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ひるね姫〜知らないワタシの物語〜

良く寝るが基本明るく積極的な地方の普通の女の子が、ある事件をきっかけに亡き母親の過去を知り、自分も自立しようと前向きになると言う青春ファンタジー冒険アニメ。

少女、夢の世界と現実との交差、活躍するメカや巨大ロボ…、何やら昨今流行の要素をあれこれ盛り込ん内容でそれなりに楽しめることは確かなのだが、自立する少女への応援みたいなテーマも含め、特に目新しい印象はない。

悪く言えば、受けそうな素材を並べただけのややあざとさを感じないでもない。

桃太郎と言うお馴染みの昔話と自動運転自動車と言う今風の素材を組み合わせた所などは面白いが、後半の見せ場などは案外凡庸な気がする。

夢と現実を混合してしまったことでサスペンスが膨らんだかと言うと逆のような感じがしないでもないのだ。

エンドロールの部分で母親と父との出会いとその後などをざっと説明しようとしているが、母親の死など不明な部分もあり、全てがすっきり解決したようにも思えない。

特に母親イクミのキャラクターは、誰もが親しみ易い見た目ではなく、やや個性派になっていることに加え、回想としての登場シーンやセリフも少ないことから感情移入しにくく、無口な父親像も含め、後半の両親が我が子のピンチを救う場面の高揚感をやや削いでいるような気がしないでもない。

かと言って、全体として特に出来が悪いと言うことも別になく、娯楽として普通に楽しめることは確か。

大人にとっては、巨大ロボエンジンヘッドの操縦席が何やら昔の軍隊のような雰囲気になっていたりする所は、「海底軍艦」などのレトロ特撮を連想させ少し高揚感があったりするのは確か。

ヒロインと近いティーンくらいの年代の人が見れば、もっと感情移入して楽しめる作品かもしれない。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2017年、堀元宣+河野利幸演出、神山健治原作+脚本+監督作品。

(夢)昔々 ハートランドと言う、そこの国民達全てが機械作りに携わっていた国がありました。

ここハートランドでは国民達が24時間体制で働いており、ハートランド王(声- 高橋英樹)は機械作りに絶対の自信を持っていました。

朝5時に出勤する国民達は皆渋滞に巻き込まれ遅刻するのが当たり前なのですが、夕方5時には夜勤と交代しなければならず、遅刻分は給料から差し引かれます。

残ったわずかな給料袋をもらった若者ピーチ(声-江口洋介)は、マジか!と呆れますが、上司から、いつまでバイクに乗ってる?新車に乗り換えろ!と命じられ、そのルールに従わないものは月給から引かれることを知らされる。

これがイーストポリスの日常です。 全ては王様の一存で決まります。 その王には2つの大きな悩みがありました。

この国に、エンシェンと言う娘が災いをもたらす魔法使いとして生まれてしまったことです。

エンシェンは3歳になると、王様からもらったぬいぐるみにジョイと名付け、魔法でしゃべれるようにしました。 6歳になると町中の機械を勝手に動くようにしてしまったのです。

ある日、ジョイと一緒にお城の中の巨大金庫のような扉を開いて秘密の部屋の中をのぞいたエンシェンは、そこに置いてあったロボットハートと魔法のタブレットを見つけました。

しかし、その時非常サイレンが鳴り響いたので、後で助けに来るから待っててね!とハートに声をかけ、城の外壁を辿って自分の部屋のある塔の方へ逃げる。

非常サイレンを聞いた王様のヒゲの重臣ベワン(声-古田新太)は、すぐに装置を動かして姫の部屋のある塔への連結部分を繋ぐと、自らそこにやって来てエンシェンの部屋を覗いてみるが、一足先に部屋に戻っていたエーシャンはベッドで寝ている振りをして、部屋を抜け出していたことをごまかす。

私の名は、エンシェン・ハート!一応、この国のお姫様なの!

(現実)自宅で目覚めた森川ココネ(声-高畑充希)は、スマホの画面で自国が7時15分だと知ると、遅刻する~!と叫びながら起き、急いで布団を片付ける。

TVでは、1964年以来56年振りの東京オリンピックまで後3日に迫ったと言うニュースとともに、完成した新国立競技場が映し出されていた。

二階の自室から1階の台所に降りて来たココネは、レジ袋に入ったトマトを見つけ、これ三宅さんの所の修理代じゃないよね?と父親の森川モモタロー(声-江口洋介)に聞くが、モモタローは、快調はタブレット渡さないと告訴するって言ってるんだと誰かにスマホで電話していた。

ココネは自分でオムレツを作ると、朝食を一緒に食べ始めたモモタローに、せめてマージャン牌くらいは片付けといてよねと階段の所に置きっぱなしになっていた麻雀牌のことで文句を言う。

TVでは、オリンピックの開幕式では世界各国の自動運転の自動車が新国立競技場に来ると報道していた。

もうお墓参り行ったの?とココネが聞くと、モモタローはまだじゃとだけ無愛想に答えるので、明日から夏休みって知っとった?久しぶりに旅行行かない?前は欲ハイキングとかピクニックに行きよったよね。

