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東京喰種 トーキョーグール

人気マンガの実写化らしいが原作は知らない。

事前の宣伝などを見る限り、吸血鬼ものみたいな感じかな?と思い込み、やや鑑賞をためらっていたが、実際に見てみると、往年の東宝特撮「変身人間もの」とかモンスター対決ものに近く、非常に好みのジャンルだった事が分かった。

後から考えると不自然な部分も思い出さないではないが、全体として出来はなかなか良いと感じた。

子供が好きそうな「銀魂」などに比べると全体のトーンが暗く、かなりマニア向けの展開になっているためか興行的には伸びなかったようだが、この手のジャンルが好きな物には堪らないのではないだろうか。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2017年、「東京喰種」製作委員会、石田スイ原作、楠野一郎脚本、萩原健太郎監督作品。

人の姿をしながら人を喰らう、怪人“喰種(グール)”に対抗するため、政府では喰種対策局(CCG)を組織した。

しかし喰種(グール)は駆逐される事なく、東京の闇に隠れた…(と言うようなナレーション) カネキこと金木研(窪田正孝)は、友人で大学の同級生でもあるヒデこと永近英良(小笠原海)とレストランで軽食を食べようとしていたが、カネキはずっと小説を読んでばかりなので、活字が苦手なヒデは、人と見分けがつかないと言われるグールは案外近くにいるかもななどと一方的に話しかけ、突然、わっ!と大声を上げてカネキを脅かしたりする。

そんなヒデがドアの方を見て、来た!今日こそデートだろう?と囁きかけるが、まだカネキが本から目を離そうとしなかったので、こんな本ばかり読んで来るからダメなんだよ!と言いながら本を奪い取ろうとしたので、本が床に落ちてしまう。

その本に気付いたのか、面白いですよね、高槻泉…と作者名を指摘して来たのは、カネキが以前から憧れていた美女神代利世(リゼ)(蒼井優)だった。

帰宅したカネキはまた机に座って本を読んでいたが、壁に貼った予定表には「リゼさんとデート」の文字がしっかり書かれていた。

デート当日、リゼと同席したカネキは、ついつい高槻泉の話ばかりしてしまい、ふと我に返ると恥ずかしがる。

しかしリゼは穏やかに微笑み、もっとお話しして…、カネキさんの事もっと知りたいから…などと話して来るので、興奮したカネキはついスパゲティを頬張るが、口の端にミートソースの肉の断片が付いている事をリゼに教えられ、カネキさんって面白い方ねと笑われる。

そんなリゼの方は注文したサンドイッチに手をつけていないので、食べないんですか?とカネキが聞くと、最近食べ過ぎてて…とリゼは答える。

そんなレストランの外を通りかかった2人の女性は、リザって最近何も食べてないよねなどと噂していたが、その内の1人霧嶋薫香(トーカ)(清水富美加)は、レストランに座っているリザの姿を見て驚く。

夜になり、カネキは人気のない公園をリゼと2人きりで歩いていた。

リゼは静かに散歩するのが好きなんです…と言うと、カネキさん…、私気付いてたんです、あなたがいつも私を見ているの…、私もあなたを見てたの…と打ち明けながら抱きついて来る。

カネキは感激し、自分も相手を抱こうと背中に手を回しかけるが、次の瞬間、リゼはカネキの左肩を噛み付いて来る。 あ~あ~…、美味しいと肉片を食べながら呟いたリゼの目は赤く変化していた。

突然の事に動揺し、這いずって逃げようとするカネキに、私高槻泉の「クロヤギの卵」と言う作品が好きなの。

獲物の臓物を全部引きづり出す所が特に…などと言いながらカネキに迫って来る。

本物のグールは初めて?とからかうように聞いて来たリゼの爪は長く伸び、背中からは触手のような物が伸び出していた。

恐怖に駆られ這って逃げようとしたカネキは、誰か、助けて!と呼びかけるが、背中から腹にかけてリゼの背中の触手を貫かれてしまう。

そしてリザに引き寄せられたカネキはもはや瀕死の状態だったが、ダメ、死んだら味が落ちる点、頑張って!もったいないと言いながら顔を嘗めて来る。

カネキは涙を流していたが、その時、頭上にクレーンで吊られていた工事用建材がいきなり落下して来たのに気付く。 工事用建材はリザの身体の真上に落ち、瞬時に押しつぶしてしまう。

