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散歩する侵略者

舞台劇の映画化らしく、比較的小さなエリア内だけで起こるやや理屈っぽいSFドラマになっている。

雰囲気的には「着ぐるみが出ないウルトラセブン」である。

登場する宇宙人は「マーズアタック」や「インディペンデンス・デイ」のような知能が低くただ凶暴なだけの侵略者タイプではなく、「地球が静止する日」のゴートのような知的優越人種のようなのに、何故か地球を侵略しようとしている謎の存在。

何故、そんな優越人種が地球人を滅ぼそうとしているのかと言った理由は最後まで分からない。

概念を失った人間はどうなるか?と言う興味深いテーマが出て来るが、特に廃人のようになると言う訳ではなく、概念から解放され、子供のように純粋になると言う風にも描かれているのが面白い。

ただし、最初から地球侵略が目的のはずで、何のために斥候のような3人が先に地球にやって来て概念を収集するのか?と言う理由がはっきりしない辺りが若干もどかしい感じもする。

宇宙人が知識欲のため人類の知識や概念をことごとく奪い去った後、肉体としての人類は壊滅させると言うのなら、3人と言う先発隊は少なすぎるような気がするし、後半、病院に集まって来た大量の患者たちはいつ誰に概念を奪われたのかも良く分からない。

新種のウィルスと言うのが別に蔓延していたと言う事なのか?

それとも侵略者たちは通信係の3人だけではなく、世界中に多数降り立っていたと言う事なのだろうか?

政府が宇宙人の行動に気付いて動き出している辺りの説明もなさ過ぎる。

本格的なSFではなく、あくまでも定番のSF風展開にしているだけ、そう言うシチュエーションを借りているだけと言う事なのだろうが、舞台劇ならともかく、映画で見ていると今イチ乗り切れない部分がある。

ではつまらないのか?と言えばそうでもなく、これはこれで面白いのは確か。

最後に「愛は世界を救う」と言う一見凡庸な展開になっているように見えながら、あれこれ考えたくなる多面的なテーマ性も含んだ深い映画のようにも思える。

最後に女医役のキョンキョンが言わんとしている「宇宙人騒動でもなければ面倒なのでなるべく考えないようにしている社会問題や日頃何気なく使っている言葉の意味」に付いて改めて考え直してみようと言う誘いなのかもしれない。

教会の牧師が解く言葉の羅列が、宇宙人にはさっぱり理解できないと言う辺りの宗教パロディ等はなかなか面白い。

最後の「愛オチ?」とも見える展開も、実は良く分からない物で観客を煙に巻こうとしているようにも受け取れれなくもない。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2017年、「散歩する侵略者」製作委員会(日テレ、日活、WOWOW)、前川知大原作、田中幸子脚本、黒沢清脚本+監督作品。

WOWOW FILMの会社ロゴ

泳いでいる金魚に薄紙の網を差し込む。

穫った金魚が入ったビニール袋を持って帰宅したセーラー服姿の少女立花あきら(恒松祐里)が自宅に入った直後、慌てふためいた母親らしき中年女が玄関から出て来ようとするが、中に引き込まれ玄関ドアは閉まってしまう。

家の中には母親らしき遺体が転がっており、へやの中は荒らされていた。

床に広がった血の海に金魚が乗っている。

あきらの顔も返り血らしき物が付着している中、その目の前にはもう1体の死体が転がっていた。

あきらは、自分の右手に付いた血を嘗めてみる。

血を浴びたセーラー服姿のまま、家を出て道路をふらふらと歩き始めたあきらを一台の乗用車がよけていく。

さらに一台のトラックがあきらの背後に近づきクラクションを鳴らすが、あきらは無反応のまま歩き続けていたので、トラックが急ブレーキを駆けて車体をひねろうとしたとき、前方から来た乗用車があきらの背後でトラックの側面に衝突する。

あきらは振り返りもせず笑い出す。

タイトル

イラストレーターの加瀬鳴海(長澤まさみ)は、椅子に座った夫の加瀬真治(松田龍平)が雑誌を逆さまに読んでいたので正しい方向に直してやりながら、冗談はやめて!と叱ると、真治は、あ、そうか、分かりやすいと呟いた後、すみません!と他人行儀に詫びて来る。

ねえ、しんちゃん、何があったの?いい加減にしてよ!と鳴海が怒ると、それは怒ったと言う事ですか?ごめんなさいと真治は答える。 鳴海を病院に呼んだ医者は、こんな状態で道路を歩いている所を発見され連れて来られたのですと説明する。

人格が変わっており、若年性アルツハイマーの疑いもありますが、深刻にならない方が…、その内、正気を取り戻すでしょうと医者は曖昧な事を鳴海に伝える。

真治を連れ病院を出た鳴海は自分の車に乗り込もうとするが、黙って後を付いて来た真治は、途中でへたり込んでしまったので、立てないの?面倒くさいな!と言いながら戻って来た鳴海が立ち上がらせると、どうも申し訳ございませんと真治は他人行儀に詫びる。

しんちゃん!私を裏切っていたの、全部事実だったって事じゃない!この間の出張、女の子と旅行行ったわね!このまますまされると思ってるの!と鳴海が責めると、なるほど…と真治は他人事のように答える。

助手席に乗せてやった真治は、シートベルトの締め方も忘れているようだったので、鳴海はさらに苛立つ。

鳴海からシートベルトをしてもらった真治は、無表情のまま、でも俺たち夫婦だよね?ガイドになってくれないかな…、俺1人じゃ、道もろくに歩けないから…などと言い出す。

自宅に帰って来た真治は、TVの天気予報士のポーズを真似し出す。 会社どうするの?行けないんだったら自分で電話してよと鳴海は声をかけながら、部屋で自分の絵の仕事を始める。

そんな鳴海は、黙って背後に近づいて来た真治の気配に驚くが、ちょっと俺、散歩に行って来ると真治は言うので、どうぞ!と生返事をして、デザイン会社へ電話を入れると、加瀬です、イラストが上がったので今メールで送りましたと連絡する。

すると次の仕事の依頼を受けたので、喜んだ鳴海は、資料を穫りに伺います!と返事し外出する。

すると、見覚えのある真治のスリッパが片方道に落ちていたので、嫌だ…と言いながら、側の草むらの中に分け入り、しんちゃん!と呼びかけると、反対方向の草むらから起き上がった真治が、鳴海!僕は転んだみたいだ…などと言うので、嫌になっちゃうな…と鳴海はぼやく。