今年は我慢しようかな~…、受験もあるし…などとココネは独り言のように言うが、モモタローは何も返事をしない。

祖父母と母親の遺影が飾ってある部屋の仏壇に、キュウリとオクラでで作ったお盆用の午の人形が置いてあったので、まだお盆には早いんじゃない?などと言いながら、手を合わせたココネは、行ってきます!と家を飛び出す。

すると、スマホに、大学、東京に行きたいんか?などとモモタローのメールが入っていたので、先に墓参り行っとくわと言うモモタローに、今日はちゃんと修理代もらうんだよ!と家の中に戻って声を掛けると、分かったとモモタローは答える。

森川モータースと書かれた工場横の家を出たココネは、近所の父の友人雉田(声-前野朋哉)と佐渡(声-高木渉)に、今夜もお父さん頼むな!と声をかけて、田の浦港前のバス停に来る。

すると、そこにはVR装置を目に付けた2人の男子がおり、その1人が東京に大学に行っている佐渡モリオ(声-満島真之介)と気付いたココネは、モリオ?いつこっち帰って来たん?と声をかける。

モリオは友人らしき連れに、オラジャンの娘じゃと教える。

モタローがいつも、不良っぽいオラオラジャンパーを来ていることからそう呼んでいるらしかった。 東京ってどう?とバスに乗り込んだココネが聞くと、お前が一生かけても行けん所じゃなどとモリオは言う。

モモタローは、パンク修理を頼んでいた軽トラの持ち主の爺さんが来たので、運転席にナビと自動操縦装置を付けておいたことを教え、その簡単な操作方法を教える。

わしらなんかにこんなもん…と爺さんは戸惑うが、今はまだ、爺婆の方が金を持っとるでとモモタローは言い、料金はパンク修理代の2000円だけ受け取る。

爺さんが自動運転の軽トラに載って工場を出て行くと、爺!一応ハンドルは握っとけ!お巡りに見つかって捕まるのは俺なんやからな!と大声で呼びかける。

(夢)この国は以前から巨大な鬼に襲われていました。

エンシェンがこの国にいたため起きた災いだったので、国民の間から姫を追放しろとの声があがりましたが、さすがに国王も愛娘を追放する訳にはいきませんでした。

それで、機械兵団エンジンヘッドを建造しました。 駆動部分に大量の兵を使う方式でした。

そんなエンジンヘッドを見たエンシェンは、あれじゃダメ、魔法で動くロボットじゃないと鬼は倒せないよと嘆く。

そんな中、ベワンが個室で謎の装置を起動させると、不思議な緑色の光が鬼に流れ込む。

凶暴化した鬼が暴れている町中で1人バイクで逃げていた男を城から見つけたエンシェンは、誰だ?あのものは?と言いながら望遠鏡で男の後ろ姿を見ると、ジャンパーの背中に海賊マークが描かれてあったので、海賊?と呟くと、ジョイ!あのものを僕にして鬼を退治するぞ!とエンシェンは動くぬいぐるみに語りかけると一緒に金庫室の中に眠っていたロボットの所へ向かう。

ロボットハーツはその場でサイドカーに変身する。

巨大な鬼は身体から溶岩を垂れ流しながらジャンパーの男に近づいていた。

サイドカーで城を飛び出し、海賊ジャンパーの男の背後にやって来たエンシェンは、やっぱり海賊だ!良し、僕にしてやる!付いて参れ!と男に呼びかけると、サイドカーを反転させる。

男はあっけにとられながらも走り去るサイドカーに飛び移り、その場を脱出する。

名は何と言う?とエンシェンから聞かれたその男は、ピーチ!と答える。

(現実)学校の教室内で目覚めたココネが、久しぶりやわ、この夢見るの…と呟くと、夢まで見とったんか!森川!まだ夏休みじゃなかろう?と叱って来た先生は、高校最後の夏休み、有意義に過ごすんだぞ!では、新楽器には元気で戻ってください!と挨拶し、授業を終える。

その頃、墓参りに来ていたモモタローは、森川家の墓の前にジョイのぬいぐるみを置くと、昔のこと全部知っとるの、お前だけじゃの…とぬいぐるみに話しかける。

お父さんからタブレット渡さんと親権のことで訴えると言って来た…、今更言われてもな…、今から東京に行って来るわ…と墓に向かって語りかけていたモモタローだったが、そこに近づいて来た2人の男が、森川モモタローだな?と警察手帳を提示しながら言って来る。

その様子を、近くに停めた車から見ていた渡辺一郎(声-古田新太)は、今、志島会長と直接会われるのは困るんだよと誰かに電話していた。

放課後、友人の知世と2人で校庭の掃き掃除をしていたココネは、いつも眠いんだよな…とぼやいていたが、夏期講習どうするの?と知世から聞かれると、うちピンチだから…、修理代を野菜で貰うとるんよ…、毎日車の修理ばかり…などと愚痴っていたが、その時、一緒に掃除を言いつけられていた男子生徒2名が裏門を飛ぶ越えて帰ってしまったので、貸しじゃからの!とココネは頭に来て叫ぶ。

帰省とかせんの?と聞かれたココネは、うち実家じゃし…と答えると、お母さんの実家ドイツじゃったろ?中学の時そう言うっとったじゃろ?と言うので、あれ、嘘…、毎回お母さんの子と聞かれて面倒になったので嘘を言ってたのよと洗面所の所で答える。

