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ポッピンQ

東映動画時代から歴史のある東映アニメの60周年記念作品。

夢に向かってチームで努力する若者像、つまり「友情・努力・勝利」と言う良くある青春映画やコミックのパターンを、今の流行のファンタジーものに託したどちらかと言うと少女向け作品になっている。

ヒロインたちの年齢設定から推測して、中学生辺りがターゲットと考えると、やや内容や絵柄が幼すぎるかな?と感じないでもない。

キャラクターデザインなどは面白いのだが、絵の情報量とかが少なく、全体的に小学生くらい向けに近いように感じるのだ。

これは、背伸びしたい年頃である中学生くらいにとっては夢中になりにくいのではないか。

特にこの作品、最後まで見ると、何か新しいTVシリーズか、映画の続編、シリーズ化を狙った壮大な企画のプロローグ部分である事が分かる。

この作品は作品としてそれなりに1本の話にはなっているのだが、登場キャラなどで最後まで回収していない謎の要素もあり、その辺も含め、やや物足りなさを感じないではない。

今後の舞台が高校だとすると、この幼い展開で大丈夫なのだろうかと言う危惧感も抱くし、主役のキャラデザイン、特に変身後のコスチュームはこれで良かったのか?と言う点も気になる。

男子をターゲットと考えるならダンスシーンなどの見せ場は何か違うような気がするし、女子ターゲットなら、女子高校生がこの手のプリキュアみたいなファンタジーを求めているのかと言う素朴な疑問もある。

見せ場のダンスシーンは、「プリキュア」などでもお馴染みのモーションキャプチャーCGIを使った滑らかな動きで、2D部分との違和感もない。

この作品だけを取り上げるとものすごく新しいものを見たと言う感じはないが、子供向けとしては出来は悪くないのではないだろうか。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、「ポッピンQ」Partners、東堂いづみ原作、荒井修子脚本、宮原直樹監督作品。

「東映アニメーション」創立60周年記念作品

朝、走って部活のため登校する伊純(声-瀬戸麻沙美)は港の堤防脇を駆け抜ける。

この日の朝 おじいちゃん!行ってきます!と出かけようとした伊純に、ちょっと伊純、どこ行くか?と母恵理子(声-島崎和歌子)が聞いて来たので、部活やけど…と答えると、卒業ぎりぎりまでやるが?と母は文句を言う。

しかし、それを無視して行ってきます!と伊純が出ようとすると、今日のうちに荷物まとめる約束やっろうかえ?と母が文句を言って来たので、お母さん、私まだ、東京に行くち決めちゃあせんけん!と玄関口で言い返す。

伊純、いい加減…と言いかけた母は、あんた、向こうは狭いけん、荷物減らしてって言われたやろう?と引越荷物を運んでいた父俊平(声-小野大輔)に注意する。

父は、ほら、伊純が変な事言うから、こっちに飛びしたやないかと困ったように言う。

すると伊純は堪忍袋の緒が切れたように、大人は勝手やね!東京で会社やるき、みんなで行こうって!振り回されるこっちの身にもなってみいや! 人の気も知らんで、私はここを離れんきね!と吐き捨て、伊純は家を出て行く。

大丈夫かいね、伊純は…と父が案じると、大丈夫よね、この間まで東京の高校に行けるって喜んじょったき…、ちょっと心残りがあるばあで…と恵理子は答える。 それを聞いた俊平は、心残りかえ?…と戸惑ったように呟く。

桂浜中学校に来た伊純は、校庭の陸上コースでスタート準備をしていた。

レディ、セット!と陸上部マネージャー深町美晴(田所あずさ)が声をかけ、スターターが鳴ると同時に走り出す伊純。

走り切った伊純が、どやった?と聞くと、12秒00です!とタイマーを持った美晴が答え、もう1本!もう1本やりましょう!伊純先輩!と呼びかけて来る。

しかし伊純は空を見上げ、止めるか…陸上…と呟く。

部室のロッカーで着替え終わった伊純に、先輩、本当にもう平気なのです?足…と美晴が聞いて来る。

美晴は、返事しないで落ち込んでいる伊純に気付くと、きっと卒業前に目標タイム出せますよ、怪我さえ直れば先輩は無敵ですき…、あの大会のときも…と11秒89のパーソナルベストを出した時の写真を見ながら慰める。

明日、もう一回タイム計っちょきましょう。

卒業前に何としてもパーソナルベストを…と続けた美晴だったが、ドアを開けて帰りかけた伊純が卒業式、出んき…と呟いたので言葉を飲み込む。

出ないで東京なのですか?と美晴が聞くと、東京も行かん…、乙!と言い残し伊純は出て行くので、待ってください、伊純先輩!と美晴は後を追う。

そんな伊純とすれ違った後輩たちは、伊純先輩、こんな時期まで練習して、感じ悪うない?あれナナ先輩への当てつけやろ?自分が負けた思うて…と囁き合う。

かなり性格悪いでね…と言う声が聞こえたので、伊純も美晴も思わず足を止める。

伊純が急ぎ足になったので、先輩、明日、待ってますき!ラストチャンスですきね~!と美晴は叫ぶ。

埠頭に来た伊純は堤防を駆けてみる。

公園のオブジェの中で「消えてしまいたい」と落書きをしているフードをかぶった少女都久井沙紀(声-黒沢ともよ)。

ご来場の皆様、次の演奏まで今しばらく御待ちください…とコンサート会場のアナウンスが流れる。

出番予定の中学3年友立小夏の名を呼ぶ係員。

そんな会場の様子を暗がりの部屋から覗き、怖い…、ごめんなさいとしゃがみ込む小夏(声-種崎敦美)。

堤防を走る伊純。

お前はあさひの将来を潰す気か?それはこっちのセリフよ!と柔道、合気道兼用の道場で言い争っている胴着姿の両親の前で困惑する大道あさひ(声-小澤亜李)。

世界大会までもう時間がない!合気道を止めて柔道一本に絞れば、こいつはきっと世界一になれる!と自己主張する父親。

世界、世界って、その安っぽい功名心が武道の崇高な魂を穢すのよ!と母親が反論すると、負け惜しみだ!将来性なら柔道だろう!と父親も引かない。

すると母親は、決めるのは朝日自身よと言い出したので、あさひは、私は…どちらでも…と曖昧な返事をする。

そんな優柔不断なあさひに、両親とも苛立つ。

大体なんだ!そのチャラチャラした飾りは!世界を取るまで浮ついた気持は捨てろ!良いな!とヘアアクセサリーの事を指摘する父親。

母親もまた、あさひのペディキュアに気付くと、あさひ…、その爪!と指摘する。

腕立て300回だ!と指示する父親に、押忍!と答えるあさひ。

伊純はまだ堤防を走っていた。 東泉ゼミナール一斉模試成績優秀者発表の張り出しで、1位に書かれている名前は日岡蒼だった。

そんな蒼(声-井澤詩織)に、高校、どこに決まったの?ラインアド聞いて良い?などとゼミ仲間たちが話しかけて来る。

しかし、全く返事をしなかった蒼はすっくと立ち上がると、ゼミのパンフで紙飛行機を降り、それを窓から飛ばし、面倒くさい…と呟いたので、ゼミ仲間たちは、行こう…と囁き合う。

伊純は突堤の先端部にたどり着くと、胸のつかえを吐き出すように大声を上げる。

コンサート会場を抜け出す小夏。 道場で疲れ切って寝転ぶあさひ。 ゼミ教室でふと窓の方を見る蒼。

ただいま!と帰宅した伊純に、遅いわ!早う荷物を詰めや!モタモタしとる暇ないきね!と恵理子は声をかけて来る。

おかえり!と呼びかけた俊平は、牛乳をパックから直飲みしている伊純を気にするが、恵理子からファスナーお願いと服の着付けの手伝いを頼まれる。

しかし、もうその服がもう太った妻の身体には入らない事に気付くと、早う片付けようやと恵理子に言い聞かす。

ああ、若い頃に戻れるがやったら、悪魔に魂売るのに…と恵理子は鏡に向かいぼやく。

伊純、明日の卒業式、これとこれ、どっちがええと思う?と話しかけた恵理子だったが、伊純は、あたし、卒業式行かんき…と言うので、伊純!高校生になるがや言うのに、いつまで子供みたいにへそ曲げようや?と恵理子は叱る。

いじけて大人に機嫌取ってもらいたいんがったや、赤ちゃんからやり直してきいや!と恵理子がきつく言うので、こんな家に生まれるがやなかった!と伊純も言い返し、二階への階段を登る。

