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けいおん!

女子校の軽音部のメンバー達の日常を描いたテレビアニメの映画版らしいが、テレビ版は知らないので、あくまでもこの映画だけの感想。

キャラクター達はみんな幼児風に顔や動作をアレンジされた可愛らしいキャラばかりで、展開も女性特有の力まない、ゆったりと言うか、まったりとした日常での仲良しごっこに終始している。

実写で言えば三姉妹の何気ない日常会話を楽しむ「やっぱり猫が好き」みたいな感じに近い部分がベースにあるような気もする。

それに音楽映画的なうきうきする要素な学園部活もののノリを加えた所がミソだろうか?

イギリス旅行のエピソード部分には、往年のGS映画の雰囲気も重なる。

大人達は極力登場しないような作りになっているので、子供達だけの世界と言った感じになっており、大人の論理が入り込まないだけではなく、子供同士の争いごとも無縁なようで、言わばずっとぬるま湯につかっているような感じが持続している感じがし、緊張したりぎすぎすした気持になるような要素はない。

確かにこれはこれで見ていて心地よいし、淡々とした所はテレビ向けだな…と云う気はする。

おそらくテレビでは、もっと個別の色々な小ネタが盛り込まれているのだろうと推測できる。

若い世代は自分たちの等身大の青春ものとして、めいめいがお気に入りのキャラに自分を投影し楽しむだろうし、大人は大人で甘く甘美だった自分の青春時代を重ねて楽しめるのではないかと思う。

見る人の中には、キャラや基本設定などに観客に媚びたようなものを感じるかもしれないが、個人的には特に気にならなかった。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2011年、映画「けいおん!」製作委員会(TBS、ポニーキャニオン、ムービック、京都アニメーション)、かきふらい原作、吉田玲子脚本、山田尚子監督作品。

「放課後ティータイム」の5人の写真 目覚ましが鳴ったので、布団の中から手を出し止め、朝!と慌てる平沢唯(声-豊崎愛生)。

「K-ON!」の文字 「桜が丘高校」2年1組の中野梓(声-竹達彩奈)は、いつものように軽音楽部の部室に向かう。

部室では「放課後ティータイム」の4人がロックを演奏していたが、梓が入ると、違う!「放課後ティータイム」が目指している音楽はこんなんじゃない!とドラム担当で部長の田井中律(声-佐藤聡美)が言い出す。 でも私はこの路線で行きたいんだよ!と平沢唯が反論する。

すると、何!と律が唯の胸ぐらを掴んで揺すりだしたので、止めてください!とキーボード担当の琴吹紬(声-寿美菜子)が止めようとする。

何かあったんですか?と梓が聞くと、もう軽音部は解散しちゃうかも…と紬が言い出したので、解散!何でこんな時期に?と梓は驚く。

みんな目指す方向が違って来たんだ…と秋山澪(声-日笠陽子)が寂しげに答え、音楽性の違いって奴だよ、あずにゃん!と唯が言う。

何が音楽性だ!と律が言い、1つコードを覚えれば3つ忘れるような唯が音楽性…と嘲るように言うと、澪ちゃんだって転んでパンツ見せてたくせに!と唯が言い返す。 関係ないだろ!と澪が焦ると、聞いていた梓は、音楽性の話してたんだ…と何だか釈然としない顔で呟く。

梓ちゃんはどう思う?と紬が聞いて来たので、はい!やっぱり私たち「放課後ティータイム」は明るくて元気な曲が…と答えようとすると、正直…、ふわふわしてるのはもう…きついんだよねと唯が言うので律がどの口が言う!と噛み付く。

お前が入部して来て軽音楽って軽い音楽やるでしょうって言われたときにはババ掴ませられたかと思ったぜ!と律が言うと、ゴロゴロしているだけで良いからって言ってたの、律ちゃんじゃんか!と唯も言い返すが、そんな2人の言い争いを聞いていた梓は、ババ?と何かを思いつき、トランプを取り出すと、あの…、ババ抜きしませんか?と提案する。

