じている坪内ミキ子さんの初々しさも楽しめる。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1964年、大映、島田一男原作、松浦健郎+石松愛弘脚色、村山三男監督作品。

ラジオから音楽が流れる中、ソファには女の下着が脱ぎ捨てられており、灰皿には吸いかけの煙草が乗って煙を上げている。

シャワールームからバスタオル姿で出て来た東野文江(紺野ユカ)は、ねえ、あんたがなんて言ったって生むわよと言いながら髪を拭きながらベッドの方へ目をやった所で固まる。

そこには今話しかけていた男が血まみれでうつぶせになっていたからだ。

あっけにとられた文江は、ベッドの側に恐る恐る近寄るが、男は全く動く気配もなかった。

カーテンが閉まっていたが、窓が開いているのか、外の風で窓がガタガタ音を立てている。

文江は急いでラジオを切ると、急いで下着と服を着込み始める。 灰皿の煙草を取り上げ、ドアから逃げ出そうとした文江だったが、さっきガタガタ音を立てている窓が気になり、思い切ってカーテンを開くと、開いていた窓から雪が吹き込んで来る。

タイトル

雪が積もったベランダに降りた文江が下を覗き込むと、下には何台かの乗用車が停めてあり、二階なので何とか降りられなくもなさそうだったので、文江はベランダの手すりの雪を払いのけると手すりを跨ぎ、下の足場に足を乗せ方向を変えると、手すりにしがみついたまま外にぶら下がってみる。

その時、室内から出て来た革手袋の男が、いきなり文江が手すりにしがみついていた両手を剥がしてしまう。

弁護士南郷次郎(田宮二郎)の自宅では、客や友人たちを招いてパーティを開いていた。

やがて、助手の金丸京子(坪内ミキ子)が、本日はありがとう存じます、そろそろ今夜のパーティもお開きにしたいと思いますと挨拶をしたとき、まだ早い!今夜のパーティには不満がある!と抗議したのは表川天童(見明凡太朗)だった。

わしはお父さんの代からいくつもの会社の顧問弁護士を依頼して来たが、名弁護士だった南郷太郎以上に息子の南郷次郎君はお父さん以上の弁護士である、才能も容姿も優れているとベタ褒め始めたので、聞いていた南郷は頭をかいて照れる。

ただ問題なのは、いつまで独身を続けているのか?と表川が冗談を言うと、バーを代表しまして私も白状しますと言い、バーのマダム婦貴子(藤原礼子)も口を出す。

すると、警視庁捜査一課の板長こと板津部長刑事(山茶花究)までもが、私が南郷君と知り合って8年、捜査の結果現時点では愛人の気配はありません、ただ助手の金丸京子さんにはいささか愛情を持っておりますし、彼女の方も持っているようですと冗談を言い他の客たちを笑わせたので、ヘボ刑事!それ以上言うとブタ箱に放り込むぞ!と南郷は笑いながら叱る。

客たちがいなくなった中、2人きりでカクテルグラスを乾杯した南郷は、今夜のお疲れさまでしたのご褒美…と言いながら京子に包みを渡す。

その場で開けてみた京子は、それが真珠のネックレスだったので感激する。

深夜の11時20分頃、その京子も帰った後、1人ソファに寝そべり、女性のエロティックなイラストが載った海外の雑誌を眺めながらブランデーを飲んでいた南郷は、電話がかかって来ても知らん振りをしていた。

言ったん切れても、又すぐに電話が鳴り響くので、何度か無視していた南郷は、もう1杯飲ませてくれよとぼやきグラスを空ける。

ようやく受話器を取った南郷の耳に飛び込んで来たのは、もしもし、南郷先生ですか?すぐ来て下さい、殺人事件なんです!と訴える文江の声だった。

そう云う話なら明日銀座の事務所で…と断ろうとすると、私、動けないんです!助けて下さい!もうダメ!と文江は言うので、その切羽詰まった口調から異常を察知した南郷は、相手の名前と今いる場所を聞こうとする。

相手は東野文江で、今、お茶の水の電話ボックスにいると言うので車で駆けつけると、人影が見えない。

車を降り電話ボックスのドアを開けると、文江がうずくまっていた。 君!と呼びかけ、抱きかかえて車の後部座席に乗せた南郷は、文江の足に血が流れているのに気付く。

産婦人科に運び込んだ南郷は、診察の間、文江のバッグの中を調べていたが、彼女宛の封筒と217と番号が付いたホテルのキーが入っていた。

そこに看護婦が駆けつけて来て、すぐ来て下さいと言うので手術室へ行くと、文江の顔にシーツがかぶせられる所で、気の毒でした、5ヶ月でした…、手遅れでしたと医者が言う。

