| アニメ版「GODZILLA」3部作の1作目。 全く異世界でのゴジラとの戦いと言う設定なので、従来の初代「ゴジラ」の続編のような描き方とはかなり異質にも見えるが、ミレニアムシリーズの頃のような初代以後のパラレルワールドの極端なバリエーションと解釈できなくもない。 又見方を変えれば、昭和ゴジラの南海の怪獣島発想に近いとも言え、都市破壊がない所などが怪獣映画としては物足りなさを感じるむきもあるかと思う。 未就学児向けやファミリー映画と言った従来の路線よりは、明らかに狭いアニメマニア層に特化したような雰囲気になっている。 前半は全く未知の世界観の難解な説明セリフに費やされ、雰囲気は暗いし、正直惹き込まれるような要素はあまりない。 怪獣の出現により文明が滅びたと言う過去の解説部分も短く、前半部分に怪獣映画的な見せ場や興奮はほとんどない。 では後半は怪獣映画らしくなるかと言えば、3DCGで作ったメカとキャラクターが動き回るメカアクションと言う感じで、従来の怪獣映画のクライマックスとは違う見せ方になっている。 日本の低予算な3DCGでも描きやすい要素を集結したと言った印象で、メカゴジラなどの暗示があるのもそう云うことではないかと思うのだが、逆に怪獣映画の生物感の表現は今ひとつのような気がする。 怪獣映画らしい見せ場がない理由の一つはおそらく「怪獣と人間文明の対比」から生まれる緊張感がないからではないかと思う。 登場するメカや宇宙船も文明の一部じゃないかと言えばそうなのだが、ゴジラと対比するには卑小すぎ、最初から玉砕戦のような無力感は感じても興奮は生まれない。 さらに厄介なのは、主人公たちがゴジラと戦っている動機自体が不鮮明なことだ。 ゴジラから逃げた結果の宇宙生活は辛くて惨めで未来が見えないので、もう一度堂々と真っ正面から戦って地球を奪い返し、人間らしい生活を手に入れようと言うような動機が描かれているが、何となく若者に向けたメッセージとして頭では理解できても、今一つ乗り切れないのはこちらの年のせいなのだろうか？ 個人的にはこの辺が今ひとつ得心できにくい部分があるので、主役たちの行動に感情移入しにくいような気がする。 キャラクターの区別もつきにくいのも辛い。 色白で細面のキャラと、少し色黒で厳ついタイプの2種類しかキャラがいないようにも思える。 ただ、世代交代を狙っている意図は見えるので、個人的には乗り切れなかったと言うのは、作者側の意図としては成功なのかも知れない。 |
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください！▼▼▼▼▼ |
| 2017年、東宝、虚淵玄ストーリー原案+脚本、吉平“Tady”直弘演出、静野孔文+瀬下寛之監督作品。 地球の大気圏内で爆発する様子。 恒星間航行を続けている移民船アラトラム号。 船内ドックでアラートが鳴り響く。 サカキ大尉、応答して下さい！と呼びかける船員たち。 ハルオ・サカキ（声-宮野真守）が上陸艇に閉じこもっていたからだった。 くじら座タウ星eへの移民は中央委員会の決定事項ですとの説得に、あの星は人が住める星じゃない！とサカキは抵抗する。 このままでは反逆罪になるぞ！と言われたサカキは、俺が反逆罪なら、お前らは人殺しだ！この音声はオープンチャンネルになっている。 船内中に聞こえているぞ！ こんな風に弱いものを斬り捨てて良いのか！1時間以内に変更しないとシャトルを爆破する！と呼びかける。 その時、もう止めてくれんか！とサカキに呼びかけたのは祖父だった。 宇宙をさまよって20年以上、若いものは耐えられるかも知れんが、もうわしらは限界だ。 ハルオ！もう良いんだ…、死ぬときは大地に降りたい…、例えそれがどんな場所であろうとも… その言葉を聞いたサカキは、ジイさん！と答え、それをきっかけに乗り込んで来た警備員らにサカキは逮捕され、上陸艇は発進する。 