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探偵はBARにいる3

東直己原作「探偵はBARにいる」の3作目だが、正直、2作目よりは持ち直した感じで、ユーモアは増えてるし、オーバーで安っぽいアクションは減り、殴り合い程度でおさめている。

プログラムピクチャーとして安定した感じはあるが、後半のエキストラを使った見せ場とか、泣かせの要素など既にマンネリ化してきた感じはあり、1作目のような衝撃感はない。

それでも、探偵と高田を始め、レギュラー陣の魅力は安定しており、安心して見ていられる娯楽映画になっている。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2017年、「探偵はBARにいる3」製作委員会、東直己原作、古沢良太脚本、吉田照幸監督作品。

雪の道を走る「港町市場」の保冷トラック

市場で「ウニイクラ丼」を食べていた諏訪麗子(前田敦子)に、後からやってきた椿が笑顔で声をかける。

その後、麗子を助手席に乗せ走り出した保冷トラックだったが、道を塞ぐように車が停まってたので、起こった椿は、運転席から降り、銃を持って、何やってんだ!開けろ!と止まっていた車の運転席に向かって怒鳴る。

次の瞬間、中から発砲された椿は倒れる。

車から降りてきたフード付きのコーチを着た人物は倒れていた椿にさらに2発銃弾を撃ち込む。

その間、助手席に残っていた麗子はうずくまって震えていたが、コートを着た人物は、助手席は覗き込まず、そのまま後ろの保冷庫を開け、中に詰まっていた毛ガニを手に取る。

お待たせしました!全ての謎が解けました!犯人はあなたです!とクラブ内で探偵(大泉洋)が指差したのは、客の教頭先生(正名僕蔵)だった。

停電してからブレーカーが上がって電気が点くまでの18秒間、被害者は背後から左胸をもみしだかれた!そうですね、ヤンヤンと、探偵は中国人ホステスのヤンヤン(今村美乃)に確認する。

問題は左胸を背後からもみしだくのは左手だと言う事なんですと探偵が指摘すると、共闘はうれしそうに、私は右利きだ!と訴える。

証拠はこれです、教頭先生!と言って探偵が手に取ったのは、おつまみ用としてテーブルに出ていたフライドポテトのケチャップの部分。

暗がりで手を伸ばしているうちにケチャップに手を突っ込んじゃったようなんですよねと探偵が言うと、教頭は慌てて自分の前に置かれていたおしぼりを隠そうとしたので、教頭のおしぼり確保しろ!と探偵は周囲のホステスに命じる。

応酬したおしぼりを広げると指先を拭いたらしいケチャップの痕がはっきり残っていた。

間違いないよ!と探偵に指摘された教頭は思わずその場から逃げ出そうとするが、酷い!と怒りを露にしたヤンヤンを見た探偵は、教頭!こりゃ大変な事になりますよ。

炊飯器買いに来なくなるよ?パンダだって返さないといけなくなるかも知れない…、こりゃ国際問題だ。

彼女への迷惑料、慰謝料、そして私の手数料、合わせて20万で手を打ちましょうと、床に這いつくばった教頭に囁きかけた探偵は、ついでに教えましょう、あれはね、シリコン…と打ち明けたので、教頭は思わず動かしてみた左手を見ながら、くっそ~!と嘆く。

そこに赤いニット帽の青年と一緒にやってきた高田(松田龍平)は、しっかりしてるんだと苦笑する。

「バー ケラー・オーハタ」に帰ってきた探偵は、高田と一緒に付いて来た北大の後輩だと言う赤いニット帽をかぶりウーロンハイを注文した原田誠(前原滉)から、道央女子大学の4年諏訪麗子とあったのは去年で、4日前から連絡が取れないと説明する。

そんな話を聞かされた探偵は、横に座っていた高田に、飽きられたって教えてやれよと小声で囁きかけるが、部屋にも帰ってないんだと高田は教える。

部屋の鍵預かってるんですよと原田は取り出してみせる。 その鍵で麗子の部屋を捜索に出向いた探偵と高田は、部屋中に張り巡らされた「NAKED」と言うアイドルグループのグッズに唖然とする。

原田が止めようとした奥の部屋もグッズだらけで、その中に立った1枚、写真立てに入った原田と麗子の記念写真があったことを探偵は原田に教えからかう。

高そうなものばかりだな…と探偵は麗子の部屋の様子を見て呟く。

その時、高田が部屋の中に残っていた宅配便の住所を見て、実家からだなと見当をつける。

探偵はすぐにその伝票を見て実家に電話を折れると、諏訪さんですか?諏訪麗子さんいらっしゃいますか?と聞くと母親らしき女性が出てきて札幌にいますけど?と怪訝そうに答える。

私、央女の事務局のものですが、まだ授業料5万が振り込まれていないようなのですが…、ゼミの方に確認して又ご連絡しますと適当な事を言って探偵は電話を切る。

部屋にあった通帳を見ると、「ピュア・ハート」と言う所から16万、21万、25万と定期的に振り込まれているのが分かる。

そこへ、これ下の病の奴だろうと言いながら薬袋を持ってきたので、実入りの良いバイトに励んでいたのかな?と探偵は想像する。

そして探偵は原田に、後で俺の口座教えるから振り込んどけ、いくらでも良いよ…と伝える。

部屋を後にし、路面電車に乗った探偵は、安易に引き受けたこの事件でやがて大いに困らせられる事になる…と考える。

電車を降りた探偵に、電話番号教えて下さいと原田が頼むので、携帯落したんだ、俺は大抵ここにいる…と言い、探偵は「ケラー・オオハラ」の名刺を原田に渡す。

俺はこの街のプレイベートアイ…、そう探偵だ。 タバコを吸おうと立ち止まった探偵だったが、道路に禁煙地区のマークを見つけがっかりする。

翌日、原田は、10800円振り込んできた。

喫茶「モンデ」でナポリタンを食べていた探偵からその事を聞いたウエイトレス峰子(安藤玉恵)は、800円って何だろう?と不思議そうに聞いてきたので消費税だろう?と探偵は興味なさそうに答えると気が利くじゃない!と峰子は言う。

