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亜人

人気コミックの実写化らしいが、原作は知らない。

冒頭からテンポ良く話は進み、アクションの連続で最後まで楽しませてくれる。

原作を知らないので、最初は誰が誰なのか分からないが、大半は話が進むにつれ見当がつくようになっている。

ただ1人、戸崎のボディガード役を勤めている下村泉だけは、何となく理解できるものの、格闘技が出来る上に秘書としても有能なようで、御都合主義の出来過ぎキャラクターに見えなくもない。

その童顔風の顔つきとアクションとのギャップの面白さはあるのだが。

亜人を匿った老婆の家の様子を伺いに来た近所の住民たちのシーンは夜なのに、中に呼びかけるのは昼間だったりして、その間の経過も良く分からなかったりするような部分もあるが、細かい所を突っつくのは無粋かもしれない。

「シン・ゴジラ」に出ていた中村育二さんや國本鍾建さん、「踊る大捜査線」シリーズでお馴染みの高杉亘さん、ベテラン吉行和子さんや、大林宣彦監督、大森一樹監督まで意外な顔も登場しており、映画好きなら見所は少なくない。

直線的に話が進む関係上、人間の掘り下げとかの膨らみは少なく、その辺に不満を持つ人もいるだろうが、和製アクションものとしては悪くないのではないかと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2017年、映画「亜人」製作委員会、桜井画門原作、瀬古浩司+山浦雅大脚本 、本広克行監督作品。

「亜人」とは、死ぬ事が出来ない新しい人類の事である。

一時的な死を迎えても、すぐに生き返る事が出来る。

20年前にアフリカで最初に発見され、その後、世界中で40体発見された。

日本政府はそんな「亜人」研究をしている。 瞳のアップ 全身包帯にまかれ、額に「003」と刻印が押された被験者永井圭(佐藤健)は、ガラスの向こうから何人もの大人が見つめる中、実験室の中で手術台に縛り付けられていた。

リセット完了です!と立ち会っている医者が報告し、各種身体データを監視させる中、ただちに左手を切断される。

生きたまま左手を切断された永井は激痛に苦しむが、ガラス越しに観察していた厚生労働省の職員戸崎優(玉山鉄二)は、次は足を切断しろ!「002」との比較をするんだと、実験室内の医者たちに命じる。

さらに生き返った永井は、リセットだと言われ、ナイフを突き立てられる。 又か!一体いつまで続くんだよ…、僕が何をしたと言うんだよ?いつからこんな事をされているんだ!

度重なる激痛に絶えながら、永井は自分がトラックにぶつかったときの事を思い出していた。

(回想)轢かれて路上に倒れた永井を見た野次馬たちは、救急車だ!などと騒いでいたが、やがて、むっくり長いが立ち直ると、死んだんじゃないのかよ!あいつ亜人だぞ!と騒ぎ始める。 何で僕が…

タイトル

千代田区で交通事故に遭った、東都大学付属病院の研修医の永井圭、26歳が、3日前に新たな亜人と判明したとのテレビニュース。

(回想明け)2年前の事でしたね…と、ガラス窓越しに実験室の永井を見ていたSAT隊長(高杉亘)が指摘すると、警護の方は頼みますと戸崎は頼む。

永井が実験されていた「亜人研究所」の建物の前にはマスコミ関係者が多数集まっていた。

国民は多いに注目している、万一この実験が知られる事になったら…と、厚生労働大臣(中村育二)が戸崎に不安を口にしていた。

そんな研究所の壁が突如外から破られ、不審人物が二名侵入して来る。

懐かしいね!田中君、宜しく頼んだ!と相棒の田中功次(城田優)に後を任せた佐藤(綾野剛)は、次々にガードマンを射殺しながら研究所の中に進んで行く。

戸崎君もいるんでしょう?永井君も… 今夜、日本の亜人事情は一変するね!などと喚きながら実験室へ近づく佐藤の様子をモニターで見た戸崎は、眠らせて保管しろ!と命じる。

佐藤は、うれしそうに、行くよ!とガードマンを倒して行くが、左手に麻酔薬が打たれると、すぐに自分の左腕を壁にぶつけて切り落とすと、自らの喉に銃をあてがい発砲して息絶える。

しかし、すぐに生き返った佐藤は左腕も再生し、残りのガードマンを射殺すると、医師たちから連れ出されようとしていた永井のストレッチャーの所へ来て、お早う!永井君!私は佐藤だよ!君と同じ亜人だよと自己紹介する。

