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貞子vs伽椰子

お馴染みの二大ホラーキャラが激突する典型的な見世物映画。

既にさんざん宣伝活動などでコントキャラとして定着してしまった感のある貞子や伽椰子を今更スクリーンで見て怖がる人は少ないだろう。

例え今までの彼女たちの作品を見たことがないと言う人でも、この作品の演出で怖がる人は子供くらいしかいないのではないかと思う。

元々、この手のジャパニーズホラーは女子中学生くらいの年代が当時普及し始めていた携帯を使ってブームを広めたように記憶しているくらいで、本来、劇中に登場する女子高生の鈴花やもっと下の小学生辺りがターゲットなのだと思う。

おそらく昔の化け猫映画なども似たような世代を狙った企画だったのではないかとも想像する。

だから男性や大人の目で見てしまうと、色々物足りなかったり首を傾げたくなる部分がないではないが、あくまでも少女向けのコミックやライトノベルスのようなものと言う感覚で見れば、そう気にならないのではないだろうか。

タロットカードとか、ブラックジャックとピノコのような霊能力者など、少女や子供好みのアイテムはちゃんと用意されている。

ただ、予算的には角川映画記念作にしては情けなくなる程少なめで、せっかくネットに呪いのビデオをアップすると言う恐怖設定を入れながら、そちら方向で恐怖をスケールアップするには至っていない。

あくまでも限られた空間の中だけで展開するスケールの小さな話である。

監督のトークショーによると、貞子の出現設定を従来の一週間から2日に短縮したのは、すぐに出現する伽椰子との登場バランスを考えての判断とのことで、昔の二大スター映画のような配慮の結果であると追うことが分かる。

先に「哭声/コクソン」と言う、似たような悪霊と霊能力者の対決ものを見た直後だっただけに若干薄味に感じないでもないが、最初からシリアス路線ではなく、ナンセンス感覚の企画ものと割り切って見る分には、これはこれでそれなりにまとまった娯楽作品になっていると思う。 
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、「貞子vs伽椰子」製作委員会、白石晃士脚本+監督作品。

角川映画40周年記念作品

タイトル

とある屋敷の玄関前に来た女性が、すみません!民生委員の立花です。ヤスエさん?最近か尾見ないんですけど大丈夫ですか?と声をかけ、戸を開けると鍵はかかってなかった。

ヤスエさん?お邪魔しますよ!と声かけをしながら玄関の中に入り、蛍光灯のスイッチを入れるが、しばし点滅しただけですぐに消えてしまう。

廊下を進むと、横のキッチンの所に女性が座っていたので、ヤスエさん、返事くらいしてよ!と文句を言いながら硝子戸を開けてキッチンに入ると、今見えたはずの女性の姿はなかった。

しかし、テーブルの上には朝食らしき食べ物が手つかずのまま並んでいる。 ヤスエさん?と呼びかけながら隣の部屋に入るとテレビが点いており、砂嵐状態。

こたつの横に倒れている女性が見えたので民生委員は息を飲むが、その時突然ビデオが映り、民生委員の背後に貞子が出現する。

成安文化大学

森繁新一 (甲本雅裕)による都市伝説の講義の授業中、呪いのビデオなどいくつもある都市伝説のうち、この手の話を聞いたことある人?と問いかけると、かなりの学生が挙手したのに対し、体験した本人から聞いた人?と聞かれると誰一人挙手しなかったので、こう言うものは作り話と言うことですと森繁は言う。

それでも、呪いのビデオの話だけは僕の心を掴んで話さないと言い、90年代にこの話が現れ、貞子から電話があった2日後に死ぬと言われていた。

しかし、ビデオが廃れて都市伝説も消えた。

今でも貞子がいるとすると、インターネットによってより広がるよね。 本物のビデオを持っている人がいたら2日以内に持って来てと冗談を言い、最後は自分が書いた本の宣伝をして授業を終える。