伊純!本当にもう!と切れる恵理子に、ままも言い過ぎやから、ちっと落ち着きってと俊平がなだめる。

二階の窓から外を見ていた祖父元治(羽佐間道夫)に、ただいま!と声をかける伊純。

帰って来たがは真吉おじちゃんんとこの船やねと伊純が窓の外を見て言うと、親父の船なんか継がんって言い寄ったけど、今じゃ立派な船長ちゃ…と元治は言う。

おじいちゃんはお父さんに漁師になって欲しがったや?お父さんもお母さんも能天気っていうかよ、おじいちゃんを1人にしてまで東京で会社やる必要ある?私の気持なんかぜんぜん考えてないし!と伊純が不満をぶちまけると、元治は何も言わず伊純の頭をなでるだけだった。

あたし、ここで漁師になろうかな?おじいちゃんみたいに…と伊純が言い出すと、人には勝負せな行かんときがあるき…と元治は答えるが、意味分からんし…と伊純は答える。

元治はそんな伊純の頭をまたなでるだけだった。

翌朝、おはようございます!いよいよですね。早めにスタンバりますから絶対来てくださいよ!と美晴からのラインメッセージが届いていたのを伊純は駅のホームで読む 翌日、結局、無理矢理家を出された…

やって来た電車「とんぼ」に乗り込もうとしかけた伊純だったが、一瞬迷った末、きびすを返して逆方向の電車に乗り込む。

踊るCGキャラにタイトル

あさひや小夏も駅の改札を通過する。

フードをかぶった少女が立ち上がり、ヘッドホンを付けていた蒼が驚いたように振り返る。

トンネルを抜け、窓から差し込む強烈な光で目を覚ました伊純は、ここどこ?と窓の外の景色を見ながら呟く。

降り立ったのは「星ヶ浜駅」と言う人気のない場所だった。 うわ~…こんな所あったがや?と駅前に広がる美しい浜辺を前にいた伊純は感動する。

砂浜に来た伊純は、ガラス片のようなものを拾い、きれい!と呟くが、その時突然、スマホが鳴ったので内容を見ると、美晴:先輩知ってました?青春って案外短いがですよ♡とあった。

それを見た伊純は駅に戻り、学校へ向かう電車に乗り込もうとするが、その時、あれ?ここ通学圏がいやのに定期使える…と気付く。

しかし、その自動検札機が突然ショートしたかのように非なりが走り煙が立つと、伊純の目の前の駅は全く見覚えのないグランドキャニオンのような異世界に変化していた。

何だら?夢?と伊純が呆然としていると、側にあった自動検札機も伊純が立っていた円柱状の上部に吸い込まれるように消えてしまう。

その時、その円柱状の上の部分に、ポンポピ!何かを言いながら、奇妙な生き物が這い上がって来る。

ぬいぐるみが動きよる?と伊純は驚くが、その生き物が伊純の首に巻いていたマフラーに緑のバッジを付け、ブレス!と叫ぶと、伊純の制服の右ポケットにしまっていた砂浜で拾ったガラス片が空中に飛び出し、やがて緑のバッジに合体するかのようにぶつかって来る。

すると、夢じゃないと言っているんだ!と生物の言葉がわかるようになる。

俺はポコン(声-田上真里奈)!と言うので、日本語しゃべれる!と伊純が驚くと、正確にはその欠片とバッジを通して直接お前の頭に話しかけている…とポコンは言う。

ポコン、ここはどこなんだ?私は何でここに?と聞くと、ここは「時の谷」、お前は時空をスライドしてやって来た。

分からない事があれば、同位体である俺が何でも教えてやるからな…とポコンは教える。

同位体?と伊純が聞くと、いつでも繋がっているパートナーってことさ…とポコンは言う。

すると、いきなり伊純が横になったので、どうした?とポコンが聞くと、寝る!やっぱりこれ夢やわ…と伊純は答える。

う~ん…と顔をしかめたポコンは、行くぞ!と急かしたので、伊純は、えっ!と驚く。

ポコンが伊純の手を引っ張り、巨大な円柱状の部分から飛び降りたからだ。

無理無理!と抵抗した伊純だったが、地面近くで追突する寸前、ポコンが口から深く息を吸い込み、風船のように身体を脹らませて伊純のクッション代わりになる。

気付いた伊純は、自分の下敷きになっていたポコンの身体がぺしゃんこになっていたので驚くが、目、覚めたか?と頭の部分が浮遊して近づいて来て、ぺしゃんこになった身体と合体し手元に戻る。

それを見た伊純は、やっぱり夢やわ…と良いながら気を失う。

そんな伊純に、おい!時間がないんだって!町まで行くぞ!とポコンは呼び起こす。

彼らの目の前には、山の斜面に家がこびりついたような場所がそびえていた。

門に続く階段を登っていた伊純は、まるでおもちゃの町だね…と呟くが、おもちゃの町とは何だ!と道案内をしていたポコンは怒る。 俺たちはポッピン族だとポコンは言う。

ポッピン族?と伊純が聞き返すと、ここ「時の谷」を守る誇り高き一族だとポコンは言う。

ふ~んと感心した伊純が、あれは?何で踊っているの?と近くの土俵のような場所の上で踊っている小さな子供のようなものを聞くと、時を勧める俺たちの役目さ…とポコンは説明する。

一生懸命踊った後は時が進むし、ご飯が旨い!とポコンは言う。

はあ?と戸惑う伊純は、自分のスカートを引っ張る女の子のような生き物を見る。

レミィ(山崎エリイ)!とポコンは驚く。

何?知り合い?と伊純が聞くと、こいつはレミィ、「時の谷」の守り巫女さとポコンが教える。

レミィは事情があって思いを声に出せなくなった…と言うので、事情?あんた何て言ってるか分かるの?とポコンに聞くと、来てくれてありがとう…とポコンが笑顔のレミィの通訳をする。

可愛い!宜しくでに!と伊純は屈んで、小さなレミィと手を取り合う。

行くぞ!とポコンが歩き出すと、レミィも後を付いて行くが、立ち上がった伊純は、ここ町なんだよね?何か寂しくない?と疑問を口にし、山に貼り付いた住居部分の一部が壊れているのを見つけ、ねえ、あそこどうしたの?と聞くと、ああ、あれは…と答えかけたポコンが、旧に着ぐるみだ!と叫び、レミィも怯える。

ポコンはレミィの手を取り、走るぞ!と伊純に声をかける。

先ほどの土俵のような場所を振り返ったい純は、踊っていた小さな生き物たちを乱波のようなもので吸い取ったグレー色の奇妙な怪物を見たので、ぽこんと一緒にその場から逃げ出す。

ポコン、あの子たちは?と聞くと、一度吸い込まれたら助けるのは無理だ!と走りながらポコンが教える。

グレーの怪人軍団が迫って来たので、伊純はポコンとレミィを両脇に抱え、得意の全力疾走を始める。

迫って来たたくさんの怪人たちが手を伸ばして伊純を捕まえようとしたとき、目の前に手を構えたあさひが立っていることに気づく。

伊純が通り抜けると、あさひが迫り来る怪人軍団をなぎ倒してしまう。

立ち止まって振り返った伊純に抱かれたポコンは、側の木の枝に腰掛けていたタドナ(声-M・A・O)に気付く。

あさひさん、御見事ですとタドナは拍手する。

お怪我はありませんか?とアサヒが声をかけて来るが、その時、奇妙な音が聞こえて来て、木の枝のタドナが、あっち!と音のする方向を指差す。

そこにいたのは、怪人軍団に迫られ、防犯ブザーをかざして怯えていた眼鏡っ娘の小夏だった。

小夏はブザーでは効果がない事に気付くと、側にあったテントの中に逃げ込む。

怪人軍団もそのテントの中に入って来るが、中は薄暗かった。

人影はなく、中央の支柱部分の根元に麻袋のようなものがいくつも積まれており、その下から防犯ブザーの音が聞こえていたので、怪人たちはその麻袋を剥がす。 しかし、麻袋の下にあったのは防犯ブザーだけだった。

その隙に、テントの反対側から小夏を引っ張り出していたのは、小夏の同位体であるダレン(本渡楓)だった。

ダレン、サンキューと感謝した小夏は、近くで待ち構えていた蒼に声をかけ、蒼は今よ!とテントの上に乗っていた同位体のルチア(声-石原夏織)に声をかけ、了解!とルチアがテントの支柱の上を固定していたピンを抜き、蒼もテントを張っていた綱の1本を外したので、テントは崩れ落ちてしまう。