タイトル

(回想)研、まだ起きてたの?と母親が幼かったカネキに聞くと、この漢字、何て読むの?と少年カネキは本を持って来て聞く。

その本を手に取った母親が、難しい本、読んでるのねと驚くと、父さんがいつも読んでいたからと少年カネキは答える。

父の葬儀の記憶 過労死だったらしいと弔問客たちがひそひそ話をしている。

(回想明け)カネキは病院のベッドの上で目覚める。

そんなカネキの顔を覗き込んで来た医者嘉納明(岩松了)が、大丈夫…、全て巧く行くよと優しく語りかけて来る。

しかし、カネキは出された病院食が全く食べられなかった。

TVでは、被害者の女性の意志を確認したのですか?と医者が質問されていた。

手を握りしめていた遺体から指輪を抜き取ろうとした男は、どうしても手が離れないので、石でその手の指を砕き、1本だけ引きちぎると、そこにはまっていた結婚指輪を抜き取る。

それを見た真戸呉(大泉洋)は、我々は運が良いのかもしれん…と、同僚の亜門鋼太朗(鈴木伸之)に囁きかける。

20区に流れ着いたものと思われますが、彼には妻がいるのでは?と亜門が指摘すると、妻と言うより「つがい」だろう?と真戸が訂正する。

696番の周囲を調べましたが手がかりになりそうなのは、シャツに付着していた繊維だけですと亜門が真戸に伝える。 そんな2人にCCG20区担当捜査官草場一平(前野朋哉)が挨拶して来る。

すると真戸は、自分が食べかけていたドーナツを差し出し、君はこれと愛し合えるか?と問いかけて来る。

退院し、大学に戻って来たカネキに、東洋文学史のノートを私はヒデは、一緒に馴染みのレストランに刺そうと、一緒にハンバーグを食べ始めるが、カネキはハンバーグを口に入れた瞬間、額から汗を出し苦しそうにテーブル上に吐き出してしまったので、ヒデは驚く。

TVでは、グール評論家なる人物が、グールが人間と同じ食事が出来ない理由として、舌の作りが全く違うからと解説していた。

自宅アパートに帰って来たカネキは、冷蔵庫に入れていた食べ物をいちいち口に入れてみたが、どれとして食べられる物はなく、ひたすら床にのたうち回り空腹に苦しむ。

そんなカネキの背後から手を伸ばし、彼の頭を掴んで来たのはリゼだった。 赤い目のリゼは不気味に笑いカネキの眼球を嘗めてくる。

天井に写った彼女のシルエットは巨大なゴキブリのようだった。

次の瞬間、それはカネキの幻影だった事が分かる。 鏡に顔を映したカネキは、自分の左目も赤く変化している事に気付く。

空腹に耐えかね、目を隠すためフードをかぶり歌舞伎町にやって来たカネキは通り過ぎる女たちの二の腕が焼けに気になる。

食べれる!食べられる!と呟いたカネキだったが、そんな自分に耐えかねその場から逃げ出すと暗い路地の奥へ逃げ込む。

すると、そこにしゃがみ込んでいた男がカネキの驚いて振り向き、脅かすなよ、腹減ってるのか?と言いながら、今自分が食っていた人間の片腕を差し出して来る。

遠慮するなよ、こいつ、見た目と同じで巧くないけど腹の足しにはなるぜ…とそのグールは話しかけて来るが、次の瞬間、そのグールの首を蹴り付けて落すと、人のテリトリーに入って来るんじゃねえ!と怒鳴ったメガネの男が出現し、カネキに気付くと、こいつの仲間?ここは俺の喰い場だから…、俺、自分のテリトリーに踏み込まれるとすげえむかつくんだ…と睨みつけて来る。

しかしそこにさらに、20区の管理は「あんていく」の仕事よと言いながらいきなり男を回し蹴りにしたのはウエイトレス姿の霧嶋薫香(トーカ)だった。

メガネの男は逃げ出したので、くそメガネ!と罵倒したトーカは、拾い上げた人間の腕を人かじりして、欲しいか?とカネキの方に差し出したので、カネキは思わず首を横に振る。

あんた、確かリゼと一緒だった…、どっちなんだよ?とトーカがうさんくさそうに聞いて来たので、思わずカネキはその場から逃げ出す。

CCG20区本部では、亜門が、あの糸くずから手がかりが得られれば…と真戸とエレベーターの前で話していると、エレベーターから無表情の子供が連れて来られる。

グールに両親を殺されたんです、見ている前で…と亜門が真戸に教える。

そんな亜門に、良く眠れるかね?過去には捕われるべきだよ…、だから我々は強い…とエレベーターに乗り込んだ真戸は亜門に言い聞かせる。

アパートに戻って来たカネキは腹が鳴っていた。

翌日、カネキは思い切って「あんていく」と言う喫茶店に行き、そこにいたトーカに、助けて下さい!と訴える。

しかしトーカは、いい加減にしてよ、お客さん!と無愛想なので、あなたしか頼る人がいないんです!何か食べられる物を!とカネキは必死に訴える。 しかしトーカは、分かってるんだろう?自分で探すしかないんだよ。

