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ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

人気コミックの実写化らしいが原作の方はほとんど知らない。

一見奇抜な設定だが、いわゆる「超能力対決もの」として観れば理解できないような部分はほとんどなく、普通に楽しめる出来になっている。

このテクニックで昔の「エスパイ」などをリメイクしたらどうなるだろう?などと想像してしまうくらい、VFXはそれなりに安定していると思う。

水を生き物のように操るCGIは昨年の低予算風の「NINJA THE MONSTER」でもやっていたが、「ジョジョ」の方が成功しているような気がする。

一つの街の中だけでの話なのでそんなに大作と言うような感じではないが、最初から最後まで退屈するような感じでもなく、それなりのテンポの良さで楽しめる。

「無限の住人」に続き、三池監督はそつなくまとめて来た感じで、三池さんっぽい悪ふざけなんかは目立たなくなっているが、それがマイナスと言う感じでもない。

続きがありそうな終わり方になっているが、興行的に厳しそうなので次回作は日の目を見ないかもしれない。  
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2017年、映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会、荒木飛呂彦原作、江良至脚本、三池崇史監督監督作品。

TBSの会社ロゴ

「ユウちゃん」と書かれたチョコレートが乗ったバースディケーキのロウソクに灯を灯す。

アパートの外にパトカーのサイレン音が近づく。

凶悪犯アンジェロこと片桐安十郎(山田孝之)は、テーブルに用意されていたオムライスの卵の皮をナイフで剥ぎ、食べようとするが、その時、部屋のドアがノックされる。

アンジェロの足下には、人質の女の子が縛られてうずくまっていた。

ドアの外に来ていた警官の東方良平(國村隼)は、管理人から住民の番号を聞いているから電話してみようと言い、スマホをかけてみる。

部屋の中で、受信に気付いたアンジェロは、スマホの画面に出た「東方良平 巡査」と言う文字を見る。

山下さん!となおも呼びかけていた良平が、隙を見てドアを蹴破って中に入ると、既にアンジェロは裏窓から外へ飛び降りたのか、塀を乗り越え逃げていた。

部屋には、喉を搔き切られた少女の母親らしき女性の死体が転がっていた。

外に逃げていたアンジェロは、道を塞ぐように断っている学生を見つけ、誰だ?お前…と威嚇するが、学生虹村形兆(岡田将生)は、何も言わず、持っていた弓から矢を放つ。

矢はアンジェロの頭を貫き、アンジェロは転倒するが、その後頭部から流れ出た血が、側にあった水たまりに流れ込む。

出会いとは重力…、重力とは愛…などと形兆が呟いていると、赤く染まった水たまりの水が生きているかのように揺らめき出す。

それを見た形兆は、仲間…、おめでとう…、お前は選ばれたと言う。

水たまりの赤い水は噴水のように吹き出し、死んだはずのアンジェロも何事もなかったかのように立ち上げる。

その後、取調室に連行され、片桐!お前どれだけの人間を殺したんだ!と刑事に追求されていたアンジェロだったが、攻めていた刑事はふと、天井から水が滴り落ちていることに気付く。

見ると床には水が溜まっていたので、思わず、何だ、これ!と驚く刑事。

何事もなかったかのように警察署から出て来たアンジェロは、玄関前で倒れていた警官の口から水が吹き出すのを振り返り、そのまま去って行く。

タイトル

「ピンクダークの少年」のコミックスを本棚に並べ終えた広瀬康一(神木隆之介)が、学校に出かけようとしていた時、テレビニュースで、最近頻発している杜王町の殺人事件の被害者たちが、みな内臓を酷く損傷していると言っているのを聞く。

その後、行ってきます!と挨拶をして自転車で登校する康一は、高校2年、3日前にこの杜王町に引っ越して来た。

人口58713人のこの杜王町は、2年連続すんでみたい街1位に選ばれる程の美しい街だったが、3年連続は難しいかもしれなかった。

ここの所、殺人や失踪が連続していたからだった。

康一は交番の前に立っていた東方良平に挨拶をし、狭い道を通り抜けようとしていた。

すると、君、ぶどうの子?と不良風の男子学生に呼び止められ、箇々通りてえんなら5000円と要求されたので、戻ろうとすると、戻るんだったら1万円なと、もう1人の不良が挟み撃ちにする。

かつあげにあって康一が困惑していたとき、やって来たのが東方仗助(山崎賢人)だった。

仗助が黙ってその場を通り抜けようとしたので、不良の1人が、おい、待てよ!お前今、ぶつかっただろう?と因縁を付ける。

すると立ち止まった仗助は立ち止まり、すみませんときちんと頭を下げて詫びて、その場を立ち去ろうとしたので、勝手に行くんじゃねえ!不細工頭!何だ、その変な頭?と不良がからかう。

すると仗助は突然態度を豹変させ、おい、俺の頭のことなんて言った?と睨みつけると、次の瞬間、2人の不良が突然吹っ飛んだので、なんか起こった?と唖然とする。

俺の頭のことにケチつける奴は、誰だると許さねえ!と言いながら、仗助は仗助の自転車に倒れ込んだ不良の顔を踏みつけて威嚇する。

しかし、次の瞬間、口から出血していたはずの不良はきれいに直っており、シャツに付いていたはずの結婚もきれいに消えていたので、怯えた不良2人は慌ててその場を逃げ出して行く。

