白夜館

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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

いぬやしき

人気漫画の実写化らしいが原作は知らない。

昨今流行の、若者がストレス発散のようにゲーム感覚で人を殺しまくるパターンのようだ。

銃社会ではない日本ではヤクザなどを絡めないと銃撃戦の設定が難しいので、自然とこうしたファンタジー設定になるのだろうが、映画はその辺を巧く利用し、日本でも銃撃戦描写が可能なことを示している。

最初の内はTVドラマのような展開や画面構成なので、やはりいつものテレビ局映画なのかと感じさせるが、徐々に後半になるにつれ、VFXシーンが増えて来て、クライマックスは「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995)の再現か?と思わせるような面白さになる。

架空の東京ではなく、ちゃんと現実の新宿でロケしているので緊迫感がある。

後半の空中戦などは、さすがに合成が平板に見えたりするシーンもなくはないが、まずは良く出来ている方だろう。

大人の目から見ると、獅子神が殺戮に至る動機が弱いような気がする。

母1人子1人で暮らして来た心優しい少年が、自分が犯罪を犯せば母親がどうなるかと言う想像もできないで激情に駆られると言う辺りが不自然に見えなくもない。

過去にも、少年が犯罪に巻き込まれ、本人の意思とは裏腹に加害者になってしまい、警察に追われる身になる…と言うパターンはあったような気がするが、獅子神の最初の殺人に同情の余地はない。

犬屋敷の方も、定年間際で家族にもバカにされている冴えない中年男と言う設定自体は、冴えない男がスーパーヒーローになるパターンでそう珍しくないが、爺に近い年齢設定や見た目がちょっと目新しいかもしれない。

学校での苛めやネットでの無責任な書き込みなどを標的にという発想も今では珍しくなく、細部を見るとそう新しさは感じないのだが、子供たちから見ると身近な素材でもありより共感できるのかもしれない。

佐藤健さんは相変わらずシャープな魅力があるし、木梨憲武さんも健闘していると思う。

口やかましい母親役の濱田マリさんはリアルだし、ヒロイン役の三吉彩花さんはなかなか好感の持てる方だと思う。

もの凄いスケールの大作と言った感じではなく、インパクトと言う点ではさほどでもないが、大人の目で見てもそれなりにまとまった娯楽映画になっていると思う。  
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2018年、フジテレビジョン+講談社+東宝、奥浩哉原作 、橋本裕志脚本、佐藤信介監督作品。

タクシーが停まり、降りて来た、中学生の息子、剛史(福崎那由他)がね?あれじゃない…と新築マンションを指すと、一緒に降りて来た高校生の娘、麻理(三吉彩花)もすごいじゃん、格好良いじゃんと喜ぶが、それじゃないわよ、あっちよ、あっちと別な方を指差したのは母親の万理江(濱田マリ)だった。

そこにあったのは、一番奥まった所にある一戸建て住宅で、こんなの?と麻理は驚き、剛史もちっさ!と呟く。

何でこんな億待った家買ったのよ!と万里江がぼやくと、一戸建てだぞ、庭もあるし…と父、犬屋敷壱郎(木梨憲武)は自慢する。

引越が一段落付いたので、昼の用意してあると犬屋敷が寿司のパックを4つ冷蔵庫から取り出していると、ロイホあったわよねと麻理が言い出し、万里江と剛史と一緒にさっさと外出してしまう。

1人家に残った犬屋敷は、小さな庭を見ながら1人寿司を食べる。 タイトル

翌日、満員電車に揉まれ会社に出社した犬屋敷は、自分より若い上司から、スポーツドリンクの在庫伝票の報告を4度も間違ったことを怒鳴られる。

みんなちゃんとやっているのに、あんたが1人で足を引っ張っているんじゃないの?と言われ、ただただ、すみませんと謝る犬屋敷。

夜、帰宅途中の犬屋敷は、オヤジ狩りの現場に通りかかり、思わず方向転換して逃げようとしたとき、麻理が立っているのに気付く。

今、警察に連絡しようとしていたんだと犬屋敷は言い訳するが、無理しなくて良いよ、別に強い父親なんて期待してないからと麻理から言われてしまう。

帰宅して、1人ぼんやり庭先を見ていた犬屋敷は、どこからか犬が迷い込んで来たので、どうしたお前?どっから迷い込んだんだ?と語りかけ、首輪に結ばれていた紙縒りを取って広げると、花子ですと書かれていたので、可哀想に捨てられたんだね、よしよし!と可愛がろうとするが、どうしたの、その犬?と万里江が声を駆けて来たので、今日からうちの家族だと犬屋敷が言うと、捨てて来て!と冷たく言い放った万里江は犬屋敷に届いた封筒を渡して行く。

それは健康診断の結果で、「再検査 C」と書かれてあった。 大和台中央病院に出向いた犬屋敷は、ガンでステージ4、全身に転移しています、来週、ご家族を呼んでいただけますかと医者から言われる。

がっかりして帰りかけた犬屋敷は、廊下に出た所で形態を忘れて来たことに気付き診察室に戻ると、医者と看護婦が、もって3ヶ月だねなどと話合っている会話を聞いてしまう。

家族に電話してみることにした犬屋敷だったが、スーパーのレジのバイトをしていた万里江も高校に行っていた麻理も、級友にかつあげされ、500円しか持ってないのか?小遣い値上げしてもらい、月末まで1万持って来いと言われている最中で、誰も電話に出ようとしなかった。