私の夢やのに、頭脳プレイやが…と伊純が驚くと、だから、夢じゃないから…と蒼が声をかける。

町外れのテント軍の中の1つで、肘の怪我の手当をしてもらった伊純は、痛っ!もっと優しく出来ないの!と文句を言うが、蒼は、あんたがじっとしてないからよ!と言い返して来る。

すると負けん気の強い伊純は、私は小湊伊純って言うの!と名を名乗る。

すると、セーラー服の少女が立ち上がり、申し遅れました、私、大道あさひと申します!と礼儀正しく自己紹介をしたので、友立小夏!小夏で良いよ!と小夏も名乗る。

で、不機嫌なあなたは?名前くらい教えなよ!と伊純が聞くと、日岡…日岡蒼よと蒼が仕方なさそうに答える。

しかし、ま、名乗ったばかりで悪いんだけど、元の場所に帰してくれないかな?と蒼はルチアに言い出したので、あの、何かお急ぎなんですか?とあさひが聞くと、卒業式があるの、早く帰りたいのよと蒼は答える。

それを聞いた小夏も、そうだ!卒業式!と思い出し、小夏も、私もですと訴える。

みんな中3なんだ…と小夏が気付いたので、じゃあ帰る?と伊純が聞くと、すぐに帰らせるわけにはいかないとテントの外から声が聞こえたので、長老様!とポコンが驚くと、その長老(ラムタムラス) (声-石塚運昇)が入って来る。

すると、長老様の御前よ!あなた方もちゃんとして!とルチアが指示したので全員起立する。

我々には時間がない…、世界の危機なんじゃ…と長老は言うので、小夏は驚き、世界の危機?と聞き返す。

他の住人たちもテントに集まって来た中、椅子に腰掛けた長老は、君たちの世界の1時間はこの世界の120時間…、つまり5日と説明する。

それを聞いた蒼は、卒業式が始まるまでこっちの時間で10日はあるって事ね?と計算する。 長いような短いような…と小夏が言う。

それに君たちはこの世界にちょうど10日間しかいられない…と長老は続けるので、どうして?と伊純が聞くと、時の掟じゃ、それを破れば元の世界には戻れぬ…と長老は言うので、えっ!戻れなくなるの!と伊純は驚く。

て言うか、この世界とか元の世界とかって一体何なんですか?と小夏が聞く。

この宇宙には君たちが生きる世界の他に異なる時間軸の世界が星の数程存在する…と長老が説明すると、パラレルワールド!と蒼が指摘する。

この「時の谷」は全ての時間軸に通じているハブスポット、この谷に鎮座する「時の種」が何者かに狙われ、突然割れて飛び散ってしまった…と長老が言う間、伊純が打とうとしていたので、さすがに失礼だよと小夏が声をかける。

なんか急に眠くなって…と、その声で姿勢を正した伊純は言う。

それを聞いた長老は、早く彼女たちに着替えを!と命じたので、蒼が着替えなんて必要ないです、戻れなくなったらシャレにならない!今すぐ帰りの…言いかけ、急に倒れてしまう。

注いで小夏も倒れ、あさひも意識が遠のいていくので、長老は、いかん!急ぐのだ!と命じる。 気がついた伊純は、何故かすっきりした気分になっている事に気付く。

うん、これは別時空に着た君たちを世界へ時間のズレによるダメージから守る装束だと長老は言う。

それを聞いた蒼は、バイオスーツって事ねと理解する。

これを着こなす事で、君たちに秘められし更なるパワーも引き出せるはずだと長老は言う。

着こなすと言われても女子力控えめだから…と言いながら、あさひはペディキュアの足でズボンをはく。

そもそもパワーとか必要ないんだけどね…と小夏も言いながら帽子をかぶる。

準備は良いか?とポコンが聞くと、ルチアとタドナが加点の両脇に立ち、OK!と答える。

オープン!とポコンが言うと、ルチアとタドナがカーテンを開く。 バイオスーツに着替えた4人に、お前らに見せたいものがあるから付いて来い…とポコンは言う。

「時の城」我々ポッピン族の住処で、時の種が鎮座していた場所だ…と、とある場所に来た4人に長老が言う。

「時の種」が割れた事で、「時の谷」には「着ぐるみ」と言う化け物が溢れ、我々は城を追われた。

奴らは我々ポッピン族を捕獲しながら、勢力を拡大させて、飛び散った「時の種」を探している。

一刻も早く時の種を取り戻し、祈りと踊りを捧げなければ、あらゆる世界の時間軸が狂ってしまうのだ。

君たちの世界もそれを免れる事は出来ん!と長老は説明する。

守り巫女のレミィの祈りがなくては「時の種」は正しく機能しない。だがこのままでは我々もレミィを守りきれるかどうか…、そう話した長老は、突如、ブレスケ!と言葉を発する。

すると、4人の衣装に付いていた緑のバッジが光り出し、君たちが拾ったのが飛び散った「時の種」、すなわち「時の欠片」だと長老は言う。 君たちは欠片の力によってここに引き寄せられたと長老が言うので、「時の欠片」…と4人は驚く。

彼らは全部で6つ、1つは我々の仲間が既に持っていると言うので、最後の1つは?と聞くと、まだ見つかっておらん…と長老は嘆く。

全ての欠片を集めて君たちに世界を救って欲しい!と言われた子純は、救うってどうやって?と聞く。

すると長老は、ダンスじゃと言い出す。 ダンス?と4人が驚くと、レミィと4人の同位体たちが一斉に踊り出す。

それを見た4人はかっこ良い!2頭身なのに…と感動する。

私、感動しちゃいましたと泣き出したあさひに、あさひさん、泣いている場合じゃありません!とタドナが声をかける。

今の「勇気のダンス」、あなた方が踊るんだよとダレンが言う。

それを聞いた4人は驚き、何なの?「勇気のダンス」って…蒼が聞く。

その心を整え、パワーを身体に蓄えるダンスですとルチアが説明し、このダンスは「時を進めるダンス」の元になる、出来るよな?とポコンが問いかけて来たので、4人は口ごもる。

まあ、何とかなるでしょう…とか?とポコンが心を見抜くと、言い当てられた伊純は驚く。

のんびり覚えレベよいか…とダレンが小夏の心を読み、他の人に合わせようとか?とタドナがあさひの心を見抜き、ああかったるい…とか?とリチアが蒼の心を指摘する。

何?この同位体って面倒くさい!と4人同時に思うと、…とか、思ってないですよね?と4人の同位体も嫌みったらしく聞いて来たので、4人はキラ目て、頑張りますと頭を下げる。

ポコンはそんな4人の態度を見てため息をつき、こんなんじゃ「時の欠片」が6つ揃う前にチーム崩壊だと言うと、ポコン、そろそろ出発の時間よとルチアが声をかける。

それを聞いた伊純は、出発の時間って、どこに?と聞くと、新しい避難場所さとポコンは答える。

「時の欠片」の在処を探りながら、お前たちのダンスが上達するまでは時間を稼がないと…、着ぐるみに捕まったら終わりだとポコンは言う。

ねえ、まさか、歩いてついて来いって訳じゃないよね?と蒼が聞くと、歩いて?まさか…とポコンは答えるが、4人は巨大なカメのような生き物に乗った同位体の後を走って付いて行くはめになる。

1234とポコンが手を叩いてリズムを取ると、走りながら4人も真似をするが、何でこんな事やらされるのよ!と蒼は不機嫌になる。

この訓練はダンス初心者のあなたたちが怪我をせずにレッスンするために必要なんですよとルチアが説明する。

こんなことしなくたって、ダンスくらい踊れるよ!と子純は走りながら言うので、すぐ後ろを走っていたあさひが伊純さん、頼もしいです!と声をかける。

とか言って、踊れなかったらどうしようって思ってるんだろ?とポコンが本音を見透かし、返事はどうした?ビッグマウス!と伊純を叱って来る。

そう言われた伊純は、ああ、もう!いちいち人の心を覗かないでよね!と切れる。

そんな一行の様子を、高い崖の上から見下ろす人物がいた。

やがて、水が在る場所で休憩する事になるが、蒼は、こんな事やってて大丈夫なのかしら?持ち主の分からない最後の一個も一体どこにあるんだか…と不安を口にする。

水を飲んでいたい純も、もう1人の子が見つかったら何とかなるのかな?とみんなに問いかける。

もう1人ってどんな子だろう?可愛いのかな?と小夏は興味深そうに言う。

そもそも女子なの?と蒼が言い出すと伊純は驚き、男の子?と聞き返すが、蒼は、さあ?ととぼける。

踊れる男子、かっこいよいよねと小夏は期待を語る。

仲良くなれると良いですが…とあさひも発言する。

踊りもだけど、面倒くさい子、勘弁…と蒼は本音を漏らす。

いるよね、自分を棚に上げて人には厳しい人と伊純が蒼を見ながら嫌みを言うと、うるさいだけの目立ちたがりに何を言われても何も響きませんけど…と蒼は言い返したので、はあ?と伊純は睨みつけるが、ここは一つ穏便に!とあさひが取りなし、小夏もチームワーク、チームワーク!となだめる。