康一は立ち去ろうとする仗助に、東方仗助君だよね?僕、昨日、転向して来た広瀬康一!と声を掛けるが、そうだっけ?と仗助が無関心そうに答えたので、覚えてくれて婦負のか…と康一はがっかりする。

気を取り直して、倒れていた自転車を起こして登校しようとした康一だったが、前輪が今吹き飛ばされた不良の1人の下敷きになって壊れていることに気付く。

がっかりしながらも、今の凄かったようね…などと仗助に話しかけながら歩き出した康一だったが、気がつくと、自転車の前輪がきれいに直っていることに気付き驚く。

やがて2人は「ぶどうが丘高等学校」と「中等部」の銘板がかかった学校に到着する。

教室に入った康一は、窓際に腰を下ろし外を見ている仗助の姿を確認していたが、その時、目の前に現れたのは山岸由花子(小松菜奈)だった。

康一君、英語の復讐大丈夫?これ、私からの宿題!今日の分!康一君の成績が悪いと私の責任になるの!そんなの私のプライドが許さない!と言いながら由花子が差し出して来たノートを戸惑いながら受け取る康一。

さらに康一の席の隣だった由花子は勝手に自分の机をくっつけて来る始末。

彼女は康一の世話係を命じられていたので、強い使命感を抱いてしまっているのだった。

由花子が渡した宿題の中味を見ると、びっしり大量の問題が書き込まれていたので康一は唖然とする。

街の通りで2人の若者がたむろしており、吉沢正也と言う男の方が飲み終えた缶を側の店前にあったゴミ籠に放り投げるが、狙いが外れて外に転がってしまう。

吉沢正也、仕事辞めたそうだな?何かあったら電話しろ、24時間OKだと声をかけてきたので、大丈夫だって、もう面倒かけねえって…と吉沢は答える。

その後、噴水のある公園にやって来た吉沢だったが、突然、連れの平田の口に水が流れ込み苦しみ出したので、平田!どうしたんだ!と驚くが、その直後、平田は大量の血を履き死んでしまう。

「ぶどうが丘高等学校」の授業が終わり、帰りかけていた仗助に女学生3人が、ジョジョ先輩最高!などと呼びかけながら付いて行くのを見た康一が、ジョジョ?と不思議がると、一緒にいた由花子が、「仗助」の仗も助も「ジョ」って呼ぶでしょう?とジョジョのニックネームの由来を教え、分かった!康一君、東方君のこと苦手なのね!いじめられたりしたらすぐに私に言って、すぐに私が守ってあげるから!じゃあ、宿題必ずやること!と言い残し先に帰ってしまう。

その頃、コンビニに入った吉沢は様子がおかしくなっており、勝手に商品の菓子を食い散らかしたりし始めたので、女店員が声をかけようとすると、次の瞬間、ナイフを手にした吉沢に羽交い締めにされ、店の前に連れ出される。

女店員を人質にした吉沢が、金を出せ!と喚くのを目撃した康一は、コンビニでおかしくなっている!と驚いて立ち止まるが、近くで見ていた仗助も、完全に目がいっちゃっている!と吉沢に聞こえるように言ったので、何だ?と吉沢に睨み返される。

仗助はすぐに頭を下げ、すみません、行きますと答えその場を立ち去ろうとするが、待て!変な頭しやがって!と吉沢が嘲る言葉が聞こえた瞬間、てめえ、今、何て言った!と立ち止まって振り返る。

すると吉沢は、頭にきた!今、この女を殺すことに決め!と言うなり、羽交い締めにしていた女店員の背中にナイフを突き立てるが、次の瞬間、そのナイフを掴んだ何かの手が、吉沢の背中に突き抜けたように見えた。

見ていた康一は何が起こったのか理解できなかったが、刺されたはずの女店員は何ともなく吉沢の手から逃れ、吉沢自身は、腹の中にナイフが入り込んでいたので驚愕する。

それを見ながら仗助は、外科医に取り出してもらうんだな、刑務所の病院で…と嘲るが、吉沢の口の中から水が溢れ出し、それが小く透明な人間のような形になって逃げ出して行くのを目撃する。

側のテーブルに座っていたフード付きのパーカーを着た男、アンジェロが、良くも邪魔をしやがったな…、次はお前だ!次はお前を破滅させてやる!と仗助のことを小声で罵る。

その後、帰宅した東方良平は、居間でゲームをやっていた仗助に近づくと頭を殴りつけ、お前、人質がいる犯人に向かって行ったそうだな!と叱りつける。

大丈夫だよ、高校生は高校生らしくだろう?と仗助がうるさそうに言い返していたとき、母親の東方朋子(観月ありさ)が帰って来て、お父さん、お帰りなさいと良平に声をかける。

しかし良平が、交番に戻ると言うので、コンビに強盗だってねと朋子が聞くと、あいつはあんなことをするような奴じゃない…、何かあったんだ…と呟きながら良平は自室に戻る。

良平は、子供が自分のことを励ます絵が貼ってある壁を見ながら、俺は何をやっている…と自戒する。

その夜、1人のサラリーマンが暗がりで仕事の憂さを晴らしていたが、そこに矢を射った虹村形兆が、そんなに憎いか?屈辱なのか?お前の力は強い力を生み出すことも出来ないのか?と言いながら、倒れたサラリーマンに近づいて来た虹村形兆は、息絶えてしまったサラリーマンを見て、残念だ、お前にはその力はなかった…と吐き捨てる。