夜、自宅で家族と会った犬屋敷だったが、来週授業参観でしょう?などと万里江が麻理に聞いていた時、犬屋敷は病気のことを切り出そうとするが、何を勘違いしたのか、お父さん、絶対来ないで!洗濯物も一緒に洗わないで!と麻理が言って来たので、下着は自分で洗うようにしているよと犬屋敷が答えると、他のも全部よ!と言い放つ。

万里江も、犬、まだいるじゃない!今、捨てて来て!と叱る。

やむなく、花子を連れ公園に向かった犬屋敷は、ちゃんと話せばみんな泣くのかな?などと花子に話しかけ、公園に来ると、首輪の綱を外して自分だけ公園への階段を登って行こうとするが、花子が付いて来るので、来ないで!と言いながら犬屋敷は公園に逃げる。

それでも先回りした花子がいたので、犬屋敷は抱いて泣き出す。

その時、側に見慣れない高校生がしょんぼりいることに犬屋敷は気付く。

その時、犬屋敷とその高校生獅子神皓(佐藤健)は、目の前の上空に強い光を発見し、唖然と見つめていると、花子が逃げ出す。

次の瞬間、2人は何かに吹き飛ばされる。 強い光の中、何者かのシルエットが蠢く。

片方のレンズが割れた犬屋敷のメガネが落ちていた。

目覚めた犬屋敷は、既に夜が明けており、側に落ちていたメガネのレンズが片方なくなっている事に気付くが、それをかけなくても目がはっきり見えることに気付く。

側には花子がいたので、一緒に自宅に帰り、こっそり中に入ろうとした犬屋敷だったが、ちょっと!朝までどこ行ってたのよ、どうせ駅前で飲んでたんでしょう?速くご飯食べて!と万里江から怒鳴りつけられる。

食卓に着いた犬屋敷だったが、みそ汁を無理に飲んでもまずそうで、このみそ汁味しないんだけど…と言うので、何言ってるの?と剛史に呆れられる。

さらに台所の蛇口から水をがぶ飲みし始めたので、酔ってるの?と万里江が文句を言うと、無性に喉が渇くんだと犬屋敷は答える。

自分の部屋に花子を連れ込み、ベッドに腰掛けた犬屋敷は、もうすぐ死ぬのかな?と落ち込んでいたが、その時、左手から蒸気が出ていることに気付き、慌ててシャツとランニングを脱いで上半身裸になる。

身体の異変を感じた犬屋敷は、花子、怖いよ!と怯えるが、その時、左手の中指の爪がはがれそうになり、その中から何かメカのようなものが見える。

爪は閉まり、左手が銃のように変形すると、壁に向かって何か液体を発射する。

壁のカレンダーにかかった駅には、豆腐、なめこ、ネギが付着していたので、さっき食べたみそ汁を発射したことに気付く。 幻覚を見てるのか?と犬屋敷は呟く。

さらに喉の部分に違和感を感じ、そこを押して見ると、頭が四方に割れ、中には奇妙なメカのようなものが動いていた。

鏡の前に行き、自分の姿を写してみた犬屋敷は、頭が割れ、両腕も奇妙な銃のように変形している姿を見て、僕は機械?と唖然とする。

その時、あなた!犬を部屋に入れたの?何してるの!と万里江が文句をいながらドアを開けて来たので、何も?と答える。

既に元の姿に戻っていた。 そんな犬屋敷に、ゴミ出しといて!と万里江は言いつけて行く。

麻理は高校の教室で、漫画をノートに描いていた。

担任が今度都庁に行きますと発表していた。 同じクラスに獅子神皓がいた。

獅子神はその日、登校拒否をして学校に来ない友人安堂直行(本郷奏多)の家にやって来る。

出て来た母親に、直行(ちょっこう)…とあだ名を言いかけた獅子神は、直行(なおゆき)君います?と言い直し、勉強部屋に入れてもらう。 直行は1人、暗い部屋の中でテレビゲームをしていた。

直行、外行かない?と誘うが、行かないと言うので、買って来たんだけど読まない?と漫画雑誌を取り出すが、興味ない、もう面白いのやってないから…、このゲームももうすぐ終了…と直行は答える。

カーテンを開けベランダに出た獅子神は、直行、良いもの見せてやるよと呼びかけ、直行がベランダに出て来ると、見てろよと言いながら右手の人差し指を銃のように前方に構える。

その時、1羽の鳩が向こうの方を飛んでいたので、それに向かって、バン!と撃つ真似をすると、鳩は銃弾を受けたように羽が四散し、そのまま落ちて行く。

それを見た直行は唖然とし、なんだよ、今の!と聞くが、獅子神は手品…と言うだけだった。

さらに駐車場に直行を連れて来た獅子神は、見てろよと言うと、そこに停まっていた車を自由に動かし、別の車にぶつけ出す。

それを見た直行は怯え、手品なんて嘘だろ?と聞くので、だったらどうする?俺さ、もう人間じゃないんだよねと言いながら、服を脱ぎ上半身裸になる。 スーパーヒーローだと言うと、獅子神は機械に変身してみせる。