そこへ、森川!今連絡があった。お父さんがの…と先生が血相を変えて近づいて来る。

警察署にやって来たココネは、そこにいた雉田と少し話をするが、どうやらモモタローとは会えないようだった。

がっかりして夕方墓にやって来たココネは、箱にジョイのぬいぐるみが置いてあることに気付き、何でジョイが?と驚きながらも、そのジョイが着ているジャケットの背中の部分に何かが入っていることに気付き取り出すと、画面にひびが入ったタブレットが出て来る。

自宅に帰り着き、すぐに畳に横になったココネは、お父さん、どっかに連れて行かれたの? お母さん、お父さん、何やったんじゃろうな?私、お母さんのこと良く知らんのよね…、生まれてすぐに事故で死んでしまったってお父さんから聞いたから…。

私くらいの時、大学とか行きよった?と問いかける。

(夢)海辺の燈台の所へやって来たピーチは、燈台にジョイやハーツと一緒に隠れていたエンシェンに、どうだい?機械に魔法をかけられるかい?と聞く。

心根一つで空も飛べるはず!自らの力で自由を手に入れよう!送信!とエンシェンは叫ぶが、そこへ車でやって来たベワンが、城の兵士達を連れて乱入して来る。

とうとう見つけましたぞ、姫!又ガラスの塔へ入っていただきます。

タブレットを私に渡してくださいませんか?そうしていただければ国王に姫のお許しを乞うのもやぶさかではございませんなどと言いながらベワンはエンシェンに迫って来る。

(現実)ココネは、ここだ!もう帰宅しているはずだと玄関先で人声がするのに気付いて目覚める。

東京に知られて勘ぐられても困るからな…などと連れの男達に言いながら家の玄関から入って来たのは渡辺だった。

その時、ココネのメールが入り、モモタローから送られて来たのは、父と母と一緒に写っている渡辺に写真で、そいつは悪い奴!と書かれていたので、こいつじゃね?とココネは侵入者の正体に気付く。

家に侵入して来た渡辺は、必要なのはタブレットだ、警察の押収品にもなかった。何としてでも見つけろ!と手下達に命じ、部屋の電灯をつける。

ココネは襖一つ隔てた隣の部屋にいた。 渡辺さん、これでは?と手下が聞いて来たので、それはただのホワイトボードだ!と叱っていたが、その時また、ココネのメール受信音が聞こえる。

お墓にタブレット隠したとモモタローか書いて来るが、先に言うてな…とぼやきながらも、渡辺がこっちに来たことに気付くと、まずいと呟く。

渡辺が隣の部屋に来ると誰もいなかったが、ジョイのぬいぐるみが置いてあることに気づき、このぬいぐるみは!と持ち上げ、あった!あったぞ!と喜ぶ。

その時、押し入れの中にいたココネが思わず舌打ちをしてしまったので、押し入れの中が怪しいと気づいた渡辺は右側のふすまを開ける。

しかしそこには誰もいなかったが、布団の下の方にココネのスマホが落ちているのに気付く。

渡辺は、スマホの画面をざっとフリックしながらメールの内容を読んでいたが、そこに、ココネ!帰っとるか?親父と雉田さんも後から来る言う取ったと言いながら入って来たのはモリオだった。

慌てて逃げ出した渡辺は、俺たちは高松空港に行くから、お前は残って娘を見張っていろと1人だけ手下を残して行く。

家の中に入って来たモリオは、押し入れの左側から出て来たココネに驚くが、モリオ、オートバイ運転できるやろ?といきなり言われたので、普通免許しか持っとらんと「答える。

しかし工場に置いてったモモタローのサイドカーの所へ連れて来たココネは、大丈夫、これ車の免許で乗れるからと言い、行く先は高松空港!と教える。

モリオは、表で見張っていた手下を振り切り高松空港へ向かう。 モモタローは取調室で画面の壊れたスマホでメールの確認をしていたが、そこに行き鳴り刑事達が入って来る。

お前何か隠したか?と刑事が怪しんだので、モモタローは、何も…と言いながらズボンのポケットを裏返してみせる。

高松空港に付いたサイドカーから降り立ったココネは、エンジンかけて待っちょいて!とバイクに載っていたモリオに頼むと、自分は空港の入り口に向かう。

渡辺はカウンターの所で何かの手続き中だったので、ココネは他の旅行客に混じりそっとロビー内に侵入すると、渡辺の荷物の所に近づく。

そして、ジョイのぬいぐるみをそっと持ち去ろうとするが、紐が旅行バッグに結びつけてあることに気付き、やむなくバッグごと持ち去ろうとする。

その時、二階から下りて来た手下が、渡辺さん、バッグが!と呼びかけたので、渡辺は振り返って、ココネがバッグとジョイのぬいぐるみを持って空港の外へ逃げ出したことに気付く。

ココネはモリオに、先回りして!と呼びかけると、サイドカーの横を通過し、そのまま道路を渡って斜面を駆け下りて行く。

その後を、待て!森川ここね!何であいつがここに?と言いながら渡辺と手下が追って来るが、カーブを曲がってやって来たモリオのサイドカーが斜面を降りて来たココネの前に来て、さすが、オラジャンの娘!と声をかける。 ココネはサイドカーに飛び乗り逃げ去る。