テレビ局の中継車でホテルに戻って来た「週刊ワールド」のジャーナリスト・桜井(長谷川博己)は、雑誌社に電話を入れ、カメラマンたちは全員帰ったよ、バラバラ殺人の取材なら他に言ったら?俺は最終列車で帰る!と不満げに連絡する。

しかし仕事なので、その殺人事件の現場に行ってみる事にした桜井だったが、警察の現場検証が行われている家の側には「米軍は出て行け」と書かれた大きな看板があった。

見張りの警官に近づいた桜井は、ちょっと良いかな?と話しかけ、立花あきらって言う子供が生き残ってるよね?とバラバラ殺人の事を聞こうとするが、全く相手にされず、仕方なく家の横の方から中の様子を覗き込もうとする。

そんな桜井に背後から近づいて来た青年天野(高杉真宙)が、おじさん、立花の関係者?と聞いて来たので、違うけど、君は立花さんの友達なのかな?と桜井は振り返って逆に問いかける。

すると天野は、違うよ、でも会いたいんだ、どうすれば良いと思う?などと話しかけてきながら、中継車に戻って来た桜井に付いて来る。

これ、おじさんの?と車の事を聞きので、これはレンタカー、所有者は東京ロケーションサービス店と桜井が答えると、俺のガイドになって、立花あきらを探す…、俺天野、おじさんは?と言うので、俺は桜井って言うんだと名乗り、探してどうする?と問いかける。

おじさん、秘密守れる?と確認して来た天野は、目的は地球の侵略などと言い出したので、君は宇宙人?そう来たか…、面白いよと桜井は興味を持つ。

すると天野が、桜井はガイドやってくれる?と再確認して来たので、やっても良いけど、俺は天野君よりずっと年上だから、名前を呼び捨てはないんじゃないかな?と桜井は大人らしく注意する。 それを聞いた天野は、じゃあ桜井さん?と素直に言い直す。

鳴海の家には、彼女の妹の明日美(前田敦子)が来ており、ずっとTVを見ていた真治の様子を見て驚いたようなので、ずっとああ、今日で3日目…、会社には退職届出して来たと鳴海が教える。

すると明日美が、お姉ちゃん、まだ真治さんの事愛してたんだ?などと言うので、そう云う事じゃないでしょう、明日美も結婚したら分かるの!と鳴海は答える。 お父さんもお母さんもうるさいの、介護も宜しくだって…、お前の姉は自由にさせ過ぎたって…、私も好きにやるって言ったら怒っちゃって…と明日美が言うので、それで飛び出して来たって言うの?と鳴海は呆れる。

そこに、TVを見飽きたのか、真治が近づいて来て、いらっしゃい!と明日美に言うので、しんちゃん、彼女の事分かる?と鳴海が聞くと、いいや…と言う。 明日美と言う私の妹…と鳴海が説明し、明日美も、しんちゃんの妹でもありますけど…、義理のだけどと付け加えると、義理?妹?こんがらがって来たぞ…と真治は戸惑う。

みんな家族ってことですかね?血縁?…、余計にややこしいかも…と明日美は説明しようとして、私とお姉ちゃんは同じ親から生まれて、お兄ちゃんはお姉さんと結婚したので、私は妹…と言うと、確認して良いかな?俺は君の義理の兄?全員会わせて家族?…なるほど…と真治は納得したようだった。

そして、それもらうよ…と言いながら、左手の人差し指を明日美の額に付けると、急に明日美は涙を流してその場にうずくまってしまう。

そこに鳴海がやって来て、明日美、どうしたの?泣いてるの?見せて!と言いながら抱き起こそうとすると、止めて、気持悪い!触らないで!と姉の手を拒絶した明日美は、帰ろうかな?と言い出したので、泊まっていくんじゃないの?と鳴海は驚く。

そのまま家を出て行く明日美を追いかけて来た鳴海は、どうしたの?何怒ってるの?しんちゃんが何か言ったの?と案じて問いただそうとするが、帰るのよ、東京に!私がこれからどうするか、いちいちあなたに言う必要ないと思うんですけど!と明日美は他人行儀なことを言って去って行く。

一方、天野の自宅に付いて来た桜井は、両親らしき中年男女が魂が抜けたような状態でおり、何を話しかけても反応しないので、天野君のご両親、大丈夫ですか?と荷造りをしていた天野に聞く。

色々奪ったからな…、でもガイドからは奪わないよなどと天野は言うだけなので、お父さん!大丈夫ですか!と桜井はなおも父親らしき男性に声をかけてみる。

すると天野は、桜井さん、知りたい?俺たちのやり方…、桜井さんってライターでしょう?きっと興味を持つんじゃないかな?…などと話しかけて来る。

そして、俺たちは概念を集めているんだ。言葉は色々あるだろう?だから概念そのものを奪うんだ、その文、相手は概念を失うけどな…などと天野が説明するので、宇宙人と言えば何言っても良いってもんじゃないぞ!と桜井が切れると、信じてないの?何を信じるかは自由だけど…、ああ、自由の概念なら知ってるよ、奪ったからね、母親から…と天野は言う。

その天野の母親らしき中年女性は、黙って桜井の方へお辞儀をして来る。

どう?結構幸せそうでしょう?と天野が言うので、微妙だな…、君はそうやって人を幸せにしてるのか!と桜井が挑戦的に聞くと、俺たちの目的は侵略…と天野は淡々と答える。

だとするとヤバいんだけど…と桜井が呟くと、何だ…、今頃気がついたの?と呆れたように天野は言う。

コンビニに寄った桜井が車に戻って来るて、スマホを見ていた天野に、地球人ってどう?と聞くと、宇宙に良くあるタイプの生物だね、自分を地球の支配者と思い込んでいる、後100年くらいで滅びるんだけどねなどと淡々と答えた天野は、良かった桜井さんをガイドにして…、そろそろ最終列車の時間だけど?と指摘して来る。

すると桜井は、立花に会わないの?その子も天野君の仲間だよね?と聞いて来る。

デザイン事務所にやって来た鳴海は、事務所の鈴木社長(光石研)から、今度アウトレット用のポスターとチラシを作るので、デザインを全部任せるから、来週プレゼン出してと依頼して来たので、そうですか…と鳴海が考え込むと、難しい?旦那さん入院したんだって?仕事に差し支えるってことかな?と鈴木は聞いて来る。