日本ハムファイターズの勝ち予想を言い合っていた呼び込みやソープランド「英雄好色」の看板を持っていた源(マギー)に「ピュア・ハート」のことを聞くが、ネットで調べてもモデルクラブみたいなのしか出て来ないんだと麗子の写真を見せて相談した探偵だったが、源は、助手にしろよなどと探偵に頼んで来る。

すると呼び込みの男の子が、スケベ教師とっちめたんだって?あいつ風俗王だろう、裏も…あいつに聞いたら?と言うではないか。

早速教頭に電話して聞くと、「ピュア・ハート」はモデル事務所で、社会的な信用がないと入れないからと言われたので、紹介してくれ、日中問題がどうなっても良いんですか?と探偵は脅す。

結局、教頭からの紹介で無事「ピュア・ハート」に入り込めた探偵は、応対した男(野間口徹)に、バドミントン部の顧問で記録写真などを撮ってたんですけど、誤解を招かないように…などと適当な事を言い、プライベート撮影用のモデルカタログを見せられる。

どこまでOKなんですか?例えばヌードとか?と聞くと、モデルとの交渉次第ですなどと男は言う。

思い切って写真を撮り出し、この子いませんかね?諏訪麗子ちゃんと言うんですよねと探偵は切り出して盛るが、男は無表情にカタログからお願いしますと言うだけだった。

じっくり選んで良いですか?と断り、男を遠ざけた探偵は、トイレお借りします…と小声で言うと、フロアの奥の事務所内に立ち入ろうとする。

そこには「北城」のマークが壁についていたが、どちらへ?そちらはオフィスだけでけど?と背後から声をかけてきた女がいた。

そこに先ほどの男も姿を見せ、モデルお決まりですか?と聞いてきたので、又にします、お腹壊しちゃって…と断り帰ろうとした探偵だったが、すれ違う際、女マリ(北川景子)は、ネクタイ、お似合いですねと微笑みかけて来る。

焼き肉屋で高田と会ってその事を伝え、顧客の自宅やホテルなどに派遣する仕事のようだと探偵が教えると、デリヘルやホテトルとどう違うんだ?と高田は聞く。

金持ちのおじさんと付き合って、日当りの良い2LDKとかもらっちゃったのかもな…と探偵は麗子の事を推理する。

珍しいな、お前が金のない奴の為に一肌脱ぐなんて…と高田が言うので、普通だろうと探偵は答える。

焼き肉屋を出た探偵と高田は、見知らぬ男たちに前後を挟み撃ちにされ、打ちのモデルに何の用だ?どこの者だ!とその中の男から威嚇される。

探偵は、意味が分からないように、大きな独り言ですね?とからかうと、その男工藤啓吉(斎藤歩)は波留(志尊淳)!と側にいた意見男に声をかける。

にやついて近づいて来た波留に、何がおかしいんだい?と探偵が聞くと、こう云う顔なんですと言いながら波留は探偵を殴り飛ばす。

高田君、出番!と倒れた探偵が声をかけるが、その高田も探偵の横に殴り飛ばされて来て、こりゃ無理だ、強い…と高田は呟くので、諦めるのが早過ぎだろう!行け!と探偵は檄を飛ばすが、いかなくても分かるよ、強いもん…と高田は淡々と答える。

それでも、行けよ、もう一回!頑張れ!と探偵は励ますが、嫌々起き上がって波留に向かって行った高田はすぐに同じ位置に倒れて来る。

どこのもんだ!と探偵を互い締めにしてきた工藤が又威嚇してきたので、知らないよ、麗子ちゃんって可愛い子がいるらしいって聞いただけだからととぼけると、工藤はナイフで尻を刺して来る。

その時、工藤!と呼び止め、ごめんなさい、所属モデルのプライバシーは他言できないので…、麗子ちゃんの事は私たちも探しているんです。何か分かったら教えて下さいと言い、探偵に名刺を渡してきたのはマリだった。

名刺には「岬マリ」と書かれてあった。 探偵は、マリに昔、どっかで会った気がしたが、その時は思い出せなかった。

そんな探偵の尻の状態を見た高田は、うわ〜!と大げさな声を出す。 ケツをやられたと聞いたら、トムボーイの連中が飛んで来た。

お尻の手当なら任せといて!とススキノのショーパブ「トムボーイ・パーティ」のママ、フローラ(篠井英介)が甲斐甲斐しく手当をしてくれる。

さすが靖次郎!と高田が呼びかけると、フローラは、その名前で呼ぶな!っつってんだろ!と急に鬼のような顔に豹変して睨みつける。

探偵がフローラに「ピュア・ハート」の事を聞いてみると、花岡組の系列よとあっさり教えてくれるが、素人の小娘が1人失踪したんだと打ち明けると、怖い者には近づかないのが私たちの流儀なのとフローラは言い、お友達に聞いてみたら?と言うと、高田が自分の携帯を投げて寄越す。

元カノじゃないんだ!と探偵は渋るが、結局かけた相手は桐原組の若頭相田(松重豊)の所だった。

その後、探偵はパンツ一丁の裸で漁船の舳先に磔にされ、寒風の中、港でさらし者になるという状況になっていた。 ちょっと聞いただけなのに〜!と探偵は、港にいた相田に呼びかける。

