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小さき勇者たち ~ガメラ~

アバンタイトルで、何とも後味の悪いシーンがある。

それは、明らかに、本作と、金子監督による三部作の最終作「ガメラ3 邪神<イリス>降臨」(1999)を、どこかで関連づけようとしたためであるように見える。

実は、林家しん平監督によるアマチュア続編映画「駕瞑羅四」にも、同じようなシーンがある。

これは、一見、未完の形で終わっているように見えながら、その実、しっかり完結していた(その続きは、観る人、個々のイマジネーションに委ねられていたはずの)「ガメラ3」の続きを、あえて観たいと言う、一部の不粋な人たちに対するエクスキューズであり、いわば、蛇足のようなシーンなのだが、本作では、それをあっさり短時間で処理して、一つの世界観の終結を表現しながら、一方で、新しい世界の価値観を提示するための布石として描くという、ダブルミーニングになっている。

「憎しみと諍いの連続で先が見えなくなっていた時代」をアバンタイトルシーンに象徴させ、何とか、それを変えてみようと言う「再生」へのメッセージが込めた本編を、より際立たせようとする構成になっているのだ。

これは、現代社会の渾沌とした闇の部分を怪獣映画の形で再現しようとして、何となく袋小路に入り込んでしまった観のある前作の時代の後、「9.11テロ」が起こった事に無関係ではあるまい。

ただし、この新作、基本的には、前三部作とは全く関係ない。

何しろ、前三部作では「亀」と言うものが存在しないという約束事の中の世界だったのに対し、今回の作品では、ちゃんと「亀」はいる事になっているのだから。

しかし、一方で、ガメラや巨大怪獣が、過去、出現した事がある、どこかで旧ガメラシリーズとリンクした空想世界である事も事実。 物語の発想そのものは、「謎の生物と少年たちの触れ合い」という、良くある「動物感動ものの」パターンそのもの。

主人公の子供も、心に寂しさを抱えている良くあるパターン、隣に住む少女を巡るエピソードも、これ又、良くあるパターンというしかない。

こうした「良くあるパターン」を下手に料理してしまうと、普通、大人が子供に媚びたような、陳腐で、あざとい展開になってしまいがちである。

例えて言えば、「REX 恐竜物語」みたいになっていた可能性もあるのだ。

ところが、本作では、地方のどこかノスタルジックで美しい情景や、大人たちのさり気ない日々の暮らしを背景に、ゆるやかに丁寧に子供の心情が積み重ねられて行くだけでなく、怪獣出現に関する描写もそれなりにリアルに平行して描かれているので、自然に、観ている方も、子供達の気持ちと同じ目線で、怪獣がいる不可思議世界を体験して行く事になる。

※追記:「小さき勇者たち~ガメラ~」鑑賞会と高寺成紀さんトークショーを観て。

「小さき勇者たち~ガメラ~」のベースに「子鹿物語」があったらしき話は初耳だった。

結局、トトガメラは「子鹿物語」になれなかったように感じた。

「子鹿物語」は、子鹿をペットとして買うことを許された少年が、いつしか成長した子鹿は人間の作った大切な作物を食い荒らす害獣になったことを知り悲劇を迎えることで大人に成長すると言うようなお話。

トトは人間のために敵怪獣を倒してくれるガメラに成長するんだけど、ガメラは人間にとって「益獣」にはなりえない。

「ガメラ3」でも描かれているように、戦って街を壊したり人を犠牲にするガメラも又「害獣」でしかない。

でもガメラは主役キャラでもあるので「人間が殺しちゃまずい存在」のため、「子鹿物語」のパターンに出来なかったのが「小さき勇者たち」

では、あえて「子鹿物語」のパターンにしたらヒットしていたかと言うと、それはそれで時代背景もあり、ヒットはしなかったと思う

その話の流れから、新作ガメラの可能性に付いても個人的な意見を高寺さんは語っておられましたが、その分析は正しいと感じた。

「シン・ゴジラ」が当たったから、次は「ガメラ」だ!みたいなノリで作っても、まず当たらないだろう。

「シン・ゴジラ」のヒットは庵野さん個人が好き勝手に出来たことから起きた奇跡的な現象であって、決して「怪獣ブーム」とか「ゴジラブーム」が再燃した訳ではない。

かつて、高寺さんご本人が新作ガメラを模索していた時期のアイデアもちらり漏らしておられましたが、それが実現していたとしてもヒットはしないような気がする。

さらに高寺さんは「ホシノ君問題」と言っておられましたが、怪獣ドラマに子供が登場することへの是非論は昔からあった訳で、子供向けにしようと言う大人側の思惑とは違い、見ている子供の方は必ずしもそれを喜んでいた訳ではなく、むしろうざがったりする。

