白夜館

 

 

 

幻想館

 

哭声/コクソン

韓国製ミステリホラー

山奥の寒村を舞台に起こる奇怪な事件。

その捜査を進めていた地元の警官が、自分の娘の異変に気付きだす事で独自の疑惑を抱いてしまい、やがて恐ろしい展開に巻き込まれる…と言う、何やら70年代風オカルトミステリーのような展開になっている。

冒頭から幻想怪奇的なイメージが語られるが、どうやらそれはある種の幻覚症状に陥った人物達が語る無意識の妄想のように思える。

そうした妄想の連鎖、夢が生んだ証言が「藪の中」のように絡み合い、やがてそこから恐ろしい冤罪めいた発想が生まれ、やがてはリンチのような展開になって行く。

それは人間の心の弱さが生んだ悲劇だったのか?

それとも、実際に宗教的な要素が潜んでいたのか?

どこまでが主観で、どこまでが客観描写なのか判然としない。

誰が正義で誰が悪なのかもにわかには判断できない。

地方の平凡だが娘思いの主人公が出会った非日常的な3人の人物、祈祷師、日本人、若い女… この3人の正体も最後まで分からない。

日本人は単なるえん罪の被害者だったのか?

それとも本当に邪悪な存在だったのか?

祈祷師と若い娘の立場の違いは?

土着的な宗教観や韓国独特のキリスト教的発想がミックスされているのか?

考えれば考える程、錯綜し、様々な解釈が可能な話のように見える。

人間の形を借りた霊能力者と悪魔の戦いのようにも見えるし、閉鎖社会で起きた集団ヒステリーのようにも見えなくはない。

本格ミステリのように、最後に名探偵が出て来て正解を提示すると言う構造にもなっておらず、正解は観客に委ねられているのだろう。

ただ、表面的な通俗オカルトもののような展開と、その背後に隠されている難解なジグソーパズルのような構造が面白い事は確かである。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、韓国映画、ナ・ホンジン脚本+監督作品。

20世紀フォックスの会社ロゴ 彼らは恐れ、霊を見ていると思った。

イエスは言った。 なぜうろたえるのか?なぜ心に疑いを起こすのか?

わたしの手や足を見なさい。

正しくわたしなのだ。

触ってみなさい。

霊には肉や骨はないが、私にはある…

…ルカ伝24章

谷城(コクソン)村の警官ジョング(クァク・ドウォン)は、雨が降る朝早くから、自宅で出かける準備をしていた。

人が死んだらしい。チョさんの所の奥さんだと、起きて来た妻(チャン・ソヨン)に語りかける。

家から出たジョングは、良く降るね、どこに行くの?と妻の母の義母(ホ・ジン)から聞かれたので、人が死んだらしい、チョさんの奥さんですと教えると、ご飯食べていきなさいと言うので、急ぐんですと断るが、良いから食べて行きなさいと強く勧められたので、仕方なく自宅に戻り朝食を食べることにする。

そこに、ジョングの娘のヒョジン(キム・ファンヒ)が、誰が死んだの?と興味深そうに聞いて来る。

その後、現場にパトカーで駆けつけたジョングは、後輩巡査ソンボク(ソン・ガングク)に、合羽をくれと頼み、それを着ながら現場に向かい、署長は?と聞くと、ソウルでしょう?とソンボクは答える。

現場の家の前では、俺の甥だぞ!やってないと言ってくれ!と親戚らしき男が側で喚いていた。

玄関横には手錠をかけられた顔も身体も血で汚れた、そのフングクらしき男が茫然自失の様子で立っていた。

やってないと言ってくれ!と警官に止められた叔父らしき男が叫ぶ。 20カ所以上刺されていますとチョの妻の死体を見ながら鑑識がジョングに教える。

その横に置かれていた袋のことをジョングが聞くと、他で殺して運んで来たんでしょうと言うので、中味はチョさんか?と聞き、子供は?と聞くと、親戚の家にいますと言う。

家の外では、フングクの叔父だぞ!とまださっきの男が現場を守っている警官に怒鳴っていた。

その後、ジョングは現場に本庁の連中を車で案内しながら、カーナビがあるのに案内させやがって!とぼやく。

人気のない小屋にやって来たジョングは、ここでチョさんが殺されたのか?と聞くと、呼び出して殺したよとソンボクが教える。

本庁の連中が調べている間、ジョングは外で一服するが、その時、小屋の入り口脇に何か稲穂のような植物で作った飾りが下がっているのに気付く。

そこに後輩が近づいて来たので、これは何だ?奴は何者だ?とフングクのことを聞く。

小屋の中には、何やら怪しげな祭壇めいたものがあった。

タイトル

山の中で鹿の死体を背負って運んでいたビョンギュが、足を滑らせ、斜面を転げ落ちる。

頭から出血したビョンギュが目覚め、周囲を見回すと、斜面の上の方でふんどし一丁で裸の男(國村隼)が屈んで鹿を貪り食っている。

やがて、近くに落ちていた男リュックを逆さにして中味を落とした後、又、鹿を食いに戻る。

ビョンギュは岩陰に隠れていたが、急に気配で気付いたのか、裸の男が近づいて来る。 その目は赤く輝いていた。

怖いでしょう?と村の警察署で話をしていた後輩が言うと、別に…とジョングは虚勢を張る。

誰から聞いた?とジョングが聞くと、○○が言っていたと言うので、困ったものだ…とジョングは嘆くが、最近、村で不審な事件が続いているでしょう? フングフの事件も… 全部日本の奴が来てから起こってますと後輩は言うので、全くバカの相手はしてられないと呆れたジョングは、パク・フングクがいかれたのは茸を食ったからだ。