胎盤が早期に剥離した物で、強く腰を打ったんでしょうね…と言うので、本人の過失ですか?と南郷が聞くと、この雪ですから滑って転んだとか…と答えた医者は、改めて南郷の正体を怪しんだのか、どう言うご関係で?と聞くので、調査の依頼人ですと南郷は答える。

その後、南郷は赤電話から警視庁の板長に電話を入れ、白銀堂の東野文江を調べてくれ、殺人の疑いがあると通報する。

翌朝、銀座の南郷次郎法律事務所にやって来た南郷が、板長から連絡は?と聞くと、現場に行っているそうで、電話を下さいってと京子は言う。

さっそく永楽ホテルに向かうと、ホテルの前で車の持ち主らしき男性が屋根がへこんだのを弁償しろと支配人の容子に文句を言っている所だった。

南郷がその217号室に上がり、ドアに文江のバッグの中にあった鍵を合わせてみるとぴったり合った。

部屋に入ると現場検証を行なっていたが、そこにいた板長から話を聞くと、ベッドには血痕はあるが仏がいないと言う。

確かにベッドには血の跡しか残っていなかったが、板長は人間の血だよと言う。

殺して運び出した?と推理した南郷が遺留品は?と聞くと、先生の出番はもっと跡だろう?ここはまだ我々の守備範囲だ、又例の虫が騒ぎ出したのは分かるがねと板長は釘を刺す。

ベランダに出た板長が、文江は男といて、ここから飛び降りた…、男を殺して自殺しようとしたのかもしれないと当時のことを説明しようとすると、だったら死体があるはずだ、それに自殺を考える女がわざわざ電話をして来るか?と南郷が矛盾点を突き、ああ…、守備範囲を荒らしちゃいけないから…、じゃあ!と言い残しその場を去る。

ドライブして箱根の「山雨楼」と言うホテルにやって来た南郷は、部屋に案内してくれた仲居を呼び止め、金を押し付け、この招待状どうなってるの?と文江のバッグに入っていた謎の封筒の中に入っていた招待状のことを聞く。

初めてなんですか?と聞いた仲居は、この会に出るには必ずご同伴がいるんですよと言うので、それを君にお願いしたいんだと南郷が頼むと、ダメなんです、これは女の方が男の方を連れてくることになってるそうですからと仲居は言う。

その後、プールで泳いでいた南郷に声をかけて来たのは、偶然にも同じプールで泳いでいた婦貴子だった。

マダム!マダムじゃないか!随分珍しい所で合うじゃないか…と南郷はあまりの奇遇に驚く。

婦貴子が南郷が1人でこんな所に来ていることを不思議がるので、相手が急に盲腸になっちゃったんだと南郷はごまかす。

私も1人なの、どう私と一緒に行かない?ここで面白い会があるのと婦貴子が言うので、俺も招待されてるんだと南郷が言うと、へえ、見えないもんねと婦貴子が意外そうに驚いたので、実は俺趣味悪いんだよ、どう?ロビーに言ってお茶でも飲まない?と南郷は誘う。

2人がプールを出ると、近くで泳いでいた男(伊達三郎)が2人のことをじっと見つめる。

着替えてロビーに来た婦貴子が、お相手って誰なの?と聞くので、妬けるのかい?と南郷が苦笑し、東野文江だよと明かすと、なるほどね、でも気を付けてね、あの人そりゃ凄いらしいからと意味有りげなことを婦貴子は言う。

彼女の相手の子と知ってる会?と聞くと、妬けるの?と逆に聞いて来た婦貴子は、お役人としては将来有望らしいわとだけ答える。

今夜のパーティ、よっぽど面白いんだろうね?と南郷がかまをかけると、だめ!ここじゃ言えないわと婦貴子はそれ以上のことは言わなかった。

そんな2人の側のソファには、先ほどプールにいた男が座って、さりげなく聞き耳を立てていた。

その夜、南郷は婦貴子と共にアイマスクをしてスモークが焚かれた怪しげな会場に正装でやって来る。

そこには既に大勢のアイマスクの男女が集まっており、婦貴子は「投票所」と書かれた所で馬券を買うように数字を言い、支払いを南郷に頼む。

ところが、20万と係員から言われた南郷はあまりの高額に驚き、今4分の1しか持ち合わせがないと打ち明けると婦貴子が立て替えとくわと言い、一晩で何百万も動くのよと明かす。