田崎竜太監督もその辺を気にしておられたそうですが、結果は予想通り、子供にも大人のマニアにも歓迎されない不幸な興行結果になってしまった。

今回改めて「小さき勇者たち ~ガメラ~」を見て感じたのは、前半が牧歌的過ぎて怪獣映画らしさがなく、唐突に出現するジーダスの説明などもなさすぎ。 どう言う経緯でジーダスが誕生し、どう言う怪獣なのかなど一切分からないまま。

武器と言えばバルゴンのように伸びる舌だけで、特に斬新さもなく、敵として魅力不足な印象。

子供向けを意識してデイシーン(昼間のシーン)を多くしていることも、結果的に怪獣映画に付き物の不気味さなどダークな魅力を出し切れなかったような気がする。

やははりどうしても気になるのは「自爆するガメラ」と言う設定で、「命の尊さ」「生きることの大切さ」を子供に伝えようとする意図は分かっても、正義の味方のヒーローが自分の命を犠牲にして人間を助けるなんて哀し過ぎると思う。

怪獣が何故そんなにまでして人間を助けようとするのかの説明も何もないし…

今回の久々の鑑賞では、主役の父親役の津田寛治さんだけではなく、「シン・ゴジラ」役者の渡辺哲さんもジーダスに襲撃され漂流している船員役で登場していたのに気付いた。

予断だが、テスト段階ではトトの眼球の白目の部分は「緑色」だったことも知った。

当日参加されていた当時の造形スタッフさんのお話では、やはり白目を緑にすると、目(の動き)が分かりにくいため却下されたらしい。

改めて感じたことは、ジーダス、トトともに怪獣として魅力不足で、特に可愛らしさを強調しようとしたらしきトトは、怪獣としてはかっこわる過ぎ、どの世代の支持も受けられなかったのではないかと言う気がする。

大人はまだ、子供向けだから…と言う好意的な解釈で見るので多少の粗は目をつぶるが、子供は正直なので、かっこわるいガメラに夢中になるとは到底思えない。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2006年、「小さき勇者たち~ガメラ~」製作委員会、龍居由佳里脚本、田崎竜太監督作品。

1972年 伊勢志摩 夜、島の小屋が焼ける中、ガメラがギャオスと戦っているのを、対岸から少年だった相沢孝介は見守っていた。

オスの群れを全滅させる。

ガメラの死を目撃した見物人たちは、ガメラが人間のために自爆した!俺たち助かったんだ!と驚いたように騒いでいる中、少年孝介はじっとガメラがいた島の方向を見つめていた。

33年後、大人になった相沢孝介(津田寛治)も、じっとかつてガメラが自爆した島の方を見つめていたが、その背後には花束を持った息子の相沢透(富岡涼)が退屈そうにしていた。

お父さん!と透が焦れたように話しかけて来たので、行こうか?と孝介は我に返り、近くにあった妻の墓参りに向かう。

何だか足が進まないような透に、一緒にお参りしよう、今日から店開けますって…、その方が母さんも喜ぶから、母さん、ちゃんと空の上から見ていてくれるから…と孝介が話しかけると、良いよ、そう云うの…と透は無関心そうに答える。

母さんは交通事故で死んだ…、今空にいるのではなく、小さな骨になってこの下にいる…と、墓の前に佇んだ透は考えていた。

母さんがいない初めての夏休みが来た…

タイトル

墓参りの帰り、透は海の向こうに浮かぶ小島でオレンジ色の光が輝いているのに気付く。

どうした?と立ち止まった透に気付いた孝介が声をかけて来たので、別に…と透は答える。

「あいざわ食堂」には、隣の西尾真珠店の主人西尾治(寺島進)も来ている中、孝介は厨房で1人中華鍋を振って働いていた。

テレビでは、古代生物審議委員とか33年以来の巨大生物協議会…と言ったニュースが流れていたが、やがて「第三しきしま」が沖縄近海で行方不明になったと言うニュースに変わる。