渡辺は逃げられたと悟ると、出発は延期だ、あの子を捕まえるぞ!と手下に告げ、森川モータースに残して来たもう1人の手下に電話をする。

何故連絡しなかった!と聞くと、叱られると思って…と相手は返事して来たので、森川の娘がスマホを持っていると警察に知らせろ。犯人の娘が証拠を持って逃亡していると!と命じる。

そして、ココネのスマホのメールに残っていたモモタローと妻イクミと一緒に写っていた自分の写真を見ながら、そいつは悪い奴!か…と苦笑する。

この子、お母さんのじゃから…とココネはジョイのぬいぐるみのことをモリオに教える。

パトカーがサイドカーを追い抜いて行った後、モリオはサイドカーを近くの神社の前で停める。

ココネはモリオに、スマホ貸して、雉田さんに連絡してと頼むと、あっちが警察ならこっちも警察使うまでじゃないと言いながら、これでお父さんに連絡でんかな?と奪い返して来たタブレットの中味を覗く。

その間、モリオはサイドカーの装置を調べ、車のスキャナーリーダーを使うたのか…と感心していた。

雉田さんのメルアド知らんのか?などとココネがぼやいている時、何じゃこりゃ?とモリオがタブレットの中にあった見慣れぬアイコンを見つける。

どうやら車の改造などを仲間同士でやり取りするSNSのようだった。 このタイムラインに書き込んどきゃ見るのでは?とモリオが言うので、ココネはメールを取られましたと書いて送信する。

あいつら、何でこのタブレット狙いよったんやろ?とモリオが不思議がると、ココネも分からんと答える。

取調室にいたモモタローは、取り調べしていた刑事2人が部屋から出ると、又、携帯を取り出してメールを確認するが、すぐに刑事が戻って来て、なるほどねと言いながら携帯を奪い取ると、証拠のタブレットを持って娘さん逃げてるよと教える。

盗もうとしているのが志島なら、オリジナルを持っとらんから欲しがっとるんよとモモタローは答える。

荷物の中から「渡辺一郎」の名刺を見つけたモリオが、志島自動車の執行委員らしいぞと伝えても、志島自動車そのものをココネが知らないようだったので、日本でも屈指の自動車メーカーだぞと呆れて教えると、うちだって森川自動車じゃし、お母さんの旧姓も志島じゃと言う。

お母さん、何で死んだんだ?とモリオは質問するが、私、少し眠るわ…、お尻触ったらいけんよなどと言いながら、ココネはサイドカーに乗り込んで来る。

(夢)いつの間にかモリオもうたた寝していたのか、目覚めるとサイドカーに見慣れぬ少女が乗っているので、ココネ?と驚くと、何でモリオ?私はエンシェン、本当はココネ!と少女は答える。

そこに、お〜い、大事じゃ!とやって来たのは、雉田とモリオの父佐渡に似た若者だった。

親父!とモリオが驚くと、佐渡にそっくりのウッキー(声-高木渉)はぽかんとしているので、何な?息子の顔も忘れたんか?とモリオは呆れるが、ピーチがベワンに捕まってしまった!ここは俺たちに任せてピーチを助けに行ってくれ!とウッキーは言う。

モリオ、行こう!このまま夢の中でお父さんを助けたら、現実のお父さんも助かるかも!魔法が使える邦画便利やが!モリオ、飛ばせ!とエンシェンことココネは命じる。

ウッキーと雉田そっくりのタキージ(声-前野朋哉)が城の衛兵たちと海辺で戦っている隙にモリオがサイドカーを発進させると、サイドカーは空中に飛び上げる。

エンシェン!いっちょ頼むぞ!とウッキーとタキージが呼びかける中、エンシェンことココネは任せて!と答える。

空飛ぶサイドカーに戸惑いながら操縦していたモリオは、一体、どう言う原理なん?と不思議がると、お父さんが作った物語よとエンシェンが教えると、そう言えば、モモおじさん、姫キャラ使った物語してくれたな…と昔を思い出し、でもお前、すぐ寝とったが…とモリオは言う。

でもモリオ君は何でそのままなの?とエンシェンことココネが聞くと、モリオ君はこの物語に登場してないからとジョイ(声-釘宮理恵)が説明する。

それを聞いたエンシェンが夢ないじゃん…と落胆すると、諦めろ!俺、リアリストじゃからよとモリオは答える。

瀬戸大橋の上を飛んでいたモリオは、突然目の前に支柱が迫って来たので慌ててサイドカーを垂直に立て直す。

サイドカーは支柱を駆け上り、空中でロボットハーツに変身する。

危なかった〜!と胸をなで下ろしたモリオは、そうだ!その物語のタイトルは「エンシェンと魔法のタブレット」だった!と思い出す。

しかし、次の瞬間、モリオは燃料切れになったことに気付き慌てるが、サイドカーはそのまま墜落して行く。

(現実)目覚めたココネが、モリオ、ここどこなん?と聞くと、周囲を見回したモリオは、大阪の道頓堀だ!と気付く。

しかし、俺たち、高松におって、サイドカーで空飛んどった夢見とったんじゃが…とモリオが不思議がると、同じ夢見とったん!とココネも驚く。

自動運転装置?夜中中走っとったんか?モモおじさんの発明って大発明じゃったのかも…とサイドカーをチェックしながらモリオは驚く。

その時、ココネが橋の所から自分らの方を注視している警官に気付きモリオに知らせたので、すみません!夜中にガス欠になったんで!とモリオは大声で言い訳を言う。

お父さん、メッセージ、読んどらんのかな?と呟きながら、ココネはタブレットのSNSに、タブレットは渡してないから安心して、今、道頓堀の近くでガソリン入れていると落ち込む。