自宅療養です、大丈夫ですと鳴海が答えると、プライベートな事でも僕に相談して!と笑顔で言った鈴木社長は、机に座っていた鳴海の方を急に馴れ馴れしく揉んで来たりするので、鳴海は困惑して立ち上がる。

自宅に帰って来た鳴海は、真治が何か探しているので聞くと、鳴海が以前買ってやったブルーのシャツがないと言うので、いつの話よ、とっくに捨てたわよ。

記事が気に入らないって着なかったじゃない!と鳴海は苛立たしげに答える。

でも俺に似合うって言ってたよね?などと真治が言うので、変な事は覚えてるのねと鳴海が呆れると、鳴海、散歩に行かない?色んな人に会って話したいんだ。

理解できない人類の…などと真治が言い出したので、自分を考えたら?と鳴海は言い返す。

すると真治は、加瀬真治を?と驚いたようなので、作り直すんなら、私の理想のしんちゃんになってよと鳴海が冗談を言うと、分かったと真治は真顔で答える。

その後、真治に家にいるように命じ鳴海が外出すると、真治も勝手に出かけ、鳴海とは反対方向へ向かう。

真治は他人の家の庭先に侵入し、洗濯物などを眺めていると、家の中から出て来た青年丸尾(満島真之介)が怪しみ、おじさん、何しているの?何でここにいるの?と聞いて来る。

すると真治が、じゃ、君は何でここにいるの?逆に聞くと、ここは俺の家だからと丸尾は答える。

ここは俺の家か…と呟いた真治がそのまま玄関から中に入ろうとするので、ちょっと何してるの!とそれを停めた丸尾が、俺の家だって言うの!丸尾家、つまり俺の家、実際はオヤジの名義なんだけど…と説明してやると、それが重要なんだな?と真治は納得したようだった。 おじさん、名前は?と丸尾が聞くと、しんちゃんと真治が答えたので、大人が自分にちゃん付けするのかよと呆れながらも、丸尾はしんちゃんにはしんちゃんの家があるでしょう?ここは丸尾家「の」家!分かるでしょう?と説得する。

しかし真治は、でも、俺がここに住む事も出来るよね?問題は「の」だな?と呟くと、その「の」をイメージしてみてと言い出す。

それを聞いた丸尾は、所有の「の」のこと?といぶかしがるが、それもらうよ!と真治が人差し指を丸尾の額に付けると、丸尾はその場に膝が崩れるようにしゃがみ込んでしまう。

これが所有か…と真治は納得すると、ここは俺の家じゃない!じゃあ、自分の家に帰る、散歩中だから…と言い出したので、それが良い…と言いながら立ち上がった丸尾は、おじさんは不思議な人だねと話しかける。

すると真治は、いやまだなれていないんだ、この世界に、俺は宇宙人なんでなどと答えたので、それヤバいよと丸尾はあっけにとられる。 そして、家に戻っていく真治を追いかけて来た丸尾は、久しぶりに外に出たよ、俺、引きこもりだから…、ありがとう、しんちゃん!とうれしそうに礼を言う。

その後、真治は、橋の下にいた犬に、あの~、すみませんなどと話しかけながら近づいていく。 自宅でイラストを書いていた鳴海は、集中できず、書きかけたスケッチを破り捨てると外出する。

すると、橋の下で倒れている真治を見つけたので、慌てて降りていって助け起こし、何やってるの!と怒ると、犬に噛まれた、まるで話が通じないんだなどと言う。

1人で出かけないでって言ったでしょう!と家の外の蛇口で顔を洗った真治を叱ると、やっぱりガイドが必要だ…、信頼できるパートナー…と真治は呟く。

その真治の左頬の傷にバンドエイドを貼ってやった鳴海は、その後真治と散歩に出るが、ここって前に出た事ある?と道の事を真治が聞いて来たので、一緒にスーパーで来た時…と教えた鳴海は、夕飯何が良い?と聞くと、何でも良い、鳴海が作ってくれた物なら何でも食べると真治は答える。

その頃、立花あきらを病室に保護して監視していた車田刑事(児嶋一哉)は、こちら異常ありません、自分一人で大丈夫ですと本部と連絡していた。

すると、病室のベッドに腰掛けていたあきらが、ねえ刑事さん、自分って何?さっきから何度も言ってるよ、自分、自分って…と声をかけて来る。

車田刑事は、立花さん、雑談には応じられないですから…と会話を拒否すると、自分の事は一番分かってるよね?やっぱり自分だよね? そう、集中して自分に!などと言いながらあきらは迫って来る。

そんなあきらを無視しながら、車田刑事は、これ以上話したら、又麻酔を打つからな!と威嚇する。

そんな病院にやってきたのが桜井と天野で、親戚の者です、立花あきらがここにいますよねと外のソファに座っていた車田に桜井が聞くと、いませんよ、どこでその情報を手に入れたの?あんた、親戚じゃないよね?と車田は警戒して来る。

すると天野が、そう云うあなたは?と聞くと、私は自分だよと車だが答えたので、他人に分かるように説明してよと言いながら、勝手に病室に入ってしまう。

天野を見たあきらはやっと会えた!と喜ぶが、一緒に入って来た桜井の事を誰この人?と聞いたので、俺のガイドと天野は答える。 そこに車田が、君たち何勝手に入っているんだ!と桜井たちに抗議に来たので、だからはっきりさせてよ、自分と他人の違いに付いて…、おたく何?自分なの他人なの?と天野は迫る。

すると車田は戸惑いながらも、俺は他人ですよと答えると、自分じゃないんだな?と天野が確認する。

それがどうした?と車田がむっとすると、いきなりあきらが車田に飛びかかり、ちゃんと教えてよ、自分について!としつこくせがんで来る。

車田は、まとわりついて来るあきらを振りほどきながら、何なんだ、さっきから!自分は自分だよ!他人じゃない!と切れ出し、どうせ俺は高卒だから、昇進試験5回も落ちてるし、いくら努力しても変わらないんだ!変われないんだ!と叫ぶ。