個室に閉じ込められたサカキ大尉は、窓から降下して行く上陸艇を見守っていたが、途中で上陸艇は大爆発を起こす。 それを見たサカキは、あっ！と驚く。 タイトル 始まりは20世紀最後の夏だった… ドゴラなど怪獣が出現し、ヘドラ作戦の後、神話の中から次々と怪獣が現れた。 その後、人間も怪獣も区別なく殲滅するゴジラが出現する。 人類は追いつめられるが、そんな時、国連上空に異星人の円盤が出現する。 地球移住を希望する放浪の民エクシフ人たちだった。 さらに、その後、ゴジラ撃滅を交換条件にビルサルド星人も出現し、地球への移住を希望して来る。 しかし、頼みのメカゴジラは起動しなかった。 地球脱出を計画した人類は宇宙艇での脱出を始めるが、当時4才だったサカキは、祖父に手を引かれ移民船に乗り込んでいたが、お父さんとお母さんは？と聞くと、もうすぐ追いつくよ、あのバスだと、空港内のガラス窓の外に見えた数台のバスの列を指差し教えられる。 その時、ゴジラが出現、口から発射する熱線で、飛び立ちかけていたや移民船や両親が乗っていたバスが爆破する。 宇宙の彼方に緑の大地があると言うのは幻想に過ぎない人類はすぐに気付く。 地獄だった… 飢えと渇きと寒さ… 精神のバランスを崩し自殺するものも出る。 宇宙艇の中の人類は瞬く間に減じて行った。 どこへ向かうのか？ 仲間を捨ててまで生き続ける意味はあるのか？ 何故俺たちは行きているのか？ 何故？何故！ 個室に入って来た神官メトフィエス（声-櫻井孝宏）が、起きてたのか？聞きたくなければ聞かなくても良いのだと言い、頼まれていたデータだとサカキにこっそり持ち込んだメディアを渡す。 そんなに過去の記憶に躍起になるまでこだわるのは何故だ？とデータを見始めたサカキにメトフィエスは聞く。 何故今俺たちは苦しんでいるのか？諦めて逃げ出したからだ…とサカキは言う。 我々人間型種族は敵わなかった…とメトフィエスが答えると、いいや、それを覆してみせる、俺が証明してやる！とサカキが言う。 その頃、中央委員会では、これ以上移住地を探すには限界があることを自覚し始めていた。 そして、地球に帰還すべきではないかと言う意見も出るが、もう11.9光年も離れている以上無茶だし、今、地球に戻って活路があるのか？と疑問も出る。 地球は既に数千年経過しているはずで、環境は変化して良くなっている可能性もあると言う意見には、逆により悪化している可能性も否定できないと言う反論が出る。 そんな中、今サーバーに公開されている謎のゴジラ情報のことが話題になる。 委員会内部に協力者がいるとしか考えられなかった。 その情報とは、対ゴジラ戦術案のリークだった。 しかし、熱核攻撃150発にも耐えたゴジラにそんな方法が利くとはとても思えなかった。 今朝最新版がアップロードされた。 メトフィエスは、部屋で研究していたドルドに、君は妄言だと思うかね？と聞くと、ドルドは、否、正直あいつを認めたくなったと答える。 結局、地球に帰還することになり、アラトラム号は亜空間へ突入する。 乗組員たちの中には、初めて見る青い地球に感激する若い世代の者もいた。 偵察機を数機飛ばし、地球の観察を開始した所、何と地球では1万年が経過していることが分かり、生態系が一新されているかもと言う期待が起こる。 地球上には濃霧みたいな粒子で被われており視界は悪かった。 その時、6号偵察機が送って来たデータに動く巨大物体が写り、次の瞬間、6号機からの連絡が途絶える。 最後に聞こえた音響と熱線を浴びた可能性があり、ゴジラがまだ生息していることが分かる。 ダメだ！この星には住めぬ！と否定的な意見が出るが、サカキ大尉は、まだそこにいるんだな？と復讐心を燃え上がらせる。 ゴジラと見なして対処するしかないことになる。 放射能汚染も思った程酷くはなかった。 1万年も生きているゴジラのことが驚異だったが、数千年単位で冬眠している可能性も考えられた。 対処の方法は？と中央委員会から問われたメトフィエスは、殲滅だけです。