あんた、リゼの身体を移植されたんだってね?教えろよ!このケーキ、どんな味がするのか!タルトやチョコレート、メロンも!教えろよ!あんた人間だったんだろう?と高圧的な口調でカネキに迫る。

その様子をカウンター内から見ていた「あんていく」のマスターの芳村功善(村井國夫)が、それくらいにしておきなさい、グール同士は助け合うのがうちの店の方針だよと優しくトーカを諌める。

マスターは「あんていくブレンド」だよと言いながら、コーヒーをカネキの前に出してくれる。

店の中には、母子らしき2人組もテーブル席に座っており、母親が本を読んでいた娘の事をひなみ!と叱っていた。

恐る恐るコーヒーを口にしたカネキは、美味しい!と感激すると、泣くな、馬鹿!とトーカが叱る。

私たちグールは、何故かコーヒーをのむ事は出来る。飢えをごまかせる…、しかしそれもいつか限界あるよ…と芳村は言い、母娘に紙包みを手渡す。

そして、そうだ、君にも渡しておこう…、グールの飢えの苦しみは人とは比べ物にならないよと言い、カウンター席のカネキの前にも同じ紙包みを差し出して来る。

夜、飢えに苦しむカネキは、冷蔵庫の中に入れておいた紙包みを取り出すが、それを開くのを拒み、ガムテープでぐるぐる巻きにしてゴミ箱に捨てようとする。

しかし、さすがに我慢できず、その包みを開いてみると、中には血まみれの肉が入っていた。

その時、突然、入り口の外から、生きてるか?いるんだろう?お〜い!と呼びかけるヒデの声が聞こえて来たので、カネキはうずくまり居留守を使う。

翌朝、そっとドアを開けてみると、ドアノブにレジ袋がぶら下がっていた。

中にはアンパンとメモが入っており、「頼みがあるから大学へ来い ヒデ」と書かれていた。

カネキは人目を避け、外のポリバケツに夕べの紙包みを捨てる。

その頃、亜門が洋品店である洋服の売上を聞いていた。

店員は半年で7着ですねと答え、本当にグールがこれを買ってったんでしょうか?と不安がる。

久々に大学でヒデと会ったカネキは左目を隠すため眼帯をしていたので、何だ?ものもらいって?とヒデは不思議がりながらも、今日はとことん付き合ってもらうと張り切っていた。

ヒデの頼みと言うのは、マジで自分が入ったサークルに入ってくれと言う勧誘だった。

先輩が凄く厳しい人だなどと言いながら、ヒデがカネキを連れて来た部屋のドアを西尾さん!と呼びかけながら開けると、そこには椅子に座った男に股がってセックスしている女の背中が見えたので、ヒデは慌てて閉める。

慌てて服を整えている女の背中越しにこちらに顔を見せた男は、先日、出会ったメガネの男だった。

永近さあ…、俺が嫌いな物知ってるか?と西尾と呼ばれたメガネ男が聞いて来たので、ピーマンとかですか?とヒデが答えると、人のテリトリーに踏み込む奴と、部屋に入る前にノックしないバカ後輩店、ピーマンも嫌いだわと西尾(白石隼也)は答える。

慌てて謝ったヒデは、これお土産っす!コーヒーに合うと思いますと言って差し出したのはたいやきだった。 それを受け取った西尾は巧そうにたいやきを食いながら、そいつは?と聞いてくる。

前に言ってた、カネキですとヒデが紹介すると、薬学部2年西尾錦、宜しく!と西尾は自己紹介して来る。

CCG20区支局でデータ分析をしていた亜門に、隣で作業をしていた草葉が飯食いにいきませんか?と親しげに誘うが、亜門は無視して仕事を続けていた。

永近とはどのくらい付き合ってるの?と西尾が聞いて来たので、小学校から…とヒデが答えるが、そいつに聞いてるんだよ!と西尾が言うので、小2の時、本を読んでいた僕に話しかけて来たんですとカネキが答えると、で、そろそろ良いかって思ったか?と西尾が聞いて来る。

つ〜か、飯に行きません?とヒデが西尾に聞くと、いきなりヒデをテーブルに殴りつけた西尾は、まずそうにたいやきを吐き出すと、つまり、こいつを食うつもりだったんだろう?と聞いて来る。