すると、夏美(佐津川愛美)の横で授業中ずっと居眠りをしていた倉橋有里(山本美月)が目覚めて伸びをしながらあくびをしたので、それに気付いた森繁と目が合ってしまう。

その後、夏美と食堂で休息した有里は、有里って機械強かったよね?と言われ、ビデオを夏美から差し出されたので面食らう。

うちの両親の結婚記念日にプレゼントしたいので、昔の結婚式のビデオをDVDに焼いて欲しいと言うのだ。

記念日はいつなの?と有里が聞くと、2日後と言うので、明日送らないとまずいと有里は気づき気が重くなるが、学食5回分でどう?と夏美から言われたので引き受けることにする。

両親と一緒に自動車で引越先の家の前に着いた高校生の高木鈴花(玉城ティナ)は、不機嫌そうな表情のままだったので、もしかして急な引越で怒ってる?と助手席の母親史子(田中美里)から聞かれ、運転して来た父親透(松島正芳)も仕事のためだよと言い訳するが、鈴花は嘘だよ!と答えると急に笑顔になる。

車を降りると、引越業者が荷物を新居に運び入れている所だった。

それを外で見ていた鈴花だったが、ふと隣を見ると、塀の部分に「立入禁止」と書かれ、門が固く閉ざされた陰気な屋敷があることに気付く。

鈴花はその時、何か奇妙な音が聞こえる。 有里は夏美を連れ、いつも店の前を通っていると言うリサイクルショップにやって来てビデオ再生装置を探す。

するとあっさり古いビデオデッキが見つかったので、値段を見るともはや誰も使わないものなので600円と激安だった。

有里が棚から取り出し夏美に渡すが、気がつくと、有里の手には長い女の髪の毛が付いていた。

私は部屋と技術を提供してるんだから、夏美は力仕事担当でしょうなどと言いながら、自分のマンションまでビデオデッキを夏美に持って来させた有里は、早速ビデオデッキとモニターを繋げるとスイッチを押してみるが、ビデオデッキの中にまだ古いビデオテープが挿入されたままだったことに気付く。

何これ?見てみようか?やっぱ止めようよなどと夏美と言い合っていた有里だったが、再生してみると、砂嵐しか写らなかったので、何も写ってないじゃんとがっかりする。

その時、有里のスマホにメールが入ったので有里はスマホに目を落とすが、その間も夏美はモニターを凝視していた。

有里が気付くと、やはり何も写ってない状態だったので、もう一回見ようか?とデッキに手を伸ばそうとするが、ダメ!と夏美が顔色を変えて止めるので、どうしたの夏美?と有里は不思議がる。

しかし、夏美の様子を見て、これ、呪いのビデオかも…、森繁先生に見せようと有里は決意する。

二日後に死んじゃうと言うけど電話もないでしょう?と有里が慰めていると、いきなりスマホが鳴りだし、妙な音が聞こえたかと思うと、室内の照明が点滅しだしたので、怯えた有里と夏美は抱き合う。

夏美、どうしたの?大丈夫?と有里は聞く。

その頃、リサイクルショップでは、そう言えば呪いのビデオが入ったビデオ売れましたよ。見たら2日後に死んじゃうんです。電話がかかって来てその2日後に…、動作チェックのため2日前に見たんで、私、死んじゃうんです…とバイトのけい子が店主の妻みつ子に話しかけて来る。

意味が良く分からないみつ子は近くにいた夫にそのことを話し、けい子ちゃん?と呼びかけるが、何故かけい子の姿が見えなくなり返事もない。

店主の夫が周囲を探していると、二階部分に上がったけい子がいたかと思った次の瞬間、けい子は二階から墜落し、展示していたガラステーブルを突き破って動かなくなり、その頭の部分から大量の血が流れ出す。

けい子の手には長い女の髪の毛が握りしめられていた。 鈴花は、背後に不気味な女の霊が立った悪夢を見て目覚める。

ベッドから起き上がった鈴花は窓のカーテンを少し開き、気になる隣の屋敷の様子を覗いてみる。

高校で鈴花は、タロットカード占いをしているクラスメイトから、高木さんの家の隣の家、中に入ってみたら分かるけど、あの家、幽霊屋敷なの…、前に無理心中があって、ご主人奥さんを刺し殺した後、子供を風呂に漬けて殺し、自分は首を吊って死んだんだよなどと言われる。