私たちはもう仲良しだよね〜、あさひちゃん!と小夏は抱きつくが、小夏さんみたいな女の子らしい方にそんな…、うれしいですとあさひは戸惑う。

しかし蒼は、何がチームワークよ!どうせ、ここにいる間だけの付き合いじゃない!友達でもないのに仲良くしたって非効率なだけよ!と言い放つ。

友達がいるタイプとは思えないけど、ま、私も蒼に賛成!と伊純も言い出す。

それを聞いた蒼は、よ、呼び捨て?友達でもないのに?と言い返す。

すると伊純はたちあがり、もうめんどくさいき!と良いながら走り去る。

伊純さん!と呼びかけた小夏は、どこまで行くんでしょう?伊純さん…と案じると、蒼はめんどくさい…と呟く。 果物を持って来たポコンは、ほっとけ、少し頭を冷やした方が良いと言う。

海が見える場所までは知って来た伊純は、塩の匂いは変わらないんだと深呼吸する。

その時、下の方から、海が好きなんだ?と声をかけて来たメガネをかけた男の子が出現したので、伊純は驚く。

男の子は、ごめんね、驚かせててんと詫びるので、は、もしかして5人目の?と伊純は気付く。

僕はレノ、宜しく伊純ちゃんと男の子は答えたので、どうして私の事知ってるの?と驚くと、仲間だから!とレノ(声-内山昂輝)は言う。

仲間って…と伊純が戸惑うと、「時の欠片」を持った仲間…とレノは答える。

他の仲間ももう合流してるんでしょう?とレノが聞くので、一緒に入るけど、仲間かどうかは微妙…、ま、私もダメなんだ…、すぐかっとなっちゃうし…と伊純が言うと、大丈夫、伊純ちゃんならとレノが慰めて来る。

そして、良いものを見せてあげると言ったレノは、伊純を連れ、洞窟の中に案内する。

その天井部分には光る石筍がたくさん下がっていたので、これ何?と伊純が聞くと、長い時間をかけてこうなったんだ…、凄いでしょう?ここにあるもの全てが積み重ねて来た歴史そのものなんだとレノは教える。

これは10万年くらいかな?と言いながら、青白く光る水たまりに近づいたレノは、10万年!と驚く伊純に、これも見て!と呼びかける。

その水たまりに近づき水面を覗き込むと、そこに浮かんだの、自分が出た過去の陸上レースの映像だった。

三橋ナナ(戸田めぐみ)に競り負け、2位でゴールした伊純は、足を痛めてよろけたので、先輩!と駆け寄って来た美晴の肩を借りて、心配して近づいて来たナナに、ナナ!負けてないけ!足が万全やったら絶対私が勝っちょった!パーソナルベストやったら、私の方が上やき!と言い放つので、ナナは、驚いたように、伊純と呟く。

つらかったよね?毎日毎日必死に練習してたのに…と同情したレノは、知ってた?この欠片、色んな事が出来るんだと服から「時の欠片」を取り出す。

こうして過去を覗くだけじゃない…、他の欠片と合わせたらもっと凄い事も…とレノは言うと、ねえ伊純ちゃん、このレース、やり直してみたくない?と誘って来る。

ええ、でも?と伊純が戸惑うと、ここへ持って来てよ、君と仲間たちの欠片全部…、そうすればやり直せる!とレノはそそのかして来る。

その時、亀に似た動物の鳴き声が聞こえ、誰かが乗って側にいるのに気付いた伊純は、あなた、誰?と問いかける。 ねえレノ?と側にいたはずのレノを探した伊純だったが、もうどこにもレノの姿はなかった。

夜、新しい避難場所に来た新顔の同位体ルピイ(声-新井里美)は、合流が遅れてごめんなさいと謝る。

しかし迎えたポコンは、いや、この単細胞を連れて来て良かったよと伊純の事を言う。

さっき、洞窟に来た動物に乗っていたのはルピィだったのだ。

彼女は都久井沙紀(声-黒沢ともよ)、みんなと同じ15歳…とルピィは連れて来た少女の名を教える。

都久井さんと合流で来たので、後がダンスの練習あるのみですね!とあさひが喜ぶと、もう一つの欠片を探す必要もあるけどね…と蒼が付け足す。

それを聞いた伊純はちょっと気にするが、沙紀、こっちへ来て、みんなと話そう、せっかく5人揃ったんだ!とポコンが呼びかけても、沙紀は自分の世界に閉じこもり振り向こうともしなかった。

ごめんなさい、ちょっとそっとしておいてあげて!沙紀は人と接するのが得意じゃないんだ…とルピィがポコンに説明する。

それを知ったポコンは、当てが外れたな…と言うので、どう言う事?と4人が聞くと、協調性のない奴に「勇気のダンス」は無理だとポコンは言う。

でも沙紀は踊れるはず!ここにいる誰よりも巧く!とルピィは弁護すると、ポコンは驚き、小夏たちも、本当ですか?良かった!1人でも経験者がいてくれて…と注目する。

よろしく!と伊純は手を差し伸べるが、沙紀はそれを嫌うように立ち去りかけたので、蒼も、ちょっと待ちなさいよ!と呼びかけ、ポコンも沙紀の前に立ちふさがり、一緒に踊ってくれ!そうしたらこの世界は守れる、お前らも元の世界に帰れる!…と頼む。

すると沙紀は、私は元の世界なんかに戻りたくないから…と答え、テント内のカーテンの奥へ入ってしまったので、慌ててルピィが追いかけて行く。

沙紀の言葉で思い出した…、私だって、元の世界に戻っても前に進む自信なんてない…、夜、みんなと一緒に横になった伊純は、なかなか寝付けなかった。 このレース、やり直したくない?と聞いて来たレノの言葉を思い出す。

その頃、沙紀はテントの外で月を眺めていた。

翌日から、4人によるダンスの練習を始めるが、みんなバラバラ。

見かねたポコンがストップをかけ、ぜんぜん踊れてないぞ!今から15分で各自動きを確認だ!と注意する。

今のうちに気持を切り替えろ、お前が一番集中できてないぞ!とポコンは伊純を叱る。

すると伊純は、ねえ、ポッピン族って、どうしてこんなに一生懸命なの?と聞くと、どうしてって、時を前に進めるのは俺たちの役目だとポコンは答える。

正直、さぼりたいとか思わないの?と聞くと、俺たちは自然の法則の中で生かされているんだ。それぞれが自分勝手な事をしたら調和が乱れちまうんだよとポコンは言う。

それを聞いた伊純は、大人なんだね、ポコンたちは…と感心する。

心にもない事を…、そんな事より練習、練習…とポコンが答えかけたとき、山の上の方で爆発音が聞こえる。

慌てて駆けつけた伊純は、長老が倒れ、レミィが見た事もない怪物に捕まっているのを発見する。

遅れて現場に駆けつけたあさひも、何て事を!と叫ぶ。 そこに蒼や小夏と駆けつけて来たポコンは、ダメだ、まだ今の力じゃ敵わない!と伊純たちに告げる。

それでも伊純は、レミィを…、レミィを返して!と叫びながら怪物に向かって行くが、謎のパワーで弾き飛ばされてしまう。

その伊純の身体をあさひが受け止める。

怪物はレミィを掴んだまま、巨大な鯨のようなものに、他の「着ぐるみ」たちと飛び乗ると、そのまま山の向こうへ飛び去ってしまう。

ルチアとポコンは、何とか立ち上がった長老を案じ駆け寄る。

そのよる、大木の根元の住まいに戻り、長老の看病をしていたルチアは、もうダメだ、レミィまで…と諦めかけるが、諦めるな、まだ終わりじゃないとポコンは答える。

「時の欠片」はまだこちらにありますけど…とあさひが慰めると、私みんなに隠していた事があるの…、最後の「時の欠片」持ってる人、知ってる!と考え込んでいた伊純が口を開く。