ヒデは頭を血まみれにして床に倒れていた。 食うのに何年かかってんだよ!そうならそうと言ってくれよ!と言いながら西尾はカネキを蹴って来る。

昔から、食いもんは強いもんが食うと決まってるんだよ!と居丈高に行って来る西尾に、側にあったゴルフクラブで殴り掛かったカネキだったが、クラブが曲がっただけで西尾には何の効き目もない事が分かる。

マジかよ?とからかうように聞いて来た西尾の背後に巨大な尻尾のような触手「赫子(かぐね)」が生える。

あっさり西尾から投げ飛ばされたカネキは部屋から逃げ出そうとするが、お前、もしかして、食いもんと友情を育んだつもり?と西尾が嫌みを言って来たので、ヒデ!と床に倒れたヒデの事を呼ぶと、何なんだよこいつ!気持悪いな…と西尾はバカにして来る。

そしてヒデの耳に触手の先を突っ込んでとどめを刺そうとしたので、怒りに燃えたカネキの背中からも3本の触手が飛び出す。

カネキは西尾にのしかかったので、悪かったって…、一旦落ち着こう…、分かるだろう?と西尾は急に低姿勢になって哀願して来るが、カネキが食いつくと逃げ出そうとして部屋のドアに挟まったので、その背中から触手で貫いたカネキの目の前で西尾は死ぬ。

赫子(かぐね)を引っ込めたカネキは、倒れていたヒデを抱き起こすと、ヒデ!と叫びながら血だらけの顔を舐め回す。 その時、窓の外に自分の方を見て笑っているトーカの姿を見る。

こいつが芳村さんが言っていた奴か?とトーカと一緒に部屋にやって来た男四方蓮示(栁俊太郎)が言う。 本当にうんざりね…とトーカは呟く。

気がついたカネキは、自分が「あんていく」の室内にいる事に気付く。

四方さんに感謝しなさいと芳村が声をかける。

あのくそ錦がいつやり返して来るか分からない…とトーカが言うと、グールが空腹を満たすには食うしかない…と芳村は言い聞かせる。

ヒデは?とカネキが聞くと、病院に運び込んだと四方が教える。

あいつにもう2度と近づかせない!たった1人の友達だから!とカネキが言うと、君はその友達を食べようとしていたんだよと芳村が教える。

分からないんです!僕、一体何なんですか?とカネキが訴えると、人間とグール、2つの世界に居場所を持てる、たった1人の存在なんだ…、ここで学びなさいと芳村は勧める。

CCGでは、この女性だけ、ワンピースのサイズが小さ過ぎますと亜門がデータを見ながら指摘すると、もう1匹いるのかもしれないね、小さなネズミが…と真戸が応じていた。

カネキは「あんていく」で働くことになり、古間円児(浜野謙太)にコーヒーの淹れ方を教わる。

そんな中、客席に座っていた母娘の娘の方が読んでいた本に気付いたカネキが、高槻さん好きなの?と声を掛けるが、娘の笛口雛実(桜田ひより)は無言で逃げ出したので、母親の笛口リョーコ(相田翔子)は、雛実!と叱る。

雛実には友達がいないんです。学校に行かせられないので…、ごちそうさまでしたと詫び、リョーコも席を立っていく。

そんな2人を見送ったカネキが、あの人がグールなんて信じられない…と驚くと、じゃあ僕は?芳村さんやトーカちゃんは?みんなグールに見えた?と古間はカネキに逆に聞いて来る。

あの人も、あの人も、今日ここに来ている一みんなグール…、ここは20区のグールの駆け込み寺なんだ…、私は好きなんだよ、人助けがね…と芳村は言う。

その夜、四方について出かけたカネキは、人気のない草原に来ると、そこには血まみれの死体があったので驚く。

この場所があまり知られていないのは、俺たちが処理しているからだと死体を運びながら四方が言うので、自殺者を食料に!とカネキは気付く。

気付くと、四方は死体に合掌していた。 ある日、「あんていく」にトーカの女子高生友達がやって来たので、どうしたの?とトーカが慌てて聞くと、トーカちゃんのために作って来たの…、食べてみて!と言いながら、女子高生はタッパに入れた肉じゃがを取り出してみせる。

今、営業中だから…と言い訳したトーカだったが、友達が落ち込むのを見て、ごめんね…と言いながら無理矢理芋を食べる。

それを見た友達は、うれしそうに、美味しい?そうでしょう!などと自慢するので、何か隠し味が入っているでしょう?とトーカが聞くと、オイスターソース!お肉も食べてみて!と友達が無理強いして来る。