昔っていつ頃?と鈴花が聞くと、昭和じゃない?とクラスメイトは適当に答え、問題なのはその後、あの家に入った人が死んでるんだよなどと続ける。

そのカードは?と鈴花が聞くと、あの家に入っちゃダメ!これ、最悪の組み合せだから…と、机の上に並べたカードを見ながらクラスメイトは言う。

臨時休業の貼り紙と、捜査用の立入禁止テープが張られたリサイクルショップにやって来た有里は、昨日ここでこのビデオデッキを買ったら、これが入ってたんですけど…と言いながら古いビデオを差し出すと、ご覧になられたんですか?と主人が顔を引きつらせて聞いて来る。

1人暮らしの老人が自殺で亡くなったので、親族の方から頼まれて引き取ったのですが…、役所関係の方も死体を発見した2日後に自殺なさったらしい…と主人は教える。

(回想)自殺した民生委員も長い女の髪の毛を握りしめていた。

(回想明け)どなたか亡くなったんですか?と店の様子がおかしいので有里が聞くと、バイトの子が上から落ちて…、2日前にビデオを見たと言ってたそうですと言うので、一緒に聞いていた夏美は、みんな2日後なんだよと怯えだしたので、森繁先生に相談しようと有里は言い聞かせる。

その後、大学の廊下に有里から呼ばれて出て来た森繁は、本を買いに来たんですか?と聞いて来るが、呪いのビデオから逃げられる方法を教えてくださいと有里は頼む。

夏美は、見ちゃったんですと訴え、これ多分…、本物の呪いのビデオですと言いながら、有里は持って来たビデオを差し出す。

貞子を見たのか?と聞いて来た森繁は、マインドウィルスとか集合無意識などと言った専門用語を羅列し始めるが、私、死ぬんですか?2日後と言ったら明日の夜なんです…と夏美は切迫した表情で聞く。

判断するには材料不足だな…と答えた森繁は、先鋭も見てみれば?と夏美から勧められ、しばし考えた末に、見る!と言い出す。

自分の部屋に有里たちを招き入れた森繁は、これが本物だったら2日後に死ぬんだ。DVDに焼かせてもらうよ、本物なら凄い資料だから…と言いながら、ビデオデッキにセットする。

有里と夏美を部屋の外に出した後、森繁がモニターを見始めると、廃墟のような部屋が写る。

その後、映像を見終わった森繁の部屋の電話が鳴りだす。

受話器を取り、貞子か?貞子なのか?と問いかける森繁だったが、突然超音波のような甲高い音が聞こえて来たので頭を押さえてうずくまってしまう。

部屋の外で様子をうかがっていた有里たちは、異変を察知し、先生!と呼びかけながら部屋の中に入る。

立ち上がった森繁は、ビデオをデッキから取り出しながら、あった!これ本物だよ!と嬉しそうに言う。

でも貞子は現れなかったんだよ…、起きる現象にここの差があるんだな…と森繁は言う。

先生、私、死ぬ?助かる方法は?と夏美と有里から聞かれた森繁は、助かる方法はビデオを人に見せると言うのがあるが、僕は君から受け取ったから、彼女から見せられたとは言えないと有里と夏美を見ながら言う。

ミームを死ぬ直前に書き換えられれば…などと森繁は独り言を言っていたが、呪いで殺されるくらいなら自分で死んじゃいたい!などと夏美がパニクりだしたので、すぐにお祓いが出来る霊能者を捜そうと答えた森繁は、君は見るなよ!生き証人がいなくなると有里に言い聞かす。