あさひは伊純さん!と驚き、蒼は、ちょっとどう言う事!と聞く中、伊純、何があったのか、仲間にはきちんと話して来いとポコンが言うので、知ってたの!と伊純が驚くと、知ってて黙っていた俺にも責任がある…、1人で背負い込むな…とポコンは言う。

外の踊るステージ前に来た仲間たちを前に伊純はレノとの事を打ち明ける。

それを聞いた蒼は、つまり私たちの「時の欠片」を持って来たら負けたレースをやり直させてくれるって言われて迷てたって事ね…と納得する。

ずっと走る事は止めなかった…、でも走っても走っても前に進めないの…、ナナに負けてからずっと…と伊純は打ち明ける。

だから、やり直せるって言われて、気持がぐらついて…、本当は元の世界にも帰りたくなかった…、私がもう少し早く正直に話していれば、こんな事にはならなかったのに…と伊純は帽子を脱ぎ反省する。

もうみんなと踊る資格ないよ…と落ち込む伊純だったが、そんな事ありません!と叫んで来たのはあさひだった。

私ももしレノに誘われたら、きっと迷ってしまいます。

やり直したい事がたくさんあるし、元の世界にだって帰りたくないから…、卒業したら柔道1本に絞って世界を目指せって言われてて…!とあさひは告白する。

それを聞いていた小夏は、勝てる自信ないの?と聞くと、楽しめる自信もありません…とあさひは答える。

合気も母の袴姿に憧れて始めただけですから…、女の子らしくしていたいのに…とあさひが言うと、私も…と小夏が手を上げる。

大事なコンクールでとちっちゃってね…、ピアノ!最近は間違えちゃいけないって言うプレッシャーだけで弾いている。

勝つためじゃない…、楽しいからやって来たのに、今は昔みたいに楽しくなんかない…と小夏は打ち明ける。

そんな中、悪いけど、私はあんたたちとは違う!と蒼が言い出す。

ちゃんと卒業式に出るし、楽しい必要もない。勉強は自分のためだし、友達だっていらない…、結局見んなライバルだもの…と寂しげに告白する。

そんなんで寂しくないの?と伊純が聞くと、勉強は未来への投資だよ!今は寂しくたって我慢しなきゃ…と反論しかけ、蒼は自ら寂しい事を明かしてしまったので、やっぱ寂しいんじゃん!と小夏とあさひが側にやって来る。

蒼さんも逃げたいんじゃないんですか?今いる場所から?とあさひが聞くと、別に…ここの生活嫌いじゃない…と蒼は答えるが、声は小さかった。

話を聞いていた子純は帽子をかぶり直し、みんな同じなんだね?私たち…と他の3人の側に近づく。

そこに、長老様が目を覚まされました!と知らせが来たので、みんな住まいに戻る。

長老様!と子純が呼びかけると、奇蹟…「奇蹟のダンス」…と長老は呟く。

「奇蹟のダンス」? 踊るもの達がその気持まで一つにした瞬間、人智の及ばないエネルギーを生むと言う奇跡的な踊り、シンクロシニティ…とルチアが説明するので、それが踊れたら世界は救われるの?と小夏が聞く。

きっとそうだと思うけれど…とルチアが自信なげに答えると、教えて!私たちマスターする!と子純が立ち上がる。

すると、教えたくとも…とタドナが戸惑い、決まった型やノウハウはないのです。

それでもチームの心が1つになれば奇跡が起きると!とルチアは言う。 そんな家の中の会話を、1人外で立っていた沙紀が聞いていた。

ただ、お前たちはまだ「勇気のダンス」でさえマスターできてないんだって事を忘れるな…とポコンが言い聞かす。

その時、外から何かの音が聞こえ、家が振動したので、小夏たちは、何?と立ち上がる。

時が狂い始めた…、君たちの世界にも影響が及んでしまう…と苦しそうに長老が言うので、どう言う事ですか?と伊純が聞くと、違う世界にスライドしている間、時空の大きな狂いが生じると…とルチアが言い、最悪の場合、元の世界へ戻れなくなりうる事もある…と長老が病床で告げる。

リアルに帰れなくなるってことですよね?とあさひが言い、帰れないとなると、何かしゃくね…と蒼も呟く。

その時、伊純が、みんな!と呼びかけ、3人はその意味を悟る。

やろう!と伊純が言う。

そんな中、沙紀だけは、家の外で佇んでいた。 翌日から4人の猛特訓が始まる。

練習後、果物をみんなの所へ運んでいた伊純が、森の中でルピイを発見し、沙紀は?と行くと、ルピイは慌てたようにしっと促し、手招きをするので、そっと森の奥を見ると、そこで沙紀が1人で踊っていた。

その後も4人の踊りの練習は続く。 踊り終わると、黄金の光が、踊りのステージから周囲の森に広がる。

随分上達しましたね、毎日休みなしだもの…、この調子、この調子!と同位体たちも励ます。

それでも伊純は、ううん、ぜんぜんまだだよ、私たち…と答える。

絶対に追いつく…、一緒に踊る!伊純は森で1人で踊っていた沙紀の姿を思い出し、心の中で誓う。

その時、沙紀が「着ぐるみ」に連れて行かれた!とルピイが知らせに来る。

人間の男の子も一緒にいたけど…と言うので、ポコンははっとし、伊純もレノだ!と気付く。

助けに行こう!レノは鍾乳洞にいるはず!と伊純はみんなに呼びかけるが、蒼は、自業自得よと言い出す。

だって、あの子は1度も私たちと踊らないじゃない!私たちの事なんて見下しているのよ!と蒼が言うと、違う!沙紀は心の底ではみんなと踊りたいんだ!とルピイが叫ぶ。

どう言う事?教えて…、あなたが知っている沙紀のことを…と伊純が聞くと、沙紀は小さい頃からダンスが大好きで一生懸命レッスンを続けて来た…とルピイは語り出す。

でもあるとき、仲間と巧く行かなくて…、チームから追出された…、それ以来、沙紀は誰とも踊らなくなった…とルピイは言う。

沙紀はただ傷つく事に臆病になっているだけ!僕は同位体だから分かる!強がっていても、沙紀は心の奥でみんなの事を求めているって!とルピイは訴える。

だからってあんな態度!と蒼が言い返すと、私、見たんだ!沙紀が1人で踊っている所を…と伊純が教える。

凄く上手なのに、何か寂しそうだった…、沙紀も私たちと一緒だよ!私、沙紀と踊りたい!と伊純は言うと、聞いていたポコンも、うんと頷く。

鍾乳洞へ向かうと、そこには怪人たちが何人も居並んだ窪地のような場所があり、その中央部分のとげとげの塔の上に立ったレノが、どう?凄いでしょう?と呼びかけて来る。

そして、レミィと沙紀が入った透明な檻が迫り上がって来る。 レニ、全部あなただったのね!と伊純が指摘すると、さあステージは出来上がった!誰か1人でもここに上がって来れたら、2人の解放を約束しよう!とレノは言う。

その手には乗るか!とポコンが怒るが、その言葉が言い終える前に、伊純が飛び出して行く。

長い下り階段を下りる伊純の姿を見たレノは、良かったね、どうやら迎えに来てくれるみたいだよと背後の沙紀とレミィに教える。

それに続いて、他の3人も階段を降り始め、蒼は、同位体たちに、あなたたちはここに残って!と指示する。

その時、レノがゲーム、スタート!と叫ぶと、階段が滑り台に変化し、すり鉢状の底に4人は転げ落ちる。

するとレノは、みんな!「時の欠片」はバッジの中だ!と呼びかけ、怪物たちが4人を取り囲む。

その様子を見ていたルチアが、ポコン、みんな逃げるように言って!と頼むが、ポコンは、いや、俺はあいつらに賭けると言い出し、ラブ・フォーメーションだ!と上から呼びかける。

その声を聞いた伊純は、やろう!と答える。 4人は外向きに円陣を組むと、123!と叫ぶ。

そこに怪物たちが飛びかかるが、何かパワーに弾き返される。

そして、パワーの中心にいた4人のユニフォームが変化する。

「勇気のダンス」をマスターした成果だ!とポコンは喜ぶ。

あさひも、凄いです!と変身した我が身に感動する。

その時、怪物が飛びかかって来たので、あさひは合気道のかマエヲするが、怪物はそんなあさひの身体をすり抜けてしまう。

他の怪物があさひを叩き潰そうとしても、あさひの身体には変化がなかった。

次の瞬間、怪物は投げ飛ばされたので、すり抜けてる!と伊純は驚き、どう言う事?と杖のようなものを手にした蒼も戸惑う。

すると、その蒼の杖の先端の時計のような部分が光り出し、あさひの頭上に、「CAN NOT TOUCH 触れず」と文字が浮かび上がび上がったので、そう云う事なのですね…とあさひは理解する。