一方、モリオの方には父親の佐渡から電話が入り、怪しいもんが来とるんじゃ。そのヒゲの男はおじいさんに頼まれた言うとるが、何でも森川モータースのイクミさんのおじいさんは志島自動車の会長らしいんじゃ。

モモさんとイクミさんとの結婚は駆け落ちだったらしく、志島からデータを盗み出した言うとるんじゃ。わしらはモモさん信じてるが、それを証明するにはタブレットが必要なんじゃそうじゃ…と伝えて来る。

どうやら、渡辺が側にいるらしく、その電話を聞いたココネは、そんなら志島会長に直接会って説明するわと伝えると、会長は今でも森川を憎んでいるからなどと言って来る。

でもお父さんは元ヤンで筋と押す所あるから、私もそうする!とココネは答える。

それを聞いた渡辺は怒りだし、呼び戻せ!と命じるが、佐渡は、言う事聞かんもんと抵抗するので、これだから田舎もんは!と吐き捨て、渡辺は手下らとともに車で去って行く。

あのヒゲだけど、生理的に好きになれんのよなどとココネがぼやいている時、ガソリンスタンドの側でこちらを見ていた怪しげな2人組に気付いたモリオは、あれ、ヒゲの仲間じゃね?ココネ、すぐ寝ろ!魔法使えるだろう?と頼むが、今無理、起きたばかりじゃもの…と言うので、何だよ…、いつもはすぐ寝るくせに!とモリオは落胆する。

それでも、サイドカーの装置を設定すると、1人で家に戻ってろと言いスタートさせると、サイドカーは勝手に走り出したので、怪しげな動きをしていた2人組は慌てて後を追おうとする。 お父さんのバイクは?と聞いて来たココネに、大丈夫、俺を信じろ!とモリオは答える。

一方、バイクを見失った2人組は、お前、会社に連絡しろ!と狼狽しながら話し合う。

新大阪駅 モリオ、お金持っちょる?私、650円しかないんよと言うココネに、持ってないよ、昨日出がけだったし…とモリオが答えると、それでも大学生?どうやって東京に行くつもりやったん?とココネが言うので、お前のバイト代当てにしとった…とモリオは打ち明ける。

ココネはタブレットに、今、新大阪駅、お父さん、すぐ助けに行くからね。でもお金ない、新幹線に乗れない中…などと書いて送信する。

その時、突然、駅の係員のような女性が来て、新幹線のチケットをお預かりしていますと2枚差し出して来る。

驚きながらも、渡りに船とチケットを受け取ったココネは、これ、落とし物なんで警察に渡してくださいと、渡辺のバッグを係員に押し付けて行く。

新幹線に乗り込んだココネは、私、新幹線始めて!とはしゃぎ、これ、どうなっとるのかな?とモリオも首を傾げる。

おなか空いた!お弁当食べたい!とココネがタブレットに書き込んで送信すると、すぐに添乗員が、お代は頂いていますと言いながら2人分の弁当を持って来たので、現実でも魔法が使える!とココネは驚く。

自動販売機の所にいた若い刑事は、今から新幹線で東京へ向かいますと電話を受けた渡辺は、又、書き込みあったら知らせろと指示するが、連絡をした刑事は、あいつら、警察を施設の軍隊かなにかと思ってないか?と苦い顔になる。

行き先が変わったと手下に電話しながら、渡辺は自家用ジェットに乗り込む。

一方、渡辺の説明に疑問を感じ始めていた若い刑事は、森川は本当にデータを盗んだんですかね?とベテラン刑事に問いかける。

ココネの隣の席でVR装置を目にかけたモリオは、ココネのお母さんのお父さんは志島一心と言う人で、お母さんはカーネギーメロン大学をを卒業後、父の会長との確執が原因で退職となっとるよと、ネットで調べたことを教える。

確執と言えばモモおじさんとの結婚じゃないかな?とモリオが言うと、お母さん凄い人じゃね、お父さんとお母さん、どこで知り合うたんだろう?と言いながら、弁当を食べ終えたココネはまた眠り始める。

(夢)あの子の所へ向かって!とエンシェンは言い、鬼の前面に立っていたエンジンヘッドにピーチと乗り込む。

エンジンヘッド内の司令室に侵入したエンシェンは、艦長や乗組員に気付かれぬようエンジンヘッドの送受装置にタブレットを接続する。

そのエンジンヘッドの艦長は、鬼が現れても我々は正門を守ることと指示を受けているらしく、全くその場を動こうとはしなかった。

ハートランド王に魔法を認めてもらうチャンスだ!とピーチも言う中、巨神よ、自らの意志で鬼達と戦え!とエンシェンは呼びかけながらタブレットからの指示をエンジンヘッドに送信する。