すると律は、馬鹿野郎!梓!軽音部が生きるか死ぬかの大事な話をしているんだぞ!と睨みつけ、唯も、あずにゃん!後でやろうね…と言い聞かせるように言う。

さらに言い合いをしようとする律と結いに、ちゃんちゃらおかしいわね!と口を挟んだのは紬だった。

元はと言えば、ムギちゃんがお菓子持って来るからいけないんだよね~、美味しいの持って来るからいけないんだよなどと唯が妙な方向に話を振っている時、部室に置いてあったラジカセのスイッチを入れてみた梓は、そこから聞こえて来たロックが、さっきこの部屋から聞こえて来た音楽だと気付く。

振り返ると、唯、律、紬たちは演奏する振りをし始める。

何やってるんですか?と梓が聞くと、ばれちゃった?と律が戯け、「DEATH DEVIL」ごっこだよと唯が言う。

楽しかったね~と小麦が嬉しそうに言うと、いい加減、練習の間に小芝居挟むの止めないか?と澪が注意する。

澪ちゃんだってノリノリだったじゃん!などと言うのを聞いていた梓は、お芝居ですか…とようやく気付く。

そうだよ、一度はやってみたいじゃん、音楽的な対立って言うの!と唯は笑顔で答える。

バンドの定番だしな〜と律も笑顔で言う。 そんな事だと思いましたけど…と梓はふてくされながら呟く。

じゃあ、梓ちゃゃんも来た事だし…と唯が言うので、待ってくださいと言いながら梓は慌ててギターケースを開けようとすると、お茶にしようか?と唯が言いだしたので、え?と梓は振り向く。

タイトル

お茶を飲みながら律が、さっきの反省会でもするかと言い出すと、もうちょっとあずにゃんをドキドキさせられると思ったんだけどな…と唯は反省しはじめたので、練習の反省会じゃないんですね…と梓は呟く。

すると唯は、トンちゃんの餌やっといたよなどと言うので、水槽を振り返りながら、ありがとうございますと梓は礼を言う。

みんな今ひとつだったよね…と紬が言うと、ムギのチャンチャラおかしいもどうかと思うわと澪が指摘したので、やばい!と紬は反省する。

私、こういういい加減な部とは知らずに入部しちゃったんですよね…と梓が嘆くので、あ〜ら生意気なこと言って!と律が怒り、その紅茶!軽音部に入いってなかったら飲めなかったかもしれないよ〜と唯が混ぜっ返す。 琴吹家自慢の紅茶よ!と紬が言うので、美味しいです…と梓は答えるしかなかった。

3年間ここでみんなとお菓子食べたり、」紅茶したり、練習してきたけど…、後は卒業するだけだ〜と唯が言い出したので、確かにそうですけど、良いんですか?こんな風にのんびりしてて…と梓が疑問を口にする。

だってもう大学受かったし…、ねえ律ちゃん!と唯が言うので、奇蹟ですよね、澪先輩やムギ先輩はともかく…などと梓が指摘したので、今なんて言った!と律は言い返そうとするが。梓は私はさみ持ってますよ!と、なかなかバームクーヘンの包みを開けれないでいた紬に言う。

そのはさみにはテープが貼ってあり、可愛いでしょう?などと言うが、紬は自力で包みを開けていた。 バームクーヘンを分けた後、みんな一緒の大学に入って良かったね〜と紬が言うと、て言う事で、乾杯しようぜ!と律がカップを持ち上げる。

全員カップを合わせて、乾杯!をした時、いつの間にか、山中さわ子先生(声-真田アサミ)も乾杯に混じっている事に気付く。

いや、私もほっとしたわ、みんな無事に合格して…とさわ子先生が言うので、3年生の担任も大変ですねと梓が話しかけると、でもあっという間だったわよね、もう唯ちゃんたちが卒業なんて…とさわ子先生は感慨深げに言う。

私たち3年間でどのくらいお茶飲んだんだろう?などと唯が言い出すと、軽く1000杯は行ってるかも…と紬が答える。

サウザンド!と律が驚くと、正に「放課後ティータイム」!と澪も感心し、身体張ってバンド名現してますね!と梓も言う。

ま、これでもう後は送り出すだけね…、留年しなければね…と言いながら立ち上がったさわ子先生に、留年?と唯が聞くと、うん!来週会議なの。

出席日数が足りてるか、赤点取った数が多くないか審査するのよとさわ子先生が言うので、そんな大事な会議が!と唯が驚くと、さわ子先生は眼鏡を不気味に光らせ、唯と律の方を意味有りげに抱きしめて来たので、怯えた唯は、さわちゃん、私たちさっき「DEATH DEVIL」の練習してたんだよ、さすがさわちゃん達のバンド!だから…と唯はお世辞を言うが、さわ子先生は、だから?今さらゴマすってもね〜…と聞き流す。