さっきの私のは?と小夏が聞くと、その頭上に「音符は踊る LET’s ENJOY MUSIC」の文字が浮かぶ。

私のこの力は?と蒼が杖に問いかけると、「可視化 VISUALIZATION 情報共有」の文字が浮かび上がったので、なるほどねと納得すると、あのデカい「着ぐるみ」たちのウィークポイントを教えて!と命じると、怪物たちの2Dホログラムが出現したので、頭の結び目ね、そこをほどけば、ポッピンたちを詰め込んだ身体はバラバラよと蒼は読み解く。

その時、蒼、私はどんな力が使えるの?と伊純がクラウチングスタートの体勢で聞くと、お望み通りじゃない?と蒼は答える。

伊純の頭上には「DASH」の文字が浮かんでいた。 それでなくっちゃ!と伊純は喜ぶと、目の前の怪物の頭に飛びつき、結び目をほどく。

取った!と伊純が言うと、怪物の結び目がほどけ、身体の中に入っていたポッピン族が出て来る。

それを見たレノは、素晴らしい!と喜ぶ。 蒼が、下は私たちに任せて!早く沙紀たちの所へ!と伊純に呼びかけ、中央の塔部分の最短ルートをホログラムで図示する。 サンキュー、蒼!と伊純は礼を言う。 それを見たレノは、凄い能力を手に入れたんだ…とレノは呟く。

そこに伊純が飛び上がって来ると、おめでとう、このゲーム、君たちの勝ちで良いよとレノは言う。

約束よ、沙紀とレミィを返して!と伊純が求めると、もちろん約束は守るよ、だけどその前にもう一度だけ君に選択のチャンスをあげる…とレノは言う。

その瞬間、沙紀とレミィが入った檻が不透明になったので、何のつもり!と伊純が睨むと、君がこの2人を本当に助けたいのなら、僕は今すぐこの世界から消えようとレノは言う。

でもあのレースをやり直すチャンスは永遠になくなるよと言うので、伊純は迷いが出る。

2つに1つ…、どうする?伊純ちゃん…とレノは優しげに問いかけて来る。

伊純は、足が万全やったら絶対私が勝っちょった!負けてない!とナナに悪態を言い放った日の事を思い出す。

しかし、その思い出を振り払った伊純は、2人を返して!と要求する。

するとレノは、背中に背負った瓢箪のような容器から伸びたホースのようなものを抜き、一歩進んだんだね?だけど世界を変えるにはまだまだかな?などと嘲笑しながら、ホースの先の銃口のようなものを向けて来る。

そしてレノは、その銃口のようなものの先端を自分の胸の鍵穴に差し込む。

何で?と驚く伊純の前で身体から放電し始めたレノは、さよなら、嘘つきさんと言い残し、身体が消滅し、その場にはコスチュームだけが残される。

そして塔の部分が下に降りて来たので、蒼がその服の中から、レノの「時の欠片」を発見する。

これ、勝ったって事ですか?とあさひが喜ぶと、逃げ切れないと悟ったレノが自滅したって事?と蒼も釈然としないように言い、本当にそうかな?と伊純も納得し切れていない様子。

同位体たちが檻を開くと、喜んだレミィがポコンに飛びついて来る。 それでも沙紀は動こうとしないので、伊純は、遅くなってごめんねと詫びながら手を差し伸べる。

すると、沙紀は手を伸ばして起き上がるが、何も言わないので、ありがとうくらい言えないの?と蒼は怒る。 しかし伊純は、良いよ…蒼、無事で良かったと声をかける。

そのまま沙紀はその場を立ち去ってしまうが、さあ、「時の種」を復活させましょう!みんなで「時の城」に!あなたたちも一緒に踊って祈りを捧げてください!と伊純は呼びかける。

6つの「時の欠片」は合わさり腕輪状に復元されたが、その「時の欠片」がこつ然と保管していたようきの中から消えてしまう。

そこにルピイが、沙紀がいない!と慌てて駆けつけて来たので、何!「時の城」は目前なのに!沙紀までいないってことは…とポコンが言うので、沙紀が「時の欠片」を?何で!と伊純は驚く。

ルピイ!とポコンが聞くと、さっきから沙紀の心が読めない…、もうこの近くにもいないみたい…とルピイは言う。

すると突然、レミィと亀動物に乗った長老が、欠片は「時の種」となってすでに「時の城」に持ち込まれたようじゃ…、崩壊の進むこの状況で「時の種」に手をつければ何が起こるのか…、想像もつかん…と長老は言う。

すると伊純が、私たちには時間があると言い出す。

ただ…と蒼が答えかけたとき、ダメだ!とポコンが口を挟んで来る。

「時の掟」は絶対なんだ。お前たちはもう帰った方が良いとポコンは言う。

しかし伊純は、沙紀を1人置いて行けないよ!と訴える。

ポコンは、危険すぎる!二度と元の世界に戻れなくなるぞ!卒業式だってあるんだろ?と警告するが、こんな気持のまま卒業できないよ!と伊純は言い返す。

それに私たち同位体なんでしょう?と伊純が指摘すると、同位体たちは動揺する。

困っているあなたたちをこのまま放っておけない!と伊純は言う。

あのな〜!と言い返そうとするポコンの額に手を押し付けた伊純は、人には勝負せないかん時があるき!おじいちゃんが言ってた…と言う。

それを聞いた蒼は、みんな、もう時間がないわ、さっさと「時の種」を取り戻して沙紀を連れて帰るわよ!と呼びかける。

良いでしょう?ポコン…と伊純が確認すると、勝手にしろ!急ぐぞ!とポコンは答えるが、それを聞いていたレミィは嬉しそうだった。

4人と同位体たちは、森の中へ駆けて行く。

「時の城」に着いた伊純が、ここに沙紀が!と言うと、「時の種」を奉る台座は最上階の広間にあるとポコンが教え、まずは城内に潜入するぞ!と指示する。

城門正面からって訳にはいかないわよね…と蒼が考え、もちろん、ですからこうして裏口側まで来たのです…と教えたダレンは、それにしてもこの足場、大丈夫ですか?と聞かれると、1人でも向こう側に渡せば非常用の橋を渡せるはずだよと答える。

調べてみると言った蒼が杖をかざすと、城まで100mと言う文字が浮かぶ。

100m!と伊純が驚くと、そこまでの古い足場の耐久度を調べた蒼が、思った通りね…、耐久度最悪…、渡り始めて1歩目から崩れ始めるわ…、崩れる前に渡り切らないと…、伊純、どう?と聞く。

特に足場の中央部は10%の耐久度しかなかったが、さっきのスーパーダッシュを使えば楽勝!と答えるが、ダメよ、その力を使ったら足場はキック力を受け止めきれないと蒼は教える。

力を使わずに100mを11秒88…と言われた伊純は、11秒88…と迷い、自分のパーソナルベストが11秒89だった事を思い出すと、無理!と答える。 やらずに負けを認める気?と蒼が挑発する。

無理よ…、私、ナナに負けたのは足の怪我のせいだって嘘をついていたの…、本当は怪我なんかしてなかったのに、素直に負けを認めるのが嫌で、自分の嘘を帳消しにするためにタイムを出す事にこだわって後輩も巻き添えにした…、みんなにも嘘をついた!私は…、私は卑怯者なの!と伊純は告白する。

思わずしゃがみ込んだ伊純に、なあ、自分を変えられるのは自分だけだぞ…、このまま卑怯者のままで良いのか?とポコンが声をかける。

私が失敗したら終わりだよ?それでもみんなは私に任せてくれるの?と伊純が言うと、あなたが走らないで誰が走るの?と蒼が指摘する。

走らなくちゃ誰も救えない!私たちもこの世界で立ち止まったまま!と蒼は言うと、小夏もあさひも頷く。

それを聞いた伊純は、分かった!勝負すると言いながら立ち上がる。

行くわよ、伊純!と蒼がスターターの役目になり、レディセット!と言う。 気の足場を走り出す伊純、次々に崩壊して行く足場。

勝つためにやってきたんじゃないんだけどな…と言う小夏の言葉や、女の子らしくしていたいのに…と言っていたあさひの言葉、結局みんなライバルだもの…と言っていた蒼の言葉、同じなんだね、私たち…と言った伊純自身の言葉が思い出される。