幻覚性キノコが家で見つかったんだと教える。 すると後輩は、たかがキノコで人はあそこまでなりませんよと反論し、やはりあの男が怪しい…と日本人のことを言う。

その時、突然、署内の電気が消えてしまう。 停電だ!配線工事を署長に頼んどいたのに…とぼやきながら、後輩が懐中電灯を使い、窓を開け外の様子を見ようとするが、その時、入り口のガラス戸に突如裸の女のシルエットが見えたので、慌てて外に出てみたジョングだったが、もうそこには誰もいなかったので、畜生!誰だ!とジョングは苛立つ。 ジョングは自宅で目を開ける。

今の方に目をやると、ヒョジンと妻が朝食を食べながらジョングの様子をじっと見ていた。

朝食を食べていたジョングは、庭先で妻がしゃがみ込んでたらいで洗濯をしながらじっと見つめていることに気付く。

車の後部座席で妻とセックスをしたジョングは、男はいくつになっても強いんでしょう?などと妻から嫌みを言われ、最近熟睡できないんだとしょげていたが、その時、ヒョジンが何してるの?と言いながらいきなり窓を叩いて来たので、ダメだ!開けるな!とジョングは慌ててドアを押さえる。

その後、村の小さな店にヒョジンを連れて来たジョングは、商品の中から選んだピンクの髪飾りを見つけ、それを髪に付けてジョングに見せる。

ジョングは、可愛いよ…、びっくりするほどね…とお世辞を言う。

菓子や小者など大量に買わされたジョングは、その後川縁にヒョジンを連れて来る。

ヒョジンは、買ってもらったオカリナを嬉しそうに吹き始める。

いつから見てた?と聞くと、黙ってるから安心して、何度も見たからなどとヒョジンは言い、もう気にしないでなどと言いながらジュースをジョングに飲ませようとするので、全部見てたんだな…とジョングは肩を落とす。

夜 火事のあった現場にやって来たジョングに、現場に先に来ていた上司が、電話してここへ来るまで何してた?と言うので、義母の具体が悪くなって…とジョングが嘘を言うと、又親戚を言い訳に使うのか!と上司は叱る。

現場では、顔を煤で真っ黒にした女が暴れていたので、ジョング、止めろ!と上司は命じるが、地面に置かれたブルーシートの下に寝かされていた男がいきなりジョングにつかみ掛かり、女もジョングに飛びかかって来る。

ジョングが2人と怯えながら格闘していると、女は急に現場から逃げてしまう。 それを見ていたソンボクは、情けない男だ…と呆れる。

その時、泥だらけになったジョングは、野次馬に混じって現場を見ている見慣れぬ日本人の姿を見つける。

署に戻ったジョングに、ソンボクが、先輩、シャワー浴びれば?と勧め、上司は、お前が奥病で女々しいから…と嘆いていると、そこにヒョジンがやって来て、母ちゃんから下着だってとレジ袋をジョングに私、シャワー浴びれば?などと言うので、分かったから帰れと促すと、ご飯食べないんだ…と、ジョングの前のテーブルに置かれた食事が手をつけられないままなのを指摘する。

面目を失ったジョングは、仕事中だ、帰れと言い聞かす。 ヒョジンが帰った直後、床に落ちていたピンクの髪飾りを見つけたジョングは、そそっかしいな…などと呟きながらそれを拾い上げるが、その時突如、ソンボク!思い出した!出火した家の前にいた女だ!昨夜、停電の後ドアの外に立っていた裸の女だよ!と思い出すと、くだらないことを…と上司は馬鹿にする。

翌朝、焼け跡の家の前を通りかかったバイクの男は、家の前の木で首を吊っている女を見つけたのでバイクを倒して逃げ出す。

現場に来たジョングは死体の写真を見ながら、笑止ではなく刺し殺されたようだ3人とも…、首を吊った奥さんは有力な容疑者だったと目撃者に教える。

その時、焼けた家の中を調べていたソンボクが、早く来てくれ!とジョングを呼んだので行ってみると、見つけた!と言いながら、ソンボクは持ち上げたタンスの下にあったものを素手で掴んでみせたので、素手で触っちゃダメだ!証拠品だろう?とジョングは呆れる。

谷城(コクソン)警察署 妻の女が犯人なのか? 日本人が女を襲った話を覚えてるか?と、馴染みの肉屋に焼き肉を食べに来たジョングに店の主人のビョンギュが話しかける。

(回想)川で釣りをしていた日本人は、側で見ていた女の足を触ろうとし、この薄汚い淫売め!と罵倒する。

(回想明け)襲われた被害者の女が、火事になった家のあの女なんだ。

襲われて以来、精神がおかしくなり、裸で歩いたりするようになって…、家の妻が銭湯でその女に会ったら、全身湿疹だらけだったと言っていた。

その後、火事の家の門前で見張り役をしていたジョングに、あいつは下らんことばかり言ってる、あんなの本気にしないでくださいとソンボクが忠告する。

キノコが原因のはずがないですと続けたソンボクが背後の何かを見たので、何見てる?と言いながらジョングが振り向くと、白い服を着た見知らぬ若い女が小石をこちらに投げていた。

皮膚科を当たってみろ、パク・フングフの分も…とジョングがソンボクに命じると、当たった所で…とソンボクは行きたがらないので、湿疹と事件は関係あったはずだ、とっとと行け!と強い口調で命じ、そんボクが渋々出かけると、危ないから止めろ!と石を投げて来ている若い女ムミョン(チョン・ウヒ)に注意する。

しかしムミョンの投石行為はその後も止まず、いつしかケイタイをいじっていたジョングの周囲は小石だらけになる。

家はどこだ?近くか?と声を掛けると、あの女が殺したのよ、あの部屋で殺したのなどとムミョンが言い出したので、何を言ってる?とジョングは戸惑うが、おばあさんが女を助けようと祈祷師を呼んだとムミョンは続ける。