その後、部室を出て、ゴミ袋を持って教室に戻る途中、外に出た唯がため息をつくので、それに気付いた律が、どうした?さっきのさわちゃんの話?と声を掛ける。

その頃、梓は、階段の下に落ちていたお菓子の包み紙を拾い上げ、これ絶対先輩だな〜…と呟く。

気がつくと、廊下に点々と包装紙が落ちているではないか。

もしかして私たち、先輩としての威厳がないまま卒業しちゃうんじゃないかな?と唯が言うので、それを聞いた律や紬はええ!と驚く。

そんなことないぞ!私たちは…と律が反論しようとすると、背が高い!年上だ!元気!などと紬がおかしな自慢をし始めたので、他にないのか?と澪が呟く。

私、何か先輩らしい事したい!と唯は意を決したように言う。 一瞬、あっけにとられたような顔だった律だったが。いいじゃん、それ!やろう、やろう!とはしゃぎだす。 何する?何する?と紬も乗って来て、何かプレゼントが良いかもな…と澪も加わる。

あずにゃんっぽいものが良いよね〜と唯が行っている時、その唯が落として来たゴミを拾い集めた梓が近づいて来る。

わくわくするね〜、内緒にしとかなくちゃね〜などと4人がしゃがんで話し合っているのに気付いた梓が、先輩!と声をかけて来たので、4人は驚く。

ぽろぽろゴミこぼしてましたよと梓が注意すると、部室に帰る道が分からなくなると思って…などと唯は適当にごまかそうとする。

ひろっちゃいました〜…と梓が言うと、ああ〜!もう部室に帰れない!なおと唯はふざけるにで、そんな訳ないでしょう、行きますよ!と梓は冷めた口調で言い、全員立ち上がって歩き出す。

その夜、夕食の準備をしていた唯の妹、憂(声-米澤円)は、梓ちゃんが喜びそうな事?と姉から話を聞いて聞き返す。

うん、物でも事でも良いんだけど…、憂たちに何か言ってない?同じクラスだし、先輩達かっこ良いですとかさ…、どんどん言ってごらんと唯が促すと、もうちょっと真面目に練習して欲しいかな〜とか、少しだけ部室片付けてくれたら良いのにな〜とか、あんまり抱きついてくれるのはな〜とか…と憂が答えると、唯がすっかり気落ちしていたので、お姉ちゃん!と憂は驚く。

いつもの定番だね〜…と唯はため息をつき、あずにゃん、良く軽音部にずっと居てくれたもんだよ…と感心する。

でもね、梓ちゃんっていつも軽音部の話ばっかりしてるんだよと憂が言うので、本当に!と唯が聞き返すと、本当だよと憂は言う。 それに梓ちゃんが軽音部に入ったのだって、お姉ちゃん達の演奏を聴いたからだし…と憂がフォローすると、そう言ってたね〜と唯も思い出す。