翌朝、又自転車で登校していた康一は、仗助君だ!と気づいた所で見知らぬ男にぶつかりそうになり、慌ててハンドルを切り損ねて転倒してしまう。

その男、空条承太郎(伊勢谷友介)は、大丈夫か?よそ見していて悪かったと康一に詫びると、君、東方仗助知ってるか?と聞いて来る。 康一は、先を歩いていた仗助に近づくと、あの人、仗助君に話があるって…と、背後に立っていた承太郎のことを教える。

お前の母親は朋子、父親はジョセフ・ジョースター!母が大学生のときお前が出来たんだ。 すまん、ジョセフが君に気付いたのは最近のことだ。俺はジョセフの孫、空条承太郎で、おかしな話だが、お前の甥に当たる。

ジョセフは今79歳、お前には3分の1の遺産が譲られるが、昔の浮気がバレて、今、ジョースター家は大変な騒ぎだ。

婆さんも結婚61年目にして怒りの頂点だと承太郎が説明するのを聞いた仗助は、すみませんでした!と頭を下げたので、何謝ってるんだよ?と承太郎は聞き返す。

何だか俺のことで家族にトラブル起こしたようでまずいっす。俺にはじいちゃんもいて3人で仲良く暮らしています。だから、俺のこと気を付かないでくれって、その父さんに言ってくださいと仗助は答える。

時に、お前、変なものが見えたりしないか?例えるなら悪霊のようなものが見えるんでは?と承太郎が聞くと、仗助と一緒に登校していた3人の女学生たちが、ジョジョ先輩!髪に埃付いてますよ、私が取ってあげる!などと仗助に近づこうとしたので、くだらない頭の話なんて後にしなと承太郎は注意する。

それを見ていた康一は慌てて、謝って下さい!仗助君は頭のことを言われると怒り出すんです!と教えるが、時既に遅く、仗助の身体から蜃気楼のようなものがわき上がっていた。

これはスタンドと言うものだ、スタンドはスタンドを使うものしか見えないと言いながら、承太郎の身体からロボットのようなものが浮き出して来て、仗助は倒される。

頭のことをけなされると頭に来るぜ…と言う仗助を見た承太郎は、まじで危ない奴だと警戒する。

倒れた仗助を案じ、女学生3人が駆け寄って騒ぐので、やかましい!俺は女が騒ぐとむかつくんだ!と承太郎が叱りつける。

その時、かぶっていた白い帽子のつばが割れていることに気付いた承太郎は、この帽子、直ったと言うことか?と呟く。

承太郎が、そのスタンド、見えるのか?と重ねて聞くと、良いっす、昨日も見たし…、俺ってああいうの興味ないっすから…と言いながら立ち上がった仗助は、じゃあ!と言い残し学校へ向かう。

屋敷に帰って来た承太郎はジョセフに電話をかけ、ジイさん、仗助はスタンドを目撃している。この街に危機が迫っている…と言いながら、アンジェロの写真を見つめていた。

その頃、そのアンジェロは街を歩いていた虹村形兆に合図を送る。 連れ立ってレストランに来たアンジェロは、俺もあんたを感じたよと同じテーブルで相対した形兆に打ち明けながら食事を始める。

今は俺たちは仲間だ、あの矢、どこで手に入れた?とアンジェロは聞くが、お前には関係ないと形兆は無視するので、じゃあ俺も勝手にやるとアンジェロは答える。

邪魔されたのか?と形兆が聞くと、高校生のガキにな…と答えたアンジェロは、絶対殺してやる!と言いながら、グラスの中の水を操り出す。

自分の父親も邪魔だったから刺したのか?と形兆が聞くと、そうさ、俺がこうなったのもあいつのせいだ!憎しみしかなかった。

あんたはどうだ?オヤ憎くないか?いつでも始末してやるとアンジェロが尋ねると、突然機銃掃射のような攻撃がアンジェロに迫って来たので、冗談だ!と青ざめたアンジェロは、俺はあんたに逆らえない、自由にしてくれた恩人だと急にへりくだった態度になる。

形兆はそんなアンジェロに、お前の運命だ、好きにするが良いと告げる。

あんた、目的は何だ?とアンジェロが聞くが、形兆は何も答えなかった。

その夜、帰宅して朋子と仗助と3人で夕食を取っていた良平は、娘と孫と食事が出来、これで街が平和になるなら言う事ないな…と好きな酒を飲みながら呟くので、杜王町大丈夫なの?と朋子が聞くと、この街に根っから悪い奴なんかいやしないよと答えた良平は、仗助、お前は4つの時1度死にかけた。おまえは生かされたんだ、もうあれから13年だ…と言い出す。

それを聞いた朋子は、父さん、又その話?飲み過ぎよと注意するが、この程度の酒で酔ってたまるかと良平はグラスを傾ける。

その後、椅子に座ったまま眠ってしまった良平を前に、だけど、働き過ぎだぜ、最近の爺ちゃん…と仗助が案じると、必死なのよ、街の人を守るために…と朋子は答える。

そんな朋子に、なあ、おふくろ、もう結婚などしなくて良いのかよ?と仗助が聞くと、男なんて興味ないわ、私の男は生涯1人だけ、お前の父さんだけよ。あんたもあの人に似て来たようねと朋子は答える。