お前、家族か?と聞くと違うと言う。

じゃあ誰だ?と聞くと、ムミョンは、門の所に張ってあった進入禁止のテープを無視して焼けた家の中に入り込もうとするので、立入禁止だ!とジョングは注意するが、大丈夫よ、来て!とムミョンはずんずん家の中に入って行き、一室に来た所で、ここで殺したの、おばあさんが一番苦しんだ、スイカみたいに頭割られて…などと具体的なことをムミョンが指摘するので、見たのか?とジョングが聞くと、もちろん見たと言う。

あの例の日本人…、奴を見たことがある?とムミョンが聞くので、1〜2回見たとジョングが答えると、気をつけて!奴に目をつけられたらしつこくつきまとわれて、最後には殺されるとムミョンは真顔で言う。

その時、携帯が鳴ったので、外に出て、皮膚科から電話して来たソンボクに、戻って来い!目撃者が現れたと伝え、部屋に戻って来るが、もうそこには白い服のムミョンの姿はなかった。

家の中を探し、裏の戸を開けて裏庭を覗いてみたジョングは、そこで鹿の死体を裸で食べている日本人を見つける。

赤い目をしたその日本人は、ジョングに気付くと近づいて来たので、ジョングは恐怖に駆られ外へ飛び出す、 ジョングは自宅の布団の中で悪夢から目覚めていた。

何だか最近うなされてばかりねと声をかけて来た妻が薬の入ったレジ袋を下げているので、その薬は何だ?と聞くと、ヒョジンが寝込んでいるのと妻は言う。

ヒョジンの部屋に行き、ヒョジンの様子を見ると熱が酷かったので、どこへ行ってたんだ!と妻を叱ると薬局…と言うので、バカ!病院に連れて行くんだ!とジョングは苛立つが、その時、天井裏から猫のような鳴き声と足跡が響いたので、妻と一緒に、何だ?今のは…と上を見ながら唖然とする。

今頃出勤か?と警察署に着いたジョングに上司が嫌みを言って来たので、娘が…と言うと、今度は娘を言い訳に使うのか?村中が大騒ぎだよ、ソンボクがあちこちに電話したんだよ、署長も知っている。始末書じゃすまんぞと言う。

その後、パトカーに乗ったジョングに、おかしな女の話を信じるんですか?とソンボクが聞くと、新聞だよ、キノコだと書いてある。

皮膚科もキノコだって?ととジョングは聞く。 その時、ビョンギュから電話が入り、鹿を食う男の話だ?とジョングは聞く。

「ウリ健康食品」に来たジョングは、電話して来たビョンギュから、男の目が光ってた。

この目で見たと言いながら自分の頭頂部を見せ、22針も縫ったと聞かされる。 証拠は?とジョングが聞くと、もちろんあるよ!と言いながら、部屋の隅に置いてあった冷蔵を開けてみせると中は空っぽで、あれ以来山に入ってないなどとビョンギュが言うので、何が証拠だよ!とジョングは呆れる。

今の話は前にも聞いたことがあるとジョングが言うと、裸で走り回っていた、おむつもしていたとビョンギュが言うので、今は大人用のおむつもあるだろう?とジョングが指摘すると、年取ると尿漏れする治療を?などとソンボクが横から口を出して来る。

その男の家は?と聞くと、行くのか?止めておけ、最近続いている不審事件も奴が関係しているぞなどとビョンギュは言うだけで、住所は?と重ねて聞くと、知らん!山を越えた辺りだよ…などと曖昧なことを言う。

ビョンギュをパトカーに乗せ、その現場と言う山に向かったジョングとソンボクだったが、途中から歩くと言われたので、パトカーを降りて山を登りだす。 やがて、見ろ!あれだ!とビョンギュが指差した場所に近づいてみると、そこには鹿の残骸が残っていた。

それを見たソンボクは、本当だったのじゃ!畜生どう言うことなんだ!と呟くが、その時いきなり雷鳴が轟き、雨が降って来る。

今まで晴れてたのに!とソンボクは狼狽する中、もう十分だろう!と吐き捨てたビョンギュは勝手に帰ろうとするので、その手を掴み、家はどこにある?とジョングが聞くと、そこを越えた所だ、一軒家だからすぐ分かる!放せ!とビョンギュは喚きだし、手を振りほどこうと暴れだすが、次の瞬間足を滑らせ斜面を転がり落ちてしまう。

驚いたジョングとソンボクが斜面を下り、大丈夫か?と様子を見ると、一瞬死んだように突っ伏していたビョンギュは、何しやがる!お前ら覚えてろ!訴えてやる!お前らなんか雷に打たれてしまえ!などと泥で真っ黒になった顔で逆上しだす。

次の瞬間、そのビョンギュの頭に雷が直撃し、頭から少し煙を出しながら、数歩歩いた所でビョンギュは倒れる。

すぐさまビョンギュを病院に入院させたジョング達だったが、連絡を受け駆けつけたビョンギュの妻は、日頃養生しても、雷に打たれたらお終いだよ…と亭主のベッドの脇で呟き、泣き出す。

でも漢方薬を飲んでいたお陰で命だけは助かったのよ!と妻は言う。 その時、廊下が騒がしくなり、大変だ!パク・フングクの死体が動き出した!急いで先生を!と看護婦達が叫んでいるのが聞こえて来る。

驚いて、そのフングクの病室を覗きに行ったジョングは、酸素吸入器を口にはめたフングクがベッドの上でけいれんを起こしており、次の瞬間、酸素吸入器の中で吐血し、そのままだらんとベッドから身体をのけぞらせた姿勢で死ぬのを見届ける。