僕を助けてくれたんですか?と起き上がって聞いた永井に、ざっと見て20人の死体…と周囲を見回し、でも君はそれ以上に殺された。

この国は息をつくように嘘を言う。連中は我々クォモルモットとしか見ていない。

共に戦おう!亜人の未来のために!と呼びかけた佐藤は、逃げ後れていた医者3人に向かい中を向けるが、急に気が変わったのか、その銃を永井に渡し、君がやれ!君に苦痛を与えた奴らだろう?君には殺す権利があると佐藤が言うので、言われるがままに銃を医者たちに向けた永井だったが、命乞いして来る医者たちを見ていると引き金は引けなかった。

止めておきますと言う永井に、何故だ?と佐藤が聞くと、この人たちを撃った所で、私が嫌な思いをするだけでデメリットしかないと永井は答える。 それを聞いた佐藤は、君はユニークだな…と驚いたように言うと、自分の銃で1人の医者を射殺する。

俺は殺すのが好きなだけだと佐藤が言い、さらに撃とうとしたので、永井は持っていた銃で思わず佐藤を撃ってしまう。 撃たれた佐藤は驚いたようだったが、すぐに怒りの表情に変わり、君はとんだ期待はずれだ!ぶち殺してやる!と叫ぶと、自らの頭を打って自殺する。

その間に、永井は生き残った2人の医者を連れ、資材部屋に逃げ込む。

すぐに蘇った佐藤は、かくれんぼうか?面白い…と大声で話しかけて来る。 永井君、君は分ているはずだ、人間がいかに矮小で卑劣かを。

その医者たちも人類の進化のためなどと言われ、いつしか心が麻痺したんだろうが、人間の心はどこまでも弱いんだと佐藤は呼びかけて来る。

それを資材置き場で聞いていた永井は、あんたらが僕にした事は忘れないけど、今はここから逃げる事が先決だ!僕が何とかするから、あんたらは逃げ道を教えるんだと2人の医者に指示する。

永井君!さっさと2人を殺して出て来るんだ!と永井は言いながら、資材置き場にやって来るが、棚の奥に手先が見えている事に気付き、そっと近づいて行く。 その時、背後の棚の上に身を潜めていた永井が佐藤に飛びかかる。

永井は自分の左手首を切断しておとりに使っていたのだった。 しかし、ナイフを佐藤の首に突きつけた永井の腹にも、佐藤の持っていた鉈があてがわれていた。

惜しいね!悪くない作戦だったけど、詰めが甘い!と言いながら、永井を振り払った佐藤は、鉈を振り回しながら攻めて来る。

永井はナイフで自分の頸動脈を斬って死ぬ。 それを見た佐藤は、良いね、初めてのリセット!とからかうが、瞬時に生き返った永井は銃を撃って来る。

先に逃げていた2人の医者は、階段を登る前に、壁に上絵の矢印を1人が書くので、そんなの書いたら、奴らみんな追って来るぞ!ともう1人が注意すると、でも約束だからと書いた医者は答える。

一方、戸崎は下村泉(川栄李奈)に、お前はここにいろ!誰が私を守る?と命じたので、泉は分かりましたと答える。

逃げていた医者の1人は、追って来た佐藤に背後から射殺される。

迫って来た佐藤の身体から、黒い粒子のような物が湧き出て、見た事もない人体のような物を形作ったので、それを見た永井は驚くが、いつの間にか、自分の身体からも同じような物体が出ている事に気付く。

こんなに大量に!凄いじゃないか!とそれを見た佐藤は驚きながらも、これが亜人の持つ能力だ!と教える。

佐藤のゴーストと永井のゴーストが戦い始める。

その隙に、今だ!逃げようと最後の医者が永井に声を掛けるが、その医者も佐藤に撃たれてします。

永井は佐藤のゴーストに襲われ、佐藤から撃たれる。 もう1回行くよ!と生き返った永井が叫ぶと、永井のゴーストが2体出現する。

それを見た佐藤は、2体目を出せるのか!と又驚く。

永井の能力に感心した佐藤は、自由だね、永井君…とからかうが、永井のゴーストに殴られてしまう。

何とか、研究所の屋上に逃げ根んだ永井だったが、すぐに銃を持った佐藤が追いかけて来て、鬼ごっこも終わりにしようと言って来る。 次ぎの瞬間、永井は大きくジャンプして隣の棟へ飛び移る。

そんな永井を佐藤は銃で狙うが、地上のマスコミ陣が騒ぎ出した事に気付き、銃口を外すと、ま、良いか…とその場は諦める事にする。

永井が脱走した事を知ったテレビ各局は一斉にレポーターが現地レポを報じ始める。

研究所近くに「イルカ・ウォーター」と書かれたトラックの横に車いすに座った田中が待ち構えている所に合流した佐藤は、永井圭は?と田中から聞かれ、予想以上に凄い奴だと教えるが、焦りはしないよ…と言うと、田中の車いすを押してマスコミ陣のいる場所へ移動する。