その瞬間、もらうよ!と呟いた天野とあきらが2人揃って人差し指を車田の額に付けると、車田は腰が抜けたように崩れ落ちる。 それを見ていた桜井は慌て、何やったんだ?と聞くと、奪ったんだよと天野が言うので、自分と他人を一緒にか!と桜井は驚く。

これは効いたんじゃない?とあきらが愉快そうに言い、じゃあ僕らそろそろ行くけど?と天野が病室を後にしようとすると、車田は呆然としたような表情で、どうぞどうぞ、君たちはもう私なんだから…と言いながら送り出す。

桜井の運転する中継車に乗り込んだあきらは、私間違って近所の女の子に入ってさ…、別の男に入ったら、おばさんが来たもんだから… 自分の内臓取り出して観察していたら、だんだん身体が動かなくなったのよ…などと説明し出す。

それを聞いた天野は、そこに女の子が帰って来て定着できたのか…と納得したように言う。 そんな2人の会話を聞いていた桜井は、君ら宇宙人って事になるの?と改めて確認すると、しばらく密着取材しても良いですか?と聞く。

すると天野は呆れたように、これから侵略されるって言うのに…と苦笑する。

その後、とあるガレージ内に車を停めた桜井は別室で東京の出版社に電話を入れ、オカルト枠じゃダメなんだよ!と今自分が取材している内容を明かしていたが、相手が全く信用しそうにもないので、もうお前に頼まねえよ!と罵倒し電話を切る。

中継車の所へ戻ると、いきなり宇宙人の記事書かせろって言ったんじゃ難しかったんじゃないですか?と声が聞こえていたらしい天野がからかって来たので、君らが何をするのか見届けたいと桜井は答える。

桜井さんってジャーナリストだよね?と面白そうに言う天野は、通信機を作るから部品買って来て、それと、もう1人仲間がいるんだけど何処にいるのか分からないから、何か情報探してるんだけど…などと言い出す。

翌朝、自宅のベッドで寝ていた鳴海は、誰かに左足を触られた感触に驚き目覚めるが、部屋には誰もいなかったので、真治の様子を観に行くと、真治はすやすやと眠っていたので、その足を触ろうとしてみる。

その後、デザイン事務所にプレゼン用のポスター案を持っていった鳴海だったが、鈴木社長は、これどう言う事よ!前の焼き直しで良いって言ったよね?あなたの個性なんかいらないの!こんなのならネットから売れ筋のイラストをパクって来た方がましだよ!と強烈なダメ出しをして来る。

加瀬さん、分かってる?仕事って…、仕事って何!としつこく絡んで来る。

そんな鳴海は、事務所内に突然真治が入って来たので驚く。

誰?と鈴木が聞くので、夫ですと答えた鳴海は、付けて来たんだと真治が言うので、ごめん、今仕事中なの!と慌てて追い返そうとする。

しかし真治は動じる事もなく、仕事ってこれがそうなの?あの…、仕事って何ですか?あなた、分かります?と鈴木社長に詰め寄って行く。

お金の関係!管理と服従の関係!などと答えた鈴木は、うるさそうに、加瀬さん、やり直して!と鳴海に言いつけるが、それでもなお真治は、仕事って何ですか?言葉じゃなくちゃんとイメージして!あなたの頭の中に!もっと鮮明に!と鈴木社長に迫る。

次ぎの瞬間、鈴木はその場に倒れたので社員たちは驚いて集まって来る。

なんか変だ…と鈴木が呟いている間に、鳴海、行こうと真治は鳴海を会社の外へ連れ出す。

しかし鳴海は立ち去りがたく、何をやったの?と聞くと、真治は、仕事の概念をもらった…、鳴海は家でもこの事に縛られていた…、俺はガイドにそんな事させたくないから奪ってやった…と言うので、鳴海は勝手に何やってるのよ!私ここから仕事もらってるのよ!と怒鳴りつけ、デザイン事務所内へ戻ってみると、鈴木社長はすっかり子供に戻ったように、紙飛行機を飛ばしたり、デザインサンプルの建築模型を怪獣のように破壊しまくっていた。

それを見た真治は、あいつも本当は解放されたかったんじゃないかなと呟く。

外に出た真治は、むっとして先に帰ろうとする鳴海を呼び止め、聞いて!俺、本当は宇宙人なんだと告白する。

しかし鳴海はへえ~と相手にしないので、嘘じゃない!と真治は繰り返すが、それが何なの?と鳴海は興味を示そうともしない。

今は俺が真治だ、前と少し違うかもしれないけど…と真治が言うと、これ一種の復讐?私、何かした?と鳴海は頭から信じようとしないので、俺の本当の姿は見えない、真治と共存する事で話が出来るんだ。元の真治は眠っている。

俺が新しい加瀬真治になったんだよと真治が懸命に説明すると、それで目的は?と鳴海は聞く。

人間の概念を集めるため、真治の身体が必要だったんだ…と真治が答えると、明日美からも奪ったの?と鳴海は聞く。

家族の概念を…と真治が答えると、もう元へは戻らないの?と鳴海は呆れる。

これは仕事なんだと真治が言い訳すると、じゃあ、宇宙人らしくしたら!目から光線出して1人残らず人間殺しまくるとか!もうどうでも良い!と鳴海は逆上し去って行く。

その頃、電気屋で天野らから指示された部品を購入していた桜井は、店内でその様子をさりげなく観察していたスーツ姿の初老の男から、週刊ワールドの桜井さんですな?厚生労働省の品川(笹野高史)と言いますと声をかけられる。

近くの喫茶店で話を聞く事にした桜井は、新型のウィルスですか?と品川に確認すると、感染している疑いがありますと品川は言う。

県内のあちこちで意識障害の被害届が出ているのですと言うので、世界中では?と聞くと、そこまではどうも…と品川は口ごもる。 私も探しているんだと桜井がごまかそうとすると、お分かりですか?あなたのみに危険が迫っています。

ウィルスは知らないうちに侵略するのです。まともに戦える相手ではありませんと訴えて来る。

その時、店の前に止まった黒井版から降りて来た男が入り口には言って来たので、ちょっと失礼と桜井に詫びて席を立った品川は、その男から、分析結果が出ましたと伝えられると、すぐ行くと答え、席に戻って来ると、私は移動せねばなりません。これはGPS発信器ですが、今はオフ状態になっています。