帰宅途中の鈴花は、隣の家の前にランドセルを背負って1人立っていた小学生を見かけたので、何してるの?と声をかける。

すると、お待たせ!プレゼント持って来た!と言いながら、同級生らしき3人がやって来たので、大丈夫?と小学生に確認し、鈴花はその場を立ち去る。

同級生の1人は、ここどう言う家か知ってるよね、プレゼントあげるねと言うと、小学生のランドセルの中に持って来た石をたくさん詰め込む。

途中、石が一つ地面に落ちると、石を入れられていた小学生の方がごめんと詫び、本当に悪いと思ってるのかな〜?などと同級生がからかって来る。

その間、同級生の1人が門が開かないようにぐるぐる巻き付けられていた鉄線をペンチで切断していた。

同級生のリーダー格の少年が、家に入って千数えて出て来たら良い…と小学生に命じる。

小学生は言われるがママに玄関の所へ向かいドアを開けようとするが鍵がかかってて開かない。

ふと足下を見ると鍵が落ちていたので、拾い上げて鍵を開け中に入る。

ランドセルを降ろすと猫の声が聞こえて来たので目を伏せる。 白い子供佐伯俊雄(芝本麟太郎)が立っていた。

玄関ドアを開けた小学生は、門の所で見守っていた同級生のリーダーに向けて石を投げつける。

リーダーの額に血がにじみ出る。 怒った3人の同級生たちはそれぞれ石を持って家の中に入って来る。

台所に入った1人がシンクの下の引き出しを開けると、猫が飛び出して来たので驚いてそれを見ていると、引き出しの中から俊雄が少年を掴んで中に引き込む。

メガネをかけた同級生が風呂にやって来ると、湯船には濁った水が張ってあり、何か白いものが浮き出て来たと思った瞬間、同級生は湯船に引き込まれる。

石をぶつけられたリーダー格の少年は、押し入れのある部屋に来て押し入れを開けると、中に隠れていた小学生がまた石を投げつけて来る。

リーダーは怒るが、その他以後のタンスの上にしゃがんでいた俊雄がリーダー格の少年の方に飛び乗り首をへし折る。

押し入れに隠れていた小学生も、押し入れの奥の闇の中に引き込まれる。

大学の部屋にいた森繁は、法柳さん、ありがとうございます!すぐ参ります!と電話に話しかけていた。

その後、有里と夏美を連れてとある神社へやって来た森繁は、取材でここに来て悪霊退治を見たんだけど凄かった。彼女は本物だ。僕は僕で別の方法を考えるからと言い、中に入って行く。

法柳(堂免一るこ)は、白装束に着替え、両手を2人の助手(日野綾子、永嶋美佐子)に押さられた夏美を前にして、手かざしを始める。

何か見えますか?と森繁が聞くと、私が扱っ蛸とがない恐ろしいものだな…と答えた法柳は、ただただ真っ暗な闇がどこまでも続いていると言う。

私は明日死ぬんですか?と夏美は怯えながら聞き、僕は明後日に…と森繁も続ける。

このままだとね…と答えた法柳は、明日明後日の予定、全部断って!と助手に指示すると、こりゃ、やらなくちゃダメだ!と真顔になる。

すると森繁が、僕は良いですと断ったので、貞子を見たいのか?死にたいなら勝手にやれと法柳は呆れる。

そして法柳は、ノーマクサンマンダー バーザラダン!とお祓いを始め、大きな柄杓の水を、飲め!と言いながら夏美の口にあてがう。

何杯も飲ますので、夏美は徐々に苦しがって来て、有里〜!と助けを求める。 有里が立ち上がって、ちょっと!とお祓いを止めさせようとすると、法柳は有里の頬を叩く。

法柳さんに任せなさいと森繁は有里をなだめる。

この女の中に入るもの!姿を現せ!と法柳が呼びかけると、夏美が白目を剥く。

ノーマクサンマンダー バーザラダン!と法柳が祈祷を続けていると、突然、助手の1人がもう1人の背後にやって来て 、突然相手の首をへし折ると、自分の首も背中側にへし折って倒れる。