この中に文江の恋人いるんだろう?と聞くと、それには答えず、あそこにいるのは貿易商社の大物、あれは関西の大親分などと婦貴子は会場にいる人物の何人かを教える。

その時、係員が第一レース各馬ゲートインします!と会場内に呼びかけ、カーテンが開いた場所に照明が当たると、そこにはパンツ一丁の男たちが四つん這いになって並んでおり、同じく下着姿の女たちが騎手代わりに男たちの背中に股がり、人間競馬が始まる。

客たちはそれを見て歓声を上げ出すが、あまりのおぞましさに南郷は会場の外のソファで1人タバコを吸うことにする。

何と言う恥知らずな連中だ、あれはペイをやっている麻薬患者だ…、何かある…、もっと婦貴子から聞かないと…と南郷は考えていたが、同じようにアイマスクをした女性が、ペリー・メイスン先生、火を貸していただける?と言いながら前のソファに腰掛けて来る。

南郷先生がいらっしゃるとは…、今夜はどなたのご紹介で?と言う相手のことを、自分の正体を知っていると南郷は警戒しながらも、今夜の会の主催はあなたのようですね?と答える。

そこに婦貴子が今のレースで当てたらしく大金を手にやって来て、文江さんの恋人知りたいでしょう?教えてあげるわねと笑いながら自分の部屋に向かう。

南郷はその後に付いて行くが、それより先に先ほどの男が仲間を婦貴子の部屋に向かわせる。

宜しいですわね?又明日?と言いながら階段を降りて行ったアイマスクの女の正体を知りたくて、南郷は通りかかった仲居に、今降りた人は誰だい?と聞くが、その仲居が答える前に、マネージャーが呼んでいるぜと声をかけたのはプールからずっと南郷を付けていた男だった。

人の話に割り込む時は挨拶して欲しいねと南郷が注意すると、男は目を反らしながらも失礼しましたと詫びる。

その後、婦貴子の部屋にやって来た難語は、暗い部屋の奥から、先生、灯り点けないでね?と言う婦貴子の声を聞き、暗いまま奥へ向かうと、男らしき影が襖から出て行く所を見る。

南郷は直ちに内線をかけ、フロントを頼む、警察に知らせてくれ、事件なんだ、客を1人も出さないでくれと頼む。

布団の上で婦貴子が死んでいた。

その後、小田原署にやって来た南郷は、刑事部屋から出て来た女とすれ違うが、すぐにその正体が先ほど会ったアイマスクの女だと気付く。

部屋には板長が出張っており、今のは?と南郷が聞くと、女に見とれているばかりじゃないか、今のはホテルの女社長さと答える。

婦貴子の死因を聞くと、解剖の結果、胃から半分溶けかかったチョコレートが見つかった、おそらくキスと一緒に押し込められたようだと板長は言う。

しかし南郷が、人間競馬の方は?と聞くと証拠がないと言うので、そんなバカな!確かにこの目で見たんだ、30分であそこにいた連中が逃げられるはずがない、ホテルの外は検問を敷いていたはずだと南郷は言うので、客は全員朝まで泊まっていると板長は言う。

競馬に使われていた男女を調べないのか?と南郷が聞くと、マダムが先生と一緒に戻っていたら死なずにすんだかも…と板長は婦貴子を悔やむ。

何故、殺されたのか?東野文江の恋人が誰なのか教えようとした…、さっきの女を調べてみたら?と南郷が言うと、宝城寺竜子(久保菜穂子)だな…と板長も考える。

南郷はその後、婦貴子のアパート「美和荘」に来る。

そこには婦貴子の遺骨を入れた白木の箱と故郷から駆けつけたらしき両親だけがおり、見ず知らずの娘の為に良くお世話して下さいましたと老いた父親が礼を言う。

今年オリンピックがあるので、あちらの言葉を学んでいましたと同じく母親が娘のことを嘆く。

婦貴子さんが付き合っておられた役人とか言う男のことをご存知ではないですか?と南郷が聞くと、南郷さん、娘は病気ではなかったのですか?そう聞いとりますが?と父親が言うので、そう云うことではないのですが私はこう云う職業ですから…と南郷は言い訳する。