助けてくれ〜!この季節の北海道は本当に死んでしまうから!と探偵は頼むが、相田は行け!と無表情に漁船の操舵士に命じる。

何とか拷問から解放され、港の倉庫の中で毛布をかけられ、ガンガラの焚き火をあたらせてもらった探偵は、相田から、その仕事から手をひけ、北城の奴が躍起になっているんだよ、ともかく今花岡と北城は「ピュア・ハート」の事で一触即発のようだと言う。

何をもめてるんだ?と探偵が聞くと、新聞読んでねえのか?とバカにしたように言った相田は、花岡の売春機関を突くのはまずいんだ、分かるだろう?と言うので、手を引かせるのに、毎回こう云うやり方しなくても…と探偵は苦情を言うが、おとなしく引き下がった事ないだろう!と相田も言い返す。

倉庫から出た探偵の前に車が停まり、その後部座席に座っていたのは桐原組の桐原(片桐竜次)だった。

桐原は、娘が婚約したんだ。相手はギター弾きだ…と言うので、おめでとうございますと探偵が答えると、破談になった。男は事故に遭ってギター弾けなくなった…、お前も気をつけろよ、後ろからどーんとやられるかも知れないからなと脅すと去って行く。

喫茶「モンデ」に戻った探偵は、新聞に載っていた「北竜町で保冷トラック運転手椿秀雄さんが撃たれて倒れていた」と言う記事を読む。

峰子が盗まれた毛ガニの事を不思議がると、密漁ものだったんじゃないか?ヤクザ屋さんの金づるになっているらしいからと探偵が教えると、おっかないね、でも毛ガニ大好きなのよね、いつ食べてもぷりぷり!などと言いながら、無理矢理探偵の手を取って自分の胸を触らせようとする。

北城仁也、札幌経済界のホープ、元々田舎ヤクザだったが飲食業と賭博でのし上がった…と、その後探偵が会った「北海道日報」の新聞記者松尾(田口トモロヲ)は教える。

強奪犯の目星は?と探偵が椿殺害の事を聞くと、足跡からすると登山用のブーツでサイズは27.5、警察も桐原組がやったと言うだろうと松尾が言うので、花岡組に喧嘩売るとも思えないんだが?と探偵が疑問を口にすると、何調べてる?と松尾が言うので、大した事じゃない…とごまかした探偵は、この件に女が絡んでいると言うような事は?と聞くと、漁港で椿を手伝っていた男の証言によると、若い女を探していたと言っていた…、知ってる子か?と松尾は興味を示したので、いいや…と探偵は否定する。

すると松尾は、深いネタを教えよう、椿はただの運転手じゃない、花岡の右腕…、昔からの武闘派だと言うので、積み荷は毛ガニだったのか?途端艇が聞くと、ここまで〜…、そっちがネタを出してくれたら続きを教えるよと松尾ははぐらかす。

探偵は、「ピュア・ハート」のモデルと蟹を食っている北城の様子を見に来る。

時代の先を読み取る、時代って何だよ?人だよ!人間の心、それが分からない奴は先が分からない、この蟹旨えな!と北城仁也(リリー・フランキー)が言うと、子分が道産ですと答える。

だから喜ぶんだよ、俺を喜ばそうとして用意したんだろう?と言いながら、北城は蟹の爪を2本、子分の鼻の穴に突っ込み、俺が欲しいのは毛ガニ!毛ガニだ!と脅す。

モデルたちはそんな北城をみないように黙々と蟹を食べていた。

その夜、北城のビルの通用口の鍵穴を外し中に、高田を連れ侵入した探偵は、暗い室内に置いてあったパソコンを立ち上げようとするが「ピュア・ハート」のページを開こうと試みるが、ロックがかかっているのでダメだ!と諦めて奥に向かう。

代わってそのパソコンの前に来た高田は、蓋の裏に貼ってあった暗証番号を撃ち込み簡単に開いてしまう。

それを知った探偵は、何でパスワード分かった!と驚くが、何か分かった…と高田はとぼける。

パソコン画面で「ピュア・ハート」のモデルを検索してみると、麗子の写真には「りんね」と言う源氏名が書いてあった。

その「りんね」の顧客データを調べると椿秀雄の名がずらりと出てきて上得意だった事が分かる。

記録にある最後に椿と会った日時は1月23日、殺される前日だった。 それを見た高田は、決まりだろうと言う。

翌朝、どう言う訳か彼女はトラックに乗り事件に巻き込まれた…と探偵も推理する。 翌日から探偵と高田は、「ピュア・ハート」の前に車で待機し、マリが出て来るのを待ち受けていた。

客の動静を監視していた中、ようやくマリが出てきて来るまで出発したので、運転席で居眠りをしていた高田を起こした探偵だったが、ポンコツ車なのでなかなかエンジンがかからず探偵は焦る。

それでも何とかエンジンがかかり、マリの車を付けると、マリはとあるアパートの前で停まり、レジ袋を持って部屋の前に来るとブザーを押す。

すると中から出てきたのは失踪しているはずの麗子だった。

レジ袋を麗子に渡したマリはすぐに車に戻り帰って行く。 ビンゴ!と探偵が喜ぶと、とりあえず食物差し入れに来た訳か…と高田も納得する。

すぐに自分たちも車を降り、アパートの部屋のブザーを押すと、管理会社のものですが、異臭がするとの連絡がありまして…、ガス漏れの危険性があるので消防や警察に連絡しなければいけなくなるかもしれませんが…と嘘を言ってみるが何の返事もないので、簡単なアンケートに答えていただけると、「NAKED」のコンサートチケットが当たるんですけど…とカマをかけてみると、あっさりドアが開く。