海辺で友達のイシマルこと石田勝(石川眞吾)とその弟石田克也(成田翔吾)とふざけ合っていた透だったが、パンツを脱がされそうになると急に怒り出して帰りかけたかに見えたので、兄弟はごめん!と謝るが、急に振り返った透は、本当に怒ったと思った!と急に笑顔になると、今度は自分の方から相手のパンツを降ろそうと飛びついて行く。

夜、自宅の食堂のカウンターで夕食を食べていた透は、母親が描いたイラスト付きのメニュー表をいじっていたが、トト!と自分のあだ名を呼びかける母親美由紀(小林恵)の声を聞いたように思い振り返る。

そこには笑顔で食堂で働いていた亡き母親の姿が見えたが、次の瞬間、隣に座っていた客がコップのビールをひっくり返したので、急に現実に戻る。

二階の部屋に戻った透は、隣の窓から西沢麻衣(夏帆)が透、いる?と声をかけて来たのでつまらなそうに返事をするが、麻衣が出たばかりの「ケロロ軍曹」の13刊を差し出したので、貸せよ、麻衣などと上から目線で声をかける。

すると麻衣はああそう云う態度取る?と憮然とし、カーテンを閉めてしまったので、慌てて透が低姿勢で再び頼むと、良いだろうとカーテンを開け、麻衣は威張ったように答える。

下の食堂では、西沢が母を亡くした透のことを案じていた。

孝介も、あいつ美由紀と良く話していたからな…、美由紀の方も透、べた惚れだったからなと応じると、トト、トト!って犬みたいに可愛がってたもんなと生前の美由紀のことを西沢は思い出す。

麻衣ちゃんどうした?と孝介が聞くと、来週に決まったよ…と西沢は答える。

翌日、透は、又海に浮かぶ小島でオレンジ色に光るものを見つけたので、思い切って島に行ってみると、赤い結晶体のようなものの上に乗った白い卵を見つける。

ボールのように丸い卵を手に取った透は、その殻が割れ、中から小さな亀が顔を出したので驚く。

亀の腹の部分には奇妙な文様が付いていたので、この模様、かっこ良いじゃん!と気に入る。

隣の西尾真珠の店先に回覧板を持って来た孝介は、店に目玉商品として飾ってあった緋色真珠を西尾が加工しようとしていたので驚くと、これ売るの止めたんだ。ガメラが人間を守ってくれた年に出来た真珠なんだ。

その幸運を麻衣に渡そうと思う、簡単な手術だそうだけど、何せ心臓だからな…と答える。

そこに西尾の妻の晴美(奥貫薫)が外出先から帰って来て、お守りなんかなくたって、彼女は楽勝、楽勝と自らに言い聞かせるように笑顔で言う。

その頃、透は二階の自室で、島から持ち帰って来た大きな赤い好物と、亀を相手に遊んでいた。

生まれたばかりの亀はまだ歩き方がおぼつかないので、もっとトトトトトッ!って行けない訳?と透はじれったさそうに亀に話しかけているうちに、お前の名前はトトな!と思いつく。

名前に恥じないように成長しろと透は小さな亀に語りかける。

うち、食堂だから、ペット禁止なんだ。絶対この部屋から出るなよ!…と言っても分からないか…、ま、良いか…と透は言い、トトを可愛がる。

翌朝、目覚めた透は、トトが急激に成長していることに驚くが、そこに、透!起きろ!下で飯を食え!その間に掃除するからと、孝介が掃除機を持って上がって来たので、慌ててトトをベッドの毛布の下に隠した透は、部屋は自分で掃除するから、それは自分への宿題なんだと言うと、良い宿題だなと感心した孝介が、ベッドの毛布を取り上げたので、透はトトを探そうと焦る。