何かあったらすぐにこれをオンにして下さいと言いながら、小さな装置を桜井に渡すと、ジャーナリストとは言え、軽率な判断を決してなさっては行けませんよと言い残し店を出て行く。 怒って先を急いでいた鳴海は、横断歩道の所で、停まって下さい!と指示している自衛隊員に制止される。

店を出た桜井も、自衛隊関係の車両が通過していくのに気付き、その中の一台の車に近づくと、中に乗っていた人物に、宇宙物理学の吉川先生ですよね?自衛隊と行動を共になさっている訳は?と問いかけるが、車はそのまま進んでいく。

そんな中、路上で何か演説をしている青年がいた。

戦争が始まろうとしています!戦争の責任は私たちの方にもあると思うんです!物への欲望が相手を恐れるようにさせるんです!と群衆を前に話しかけていたのは丸尾だったが、鳴海と一緒に通りかかった真治に気付くと、あ、しんちゃん!やっと会えたね!とうれしそうに近づいて来る。

そして丸尾は、どう?地球には慣れた?しんちゃんに会ってから気持がすっとなったんだ。

どんなピンチも防がなくっちゃって分かったんだよ。

しんちゃん、俺に何をしたの?と丸尾が熱心に聞いて来るので、俺はしんちゃんじゃなくて加瀬真治と言うんだと真治が教えると、教えて下さい!俺はどうなっちゃったの?と丸尾は訴えて来る。

しかし真治は、行こう!鳴海と声をかけ、その場を去って行く。

そんな様子を、道路の反対側にいた桜井は目撃する。 ガレージでは帰って来た桜井が買って来た部品を使って通信機作りを始める。

桜井は、ジャーナリストの暗証番号を使って政府の極秘情報を入手しようとするが、ガードが固く全く情報を手に入れる事が出来たいと気づき、そんなので出来るのか?政府は情報コントロールをし始めたと天野たちに伝え、自体が分かってないのは俺だけだ!と苛立つ。

すると天野が、ちゃんと独占取材してるじゃないとからかうように言うので、3人目がいた。

都市は30くらいと桜井が目撃した真治の事を教えると、早く会わせてくれと天野が言うので、今、住所を探している、孟ちょっと待ってくれと桜井は答える。

で、その男と会ってどうする?と桜井が聞くと、人間ってこんな物かなって分かったから、通信機で通信して侵略を開始すると天野が淡々と言うので、地球はどうなるんだ?と桜井が聞くと、どうもならないですよ、人類がいなくなるだけで…と言う。

人間も抵抗するぞと桜井が反論すると、そうねえ~、もっと簡単にすんじゃうかと思っていたけど、3日はかかるかも…などと天野は答える。

そっちだって犠牲者出るんだろう?共存って訳にはいかないのか?と桜井が聞くと、あれ?桜井さんって残りたいの?サンプルとして何体か残すから、それに加えてやろうか?と天野が言うので、いやいや…、遠慮しとくよと桜井は苦笑する。

その間にも通信機作りに励んでいたあきらは、なんかさ~、地球の部品ってださくない?とバカにしたように言うと、針金探して来ると良い、外に出て行く。

あきらが、ガレージの外で針金を物色している所ややって来たのが警邏中のパトカーで、1人の警官が降りて来て、ちょっとあなた、そこで何やってるの?と話しかけて来る。

振り返ったあきらに、女子高生?どこの高校?もしかして立花あきらさん!と気付いた警官が無線で連絡を取りかけたので、飛びかかったあきらは、警官の拳銃を奪ってその場で射殺する。

さらに、銃尻に付いた紐を外したあきらは、パトカーの運転席の警官に拳銃を持った右手でフロントガラスを突き破り射殺する。

銃声に気付いて飛び出してきたさくらいは事態を見て仰天し、何やってるんだ!これは許される事じゃないんだ!と怒鳴ると、桜井さんも警官好きじゃないじゃないですかとあきらが言い返して来たので、それとは話が別だ!と苛立ちながらスマホで救急車を呼ぼうとするが、すぐさまかおるに奪われ、足で踏まれて壊されてしまう。

地球ではこんなことしたら罰を受ける事になっている!君も同じ目に遭うってことなんだ!と桜井は説明する。

そんな桜井の態度に、あきらは感じ悪い!桜井さんって地球の代表?とバカにして来たので、彼らのバックには警察と言う巨大な組織があるんだ、逃げなくちゃ!3日で侵略できるなんて言って…、やっぱり騙したんだな?と桜井は怒り出す。

バン借ります!と天野が言い出し、あきらも、私もと賛同する。

その頃、町中を帰っていた鳴海の様子の変化に気付いた真治が、どうしたの?と聞くと、誰かに見はられているような気がする。

思い過ごしかもしれないからこのまま歩こうと言う。

しかし、彼らの背後には数名の男たちが付いて来ていたので、そこの路地入るよ、入ったら走るよと鳴海は言う。

路地を曲がった所で全速力で逃げ出した鳴海と真治だったが、陸橋を尾たった所で、真治が立ち止まり、誰だろう?ちょっと話して来ると言い出すと1人戻っていったので、待って!しんちゃん!勝手な事しないで!と呼びかけながら慌てて鳴海も真治の後を追って行く。

しかしなかなか真治の姿は見えず、道ばたに立っていた品川に鳴海がぶつかってしまうと、どうしました?誰かお探しですか?と話しかけられたので、それを振り払って駈け戻った鳴海は、橋の下で、数人の男の1人が真治の前で倒れ、その男を抱いてみんなが去って行く所を目撃する。

陸橋を降り真治の元に駆け寄った鳴海は、何やったの?勝手に!どうして行っちゃったの?1人にしないで!と怒鳴ると、そうか、俺たち夫婦だと真治が間延びしたことを言うので、そう云う事じゃない!ガイドなんでしょう?パートナーなんでしょう?しんちゃん、私いないとやっていけないんじゃない?と問いかけながら鳴海が抱きついたので、真治も戸惑いながら背中に手を回す。