近づいて来る車いすの田中に気付いたマスコミ陣は、国内2例目の亜人では?と指摘するが、押して来た佐藤は、そうしたレポーターたちを前に、国民の皆さんに伝えたい事があります。この国の国家権力は亜人を人体実験していますと静かに伝える。

その人体実験から生まれた数々の結果は、グラント製薬やフォージ重工をはじめとする、食品、医療メーカーに利用され、政府は莫大な利益を得ています。

この2年間に行われた人体実験の証拠映像は、「亜人ドットコム」にアップロードしていますと佐藤が言うので、泉や戸崎も研究室内のモニターで確認してみると、確かにそのサイトに実験映像がアップされていた。

皆さん、亜人とは何でしょう?モルモットですか?こんな非道が許されて良いのでしょうか? 我々の願いは一つ、亜人にも基本的人権を認め、亜人のための特別自治区を与えて欲しいのですと佐藤は涙ながらに訴える。

この佐藤の演説映像は瞬く間に全国に広がり、テレビやネットでは心理学科教授藤川翔(大林宣彦)や評論家(大森一樹)らを中心に喧々囂々たる議論が巻き起こる。

佐藤に名指しされたフォージ重工の石丸社長(堀内正美)はインタビューの答え、内容を全否定する。

ユーチューバーのヒカキン(本人)も、亜人について解説する動画をアップしていた。

その頃、とある山奥の畑付近に逃亡して来た永井は、保育園バスを見送っていた地元の老婆山中(吉行和子)から、あんた!どうしたのその格好?いらっしゃい!と呼び止められる。

山中の農家に世話になる事になった永井は、汚れた服を部がされ、ちょうど同じ背丈くらいの孫のものだと言うパジャマを着せられるが、腹が鳴ったので、おにぎりくらいだったら作れるよ、あんた梅干し好き?などと山中から聞かれたので、苦手ですと答えると叱られる。

永井は、気がついてないのか?僕の事…と、親切に接してくれる山中の態度を見て不思議がる。

どこかの工場内に隠れていた田中は、モバイルでテレビニュースを見ながら、政府がどう出るかですねなどと、側でゲームに夢中だった佐藤に話しかけるが、佐藤はゲームの中の殺人に夢中で返事もしなかったので、田中はそのまま出かける。

病気で入院中だった永井の妹慧理子(浜辺美波)に会いに来た泉が、我々としてはお兄さんの消息が知りたいと…と事情を説明していたが、もう私の知っているお兄ちゃんじゃないと言う事でしょうか?と慧理子から聞かれた泉は、つらいでしょうね…、私のすぐ近くにもあなたと同じつらさを味わっている人がいましたと言うので、亜人いたんですか?と慧理子が聞くと、まさかと言うので、分かったように言わないで下さい!と慧理子は文句を言う。

そして、万一お兄ちゃんが電話して来ても話さないと思います…、実験していたと聞きましたから…と慧理子は泉を睨みつける。

その時、泉の身体が浮き上がり、その腹の部分は血に染まり始める。

病院の下に来ていた田中が、自分のゴーストを病室に送り込み、泉を背後から串刺しにしていたのだった。

警護の警官2名が異変に気付いて病室に入って来るが、亜人ではない彼らには、ゴーストは見えず、空中に泉の身体が浮き上がっているようにしか見えなかった。

ベンチに座って念を送っていた田中は、これで永井をおびき寄せるってことね…と呟いていた。

ゴーストから床に放り投げられて死んだと思われた泉だったが、すぐに生き返ると、あなた、そこ退くべきだわ!と田中のゴーストに呼びかけると、クロちゃんと呼び、彼女のゴーストを現出させ、田中のゴーストと戦わせている隙に慧理子を病室の外へ連れ出す。

泉が亜人だった事を知った田中は、ここでは遠すぎる!といら立ち、病院内に入って行く。

廊下でも田中のゴーストに襲われ弾き飛ばされた泉だったが、異変に気付いた看護婦たちが駆けつけて来たので、近づこうとしていた田中はそれ以上の攻撃は諦める事にする。

厚生労働省の戸崎も記者会見を行い、佐藤の証言は事実無根であり、ネットにアップされている映像は世論操作するためのCG合成であると発表する。

人体実験されていた悪夢から目覚めた永井は、山中の家でうたた寝をしていた。

その頃、どこかの工場内部にいた佐藤は、ヤクザの猫沢 (品川祐)から大量の銃器を仕入れていた。

代金は、腎臓10個に肝臓5個と言う臓器だった。

猫沢は、そんな臓器を佐藤がどこから仕入れて来るのか聞いて来るが、側にいた田中が聞かない方が良いと思うよと忠告したので、ヤバそうな雰囲気を感じ、知らない方が良さそうですねと笑って引き下がる。