飲み屋にやって来たジョングはテーブルに座り、一体何がどうなっているんだ!と呟くと、酒を飲み、明日こそ奴の家に行くぞ!と誓う。

ソンボクも、絶対何かあるはずですと賛同する。

その時ジョングは、店の奥のテーブルでグループと飲んでいた女の首筋に目立つ湿疹があるのに気付く。

帰宅したジョングは、娘のヒョジンが寝床で呻いているのを発見、思わず抱き上げ、父さんが来たぞ、目を開けろ!ヒョジン!と呼びかけると、父さん!助けて!とヒョジンは泣き出す。

どうしたんだ?と聞くと、誰かが戸を叩いたり入ろうとするの!と言うので、誰が?と聞くと、知らないおじさんが入ろうとするのとヒョジンが言うので、大丈夫だ!とジョングは慰める。

翌朝 ヒュジン!と叫んで目覚めたジョングは、居間で朝食を食べている娘の姿を見て、何だよ…、大丈夫か?と拍子抜けしながら近づく。 すると、ヒュジンは日頃嫌っていたはずの魚を大量に食べ散らしているではないか。

家の門の所にジングを連れて来た義母は、嫌いな魚をあんなに食べるなんて…、隣のおばあさんに祈祷師を紹介してもらおうと言い出す。

ジョングもなす術がなく、お願いしますと頼むしかなかった。

その日、日本人の家を訪れるためジョングがソンボクと落ち合うと、牧師姿のソンボクの甥っ子を紹介されたので、お前キリスト教か?と聞くと、ソンボクは自分は違うが通訳が必要でしょう?と言う。

甥は、日本語少し話せます。名はヤン・イサム(123)(キム・ドンヨン)ですと言うので、本当か?とジョングは聞き返すが、そのまま3人はパトカーで山に向かい、やがて山向こうの日本人の住居に近づく。

ごめん下さい!と呼びかけるが家から返事はなく、どうやら出かけているらしかった。

庭先には鎖につながれた黒犬がいた。

仕方がないので勝手に家の中に上がり込んだジョングは、部屋に置いてあった風呂敷包みを広げ、中のはこの蓋を開けると、能面が入っていたので驚く。

追いてあった本を確かめると自然の写真集や得体の知れない内容の本だったので、変態やろうだと断定するが、庭先で待っていたイサムは、おじさん!これは不法侵入だ!とソンボクに注意する。

しかしジョングは構わず、隣の鍵のかかった部屋の鍵を石で叩き毀すと、中をのぞく。

その部屋には多数のろうそくが点されており、壁一面には不気味な事件現場や死体の写真が無数に貼られていた。

庭では、イサムがズボンの裾を黒犬に噛み付かれ、それをソンボクが助けようとしていた。

しかし、黒犬を繋いでいた鎖の根元が土から抜け始めたので、慌てて家の中に飛び込んだイサムとソンボクは室内にあった小さなテーブルで戸口を固め黒犬の侵入を防ごうとする。

すると、黒犬がどこかに行き、外を覗くと、日本人が帰って来て黒犬の相手をしていた。

日本人は黙って家の中に入ると、ジョングが鍵を壊して開けた写真だらけの部屋も無言で見る。

雷雨になった中、3人はパトカーで帰るが、運転をしていたジョングはずっと放心状態のようになっている助手席のソンボクに大丈夫か?と聞くと、奴が犯人だ…、行きていた時に写真を撮り、死んだ後、又撮る…、奴が犯人だ。

奴は人のものを持ち去り、呪いをかけている…と言いながら差し出したのはヒョジンと書かれた子供の靴だったので、あの家で何を見た?とジョングは聞く。

家に帰り、TVを見ていたヒョジンの側に来たジョングは、最近、靴なくしてないか?と聞くが、ううん、何の事?と言うので、これは?とソンボクが日本人の家で見つけた靴を出してみせると、私のじゃない、本当だってばと言う。

山に住んでいる日本人知ってるだろう?答えろ!会ったんだろう?とジョングが大声を出して聞いたので、何怒ってるのよ?と妻が部屋にやって来るが、お前は外へ出ていろ、大事な話をしているんだと妻を追出すと、父さんは警察官だ、嘘はバレるぞと言い聞かせる。

どこで会って何を話した?と詰め寄ると、何が大事なんだよ?何が大事だ?答えられないくせにしつこく言いやがって!と突如ヒョジんは人が変わったように大声を上げてジョングを罵倒する。

深夜、懐中電灯を持って、寝ているヒョジンの部屋に忍び込んだジョングは、彼女のノートなどをこっそり広げて調べ始めるが、そこには意味が分からない落書きが多数書かれており、中には目や口の部分をくりぬいた人間のようなものを書きなぐったような不気味なページが多数見つかる。

さらにジョングは、ヒョジンの足を調べ始める。 スカートをまくり、足の根元の方を見ると、そこには湿疹ができていた。

その時、何してる?とヒョジンが聞いて来たので、起きてたのか…とジョングは答えるが、何してる?こんな夜中に、娘のスカートをめくって!何で黙ってる?何か言えない訳があるのか?変態やろう!見るな!お前らぶっ殺してやる!とヒョジンは狂ったように絶叫し始める。

翌日、義母はジョングに、悪霊がヒョジンに憑いてるって…、このままでは人が死ぬって…と祈祷師が言ってたと教えられる。

イサムは境界で鐘を鳴らしていた。

携帯が鳴ったので出てみると、ジョングからで、電話に出ろ!おとなしく付いて来いと言われる。

また、ジョングとともにイサムは山向こうの日本人の家を尋ねる。

途中、上空に多数のカラスが飛んでいた。

日本人は黙ってパスポートを出してみせる。 部屋に置いてあった食べかけの丼には、大量の鳥の足だけが入っていた。

隣の部屋に入ってみると、壁に貼ってあった写真は全部なくなっていた。

ここにあったものはどこ?とイサムが日本語で聞くと、何のこと?と日本人がとぼけるので、前壁に貼ってあったものだ!と苛立たしげに聞くと、写真?と日本人の方が言うので、はいとイサムが答えると、燃やしたと日本人は言う。