やがて2人が教会の前を通りかかると、中から聖歌隊が歌う賛美歌が聞こえて来たので、この歌、結婚式の時の聞いた奴!入ってみようか?と言い出す。

真治は、教会の前に「愛とは何か」と書かれた掲示板があったので、愛か…と呟きながら後に付いて中に入る。

教会の椅子に座った鳴海は、無理して教会で挙げたわね…などと1人思い出に耽っている間、億の部屋に入り込んだ真治は、ちょうど歌を歌い終わった聖歌隊の前に座る。

アーメン♩と聖歌隊の少年少女が歌い終わると、今日はここまでです、ありがとうございましたと若い女性が子供たちの前にやって来たので、ちょっと聞いて良い?愛って何かな?今、歌ってたよね?と真治は聞いてみる。

女性は驚くが、子供たちは無邪気に、男と女の間にある物とか、愛は世界平和のために必要なんだよとか、ピンク色でふわふわしていて…、でもしつこいのは嫌われるの!などと口々に答える。

そこに牧師(東出昌大)がやって来たので、子供たちは、先生!この人、愛って知りたいんだって!と声をかける。

真治も牧師を見ると、良かった、あなたならイメージできるんですね?と喜んで、机に座った牧師の前に対峙する。

すると、牧師は、愛はあなたの内側にありますなどと言うので、いや、ないですよ、だから聞いてるんですと真治は答える。

すると、牧師は、愛とは寛容であり親切、人を妬まず、礼儀正しくて怒らず、人の悪を咎めず…などと色々言い始めたので、ちょっと多すぎる!と真治は困惑する。

それでも牧師は、愛は決して絶える事がありません…などと抽象的な事しか言わない。

困惑した様子で奥の部屋から姿を現した真治に気付いた鳴海は、しんちゃん、何やってたの?と聞くと、うん、まだ何も…、愛は何なのか教えてくれるって書いてあったからさと真治が言うので、又奪ったの?と聞くと、愛なんて誰もイメージできないんだと真治が言うので、そんなもの人から奪わないでよと鳴海は文句を言う。

人気のない駐車スペースに停めた中継車の中で一夜を過ごした桜井だったが、助手席で目覚めた天野が、あれ?桜井さん、寝てないの?心配性なんだとからかう。

それでも桜井は、良いか、俺たちは犯罪を犯した。

俺のジャーナリスト生命も終わった…と真顔で答えると、もう1人の居所もまだ分からない。あいつがスマホ壊したから時間かかるんだよ…と、あきらの事を恨みがましく愚痴る。

そんなもので通信できるのか?と桜井が後部座席のあきらに聞くと、これとアンテナの台座にはめ込むの…とあきらは組み立てた通信装置を見せるが、ださ!とバカにする。

その直後、車の窓から外を覗いたあきらが、誰かいる!と言い、外へ飛び出して行く。

そこには、怪しげな2人の男が中継車の様子を見張っていたので、背後から近づいたあきらは2人に飛びかかる。

すると、1人の男がマシンガンを取り出したので、素早くそれを奪い取ったあきらは、その場で2人を射殺してしまう。

マシンガンの乱射音に驚いた桜井が車から降りて駆けつけて来る。

何やってんだ、君は!と怒ると、だってこの人たち、凄い怪しかったんだもの…、それにこんなもの持ってたし…とあきらは機関銃を見せながら言う。

周囲を見渡すと、あの黒いバンに乗った連中が慌てて退散していく所だった。

これで全面戦争か…と桜井が覚悟すると、どうしてこの場所が分かったんだろう?と天野が言い出す。

するとあきらが桜井の服からGPS発信装置を抜き出し、天野が誰にもらったんだ!と睨んで来る。

ずっとオフのままだろうと桜井が弁解すると、これフェイクだよ、ずっとオンの状態になってると装置を見たあきらが指摘したので、品川に騙されたと気づいた桜井は、装置を受け取るとその場に叩き付け悔しがる。

それを見た天野は、はめられたんだよ桜井さん…、人類に…、そろそろ考えたら?どっちに付くか…と冷静に忠告して来る。

翌朝鳴海は自宅で真治と2人で朝食を食べていたが、旨い!と真治が言うので、本当?それ、しんちゃん、嫌いだって言って今まで一度も食べなかったじゃないと鳴海が指摘すると、何でだろう?こんなに旨いのに…と真治が不思議がるので、良かった、どんどん食べて!と鳴海も気分が高揚する。

その時、電話がかかって来たので、鳴海が出てみると、それは真治を診察した精神科の医者で、新種のウィルスなどと言うので、宇宙人じゃないんだ…と呟いた鳴海は、すぐに連れて行きますと答える。

何?と電話の事を真治が聞いて来たので、しんちゃんやっぱり病気なんだって…と鳴海は伝える。 2人で病院へ行ってみるとロビーは多数の患者で騒然としており、鳴海と真治は長い列の後ろに並ぶ事にする。

そんな鳴海たちに、あなたどうです?地球が終わってしまうんですよなどと意味不明な事をアロハシャツの男が話しかけて来るが、すぐに親戚らしき者たちがその男を引っ張って行く。

その時、担当医がやって来て、加瀬さん!並ばなくて良いから!と声をかけて来るが、病院内では自衛隊員たちもおり、防護服を着た男が急におかしくなったのを見た鳴海は、ここにいては危険だと察し、すぐに行きますから!と答えると、真治を連れて病院を逃げ出す。

エアギターを弾いているロッカーのような男等も家族に連れられ病院へやって来るが、前に出会ったあの品川もやって来たので、行こう!ここにいたら危ないと鳴海は真治に伝える。

真治と車に乗り込んだ鳴海は、本当に宇宙人なんだよね?と確認し、良いよ、分かった!家に帰って荷物をまとめ、この街を出て、逃げられる所まで逃げようと言い出す。

ところが、自宅前に戻って見ると、怪しげな男が家の中の様子を覗き込んでいたので、しんちゃん、ここにいて!出ちゃダメだよと言い残し、鳴海が1人で家に向かう。

どなたですか?と鳴海が声をかけた人物は桜井だった。

桜井って言う者ですが、加瀬さんは?と桜井が聞くと、いませんよと鳴海は言うので、奥さんですか?と聞いて来た桜井は、ひょっとしてあなた、ガイドじゃないですか?俺もガイドなんです。