気付くと、トトは窓の外に浮遊しており、たまたま隣の家の窓のカーテンを開けた麻衣がそれを見て悲鳴を上げたので、孝介は何事かと振り向く。

麻衣ちゃん、どうした?と孝介が聞くが、その背後で透が黙ってて!と言うように口に指を当てたので、麻衣は何でもありませんとごまかす。 その間、浮かんでいたトトは、巧みに移動して室内に入り込んだので、孝介は気付かないままだった。 孝介が下に降りた後、どうすんの、これ?と麻衣がトトのことを聞いて来る。 その後、透は海岸にトトを捨てに行き、お前ヤバ過ぎだから…と説明する。

しかし、透が家に帰ろうとすると、トトも後を追いかけて来るので、透は途中の物陰に隠れてやり過ごそうとする。

すると、トトの背後から軽トラが近づいて来て轢かれそうになったので、思わず飛び出した透は間一髪トトを救出し、運転手から、バカ!何してるんだ!怒鳴られる。

透はトトに、轢かれちゃったらどうするんだ!死んじゃうんだよ…、お前、こう云う時に飛べよなと愚痴ってみせる。

その後、透はスケボーで遊んでいた石田兄弟に会うと、カメ好き?部屋に隠しているんだと打ち明ける。

ところが、そのトトの方は、勝手に二階の部屋から抜け出し、階段を転がり落ち、仕事中だった孝介の厨房に近づいていた。

そんなことも知らず、透たちはローラースケートに遊び興じていた。

空中に浮かんでいたトトは、孝介が振り上げたオタマにぶつかり、危うく熱せられた中華鍋に落ちそうになったり、床に嫡子すると、包丁が落ちて来て目の前に突き刺さったりする。

それを見たトトは、炎を吹き出す。 遊び終えた透は、イシマル!亀、見に家来る?と誘う。

その頃、西尾真珠店に帰って来た麻衣は、あいざわ食堂の二階の透の部屋が騒がしいことに気付く。

遊びに来ていたイシマルと克也は、空中に浮かぶトトを見て驚いていた。 隣の窓を開け、顔を出した麻衣が、透!何でいるのよ?捨てて来たんじゃないの?と声を掛けると、なれて来ると可愛いもんだよなどと透はとぼける。

そんな中、海に漂っている「海洋丸」と書かれた浮き輪にしがみついていた船員(渡辺哲)は、何かから泳いで逃げようとしていたが、海中に引き込まれたかと思うと、海中から大量の血が浮かんで来る。

霞ヶ関 水産次官一ツ木義光(田口トモロヲ)の元へやって来た戸畑裕二秘書(正名僕蔵)が、雨宮教授からこれが…とレポートを渡そうとすると、巨大生物審議会はもう解散したんだ!そう先生にお伝えしろ!と一ツ木は不機嫌そうに叱りつける。

外で透と会っていた麻衣は、33年前に出現した「ガメラ」の資料を見せていた。 トトがこの怪獣?ないない!火だって吹かないし…と透は笑って否定するが、その内ビュンビュン飛ぶようになるし、火も吹くようになるのよ!と麻衣は説得しようとする。

しかし透は、トラックに轢かれかけたのをつけたんだ!友達なんだ!と言うだけで麻衣の言葉を信じようとしないので、何かあったらすぐにすらせに来るのよと麻衣は忠告する。

しかし透は、ないない、変わったことなんかと苦笑するが、翌朝、自室で目覚めると、トトは予想以上に大きくなっていた。

連絡を受けた麻衣と透が、孝介に気付かれないようにトトを外へ運び出していると、話を聞きつけた石田兄弟も駆けつけて来て、スケボーの上にトトを乗せて、とりあえず人目につかない小屋の中に運び込む。

凄い!急に大きくなったんだとイシマルと克也は驚くが、きっとこれ以上は大きくならない!違うよ、トトはガメラなんかじゃない!と透は麻衣に意地を張り通す。

怪獣なんかじゃない!だって怪獣は戦って死ぬんでしょう?と透が言うので、今度何かあったら、助けてあげられないかもしれないよと麻衣は哀しげに教える。

西尾真珠店では、晴美が帰宅して来た麻衣を捕まえ、昨日どこに行っていたのか問いつめていた。

ちょっと散歩してたのよと麻衣が答えると、明日手術よと晴美が案じたので、だから景色観に行くの、もう観れなくなるかもしれないじゃない!と麻衣が言うので、そんなこと言うと母さん怒るぞ!と晴美は怒り出し、西尾も近づいて来て、麻衣にはちゃんとお父さんとお母さんが付いているからと優しく言い聞かせながら、緋色真珠で作ったネックレスを手渡す。