高田と探偵を部屋に上げた麗子は、帰ろうとしたら椿さんが港のウニイクラ丼が美味しいって言うから…、私、ウニイクラ丼好きだし〜…と言うので、そりゃ仕方ないよね、ウニイクラ丼だから…と高田は無表情に答える。 それで事件に遭遇したんだな?と探偵は聞く。

犯人は私には気付かなかったんです。それでマリさんに電話して…と麗子が言うので、顔は見たのか?と聞くと、首を横に振った麗子は背の高い人でした。

誠には言わないで!結婚するんです、真剣なんですと訴える。 いつまでここにいるんです?変な2人組が来たってさっきメールしちゃったんですと麗子が言うので、え?と思って振り返ると、そこにマリと工藤が立っており、工藤は探偵の後頭部を銃で殴りつけて来る。 雪道で降ろされた探偵は、工藤から、全部忘れろ!警察から守ってるだけだ、事件が解決したら麗子は返す、次面見せたらぶっ殺すぞ!と脅した工藤は、誠に宜しくって言っといてと言う麗子とマリの運転する車で立ち去って行く。

起き上がった探偵は、そこに高田が立っているので、お前、何で無傷なの?と聞くと、キャラじゃないか?と高田はすまして答える。 岬マリ…と探偵は呟く。

「ピュア・ハート」の中で、ネクタイお似合いですね?と声をかけてきたあの女…

(回想)雪の路地に座り込んでいた娘… そこに近づいて来た探偵は、こいつか?いたぞ!と呼びかけると、そこに駆けつけたのはモンロー(鈴木砂羽)で、又こんな所でぶっ倒れている!と呆れたようにモンローはその娘マリを抱き起こす。

(回想明け)あれか?あれがマリか!と探偵は思い出す。 北大 忙しくなるね、向こうの酪農を勉強して来なさい…と、研究室にいた高田に教授が話しかける。

高田は、はいと答え、よつ葉牛乳を飲む。 喫茶「モンド」では、客が見ていたパンフを覗き込んだ峰子が、栗山君と市長のトークイベント!と驚き、勝手にパンフを取り上げ探偵のテーブルに持って来る。

女ががらっと変わる理由って何だろうな?と探偵が聞くと、そりゃ男よ!たくさんの男がこの身体の上を通り過ぎて行ったわ、変えて見る?と言いながら峰子が探偵の方に身体を委ねてきたので、探偵はさっと立ち上がって店を出る。

「SMクラブ 罵詈雑言」にやって来た探偵は、モンローどうしてる?と声をかけながら部屋に入ろうとして、中から聞こえて来る、豚人間って言うのよ!と言うセリフに一瞬躊躇する。

バー「ケラー・オオハタ」に戻ってきた探偵に、何か分かったか?と高田が聞くと、マリと仲の良かったモンローの居場所が分かったので言ってみようと思う…、俺みたいな糞天パ野郎なんかが行ったら迷惑かな…などと落ち込んだ風に答えた探偵は、もっと強い酒頂戴とマスターに頼む。

とある港の食堂にやってきた探偵は、赤ん坊を背負って店で働いていたモンローと再会する。 久しぶりだなと声を掛けると、天下のモンロー様がこのざまよと言いながら、うれしそうに背中の赤ん坊を見せる。

赤ん坊を主人に預け外に出て来たモンローと2人きりになった探偵が、この女なんだけど…、どんな女なんだ…と、北城の車に乗り込むマリの写真を見せると、本名根元のり子、地元が近かいのよねとモンローは説明し出す。

牧場やってた両親が悪い筋から金を借りて破産したの。

一家心中して生き残ったのが彼女だった…。 4年前、素敵な男を見つけて妊娠したの、結婚するって言ってた。

あの子がこんなにキラキラして目を輝かせるようになった…、ところが案の定逃げられて、2月18日…もうすぐねと、4才か…、産まれていればあの子の人生も変わってたんだろうけど…とモンローが言うので、ダメだったのか…と探偵が聞くと、しばらく会わなかったけど、継ぎ合った時はお腹もぺしゃんこになっていてやつれ果てていたので何も聞けなかった…とモンローは言う。

あの子、家族が欲しかったのよ。

それからは抜け殻よ、何やってもOK!ぶっ倒れるまで働いて、その内猟奇趣味のSM親父から呼ばれて…と言うので、北城だな?と探偵が聞くと、それっきり…、でも、これ見たら巧くやっているみたいねとモンローはマリの写真を見て言う。

そこに赤ん坊を抱えた夫が店の外に呼びにきたので、あいつのせいで私産みたくなった!会えてうれしかったと言い残し、モンローは店に戻って行く。

バスで帰っていた探偵は、雪の路地で初めてマリに会った時の事を思い出す。

(回想)あったかい酒でも奢ってやるよと近くの飲み屋にマリトモンローを誘うと、カウンターに座ったマリは、死にたいとも生きたいとも思わない…、ただ息吸って吐いているだけ…と投げやりなことを言う。

生きてりゃ、その内何かあるさ…と探偵が慰めると、何かって?とマリが聞くので、命燃やすようなもんだよ、本人しか分からないものだからな…と探偵は答える。

それを一緒に聞いていたモンローが、又適当なこと言って!とバカにすると、お前みたいな奴に限って良い人と出会っちゃったとか言ってあっさり手握られたりするんだぞ!と探偵は言い返すと、とにかくそれまで取っとけ…と探偵はマリに言い聞かす。

(回想明け)バスの座席に座っていた探偵の目は限りなく暗かった。

直に帰って来るってどう言う事ですか?会ったんですか?とクラブ「ケラー・オオハタ」で会った原田が言うので、もう少し待てよと探偵が言い聞かすと、ぼったくりじゃないですか!と原田が言い出したので、10800円でぼったくりってどう言う事だよ!と探偵も気色ばむと、高田先輩に3万手付け払ったんですからと言うではないか。