あ、お姉ちゃん達が一緒に卒業してあげるとかどうかな?と憂が言いだすと、そうか…などと唯が納得したので、冗談が通じなかった憂は、お姉ちゃん!冗談だよ!と焦る。

自室のベッドに戻った唯は、ギターをつま弾きながら、あずにゃん…、何が欲しいんだ!と叫びながらベッドに横たわる。

翌朝、駅で唯に声をかけて来たのは紬だった。 一方、澪は律に、昨日寝る前に新しい歌詞書いたんだよと一緒に登校しながら話していた。

あ、新曲!アイスクリームの歌と題されたノートに書かれた詩を読む律に、ムギに曲付けてもらおうよと澪は話しかける。

そこに、唯と紬が合流する。

上履きを履きながら、ムギちゃんの手暖かくて汗かいちゃった!と唯が言うと、秋山さんの手冷たくて凍っちゃった!と律が言うので、どう言う意味だ!と澪は言い返す。

あずにゃんのプレゼント考えた?と校舎に入って一緒に歩きながら唯が聞くと、唯は?と聞かれたので、考えてたら寝ちゃってた…と頭をかきながら答える。

私も…、靴下履いたまま…と聞いた澪が、私脱いでた…と言うので、何ですって!澪ちゃん大胆!などと言われた澪は、靴下は裸足だろ!と反論しながら教室に入る。

3年2組に入った唯は、じゃあ、明日申し込みで良い?その後水着買いに行こう!私、ハワイ始めてだよ!などとバレー部が話し合っているので、ねえねえハワイ行くの?と聞くと、うん、卒業旅行だよ。軽音部はどっか行かないの?などと言うではないか。

唯は律を呼び、バレー部が卒業旅行だってと教える。 すると、私たちも行こうよ!と紬が言いだす。

いつ行くの?と律がバレー部に聞くと、卒業式の一週間前、その方が安いんだよなどと言うので、だって!律っちゃん!と唯は迫る。 春休み前だからか…と身重近づいて来たので、ここは私たちも!と唯は提案する。

しかし律は毅然と、だ〜め!他所は他所!うちはうち!と言うので、唯や紬はええ!と落胆する。 それよりも梓に何がしてやれるか、考えなければいけないだろう?と律は言う。

その時、みんなちょっと良い?卒業式の日にクラス全体でさわ子先生に何かしたいんだけど?何が良いと思う、これもちろん、先生には内緒ね!と真鍋和が教壇の所でみんなに話す。

校歌斉唱とか!と意見が出る中、さわ子先生って何が好きなの?とみんな考え始める。 ということで、卒業旅行へ行こうと思います!と、その午後、部室に集まったメンバー達に律が言いだす。

始まった!と澪が呆れる中、よく考えたらさぁ、みんなでパスポート取ったじゃん!と律が言うので、先に梓へのプレゼント考えるんじゃなかったのか?と澪は冷静に言い返す。

う〜ん、それも考えるけどさ〜などと律は言うが、ダメ!そうやってすぐなんでも後回しにするんだから!と澪が言い聞かせる。

ちょっとくらい良いじゃない!け〜ち!と律はお冠になる。

その時唯が、私、憂にインタビューして来たよ!と言い出したので、聞かせてもらおうか!と律がふんぞり返ると、憂はさぁ〜と言いながら唯がホワイトボードに何か描いていたので、それは何だ?と律が聞くと、鳥獣戯画だよ、この間さぁ〜と優の話がそれ始めたので、それで憂ちゃんが何だって?と律が言葉を遮ると、憂はね〜、私たちがもう1年学校にいて、あずにゃんと一緒に卒業できたら良いんじゃないかって…と唯が言うので、プレゼントは留年?と律は唖然とする。

そう、留年!と唯が叫んだ時、梓が部室に入って来たので、他の3人は驚いて立ち上がってしまう。

唯も振り向いてびっくりした顔になったので、どうしたんですか?と梓も驚く。 別に…と唯がごまかそうとすると、明らかに焦ってますよねと梓が指摘する。

そうかな?と唯はとぼけるが、しかも今、留年って言ってませんでした?と梓が確認する。

私たちにも色々あるんだよね〜と唯ははぐらかし、どこから聞いてたの?梓ちゃん?と紬が聞くと、聞いてたと言うか…、聞こえたんです!と梓は言い訳する。

空耳〜空の耳〜などと唯が手を伸ばして催眠術をかけるかのように言って来たので、何してるんですか?と梓は面食らう。

あのね…、卒業旅行をどこにするかを相談してたの、ドイツ連邦共和国にリュウネンって都市があって…などと紬が言いだしたので、何!そんな不吉な都市が?そこはダメだな!などと律と唯も話に乗って来る。

ああ、卒業旅行ですかと梓が納得したので、他の4人はほっと胸を撫で下ろす。

ドバイ!と律がスペシュームポーズで言いだすと、ハワイに行きたいんじゃなかったっけ?と澪が呆れると、ヨーロッパ!と唯がエメリウムポーズで応戦する。 温泉!卓球してみたい!と紬がハンカチをタオルに見立てて頭に乗せ提案する。