それを見た法柳は、邪魔するものは皆殺しか!とおののく。

すると夏美が急に立ち上がる。

森繁!常盤経蔵を呼んだ、祭壇の下の現金を使え!と法柳は身体の自由が利かなくなったのか叫ぶ。

貞子!姿を見せろ!と森繁は立ち上がり、法柳に近づくが、法柳はその森繁に頭突きを食らわし、共に倒れる。

夏美も倒れたので、大丈夫!と有里が駆け寄るが、大丈夫なわけないじゃない…と夏美は嘆く。

彼女の回りには法柳と森繁、法柳の助手2人の死体が倒れていた。

私、死ぬんだよ…と夏美が言うので、ごめんと有里は詫びるが、謝られても何も変わらない、全部有里のせいだからね…と夏美は恨みがましく言って来る。

祭壇に置かれていたお札を貼られたビデオを取り上げ、お札をはぎ取った有里は、これ私に渡して!良いから!と言いながら夏美に手渡す。

夏美はそのビデオを有里に渡す。

夏美から受け取った。森繁先生は言ってたわよね?人に見せたら助かるって…、私、やってみる!と言うと、有里は社務所の部屋に帰って来ると、ビデオデッキにビデオを入れ再生スイッチを押す。

モニターにどこか廃墟のような部屋が映し出され、どしん!どしん!と言う地響きのような音とともに、その奥のドアの所から貞子が出現する。

貞子は急にカメラの前に急接近する。

次の瞬間、貞子は有里の背後に立っていた。

恐る恐る振り返ってみた有里は、入り口から入って来た夏美を見る。

その頃、法柳の神社前にやって来た車から降り立ったのは常盤経蔵(安藤政信)と白い杖を付き赤いコートを着た珠緒(菊地麻衣)と言う盲目の少女だった。 何か見えるか?と経蔵が聞くと、見えてないと珠緒が答える。

一方、社務所にやって来た夏美が、何バカなことしてるの!と言うと、バカは昔から…と有里が答えた時、卓上電話が鳴りだす。

有里が受話器を取ると、キーンと言う超音波のような音が響く。

そこへ珠緒と一緒にハンバーガーを食いながら入って来た経蔵が、その受話器を奪い取り、電話ごと床に叩き付けて壊す。 経蔵さんですか?と有里が聞くと、お前も見たのか?仕事増やすな!と経蔵は苛立たしそうに言う。

すると珠緒が、バカみたいな噂を信じたんだよと嘲るように言い、経蔵、これ本物だねと現場を見ながら言う。

すげえなあ…、金は?と経蔵が言うので、有里は祭壇の下に置いてあった箱の中の札束を見せ、法柳先生から預かった金ですと伝える。

珠緒は、この人無駄死にだねと法柳の死体を見ながら言うので、あんたね、先が見えないのに助ける気あるの!と有里が癇癪を起こすと、ある訳ないだろう?と珠緒がバカにしたように答えたので、珠緒、止めとけ!と経蔵が注意する。

こいつの呪いを解くのは難しい。恐怖にとらわれたらもっと苦しむぞと経蔵は夏美に言い聞かせるが、夏美が急に白目を剥いたので、早速かよ!と焦った経蔵は、貞子!見たかったよ!ちょっと出て来いよ!と挑発する。

すると、夏美の口から髪の毛の束が出て来る。 経蔵はその髪の毛を持って来た布袋に入れると、指先で封印するポーズをしながら袋を閉じる。

さらに、そっちもかよ!と有里の背後を見やりながら指先を動かし封じた経蔵は、珠緒、俺が考えたのは、化け物に化け物をぶつけるんだよと言い出す。

経蔵と珠緒を自宅マンションに連れて来た有里は、2人が靴を脱いで上がって来たので、うちにも土足で上がるのかとドキドキしたと言うと、バカにしてるのかよと睨んで来た経蔵は、明日の夜、夏美が見てから2日目になると有里から聞くと、やるだけやると答え、珠緒も良かったねとからかうように言う。