それを聞いた探偵は驚き、高田を呼んで来い!と叫ぶが、高田先輩は入り用なんすから…と言いながら原田はスマホを見せる。

そこにはニュージーランド研修の説明が書かれてあった。 向こうの酪農学んで来るんですって…と原田が言うので探偵は驚く。

翌朝、波留は工藤のマンションに起こしにやって来る。

お早うございます、工藤さん!社長、呼んでますよ!と声を掛けるが返事がないので、ドアを掴んでみると鍵が開いている。

中に入ってみた波留は、寝室のベッドの上で、右のこめかみから血を流し、右手に銃を持ったまま死んでいる工藤を発見する。

忙しいとき悪いね!と言いながら探偵は松尾と再び会う。

椿の部屋にあった靴は、椿を殺した者の登山靴と一致した。 工藤は花岡と巧く行かなかった。

身動きできなくなって自殺した…、それで幕引きにする気だ警察は…、北城は何かを探している…と松尾が言うので、毛ガニの甲羅を開けると中に白いものが入っていたりして…と探偵がかまをかけると、覚醒剤5kg、末端価格4億…、鑑識の話だと、現場に会った足跡は足の大きさに対して狭かったって…、あら?心当たりでもあるのかな?と松尾が逆に探偵にかまをかけて来る。

リークの交換と言う条件で聞いていた話だけに、探偵は、実はな…、重大な国際紛争に関わる問題なんだが、あるお触り禁止のクラブで…と教えると、それじゃリークになってねえぞ!探偵!必ず葬る!と松尾は怒るが、探偵は無視してその場を去る。

そんな探偵の横に車を寄せてきたのは相田で、乗れ!と誘うが、探偵が無視して歩道を歩き続けていると、当てちゃえ!轢いちゃえ!と相田は運転手にけしかけ、駐車場に追いつめる。

強制的に相田にサウナに連れ込まれた探偵は、北城の所の内紛だと思ってたんだが、北城はこの所何かを必死に探してやがる…と迫られるが黙っていると、突然相田の子分が入ってきて「ローリュウ」をやらせていただきます!と行って探偵の横に立つとタオルをはたいてサウナの熱気を探偵に浴びせかける。

犯人はもう売りさばいたんじゃないですか?と探偵が言うと、花岡組のブツだと分かって買う奴はいねえ、今頃シャブ手にした奴は困っているだろうと相田は否定する。

「ピュア・ハート」のマリを知らないか?と聞くと、ぼーっとした女だよ、すっかり女王様気取りになって、金、金の業突く張りだってそうだよと相田は言う。

相田から解放された後、「ピュア・ハート」でマリを張っていた探偵は、逆に柱の背後でマリから掴まり、遊ぼうよ!と甘えて来られる。

そしてマリと2人きりで観覧車に乗る事になる。

麗子を返せと言うと、犯人が捕まって事件が解決したら…とマリが言うので、その犯人がお前だった場合はどうなるんだと探偵は指摘する。

椿を殺したのは小さい奴なんだ。

でも小さい男が大きな男に化ける意味はない。

犯人は女なんだよ! しかしそうなると疑問が生じる。

背の高い男だったと言う麗子の証言だ。 犯人はどうやって椿のルートが分かったのか? 答えは1つだ! 麗子は最初からお前の協力者だったんだ。(早く降りて!と助手席に乗っていた麗子に話しかけるフード付きコートを着たマリの回想)

その場合、工藤はどうなるか? 仲間割れして、俺の女になれとでも言われたとか… とにかくお前は工藤も自殺に見せかけて殺した! それを聞いていたマリは、凄い!それが本当なら私って凄いのね!とおどける。 凄すぎるよ…、抜け殻だった女が…と答えた探偵は、覚えていてくれてありがとう、ネクタイするような男じゃないのにな…と、「ピュア・ハート」で会った時のことを言うと、売れないシャブ抱えてお前1人でそうするんだよ?と聞く。

きれいね!一番高い所からの眺めは…と観覧車の中から見える札幌の夜景を見たマリは言う。

でもそれは長くは続かない…、昇ったら後は降りるだけ…、人生と同じ…、飲まない?もうすぐ誰かの誕生日だから…とマリは言う。

その後、ススキノでマリと飲んだ探偵は、夜の町を歩きながら犯人の手にケチャップが付いていた事件を解き明かした事を得意げに披露したりしてマリを喜ばせる。

どんな仕事でも受けるの?とマリが聞くので、ギャラ次第だろう、俺は高いぞと探偵がおどけ、1万円で請け負った最近の話をすると、そんな目に遭ったの!とマリは自分の事と分かっていながら愉快がる。

そして、私の依頼ならいくらで受ける?とマリが言い出すと、受けない!と探偵が即答するので、100万でも?とマリが念を押すと、108万なら考える、消費税だ!などととぼけた探偵は、もう1軒行こう!と言い、マリも、もちろん!と喜ぶ。

ホテルのベッドで気がついた探偵は、横にマリが寝ていたので、正気かよ!俺…と愕然とする。

それでも、急いでマリのバッグの中を調べ、仲のポーチの中から大量の薬を発見する。

自宅事務所に戻り、改めてベッドで目覚めた探偵は、冷蔵庫を開けようとして、そこに貼ってあった封筒とメモを発見する。

メモには「引き受けてくれてありがとう♡ご主人様」と言うマリの走り書きが残っており、封筒には100万とシャブの入った小袋が1つ入っていた。

探偵はシャブの小袋を手に取り、俺のバカ!と言いながら、自分で自分の頬を何度もビンタすると、どうしよう…と言いながら泣き出す。

北大構内で、荷物を入れたダンボール箱を運んでいた高田は、すれ違った教授に、お世話になりましたと挨拶していたが、そこに探偵から電話が入る。

落ち着け!何言ってるんだ?お前が馬鹿なのは知ってる…と高田が答えると、はめられたんだ…、いや、はめさせられた…、はめちゃいないが…などとしどろもどろになっていた探偵は、猛烈にヤバい!こっちへ来い!どうしたら良いか、一緒に考えようと言うので、良いよと高田は答える。