知らねえよ、会ったこともねえし…、似て来たんなら爺ちゃんさと、仗助は毛布をかけられすやすやと寝ている良平を見ながら言う。

翌朝、いつも通り、自転車で登校途中だった康一は、山岸由花子とばったり出会うが、その由花子が、私を見て何か気付かない?と聞いて来たので、戸惑いながらも、髪?目?鼻?唇?…と当てずっぽうで答えてみるが、本当に分からないの?とすねたような由花子は、わざとらしく指先に注目させる。

康一はそれに気付き、爪です!爪がとってもきれいです!と褒めると、爪ヤスリを使って長時間削ったの、そして何万円もするクリームを使って…、康一君なら気付いてくれると思ったわ…とうれしそうに語りかけて来る。

次の瞬間、康一は、自分が自転車に乗ったまま、由花子から少し離れたような気がしたので違和感を感じるが、康一の横に海を見ながら立っていた学生、虹村億泰(新田真剣佑)には気付かなかった。

その頃、承太郎はアンジェロの罪状を確認していた。

殺人未遂も加えると13件の余罪があり、警察から脱走後6人も人を殺している。

死因は内臓破裂、体内から何者かが斬り割いたような傷があった…

そのアンジェロは、ある場所に来ると、見つけたぞ!と喜んでいた。

事件はいつも水場で起きる…、それが奴のスタンドの特長…、まさかアンジェロの奴…と呟きながら、承太郎は屋敷のガラス窓から青空を見上げていた。

承太郎は仗助に電話をかけるが、ちょうど帰宅したばかりだった仗助は、良平の部屋から大きな音が聞こえたので慌てて様子を観に行く。

しかし、良平はダンベルを挙げている最中で、今のはダンベルを落した音だと分かる。

年にも負けず、ダンベルを100回挙げ終わった良平は、この街の人間を守り、助けるのが俺の仕事だ。俺は俺、お前はお前だと仗助を見ながら、今度は腹筋を始める。

そんな東方家の名前が書かれた郵便受けを見つけたアンジェロは、あの時の警官か…、おもしれえ…とにやつきながら一旦家の前から立ち去る。

やがて雨が降って来たので、さあ、どこにも逃げ場がねえ…、一家皆殺しだとアンジェロは呟き、公園で傘をさす。

その後、朋子が居間にやってきて、お父さん、何かあったの?と聞いて来るが、あれは鉄人爺だと答えた仗助は、どこか出かけるのか?と母に聞く。

トラサルディと言うイタリアンの店を見つけたの、一緒に行かない?…と言いながら、キッチンでコップの水を飲む。 その時、朋子の口に入りかけた水の様子に違和感を感じた仗助は、スタンドで素早くその水を持っていた瓶に詰めて引き寄せる。

一緒に出かけるのを仗助が断ったので、たまにはデートでもと思ったんだけど…と不満そうな朋子は、あっ!お風呂の支度!と言い出すが、やっとくから早く行けよと仗助は声をかける。 朋子が出かけた後、仗助は瓶に入れた水を振ってみる。

その水の中には、先日見かけた水のスタンドが入っていた。

その後、承太郎に電話をかけた仗助は、お前に話があると言う承太郎に、スタンド捕まえちゃったみたいなんです、今度はおふくろの口の中に入りやがっててんと伝えると、今から家に行く、それまで絶対に捕まえておけと承太郎は命じる。

仗助はビンの中の水のスタンドを振ると、公園にいたアンジェロが地面にのたうち回りながら苦しみ、絶対、ぶっ殺してやる!と叫んでいた。

今でゲームをしていた仗助は、やべえ、風呂の支度!と思い出し、良平に謝りに行くが、ゆっくり待つさと答えた良平は、キッチンに来て、あれ?もう1本なかったかな?と酒瓶を探し始める。

その時、仗助がテーブルに置いていたビンの中にいたスタンドが、透明な瓶を酒瓶に偽装させる。

それに気付いた良平は、朋子の奴…、ありがたいと言いながらその瓶を取り上げる。

その後、又ゲームをしていた仗助は、良平の部屋で倒れる音がしたので、何だよ、どれだけ鍛えてるんだよと呆れるが、ふとテーブルを見ると、自分が置いていた瓶がなくなっている事に気付き、慌てて、爺ちゃん!と叫びながら良平の部屋に向かう。

その時、仗助!と呼びかけながら承太郎もやって来る。

爺ちゃんが瓶の口開けちゃった!と言いながら、良平の部屋に飛び込んだ仗助は、倒れていた良平を見つけると、このくらいの傷簡単に治せると言いながら、両手を良平の顔の前にかざす。