マジかよ?マジかよ!と驚いた直行だったが、やがてうれしそうに微笑む。

一方、いつものように満員電車に揺られ会社に向かっていた犬屋敷は、何なんだ、これ?厳格化?何なんだ?と1人悩んでいた。

会社では上司が、スポーツドリンクの返品のことで又叱り、来期のリストラ対象決定だなと嫌みを言って来たので、思わず土下座をした犬屋敷は、定年まで働かして下さい!まだ家のローンが残っているんです!と嘆願するので、それを見た上司は、あんたさ、人間として、恥ずかしいとかないの?と呆れたように聞いて来る。

人間として?と犬屋敷は呟く。

帰宅時、道路に落ちていた鳩の屍骸のようなものを見た犬屋敷は、本当はもう死んでいるのかも…と自分のことを合わせて哀れになり拾ってやると、急に鳩の身体の状況が見えたようになり、見る見るその容体が良くなって鳩は飛び去って行ったので、犬屋敷は唖然とする。

その時、助けて下さい!啓太はまだ10歳なんです!と訴える女性の声が聞こえて来る。

その声に導かれるように病院にやって来た犬屋敷は、このまま一生意識が戻らないで死んで行くなんて!と廊下で医者に訴えている母親の姿を見る。

側の病室のドアを開けて中を覗いてみると、呼吸器をはめベッドに寝かされた子供がいたので、その両頬を包むように手を当ててみると、先ほどの鳩のように、身体の状態がスキャンされて見えたような気がした。

やがて啓太の目が開き、おじさん、誰?と聞いて来たので、良かった…、君は直ったんだよと犬屋敷が答えていると、不審者です、先生、あなた啓太に何をしたの!と言いながら母嫌が入って来るが、ベッドの啓太が起き上がっていたので唖然とする。

駆けつけた医者も、犬屋敷のことよりも啓太の姿を見て、信じられない…と呟く。

そこに、看護婦が数名駆けつけて来たので、それに紛れて犬屋敷は廊下に逃げるが、不審者はどこですか?と看護婦に聞かれた医者は、今までいた犬屋敷が既にいなくなっていることに気付く。

犬屋敷は、僕が救ったんだ!僕が救った!と満足そうに帰って行く。

高校では、第一志望を帝京にしようと思ってるんだけど…などと麻理に話しかけていた級友が、麻理が父親のことを悪く言うので、麻理ってお父さんに厳しくない?と聞いていた。

そこへ、獅子神が直行を連れて教室に入って来る。 直行を見たいじめっ子らが、あれ?安藤君、何故学校に来てるの?又屋上で遊ぼうか?しかとしてるんじゃねえよ!と因縁をつけて来たので、お前らだけで遊んでれば良いんじゃない?と獅子神が声をかける。

あれ?お前ら付き合ってるの?じゃあ、お前も来る?といじめっ子が獅子神に聞くと、だから、お前らだけで遊んでれば良いんじゃねえって言ってるんだよと言いながら獅子神は相手の右手を掴む。

仲間は、てっちゃん、どうした?と驚くが、あまりの力で腕を掴まれたいじめっ子は抵抗できず、獅子神の言う通り、僕たち小蠅はもう近づきません、お金も返しますと復誦する。

手を離した獅子神は、じゃあ、今返せよと迫ると、相手は、今、ありませんといじめっ子は怯えながら答える。

その時、直行が、ヒロ、もう良いよと止めに入ったので、何でこんな奴を庇おうとする訳?と獅子神は納得できないように聞き返す。

その後、教室を出て階段を降りて来た獅子神に声をかけて来たのは、同じクラスの渡辺しおん(二階堂ふみ)だった。

さっき安藤君のこと助けてたのを見ていて…とおずおずと話しかけるしおんが名乗ると、いたね?同じクラスだっけ?と獅子神は、興味なさそうに答える。

獅子神君のこと、ずっと前から好きでした…、ごめんね、迷惑ですよねとしおんが言うので、ありがとう、うれしいよ…と獅子神は答え、その場を去る。

その後、母親の優子(斉藤由貴)に電話をかけた獅子神は、今から帰るからと伝えると、今日、お父さんの所へ行くんでしょう?と優子が言うので、振込で良いんじゃない?と獅子神が答えると、身体の具合も心配してたから…と優子は言う。

女作って出て行った男じゃない!と獅子神が吐き捨てるように言うと、渡し、今日、遅番だからゆっくりして来てと優子は言って来る。

父親の再婚相手に家に行くと、母さんに今月分と父親は獅子神に封筒を渡して来る。

その後、再婚相手との間に生まれた腹違いの妹と弟と会うが、2人は獅子神に懐いていて、遊びたがるので、今日はとことん遊ぶかと獅子神は答える。

その後、立ち上がった獅子神は父親の方に指を銃のように構えて差し出すが、弟はそれを鉄砲ごっこだと思い、自分も撃ち真似をして来る。

どうしたの?と妹は聞いて来るが、父親は、ヒロ、大学どうするんだ?と聞いて来たので、行かないよと獅子神が答えると、金の心配してるのか?と父親は言う。

父さん、母さんが宜しく言ってたと言い残し、獅子神は父親の家を出る。

しかしその帰り道、誕生日、おめでとう!と言う幸せそうな一家団欒の親子の会話が聞こえて来た獅子神は、その幸せ振りが堪らなくなり、突然その家に入り込む。

獅子神の姿に驚いたその家の父親は、何だ、お前は!金が欲しいのか?出て行け!と怒鳴るが、そんな父親に向け、指鉄砲の形でバン!と獅子神が言うと、父親の胸に穴が空く。

病院から帰っていた犬屋敷は、助けて下さい!殺さないで!死にたくないと哀願する女の声が聞こえて来たので、慌てて駆けつけると、その家の廊下に撃たれた女学生の死体が倒れていた。