すると「いおりや」と言う人と聞いたことはありますと言うので、お嬢さんの日記や手紙はないですか?と聞くと、そう言うものはなかった、私らが駆けつけると、泥棒でも入ったように部屋が荒らされていたと母親が言い、父親は南郷にタバコを勧め、自分も吸おうと部屋に置いてあったマッチを取り上げようとするので、それが気になった南郷はそのマッチ箱を見せてもらう。

「クラブBBB」と書かれてあり、娘がアルバイトでもしていたのではないかと父親は言う。

さっそくそのクラブへ行き、店内を掃除中だったボーイに金を掴ませ、文江の写真に見覚えがないか?と南郷は聞くが、従業員ではなく、客の顔などいちいち覚えていないと言う。

そんな南郷の様子を店の奥から監視していた男が銃を向けようとすると、別の男がそれを止める。

その後、永楽ホテルの仲居に文江の写真を見せると、客の女だったと証言する。 事務所に戻って来た南郷だったが、助手の京子は箱根から買って来た箱根細工の箱の土産を不機嫌そうに返して来る。

板長が来ていたので、麻薬の気配は掴めたか?人間競馬はペイを使っていたはずだ、女社長は?と聞くと、実業家だよ、銀行の信頼も厚いと板長は言う。

そこにふらりと姿を現したのは表川で、近所まで用があったので…と言い、箱根で大変な事件に巻き込まれたそうだね?と聞いて来る。

あなたもマダムとは昵懇だったでしょう?と南郷が聞く。

その頃、どこかでシルエットの男たちが、結果的に文江を殺したのは確かだ!まかり間違えば君だけではすまない!箱根の件があるじゃないか!会長は間違わない!と言い争いをしていた。 南郷は恭子に「庵谷」の名前を書いた紙を渡し、その調査を頼む。

自宅に帰った南郷は、何かある…、裏は一体何だ?それにしても宝城寺竜子…と悩み続けていた。

その時、電話がかかって来たので出ると、あなたですか…、BBB?良く知ってます、必ずうかがいます、1時ですね?と答え電話を切る。

今は8時40分だった。 南郷は、いよいよおいでなすったな…と張り切る。

クラブ「BBB」に出掛けた南郷は、又アイマスクを付けた怪しげな会に客として参加する。

やがて、大変長らくお待たせしました、今夜の会は賭けへの招待と名付けます、まずは順番を決めますとアナウンスがあり、ターバンを頭に巻いた、箱根のプールから付けねらっている男が番号札の入った壺を持って客の間を回り、1人ずつ番号札を取らせる。

最後に残ったのが南郷で取った札は1番だった。

するとアナウンスが、1番は?と聞いたので、僕です!と南郷が名乗る。

するとカーテンの前に招かれ、カーテンが開くと、その奥にはずらり両脇に7本ずつヒールを履いた女の片足が突き出していた。

気に入った足のハイヒールを脱がせて下さいとアナウンスが言うので、迷いながらも南郷は1本の足のハイリールを脱がす。

すると、その足が出ていた穴から本人らしき手が「1」と書かれた鍵を穴から出して来る。

そのカードを受け取った南郷は案内係に連れられ、「1」と書かれた部屋の前に来たので、鍵を使ってその部屋の中に入る。

ベッドで待っていたのは宝城寺竜子だった。

最高の趣向のようですね?と本郷が言いながら近づくと、私たち縁があるのねと竜子が言うので、悪縁ってこともありますぜと本郷は答える。

竜虎がキスをしようと顔を近づけると、キスの最中であの世行きなんてご免なんでね、女が殺された…と本郷が拒否すると、向こうの小説で読んだわと口を開けて中を見せながら、2人きりなのにマスク?と問いかける。

先ほどから付けていたアイマスクを外した本郷は、どうなさったの?と聞かれ、こんな素晴らしい夜には相応しくないこと、東野文江が死んでいた、バー「クラブV」の婦貴子も…、俺はこの2人の死に出くわしたと話すと、だんだんあちらの推理小説みたいになって来た…と竜子はからかう。