どこで?と聞くと、台所と日本人は答える。 急いで大土所ろの竃の灰をかき回したジョングだったが、既に何も残っていなかったので、畜生!と悔しがる。

ここへ来た目的は?と聞くと、旅行と日本人が言うので、正直に答えないとブタ箱行きだぞ!と脅すと、言っても信じないだろう?と日本人は答える。

今から言う事を正確に通訳しろとイサムに念を押したジョングは、あなたは誰?娘に何をした?頼む、全てを整理して静かに出て行ってくれ。

谷城は俺の縄張りだ。出て行かないと死にますとイサムに通訳させるが、日本人が何も答えないので、話しかけたら返事しろ!俺を無視するなら仕方ない!と急に喚きだしたジョングは、近くにあったツルハシを振り上げ、聞く気がないなら壊すしかない!と言いながら、部屋の中にあった祭壇のようなものを破壊し始める。

よそ者め!俺の娘に手を出しやがって!とジョングは興奮状態だったが、そこに黒犬が飛び込んで行く。

部屋の中から犬の吠え声が悲鳴に変わり、やがて静かになったので、おじさん!とイサムが恐る恐る部屋の中を覗き込むと、そこには殺された黒犬が横たわっていた。

どうだ!分かったか?と日本人を威嚇したジョングは、ツルハシを放り投げ、3日待ってやる。出て行かないと死ぬぞ!通訳しろ!とイサムに命じる。

その頃、ジョングの妻はヒョジンを皮膚科に連れて行っていた。

いつから湿疹が?と医者が聞くので、数日前からと妻は答える。 日本人の部屋に放置されていた黒犬の屍骸にカラスが近づく。

日本人は縁側に黙って腰掛けていた。

帰宅したジョングが車に妻を呼び入れ、それで診断は?と聞くと、分からないんだってと妻は答える。

日本人は、何か呪文のような事を自宅でぶつぶつ呟いていた。

翌朝

義母の悲鳴でジョングは目覚める。

ジョングの家の門に、死んだ黒犬がぶら下げられていた。

誰がこんな事を!と見つけた義母は怯える。

ジョングは、何故か寝床から立ち上がれなくなっていた。

ジョングは鍼医の所で、鍼を打ってもらう。

医者は、飲み過ぎるな、大した事ないと言うだけだった。

付いて来た義母は、これからが正念場だよ、しっかりしなさい、明日祈祷師に来てもらうとジョングを励ます。 妻も付いて来ていたので、ヒョジンは?とジョングが聞くと、家に決まってるじゃない、隣のおばさんに見てもらってると言う。

心配して帰宅すると、ヒョジンが血だらけのハサミを持っており、側には腹を刺されたと成りのおばさんが倒れていた。

ヒョジン!と驚いて娘の側に駆け寄ったジョングは、凶器のハサミを捨てさせる。

隣のおばさんは、救急車で運ばれて行くが、隣の息子が母親を負傷させられた事で責めて来る。

呆然としていたジョングの所にソンボクが来て、奴の仕業に違いない。俺もあれ以来身体が調子悪いし、熱もある。何とかしないと同じ目に遭いますよと、塀の外にしゃがみ込んで話しだす。

翌日、車でジョングの家にやってきたのは、祈祷師のイルグァン(ファン・ジョンミン)だった。

家に上がってヒョジンの様子を観察し始めたイルグァンは、開けっ放しで外に野次馬が見ている事に気付くと、戸を閉めろ!と命じる。

そして、口笛を吹きながら、家の床下などを見て回りだしたイルグァンは、あの瓶は何だ?たらいをかぶせてある…と聞くので、義母が醤油を仕込んでいると答えると、持って来いと言うので、仕方なくジョングが抱えて持って来ると、イルグァンは棒でその瓶を割ってしまう。

すると、醤油の中にカラスが沈んでいた事が分かる。

それを見たイルグァンは、畜生!何だよ…、えらくえげつない悪霊だと呟く。

その後、ヒョジンを庭先に出し、着物の袖で座ったヒョジンを叩きながら出て行け!と叫ぶ。

ヒョジンが両手で顔や身体をかばおうとするので、助手がヒョジンの両手を両足に縛り付けてしまう。

祈祷師は大きな刃物を打ち鳴らしながら祈祷を続ける。

ヒョジンは悲鳴を上げるが、祈祷師は構わず続け、最近、会ってはいけない奴に会ってるな?そいつと挑発してないか?とイルグァンはジョングに聞き、一番厄介な悪霊だ…と深刻な表情を浮かべる。

お前が挑発したんだな?と再度ジョングに問いかけた祈祷師は、誰を挑発したんだと言うので、日本人ですとジョングが答えると、やっぱりな…と納得したような祈祷師は、あいつは人間じゃないぞ、悪霊だ。全て奴の仕業だ。放っておいたら村の人間が1人残らず殺される。

その後、井戸の中から女の死体が見つかる。

パク・チュンベ(チャン・ギュルキル)の妻だった。 車でジョングを自分の家に連れて来た祈祷師イルグァンは、車中、あの女を始末しないと…、追出すなり…と言う。

明日亥の刻、殺を打つと込め占いをしながら言うので、費用はどのくらいかかりますか?とジョングが聞くと、1000万ウォンくらいとイルグァンが言うので、工面しますとジョングは答える。 殺を打つとは殺すと言う事、女に気をつけろ。

逆にやられるとイルグァンは念を押す。 1つ質問がありますとジョングが言いだし、日本人は悪霊だと言いましたね?生きている人間がどうして悪霊になるんですか?と聞くと、奴は死人だ、とうの昔に死んでいる。