急いで顔を手で挟んだ犬屋敷だったが、既に死んだものは名乗らないと気づき、居間の方を覗くと、そこには血まみれで死んでいる両親の前に立った獅子神がいた。

君は!と犬屋敷が驚くと、気付いた獅子神が振り向き、バン!と指鉄砲を撃つ。

犬屋敷は廊下にはね飛ばされる。

しばらくして起き上がった犬屋敷が家の前に出ると、空を飛んで行く光が見える。

調布市一家惨殺事件はテレビで報道される。

翌日、直行と銀行前に出向いた獅子神は、スマホに出たネットバンキングの貯金残高の画面を指で触れるだけで金額を数桁増やしてみせたので直行は驚く。

そして、すぐに大金を降ろして来た獅子神が、ほら、やるよ、小遣いだと言うので、もらえないよと直行が拒否すると、友達の行為を受け取れないと言うの?と獅子神は冷たいまなざしで言う。

あのさ、調布の斬殺寺家ってヒロなの?あのさ、僕のこと、殺したりしないよね?と直行が聞くと、何それ?ひでえよな…と獅子神が言うので、ごめんと直行は謝る。 かなり傷ついた…、でもまあ、神様は心広く持たなくちゃね…、俺、神になったんだと獅子神は淡々と言う。

色んな奇跡起こすことが出来る…、直行、お前のことずっと守るから…、警察や自衛隊が着ても勝てるからと獅子神が言うので、無理だよ、平気で人を殺せるとかあり得ないから…と直行はビビる。

すると獅子神は、でもさ、死んだ連中と直行、関係してる?どこかで人が死んだって、哀しくないだろう?それに、殺人罪は人間のことでしょう?俺、人間じゃないし…などと言うので、無理、友達続けるの無理だから…、もう家にも来ないで…と言うと、分かった…、でも、学校はちゃんと行けよと獅子神は言うので、さよならと言い残し、直行は去って行く。

自宅に帰って来た獅子神は、子供時分、両親と3人で写った家族写真を見つめる。

今日、早かったねと家にいた母の優子に話しかけた獅子神は、そう言えば、お父さんの所すき焼きだったよ、良い肉食ってたな…、母さんにも食べさせたかった…と言うと、ヒロはあっちの家族と巧くやって行けそうね、来月からあっちの家で暮らしなさいと優子が言い出したので、何言ってるの?母さん…と獅子神は驚く。

お父さん、大学に行かせてやるって言ってたの…などと言うので、どうしたの?俺は母さんとここで…と獅子神が戸惑うと、母さんね、膵臓にガンがあるの、灰にも転移しててもう手の施しようがないんだって…、ごめんね黙っていて…と優子が打ち明けたので、嫌だ!母さんと言いながら優子に抱きついた獅子神は、何で母さんばっかりこんな目に遭うんだ!母さん、何も悪くないのに…、母さんを決して死なせない!絶対死なせない!と嘆く。

その日、帰宅した犬屋敷は、万里江が剛史を捕まえ、剛史が私の財布からお金を盗もうとしたのよと言い、麻理は今日学校行かなかったんですってと訴えて来る。

その場にいた麻理は、学校とかよりやりたい事があるから…と言うので、まだ漫画描いてるの?と万里江が呆れると、夢があれば良いことじゃないか…と犬屋敷はなだめようとするが、お父さんだって、最近、会社行ってないのよと麻理が突然言い出す。

最近体調が悪いから…と言い訳した犬屋敷だったが、いい加減にしてよ!首にでもなったらローンどうなるの?と万里江がヒステリックになったので、大丈夫、この家は僕が守るよと犬屋敷は答える。

剛史、稼ぎのない父さんで悪かったと言いながら金を渡そうとし、麻理も悔いのないように生きなさいと言い聞かせると、何が家を守るよ!何にも知らないくせに!剛史は同級生からかつあげされているんだよ、そして母さんも投資サギに引っかかったくせに…、この間、泣いて電話してたじゃない!こんな言えをお父さん守れるの?と麻理は責める。

お父さんなんかに何にも守れないよ!お金やったって何にも守れない!私はお父さんみたいにだけはなりたくないの!と麻理が言いたい放題なので、ちょっとあんたも何か言い返しなさいよ!と万里江は何も言い返さない犬屋敷を責める。