2人はここの会員だったと本郷が指摘すると、私も会員よと竜子は言う。

そんな会話の最中、竜子は気付かれないように枕元からそっと銃を取り出し、部屋の外では男が銃を持って中の様子を伺っていた。

宝城寺竜子って珍しい名前だな、君は元華族かい?と本郷が聞くと、お寺の門前に捨てられていただけ、辰年だったから竜子、そして16の時、その寺の坊主に女にさせられた…、男はみんな的みたいなものねと竜子は明かす。

話を聞いた本郷は立ち上がり、今夜は退散しよう、俺は至って臆病なんでね…と言い残し立ち去ろうとすると、待って!と良いながら竜子は隠し持っていた銃を突きつけて来る。

本郷が、俺はまだ死ねないんだ、2人の死神の為にね…と言うと、私を抱かないなんて!と竜子が怒るので、その銃で興ざめだ、又のチャンスを期待しよう…と言い、本郷は部屋を出る。

無人になり照明が落された「クラブBBB」の店内に戻って来た本郷は何者かに狙撃されるが、間一髪逃げ果せる。

翌朝、事務所に来た本郷が板長に電話を入れ、六本木の「クラブBBB」を洗ってみろと連絡するが、ふと電話の下に挟まっているメモに気付くと、そこには先生のバカ!バカ!バカ!と書かれており、まだ出社していない京子の仕業だと気づいた本郷は苦笑する。

電話がかかって来たので取ると、その京子で、無事だったんですか、昨夜?と聞かれたので、腹が減ってるんだ、梅干しの入った握り飯なんか最高だろうなと本郷が答えると、誰かに作ってもらったら良いでしょう!と京子は怒って来る。

しかし、その後、本郷は京子手作りのおにぎりを事務所で食べていた。

君はなかなか良い女房になるよ、良いお婿さん見つけるんだねと本郷が言うと、浮気する男は嫌いです!と京子は言うので、たった今も殺されそうになったんだと本郷は明かす。

先生は弁護士なんですよ、私立探偵みたいなことをする事ないんです!と京子が指摘し、私も手伝わせて下さい!でないと私こんな事務所辞めます!と言い出したので、君に辞められちゃ廃業しちゃうよと本郷は苦笑する。

庵谷分かりました、今朝アパートへ言ったらいらっしゃらないので…と京子は言い、通産省の第四課の役人ですと京子は報告する。

京子はその場で文江の元クラスメイトと偽って庵谷樹一(島田竜三)に電話を入れるが、怪しんだ庵谷は、じゃあ長野ですね?とかまをかけると京子がそうですと答えたので、やはりおかしい、文江の出身地は山梨だと気づき、今夜6時に281-○○○○に電話して下さい、お話の場所はそこで決めますと答える。

今夜6時にここに電話して下さいって…と言い、京子は今聞いた電話番号を本郷に見せると、調べてと言われたので、京橋の「天の川」と言う小料理屋の番号だと分かる。 その頃、板長は生命保険の勧誘員を装って「クラブBBB」のホステスから色々話を聞き出そうとしていた。

その後、事務所に来た板長は、既に本郷が出掛けたことを知るが、先生にこの事件から手を引くようにおっしゃってと京子から頼まれたので、君が言って聞かないならムダだよと板長は苦笑する。

「酒くら 天の川」で本郷が電話を待っていると、板長の部下(木村玄)が客を装って入って来る。

そこにやって来たのは表川天童で、南郷のテーブルに座ると、実はここは私やってますと教えすぐに去って行く。

座敷に来た表川は、会長は明日の取引やるつもりだと話合っていた庵谷たちに割り込み、南郷が来ているぞ、南郷の動きを止めないと、奴はこうと決めたら退かん、川崎良いね?と警告すると、もう時間だ、後は頼むぞと命じる。

6時になってかかってきた電話は、他の客宛だった。

その後、一向にかかって来る気配がないので騙されたと感じた南郷は帰ることにする。

すると、庵谷が店の奥から出て来て後を追うが、それを板長の部下がさらに追う。

外の路地の公衆電話から京子に電話を入れると、明日の磯川口行きの切符を買えって言ってきましたと言う。

その時、電話ボックスの外を通りかかった庵谷の姿を見た南郷が、何か気になって後を付けようと外に出ると、3人の男に取り囲まれる。

うろうろしてもらいたくないんだよと男(藤山浩二)が因縁をつけて殴り掛かって来たので南郷が構えると、てめえ、空手やるのか?面白え!と3人は飛びかかって来る。

しばし組み合っていると。パトカーのサイレンが近づいて来て、板長らが駆けつけて来たので3人は逃げ去る。

先生、あんまり心配させるなよと板長は南郷に忠告するが、南郷は、頼みがあるんだ、庵谷の写真を手に入れてくれと言うので、そんなにチンピラ役人か?と板長が聞くと、秘密パーティに来てたかもと南郷は言う。