明日まで私たちが外に出られないのなら、これDVDにコピーして欲しいんだけど…、夏美の大事なものなのと言いながら、夏美の両親の結婚式のビデオを経蔵に渡す。

面倒くせえなと言いながらビデオを受け取った経蔵は、何かあったら電話しろと言い残し、珠緒と共に帰って行く。

有里は夏美をソファーに横たえる。

人身売買だと思うなどと言いながら高校の教室にやって来た友人たちが、鈴花に、昨日の夕方、4人の小学生が行方不明になったんだってと教える。

有里と夏美は、夏美の両親の結婚式のDVDをモニターで再生していた。

ウェディングドレス姿の夏美の母親は赤ん坊を抱いていた。 私、結婚式の前に生まれちゃったんだよね。お金なくてずっと式を挙げられなかったんだって…、最悪…と夏美が言うので、夏美は今でも可愛いよと有里が慰める。

もう良いや、止めて!と頼んだ夏美は、私の荷物どこ?と言うので、ソファーの横にあることを有里は教え、自分はシャワーを浴びに行く。

シャワーを浴びながら髪を洗っていると、肩に長い女の髪の毛が落ちて来たので、天井を見上げると、天井中に髪の毛がへばりついていた。

その時又、キーンと言う甲高い音が聞こえて来て、ガラス戸の外に人影が映る。

気がつくと天井は何ともなく、ガラス戸の外から、有里、大丈夫?と聞いて来たのは夏美だった。

うん、気のせいだったみたい…と有里は答えるが、そう…、良かった…と答えた夏美の手にはDVDが握られていた。

呪いの家の前にやってきた経蔵は、これしかねえだろうと言うが、その時、珠美が苦しみだしたので、指で印を切る。

すると呪縛が解けたのか、珠緒はありがとうと礼を言う。

前から目をつけていた。正解だろう…と玄関前まで来て経蔵が言うと、入ったら呪われて死ぬ…、ここにいるのは伽椰子と俊雄…と珠緒が解説するので、みたいだな…と応じた経蔵は、拾った石に呪文を唱え、玄関をから中に投げ込む。

逃げた…と珠緒が教えると、伽椰子はそうはいかない…と経蔵が言う。

すると珠緒が、あっちに良いものがあると言いながら屋敷の裏手に向かうと、そこには古い井戸があった。 深いね…、使えるね…と珠緒ガイドの横で言うと、でも最後の手段だと経蔵とは言う。

玄関先に戻って来た経蔵は、鈴花が道から覗いていることに気づき、じろじろ見るんじゃない!と注意するが、何してるんですか?と聞かれる。

この人、家に呼ばれている…と珠緒が教えたので、入ったら死ぬぞと経蔵は忠告する。

その日の夕食後、鈴花は両親に、昨日向かいの家の前に行方不明になった小学生の4人がいたんだよと話すと、家出だろう?そろそろ見つかるだろう…と透は興味がないように返事する。

そうかな?ごちそうさま…と答えた鈴花は二階の部屋に帰ろうとして、昨日いじめられていた小学生の後ろ姿が見えたので愕然とする。

その時、どうしたの、大丈夫?と史子が声をかけて来たので、気を撮り直した鈴花は大丈夫と答える。

マンションで有里は茶を煎れながら、経蔵さん、後1時間くらいで迎えに来るって…と夏美に話しかけるが、私、どうしてこんな目に遭うんだろうって思ってさ…、みんな死んじゃえば良いって思って…と夏美が愚痴るので、経蔵さんが助けてくれるよと慰める。

すると夏美は、私、やっちゃったんだよね…と言いながら、「呪」の字がサインペンで書かれたDVDを取り出し、森繁先生が録画したDVD!と言い出す。 何?何で持ってるの?盗んだの?と有里が驚くと、それでさ、さっき有里がシャワーを浴びている間にインターネットにアップしたの。

私、ヤバいと思ってすぐに削除したんだけど、ダウンロードした人がいて、ネットに上げてるんだよねと言いながら動画サイトを見せる。

そこには既に何本もの呪いのビデオがコピーされアップされていた。 みんな呪い殺されちゃうね…、ねえ有里!一緒に死なない?私、呪い殺されるの嫌なの!私、自分で死にたいの!一緒に死のう?ダメか…などと夏美は言い、その場にあった紐を持って隣の部屋に飛び込んで行く。