電話を切った直後、探偵はチャイムが鳴ったので、早かったな…などと言いながらドアを開けると、そこにいたのは波留ら北城の子分たちだった。

部屋に入って来た波留が、悪いけど、散らかしま〜す!と言うので、もう散らかってるけど…、これと言って怪しいものはある訳ないけど…と探偵が答えると、すぐに、ありました!と子分らが部屋のあちこちからシャブの小袋を見つけ出す。

車で事務所の前にやって来た高田は、波留たちに拉致され車に押し込まれる探偵の姿を目撃し、激しくヤバいな…と呟く。

探偵はクラブにいたマリといた北城の前に連れて来られる。

打ちのマリが大変お世話になっているそうで…、マリから聞いてるよ、とっても可愛がって頂いたって!と言いながら、北城は探偵をビンタして来る。

ほらほら!と言いながら北城が探偵に差し出してみせた写真には、寝ている探偵のベッドの横でピースサインをしているマリの笑顔が写っていた。 何ですか?これ!でもあんた、人のものを取っちゃいけない!と北城は探偵を責める。

高田はそのクラブの中に進入していた。 奥へ向かっていた高田は、そこでいちゃついていたボーイとホステスを見つけ、一瞬ひるみかけるが、何やってるんだよ!社長が来てるんだろ?何やってるんだよ!人数分コーヒー出すのが当然だろう!と急に高飛車になって命じる。

その高田の居丈高な態度にビビったボーイが、急いでコーヒーカップを用意し始めると、高田はその数を数える。

北城は拳銃に弾を一発仕込むと、私の商品はどこにあるのでしょうか!と言いながら拳銃を探偵の口にくわえさせ引き金を引く。

残り3発、3分の1だよと北城は脅す。

そのとき急にマリが、ごめんなさい!私がバカでした!こんな男に騙されて…とマリが殊勝に詫びてきたので、そんなお前の素直な所が好きなんだよ、利用されただけ何だどう?帰ってなさい…と許したと見せかけた北城だったが、急にマリを捕まえると、こんな小芝居したら自分だけ助かると思ってたのか!と怒鳴りつけ、探偵の側に押し付け、波留!殴り殺せ!と命じる。

どっちを?と波留が聞くと、どっちもでしょう、ただし、ブツの在処をゲロした方は助けても良いから…と北城は言う。

そんなフロアに、お待たせしましたとボーイがコーヒーを持って来るが、その背後に隠れて付いて来た高田は、唖然としている子分を殴り飛ばす。

探偵もその隙を狙って北城の拳銃をたたき落としソファから立ち上がると戦い始め、ずいぶん待たせたな!と文句を言うと、魔が差したなどと高田が答え、一緒に戦う。

2人が戦いっている間、床に落ちていた北城の拳銃を拾い上げたマリは北城を羽交い締めにしてこめかみに銃を突きつけ、動くな!と叫ぶ。

マリ…、何やってるんだよ?お前に撃てる訳ないだろう?3分の1だぜ、やってみろよ!と北城は虚勢をはるが、2階連続して引き金を引いてみせたマリは、いつも6発目に仕込むの知っているのよ!と答える。

次は社長の脳みそぶっ飛ぶよ!こっちはもう2人やってるんだ!とマリは子分たちに呼びかける。

探偵と高田は、社長を捕まえたマリと一緒にエレベーターの乗り込む。 エレベーターの中で手錠の鍵!とマリは北城に呼びかける。

クラブのビルから抜け出て逃げていた探偵に、電話!と高田が自分のスマホを渡してきたので、は?と驚きながらも探偵は電話に出る。

途中で北城を捨てた探偵たち3人はとあるビルの階段を登って屋上に出た後、高田がドアの鍵をかけると、非常階段を伝って隣のビルの屋上へ向かう。

しかしすぐに屋上のドアは破壊され、北城の子分たちも追って来る。

隣のビルの橋にやってきた探偵は逃げ場を失う。

ビルの側面には非常階段がなく、眼下は道路だった。 探偵はマリに、泳げるか?と聞くと、セーノで高田と共に飛び降りる。 下には、相田が乗ったトラックが停まり、荷台には雪が積まれていたので、探偵たち3人はその雪の中に無事着地する。

相田さん、助かりました!と探偵が礼を言うと、こっちはドライブしてただけだと相田はとぼけ、そのまま出発する。 マリは、あんたたち最高!と喜ぶ。

その後探偵、高田、マリは「ケラー・オオハタ」に来ていた。 何考えて人を共犯にした!金も返す、何もなかった!無関係だ!と探偵はマリに言い渡す。

あなたは北城に何も言わなかった…、つまり引き受けたのよ。

計画の途中だったの…、面白かったから良いけどねとマリが言うので、シャブをお金に換えたくても買い取る奴なんかどこにもいないんだよと探偵が言い聞かすと、1人だけいるわ、あなたに協力してもらって北城に返す。

1億で返すとマリは答える。

それを聞いた探偵は、北城のメンツ丸つぶれだろう!と言うと、北城は商売人よ、メンツより実利を取るわとマリは答える。

それまで黙って話を聞いていた高田が、何故そんなに金欲しいんだ?不自由してないように見えるんだけど…と聞くと、私の自由になる金なんてないわ、南の方のあったかい土地でのんびりしたいのとマリが言うので、それで2人殺したのか?と探偵が突っ込むと、あいつらが殺した人数より少ないわとマリは平然と答える。