もう逃げんけ!私は…、私から!とひた走る伊純。

そんな伊純に、行け〜!と背後から応援する仲間たち。 伊純は、橋が全部崩壊する直前に城にたどり着く。

やったー!と喜ぶ仲間たち。 記録は11秒88だった。

城との間に非常用の橋が出来る。 良し、急ごう! 城の中に入った伊純は何ここ!と驚くと、塔の中心部、広間はこの上だ!とポコンが教える。

もちろん、昇降機は使えませんよね?とあさひが聞き、どうやって上に?と小夏も戸惑う。

その時、ちょっと待って!と蒼が呼びかけると、上の方から巨大な魚の化け物のようなものがおりて来るのが見えた。

巨大な鯨のような化け物は、伊純たちが立っていた床面を破壊して落下する。 気をつけて、又来るよ!と言われたあさひは、この城の番犬なんですねと気付く。

円筒状の壁を這い上がって来た化け物を前に、蒼が、みんな飛び乗るよ!と指示したので他の仲間は驚く。

小夏、クジラの口塞いで!と蒼が指示すると、了解!と答える。

全員、穴を飛び降り、浮かび上がって来た鯨の化け物の背中にしがみつくと、このまま最上階の広間に突入するわよ!と蒼が言う。

さらに、あさひ、この鯨もポッピンが詰まってるよ、結び目は内側、広間に飛び込むと同時に届いて!と蒼から言われたあさひは、分かりました!と答える。

5秒前!4、3、2、1! あさひは怪物の体内に入り込む。

孤児らの化け物ははじけ、大量のポッピン族が解放されたのと同時に最上階の大広間に降り立った伊純たちは、ここが?と驚く。

そうだ、「時の広間」だ!とぽかんが教える。

人の気配がないわよと蒼が言うと、どこかに潜んでいるのかも…とルチアが周囲を見回す。

その時、ダメね、黙って人様の家に上がり込んじゃ…、ようこそ、私の城へ!と言いながら、宝石のような台座の上に乗った女黒沙紀(声-斎藤千和)が姿を現す。

ジンバット!とポコンが急けび、それを見たポッピン続は一斉に怖がって逃げ出したので、どうやらこの事件の張本人ね?と蒼が気付く。

あなたもレノの仲間?と伊純が聞くと、フフ…、さあね?と女はとぼける。

やっぱりお前だったか!ジンバット!とポコンが言う。

女の肩に乗った悪魔のような小さなジンバット(声-三輪勝恵)は、俺はポッピン族に自由な生き方をもたらす、「時の掟」からの解放だ!感謝しろ!と言って来る。

お客さんまで連れて来ちゃったの?沙紀…と黒沙紀が言うので、沙紀?と伊純が驚くと、女の背後から沙紀が姿を見せる。

沙紀!そいつが悪い奴って分かってるの!と伊純が下から呼びかけると、この子は私…と女が言い出したので、えっ?どう言う事?と伊純は戸惑う。

すると女は、私はこの子の未来を生きている…と言い出したので、分かるか?とポコンがルピイに聞くと、沙紀は未来で人を信じられない大人になったみたい…と言う。

あの人は「時の種」を手に入れて、時間を支配し、「永遠の今」を手に入れようとしている!とルピイは読み解く。

「永遠の今」?と伊純が驚くと、今を何度もやり直せるってことは、年も取らないってこと?と蒼が指摘する。

それを聞いた伊純は、そんな事のために!と呆れると、そんな事?15歳のあなたたちに何が分かるの?と女は嘲笑して来る。

あなたたちは今の自分に何の自信があるって言える?やがて来る、現実って奴を教えてあげるわ!と黒沙紀は問いかけ、青い球体「時の種」を右手の上に現出させる。

すると、伊純の身体の周囲をピンクの球体が被い、伊純の身体は急激に成長し始める。

きれい!とあさひは感動し、これが「時の種」後から!と小夏も驚く。

止めろ!伊純が壊れちまう!とポコンは叫ぶが、動かないでね、一気に時間を進めるわよ!と黒沙紀は言う。

そして高笑いする黒沙紀の横に立っていた沙紀が楽しいの?と聞くと、楽しいわ、本当の楽しいもののに気付かず失うものの苦しさを見るのは最高…と黒沙紀は言う。

そんな女を見ていた沙紀は、あなたが未来の私…と呟く。

伊純はどんどん老化して行っていた。

やばいよ!と小夏が気付き、あさひが、沙紀さん!何とかしてくださいよ!と声をあげる。

ピンクの球体の中にいた伊純も沙紀!と手を伸ばして来たので、驚いた沙紀は、沙紀…、私と一緒に行きましょう?何度でもやり直しの聞く夢の世界へ…と女から声をかけられる。

それでも伊純は、沙紀!一緒に踊ろう!と呼びかける。

沙紀は、よろしく!教えて、私たちマスターする!沙紀!遅くなってごめんね、無事で良かった…とこれまで言っていた伊純のひたむきな声を思い出す。

そして沙紀は、教えて…、未来の私はまだ踊っているの?と黒沙紀に問いかける。

すると黒沙紀は、あなただって、信じていた仲間に裏切られたから踊りを捨てたんでしょう?と逆に問いかけて来る。

その時沙紀は、私…、もう一度信じてみたい…と言い出す。

それを聞いた黒沙紀は、私は未来のあなたよ…、その私が「永遠の今」さえ利用すれば最高の人生になるって言ってるの!と苛立たしそうに教える。

そうじゃない!私はダンスでやり直したいの!と沙紀が言い返したので、何?と黒沙紀は戸惑う。

ダンスは私を裏切った事はないのに、私はダンスに背を向けた…と沙紀は反省する。

逃げてたの…、あの子たちがそれを教えてくれた!と沙紀は指摘し、私はダンスが好き!もう1人は嫌!みんなと踊りたくて踊りたくてたまらないの!ただ自分の力で乗り越えないと意味がない!と叫ぶと、沙紀は黒沙紀にぶつかり、青い「時の種」を弾き飛ばすと、台座の下に飛び降り、ピンクの球から解放されて倒れた伊純に大丈夫!と声をかけ走り寄る。

沙紀!初めてだね、名前呼んでくれたの…と言いながら、伊純は顔を上げる。

沙紀も微笑み返すが、台座の上から、馬鹿な子…、まあ良いわと言いながら黒沙紀が立ち上がるのに気付く。

「時の種」は私の手の中にある。だけど私は…、私を裏切るものは絶対に許さない!と女は叫ぶと、悪魔のような姿と合体し、安心な祭、今度はみんなまとめてひからびさせてあげるわと言って来る。

来るわよ!と蒼が警告すると、変身した魔物のようなものが黒沙紀の背後で巨大な刃を出現させる。

その時、小夏が、ダメ〜!と絶叫しながら、大量の音符の壁を発生させ仲間を守ろうとする。

しかし、その壁もあっさり消され、お遊びはここまで…、苦しまないように一瞬で消してあげるわ!と黒沙紀は叫ぶ。

その時、伊純が、私、負けたくない!と叫んだので、蒼ももちろんよと応じ、あさひも、もう今までの私たちとは違います!と答える。

カルテットの底力を…と言いかけた小夏は、もとい、クインテッドの力を見せてやりましょう!と言い直す。 蒼が、アンプリフィケーション(増幅)!と叫ぶと、巨大なミキサー画像が浮き出し、小夏の前にはアンプのホログラムが浮き出る。