澪ちゃんは?と聞かれた澪は、私?ロンドンかな?色んなミュージシャンの故郷だし、音楽の歴史もあるし…と答えると、水槽を覗いていた梓がバラバラですねと感想を述べる。

あずにゃんは?と唯が聞くと、私はまだ卒業しませんから、どこでも…と梓は答える。

てか、いつ卒業旅行行くことになったんだよ?と澪が律に小声で聞くと、そこは流れでさ…と律も小声で返す。

澪ちゃん、行きたくないの?と紬が言うので、そう云う訳じゃないけどさ…と澪が答えると、じゃあ、卒業旅行行きたくない人〜!シーン!じゃあ、決まりじゃん!と律が1人で言うので、凄い決め方…と澪は呆れる。

じゃあさあ、あみだくじで行くとこ決めよう!と唯が立ち上がり、私こう見えてもあみだくじ得意なタイプだよと訳の分からない事を言い準備を始める。

出来たよ!と完成したあみだくじを机の上に置いた唯は、律を指名して選ばせる。

決まりました!ヨーロッパです!と唯が言うので、唯、良かったね、でもヨーロッパでどこに行くんだ?などとめいめい感想を言い合うが、その時、唯先輩、その髪ちょっと見せていただけませんかと梓が手を差し出す。

何で?と唯が動揺すると、いや、何となく…と梓は言うが、あみだくじの紙を胸に抱えた唯は次の瞬間逃げ出そうとして大げさに転んでしまう。

転んだ!と紬は驚き、唯ちゃん!と駆け寄った律に、私、やっと出来たよ…よ倒れた唯が芝居がかった返事をしているので、梓が床に落ちていたあみだくじを改めて良く見ると、あ、やっぱり八百長ですねと呟く。

隠されていたクジの線の下には全部「ヨーロッパ」と書かれていた。 しもうた!と倒れていた唯は言い、先輩のやる事は全てお見通しですと梓は断言する。

インチキしたのかよ!と律が呆れ、凄いね唯ちゃん!と紬は褒めると、えへへ…と唯が笑ったので、照れるな!と澪は叱る。

ちょっと間違えちゃったよ!と唯は言い訳するが、罰として、顔にヨーロッパと書いた似顔絵を貼られ、しばらくそうしてると良いと律から冷たく言い渡される。 澪がそんな唯を写真に撮る。

そろそろ自分で決めるか…、みんな行きたい所バラバラだしな〜と律が悩むので、多数決とか?と澪が提案するが、無理ぞん!と律は却下。

すると唯が立ち上がり、トンちゃんに決めてもらうのはどうなどと言いながら水槽に近づこうとしてまたこけたので、ああ、しつこい!と律は嫌になる。

水素の中のとんちゃんが、水槽の下に置いた「ドバイかハワイ」「温泉」「ロンドン」「ヨーロッパ」とガラスに紙が貼られたティーカップのどれを選ぶかを見つめる事になるが、「ヨーロッパ」と書かれたティーカップは小さなミルクピッチャーだった。

ずるした子へのお仕置きですと律が言う。 それを後ろで見ていた梓は、まさかトンちゃんがこんな重要な役目を負う事になるなんて…とハラハラしていた。

その内、4人はつまらなそうに机に座ったので、皆さん、飽きてらっしゃる!と梓は驚く。

その時、ああ、とんちゃんがヨーロッパの前に!と唯が水槽を見て叫ぶ。

しかし良く見ると、「ロンドン」のカップと「ヨーロッパ」のミルクピッチャーの間にいるので、ロンドンってこと!とみんなが気付くと、唯はええ!と落胆する。

ロンドンもヨーロッパだから良いじゃないですかと梓が慰めると、そうなの?ヨーロッパってどこまでヨーロッパ?などと唯は聞いて来たので、先輩が行く大学が気の毒になってきましたと梓は同情する。