我々には対ゴジラ戦術案があり、専門家の分析では実行可能です。 開発者の名前もお伝えできます。 ハルオ・サカキ大尉ですと明かすと、委員会メンバーの間に驚きの声が上がる。 サカキは、手錠をはめられた状態で保釈扱いになる。 出番だ、ハルオ！そうメトフィエスは呼びかける。 サカキは、ゴジラの身体にはシールドが発生して防御しているが、条件次第で1万分の1の隙が出来ることを委員会メンバーたちに説明する。 その隙を調査発見するには接近戦しかないとサカキが言うと、我々はもう4000人しか残っていない、その作戦にはどれだけの人員が必要なのかと聞かれたので、600名必要ですとサカキは答える。 エリオット・リーランド大佐を指揮官として600名の精鋭が招集され、決死の覚悟で全隊突入する。 降下部隊はバクダンを投下、その時、ムルエル・ガルグ中佐（声-諏訪部順一）が乗っていた機体に何か衝撃を受ける。 上陸部隊は元丹沢大関門にキャンプを設置することにする。 上陸艇の外に降りたガルグ中佐は、先ほどの衝撃を感じた機体部分が何かに引っ掻かれたような傷になっていることを知る。 ゴジラは元丹沢大関門に向かいつつあった。 調査隊が出発することになるが、サカキ大尉が自分も同行させてくれと志願する。 ガルグ中佐は、ユウコ・タニ中尉（花澤香菜）に、こいつは保釈中だぞ、くれぐれも用心するようにと指示を与え、サカキの同行を許可する。 すっかりジャングルしていた森の中に入り込んだ調査班だったが、植物も部分的には刃物のように鋭利になっており、機密服に穴が空いて命取りになるとマーティン・ラッザリ博士（杉田智和）が注意する。 何故志願したとサカキ大尉がユウコに聞くと、サカキ大尉が志願したからです、私、あなたとどうしても話したい事があって…、先輩がシャトルに仕掛けた爆弾は撤去されたと聞きました。 それが爆発したのは中央委員会が細工したって言う噂があるんですとユウコが言うので、俺はそこまで人間を疑いたくないが…と口ごもったサカキ大尉は、我々は信頼や正義までも見失った。もう一度ゴジラと戦って人としての尊厳を取り戻すんだ！と答える。 その時、廃墟のようなものが見えたので驚いて近づいた一行だったが、それはかつての建物の表面を被い尽くした苔が石灰化し、建物の形を留めているのだと知る。 それを知ったサカキ大尉は、地球は人間がここにいたことを覚えていた！俺たちのことを覚えていた！母なる大地なんだ！と感激し、取り戻す！必ず俺たちの手で！と熱く誓うのだった。 その頃、キャンプ地には、突如、数匹の有翼怪獣セルヴァムが来襲し、隊員たちはパニック状態になる。 通信でキャンプで何か異常が起きたことを察知したサカキが知らせ、マーティン博士！とユウコが呼びかけると、調査隊は一旦撤収することにする。 キャンプ地に戻り、セルヴァムの遺体を見た一行は、その怪獣がゴジラから枝分かれして進化した個体ではないかと推測する。 植物も動物同様変化しており、森からは金属製の花粉が絶えず発生していることが分かる。 リーランド大佐は、撤退を言い出す。 ここが宇宙空間より有利な点は少なく、まだ月面に基地を作って、必要なものだけ地球から運び出す方が現実的だと言い出す。 しかし、今回のセルヴァムの攻撃で死傷者の数も多く、上陸艇も全部破損したので、もう自力では母船に戻れなくなっていた。 A中隊は、D中隊、E中隊に合流するしかなく、元丹沢に行くしかないとメトフィエスが言い出す。 そこに行くには、ゴジラの出没エリアを通過するしかなかった。 リーランド大佐からの通信を聞いた元丹沢の中隊は、A中隊がこちらに合流すると知り、わざわざこんなものまで作ったのに捨てて行くとはな…と巨大なメカを見上げてベルベがぼやく。 ユウコは、2番艇ホバリングがやっとですと操縦しながら言う。 リーランド大佐は、ゴジラの方から探しに来るとサカキ大尉に言う。 我々エクシフ人は、いくつもの星の滅びを見て来た。 