元は人間だったんだが、今は違うとイルグァンが説明するので、奴も取り憑かれて悪霊に?と聞くと、最初はそうだったが…、放っておくと谷城は滅びるだろうとイルグァンは言う。

その頃、日本人は森の中に停まっていた車の運転席で死んでいた男をじっと見つめていた。

それにしても、何故寄りに寄って家の娘に取り憑いたのか?とジョングが聞くと、お前、釣りをする時、何が釣れるか分かるか?お前の娘は餌に食いついた。ただそれだけだ…とイルグァンは言う。

日本人は、運転席で死んでいる男の上着に「パク・チュンベ」と名前が縫い込まれているのに気付く。

日本人はその後、市場で鶏商人(ファン・ソクチョン)から2万1000ウォン分のニワトリの足を買った後、バスで山に帰る。

翌日、ジョングの家にやって来たイルグァンは、ヒョジンの部屋に何か飾り付けを始める。

一方、日本人の方もふんどし一丁の裸で滝に打たれていた。

その様子を、岩陰からムミョンが覗いていた。

日本人は家に戻ると、祈祷の準備を始める。

やがて日が沈み、イルグァンの方も、ジョングの家の前で祈り始める。

日本人は太古を打ち鳴らし、イルグァンは踊りだしていた。

イルグァンは持っていた刀をつり下げた牛肉に突き刺す。

家の中にいたヒョジンは苦しみ、お祓いは止めて!と絶叫する。

日本人は無心に太鼓を叩き続けていた。

イルグァンは生きたニワトリの首を斬る。

ヒョジンは、止めろ!と絶叫する。

森の中の車の運転席のチュンベの遺体の周囲にもろうそくが灯されていた。

ジョングはイルグァンの踊りを見ながら一心に拝んでいたが、その時、ヒョジンの様子を見ていた妻が、あなた、来て!と叫ぶ。

日本人は、チュンベの死体を写した写真を見ながら祈祷をしていた。

イルグァンは、木にくさびを打ち込み始める。

ヒョジンも腹を押さえて苦しむが、日本人も同じように腹を押さえて苦しみだす。

ヒョジンは、お願い止めて!と絶叫し、見かねた妻ももう止めて!と訴えて来たので、ジョングは迷い、ヤギを殺そうとしていたイルグァンに、もう止めろ!畜生、止めないか!くそったれ!いい加減にしろ!止めないと頭かち割るぞ!と演奏をしていた助手達にも怒鳴りつける。

唖然として祈祷を止めたイルグァンに、出て行ってくれ!失せろ!とジョングは命じる。

山の家の中で気を失っていた日本人が正気付き、寒いのか身震いし始める。

そんな家にムミョンが近づく。

ジョングはヒョジンを車で病院に連れて行く。 イサムも病室にやって来て、あの日からこんな事に?とヒョジンの様子を見て驚くと、神父様に話してみますとジョングに伝える。

その話をイサムに連れて来られたジョングから聞いた神父(イ・インチョル)は、本気でそう思うのですか?と驚いたように答える。

悪霊だと言うのは祈祷師から聞いた話でしょう? あの日本人は大学の高名な教授だとも僧侶だと言う話もある。

しかし、それらは皆噂に過ぎない。

すっかり信じ込んでしまったようですね? その目で確かめたのですか?見てもいないのにどうして確信を?娘さんの事は医者に任せるのです。

教会で出来る事はありませんと神父は静かに言い聞かす。

ジョングは、あの家に行く!本当に悪霊なら俺には殺せないとイサムに伝える。

翌日

肉屋に集結したピョンギュ(チェ・グィファ)ら仲間達(ペク・スンチョル、クォン・ヒョクチュン、パク・チェイク)とイサムに、日本人を殺しに行く話をしたジョングは酒を飲んで気を落ち着かせる。

仲間達はさすがに驚き、今の話は本気で言ってるのか?本当だな?と聞き返す。

母ちゃんに誓うか?と1人が混ぜっ返して来たので、隣に座っていた仲間が酒瓶で頭を殴る。

結局、仲間達は、ジョングに協力する事にし、軽トラに乗り込むと山へ向かう。

日本人の家に来てみると、誰もいなかったので仲間達が手分けして家捜しを始める。

そんな中、ジョングはパク・チュンべの死体の写真を見つける。

山の中の車の所に来ていた日本人は、運転席にあるはずのチュンベの死体がなくなっている事に気付き、周囲を見回す。

日本人の庭先を探していた仲間達は、林の中から誰かが近づいて来るのに気付き、ピョンギュ!ちょっと来てくれと声をかける。

家の中でジョングは、畜生と言いながら死体の写真を握りつぶす。 その時、林の中から出現したのはパク・チュンベだった。

顔は真っ黒で死人の顔だった。

化け物だ!と仲間達は狼狽するが、ゾンビ化したチュンべはイサムに襲いかかり、その右頬を食いちぎろうとする。

ジョングが拾った石でゾンビの頭をかち割るが、ゾンビは効かなかったのか、今度はジョングに襲いかかる。

仲間の1人がくわをゾンビの頭に振り下ろし、ジョングがスコップでゾンビを殴りつけるが、ゾンビはそのスコップを奪い取り、柄をへし折ってしまう。

さらに頭に突き刺さったままのくわの刃の部分も抜く。

そんなゾンビ化したチュンベの様子を、近くの気の間から日本人がジッと観察していた。

その時突如、ゾンビはのけぞりだす。 父さん!と呼びかけるヒョジンの顔がジョングの脳裏を掠める。

その時、あそこにもう1人いる!とイサムが林の方を指して言う。

日本人の姿を確認したジョングは、いたぞ!捕まえろ!と叫ぶ。

それに気付いた日本人は林の中を逃げ出す。 頭から出血した日本人は、追いかけて来るジョングと仲間達に追いつめられる。

しかし、途中からやる気を失ったように仲間達が追跡しなくなったので、どうした?何故追わないんだ?とジョングは苛立つ。

そして1人で崖っぷちの方まで行こうとするので、危ないから戻れ!とピョンギュが注意する。

しかし興奮状態のジョングは、どこにいる?捕まえてやる、絶対に!と叫ぶと、ヒョジンを助けてやる!ピョンギュ!ヒョジンを助けるんだよ!奴を捕まえないと!と言いながら感極まって泣き出す。