永井は山中の手伝いで家の近くの雑草抜き等をやらされるようになったので又ぼやきながらも、これからどうするか…と考えていたが、その時、縁側のラジオから、逃亡した亜人の親族が入院している病院が襲われたとのニュースが流れていたのを聞き、慧理子!と思わず口走る。

病室に戻って来た慧理子は、窓が開いている事に気付く側に行くと、「屋上に1人で来てくれ」と書かれた置き手紙があるのに気付く。

病院屋上の隅のベンチに野球帽をかぶって座っていた兄の永井の側に座った慧理子は、大丈夫なのか?襲われたって…と、顔を見ないで話しかけて来た兄に、目の前で女の人が…、でも亜人だったのか助かったの…、誰にも言わないように口止めされた…と、同じく他人を装い、顔は背けたまま答える。

そして、お兄ちゃん、亜人だったんだね、何だか分かるかも…、昔から冷たかったから…、これからどうするの?と慧理子は案じて来る。

こっちが聞きたい!苦労して受験勉強して、ようやく医者になったと思ったら、味って言われて追われて…、何で俺なんだ!と小声で永井が文句を言うと、相変わらず愚痴多い…、ちょっと笑ったと慧理子は言う。

又いつ佐藤が襲って来るか分からない、ここにいる限り静かに暮らせないよ…と永井は告げる。

工場内では、田中がビデオのセットをし、佐藤のメッセージの配信を始める。

5日過ぎましたが政府からの返事は来ないので、実力行使に移ると言い出した佐藤は、まず、厚生労働省を11月28日午後3時に襲撃する。

当日、私の考えに賛同する亜人たちは来てくれ。そして人間たちは襲撃に備えよ! 山中の家に慧理子を連れて来た永井は、妹の脈を計り安定していると診断したので、あんた医者だね?と山中は気付く。

迷惑かけてすみませんと永井が詫びると、可愛い孫とひねくれた孫が出来たようなものさと山中は笑う。

そんな山中に会った慧理子は、良い人だねと永井に言う。

永井は、そんなに、久しぶりにあんなに歩いたんだから、今日は早く休めと労る。

山中家の仏壇に手を合わせた慧理子は、お兄ちゃんは私の病気を治すために医者になったの…と山中に教えたので、永井の事を見直した山中は、きっと治るさ、信じるんだよと慧理子を励ます。

翌日から永井は、ゴーストを訓練しようと、小枝を投げて、犬のように、これを取って来いと命じるが、ゴーストは反抗的で永井を投げつけたりしたので、ダメか…、お前、いつか覚えてろ!と永井は悪態をつく。

翌日も、これ取って来い!と小石を投げてみると、ゴーストは突然起こったように、近くの崖を殴って陥没させる。

さらに、ゴーストは、永井が見ていたノートパソコンを奪い取ったり、森をランニングしていた永井の横にいきなり飛び降りて来て脅かしたりする。

ある夜、そんな永井が寝泊まりしていた山中の家の噂を聞きつけた近所の農民たちが家の前にやって来る。

いよいよ11月3日を迎え、厚生労働省前にはマスコミ陣が待機して実況中継を開始していた。

警視庁でも、総監(志賀廣太郎)らがモニターで厚生労働省周辺を監視していた。

女性レポーターが、間もなく3時に近づいています!とマイクに向かって伝えている時、厚生労働省の中で机に座っていた厚生労働大臣はスマホに夢中だった。

その直後、どこからともなく飛行機が接近して来て、厚生労働省の建物に激突する。

パソコンのモニターで、その実況中継を見ていた永井は、何を考えているんだ!と呆れる。

崩壊した厚生労働省のビルの瓦礫の中から、ぼろぼろになった佐藤が出て来て、スリル満点!飛行機の操縦、楽しかったな~と言うと、さて、ぶちかますか!と呟く。

そんな佐藤の元へ、田中が操縦するドローンでバッグが運ばれて来る。 バッグの中には機関銃が入っていた。

そんな佐藤の元に、足が不自由な奥山真澄(千葉雄大)、高橋(山田裕貴)、ゲン(平埜生成)ら新たな亜人の仲間たちが集合して来る。

側で死んでいた人間の服に着替えた佐藤は、見ていろ、ウエルカムパーティだ!と仲間たちに呼びかける。

その様子をモニターで見ていた戸崎は、これで終わりじゃないと呟く。

この国最強の舞台は自衛隊か?いや、SATだ!と佐藤は指摘し、そのSAT部隊が佐藤の元に集結する。

国民の皆さん、これが私の本気だ!これが第2ウェーブだ!と中継を意識して叫んだ佐藤は、永井君、しっかり見といてくれ、亜人の力って物を!と伝えると、さて、SAT戦と行こうか…と身構える。