すると突然エンジンヘッドが動き出してたので、何だ?何故勝手に足を動かした?と艦長は驚く。

司令室の中を見回した兵士は忍び込んでいたエンシェンらに気付き、魔法使いがいます!と艦長に告げ、捕まえようとするので、無礼だぞ!このエンシェン様は今でも列記としてお姫様なるぞ!とピーチが立ちはだかる。

それでも艦長はエンジンを切れ!と命じるが、エンジンヘッドは自らの意志で鬼を殴りつける。

我々はここを死守する!と艦長が叫び、エンジンヘッドを停止させようとする中、エンシェンは捕まえようとする兵士の手を逃れ、機体の外に出ると、手すりを上り、頭部の6つあるエンジンスイッチの所へ向かう。

ピーチも後を追って来る中、エンシェンは主導で電源スイッチを1つずつ復元して行く。

最後のスイッチに手をかけた時、倒れていた鬼がエンジンヘッドの足を掴んで引っ張ったので、頭部にいたエンシェンは6つ目のスイッチを入れたとたんに滑り落ちる。

ピーチ!エンシェン!頭部から落ちたエンシェンの持ったタブレットを握りしめてかろうじて支えたピーチだったが、次の瞬間、イクミの顔に変わったエンシェンは、ごめんね…、最後まで一緒にいられなくて…、困った時必ず戻って来る!だからそれまでココネをお願いね!と言い残し、イクミはタブレットから手を滑らせ地上に落下して行く。

(現実)新幹線の座席でココネは目覚める。

お母さん…、何で…?あのお話、ずっと私が主人公だと思うとった…と泣きながら呟くココネ。

自分の幼い頃を思い出すココネ。

(回想)心根一つで熱も下がる!と熱を出していた幼児時代のココネを抱きながら、タブレットに文字を書き込むモモタロー

(回想明け)お父さん…、お母さんのこと何も話してくれん思うとったけど、今まで一杯話してくれとったんやなと気付いたココネは、モリオ、今、どこ?と車窓から見える景色を見ながら尋ねる。

すでに新幹線は東京駅に到着する所だった。

ホームに降り、志島自動車本社までの美智をモリオが調べていた時、見知らぬ3人の男が立ちふさがったので、ヒゲの仲間か?ココネ逃げろ!とモリオは叫び、情けない猫パンチで3人に立ち向かおうとする。

すると3人の男の中の1人が、話を聞いてください、私どもは志島自動車から来たものです、あなた達を救うべくメールも読んでいました。

新幹線や弁当を手配したのも私たちですと言うので、あんた達に逐一読まれていた訳かと気付いたモリオは、でも何故?と聞く。

タブレットを渡辺に渡したくないからです。渡辺が欲しがっているのは、志島イクミさんが作った自動車制御のオリジナルプログラムなんですと志島の会社の男は言う。

一方、ホームから1人で逃げ出し1人で志島自動車本社に到着していたココネは、1階ロビーに飾られていた巨大なバルーン人形の上に「心根ひとつで人は空を飛べる」と書かれた横断幕がかけてあったので、うちの標語と一緒…と驚く。

一足先に会社に戻り志島会長に会っていた渡辺は、オリンピックの開会式で自動操縦が失敗したら世界に恥をさらしますと進言していた。 しかし志島会長(声-高橋英樹)は、結論は出た。時間を無駄にするな!オリジナルコードは手に入ったか?と聞く。

デモカーが巧くいかなかったら?と渡辺が聞くと、死んだ娘への贖罪ですと志島は答える。

後は俺たちの時代です、そのためにもオリンピックは成功させなければとと渡辺は言う。

ココネは受付で、会長に会いたいんです、私は孫なんですと言うと、受付嬢は怪訝そうな顔で、冗談を言うもんじゃないわ、会長はずっと昔にお嬢さんを亡くしたのよと注意する。

仕方なく外へ出たココネは、そこにいた老人に気付くと、あの人!と言いながら近づき、あの…、お茶、飲みません?と声をかける。

こんな天気の良い日に1人かね?と志島が聞くと、お目当ての人にアイなくて途方に暮れていた所なんですとココネは意味有りげに答える。

しかし、目の前にいるのが自分の孫とは気付いていない志島は、さっさと次の目的地を決めた方が良いぞ、人生は短いぞと言うので、おじいさんはいつそう思うたん?私にはまだ長いような気がするんですけど?とココネは聞く。

すると志島は、親不孝の娘が天国に旅立った時からじゃよと言うので、その人、どんな人じゃったん?と聞くと、女だてらに私を継ぐと言ってアメリカの大学を卒業したなかなか優秀な娘じゃった…と志島は昔を思い出すように言う。

(回想)志島自動車の会議の席、志島は娘イクミが提案した自動操縦技術に付いて、車はドライバーが自ら運転することに意味があるんだ、自動運転なんて誰が!ハード屋がソフト屋に従うなど車屋の終焉だ!と頭から否定する。