そして、1人で死ぬのは嫌だから見ててと言うと紐で輪っかを作った夏美は、それをドアノブに引っ掻け、その中に首を突っ込もうとする。

有里は必死に止めようとドアを開けようとするが、鍵を内側からかけられていたので開かなかった。

その時、首をくくろうとしている奥の闇の中に貞子が出現する。 夏美も横に目を向け、貞子が近づいていることに気付く。

有里はドアノブを叩き毀し、夏みかん!と叫びながら隣の部屋に飛び込むが、既に夏美は口の中に髪の毛を詰まらせて死んでいた。

その直後やって来た経蔵は、白い布を夏美の顔にかぶせた有里に、自殺は無理だ…、貞子の呪いの邪魔する奴は死ぬと言う。

ネットのことは…、全て私のせいですと有里は反省し、呪いを全て消し去ることは出来ないんですか?と聞く。

すると珠美が、全て見えない糸で繋がっている…と言い出し、お前の呪いを消せばワクチンみたいに広がって、呪いを消すことが出来るかも…と経蔵が言うので、私は呪いの広がりを止めたいんですと有里は頼む。

明日の夜、お前が死ぬ時間だ…と経蔵が言うと、経蔵!あの高校生、危ないかも…と珠美が言い出す。

煤花は、二階の自分の部屋の窓からそっと隣を見ると、隣の二階の窓に人影が動くのが見えたので一人出かけて行く。

寝室で鈴花が出かける音に気付いた澄子は、お父さん、鈴花が…とベッドの横で寝ていた透を起こす。

鈴花は懐中電灯を持って隣の屋敷に入り込む。 階段を登り二階へ上がろうとすると、突然猫が飛び出して来る。

二階には、ランドセルを背負った小学生がしゃがみ込んでいたので、ねえ、何してるの?早く帰ろう?と声を掛けると、後ろを向いていた小学生の後頭部の部分が急のこちら向きの俊雄の顔に変わり猫の鳴き声が響く。

その時、鈴花!どうした?と両親が玄関に入って来る。

俊雄は父親の首を引っ張り伸ばす。 逃げなきゃ!と史子は鈴花に言うが、その時、ココココ…と言う音とともに伽椰子が出現する。

気がつくと、史子の両足首がなくなっていた。

鈴花!逃げて!と史子は叫ぶが、玄関ドアが開かない。

その時、ドアが少し開き、誰かが袋を投げ込んで来る。 その袋から出て来た長い髪の毛が伽椰子の身体に巻き付く。

外に出た鈴花に、この子ちょうど使えると珠美が言い、こいつが生き残るためには協力するしかないんだけど?と経蔵も言う。

翌朝、自宅のベッドで目覚めた鈴花だったが、これは夢じゃない、両親はもう戻らない…、見たんだろう?伽椰子…と部屋に珠緒、有里と共にいた経蔵は鈴花に話しかける。

今夜、伽椰子に別の呪いをぶつけて消滅させると経蔵が計画を打ち明け、決心して!と珠緒も迫る。

一緒にやろう?あなただけでも助かってくれたら嬉しい…、私、有里…と有里が名乗り手を差し出すと、鈴花も覚悟を決めたように握手に答えて来る。

2人にはあの家に入ってもらう。 既に伽椰子の呪いがかかっている鈴花がそこで呪いのビデオを見ると貞子の呪いがかかる。

既にビデオを見ている有里には家に入ったことで伽椰子の呪いがかかる。

互いに拮抗する呪いの力を持つ貞子と伽椰子はぶつかり合って消える…、最大限に巧く行った場合だがな…、最後の手段も考えてある…、あんまり使いたくない手だが、俺には準備がある。夜まで休んでろと経蔵は有里と鈴花に説明し、出かけて行く。