その後、板長と南郷は庵谷の写真を持って永楽ホテルの支配人と仲居に見せると、この人よ!私が案内したので間違えないわと仲居が証言する。

それを聞いた板長は、文江の連れの男はここで輸血用の血液を手に入れ自分が死んだと見せかけた、それを真に受けた文江が窓から降りようとしていて男から落された…としたらその理由が分からないと言うと、文江は妊娠5ヶ月だった、それがバレると出世の妨げになる、殺すつもりはなかったのかもしれないが結果的には殺人だと南郷が指摘する。

板長がそんな南郷に、そろそろ事件から手を引いてもらうよと釘を刺そうとすると、俺は人間を人間として扱わない奴らを見た!それが許せん!かえって闘志が涌く!と南郷は感情的になる。

そんな南郷に板長は、捜査は趣味や遊びじゃない!と叱りつける。

宝城寺竜子と会った表川天童は、さっきの話だが、奴を仕留めなかったあんたがだらしないと責めると、南郷をやっちまいましょうか?と仲間たちが口を出す。

すると竜子は、私が損になることをしないことは天童さんもご存知でしょうと答える。

その頃、南郷事務所に家て来た男は、金丸京子さんですか?警視庁の井上です、今上野署から連絡があり、南郷さんが事故に遭われたそうですと言い、京子を連れ出す。

磯川口駅前の旅館の二階から改札口を監視していた南郷だったが、庵谷はやって来ない…、列車は後1本…罠か?と考えていたが、改札口から出て来たのは黒めがねをかけた外国人たちで、彼らは駅前のタクシーに乗りどこかへ向かう。

一方磯川温泉に向かう海岸沿いの道を走る車に、気絶した京子が乗せられていた。

南郷は戻って来たタクシーに近づくと、今、外人を送った先は?とさりげなく聞くと、「石の茶屋」と言う所で何回か送りましたと運転手は答える。

南郷はすぐに東京の板長に電話を入れ、庵谷のことですがね…と伝えると、そっちには京子君も行ってるんだろう?何度か電話しているけどいないから…と板長が言うので南郷は否定する。

南郷が今、磯川温泉「石の茶屋」にいると聞いた板長は、怪しいと睨み、すぐに車の用意!と部下たちに命じる。

「石の茶屋」の一室では、やって来た外国人たちが、日本のお嬢さんいますか?と言うので、いますともと答えた表川は、事情があって今後しばらくこの取引は打ち切りにしますと答える。 そこに子分が表川に耳打ちしに来たので、何!と表川は驚く。

南郷は「石の茶屋」に潜り込み、外国人たちが部屋から出て来たので庭先に潜んで様子を伺う。

外国人たちが案内されて来たのは旅館に隣接した洞窟の中で、そこには様子のおかしな若い娘が集められていた。

そんな外国人の後を付けて洞窟内に侵入しようとした南郷だったが、見張りに見つかり会えなく掴まる。

その報告を受けた表川は崖二連れて行きやっちまえと命じるが、一緒にいた竜子が私の部屋に連れて来てと命じるので、今度は大丈夫だろうな?と表川は念を押すが、竜子が自分の部屋に向かうと、相手にならん、この辺が見切り時だな、仕方ない…と表川は呟く。