様、助けて下さい!と言う声が聞こえて来る。

助けて!このままだと、又友達が人を殺してしまいます! 神様、どうかお願いします!どうか、ヒロを止めて下さいと声をあげていたのは安藤直行だった。

庭の花子の所へやって来た犬屋敷は、僕にも出来る、彼が人を殺す為に使った力で僕は人を救うと言う。

すると、犬屋敷の背中からロケットのようなものが飛び出して来る。

僕にも出来る!花子、良く見ていてくれよと言うと花子を抱き上げ、夜空に向かって飛び上がる。

その音に驚いた麻理が、二階の勉強部屋から窓の外を見ると、光が飛んで行くのが見えたので、あ、流れ星!と喜ぶ。

空を飛ぶ犬屋敷は、花子!凄いぞ!と興奮気味だった。

いつかの公園にいた直行は、僕はどうしたら…、助けて下さいと神に祈っていたが、その時、背後に降りて来たのが、花子を連れた犬屋敷だった。

あの晩、彼もそのベンチに座っていた…、僕たちは同じ光りに包まれたんだ…と犬屋敷は話しかける。

すると直行は、僕が思うに、ここで何かの物体が衝突した…、そして誰かがロボットにして蘇らせた…、未知の知的生命体か何かが…と言うので、やっぱり僕は死んだとか…と犬屋敷は恐れていたことを打ち明ける。

直行が答えないので、良いんだよ、これまで生きていると言う実感がなかった…、でも居間は、人を救っていることで生きているって言う実感があると犬屋敷が言うと、ヒロも本当は優しかったんです…、小さい頃飼っていた犬が保健所に連れて行かれる時泣いたりしててんと言うので、彼も犬が好きなのかてんと犬屋敷は呟く。

彼と同じ身体なら弱点とか知らないですか?と聞かれた犬屋敷は、弱点と言ってもみそ汁くらいしか…、みそ汁飲んだら吐いたんだと教える。

あなたの身体が同じなら、ヒロの身体で出来た機能は教えますと直行は言い出す。 翌日、人気のない場所で、犬屋敷の指鉄砲の練習を始める。

コーヒーの空き缶を的に、指を銃のように突き出して版!と言ってみた犬屋敷だったが、一向に缶は動かない。

側で見ていた直行がもっと本気で!と指導して行くうちに、缶が動くようになる。

僕にも出来た!と犬屋敷が喜ぶと、まだまだですよと直行は叱る。

その頃、獅子神と共に病院で検査結果を聞きに来た優子は、何と申し上げて良いやら…とレントゲン写真を前にした医者がためらうので、もう長くありませんか?と裕子が聞くと、ガンが見当たりません、全て消えていたんですと医者が戸惑ったように言うので、えっ?と驚く。

膵臓の所に会った影が映ってないのですと医者は言う。

病院からの帰り道、何か狐に摘まれたような気分と優子が言うので、ねえ、海外で暮らしてみようよ、前から海外で暮らしてみたいって言ってたじゃないと獅子神が勧めると、優しいのねヒロ…と優子は感謝し、気持だけ受け取っとく…と言うので、俺が絶対母さんを幸せにするから!と獅子神は約束する。

その時、見知らぬ男たちが取り巻き、獅子神皓君ですよね?と声をかけて来る。

調布の惨殺事件を捜査していた萩原刑事(伊勢谷友介)らだった。 署までご同行くださいと言われた獅子神に、優子は、この子が何か?と驚くが、次の瞬間、脱兎のごとく獅子神は走り出す。

銃を構えその前に立ちはだかった刑事を、獅子神は指鉄砲で射殺して逃げる。

射撃許可を出した萩原刑事は、自らも逃げる獅子神を撃つが、獅子神が平気なので、当たったはずだぞと驚く。

次の瞬間、獅子神は背中からロケットを出して空へ飛び去る。

麻理のクラスでは、明日の都庁見学は3時に集合!と担任が言っていたが、その時、スマホでテレビニュースを見ていた生徒たちが、獅子神がニュースになっていると騒ぎ出す。

警察官3人を射殺した獅子神皓18歳が逃走中であると、実名と写真を公開し呼びかけていた。

高校には姿を見せておらず…と電光ニュースでも流れる。

1人、人気のない場所に立っていた獅子神に、獅子神君?まさかこんな所で会えるなんて…と声をかけて来たのは渡辺しおんだった。

しおんのアパートは祖母との2人暮らしだった。

菓子を勧めた老婆に良いですと獅子神が遠慮すると、ごめんね、テレビも壊れていて…と言って老婆は自分の部屋に戻る。

私とおばあちゃんだけだから、好きなだけいて良いからねとしおんが言うので、両親は?と獅子神が聞くと、いないよ、2人とも病気で死んじゃったから、だから私も長生きできないねなどとしおんは言う。

一方、指鉄砲の練習をしていた犬屋敷はのどの渇きを覚えて自社のスポーツドリンクを飲む。

次はあなたの力で、無人の車を動かす…、どうかしたんですか?と練習を説明しかけた直行だったが、ちょっと様子がおかしくなった犬屋敷の右手が銃になりそこから噴射した水をまともに食らってしまう。

みそ汁の時と同じ症状だ…と犬屋敷が打ち明けると、塩分に弱いのかも…、スポーツドリンクには塩分が入っているからな…と、直行はペットボトルに貼られていた成分表を見る。

友人と帰宅途中だった麻理は、父親と直行が一緒にいる姿を見かけ、用事を思い出したと言って級友と別れると、1人でいた直行を捕まえ、あのさ、安藤君、何でオヤジと会ってる訳?と聞く。