警視総監はモニターの前で、作戦開始と指示する。

SATの銃撃が佐藤に集中する。

佐藤が復活する間を与えず、絶えず殺し続ける作戦だと、戸崎と一緒にモニターを見ていた泉が気付く。

戸崎も、この方法だと奴らの自由が奪えると呟く。

SAT隊長は連続して撃て!と指示していた。 しかし、その様子を近くのビルの屋上から監視していた田中は、そんなSAT部隊を1人ずつ狙撃して行く。

SATの攻撃の手が止まったので、蘇った佐藤も銃撃を始める。

負傷した佐藤は、すぐさま自分の喉を撃ち抜き自殺して、新たに蘇生する。

その様子をノートパソコンの実況画面で観察する永井。 又撃たれた佐藤は、自らのこめかみを銃で撃ち抜く。

そんな戦い方を見ていた田中は、佐藤さん…、あんた人間じゃねえ!と感激する。 それを無線で聞いた蘇った佐藤は、亜人だからねと愉快そうに答える。

山中家では、あんたんところの若いの、亜人なんだろ!と呼びかけながら戸を叩く近所の住民の声が聞こえて来る。

それに気付いた山中は永井に、あんた、亜人なんだろう?知ってたよ、でも困っている人がいたら助けるもんだろう?慧理ちゃんと裏から逃げなさいと伝える。

しっかり生きるんだよ、あんたたちの人生なんだから…と言う山中に、ありがとうございました!と礼を言った永井は、慧理子を連れて裏口から抜け出すと、そのまま逃げ去る。

佐藤はナイフでSATと戦っていた。

さすがにSATだ、強いや…と感心した佐藤だったが、あんたが最後だと言うと、落ちていた銃を拾い隊長を撃つ。

SATを全滅させた佐藤は、テレビカメラに向い、これで私の本気が分かったと思う。

20日後までに自治区として東京都を明け渡せ。さもないと、特殊神経ガスAJVXを散布する!これは脅しではない!と宣言する。

東京を人間の住めない場所にリノベーションしてやる! それが第3のウェーブだ!と叫ぶ佐藤に、まだ死に切れていなかったSAT隊長が、させるか!と言いながら、上半身を起こし撃とうとするが、すぐに佐藤にとどめを刺される。

テレビでは又喧々囂々たる議論が巻き起こる。

民衆が亜人の事を噂している中、コンビニで買い物をした慧理子が、ベンチでノートパソコンを見て待っていた永井の元にレジ袋を持って来てやる。

これからもずっと逃げなきゃいけないのかな?亜人と言うだけで何も悪いことしてないのに…と慧理子は兄に同情する。

危機管理センター 戸崎君、腹を決めたね?とネットで呼びかけてきた佐藤に、戸崎は、我々は皆さんと和解しようと思っている。

九州南部の無人島か北海道の一部と自治区として提供しようと考えていると伝えると、佐藤は、私が欲しいのは東京なんだ!と突っぱねる。

我々の提案は有事法制下でぎりぎりの判断なんだが!と戸崎は反論しようとするが、既に通信は切れており、複数のサーバー経由で逆探知は無理だった事が分かる。

工場の佐藤の元に集まっていた新たな亜人たちは、東京は交渉を有利にするためにブラフなんでしょう?などと聞いて来るが、佐藤の行動を面白がり乗る物と乗らない亜人に分かれる。

すると、その場で佐藤は、乗らないと尻込みした味んを射殺すると、どうする?とみんなに聞く。

すると奥山が、首を斬ってドラム缶に詰めたら?と提案したので、グッドアイデア!と佐藤は喜ぶ。

内閣 対策会議室 言い訳は見苦しいぞ、戸崎!君だけで事態を収拾するんだ!とお偉いさんたちが戸崎を吊るし上げていた。

つまり、どのような事になってもあなたたちは責められないと?と戸崎が皮肉ると、お偉いさんたちはそうだと頷く。

その後政府は、自衛隊の特殊部隊「対亜人特殊作戦軍」通称「対亜」を作ると発表し、東京を脱出する人も増え出す。

ヒカキンもネットで、僕も逃げます!と報告していた。

亜人研究所に来た戸崎の車は、フロントガラスに急にひびが入ったので車を停めるが、それに気付いたマスコミ陣が殺到する。

車を降りた戸崎は、マスコミ陣の背後に立っていた永井に気付く。

戸崎の車に乗り込み、人気のない場所に来た永井は、取引しに来た。あんたと組みたいんだと言い出したので、戸崎は、信用できるのか?と警戒しながらも、何にために?と聞き返す。