その言葉を聞いたイクミは、この会社にはプランとビジネスがない。

あるのは足の引っ張り合いと昔の思い出ばかり…、会長、私なら、ここ社訓、1文字変えるけどな…と言い残し、部屋を出て行く。

(現実と夢の間)だからこそ今、あの鬼をこの手で倒さねばならんのだ!と言う志島会長は、いつの間にかハートランドの王様になっていた。

兵士達と去って行った志島を見送ったココネに、おじいちゃん行っちゃったよ、ヒヤヒヤしたよ、いつ自分を孫と言うかと!と物陰に隠れていた渡辺が顔を出して話しかけて来たので、ココネは、ヒゲ!と驚く。

おじいちゃんは私のことを知らなかった!と言うココネに、お前の父は愚直で、国王との約束を守って連絡しなかった。

まんまとこちらの嘘に引っかかってくれたがね…、もっと早く魔法の力を信じていれば…と苦笑する渡辺。

警視庁に志島の社員達とやって来たモリオは、まずいぞ、ココネさん、連れて行かれたらしいぞ…と焦っていたが、そこに刑事2人に連れられたモモタローが姿を見せたので、おじさん!ココネがピンチなんだ!と声をかける。

志島の社員達の話で警察から解放され、モリオとともに社員の運転する車で志島自動車本社に向かう途中、オリンピックのデモカーが動かないからイクミのデータを欲しがった訳か…と、志島の社員からこれまでのいきさつを聞いたモモタローは、やっぱ…俺には関係ねえな…と興味なさそうに呟く。

でも、オリジナルコードを1人占めしてるんじゃ、渡辺とやってることは同じじゃないですかね?と反論されてしまう。

(現実と夢の間)工場内で、どうやってハートランドを自分のものにする?とココネから聞かれたベワンは、エンジンヘッドが全て破壊されなくなったら、これが国民最後の希望になるはずだ!と叫ぶ。

そこには、ベワンが用意していた秘密のエンジンヘッドが出現する。

これさえあれば俺が国王だ!俺が恐れていたのは魔法が使えるエンジンだ!と言いながら、いつの間にかココネから取り上げていたタブレットを差し出すと、工場の立っていた場所からから落とす。

しかし、間一髪、壁面の途中の出っ張り部分に飛び降りたココネがそのタブレットを掴み、セーフ!と安堵する。 それを見たベワンは、信じられん!どう言う育て方してるんだ!と癇癪を起こす。

そこに国王がやって来たので、ジョイが手を振る。 このエンジンヘッドは何だ?と国王が聞くので、万一のために用意しておきましたとベワンは答える。

その時、工場に振動が響き、出っ張り部分にへばりついていたココネは落ちそうになる。

(現実と夢の間)志島自動車本部にやって来たモモタローは、ロビー内が人でごった返していたので、一体何の騒ぎだ?と尋ねると、30階で女の子が大変なことになっているんだ!と言うではないか。

本社の外では巨大な鬼が出現して暴れていたので、何なら、こりゃ!ココネの奴、また寝たのか?と呆れる。

モリオ!エンジンヘッドを動かすぞ!モリオ、それ貸せ!ココネを助けるためだ!とモモタローが言う。

この者を捕まえろ!と王様は兵士に命じ、ベワンを捕まえさせる。 あのぬいぐるみは、わしがイクミに贈ったものだ!と王は言う。

この際、私を王に!とベワンは願い出るが、無事鬼からこの国を守ったら、話だけは聞いてやる!と国王は答える。

一方、心根一つで空だって飛べるんじゃ!と言いながらピーチはベワンが用意していたエンジンヘッドの中に入り込む。

その時、工場の側壁を破り鬼が入って来る。 出っ張りにかろうじて片手でぶら下がっていたココネだったが、振動で滑り落ちてしまう。

その時、落下するココネを右手で受け止めたのは、ピーチが自転車のような操縦装置を漕いでいたエンジンヘッドだった。

ピーチはエンジンヘッドの左手1本で外に鬼を押し出すと、右手で守っていたココネを地上に降ろす。

ココネ、すまんかったの!危ない目に遭わせて…と詫びながら、ピーチは必死で操縦装置のペダルを踏んでいた。

あれは!誰だ!動かしとるのは?と国王が驚くので、あれに乗っ取るのはお父さんよねとココネが良い、外に出て鬼との戦いを見上げたモリオは、モモおじさん、マジ、喧嘩強い!と大喜びする。