そんな店の様子を、少し離れた所から透は見守っていた。

透のお母さん、どこにいるんだろうな?なあ、あの赤い石だけどさ…と、その後、麻衣と又外であった透が「ケロロ軍曹」を返しながら言うと、で、トト、大丈夫?と麻衣は聞いて来る。

後さ…、これ!と良いながら透は赤い結晶体を麻衣に渡し、お守り、病気のと…と伝えたので、知ってたの?ありがとうと麻衣は驚きながらも感謝する。

トトの卵の下にあったんだと透は教える。

トトのお守りなんじゃ?と麻衣は気にするが、トトに言っといて、ちゃんと良くなるって、そしてトトに返さないとねと言い残し家に戻りかけるが、でも心配だな…、あのトトとそのトトが…と透を見ながら言うので、大丈夫!最強のととコンビですから!と透は笑って答える。

その頃、海上保安庁のヘリコプターが海面に浮遊していた救命胴衣を発見、捜査を開始していた。

海岸の岩の上に来ていた透は、なあトト、お前ガメラなのか?な訳ないよな…、どうしたトト?何見てるんだ?と海の方を見つめているトトに聞いていた。 翌日、麻衣は、名古屋中央病院に入院する。

一方、雨になった伊勢志摩では、透がいなくなったトトを探しまわっていた。

イシマルと哲治も一緒に探していたが、トトは見つからなかった。

昨日鍵、ちゃんとかけたよな?誰かに見つかっちゃったのかな?とイシマルは聞くが、閉めたけど、トト、俺のこと、もう見てくれなかったんだと透は嘆く。

その夜透は、トトと過ごしたこれまでのことを夢に見る。

孝介も、透の異変を察して、下から二階を案じていた。

翌日、イシマルは、誰かに見つかったら少しは騒ぎになると透を慰めていたが、その時、急にサイレンが鳴り響いたので、トトか!と3人は周囲を見渡す。

すると、海沿いの住宅の方で土煙が舞い上がっていたので、何だ、これ?まさか!と3人は焦る。

そこに孝介が駆けつけて来たので、何かあったの?と透が聞くと、分からん、学校へ逃げろと言ってると孝介は答える。

そんな透たちの方へ近所の住民が逃げて来るが、その中に克也も混じっていたが、途中で転んでしまう。

それに気付いた透は、克也!と叫ぶが、そこに近づいた巨大な怪獣が逃げていた住民を食い始めたので、観るな!と孝介は注意する。

克也は瓦礫の隙間に入っていたため、何とか難を免れるが、それに気付いた孝介は、透たちをその場に残し、克也を助けに向かうと、抱き上げ、透たちの元へ戻って来る。

お父さん!と透は叫ぶが、その時、迫って来た怪獣にぶつかって来た別の怪獣がいた。

それを見た孝介は、ガメラ!と驚く。

怪獣の足に食らいついていたのは巨大なカメだった。

その腹の文様に気付いた透は、トト!と気付く。

イシマルも本当だ!トトだ!と叫ぶ。

戸畑秘書は一ツ木参事官に、二匹の怪獣が出現したが、1匹の方は33年前のガメラとは違い体長8m、飛行も火球攻撃もまだ観られませんと報告する。

それを聞いた一ツ木参事官は、雨宮教授と連絡付いてないのか!と叱りつける。

ガメラと新怪獣は橋の所へやって来るが、それを追って来た透を孝介が、何やってるんだ!と引き戻そうとする。 だってトトが!と透は抵抗する。

その時、橋桁に昇った新怪獣は口から長い紫色の舌を出す。

橋の通路部分にいて身体を貫かれたトトだったが、その舌が引っ込むのに掴まり新怪獣の顔の近くまで持ち上がった瞬間炎を発射する。

新怪獣は橋桁から海に落下する。

そこに自衛隊員たちが駆けつけて来る。 その頃、入院していた麻衣は、透からもらった赤い結晶体を持っていたが、急にその赤い石が光り出したことに気づく。

そこに看護婦が、西尾さん、行きましょうねと声をかけに来たので、両親が身の回りの準備を始める。 麻衣は、父からもらったネックレスと赤い拮据謡を病室に残して手術室へ向かう。