SAT戦を見た。佐藤と戦う富士見の兵士が1人仲間になるって言ってるんだ。策はあると永井は答え、こちらの要求は2つあると言い出す。

1つは、作戦が終わったら、俺の戸籍は抹消し、その後僕の身分を保証しろ。

もう1つは、妹も保護する事だと告げた永井は、信用できないのはこちらも同じだ、あんたには入院中の婚約者がいる事を調べた。僕を裏切れば殺しますと宣言する。

それを聞いた戸崎がクズだ!と罵倒すると、単純なギブアンドテイクですよと永井は答える すると戸崎は、1つだけ言っておく!俺の名は「トザキ」じゃなく「トサキ」だ!と念を押す。

一方、1人で喫茶店で待っていた慧理子の元へは連絡を受けた泉がやって来る。

もう大丈夫だから安心してと泉が声を掛けると、お姉さん、怖そうだと思ったけど、意外に優しいんだと慧理子は答える。

亜人研究所内会議室 戸崎は永井に少数精鋭でいくと宣言する。 その場にいた他のメンバーを見た永井が、この人たちは?と聞くと、傭兵みたいな物だ、金で動くと戸崎は教える。

特殊神経ガスを使うと予告しているが、そのガスは今フォージ重工にしかないと戸崎は説明すると、佐藤は必ず来る!僕がプランを考えましたと永井が続ける。

「対亜」に連絡しなくて大丈夫か?とメンバーの1人が聞くと、バックアップ程度に考えないと…と答えた永井は、佐藤が計画に使うAJVXは、佐藤の実験を元に作られた物だ。

同じ苦しみを人間たちにも味合わせようとしているのかも…と言う。

その頃、工場内にいた高橋やゲンたちは、地球くらいぶっ壊してやる等と豪語し、佐藤の並外れたヤバさ振りについても冗談まじりで言っていたが、その場にいた田中が、俺は政府に捕まって2年間実験され続けたが、あの人の場合は、それが20年だ…、赤ん坊が成人するまで毎日毎日殺されて来たんだ。

地球がいくつあったって足りやしねえよと言うと、みんな黙り込む。

1人離れた所でゲームをしていた佐藤は、自分が研究所で実験されていた時、血の涙を流していた事を思い出していた。

既に彼が手にしていたゲーム機は「ゲームオーバー」になっていた。 亜人研究所の休憩所にいた永井の側にやって来た傭兵の1人平沢(國本鍾建)は、ガラス越しに実験されているお前を見てた。

死なないってどんな気分だと話しかけて来る。

すると永井は、死ぬのに、こんな作戦に参加するってどんな気持か逆に聞きたいですよと言うので、仕事だよと平沢は答え、良いプランを考えてくれ、その通りに動くと言うと、作戦が終わったら祝杯でも上げようじゃないかと軽口を叩く。

しかし永井が、これが終わったらもうあなたたちには会わないつもりですけどと言うので、お前にはそんな無駄が必要だと言い残し、平沢は立ち去って行く。

一方、戻って来て戸崎に会った泉は、意外でした、あなたが人と組むなんて…と言うが、あいつは嫌いじゃない…と戸崎は呟く。

相当危険な作戦になるんですよね?と泉が緊張するので、私を守れよと戸崎が念を押すので、もちろん、何があってもと泉は答える。

フォージ重工本社 49階社長室に永井や戸崎たちはやって来る。

石丸社長は、君が永井君だね、宜しく頼むよと気安く声をかけて来ると、相手に気付かれてはまずいので、社員には何も話してないと説明する。

最悪、犠牲が出るかもしれません…と戸崎が念を押すと、仕方ない…、東京が化け物に乗っ取られるかどうかの瀬戸際だからな…と社長は答える。

2階エントランス 車いすに乗った奥山が社員カードを使って難なく社内に侵入する。 一方、田中の運転するトラックでフォージ重工に向かっていた高橋とゲンは、佐藤からのお守りとして持たされたバッグの中を覗き込み、グロいなと顔をしかめていた。

社長室では石丸社長が、誰もこの金庫を開ける事は出来ないと自慢していた。

佐藤は必ず金庫を開けに来るはず、ここまで持ち込めば僕らの勝ちですと同じ49階にある秘書室で永井が言う。

20階サーバールームに来た奥山は、車いすを降り、杖をついて中に侵入すると、その中の部品の一つを用意していた別の物と交換する。

ソファーに横になった永井に、あんな化け物と戦うなんて憂鬱ですなと社長が語りかけている時、パソコンを見ていた泉が、セキュリティーシステムがダウンしました!と報告したので、ハッキングか!と戸崎も緊張し、皆さん、位置について!と傭兵たちに連絡をする。