それを見かねたカネキが、美味しそうだな…、僕も食べたいな…などと口を挟むと、お前にやる訳ないだろう!二階へ行ってコーヒー豆を持って来てとトーカは睨んで来る。

「あんていく」の二階にはいくつも部屋があってホテルのようになっていたので、好奇心からその内の1つのドアを何気なく開けたカネキは、室内のテーブルで皿に盛られた身体の一部を食べていた雛実を見て驚愕し、ドアを慌てて閉めると同時に持っていたコーヒー豆をこぼしてしまう。

そして、気を取り直して、雛実ちゃん!入っても良いかな?とドアの外から声をかけ、そっと開けると、びっくりさせてごめんね、いるとは思わなくて…と謝ると、これ…、やっぱりいけない事だよね…と雛実は哀しげに自分がやっていた行為を恥じるように聞いて来る。

その後、化粧室の前にやってきたカネキは、中から苦しげに吐いているトーカの喘ぎ声が聞こえて来ていたたまれなくなる。 ここ一ヶ月、新しい鳩が飛び回っています、CCG本局からやって来たと思いますと四方が芳村に報告する。

鳩とはCCGの捜査官の事だった。 それを聞いた芳村は、お二人はここで保護しましょうと提案し、念のため、我々がここで監視しましょうと言うと、さもなくば、24区になりますが…と四方が指摘したので、あんな塵捨て場!とホーカが吐き捨てるように言う。

それを聞いていたカネキは、僕にも何か出来る事はありませんか?と声をかける。

ある日、町中にいたカネキは、突然、ホーカから呼びかけられ驚くと、キョドッてるんじゃねえよ!と悪態を月、見知らぬ場所へ連れて行かれる。

火の灯った燭台がたくさんある部屋の中に入ったトーカがウタさん!と呼びかけると、こんにちはトーカさんと挨拶しながら出て来た男ウタ(坂東巳之助)が、カネキの側に寄ると、君、匂い変わってるねと言うので、元人間で…とトーカが説明する。

カネキの背後に回り、カネキの口を塞ぐように手を回したウタは、フルマスクよりハーフの方が良いかな…と呟くと、お腹減ってるんだね、これ食べて…と言いながら、目玉がたくさん盛られたグラスを差し出すが、いいえ…、今は良いですとカネキが断ると、そう?美味しいのに…と言いながら1個目玉をつまんで食べてみせる。

僕は何を?とカネキが意味も分からず尋ねると、今日作るのはグールの顔よとウタは答える。

洋品店の客の防犯ビデオの過去データを調査していた亜門は、1人の客の写真を前に、奴が死んだ時以来姿を見せませんと指摘する。

画像を拡大してみると、結婚指輪をしているのが確認できる。 それを見た真戸は、君も分かるね?我々が動き出して一ヶ月で噂が広まったはず。

奴らは我々を殺しに来るか、この街から逃げるか?問題は逃げられるかだ…と言う。

2体いますと亜門が言うと、奴らはこの街を出る前に、もう一度主を弔う…と真戸は答える。

「あんていく」に戻ったカネキは夜、雛実に、お母さんは疲れているみたいなので、良かったら読もうか?と声をかけ、雛実が読んでいたカフカの本を読んでやる。

その中の文の意味を聞かれたカネキは、目玉焼きを作って食べたいと思ったら、殻を割らないといけないだろう?それと同じで、何かやりたいと思ったら恐れず進めってことじゃないかなと教えると、卵を食べた事ないから…と雛実が言うので、例えが悪かったかな?もう遅いから後は明日にしようか?お休み!とカネキは言い聞かせる。

すると雛実は、お兄ちゃん、もう1つだけお願いがあるの、お父さんの墓行けない?と言い出したので、ダメだよ、鳩が…、グールが死んでもCCGが狙っているから…とカネキは言い聞かせようとする。

それでも雛実は、この街を出る前にせめてこれだけでもお父さんに上げたいの…、お父さんは好きだったの、この店のコーヒーと言い、コーヒー豆を包んだハンカチを広げてみせる。