口からの血は消え去ったので、さあ直った!爺ちゃん!と仗助は呼びかけるが、何故か良平の目が開くことはなかった。

一方、承太郎はキッチンから居間にかけて、家中の瓶類から溢れ出た液体で床が水浸しになっており、水道の蛇口からも水が流れ出していることに気付く。

何だ?俺の声が聞こえるのか?とテレパシーで呼びかけて来たアンジェロは、まあよいさ、お前から始末してやると承太郎に挑戦して来る。

その時、良平の部屋から出て来た仗助が、てめえ!絶対に許さねえからな!と怒りの言葉を吐きながら、蛇口の水を止める。

承太郎のスタンドが、オラオラオラ!と叫びながら水のスタンドと戦う。

時間を止める、それが俺のスタンドだと承太郎が仗助に教え、冷静になれ、仗助!奴に体内に入られたらどうする?お前は自分の傷を治せないと呼びかける。

すると仗助は、俺は冷静っすよ、ちこっと頭に来ているだけですと答えるが、その時、ポットのお湯が沸騰していることに気付く。

部屋には蒸気が充満しかけていたので、吸い込んだらまずい!と承太郎が警告する。

風呂だ!と仗助は逃げ込もうとするが、もうお前はどこにも逃げられねえと公園にいたアンジェロは呟く。

そして壁を鉄拳でぶちこわした仗助だったが、壁の穴から蒸気を外に出した瞬間、壁は元通りに修復する。

とりあえず蒸気は防いだ…と安堵した仗助だったが、手の平に水滴を感じ、側を見渡すと、空気清浄機が作動していたので、この部屋には見えない水が充満している!と気付く。 水が仗助の体内に侵入してしまったのだ。

それでも仗助は、腹の底から笑いがこみ上げて来る。予想したことが思い通りはまったからさと言いながら、口からゴム手袋を吐き出す。

そのゴム手袋には水のスタンドが詰まっていた。 どう言うことだ?と承太郎が聞くと、この手袋をバラしての既婚で置いたんです。

奴が身体の中に入って来られた時のことを予想して…と仗助は説明し、水の入った手袋を殴りつけると、良平の部屋に戻り、もう大ジュ部だよ、起きろ!爺ちゃん!と呼びかける。

爺ちゃん?そんなはずねえ!こんな傷俺は簡単に治せる!子供の時から何度も治したし…と、目を開けない良平を見て納得できないような仗助に、承太郎は、人間は何でも破壊しているとも言って良い生き物だ。その中でお前の能力は何者より優しい…、だが、命が終わったものは、どんなスタンドでも戻せない…と教える。

公園にいたアンジェロは、仗助は水のスタンドが入った手袋をいたぶるのでもがき苦しんでいたが、捕まってたまるか…と呻いていた。

そこに、仗助と承太郎がやって来る。

仗助がアンジェロの身体を弾き飛ばすと、貴様、どうやってスタンド使いになった?と承太郎が聞く。

しかしアンジェロは、さあな…ととぼけ、この街にはもっとヤバい奴がいるぞとうそぶく。 さらに痛めつけると、矢を刺されたんだ、相手の名前は知らない…、あいつが勝手に俺を選んだ…、悪いのはあいつだ!とアンジェロは白状する。

それを聞いた仗助は、人のせいばかりにしてんじゃねえぞ!と凄んだので、お前、俺を殺す気か?確かに俺は今まで何人も人を殺して来た。

だからって俺を殺す権利などない!もし殺したとなると、俺と同じ呪われた魂になるぞ!とアンジェロが嘲ると、俺は誰も殺さねえと仗助は答える。

誰ももうお前を死刑にしねえ!俺も承太郎さんも、日本の法律ももうおめえを死刑にしない。

刑務所に入ることもない…と仗助が答えているので、後は任せたと言い残し、承太郎は先に帰って行く。

その言葉で何か異常なことが起きていると悟ったアンジェロが、お前、何をする気だ!と怯えると、クレイジーダイヤモンド!と仗助は言う。

止めろ!と叫ぶアンジェロの身体が徐々に岩に変身して行く。

止めろ!止めてくれ!と喚いていたアンジェロの顔も最後には岩に化身してしまう。 永遠に供養しろ、アンジェロ!てめえが殺した人間のな…と岩に語りかけ、手袋を拾い上げて仗助も帰って行く。

その頃、家にいた虹村形兆の元にやって来た弟虹村億泰が、兄貴、どうかしたのか?と聞くと、片桐が倒された…と形兆が答える。

へえ…、誰にだ?と億泰が聞くと、東方仗助、俺の知らないスタンド使いだと形兆は明かす。

それを聞いた億泰は、兄貴の矢でなったんじゃねえってことか?と驚き、強えのか?そいつ…と聞くので、俺たちの方が強いと形兆が答えると、そうだよな、当たり前だよな、兄貴…と億泰は納得する。

帰宅した仗助は、良平愛用のダンベルを持ち、亡き爺ちゃんの思い出に浸ると、良平が残していた過去の犯罪資料を読み始める。

杜王町一家惨殺事件と書かれたページを読んでいた時、仗助、時間よ!と呼びかけながら朋子が近づいて来る。

そして仗助が読んでいた資料に気付くと、16年前のあの事件ね、お父さんが一番公開していた事件よ。必ず解決するって言ってたと教える。

殺された女子高生は明るい子で、いつも挨拶して行っていたって…、それが父さんの励みになっていたってと言いながら、朋子はガラス面が割れた時計を取り出し、勤続20年目に贈られた時計よ、あの時、これを壁に叩き付けて、俺は失格だ!と父さん叫んでいた。