女の刃から光線が発射されると同時に小夏が叫ぶと、大量の音符が発生し、光線を押し返す。

その間、伊純はあさひを背負って音符の上を駆け上り、魔物の頭部をねじ切り、やった?と聞く。

さらに、あさひが黒沙紀の手の間接を決め、勝負ありです、もう諦めてと迫る。

その時、ポコンたちは異変を感じ、まずい!あさひさん、逃げて!とタドナも呼びかける。

苦しむ女の姿を見かねた沙紀は台座の上に駆け上がると、黒沙紀の姿は沙紀と同じ年齢に戻っていた。

さらに、驚く沙紀の目の前で、黒沙紀の身体は縮んで行き、光の珠になる。

さようなら…、独ぼっちの私と沙紀は言いながら、その光の珠を手に取る。

そんな沙紀の背後に駆けつけたポコンが、自然は全てある法則で成り立ち保たれている…、それは誰かの思惑で帰られるものじゃないんだ…と言う。

その時、柱の陰で様子をうかがっていたのはジンバットで、もう手遅れだと呟く。

城が建っていた地面が裂け始め、「時の谷」が揺らぎ始める。

どうなっちゃうの?と伊純が聞くと、このままでは「時の谷」が崩壊する!とポコンが叫ぶ。

どうすれば良いんでしょう?とあさひが聞くと、ポコンが、長老とレミィが青い光の中から出現したのに気付く。

レミィは女が落として行った「時の種」を台座に戻す。

「時の種」は空中に浮かび上がるが、もう間に合わん、みんなで踊るのじゃ!と長老が言い出す。

彼女たちなら出来るわと今まで口がきけなかったレミィが話したので、ポコンは、レミィ!超えが戻ったのか!と驚く。

そうみたい…とレミィが答えたので、伊純はレミぃ!と喜ぶ。

そんな伊純たちに、踊ってください、自分と奇蹟を信じて!とレミィは頼む。

踊りたい…、私、みんなと踊りたい…と沙紀も言うので、「奇蹟のダンス」…と伊純は思い出す。

ダンスはここで踊るの!と沙紀が自分の胸を叩く。

自分を信じれば身体は勝手に動く…、みんな!私に合わせて!と沙紀が言うので、うん!と全員頷く。

中央で沙紀が踊り出すと、彼女のユニフォームも変化する。

5人が踊り出すと、城の中の様子も一変する。

踊りが終わると、城の天辺から黄金色の光が天に昇り、暗かった空が青空に変化して行く。

やった!止まったぞ!とポコンが叫ぶ。

しかし、踊り疲れた伊純は広間から落下したので、急いで沙紀が後を追って飛び込む。

伊純の身体を抱きとめた沙紀の背中に白い翼が生えたので、見ていたポコンたちは驚く。

沙紀!と驚いた伊純は、下の床に着地すると、沙紀!やったね!と喜ぶ。

すると沙紀も、ありがとう、一緒に踊ってくれて…と感謝し、2人はハイタッチして絵笑い合う。

そこに他の3人も合流し、私たち、越えられた!と言う。

やがて、5人が「時の谷」から出発する時が来る。

お別れだ…、何突っ立ってる?ほら!とポコンは5人を急かす。

すると伊純が、戻ったらもうポコンたちに会えないでしょう?と聞く。

うん、ポッピン族は「時の掟」でお前たちの住む世界には行けない、ここでお別れだとポコンは答えると、早く行け、本当に間に合わなくなるぞと言う。

レミィは凄く寂しそうだった。 階段を登りかけた伊純だったが、やっぱり嫌だ!ぽこんと離れたくないと言い出し戻ろうとする。

私、ポコンに会わなかったら、ずっと逃げてた…。もう会えなくなる何て…、そんなの…と泣き言を言い出すが、その伊純の顔を両手で挟んだポコンは、思い切り頭突きをかます。

他の同位体が作った人間ピラミッドの上に乗っていたポコンは、頑張ったのは伊純自身だ!苦しんで悩んでがむしゃらに前に進んだから今がある!みんなちゃんと大人になる力を持ってる!と言い聞かす。

自分を信じ切る事が出来たら、不可能な事なんてないんだぜ!世界はシンプルなんだから…と諭したポコンに駆け寄った伊純は抱きつく。

絶対に忘れないよ、ポコンの事!そう言った伊純の言葉を聞いたポコンは赤くなり、爆発して、顔の部分だけが飛び出し地面に落下する。

そして、又身体に戻ったポコンは、伊純、急になんて事するんだ!心臓止まるかと…と怒り出す。

階段を駆け上がった伊純は、きっと又いつか会えるよ、だって私たちは同位体でしょう?と言う。

それを聞いたポコンも、うん!と力強く頷く。

仲間たちももらい泣きしそうになるが、長老が、ささ、急ぎなさいと呼びかけ、レミィも、みなさん、ありがとう!と言いながら手を振って来る。

元の世界に戻ったら堂々と大人になって行くんだよと長老は言う。 ポコンも手を降って来たので、伊純も手を振り替え砂か、光に包まれて行く。

高知市立桂浜中学の卒業所授与式と立て看板が出ている校門の所で、深町美晴は伊純の来るのを待ち構えていた。

そこに伊純が駆けて来たので、伊純先輩!もう来ないのかと思ってましたよ〜!と美晴は泣きそうになりながら声をかけてくる。

美晴!と抱きついた伊純は、私、越えられただで!もう大丈夫やき…、ずっとずっとありがとうね!と伝え、慰める。

渡り廊下をあるいていたナナの前に駆け寄った伊純は、ナナ!ごめんね!と言いながら深々と頭を下げる。

私、あの時、素直におめでとうが言えんかってん…、ナナ、私ね、本当は足の怪我なんて…と謝っていると、次も負けんからね…とナナは笑顔で答えて来る。

それを聞いた伊純は姿勢を正し、私も!と言う。

ナナは手を振って体育館に向かう。

その時、伊純!と呼びかけて来たのは、元治と父俊平と一緒にやって来た母の恵理子で、娘が卒業やて…、私とし取るでや…と情けなさそうに言って来る。

そんな両親に駆け寄った伊純は、ねえ、お父さん、お母さんと呼びかけ、私がおって良かった?と聞く。

何、突然?アホやね…と2人は戸惑うが、私、お父さんと丘さんの気持、分かってなかった…、ありがとう!と伊純は感謝し、2人の腕に抱きつく。

伊純、大丈夫か?と俊平は驚き、女の子は急に成長するが…と恵理子は言う。

おじいちゃんもありがとう!役に立ったき、アドバイス!と伊純が言うと、元治は笑顔で頭をなでて来る。

その時、小湊さん、早う、早う!と担任の女性教師が声をかけて来る。 ほんの少し素直になる。

それだけで未来は変わる! 伊純は体育館の中に駆けて行く。

小夏は自分の高校の卒業式でピアノを弾きながら、自分をもっと好きになれる。

楽しむ事に勇気を持てば…と考えていた。

3年A組にいた蒼は、日岡さん、サイン頂戴!とクラスメイトたちにねだられ、恐る恐るそれに応える。 何回失敗したって大丈夫…、ライバルはいつだって自分自身…と考える。

あさひは、道場で合気道に打ち込んでいた。

それを嬉しそうに見つめる父親。 練習後、あさひは私服に着替え、駅で待っていた友達と合流する。

私たち卒業したんです!人に流されてばかりで自分と向き合えなかった自分を卒業できました!と心で思い、改札口を通り抜ける。

沙紀は、公園の中の遊具の内側にかつて自分が書いていた落書きを消していた。

外に出た沙紀は1人で踊り出す。

それを通りかかりのかつての仲間たちが見て微笑む。

卒業は悲しい通過点じゃない! 伊純は、グランドで走り出すと、美春が持っていた卒業証書入れをバトンのように受け取り走り続け、悔しかったら東京まで追っかけて来いや!とからかう。

満開の桜の下、美春は、待て〜!と言いながら追って来る。

卒業は新しいスタートラインだ!と伊純は考え、スクリーンに向かって笑顔で飛び込んで来る。

卒業証書を手にした5人のイラストをバックにエンドロール 制服姿の5人が集合しているイラスト

春 4月(と黒地に白文字テロップ)

それでは続きまして歓迎の言葉… 生徒会長霧島レノ!と司会役が言ったので、レノ!と思わず伊純は立ち上がるが、伊純さん?とあさひと小夏も立ち上がる。

そこは「神宮坂高等学校 入学式」の式場だった。

小夏?あさひ?と伊純の方も2人に気付いて、何で?と驚くと、伊純さんこそ高知じゃないんですか!とあさひが聞く。

引っ越して来たのよ、まさか同じ高校になるとは思わなかったわ!と伊純が大声で答えているのを背中で聞いていた蒼は、これって偶然なの?と悩んでいた。

はい!そこの新入生、大胆な私語は慎んでくださいね、静かに着席して!と進行係の先生が声をかけ、それでは生徒会長、初めて下さいと壇上に促す。

どうして?と沙紀も式に参加していた。

その生徒会長の顔を見た伊純は、やっぱりあいつだ!と確信する。

レノは、ようこそ、新しいステージへ!と話し始める。

こうして、私たちの高校生活が始まった…(伊純の独白)

高校生活のスケッチ描写 僕は波乱や混乱を愛おしく思う…、それは人を成長させるからね…(とレノの独白)

人間は瞬きする程短い時間しか生きられない。 僕は君たちに成長して欲しいんだ。

見せてあげよう、少し先の未来を…、さあ、どうする?

何人かの新たなキャラクターが登場し、変身した伊純たちがまた「時の種」に吸い込まれようとする男子を助ける様子。

黒地に「これは、僕らのはじまり」の白文字テロップ
 


 

 

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