それを聞いた探偵は、お前は最悪な女だな…と言うと、私がしくじったらあんたらも消される、一蓮托生なのよ、引き受けてくれないならここでお別れねと言ったマリは、自分のこめかみに拳銃を突きつける。

そんなマリに近づき銃を奪い取った探偵は、何故そうなんだ!何故そう云うやり方しか出来ないんだ!素直に頼んだらどうなんだ!と切れる。

するとマリは真顔になり、助けて!助けて下さい!と言い出したので、くそ〜!と探偵は叫ぶが、引き受けてくれるってさと高田は言う。

絶対、生きて帰るぞ!と探偵は雄叫びを上げる。 その後、高田は北大の空手部の練習場で、サンドバッグ相手に腕を鍛え直す。 一か八か北城と取引する事にした。 マリの計画はお粗末なものだったが、助けよう、マリを守らなければならない、無性にそう思った…と探偵は考える。

(回想)命を燃やすものを見つけるんだよ、他人に取っては下らないかも知れないけど… お前のような奴程、私、出会っちゃったとか行ってて握ったりするんだよ…と飲み屋でマリに言い聞かせた頃の事

「引き受けてくれてありがとう♡ご主人様」と書かれた事務所のメモ。

(回想明け)峰子は源ちゃんと一緒に、札幌ファクトリーでの栗山英樹氏と秋元克広札幌市長のトークイベントに参加していた。 マリはお守り袋から「218」の数字が書かれたキーを取り出す。

松尾は、16時サッポロファクトリー、記事になるかどうかは保証しないけど…と言う電話を探偵から受け取る。

俺たちの死亡記事にならなきゃ良いけど…と高田が言うと、お前降りろ、行っちまえと探偵が言い出したので、俺が持ち込んだ仕事なんだけど?と高田が言う。

受けたのは俺だ!と返した探偵は、お前は首だと高田に言い渡す。

マリはキーを使ってロッカーにしまっていたブツの入ったバッグを取り出す。

マリが、探偵が助手席で待っていた高田の車の後部座席に乗り込んで来る。

俺1人で十分だと探偵は言うが、マリはダメと言い、出してと頼むと、探偵は俺運転できねえんだと言うので、呆れたようにマリが運転席に乗り込む。

探偵が、この車はコツがいるんだと言っている矢先、マリがあっさりエンジンをかけたので、人見るんだな…と探偵は呟く。

札幌ファクトリーでは、栗山英樹氏と秋元克広札幌市長のトークイベントが始まっていたが、客席にいた峰子は、あれ?探偵さんに似た人いたけど、すっごいきれいな人連れてたから別人だなどと源ちゃんに話しかける。

そこに来ていたのは確かに探偵で、人が多いなとぼやくと、不審者がいると連絡しといたから蜂の巣には出来ないわとマリは教える。

そんなマリに、身体、大丈夫なのか?薬を見た。そんな患者が使うのかも調べた。

一か八かで残りの人生を南の島で送るのも分からなくはないけどな…と探偵は話しかけるが、マリは何も答えなかった。 松尾は懸命に探偵とマリの様子を写真におさめていた。

すでにテーブルで待っていた北城の前に探偵とマリが座ると、で、どうすれば良いん代?と北城が言うので、詰め替えろ!あんたの事だ、GPSを付けるくらいするだろうからなと言い、探偵は赤いバッグを机の下から相手側に押し出す。

北城の子分が、持ってきたバッグから現金を赤いバッグに移し替える。

盛況だな、スポーツに夜地域振興の見本だなどとその間北城は話す。

詰め替えた札束を机の下で探偵に確認させた北城は、相変わらずきれいだな、又ベッドに縛り付けてやりたいよなどと無駄口を叩くが、探偵がマリが持ってきた鞄の中のブツを見せると、本物か?と疑う。

味を調べてみろよと探偵が言うと、良いだろう、本物だと納得した北城とテーブルの下でバッグを交換すると、じゃあねとマリは言い、探偵と共に赤いバッグを持ってその場を立ち去ろうとする。

探偵は、全く無茶な計画だよ、車まで全力で逃げるぞ!本当に代わってるよな…、こんな事引き受けなければ良かった。

依頼者に恵まれないんだよな…と愚痴りながらホールの階段を登っていたが、計画は変更、ここからはあなた1人で逃げて、力になってくれてありがとう、後は任せるからねとマリは拳銃を取り出して言い出す。

唖然として立ち止まった探偵に、探偵さん、私、出会ったの、出会ったんだ!とうれしそうに言うとホールの方を振り返り、天井に向けて威嚇射撃をすると、全員ぶっ殺すぞ!と叫びながら階段を降りて行く。

イベント会場内は大混乱になり、見学者たちは一斉に逃げ出す。 マリ!と呼びかけた探偵だったが、やむなく逃げる群集に紛れて自分も車へと向かう。

マリは北城に近づき撃とうとするが、駆けつけたガードマンに取り押さえられる。

裏通路を逃げていた探偵の前に待ち構えていたのは波留だった。

逃走経路くらい読んでたよと波留が苦笑すると、こっちもだ!と言いながら波留に飛び蹴りを加えてきたのは物陰に隠れていた高田だった。

その間に建物の外に逃げ出た探偵だったが、北城の子分に捕まってしまう。

高田は波留と互角の戦いをしていたが、やや形勢が不利になると、いきなり波留の履いていたジャージのズボンをずり下げる。

足の動きが取れなくなった波留に、高田は、側にあった低い鉄棒のようなものを踏み台にしジャンプすると飛び下痢をくらわす。

先に車で待っていた北城は、子分が持ってきた赤いバッグを受け取ると出発させる。 高田が、外で倒れていた探偵に、大丈夫か?と声をかけながら近づいて来る。 探偵は笑っていた。