やがて、田中、高橋、ゲンたちが本社ビル入り口から堂々と入って来て、空中に向かってショットガンを発砲する。

田中たちがエレベーターに乗り込んだ所で、奥山がパソコンから他のエレベーターの機能を停止させ、頑張ってね、エレベーター使えないからねと笑う。

その頃、左手をポケットに突っ込み、片手で自転車を乗っていた佐藤は、丘を越え行こうよ♩と歌いながら、とある製材所にやって来る。

12階のオフィスに到達した田中たちは、何も知らない社員たちを次々に射殺していた。

乗りに乗って来たゲンは、田中さん!俺たち最強って感じ!などと浮かれながら出て行く。

ガードマンに化け撃たれた振りをしていた永井が起き上がり、戸崎さん、12階突破された。だが佐藤がいないとシーバーで知らせる。

サーバーの方はどうだ?このままでは作戦を続行できん!見て来てくれ!と戸崎は苛つく泉に命じる。

その頃、車いすの奥山は、通路の隅に発信装置のような物を置いていた。

40階に来て連絡を入れた泉に、お前も行け!と戸崎は命じる。

モニターで異常を察知した戸崎に、奥山が置いていた装置を発見した泉が、戸崎さん、発信源には誰もいませんと報告して来たので、かく乱か…と戸崎は感づく。

佐藤は製材所に入って来る。

30階の機械室の通路を車いすで移動していた奥山は、目の前に泉が立ちふさがったので、誰?と問いかける。

泉は戸崎に、ハッカーは33階北通路にいます!と報告する。 駆けつけた戸崎が奥山に銃を向ける。

システムを奪回した!では作戦を再開する!と戸崎は全員に伝える。

空調機の前に来た永井は、こっちの準備は完了です、平沢さん、後は任せますと連絡する。

排気をオンにしろ!と永井は奥山に命じる。

永井の前の排気ファンが作動し始めると、永井の身体から大量の黒い粒子が吸い込まれ、それは排気口を伝ってビル中に拡散し始める。 幽霊は亜人にしか見えない!と永井は呟く。

物陰に潜んでいた平沢は、やって来た田中たちが永井の黒い粒子に包まれ、身動きが出来なくなった所に麻酔銃を発砲すると、クリア!と連絡する。

4人は制圧した。後は入り口一つに力を集中しておけば大丈夫だと戸崎は伝える。

その頃、従業員の1人を殺害し、呆然としていた別の従業員から、木材を5cm四方のチップに砕く木材粉砕器に付いて説明を聞く佐藤。

傭兵たちは、高橋らが持っていた荷物のバッグを無造作に室内の棚の上に置く。

木材粉砕器の前に立った佐藤は、亜人は最も大きな肉体だけに集まって復元する。

さあミスタースポック、転送だ!と言うと、自ら粉砕器の中に飛び込む。

裸の佐藤が、自分があらかじめ斬り取って高橋らに持ち込ませていたバッグに入れていた自分の手首を元に復元する。

それに気付いた平沢が、佐藤が出現したぞ!と叫ぶのを聞いた永井は、どうなっているんだよ!とぼやきながら現場へと急ぐ。

ァンのスイッチを入れると、佐藤の身体に永井の黒い粒子がまとわりつく。

なるほど、やるね…、永井君だねと気付いた佐藤に、駆けつけた永井が麻酔銃を撃ち込む。

排気口の前に立って粒子を供給していたのは、永井の身代わりのゴーストだった。

麻酔銃が外れたので、自分のゴーストを出した佐藤は、さあ、反撃といこうかと言うなり、平沢の胸をゴーストが貫く。

戸崎は、平沢からの連絡が途絶えたので焦る。

その間、生き返った田中は、目の前に佐藤がいるので、どうしてここまで?と聞くと、お守りが役に立ったのよと佐藤は答える。

社長室にやって来た佐藤は、オープンセサミといくかと言いながら、難なく金庫を開け、毒ガスの容器を手に入れる。

それを見た田中は、これですべてが変わるんですね!と目を輝かせる。

すると佐藤は、エンドロール楽しまなくちゃ…、田中君、後は頼んだよと言い残し、容器を手にどこかへと向かう。

胸から出血して倒れていた平沢の胸を押さえながら、平沢さん、止血します!と永井は声を掛けるが、永井が何か言おうとするので、しゃべるなって!と叱りつける。

それでも平沢は、戦って、お前の人生を生きろ…と言い残し息絶える。

それを聞いた永井は、ふざけんな!祝杯上げるんじゃないのか!と叫ぶ。

その時、やあ永井君、いるんだろう?と佐藤の声がシーバーを通して聞こえて来る。

どうやって入り込んだ!と聞く永井に、左手をお守りに渡しておいたんだ、そう言えば、君には分かるだろう? 毒ガスは手に入れたよ、ボーナスステージだ、永井君、君もおいでよ、最高のエンドロールと行こうと佐藤は誘って来る。

佐藤はガスの容器を持って非常階段を登っていた。 永井、どこにいる!と戸崎の呼びかけが聞こえたので、戸崎さん、「対亜」を呼んで下さい!あんたの駒になってやるよ!と答えた永井も非常階段を駆け上って行く。