それ以来、出世も諦め、このまちを守ることだけに尽くし、最後の最後まで警察官だった…、あの人は私たちの誇りよ…と朋子は父を語る。 ああ…と仗助も頷く。

その後、良平の葬儀が行われ、広瀬康一も列席していたが、そんな中、仗助は葬儀場の横に佇んで自分の方を見ていた虹村形兆に気付く。

その形兆が立ち去るのを追いかけた仗助は、一軒の荒れ果てた屋敷にたどり着く。

庭先に入り込むと「立入禁止」の看板が立っていた。

その時、仗助君!と康一が近づいて来たので、康一、お前は帰れ!と仗助は命じるが、途中でいなくなるからみんな心配してたよと言いながら康一は帰ろうともせず、かえって興味深そうに看板の所に近づくと、この家に何があるのさ?と聞く。

その時、物陰から飛び出して来た億泰が、てめえら!人の家に勝手に入るんじゃねえ!と怒鳴りながら、康一を蹴り倒す。

二階のベランダには矢を持った虹村形兆が姿を見せ、康一に向け矢を放つと、アンジェロを殺したその東方仗助を必ず倒せ!と声をかけて来たので、庭先にいた億泰は、分かってるよ、兄貴…と答え、仗助に向かって来る。

組み付いて来た億泰の手の動きに驚いた仗助は、必死に相手の手を防ぎながら、やっぱりやばいのか?この右手!と億泰の右手の様子を凝視していた。

すると億泰は、てめえ、逃げてんじゃねえぞ!と言いながら、右手を振ると、側にあった「立入禁止」の看板が、「立禁止」と変化していた。

「入」の字がねえ!そうか!削り取ったのか!と仗助が気付くと、億泰が切断面は元の通りに出来るのさと説明し、逃げる奴にはこう云うことも出来るんだと言うと、瞬時に仗助の身体を引き寄せ、空間を削り取って瞬間移動だ!てめえは逃げられねえ!と言う。

自慢話はまだ続くのか?と退屈そうに仗助が切り返すと、これで最後だよ!次はてめえごと削り取るんや!と言った億泰が仗助に襲いかかるが、側にあった彫像が壊れただけだった。

バカで助かった…と呟き、倒れていた康一の側に来た仗助だったが、いつの間にか康一の身体が消えていることに気付く。 形兆が屋敷の中に引きずり込んでいたのだった。

康一!と呼びかけながら屋敷の二階へ上がってみると、そこには、床に倒れた矢の刺さった瀕死の康一を前に形兆が待ち構えていたので、てめえ、いい加減にしろよ!と仗助は切れる。

形兆は、この矢は大事なものだ、1本しかない、回収しないと…と言いながら、康一の胸から矢を引き抜こうとする。

それを見た仗助は、おい!そいつを抜くな!出血が激しくなる!と注意するが、抜くさ…、お前はCDを聞き終わったらきっちりケースに閉まって、次のを聞かないか?誰だってそうだ。俺もそうすると言いながら、形兆は康一の胸から矢を引き抜く。

そして、倒れたままの康一を見ながら、こいつは選ばれなかった…、無意味な出会いだと吐き捨てる。

ふざけんじゃねえぞ!と仗助は怒るが、その時、兄貴!俺とこいつの勝負はまだついてねえ!と言いながら億泰が部屋に入って来ようとするが、その時、形兆がマシンガンのような血管針攻撃を発射したので、億泰も顔面の半分に傷を負って倒れる。

形兆はそれを見て苛立たしそうに、どこまでも馬鹿な弟だ!ノコノコと攻撃の軌道に入るとは…と嘲ったので、倒れた億泰は、兄貴…、ごめんよ…と詫びる。

無能な奴は人の足手まといになる。幼い頃から何度も言って来たよな?と形兆が吐き捨てるように言うので、てめえの弟だろう?と仗助がドアの陰から声をかけると、愛想が尽きた。何の役にも立たない!と形兆は答える。

仗助が部屋の中で倒れている億泰をドアの外へ引きずり出そうと左手を出すが、形兆の攻撃で左手を負傷してしまう。

それでも何とか、ドアの外に身体を引きずって来た億泰に、おい、お前の兄貴のあれは何だ?どんな能力だ?言えばその傷を治してやると仗助が話しかけるが、言うもんかよ…と億泰は言うだけ。