直行は、オンラインゲームで知り合ったんだと答え早々に逃げ去る。

家では、テレビで、獅子神の母優子が記者から囲まれているのが映っていた。

家の息子が、人として行けないことをしてしまい、どうやって責任を取ったら良いのか?と言って詫びていた。

その電波を自動的に感じた獅子神も、母さん、ごめん…と言いながら泣いていた。

テレビを見たねとでは、ボロアパート見た?などと浮かれた書き込みが続いていた。

そうした中、優子が部屋で自殺を図り、死亡が確認されたとの生放送が流れる。

獅子神、ざま〜!マスコミさんに住所通報した俺の手柄!などと心ない書き込みがネットに溢れる。

そんな中、>>153 お前を殺すと言う書き込みがアップされたので、えっ?まじ?本人来た〜!神降臨、殺してみろ、バ〜カ!返り討ちにしてやるなどと掲示板は一気に盛り上がる。

掲示板を見ていたネラーは、いきなりモニターに獅子神の姿が写ったので驚く。 お前?母さんの情報警察に送ったの?そんな事して、お前に何の得があるんだよと呼びかける獅子神は泣いていた。

菓子を食っていたネラーはそんな獅子神を嘲るが、獅子神は指鉄砲でバン!と言うと、そのネラーの身体に風穴が開く。

さらに数発打ち込んだ獅子神は、掲示板に、ここにいる奴全員殺す!と書き込むと、アパートの前にいたマスコミ陣もスマホを通じ狙い撃ちして行く。

夜、アパートのシンクで水を飲んでいた獅子神に気付いたしおんが、眠れないの?速く犯人捕まれば良いのにね…と話しかけると、あれ?言ってなかったっけ?犯人俺だよと獅子神はあっさり教える。

嘘よ!信じない!としおんが言うと、俺が人間に見える?と獅子神が聞くので、見えるよ、人間にしか見えないよと答えると、これでも人間に見える?と言い、獅子神は左手を銃に変形させてみせる。

おい、ちゃんと見ろ!と言い、ベランダにしおんを連れ出した獅子神は、これから全世界が俺の敵だ!と言うので、嫌だ、置いて行かないで!としおんがすがると、お前、俺が怖くないの?と獅子神は聞き、しおんを抱いて空に飛び立つ。

しおんが答えないと、分かった…、ずっと一緒にいてやるよと獅子神が答えると、でも、死んじゃった人達にも夢とかあったんじゃないのかなとしおんは疑問を口にする。 東京の夜景を眼下に飛び続ける獅子神としおん。

自分の身体を掴んでいる獅子神の手を触れたしおんに、手が温かいなと獅子神が言うと、獅子神君も温かいんだねと答える。

しおん…、ずっと大事にするから…と言い、獅子神はしおんを抱きしめる。

テレビでは、26名死亡、5人重傷、生存者たちはスマホやパソコンを通じて獅子神に撃たれたと言っている、調布の松原一家惨殺事件も獅子神の仕業ではないかと言われていますと言うニュースが流れていた。

これじゃ、スマホを持っている者は全て殺される!ヒロを探しましょうと直行が自宅にいた犬屋敷に話しかけると、引っかからないんだと言うので、ブロックしているんでしょうか?と直行は推測する。

独り言を言っているような犬屋敷に気付いた麻理が、誰と話しているの?お父さん、オンラインゲームとかするの?と聞いて来たので、しないと答えると、何で安藤君と会ってるの?私のこと聞いていた訳?誰と何を話したの?秘密の隠し事とかある訳?としつこく聞いて来るので、ちょっと出掛けて来ると言い残し、犬屋敷は出て行こうとするので、ちょっと!と麻理は呼びかける。

アパートに戻って来て寝た獅子神の寝顔を見ていたしおんは、やっぱ人間にしか見えない…と呟き、シンクで水を飲みかけるが、その時人の気配に気付き振り向くと、複数の人間が部屋に入り込んでいた。

獅子神が、逃げてしおん!と言いながら覆い被さって来た中、侵入していた狙撃部隊は一斉射撃して来る。

獅子神も指鉄砲で反撃する。 しおんのアパートの周辺は萩原刑事らに包囲されており、終わったのか?報告しろ!と外で待機していた狙撃部隊が無線で侵入組に呼びかけていた。

しかし、アパート内では、狙撃部隊もしおんの祖母も、そしてしおんも既に事切れていた。

それに気付いた獅子神は、しおん!しおん!何で!と絶叫し、窓から外に飛んで行ったので、何だ、今のは?と警察部隊はあっけにとられる。

テレビでは土方警視高官(石丸謙二郎)が、都民の安全を脅かす今回の事件は絶対に阻止します、今回の事件は警察に対する挑戦だと思いますと宣言していた。

ネットでは、もっと殺せよ、獅子神などと無責任な書き込みが続く。

それを察知した獅子神は、安心しろよ、この国の人間全員殺してやるよと呟く。

その日の朝、犬屋敷は出掛けようとする家族たちに、今日は危険だから、ケイタイもスマホを使うな、家族を守りたいんだと訴えるが、今までお父さんが家族を守ってれたことなんて一回もないじゃないと麻理は言い、剛史も万里江も犬屋敷を無視して出掛けて行く。

その後、都庁の展望台にやって来た麻理は級友たちと合流し、ニュース見た?獅子神君やばいよね、今日は休みだと思ったんだけど…などとはしゃぎ始める。

その直後、新宿の巨大モニターに獅子神の姿が写り、獅子神皓ですと名乗ったので、それに気付いた通行人たちが一斉に画面の下に集まり出す。

先に殺したのは警察の方です、警察に俺は報復します、この国がある限り、俺は追われ続けます、これは日本と僕との戦争です、1人もいなくなるまで殺すからと宣言すると、画面に向かって指鉄砲を差し出し、次々に撃ち出す。