トトが名古屋に運ばれるんだって!とイシマルが透に教えに来たので、透は歩道橋へ向かう。

すると、眠ったようなトトを荷台に乗せたトラックがパトカーに先導され移動していたので、透は歩道橋の上から見守る。

トトの首筋には、怪獣の舌で傷つけられた緑色の痕が痛々しく残っていた。

堪らなくなった透は、トト!と叫びながら歩道橋を降り、トラックに追いつこうとするが、その時、荷台の上のトトの目が開き、透の方を見たように感じた。

新たに出現した怪獣はジーダスと呼ぶことにしたと言うニュースが流れる避難所に透とともにやって来た孝介は、トトって、俺が昔見たガメラのことか?もっと大きかったんだが…、透とトトのこと、父さんに話してくれないか?と話しかける。

名古屋理科大学 傷ついたトトの身体が安置されていた。

雨宮宗一郎教授(石丸謙二郎)はやって来た一ツ木参事官に、緋色真珠から抽出したガメラのエネルギーですと説明し、人間の味をしめたジーダスは又来ます。

それまでにガメラを成長させないと大変なことになると雨宮教授は言う。

避難所でこれまでのことを話終えた透は、どうしたらトトを戦わせずにすむの?と聞いていた。

卵から孵したのなら可愛いだろう?お前のトトも父さんが昔見たガメラも、何故か人間を守ってくれる。 自爆までして父さんを守ってくれたんだ。

でもデカく鳴ったトトはお前の知っているトトじゃない、ガメラなんだよ!と諭していたとき。

西尾晴美からの電話が入る。

違うよ、トトはトトだよ!と透は抵抗するが、席を外して電話に出た孝介は、戻って来て、麻衣ちゃんの手術成功したそうだと伝えると同時に、おばちゃんがお前に電話だってと良いながら携帯を渡す。

大変だったね?と電話に出た透をねぎらった晴美は、麻衣がね、半分寝ているみたいなものなんだけど、トトに赤いお守りを…って何度も言うのと言って来る。

それを聞いた透は、何を言ってるか分かるから、ありがとうと礼を言う。

翌日、透、イシマル、克也の3人は電車に乗って名古屋に向かうことにする。

トトにはきっとあの赤い石が必要なんだ…、それを知っているのは俺たちだけ!ちゃんと届けてやらないと…と決意した透は、まだ幼い克也にも、本当に行くのか?と確認する。

克也は、うん、トトの友達だものと答える。

電車に乗り込んだ透は、トトのことを思うと、不思議に怖く感じなかった…、母さんもこんな感じだったのかな?今は母さんは空の上から見守ってくれるように思うと心で考えていた。

一方、避難所では、透がいなくなったことに孝介が気付いていた。

名古屋駅に到着した透たちは、麻衣が入院している病院へ向かっていた。

名古屋理科大学にいた一ツ木参事官は、先生、まだ変化ありませんか?と聞いていたが、一向にガメラの大きさに変化が亡いことを知った雨宮教授は、体力が落ち過ぎているのかもしれないと案じる。