やっぱりな…、言わねえか…と仗助が確認すると、あったりめえだよと億泰は言うので、それじゃあ仕方ないと言いながら、仗助は手をかざして億泰の身体の傷を治してやる。

痛くねえ!と驚いてて立ち上がった億泰は、じゃあなと言い残し、仗助が又部屋の方へ向かおうとするので、待てよ!何故、俺の傷を治した?と問いかける。

しかし仗助は、うるせえぞ、後にしろと相手にしないので、俺はおめえの敵だぞ!治したって俺はおめえを攻撃するかもしれないんだぞとなおも億泰は聞いて来る。

深い理由はねえよ、何も死ぬことはねえ…、そう思っただけだと仗助が答えたので、待て、仗助!何でお前、自分の傷を治さない?と億泰は食い下がる。

すると仗助は、俺のスタンドは自分の傷を治せないんだ。まして死んだ人間は治らない。

だから言っとくぞ、康一が死んだら、俺はお前の兄貴に名にするか分からねえ!と答え、再び大部屋に戻って行く。

すると部屋の中から形兆の姿が消えていた。

その時、億泰が背後に来たことに気付いた仗助が、億泰!てめえ!と叫ぶが、次の瞬間、億泰は空間を削り、康一の身体を瞬時に仗助の側まで引き寄せてやる。

仗助はすぐにスタンドを使って、康一の傷を治してやる。 すると億泰は、俺は馬鹿だからよ、心の中で思ったことだけする。

一回だけだ。これで借りは返したぜ、後はもう何もしねえと言い残し、下へ降りて行くので、グレートだぜ、億泰!と仗助は感謝の言葉を吐く。

目覚めた康一が、仗助君!と呼びかけたとき、部屋の中に小さなパラシュート部隊が降下して来たことに気付く。

康一!出るぞ!と呼びかけた仗助だったが、だらに玩具の攻撃ヘリコプターまで出現し、そのヘリから降下部隊が床に降り立ち、仗助に向けてバズーカ砲を撃って来る。

グレートだぜ!と再び叫んだ仗助は、スタンドで玩具の兵隊たちと戦い始める。

仗助君!と康一が呼びかけて来たので、康一!隠れてろ!と仗助は叫び返す。

しかし康一が、戦車も来る!と呼びかけたので、マジか?戦車まで…と言いながら前方を見ると、確かに玩具の戦車部隊が接近していた。

その時仗助は、康一!今なんて言った?見えるのか?このスタンドが!と聞くと、康一は頷く。

その時、部屋の奥から形兆が再び姿を見せたので、てめえ!と仗助が睨みつけると、どうだ?「バッド・カンパニー」、美しい構えだろう?と形兆は愉快そうに言う。

鉄壁の守り、いかなる敵も生かして帰さない!と続けた形兆は、お前は選ばれたんだな?と康一を観る。

仗助も康一に、お前はスタンド使いになったんだ、俺にも良く分からないと伝えると、お前のスタンドを見せてみろ!と形兆も迫って来る。

しかし全く事情を把握できない康一が棒立ち状態で戸惑っていると、1人の小さな玩具の兵隊が、康一の右足の甲をナイフで突き刺す。

すると、その痛みがスタンドを呼び起こしたのか、康一の身体から大きな呪文が書かれた卵のようなものが空間に出現する。

それがお前のスタンドか?さあ、俺を攻撃してみろと形兆は嘲るが、康一にはスタンドの使い方を全く会得していなかったので、スタンドを使う使い手が憎い相手をそうさせるんだ!と仗助は説明する。

その間、形兆は、全部隊!総攻撃の体勢を取れ!と「バッド・カンパにー」に命じる。

仗助は、スタンドを壊されると死ぬぞ!康一!そいつを使ってみろ!と呼びかけるが、康一はやり方が分からず戸惑うだけ。

最大火力を持って、目標東方仗助を殲滅せよ!と形兆が命じたので、止めろ!と康一は叫ぶが、残念だが、一度出した命令は修正できないと形兆は言う。

そして、とどめだ!と形兆が叫ぶと、攻撃ヘリから仗助に向けてミサイルが二基発射される。

仗助は左手が使えないままだったので、スタンドも右手だけのパンチで向かって来るミサイル二基に立ち向かおうとする。

止めろ!と康一が叫ぶ中、右手の拳にぶつかり爆発したミサイルの威力で仗助はしゃがみ込んだに見えたが、その時、康一の前に浮かんでいた大きな卵が割れ、中からスタンドが飛び出して来る。

何!と形兆は戸惑うが、緑色のエイリアンのような康一のスタンドは、床で転んで無様な加工を見せただけだったので、これがお前のスタンドか?やはり俺には必要ない…と嘲る。

その時、うずくまっていた仗助が、康一、もう十分だぜと声をかけたので、何だ、諦めちまったのかよ?見逃してくれとでも言うのか?ダメだねと形兆が呼びかけると、そうじゃねえよ、虹村形兆、俺の作戦が終了したのさと仗助は、俺のクレージーダイヤモンドは、破壊したものが治せると答える。

すると、ついさっき爆発したミサイル二基が復活しており、向きを反対に転ずると、形兆に向けて発射する。

慌てた形兆が、「バッド・カンパニー」!ミサイルを破壊せよ!と命じるが、一度出した命令は修正できねえんだよな?こいつらもミサイルも!と仗助がからかうように聞く。 形兆はまともにミサイルの的になって爆発する。

それと同時に、「バッド・カンパニー」の兵士たちも消えて行く。

仗助君、さっきのは?と康一が聞くと、俺のスタンド「クレイジーダイヤモンド」で奴のミサイルを元に戻し、奴に返しただけだと説明した仗助は、お前のお陰だ、お前が時間を稼いでくれたと康一に礼を言う。

その時、どこからか物音が聞こえて来たので、康一、ここで待ってろ、あのゆ三刀屋をぶっ壊してやると言い残し、仗助は部屋の奥にあった三階への階段を登って行こうとするが、康一は、僕も行くよ、仗助君怪我しているしと言うと一緒に階段を登って行く。

3階の部屋のドアを康一が開けようとすると、中にいた何者かが康一の足を掴んで来る。

それは太ってみにくい化け物のようなものだったので、こいつはスタンドじゃねえ、までで化け物だ!と仗助も驚く。

すると、部屋の中にいた形兆が、そいつは俺たちの親父だと打ち明ける。

この弓と矢は、親父のために必要なもの…、お前に渡す訳にはいかねえと形兆が言うので、お父さんは何かの病気なの?と康一が聞くと、健康そのものだよ、ただ意味もなく生きている。