カネキは、分かった…、じゃあ僕がお供えしてあげる、僕、鳩に顔見られていないから…と応じる。

夜、雛実が書いた地図を参考に父親の墓の場所にやって来たカネキだったが、その墓の近くの草むらに張り込んでいた草場が、しっかりカネキの顔を確認する。

カネキは雛実から預かって来たコーヒー豆の入ったハンカチをとある場所の地面に置くと合掌するが、それを目撃した草場は、亜門に報告の電話を入れる。

その後、現場に駆けつけた亜門は、眼帯?と草場に見た相手の特徴を確認すると、墓の下を掘って下さいと指示するが、草場がためらったので、手を汚す気がないなら本部へ戻っていて下さい、この世界では我々こそが倫理ですと冷たく言い放ち、自ら地面を素手で掘り起こし始めたので、草場も意を決し、Yシャツを腕まくりすると、手伝いますと申し出る。

やがて土の下から木の箱が出て来て、その中には腕時計やグールのマスクが入っていたので、決まりだ!と亜門は喜ぶ。

翌日、本の中も文字を刺し、これ何と読むの?と雛実が聞いて来たので、「驟雨」だよ、急に降り出す雨の事…とカネキは教える。

笛口リョーコは「あんていく」の面々に礼を言い、芳村は、落ち着いたら又コーヒーを飲みに来て下さいと優しく言う。

雛実、又ね!とトーカも声をかけ、手を振って母娘は店を出て行く。

それを見送ったカネキが、24区ってどんな所なんですか?と聞くと、行き先を失ったグールが最後のよりどころにする場所だ…と教えた芳村は、カネキ君、2人にこれをと言いながら2本の傘を差し出す。 外では雨が降り出していたからだった。

その頃、ガード下で雨宿りしていた雛実は、驟雨だね、急に降る雨の事だよと母親のリョーコに教えていた。

お兄ちゃん、物知りだね、いつ蒲田みんなと会えると良いね…とリョーコが言っていると、ちょっとお時間を拝借しますと言いながら、リョーコの背後から夫のグールマスクを差し出したのは真戸だった。

相手の正体に気付いたリョーコは、私と夫は生きるために人を殺めましたが、雛実は見逃して下さい!と訴える。

すると急に拍手し始めた真戸は、良くしゃべるネズミだ…と冷たく言い放つ。 懇願は無駄と悟ったリョーコは、雛実!逃げなさい!お母さんは大丈夫!と言うなり、背中から蝶の羽根のような赫子(かぐね)が出現する。

それを見た真戸は、美しい家族愛だ…、反吐が出ると不愉快そうな顔になる。

お兄ちゃん、止めて!と雛実は訴えるが、真戸は持っていたトランクの中から、リョーコの夫の赫子と思われる鞭のような触手を取り出す。

それを見たリョーコは、止めて!それだけは嫌!と叫ぶが、最後に言い残す事はあるか?と真戸は聞くだけだった。 雛実!いき…と言いかけた良子の首に、真戸が操る夫の赫子が突き刺さる。

逃げる途中振り返って母の最期の姿を見て悲鳴をあげる雛実の口を慌てて押さえたのは、その場に来合わせたカネキだった。

リョーコを倒した真戸は、その悲鳴が聞こえたらしき方向を振り向くが、既にそこに人影はなかった。

それでも真戸はにんまり微笑む。

「あんていく」に雛実を連れ帰って来たカネキは、すみません!僕のせいでこんな事に…と芳村に詫びるが、雛実ちゃんはとりあえずここで預かろうと芳村は沈痛な面持ちで答える。

相手を始末する!とトーカが怒りを露にするが、2人が殺されたら連中はさらに鳩を送り込む、この子を殺すために…と四方が反論する。

それでもトーカの怒りは収まらないようだったので、お前の事は誰が守る?と四方は諌める。

その頃、草場と亜門は蕎麦屋で夕食を食べていた。

残されたのが少女だけなら本局へ戻られても良いのでは?と草場は言うと、もう1人、眼帯がいます、草場さん…、見たのはあなただけなんです、明日から現場回りしてもらいますよと亜門は表情を緩めず答える。

現場ですか…と驚いたような草場は、実はここに配属される前、情報局へ移動しようと思ってたんですと言い出す。

そちらの方が楽ですからねと亜門が答えると、でもお二人を見て、こんなに捜査に情熱を持つ人がいたんだなって…と草場は亜門を褒め、ここのエビ天巧いですよ、きつねが好きなんですか?と聞く。

亜門が早くできるからですと無表情に答えると、そうですよね…、仕事に食事で時間を割いちゃまずいですよねと草場が恥じたので、次は頼んでみます、エビ天…と亜門は気を使って答え直す。