その頃、ジーダスは海の中から名古屋に接近していた。

それを察知したのか、今まで眠っていたトトが目覚め、縛り付けられていたロープを持ち上げ立ち上がろうとする。

次の瞬間、大学の研究スペースの壁面をジーダスが破壊して来る。

それを知った雨宮教授は、まだ無理だ!と叫ぶ。

雨宮教授とともに車で避難しようと一ツ木参事官が乗り込んだ瞬間、ジーダスが破壊した瓦礫の一つが自動車の天井に落下して来る。

名古屋市内の巨大スクリーンにジーダスが映し出され、名古屋市に緊急避難命令が発せられたと声が流れる。

それを見た弘は、急ごう!と石田兄弟に言う。

10時半頃ジーダスが現れました!とニュースが伝える。

孝介も軽トラで名古屋に向かっていた。

麻衣!と晴美が病室の麻衣を避難させに来る。

その時、麻衣が持っていた赤い結晶体が又光り出す。

参事官!大丈夫ですか!と押しつぶされた車の中から、何とか無事だった一ツ木を戸畑秘書が救出するが、先に車から出ていた雨宮教授の目の前に、トトが立ち上がる。

それを見た雨宮教授は、ガメラ!と呟く。 街ではジーダスから逃れようと市民たちが逃げ回っていた。

透たちはジーダスと戦っているトトの姿を目撃する。

トト!と透が呼びかけると、トトは透の方を観る。

トトがやられちゃう!と克也が叫ぶ。

早く行こう!と透は急かすが、途中瓦礫に道を阻まれたので、やっぱり地下から行こうと判断するが、地下道に降りた所で反対方向から逃げて来た群衆に弾き飛ばされてしまう。

何とか中央病院に到達した3人だったが、既に病院内は全員避難した後で誰もいなかった。

トトは、ジーダスの舌で左手を貫かれる。

病院にやって来た孝介は透を見つけると駆け寄り、透の頬を叩くと、心配させるな!早く逃げるんだ!と叱りつける。

ごめん!と透は謝るが、でも麻衣が持っている赤い石がないと…、でももうダメだ…、トトに元気をあげてもジーダスと戦うだけだ…、逃げられない、昔のガメラみたいに自爆するかもしれないと嘆く。

孝介は、みんなが逃げるために戦っているんだ!と言い聞かせようとすると、何故トトだけが戦っているの?と透が聞くので、トトじゃない!ガメラだ!と孝介は答えるが、あれはトトだよ!トトが苦しんでいる!と透は聞かない。

そこに、透!おじさん!と石田兄弟が近づいて来たので、イシマル!克也を連れここを出るんだ!とにかくこの避難所だ!と地図を書いた髪を孝介は渡す。

その頃、避難所のベッドに寝かされていた麻衣は、赤い石は?と気にしていた。

トト!と呟いた麻衣は、点滴のチューブを外して立ち上がろうとしたので、何してるの、麻衣!と気付いた晴美や西尾が駆けつけて来る。

その騒動を、窓から外の怪獣決戦を見ていた少女が振り返って見る。

医者も駆けつけ、緊急カードを持って来て!と看護婦に命じながら、再び点滴のチューブをつけ始める。 粗にお時、麻衣は、見知れぬ少女が赤い結晶体を握っていた自分の手に触れて来たのに気付く。

トトにだね?と少女が聞いて来たので麻衣が頷くと、少女は赤い石を持って避難所から走り出て行く。

その頃、透はさらにトトに近づこうとしていたので、透!逃げるんだ!と良いながら孝介も追って来るが、逃げない!トトもまだ子供なのに逃げないで戦っているんだ!だから俺も逃げない!と叫ぶ。

それでお前が死んで、トトが喜ぶと持っているのか!と孝介は叱る。

その頃、逃げ惑う群衆に阻まれ、身動きが取れな聞くなったいて少女に気付いた少年が近づいて来たので、少女はトトに!と言いながら赤い医師を少年に託す。

頷いた少年が赤い石を持って走り出すが、すぐに警官に阻止される。

すると、近くを避難していた別の少年が近づいて来てその石を受け取ってトトの方へ駆けて行く。

しかし、その少年も鉄のもんで行く手を阻まれる。

すると反対側にいた少女が近づいて来て赤い石を受け取る。

その頃、ジーダスは尻尾に食らいついたトトを引きずりながらビルをよじ上っていた。

そして、屋上に上ったジーダスは反対方向にバランスを移し、その長い尻尾にしがみついていたトトを反対方向のツインタワーに反動で投げ飛ばす。

ガメラはビルに突っ込んだまま動かなくなったので、それを見た透は、トト!と叫ぶ。

その頃、避難所への道に迷っていたイシマルと克也は、赤い石を持って走っていた少女を目撃する。

ジーダスは、ガメラが突っ込んだ反対側のツインタワーをよじ上って行く。

俺、やっぱり赤い石を取って来る!と透が駆け出そうとした時、透!と言いながら駆けつけたイシマルが赤い石を持っていたので、お前ら、避難所で待ってろって言ったろう!と孝介は叱るが、たどり着けなかったんだ、でもみんながトトにって言いながらこれを持っていたんだと言いながら、イシマル赤い石を透に手渡す。