ご主人、人の頭から概念を奪ってないですか?と桜井は言いながら、鳴海と一緒に家の中に入って来る。

奪われた人間は急に人格が変わってしまう…、目的知ってます?侵略ですと桜井が教えると、荷造りをしていた鳴海は、そんな事聞いてません!と答える。

宇宙人はもう2人いるんです、人類を攻撃しようとしているので、その2人と加瀬さんを絶対会わせてはいけない!侵略が始まります!と桜井が訴えると、あなたがどうかしたらどうなんです!と鳴海が興味なさそうに言い返すので、それが出来たらこんな所にわざわざ来ないよ!と桜井は苛立つ。

そこへ、どなた?と言いながら真治が入って来る。

桜井は真治を見て、宇宙人!観念を奪って侵略する…、ズバリだろう!と指摘すると、鳴海、この人誰?と真治は不思議そうに聞いて来る。

ガイドなんだって…と言いながら、鳴海は真治を連れて家を出て行こうとするが、真治の方は、あなたがガイド!2人の場所を教えて!と桜井に頼んで来る。

鳴海が真治を連れ車に乗り込もうとしている所へ、反対方向から加瀬家に近づいて来た中継車が停まり、中から降りて来た天野とあきらが、やっぱりここだ!凄いね、ネットの威力はなどと話し合いながら家の前にいた桜井に近づくと、桜井さん、勝手な事しないでよと天野は文句を言う。

2人はそのまま真治の車の方へ向かい、彼らに気付いた真治も車を降りると3人は向かい合う。

車の中から、しんちゃん行くよ!と声をかけた鳴海は、真治が乗り込んで来ると、何なの?あいつら…、車なんかに乗ってと天野たちの事を聞くと、仲間だよと真治が言うので、子供じゃない!そんな事今まで言わなかったよね!と問いただす。

言わなかった…と真治が答えると、それから侵略の事とか!本当に侵略するの?と苛立たしそうになるみが聞くと、そう云う予定になってる…、もう3人で会話したし…と真治は打ち明けたので、あれで!と鳴海は驚く。

後は通信機が出来れば始まると真治が言うので、待てないの?50年くらい…、宇宙人なら…と鳴海が無茶を言うと、それは無理だと真治は言うので、それじゃダメって事じゃない!最初からダメだったってことじゃない!いやんなっちゃう!期待して損しちゃった!と鳴海は愚痴る。

スーパーの敷地に車でやって来た鳴海が降りて歩き出したので、待って!鳴海!俺、どう見ても真治だろう?これが真治だよな?もう分からないんだ…、真治が俺の一部になったのか、俺が真治の一部になったのか…と真治は言い出す。

でもこれで良かった…、もう一度鳴海と最初からやり直せると真治が言うので、もう遅いよ!何で今頃言い出すの?人生残ってないじゃない!と鳴海は怒る。 そこへ、中継車に乗った桜井、天野、あきらたちがやって来る。

車を降りたあきらは、私、何か飲み物買って来る…と天野に聞くが、俺?いらね!と天野は断る。

桜井は天野に、加瀬真治さんともう全て話し合ったと言うんだね?と確認する。

鳴海は真治に、ダメよ、あなたしんちゃんなんでしょう?だったらあの人たちと何の関係もないじゃない!と説得し、再び車で出発しようとする。

メロンソーダを買って店から出て来たあきらは、真治の乗った車が走り出したのに気付き、慌てて車の前に飛び出し静止しようとするが、鳴海のブレーキが間に合わず撥ねられてしまう。

運転してた鳴海は、撥ねちゃった!どうしよう!とパニクるが、良いよ、向こうが飛び出したのが悪いんだ…と助手席の真治は無表情に言う。

道に倒れたあきらは、天野が側にやって来ると、何か酷い…と流血しながらぼやく。

車、よけなきゃダメだろう…、誰かに移るか?と天野は話しかけるが、あきらは、別に…、大体の事はやったし…と言うと、これ、完成したからと言いながら通信機を差し出す。

それを受け取った天野がサンキューと言うと、ヤバいかも…と言ったあきらはそのまま息絶えてしまう。

そんなあきらの死体の周囲に野次馬が集まっていたが、そんな中、桜井が突然、みなさん!ちょっと笑わないで聞いて下さい!今、人類に一つの聞きが迫っています!あの若者は一見おとなしそうに見えますが、地球を侵略しに来た宇宙人です!と演説を始める。

しかし、誰一人まともに耳を傾ける者等いるはずもなく、三々五々野次馬は散って行く。

そんな中、桜井はなおも、何もしないうちにこう云う事になるんです!マジになって、頭の中で想像して下さい!相手は宇宙人なんです!散歩する侵略者だったら…と演説を続けようとするが、無駄だと悟ると、君らこんな事で動かないな…、OK!言う事は言った、後は君らの判断に任せよう、じゃあな…と言って話をやめる。

近づいて来た桜井に、気がすんだ?と聞いた天野はあきらが残していったソーダ水を飲んでいたが、それを桜井に手渡す。

カップを受け取った桜井は蓋を開け、その場でメロンソーダを一気に飲み干す。

行く?と天野が促すと、おお!と桜井は意欲的になる。

丘の上に車を停め、鳴海は真治と一緒に夕焼けを見ていた。 中継車で移動し始めた桜井に、天野は、ところで桜井さんって家族いるの?と突然聞いて来る。

すると桜井は、いるよ、別れた妻と息子がとあっさり答える。

息子はちょうど天野君くらいの年だろうな…、もう2年会ってないからと教えたさくらいは、天野君に入るの?と逆に問いかける。 仲間みたいな者ならいるよ…、生まれて今日まで、そいつらのために俺も頑張らないと…と天野は答える。

すると桜井が、この間の話だけど、少しだけ人間を生かしておくって…、サンプルとして…、やっぱり俺、志願しようかな?と言い出したので、そう来た?大歓迎だよと天野はうれしそうに言う。

真治は、泊まってく?と車の中で聞くと、鳴海もうんと答えたので、その夜はホテルに泊まる事にする。

翌朝、採石場のような場所に到着した天野は、中継車を降りると、じゃあやろうか?と言いながらアンテナが付いている中継車の屋根に登る。

桜井も電源コードを持って、近くにあった工場内の電源に繋ぐが、その時、例の黒いバンがやって来たので、桜井は思わず身を隠す。

しかし、つい足下のバケツを転がして物音を立ててしまったので、晩の連中からマシンガン掃射を受ける。

それを、止め!と静止した品川は、桜井さん!あんた本来なんの関係もないですよね?ただ巻き込まれただけですよね?と呼びかけて来る。

正直言って邪魔なんです…と品川が言っていると、背後から近づいて来た天野が、いや、分かんないな…と声をかけて来る。

すると振り返って天野を見た品川は、君らみたいなのを言うんだよ!君らは地球人に穫って邪魔なんだ!と品川が睨んで来たので、じゃあイメージしてみて!邪魔者とか…、そうそうもっと鮮明に!と天野は言いながら近づいて来る。