その後、経蔵は、呪いの家の裏手にある井戸の側に杭を打ち込み始める。

その間、有里は鈴花に茶を煎れてやり、静かね…と呟く。 有里さん…、私、怖いんですと鈴花が怯えるので、私もと言いながら、有里は鈴花を抱きしめてやる。



ビデオはすぐ見ろ!あいつが出て来る前に、行って来い!と経蔵は呪いの家の前で鈴花に指示を出す。

有里は行こうと鈴花を誘い、一緒に家の中に入る。

いざとなったら裏手に逃げろ!有里、聞こえるか?気をつけろ!と経蔵は有里にスマホで電話して来る。

1階の部屋の中にビデオデッキとモニターを持ち込んで来た有里はセットをすると、今、ビデオを再生しましたとスマホで外にいる経蔵に伝える。

鈴花!何があっても映像を見続けろ!と経蔵が指示して来たので、鈴花ははい!と答える。

その時、二階で何かが転がるような物音が聞こえて来る。 さらに、部屋の中の椅子が急に移動し始める。

ポルターガイスト現象だった。

そんな中、鈴花は言われた通りに再生された呪いのビデオを見続ける。

良し!作戦通りにやった!と経蔵は喜ぶ。 その時、鈴花のスマホが鳴り出す。

しかしすぐに電話は切れてしまったので、おかしいな…、反応がねえ…と経蔵は焦る。

いや、来る!と珠緒が叫ぶ。

俊雄が有里達の前に出現すると、モニター画面から髪の毛が出て来て、俊雄の身体に巻き付くとモニターの中に引きずり込む。

珠美が経蔵に近寄る。

そろそろ有里がビデオを見る時間だと経蔵が言う。

部屋の中ではモニター画面から貞子が出て来ていた。

すると二階から伽椰子が階段を降りて来る。

珠緒!意識を閉じろ!と経蔵が叫び、スマホに向かって、貞子の目を見るな!と有里たちに警告する。

伽椰子は貞子を闇の中に引っ張り込む。

しかし、伽椰子の身体には髪の毛が巻き付いていた。

どっちも消えねえ!外へ出ろ!裏手へ逃げろ!と経蔵が呼びかける。

裏手の井戸の所へ逃げて来た2人だったが、伽椰子が追って来ると、貞子も近づいて来る。

しょうがねえな…経蔵はぼやいて駆けつけると、貞子!これは大切なものだろう?と良いながら呪いのビデオを放り投げて来る。

すると伽椰子がそのビデオを握りつぶそうとする。

そんな伽椰子を阻止するかのように髪の毛が絡み付いて来る。

さらに経蔵の足にも髪の毛が巻き付いて来たので、印を切って消し去る。

悪いけど、1人には犠牲になってもらう。

井戸へ飛び込んでくれ。 それで封印する。

これじゃあ計画通りに出来ねえぞ!来るぞ!2人とも離れて!と経蔵は焦りながら有里と鈴花に指示する。

井戸の前に立ったのは有里だった。

貞子が来れば伽椰子も来る!マジかよ!と経蔵はおののきながら事態を見守る。

有里さん!と鈴花が呼びかける。

珠緒も井戸に近づいて来る。

井戸の側に貞子が出現し、伽椰子も近づいて来た時、有里が井戸の中に飛び込む。

それを追うように貞子と伽椰子も井戸に飛び込もうとして互いにぶつかり消滅…かに見えたが、側にいた経蔵の身体を弾き飛ばす。

井戸の中の水に浸かっていた有里は、上から迫って来る化け物を見上げて泣き出す。

あの蓋をかぶせろ!と珠緒が叫び、鈴鹿は、用意されていた蓋を井戸にかぶせると、両脇に刺さっていた2本の杭に綱を引っ掛け固定する。

経蔵!と呼びかけながら、倒れていた経蔵の顔を触る珠緒。

有里さん!と鈴花が呼びかけると、混ざり合ってる!と珠緒が叫ぶ。

井戸の上の蓋が吹き飛び、手が出て来る。 這い上がって来た貞子は、伽椰子のように這いつくばって近づいて来る。

その時、背後に俊雄が出現した鈴花が悲鳴をあげる。

エンドロール

廃屋の部屋の映像

奥の入り口の所にココココ…と言う音と共に、奇妙に身体をくゆらせながら新しくハイブリット化したような貞子が出現する。

貞子が画面に急接近する。
 


 

 

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