その仲間達が立っていた崖のすぐ下に日本人はへばりついていた。

その直後、身体を支えきれなくなり滑落した日本人は、足を骨折したのか、悲鳴を上げかけるが、自分の手で口を押さえ、泣いて痛みに耐える。

そのお陰で、崖下を覗き込んだ仲間達は日本人には気付かなかった。

そんな日本人をムミョンは見つける。 又、雷雨になった中、ジョングと仲間達は軽トラで帰るが、運転していたジョングがケイタイで妻を呼び出しても相手は出なかった。

森の中では、日本人がムミョンを追いかけていた。

なかなか電話に出ない妻に苛立ちながら、ジョングがケイタイ片手に運転していた時、何かが車の前に転がり出て来てフロントガラスにひびが入る。

さらに、対向車線からトラックが近づいて来たので、ジョングは慌ててハンドルを握りしめ、何とか軽トラはスリップしながらも停止する。

あれは人じゃなかったか?と仲間が言い出したので、恐る恐る運転席から降りて雨で濡れてる道路を見返すと、そこに倒れていたのはあの日本人だった。

周囲を見渡しても、人っ子一人見えなかった。

その頃、祈祷師のイルグァンは、又、ジョングの妻と義母のいる前で米を使った占いをしていた。

ジョングと仲間達は、日本人の死体をガードレールの上から山の斜面に落とす。 それを道路の上の方からじっと見ていたのはムミョンだった。

そんな中、軽トラのダッシュボードの上に置いてあったジョングの携帯が鳴りだす。

イルグァンは、愚かな奴…、餌を飲み込んだのか…と呟く。

病院にやって来たジョングが恐る恐るヒョジンの病室のドアを開けると、ベッドの上には起き上がったヒョジンと妻と義母が揃っていた。

大丈夫なのか?と効きながら近づくと、ヒョジンは頷く。

もう大丈夫なのか?と再度聞くと、ヒョジンが泣き出したので、ジョングは抱きしめ、苦しくないか?痛くないか?と聞く。

ヒョジンは退院し、自宅で義母から薬を飲まされる。

部屋に置いてあったろうそくの火をジョングが消そうとすると、祈祷師のお陰で助かったんだよと義母が言う。

その時、携帯が鳴ったので出るとイルグァンからで、その後、本人が車でやって来る。

TVでは、毒キノコが混入した健康食品が出回っており、被害者が続出している。

毒キノコには強度の精神錯乱を起こす危険性があると報じていた。

イサムはソンボクの家にやって来る。

ソンボクが妻を殺したと連絡を受けたからだった。

妻が運び出された後部屋に残っていたソンボクの顔を見ると黒い顔をして魂が抜けたような様子だった。

ジョングの家の前に付いたイルグァンは、車を降り、門を入ろうとすると、急に鼻血が出て来たことに気付く。

手で止めようとすると、大量の鼻血が吹き出し始めたのでイルグァンは慌てる。

何しに来た?とイルグァンに声をかけたのはムミョンだった。 ムミョンを前にしたイルグァンは、鼻血とともに突然大量の嘔吐を始め狼狽する。

帰れ!とムミョンが叱りつけると、イルグァンは敵わないと悟り逃げ帰る。

ジョングがケイタイのメールを見ると、祈祷師イルグァンからの書き込みが入っていたので、家を出てイルグァンの家に向かう。

自宅に戻って来たイルグァンは、震えながらもロウソクに灯を灯すが、何故かすぐに消えてしまう。

そこに突如、カラスが室内に飛び込んで来たので狼狽する。

教会のイエス像の前に立ったイサムは呆然としていた。

イルグァンの家にやってきたジョングは、部屋の中で死んでいるカラスを見つけるが、イルグァンはいなかった。

イルグァンは車でソウルに向けて走っていたが、突然、ウィンドーガラスに何かのフンのようなものが飛び散って来たので、戸惑いながらワイパーを動かすと、あっという間に大量の汚れが窓に降り注いで来る。