店を出て夜道を歩いていた2人だったが、突然草場が襲撃される。 襲って来たのは、ウサギの面をかぶったグールだった。

しかし、次の瞬間、そのグールを別の赫子が襲う。

亜門君、レッスンの始まりだ…と声をかけて来たのは、グールの身体から奪い取った赫子を武器にした真戸だった。

敵を前にしたら手足をもがれても戦う、それがプロと言う物だよ、亜門君…と真戸は続ける。

その後、遺体安置所に運ばれた草場の遺体袋を前にした母親が、チャックを開き中をのぞき号泣し始めたので、亜門は耐えられない気持になる。

「あんていく」の2階に帰って来たトーカを見たカネキは、トーカちゃん…、まさか…、傷の手当てしないとと言葉をかけるが、関係あると言うなら、奴ら殺して来てよ!出来るの?できねえだろう!とトーカはなじる。

私みたいなグールが殺されるのは良い…、でもリョーコや雛実みたいなグールが一方的に殺されるなんておかしい!とトーカは訴える。

そんなトーカにカネキは、僕はトーカちゃんが死んだら哀しいよと訴える。 その頃、帰宅した亜門はシャワーを浴びながら、失った同僚を思い号泣していた。

トーカの取った行動は、「あんてーく」内で議論になる。 復讐心では何も解決しない…と芳村が言うので、鳩を狙ったと言う事は全ての責任は彼女の覚悟でしたとカネキはトーカを弁護するが、数百、数千の捜査官を相手にしたら「あんてーく」のグールだけでは戦えない…と芳村は言い聞かせる。

捜査官に手を出すのはどれほどの覚悟がいるのか? 僕はルールを知らな過ぎます。

僕はちゃんとこの目で見て、どうするか知りたいんです!とカネキは訴え、トーカちゃん、僕に戦い方を教えて!何にも出来ないのは嫌なんだ!と頼む。

その後、人気のないトンネル内で1人トレーニングをしていたトーカを見つけ出したカネキは、トーカはいきなり蹴って来て、教えて上げても良いけど…と言いながら、カネキの手の中指を反対側に折り曲げる。

私、こう云うやり方しか出来ないから…、私たちグールは、骨折くらいならすぐ治る。だからこのくらいで根を上げないで!と叱りつける。

一方、亜門の方も、こんな世界は間違っている!俺たちが糾すべきだ!と怒りに満ちあふれていた。

トレーニングを続けていたカネキが、背中から触手を繰り出したのを見たトーカは、赫子、やりゃ、出来んじゃん!と褒める。

後日、ウタの屋敷を訪れたカネキは、カネキ君らしく、眼帯にしてみた…、隠している方の目が見たかったから…と言いながら、完成したグールのマスクを披露する。 真戸は亜門に、奴らの嗅覚は鋭い。

餌を撒けば奴らは必ず来る。

運が良ければあのウサギもね…と伝えていた。

君は警戒してくれてん、第3、第4のグールが来ないとも限らないからね… さあ、舞台に上がろうじゃないか、亜門君…と真戸は言う。

その頃、「あんてーく」の二階に保護されていた雛実は、人肉の食事に手をつけようとはしていなかったが、その時、窓の方から何かの匂いを感じる。

そんな雛実にカネキと共にやって来たトーカは、雛実の姿が見えない事と、開け放たれた窓からに追って来る匂いに気付く。

雛実は外を走っていた。

お母さん! そう口走った雛実がたどり着いたのは、母と最後に別れたあのガード下だった。

布に包まれたものが置いてあったので、拾い上げて中を見ると、そこにはリョーコの片腕が入っていたので、母さん!と言いなが抱きしめる。

雛実を探し臭いの場所に向かっていたカネキとトーカだったが、遅い!先に行く!と苛立ったトーカがスピードを増す。

雛実は、真戸がやって来たのに気付きその場を逃げ出す。

亜門君、コネ済みがかかったよと真戸は電話を入れたので、すぐに出ます!と答えた亜門も車で現場に向かう。

雛実は母親の腕を抱えて河原に逃げ込んでいたが、真戸がその後を追って来る。

そんな真戸に針のような物が複数飛んで来る。 赫子を背中に広げたウサギの面をかぶったトーカが出現したのを見た真戸は、良い素材になりそうだ…とうそぶく。

カネキもウタからもらったグールマスクを顔に付けると、接近して来た亜門の車に飛びかかり、車はひっくり返った状態で建物のロビーに突っ込む。

そこにマスクを付けたカネキが入って来る。 亜門もトランクを握りしめ、逆さまになった車の中から出て来る。

カネキのマスクの赤い左目が光ると、亜門もトランクから、巨大な円筒形の肉の固まりのような武器を取り出す。

カネキは行かせる訳にはいかない!と呟く。 河原にいたトーカの赫子からちぎれた破片が針のような状態になって真戸に襲いかかる。

しかし真戸は、雛実の父親の赫子である鞭状の触手でその針を弾き返す。

無人のビルのロビーでも、亜門とカネキの戦いが続いていた。

河原にかかる橋の上にいたトーカは、橋に開いた穴から下を見下ろすと、下の河原に立っていた真戸から攻撃を受ける。

傷ついて河原に落ちたトーカに近づいた真戸は、あいつにそろそろ教えてやった方が良い…と、近くで見ていた雛実のことを伝え、どうだ?見覚えがあるだろう?お母さんだよ…と言いながら新しい赫子を披露する。