車の中で赤いバッグを開けてみた北城は、中には札束ではなく雑誌しか入ってない事に気付き、何だ、これは?と狼狽していた。

逃げる途中、隠れていた源ちゃんが持っていたもう一つの赤いバッグと素早くすり替えた回想シーン。

あの女の勝ちだ!生きてたらね!と探偵は言いながら立ち上がる。

喫茶「モンデ」 容疑者の女が拘束されたと言うニュースが載った新聞を客(東直己)に見せながら、私ここにいたのよ!栗山監督のストーカーなのよ、きっと…などと説明する峰子。

探偵と高田に付き添われ北大にやって来た麗子は、大学の入り口から出てきて麗子!と驚く原田に、仕事の友達が交通事故に遭って、ずっと看病してて…、電話しようと思ってたんだけど携帯なくしちゃって…などと来るし言い訳をすると、駆け寄り抱き合って泣き出す。

本当はこの手の女が一番信用できないんだよな…と、そんな2人の抱擁を見ていた探偵は高田に呟く。

こうして安易に引き受けた事件を解決した… 実家の母さんに5万円払わなくて良くなったって言っとけ!と麗子に呼びかけ探偵は帰ることにする。 北城組は警察の手入れを受け、あっけなく崩壊した。

テレビで、連行される北城のニュース映像を見た相田は大笑いしていた。

そして俺は、マリの依頼を終わらせようとしていた。 探偵は、赤いバッグとマリが書いたメモを持って中央市民病院にやって来る。

「しのはらさとみサマ このお金を全額さとみちゃんにお渡しします 名乗らぬ無礼をお許しください」とメモには書かれていた。

しのはらさとみの病室に来ると、4歳児がベッドでお絵描きをしており、壁にかかったカレンダーの2月18日の所に花丸が書いてあり、誕生日と書かれていた。

さとみのネームプレートを見ると、2013年2月18日生まれと書かれてあった。

パズルのピースが埋まった。

マリの子供がどうだったのか見届けたものはいなかった… あいつは病気の我が子のために金を… そう探偵が心の中で推理をしていたとき、どちらサマですか?娘に何か?と語りかけてきた女性がいたので、実の娘さん…ですか?と探偵は驚く。

その時さとみが、ママ、あの人!と指差したのは、テレビのニュースに写ったマリの姿だった。

すみません、あの女性と娘さんが何か?と探偵が聞くと、良く遊んでくれたんです、まさかあんな人だったとは…と母親は答え、ママ怖い!と言うさとみに、怖くないわよもう捕まったから…となだめると、検査の時間ですから…と探偵に会釈をしてさとみを病室から連れ出して行く。

病室に残った探偵は、持っていた赤いバッグとメモをさとみのベッドに置いて立ち去る。

(回想)命燃やすものは自分しか分からないんだよと飲み屋でマリに教えた探偵

助けて!助けて下さい!と「ケラー・オオハタ」で頼んできたマリの姿

探偵さん、私出会ったよ!とうれしそうに札幌ファクトリーで言ったマリの姿…

(回想明け)病院の外に出てきた探偵は、なきながら、自分の子ですらねえのかよ!と呟く。

留置場の壁際の床に座っているマリ

(回想)マリは病室で出会ったさとみが落したバンドを見て、誕生日2月18日なの?と聞くと、そうとさとみは答えるので、もう一度、2月18日なの?と聞くと、そうとさとみが言うので、思わず涙ぐんでしまう。

(回想明け)留置場のマリもその時の事を思い出し泣き出す。

バー「ケラー・オオハタ」で探偵の話を聞き終えた高田は、赤の他人か…と呟く。

その為に命燃やしちゃったんだな…、バカだよ、酔っぱらいが適当に言った事なのに…と探偵は自嘲する。

新聞に容疑者逮捕の文字が載る。

どんな判決になるのか…、どうせ獄中で息を引き取る…、でもあの女の事だ、病気と言うのも嘘ではないのか? その時、店にやってきてカウンターに座った女を見た探偵は、一瞬マリだと思い込むが、良く見ると全くの別人だった。

俺には再び、刑期を終えたマリが帰って来る気がする。

その時を静かに待とう… バカで最悪で最高の女に!と言い、探偵はカクテル、高田は水割りのグラスで乾杯する。

原田と麗子結婚するってよと高田が言うので、そりゃあ、めでてえなと探偵も答える。

店の外に出た探偵は高田に、餞別だと言って封筒を渡す。

良いよと高田は遠慮するが、一度出したもの引っ込められねえよと探偵が言うので、高田は黙ってポケットにしまう。

しばれるな…と高田が言うので、ああ、札幌だからな…と探偵は答え2人は道路に出た所で別れる。

歩き始めた探偵が振り返ると、高田は道を曲がって帰って行く所だった。

誰もが美奈懸命に生きている。自分にとって大切なものの為に…

エンドロール

牛舎で働いていた高田を訪ねてきた探偵は、ニュージーランドに農業を習うのでは?と聞くと、あの人から農業を習う。

身長2mあると高田が指差したのは、ニュージーランドから来た人物のようだった。

ここ江別…電車で来れると探偵が言うと、うちの寮から2分だよと高田が言うので、餞別返せ!と迫るが、一度出したもの引っ込められないんだろ?それにもう使っちゃったし…と高田は言う。

何に使ったんだ?と聞くと札幌競馬場と言うので、札幌来てるし!警察呼ぶぞ!と探偵はぐだぐだ粘るが、高田は全く相手にしなかった。
 


 

 

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