次ぎの瞬間、天野はめまいを覚えたようにふらつき、危ない!と呟くが、天野は、もう手遅れ…、もらっちゃったと言う。

謎の男たちがそんな天野にマシンガンを撃って来たので、撃たれながらも天野は床に落ちていたマシンガンを拾い上げ応戦する。

血まみれになった天野に、天野君!大丈夫か!と呼びかけながら桜井が駆け寄ると、うん、全然…と天野は答える。

床に倒れていた品川に近づくと、みんな、友達だよね…と品川は笑顔で言って来る。

もちろん!と桜井は答える。

さ、戻るよ…と言いながら中継車の方に向かいかけた天野だったが、突然床に倒れる。

いけね…、だんだん身体が動けなくなっていると天野が言うので、その身体を支えてやりながら、早く他の人間に移った方が…、俺に乗り移れば?他にろくな奴いないぞと桜井は勧める。

でもね、どうしてここが分かったんだろう?と天野が不思議がるので、衛星が俺のバンをロックしていたんだろうと桜井は推測を言う。

支えて歩かせていた天野が又がっくり倒れ込んだので、何だ、宇宙人だろう?しっかりしろ!必要なんだろう?俺が…と桜井は励ます。

外の中継車の所へやって来た桜井は、電源コードを繋ぐと、車の屋根に上り、通信機をアンテナの根元の装置にセットする。

すると、アンテナが起動し、方向を変えたので、桜井はにんまり笑う。

すると、上空に謎の飛行機が接近して来たので、車の下に降り、落ちていた機関銃を拾い上げた桜井は、飛行機に向かって発砲しながら中継車から離れる。

飛行機から爆弾が投下され、桜井の周囲が大爆発を起こす。

それでも必死に中継車から遠ざかった桜井は、再度向かって来た飛行機に向かって機関銃をぶっ放すがすぐに弾切れになる。

桜井は地面に落ちていた石を拾い上げ、空に向かってヤケになったように投げつけるが、また飛行機が戻って来て爆撃を始めたので、桜井は倒れる。

飛行機が去った後、立ち上がろうとした桜井だったが、左足がおかしくなっており、それを無理矢理引きずりながら前進しようとし、向かって来た飛行機に向かって指を突き出すが、次ぎの瞬間、爆発に飲み込まれる。

ホテルの窓から、爆発の様子を見ていた真治は、お?巧く行ったようだな…、そろそろ始まるよ、侵略…と呟くと、ベッドに寝そべっていた鳴海は、そう…と力なく答える。

これで大体仕事は終了かな?と真治が言うと、人間はどうなるの?と鳴海が聞く。

すると真治は、いなくなる…、侵略だから…と淡々と答える。

しんちゃんは?と鳴海が聞くと、俺もいなくなる…と真治は言うので、それを聞いた鳴海は、ここへ来て!とベッドに誘う。

そうなる前に私が先にいなくなっても良いよね?しんちゃん…、簡単な事だから…、もっと力を込めて…と、真治に自分の首を締めさせようとする。

しかし真治がそれを拒否するので、ちゃんと締めて!と鳴海が叱ると、強く締めたら死んじゃうじゃないと真治は戸惑う。

だから、そうしてって言ってるの!と鳴海が言うと、ダメだ!と真治は拒絶するので、思わず鳴海は真治に抱きつく。

しようがないな…、私、これでもう十分なんだから…と言いながら、鳴海は真治と抱き合う。

そうだ!しんちゃん、愛って言う概念、もう奪った?まだ?それじゃあ私から奪ってと鳴海が言い出したので、ガイドからは奪えないよと真治が断ると、今、私の中、それでいっぱいなの!私の愛をしんちゃんに挙げる!奪ってから帰って!もう言葉なんてどうでも良い!奪って!と鳴海は迫り、あ!あれ?私、奪われた?本当に奪った?別にどうと言う事ないんだけど…と鳴海は戸惑いながら起き上がる。

一方、ベッドから離れた真治は、わ〜!うわ〜!何だこれ?凄い!と言いながら床に崩れ落ちる。

その後、ホテルを出て、海の見える丘の上に車で到着した真治は、海を見渡し、おお!と1人感動する。

そして、来て!と車の中の鳴海を呼び寄せると、一緒に海を眺め、全部違って見える!と真治は感激したように言うが、鳴海の方は、何にも変わらないと無表情に言う。

海の上にたれ込めていた雲海の中心部分が赤く輝き出し、その部分から大量のUFOが火の粉のように降って来る。

そのUFOは拡散し、地上を攻撃し始めたので、真治は鳴海を抱いて車の背後に隠れる。

2ヶ月後 ダンボール箱を持って病院へやって来た真治は、持って来た薬品の類いをたなに並べ始める。

そこに近づいて来た女医(小泉今日子)が、加瀬君、いつもありがとうと感謝して来る。

どうして宇宙人は侵略を途中でやめたのかしら?理由が分からないわ…、君はどう思う?と女医が言うので、地球に来て、1つ賢くなったんじゃないですか?としんjん地が冗談のように答えると、そうかもね…と女医は笑う。

あいつら、やって来た事自体が何か意味があるんじゃないかな?って思ってるの…と女医は続ける。

人類は今、山のように問題を抱えているでしょう?それを1から考えるなんて出来ないんだから…と女医は言い、後は後遺症ね…、概念の欠乏とそれに伴う意識以上…と言う。

人類もしぶといよね…、患者も徐々に治っているしね…、でも鳴海さんのような症状は他になかった…、未来を信じましょうと女医が言うので、真治は灰と答え、子供たちや患者たちにみかんを配り始める。

そして、最後に病室で椅子に座っていた鳴海に会った真治はみかんを差し出すが、鳴海が反応しないので、側の棚の上にみかんを置くと、自分も向かい合って椅子に座る。

ずっと側にいるよ、最後まで…と真治は心の中で呟く。
 


 

 

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