奢れる者への鉄槌、必ず摂理からの復讐が訪れる…とメトフィエスは言う。 その時、どこからともなく地響きが聞こえて来る。 推進剤が漏れている！爆発するぞ！ そんな混乱が起きた中、サカキ大尉は、フライングバイクに乗って2番艇から発進する。 先輩、どうして？とユウコが戸惑う中、ゴジラに接近したサカキ大尉は攻撃を加える。 しかし、その程度の攻撃ではゴジラはシールドを発生しないことに、マーティン博士は気付く。 こうなったら急降下します！とサカキ大尉は決意する。 そうした攻撃の直後、ゴジラは熱線を吐き、リーランド大佐が殉職する。 メトフィエスの連絡でそのことを聞いた中央委員会のモーリは、1人でも多く連れ戻せと母艦から命じる。 メトフィエスは、その後、中央委員の承認を得て直属神官の私が全権を引き継ぐ！と上陸班に伝達した後、全責任を私が引き受ける、 今後の指揮はサカキ大尉に一任すると言い渡す。 それを聞いたユウコは、そんな無茶な！と絶句する。 変わって挨拶に立ったサカキ大尉は、事態は切迫している、今ゴジラを倒さなければならない！もう俺たちは終わらさなければならない、2万年にも及ぶゴジラの時代を！と演説する。 ゴジラの位置は把握しているか？とサカキが確認すると、3000km感覚に通信機を設置！ その後、アダムやガルグ中佐への任務を指示する。 奴の欠点は背面だ！渓谷の奥に誘い込むしかない！と命じたサカキは、自らフライングバイクに騎乗して発進する。 ゴジラに接近した空挺隊だったが、ゴジラに次々に払い落される。 さらに、森からセルヴァムが襲来して来たので、こいつらは予想外だ！と全員慌てる。 ゴジラの熱線でも10機も落されたので、アダム！配置代われ！とサカキは命じる。 用意は良いか？ どうやって母船に戻る？ ここより他に戻る所はない！ ゴジラの最終誘導開始！ ゴジラを誘導する方向に爆薬を落して通路を造る。 良し！ゴジラ誘導地点に向かった！ 元々パワードスーツ部隊だったユウコもパワードスーツを装着し、強くなりたいんです！おじいちゃんが死んだ時、そう思ったんです！と訴える。 地球を人類に返してもらうぞ！とサカキ大尉が叫ぶ。 ゴジラ、トラップに到達！ ゴジラの動き、止まった！ 集中砲撃開始！ このままではシールドが復活してしまう！ 畜生！起こらせてやる！ 先輩！ ノイズの周期を狂わせるつもりか？ 俺に構うな！ プローブ、体内に進入します！ 効いてない！ 否、奴の体内が！ 俺は貴様を倒したぞ〜！とサカキ大尉は喜ぶ。 あいつ、やりやがった！隊員たちもサカキの働きに驚く。 パワードスーツから出たユウコが、先輩！と呼びかけると、目無理に中からサカキ大尉が姿を現す。 これを見て下さい！正に化け物だ！ やり遂げたな！ みんなが協力してくれたからだ。 どうやって2万年も生き延びたんだ？ 違う、個体だと思う…、生命の変位をこいつは継承した子孫だ… 何故それが一体だけなんだ？ 勝利に水を指して悪いが、次に又奴が現れても倒す方法はある！ その時、又地響きが起こる。 ここからのセンサーで拾っています。 ここから2km圏内です！ゴジラとは比較になりません！ あれは…何だ！ 300m！質量10万トン！あれが生物か？そんなバカな… 変わりゆく形とは老衰だけではない…、2万年ひたすら成長したとしたら…とマーティン博士が言い出す。 その超巨大な山のようなゴジラを目にしたメトフィエスは、ようやく顔を拝ませたかてん、こちらでは20年、そちらでは2万年…、久しいな、破壊の王よ…と呟く。 上陸艇上昇！あれが襲いかかって来る前にみんなここを離れるんだ！ 巨大ゴジラが熱線を吐く。 上陸艇が破壊されて行く中、陽動で奴をおびき寄せる！とサカキ大尉は叫ぶ。 そんな手が通じると思うか！ 俺は奴を！ エンドロール 気がついた時、目にしたのは、仮面をかぶった少女のようだった。 その仮面を取った少女の顔には、特殊な化粧が施してあった… メカゴジラの姿 2018年5月公開の文字 |