透は、父さん、俺、トトに会って来ると言い出したので、良いのか?お前の手で殺すことになるのかもしれないんだぞと孝介は問いかけるが、トトは自爆なんかしない!俺たちがさせない!と透が言い張るので、分かった!父さんも行くと言うと、孝介と透は、ガメラが突っ込んだツインタワーの階段を登り始める。

ツインタワーのガメラの横に到達したジーダスは、身動きできないガメラに舌で攻撃し始める。

孝介は、階段の途中が瓦礫で塞がれているのに気付くと、全身でその一部を抱え上げ、何とか小さな空間を確保すると透だけ上に通すと、行け!透、前だけを見て走れ!と声をかける。

上半身がビル内に突っ込んでいたトトの前に到達した透は、トト!届けに来たよ!今のお前にはこれが必要なんだろう?みんながこれを届けるために走ってくれたんだぞ。

でもそれはお前が死ぬためじゃない!お前が自分の命と引き換えにあの怪獣を倒すためじゃない!そんなのダメだ!死んじゃうなんて嫌だよ!大好きなのに…、大好きなのに死んじゃうなんて…、もうそんなの嫌だよと透はトトに語りかける。

これは生きるためなんだ。自分で死ぬ何て絶対に許されないから…、絶対に生きるんだぞ!と透は言い聞かす。

その時、屋上に上ったジーダスが、長い尻尾でガメラを攻撃し出す。

生きろ!トト!と言いながら、透は赤い石を、ビルから落ちかけたトトの口の中に投げ入れる。

落下したトトだったが、地面に激突する寸前、ジェット噴射を始め回転ジェットで浮上し出す。

それを見守る少年少女たち。

麻衣も避難所の窓からそれを見守っていた。 トト!と麻衣は呟く。

ガメラはビルの上にいたジーダスを弾き落し着地するが、地面に陥没していたジーダスが地中から出現し、トトの首を噛み付いて来る。

その時、トトの腹の文様が光り出したので、自衛隊員が透と孝介の元に駆け寄り、早く逃げなさい!あれは自爆の兆候なんだと透を掴んで来る。

しかし透は、トトは自爆なんかしない!と抵抗し、孝介も放してやってくれと自衛隊員に頼む。

ガメラの全身が灼熱したように赤く光り、ガメラの首に巻き付いていたジーダスの舌が焼け落ちる。

身体が離れたトトは火球を発射し、ジーダスはその直撃を受け大爆発して飛散する。

トトは力尽きたように前のめりに倒れたので、パトカーで近づいていた一ツ木参事官が、ガメラを確保しろ!と部下たちに命じる。

その時、パトカーの前に手を広げて立ちはだかっていた透に気付く。

止めろ!俺らのトトに近づくな!と車を降りた参事官に呼びかけた透は、逃げろ、トト!と背後でうずくまっていたトトに呼びかける。

邪魔するな!退きなさい!と一木参事官は透に言葉をかけるが、あいつらは退かない、それにあいつらたちもと言いながら孝介が参事官の側に来る。

見ると、どこから集まったのか、透の背後には少年少女たちが道いっぱいに広がって両手を広げ通路を阻止していた。

飛ぶんだ、トト!早く逃げろ!と叫んだ透は、指でトトの頭をさする真似をする。

するとトトは気持良さそうに目を閉じる。

トト!忘れないから!絶対忘れないから!だから行け!行け!トト!とと売るが絶叫すると、トトは立ち上がり、ジェット噴射で飛び上げって行く。

避難所の屋上で両親とともにそれを見送っていた麻衣は、又会えるよね…と呟いていた。

さようなら…、ガメラ…と透は言葉をかける。 
 


 

 

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