車がスリップしたので慌てて停止させ、悲鳴を上げながら外に飛び出すと、道路には何も落ちていなかった。

その頃、十字架を握りしめたイサムは車で山に向かっていた。

ジョングは携帯が鳴ったので出ると、それはイルグァンからで、娘の所へ行け、今すぐ行け!と言う。

今、先生に所にいるとジョングが教えると、俺の霊視は間違っていた。

奴じゃないとイルグァンが言うので、どう言う事でしょう?とジョングが戸惑うと、俺の勘違いだった。

お前の家の前で女を見た。

別人に殺を打ってしまった。全ては女がやったとイルグァン刃言う。

それじゃあ日本人は?とジョングが聞くと、奴はあの女を退治しようとしていたんだ。

村人から女を守るために…、あの日本人も祈祷師だ!とイルグァンは言う。

その女は白い服を?とジョングが思い合ったったので聞くと、ああ、見たのか?とイルグァンは言い、若い女ですか?と聞くと、宗田と言う。

一方、イサムは1人で山向こうの日本人の家にやって来ていた。

急いで帰宅したジョングは家の中を見渡すが、ヒョジンがいないので、どこに行った?と呼びかけると、寝ていた義母が気がつかなかったように起きる。

妻の部屋に行ってもいないので、家の外に出たジョングは、ヒョジン!と呼びかける。 少し近所を探していると、暗がりの塀の所にもたれかかっているムミョンと出会う。

おばあさんが日本人は悪霊だって…とムミョンが言うので、無駄話をするな!娘はどこだ?と聞くと、家に決まっていると言うので、いなかったとジョングは否定する。

家に帰るとみんな死ぬ…とムミョンが言い出したので、何を言ってる?と狼狽するジョング。

日本人の事をムミョンが言うので、奴は死んだとジョングが教えると、死んでない、死ぬはずがない!とムミョンは言う。

お前は首つりした家で見たはずだとムミョンが言うので、あれは夢だ!とジョングが言うと、夢じゃない!とムミョンは否定する。

日本人の家の中に入ってみたイサムは、そこで祈祷をしている日本人の後ろ姿を見つけ、おい!と呼びかける。

家に罠を仕掛けた。お前はここで待てば良いとムミョンが言うので何者だ?とジョングが聞くと、何故聞く?と言うので、知らないと信じられない。

何者なんだ!とジョングが理由を言うと、あなたの娘を救おうとしている女よ…とムミョンは答える。

その頃、自宅の門の所に来たジョングの妻はそこにいるヒョジンに気付く。

ヒョジンは家に戻って来る。

悪霊はいつも家に来る…とムミョンは言う。 もう来ている?とジョングが聞くと、ムミョンは頷く。

一方、山向こうの家で傷だらけの日本人と対面していたイサムは、お前、何者か?と問いかける。

自宅で食事をしたヒョジンはゲップをすると、台所に置いてあった包丁を見る。

お前は悪魔か?とイサムが問いかけると、お前はもう言ったじゃないか?自分が悪魔だって…と日本人は答える。

ムミョンと対峙していたジョングの携帯が成り、出るとイルグァンだったので、女と一緒にいると教えると、絶対言い惑わされるな!何を言われようと!娘の所へ行け!聞いてるのか?とイルグァンは警告する。

祈祷師ね?と携帯の相手を言い当てたムミョンは、あいつもグル…と指摘する。

そうだろう?お前は俺の事を悪魔だと確信したから来たんだろう?と日本人はイサムに問いかける。

私が何者か、自分の口で行った所で分からない。

お前は今でも俺を悪魔だと思っていると日本人が言うので、本当の正体を見せたら帰るとイサムは答える。

ニワトリは3回鳴くとムミョンはジョングに言っていた。

私に何もしないで返るだと?と日本人はイサムに聞く。

その時、ニワトリの鳴き声がジョングの耳に届く。

後2回…、惑わされるなとムミョンは言う。

何もせずに帰る?と日本人はまだイサムに問いかけていた。

そして急に笑い出した日本人は、誰がお前に何もせずに行かせると?とイサムに近づいて来る。

奴は何故あんな事を?とジョングが聞くと、お前の娘の父親が罪を犯したからだ。

他の者を疑い、殺そうとして…、結局殺してしまった…とムミョンは言うので、娘が奴に苦しめられたからだ!とジョングは答える。

その時、又ニワトリの鳴き声が聞こえる。

何故それが罪になる?とジョングが問うと、後1回!とムミョンは言うだけなので、何故罪に?とジョングがもう一度尋ねると、いきなりジョングの手を掴んだムミョンは行くよと声をかける。

どう言う事だ?とイサムは聞いていた。 ここから出られるかどうかな?ここはお前のいる所ではない。私に触れてみろと日本人は言う。

幽霊には肉と骨がないが、私には肉も骨もある…と日本人は迫る。 ジョングは道に落ちていたピンクの髪飾りを見つける。

違う!絶対に違う!とムミョンは否定するが、お前だな?全てはお前の仕業だったんだな!とジョングは気付く。

行っちゃダメ!とムミョンは泣いて止めるが、ヒュジン!と呼びかけながらジョングは家に戻る。

どうしてお前は迷うんだ?と言いながら、日本人はイサムに向かってカメラのシャッターを押す。

家の門の所には見覚えがあるキノコの束のようなものが飾ってあった。

ヒョジン!と呼びかけながら自宅に入ると、部屋の床は血の海だった。

恐る恐る奥の部屋の扉を開いたジョングは、そこに血まみれで倒れていた妻を発見する。

俺を見ろ!目を開けろ!頼む!目を開けてくれ!と呼びかけるが、妻の目が開く事はなかった。

ヒョジン!と呼びかけながらジョングは左手を差し出す。 ムミョンは家の外の壁にもたれてしゃがみ込んでいた。

どうして心に疑いを持つのか?と言いながら、日本人はイサムの写真を撮り続ける。

私の手や足を見なさい…正に私だ!と言う日本人の顔と身体は、目が赤い悪魔のような姿になっていた。

笑い出す日本人の姿に怯え、主よ…と呟くイサム。

雷雨がまた突如降って来る。

ジョングの家の門の所に、キノコのような飾りがぶら下がっている。

そこに戻って来た車から降り立ったのはイルグァンだった。

家の中に入ると、ヒョジンが縁側に腰掛けていた。 家の中に入りながら写真を撮るイルグァン。

奥の部屋でうずくまっていたジョングが、まだヒョジン…と呟いていた。

その様子も写真に撮ったイルグァンは、車の所に戻ると、仏像などと一緒に積んでいた木箱を取り出す。

その中には、大量の写真が詰め込んであった。

大丈夫だ…、ヒョジン…、ジョングは娘の事を思い出しながら茫然自失の状態でしゃがみ込んでいた。

父さんは警察官だ。

父さんが全て解決する。

父さんが…と呟くジョング。
 


 

 

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