佐藤がやって来たのは屋上のヘリポートだった。 わくわくするね〜と喜んでいた佐藤は、駆けつけて来た永井に気付くと、やあ永井君、来てくれたね、うれしいよ、ラスボス登場だねと歓迎する。

永井は、好きにはさせない!と言うとゴーストを出し、佐藤のゴーストと戦わせる。

34階食堂 田崎が電話をしている所に田中のゴーストが襲って来たので、泉は、クロちゃん!と自分のゴーストを出し戦わせる。 ヘリポートでは、中二階通路で佐藤と永井も戦っていたが、その最中、

佐藤が持っていた毒ガスの瓶が手を離れ、下に落ちかけるが、それを佐藤のゴーストが受け止める。

田中の方も泉と肉弾戦になっていた。 そんな田中を狙って戸崎が撃って来る。

お前、亜人のくせに何でそっち側なんだ?と田中が聞くと、あんたも正しいと思ってやっているんじゃないんでしょう?と泉も言い返す。

ヘリポートの佐藤の方も、永井君、亜人とは何だと思う?と問いかけていた。

進化して選ばれた者だ!人間のときはどうだった?今の君は生き生きしている!さあ楽しもう!と佐藤はけしかけて来る。

その前に浄化だと言った佐藤が毒ガスの容器を放り投げたので、永井がジャンプして受け止める。

そこに佐藤が撃って来る。 撃たれた佐藤は、自分で頭を撃って自殺する。

田中は、残念でしたと言いながら、階段の上にいた戸崎を撃とうとするが、戸崎の前に立ちはだかった泉が変わりに撃たれ階段を転げ落ちる。

蘇った永井は麻酔銃を撃つ込むと、すぐに佐藤も自殺する。

田中はいつまで人間ぶってるんだ!人間を恨めよ!と怒鳴りながら泉の腹をナイフで刺していた。

しかし、泉はその田中の右腕を掴んで、関節技に持ち込む。

佐藤も永井に、一つ質問があるんだが、何故人間の味方をする?亜人である事をもっと楽しめば良いじゃないかと戦いながら聞く。

人間とか亜人とか、どうでも良いんですよ、僕はあなたが嫌いなんだよ!と永井は答えるが、佐藤のゴーストに投げ飛ばされる。

やっぱり君はユニークだ、行くぞ!幽霊!と佐藤は呼びかける。

田中はリセットし、泉が劣勢になっていたが、そこに戸崎が麻酔銃を田中に撃ち込んで、リセットさせるな!と言いながら近づいて来る。

田中は、床の落ちていたガラスの破片を武器にしようと手を伸ばしかけるが、そこで眠りに落ちて動かなくなる。

私を守るんじゃなかったのか?これじゃ、立場が逆だ!と戸崎が文句を言い、私の側を離れるな!と指示する。

ヘリポートでは、永井が複数のゴーストを出して来たので、全く君は何体出せるんだ?と佐藤が愉快がっていた。

そんな佐藤に永井は麻酔銃を撃ち込むが、又しても外れるが、それを永井のゴーストが受け止め、佐藤の背中に刺す。

佐藤はすぐに自殺しようと銃を頭に持って行くが、永井はその銃を撃ち落とす。

佐藤は眠るが、佐藤のゴーストは何故か消えず、佐藤の身体に吸い込まれると、今のはさすがに焦ったよと苦笑しながら佐藤は生き返ってしまう。

永井は、幽霊!もう一回出ろ!出てくれ!と叫ぶが、もうゴーストは出て来なかった。

良い表情だね…と言いながら、永井に近づいた佐藤は、さあゲームオーバーだと言いながら麻酔銃を永井に撃ち込む。

その時、撃たれた永井は、やっとここまで来てくれた…と呟く。

その瞬間、上からいくつものロープが垂れて来て「対亜」のメンバーたちが2人の周囲に降下して来ると、一斉に冷却剤を2人に噴霧する。

佐藤と永井の身体は凍り付くが、次ぎの瞬間、撃たれて四散する。

「対亜」が、バキューム装置で四散した2人の破片を吸収し始めた中、駆けつけて来た戸崎は、集めた破片は二度と復活しないようにするんだ。

佐藤をおびき寄せるまでの約束だったからなと言うので、付いて来た泉が、永井との約束は?と問いかける。

その時、部屋の隅に手首が落ちていた事に気付いた戸崎は、まさかあいつ!と叫ぶ。

次ぎの瞬間、その左手の部分に永井が復活したので、永井だ!撃つな!と戸崎は叫ぶが、銃撃される中逃げ出した裸の永井は、窓を突き破りビルから落下して行く。

墜落して行く永井の目のアップ

エンドロール

床に落ちていた佐藤のハンチング帽を拾う誰かの手
 


 

 

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