それは、蝶の羽根のようなリョーコの赫子だった。

ロビー内では、何故草場さんを殺した!この世界は間違っている!歪めているのは気サマラだ!と亜門が絶叫していた。

あのグールがしたのならきっと間違っていると思う。

でもあなたたちが正しいとも思わない。

もっと知るべきなんだ、みんな!とカネキも言い返し、亜門に飛びついて噛み付く。

河原では、真戸がリョーコの赫子でトーカを捕まえていた。

カネキの方は3本の赫子を背中から出し、亜門を弾き飛ばす。

全く君らは罪深き生き物ですね!と言いながら馬戸はトーカに向かって、鞭状の赫子も振るう。

生きたいと思って何が悪い!こんなに生んで育ててくれたんだ! 人しか食えないんだ!こんな身体でどうやって正しく生きりゃ良いんだよ!と弱り切ったトーカが叫び返すと、貴様らのような化け物が生きたいと思う事が罪なんだ!最後に言いたい事はあるか?と真戸がとどめを刺そうとしたとき、真戸が持っていた鞭状の赫子が飛ばされる。

雛実の背中から、羽根状と鞭状の赫子が生えていた。

それを見た真戸は、素晴らしい!素晴らしいじゃないかと感嘆すると、その場に倒れる。

それを見たトーカは、雛実!とどめを!あんたの両親を殺した犬なのよ!と叫ぶが、雛実は、この人を殺してもお父さんにもお母さんにも会えないよと言うだけだった。

仕方がないので、トーカは自分の背中から赫子を出すと、針を飛ばして真戸のとどめを刺す。

死んだ真戸の指には結婚指輪がはまっていた。

ビルのロビーで戦っていたカネキは、亜門が持っていた肉棒のような赫子で腹を突かれていた。

中に階から組み合ったままロビーの反転した車の上に落下するカネキと亜門。

カネキは亜門の上に覆い被さり、標本のように車の上で赫子を突き刺して笑う。 舌なめずりをしたカネキだったが、仏床に堪った水たまりに写った己の顔を見て愕然とする。

そこに写っていたのは完全な怪物だったからだ。 カネキは自らの手の血を啜りながら、嫌だ!僕は…、僕を人殺しにしないでくれ!と絶叫すると、やがてむせび泣き出す。

あななたちが支配するのがこの世界なら、この世界は間違っている! 背中の赫子が引っ込み、下になっていた亜門の目からもいつしか涙が流れ落ちていた。

その亜門の顔に、上に覆い被さっていたカネキの目から赤い涙が落ちて来る。

気付くと、カネキの姿は消えていた。

河原にいたトーカを抱き起こしていた雛実の側にやって来たカネキは手を差し伸べる。

そして自分もトーカに肩を貸し、3人で帰る。 河原に駆けつけて来た亜門は、倒れていた真戸に気付く。 私、生きてて良いのかな?と雛実は呟く。 真戸の身体を抱き上げた亜門は、人を守ったのに…と言いながら泣き出す。

雛実ちゃん、お母さんが最後に言ったのは「生きて!」だったと思う。僕はそう思う…、帰ろう…とカネキは言い聞かせる。

3人の前に立っていたのは四方で、彼らを見ると黙って頷く。

雛実をおぶった四方と、トーカに肩を貸したカネキはともに帰途につく。

事件があった河原付近の住民には警戒を呼びかけています。

両手がなかった遺体の身元はグール捜査官と思われていますとニュースを報じていたTVをが、入院していたヒデはベッドで見ていた。

雛実は、また読んでくれる?と聞いて来たので、カネキは頷く。 亜門は草場とともに葬られた真戸の墓に花を添えていた。

「あんていく」に戻って来たトーカは、泣くな、馬鹿!とカネキを叱っていた。

カネキは、リョーコがいつも座っていた椅子を見ていたのだった。

そしてカネキは芳村らを見るのだった。
 


 

 

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