すると、画面を見ていた野次馬が次々と倒れて行く。

直行は、出会った犬屋敷の様子がおかしいので、どうしたんですか?と聞くと、助けを求めている…、もの凄い数の人が…、行かなきゃ…と言い出したので、犬屋敷さん、これを!と言い、直行は水のペットボトルを差し出す。

テレビでは、新宿で乱射事件が起きているとのニュースが始まる。

「サタデーワイドショー」のMC正木(生瀬勝久)が事件を報道中、獅子神本人から電話が入ったと言うので、電話を受け取り、君、自分が何をしてるか分かってるの?そんな事していたら…と説教しかけた直後、頭を撃たれて倒れる。

新宿駅周辺で無差別殺戮が行なわれています!慌てないで、ケイタイやスマホの電源をオフにして下さいと、犬屋敷の左掌に付いたカメラに向い直行が呼びかける中、展望台にいた高校生たちも一斉にスマホの電源を切り始める。

家にいても撃たれます!これ以上、ヒロに殺させないで下さい!と呼びかける声を聞いた麻理は、安藤君…と気づく。

この通信に気付いた獅子神は、やっぱりもう1人いたんだな…、そいつとつるんでいるんだな…、ムダだよ直行…とビルの屋上で呟くと、何かを呼び寄せる。 それは複数のミサイルのようなもので、あちこちの高層ビルに命中し爆発する。

あそこだ!と獅子神の位置を飛んでいた犬屋敷は察知する。

展望台では担任が、非常階段へ行け!と呼びかけていた。

麻理は展望台から新宿の様子に目をやると、何かが飛んで来たように見えたので、人?と呟く。 その直後、都庁の上部も爆発する。

もう止めるんだと屋上に降り立った犬屋敷が呼びかけると、あんたあの時の…、殺したと思ってた…と獅子神は、調布一家斬殺現場で会った犬屋敷のことを思い出す。

あんたがもう1人の…、直行を巻き込んで何で邪魔するの?と獅子神が聞くので、僕は君の仲間だ、こんな身体になって怖くて仕方がない、でもこんな身体になったのにも何か理由があるはずだ、この国を滅ぼすなんて止めてくれと犬屋敷は声をかける。

何人か救ったくらいで神様気取り?そんな嘘っぱちの力では本当の憎しみには勝てない!と獅子神は怒鳴って来るが、犬屋敷が指鉄砲で撃つと吹き飛ばされたので、爺!と叫んだ獅子神は飛び立った犬屋敷の後を追って飛んで来る。

天上が崩れた展望台では、瓦礫の下敷きになった級友たちと同じように麻理が倒れていた。

助けて!と呼びかける麻理に声を聞いた犬屋敷は、飛びながら、麻理!どこにいる!と探すが見つからない。

そこに獅子神が飛びかかって来て、地面に叩き付けられそうになるが、何とか又空中へ飛び出す。

麻理!と夢中で飛んでいた犬屋敷は、誰か助けて…と呼びかける麻理の声を再確認、そこか!と気付く。

しかし、獅子神が撃って来るので、大ガード上を走る電車を貫いて東新宿の方へ抜ける。

住友三角ビルのガラス面にへばりついた犬屋敷だったが、その頭上はるか上に、獅子神は水平に立っていた。

その様子をヘリから中継していたテレビクルーがいたが、そのヘリに戦っていた犬屋敷は飛び込んでしまい、カメラマンが落ちかけたので、慌てて手を掴んでヘリに持ち上げようとする犬屋敷。

しかし獅子神もヘリに乗り込んで来て操縦士を撃ち殺したので、ヘリはきりもみ状態で落下し始める。

犬屋敷はカメラマンを抱えて、近くのビルの屋上に着地、ヘリは高層ビルに激突炎上する。

助けられたカメラマンは犬屋敷にカメラを向け、お前ら何人で、仲間はどこにいると聞いて来るが、その背後に降り立った獅子神が後頭部を撃ち抜く。

もう人を殺すのは止めてくれ!と犬屋敷が頼むと、あんたさ、何で人間側に付いてるの?人間が何か良い事してくれた?と獅子神が聞いて来たので、家族がいると答えると、その家族が何かあんたにしてくれた?と言うので言葉に詰まってしまう。

獅子神が自分のペットボトルの水を飲もうとしたとき、犬屋敷は指鉄砲でそのペットボトルを破壊する。

怒った獅子神が飛びついて来た時、転んだ犬屋敷の身体から水のペットボトルが転がり落ちる。

それを拾い上げて線を抜いた獅子神は、諦めろよ、この世界にはもう俺たちの生きる場所はないんだと言いながら水を飲むと、空へ飛び立った犬屋敷をさらに追って来てミサイル攻撃をして来る。