兵士達に囲まれていたベワンは、そっと自分用のスマホを取り出し、あれはわしのエンジンヘッドだと呟きながらタッチする。

その時、それに気付いた兵士が、こいつ、呪いの魔法を!とベワンを取り押さえるが、時既に遅く、スマホから流れ出た緑色の光が巨大な鬼に入り込む。

次の瞬間、エンジンヘッドは鬼を粉砕するが、消滅したと思った鬼は白い霧のようになって東京の町に広がって行く。

逆にエンジンヘッドは足下から燃え始め、霧に被われた東京の町も次々に炎上しだす。

炎の煤がカラスのように無数に上空を舞い始める。

どう言うこと?と地上でその様子を見ていたココネが驚く。

燃えろ!私の思い通りにならないものなど!とベワンが叫ぶ。 お父さん!とココネが近づこうとすると、ココネ!とモリオも守ろうとして後を追う。

操縦装置から滑り落ちかけたピーチは、パスワードが必要だ、ココネ!魔法の呪文だ!と呼びかけ、もう一度操縦席に這い上がりペダルを漕ぎ始める。

どうする言うん?とココネは戸惑うが、その時、ジョイが、ココネ!タブレット!と教える。

そうか!心根一つで空を飛べるんだ! エンジンヘッド!お父さんとお母さんの思いを乗せてハートランドを救え!送信!とタブレットに打ち込む。

溶岩に包まれて身動きできなくなっていたエンジンヘッドがへばりついていた溶岩をはね飛ばし立ち上がる。

飛べ!エンジンヘッド!と叫ぶと、エンジンヘッドに光の翼が出現し、大空に舞い上がって行く。

そのエンジンヘッドを追うように、破壊された東京の町の高速道路を追って走るココネとモリオ。

エンジンヘッドは成層圏を突抜宇宙空間まで上ると、東京を被っていた煤のようなものも一緒にまとわりついて来る。

するとエンジンヘッドの亥光の翼が消え、ペダルを漕いで操縦していたピーチの身体も無重力空間に浮き上げる。

それを感じたモリオは、ん?何か変だぞ?モモおじさん、自力で戻って来れないのかもと気付く。

その時、モリオとココネの背後にやって来たのは自動操縦のサイドカーだった。

ハーツ!どうしてここに?とココネは驚き、家に戻るように設定したはずなんじゃけどな…とモリオも戸惑う。

ハーツに乗り込んだココネは、ありがとう、モリオ!と感謝すると、ハーツに翼が生え、空中に飛び立って行く。

一方、翼を失ったエンジンヘッドが地上に落下し始める。

その時、手を伸ばし志島自動車の4階から落下しかけていたココネを掴んだのはモモタローだった。

あれ?私がお父さんを助けに行きよったはずなのに、何でお父さんに助けられよるん?と吹き抜けの空中に片手一つでぶら下がったココネは戸惑う。

ごめんね…、最後まで一緒にいられなくて…、困った時必ず戻って来る!だからそれまでココネをお願いね!と言うイクミの声が聞こえて来る。

そんとき、1階ホールにサイドカーが何かの綱を引きずりながら入って来る。

何でハーツが?と驚いていたモリオだったが、綱の先にあったものが巨大なバルーン人形と知ると、そうか!と気づき、自ら、バルーン人形の綱を引き、ホール中央部へ引っ張り始める。

他の社員達も一緒に綱を引く。 ココネ!飛べ!とモモタローが声をかけ、2人共空中に落ちて行く。

その時、サイドカーハーツが、バルーン人形の斜面を駆け上って行く。

周囲にいたマスコミ取材陣がどっと中央部に駆け寄って来る。 志島会長も驚いたように近づいて来る。

しぼんだバルーンの中央部には、ココネを乗せたサイドカーハーツと、側にはモモタローがいた。

何だ?君は…と取材班が聞くと、モリオ、どうなっとるん?これは…とココネも戸惑いながら周囲を見渡す。

志島はそんなココネに近づき、自動操縦自動車を完成させていたのか…と呟き、君は?とココネに聞く。

森川ココネ、心に羽根って書きますとココネが答えると、心根?そうか!と志島は気付く。

その時、ココネは、人ごみの背後に去りかけていた父モモタローを見つけ、人形から降りると、モモタローを志島の元へ手を引いて戻って来る。

森川モータースの家のTVでは東京オリンピックの閉会式も終り、完全自動運転車も大きな事故もなく巧くいったと伝えるニュースが流れていた。

盆の送り火をしていたココネは、仏壇の飾り物が、キュウリの午からナスを使った牛の人形に変わっていたのでモモタローに理由を聞くと、牛は足が遅いから、母さんがすぐに帰ってしまわんようにな…、良う知らんけどな…とモモタローは答える。

モリオの奴どうした?とモモタローの聞かれたココネは、大学のゼミがあるからって東京へ戻ったみたい…とココネは教える。

そんな2人に近づいて来たのは浴衣姿の志島会長で、所で例の話はどうする?と聞くと、人には分相応と言うのがありますから、俺はこっちでコツコツやろうと思ってますとモモタローは答える。

ココネはどうする?東京で受験の準備をするか?と聞かれたココネは、ちょっと行ってみたいと言い、モモタローも、わしは構わんでと言うので、大学へ行くと言う目的も出来たし、ちょくちょく東京に来る!宜しく、おじいちゃん、お父さん!とココネは答え、その後、3人でスイカを食べる。

エンドロール

(デイ・ドリーム・ビリーバーの歌)

森川モータースで浮上式バイクの研究をしていた若き日のモモタローと出会うイクミの姿。

工場に居着くことにしたイクミはパソコンを駆使して自分の研究を始める。

やがて、ココネが生まれ、志島から贈られたジョイの人形と一緒に抱くイクミ。

サイドカーに乗って教会の側に来る桃太郎とイクミ。

2人は教会で結婚式を挙げキスを交わす。

サイドカーの中で目覚めた今のココネは、父親モモタローの方を見て微笑む。
 


 

 

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