部屋に連れて来られる。

部屋に来た竜子は、そこに連れて来られていた南郷に、今夜はご招待してないんですけど?と嫌みを言うので、京子の方がご招待されているはずだと南郷は言い返す。

ショーを見せてくれないか?と南郷が言うので、今夜のはあまり面白くないわよと竜子は言い、壁の掛け軸の方を見る。

今度は覗きかね?趣味に合わないけどねと言いながら南郷が掛け軸の側に来ると、そうかしら?と京子は言う。

掛け軸をめくり、穴の空いた壁から奥を覗いた南郷は、そこの洞窟内に捕まえられた京子が見張りの男2人から銃を突きつけられている姿を見て驚く。

竜子は銃を突きつけ、落ち着いてお話ししましょうと言う二で、その前に京子を解放してもらおうと南郷は言い返す。

麻薬、密輸など悪どい商売をやっている親玉は君だ!と南郷は指摘する。

先生、取引しましょう、私たちは愛し合うか殺しあうかどっちかしかないと竜子は迫る。

私が好きだと言ったら?と竜子は打ち明けるが、悪いがね…と本郷が相手にしないので、じゃあ金丸京子の命を取る!私は損をする取引はしないのよ!と竜子は脅す。

その時、会長!と子分が呼びに来たので、一旦竜子は部屋から出て行く。

そして戻って来た所を狙い、彼女の持っていた銃を奪い取った南郷は部屋から飛び出して行く。

竜子は呆然と部屋の中で見送る。

洞窟の中に潜り込んだ南郷だったが、既に京子の姿はなかった。

外で車が発進する音が聞こえる。

表川は庵谷に「クラブBBB」で南郷を殺し損なった上に、南郷を介入させた事件の発端を作ったことを責めていた。

文江から結婚しないとバラすと言われたんだと言い訳する庵谷が逃げ出そうとしたので子分が撃ち殺す。

南郷は海岸の岩場に逃げて来ていたが、追っ手が5人撃って来る。

弾を避けながら応戦する南郷は刑法36条を引用し、俺はお前たちを撃ち殺したって罪にはならないんだ!と追っ手に呼びかける。

向かって来た敵と戦い始めた南郷だったが、そこに、先生!と呼びかけ出現したのは表川だった。

困った先生だ、先代は便宜を図ってくれたのに、君はやけに正義を振りかざし私の邪魔をする…、眠ってもらおうかと言いながら銃を持って近づいて来るが、そこにパトカーのサイレンが近づいて来る。

表川に飛びかかった南郷は殴りつけ、京子や女たちはどうした!罪もない女たちを売りやがって!貴様のような奴の弁護士をしていたとはな!と南郷は興奮する。

俺が悪いんじゃない!と表川は言い訳するが、京子はどこにやった!と迫ると、竜子の奴だ!と表川は叫ぶ。

そこに駆けつけて来た板長が、重要容疑者を殺してもらっちゃ困るよ、京子君や女たちは保護したと言い、表川を連れて行かせる。

そんな板長に後は任せる!と頼み「石の茶屋」へ戻って来た南郷を待っていたのは竜子だった。

警察が来るぞ、自首したらどうだ?と南郷が勧めると、警察なんて行かなくてもこの部屋に会の参加者名簿があるの、そこに小さな棚よ、フランス人形の下のと竜子が言うので、南郷がその棚の扉を開けようとしていると、待って!やっぱり私が開けるわと言いながら竜子が自分で戸を開けた瞬間、爆発音と煙が上がり竜子は倒れる。

そこに板長たちが駆けつけて来る。

戸棚を調べ、扉に拳銃が仕掛けてあったんだとからくりを板長が見抜くと、南郷はその中に入っていた名簿を渡し、しっかりしろ!死ぬんじゃない!と倒れていた竜子を抱き上げる。

竜子は、私、先生を好きだったの…、たった1人の…、先生どこ?…と言いながら、右手で南郷の顔を触ろうとして息絶える。

その時、名簿を見た板長が、君!大したもんだよこれは…、各階の大物の名がずらりと書き込んである…、これを発表したら大変なことになるぞと南郷に告げ、覚悟の自殺か…と竜子の死を悼む。

気の毒なことをした…、彼女は不幸な境遇だったんだ、その不幸がなければ彼女も平和な家庭の奥さんになっていたと思うぜと南郷は悼む。

その後、解放された京子と2人で海辺のいわば来た南郷は、やっぱり君には仕事に深入りしてもらわないことにしたよと、京子手作りのおにぎりを食べながら言う。

君も早く良いお婿さんを見つけるんだね、これからは僕もなるべく女にモテないようにするよなどと南郷がぬけぬけと言うので不機嫌だった京子だが、いつになるか分からないけど、僕も君のお婿候補の者に入れといてくれと南郷が言ったので笑顔になる。

南郷は海を見ながら、僕のような人間が必要とされないような世の中だったら良いな…と言ったら笑われるかな?と南郷が言うと、ううんと京子は否定する。


 


 

 

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