2人は大気圏外まで飛び上がるが、つかみ掛かって殴り掛かって来た獅子神の左腕からは水が出て来るだけだった。

隊長に異変を感じた獅子神は、さっき飲んだ犬屋敷のペットボトルのパッケージを剥がすと、その下に犬屋敷の会社が扱っているスポーツ飲料のパッケージが下から出て来る。

はめたのか?と真相に気付いた獅子神は、俺が悪役か…?爺がヒーロー…と言いながら落下して行く。

そこに犬屋敷がミサイルの集中攻撃をする。

獅子神は地上に落下し爆発する。 直行は公衆電話から、犬屋敷さん!大丈夫ですか?と呼びかけて来る。

僕は大丈夫だよ、君の友達は爆発した…と犬屋敷が答えると、もうあいつはヒロじゃなくなっていたんです…と哀しげに直行は言う。

展望台の崩落現場に駆けつけた犬屋敷は麻理を見つけ近づくが、麻理は既に答えない。

顔に手を当て、息をしてくれ!と呼びかけ、人工呼吸も施してみるが生き返る気配はない、諦めかけたその時、麻理がちょっと息をしたようなので、又顔に手を当てると、お父さん…と目を開けた麻理が気付く。

どうしてお父さんが?と聞いて来谷で、大丈夫だよと優しく声をかけると、怖かった…と言い、麻理は泣き出す。

良かった…と言いながら麻理を抱きしめたその時、犬屋敷は何者かに吹き飛ばされる。

そこには死んだと思っていた獅子神が立っていた。

獅子神は展望台で倒れていた生徒たちを指鉄砲で撃って行く。

そして麻理にも指を向けたので、犬屋敷は懸命に止めようとするが、一瞬遅く、麻理は撃たれてしまう。

麻理!と犬屋敷が絶叫すると、殴り掛かって来た獅子神は、まさかあんたのオヤジだったとはね…と苦笑しながら麻理にとどめを刺そうとする。

犬屋敷がその右手に飛びついて来たので殴りつけた獅子神は、倒れた犬屋敷の足首を掴んで振り回す。

床に落ちた犬屋敷の頭部が割れて、中のメカが見えたので、麻理は唖然とする。

それに気付いた獅子神は、君のお父さんはもう人間じゃありませんとからかう。

犬屋敷は無言のまま自分で外れた顔の部分を元に戻す。

獅子神は落ちていた鉄骨を抱え上げると、麻理の見守る中、それで犬屋敷の頭を何度も押しつぶそうとするので、麻理は思わず、お父さん!と呼びかけ、手を延ばそうとする。

犬屋敷も懸命に手を延ばし、麻理の指先に触れようとするが、その犬屋敷の手を蹴り飛ばした獅子神は、寒いよ、そう云うの…とからかう。 そして胸から血を流し倒れていた麻理を引きずって窓の所に来た獅子神は、あんたも味わうと良いよ、俺と同じ憎しみを…、あんたは誰も救えない…、家族さえも…と言うと、麻理の首を掴んで窓の外へ突き出す。

犬屋敷が麻理!と呼びかけると、麻理も、お父さん!と呼び返して来るので、止めてくれ!お願いだ!止めてくれ!と倒れたまま哀願する犬屋敷。 しかし獅子神は、ダメでしょう、普通…と言い、手を離して麻理を落下させる。

犬屋敷の頭が割れ、飛びかかって行ったので、獅子神もジャンプし立ち向かおうとする。

獅子神のパンチは犬屋敷の顔面を取られるが破壊してしまう。

逆に、犬屋敷のパンチは獅子神の腹部を破壊してしまう。

背中のジェットで外に飛び出した犬屋敷は、地上に墜落寸前だった麻理を抱きとめ、無事地上に着地する。

麻理!と呼びかけながら抱きしめると、お父さん!と麻理も呼びかけて来たので、もう大丈夫だと声をかけた犬屋敷は、お父さんって…と聞きかけた麻理に、その話は後でしよう…と言い聞かせ、助けなきゃ行けない人がたくさんいるんだと言うと、飛び立って行く。

土方警視総監はテレビで事件発生1週間の今日、被疑者の死体が見つかったので事件は集結したと報告していたが、実際は獅子神の死体は見つかっておらず、未知の金属が散乱していただけだったのだが、それは萩原刑事たちによって報告されず、公表されなかった。

報告しても笑われるだけだとの配慮からだった。

今世紀最悪の事件が終了したとのテレビニュースが流れる中、犬屋敷は、いつものように調色の席でみそ汁も飲めずただ同席していた。

万里江は、私、今日から早出なの、ローン返せないから…とぼやく。

負傷者の中には年配者の姿を見たと言う証言があり、奇跡の男が獅子神を倒したのでしょうか?真のヒーローはどこにいるのでしょうか?とテレビキャスターは言っていた。

麻理は何事もなかったように朝食を食べながら、ちらりと父親の方に目をやるだけだった。

エンドロール

自宅の部屋に戻って来た直行は、そこに獅子神がいるのに気付き凍り付く。

これ買って来たけど、読まない?面白いの始まったぞ…と話しかけて来た獅子神は、怖いのか?と聞く。

怖いけど、うれしい…と言いながら漫画雑誌を受け取った直行は、ヒロ、生きていたんだね、新しいゲームあるんだけど、やる?と言いながらパソコンの方へ向かう。

直行、お前変らないな…と獅子神が言うので、だって、友達だろう?とにかく凄いゲームなんだ、ヒロも絶対ハマると思う…と答えながら、ゲームを立ち上げた直行が、あったよと言って振り向くと、もうそこには誰もおらず、硝子戸が開いているだけだった。
 


 

 

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