金に汚く、幼い俺たちにも暴力を使っていた。罰が当たったんだ!今じゃ、自分が人間だって覚えてないと形兆は答える。

親父さんを治すスタンド使いを探していたのか?と仗助が聞くと、逆だ、親父は絶対死なないんだ。

頭を潰そうと身体を爆破しようと、削り取ろうと絶対ダメだ。このまま永遠に生き続けるしかねえと形兆は言う。

一日中、無駄にくず箱を漁るだけ…と言った形兆は、何か必死に床に落ちた小さなものを集めようとしていた父親を蹴飛ばし、散らかすなと何度も言ってるだろうが!と罵倒し、俺たちのことも、死んだ母親のことも覚えていない…、このやるせない気持分かるか?と形兆は聞いて来る。

だから普通に死なせてやりたい…、こいつを殺したときに、ようやく俺の人生が始まるんだ…と言い終えた形兆は、又、何か小さな紙片のようなものを集めようとしていた父親に、止めろって言ってんだよ!と蹴りつけようとするので、そこまでにしとけ!と止めた仗助は、勘違いするな?気になるのはこっちの箱だと言い、父親の側にあった壊れた箱を修復してやる。

さらに、部屋に散乱していた小さな紙片を集めると、それは一枚の写真に戻る。 そこには、良心と幼いに虹村兄弟が一緒に写っていた。

そら、家族の写真だ、お父さんは毎日毎日これを探していたんだ。覚えて悼んだよ、心の中に…、みんなの思い出が残っていたんだよと語りかけた仗助は、手伝ってやって良いぜ、殺すスタンド使いより、治すスタンド使いを探すって言うならと形兆に言うと、さ、そいつを渡しなよ、ぶち折るからよと弓の方に手を差し出す。

しかし形兆は、ダメだ、渡さないと拒否するので、駆けつけて来た億泰が、兄貴、もう止めようぜと止めに入る。

億泰!俺は何があろうと後戻りできねえんだよ、この矢でこの街の人間何人も殺しているんだから…、出会いとは重力…、重力とは愛…、出会いが全てを引き寄せた。その運命に逆らうことは出来ない…と形兆は言う。

それを聞いていた仗助は、違うぜ、運命なんてこっちの思いでどうにでもなる!と言い聞かすと、億泰も、そうだよ、やり直そうぜと説得しようとする。

そんな億泰に、おめえはもう、弟でも何でもねえ…と形兆が吐き捨てたので、億泰は、兄貴…と哀しげに呼びかける。

その時、何かの物音が近づいて来たかと思うと、形兆の背後の大きなステンドグラスを割って、何かが外から飛び込んで来る。

それは、鬼の良うな顔の付いた車の玩具だった。

形兆は、億泰!ぼさっとしてんじぇねえ!と叱りつけ、その玩具が飛びかかった億泰の前に飛び出し、自ら盾代わりになり身体で受ける。

そのまま窓の方に向かって制止した形兆は、億泰…、おめえはよ…、いつだって俺の足手まといだったぜ…と言いながら振り向く。

その口の中には、こちらを向いた鬼の玩具が歯をカタカタ言わせていた。 兄貴!と呼びかける億泰の目の前で、形兆の頭は爆発を起こす。

鬼の玩具はそのまま、ステンドグラスの割れ目から外へ飛び出して行く。

てめえ、どこだ!と庭先まで追って出て来た億泰が敵の正体を探そうとするが、そこにはもう誰もいなかった。

億泰!と呼びかけながら、仗助と康一も庭先に出て来ると、兄貴はよ…、ああなって当然の男だよ…、でも兄貴は最後の最後は俺をかばってくれたよな?仗助!お前も見ただろう?と億泰は聞いて来る。

ああ…、確かに見たよ…と仗助が答えると、おお!と億泰は満足そうに頷く。

その頃、三階の部屋の中では、あの不気味な父親がいつまでも家族写真を見つめていた。 その後、海辺で仗助と会い、話を聞いた空条承太郎は、虹村形兆だけじゃなく、弓と矢も消滅させたか…と納得する。

スタンド使いなら、そいつはいつか俺の前に現れる…と仗助がこたえると、ああ…、仗助、お前大丈夫か?と承太郎は案じて来る。 仗助の仗は守と言う意味です。人を助ける爺ちゃんがこの名前を付けてくれたんです。

35年間、出世もしないで街の人たちを守り続けてくれた男です。

だから俺は決めたんです!俺は爺ちゃんの思いを引き受けます。 俺がこの街を守ります! どんなことが起ころうと受け止めてみせる!と仗助は言い切る。

その後、いつも通り自転車で登校する康一は、僕は広瀬康一、2週間前この街に引っ越して来た…と心の中で打ち明けていた。

そんな康一をうれしそうに振り返る山岸由花子。 よお、アンジェロ!と公園に置いてあった大きな岩に挨拶し、仗助と億泰も一緒に登校する。

この2人と出会い、僕もスタンド使いになった…、新たな日々が始まる…と康一は考える。

エンドロールになりかけ、画像が乱れたようになると、各種の表彰状やトロフィーが並んだ無人の部屋が映し出される。

失踪事件が発生し、捜査が始まりましたとテレビニュースが流れる中、テーブルの上に置かれた紙袋からは、矢を握りしめた手が飛び出していた。
 


 

 

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