澪、ロンドンだぞ!良かったね〜と律と紬が言うと、やったあ〜!と澪はいつもの彼女らしからぬ喜び方をするので、落ち着けと律が言い聞かす。

それを見た唯は、本当に生きたかったんだね、澪ちゃん…と我が事のように喜ぶ。

飲み終えたカップを棚にしまいながら、アフタヌーンティー出来るねと紬が言うと、ロンドンでお茶出来るの?と唯が聞いて来たので、紅茶の国だもんなと律が教えると、凄い、私たちにぴったりだ!と唯は喜ぶ。

4人だったら部屋は2つかな〜などと話し始めた4人が、3:2?などと言いだしたので、梓は、えっ!と驚くが、梓ちゃんも行くでしょう?と紬が誘うと、いえいえ、先輩達の卒業旅行ですからと梓は遠慮する。

パスポートなくしちゃった?と唯が聞くと、ありますけど…、私には学校が…と梓が断ろうとするので、期末テストの後に休みがあるだろ?と律が確認すると、確か5連休になるはずですと梓は答える。

じゃあ、何の問題もないじゃん!と唯は簡単そうに言うので、でも…と梓が戸ためらっていると、ねえ、一緒に行きたいよう!あずにゃんがいないと軽音部じゃないよ!と唯は迫って来る。

梓、行きたくない?と澪も聞いて来たので、行きたい!…んですけど…、本当にお邪魔じゃないですかね?と梓は案ずる。

何で?と律は逆に不思議がるので、それじゃ…ぜひ…と梓が小さく呟くと、唯と律はやった〜!と喜ぶ。

でもその前に、お家に確認してみないと…と梓が立ち上がり、部室の外へ携帯をかけにいく。

そして、母も良いって言ってくれましたので…と言いながら部室に戻って来た梓は、4人も携帯でそれぞれの母親に了承を得ていたので、私がしっかりしよう!と決意する。

その日帰宅した唯は、遊びに来ていたえっ?ロンドって本当のロンドンだったの?と遊びに来ていた真鍋和が驚くので、当たり前だよ、どこのロンドンだと思っていたの?のどかちゃん…と唯は茶を煎れながら答える。

いきなりメール来たから、何かそう云うお店でも出来たかな〜ってと言いながら、和は、唯から受け取った「行くよ〜 ロンドン行くよ〜」と書かれたメールを再確認する。

明日、みんなで旅行会社へ申し込みにいくんだよ〜と唯は楽しそうに言う。 知らなかった…、軽音部のみんながそんなにイギリスに行きたかったなんて…と和は言う。

ジャージにどてら姿と言う変わった格好をしていた唯がこたつの席を変わりながら、一番行きたかったのは澪ちゃんで、決めたのはとんちゃんだよなどと教える。

スッポンが決めたの?と和が驚くと、スッポンもどき!それに行くのはイギリスじゃなくてロンドンだから…と訂正する。

それを聞いた和は、唯、とっても言いづらいんだけど、ロンドンってイギリスよ!と指摘する。 いきなりなんだもん、私まで行くことになって!と書店「さくら堂」でロンドン関連の本を探す梓に、たくさん買うね〜と付いて来た憂が言うので、だって私が調べとかないと…と梓は答える。

お姉ちゃんの事宜しくね!と憂が言うので、あのさ〜憂、そのお姉ちゃんの事なんだけど、何か私に隠してるみたいなんだよね〜…、憂、知らない?と梓は聞く。

お姉ちゃんに隠し事なんて出来ないと思うけどな〜…と憂は言うので、そうだよね〜と梓も納得する。

旅行代理店に5人揃ってやって来たメンバー達だったが、ロンドンで5日ほど…と緊張しながら律が注文すると、ロンドンで3泊5日ですね?と確認されたので、唯は一瞬戸惑うが、行き帰りに1泊使うから…と紬が教える。

ロンドン市内だけで宜しいですか?と聞かれたので、良いと思います、見る所一杯ありますし!と調べて来た梓がノートを見ながら答えると、律や紬達はそのソートを覗き込みあれこれ言い出す。

そんな中、澪は、自分で調べて来た紙切れを見ながら、私は、ジミヘンとかジミー・ペイジが住んでいた家に行きたい!などと言い出したので、それだったら全て自由行動の個人旅行がお勧めですよと店員がアドバイスして来る。

いや、それはさすがに…と梓が慌てるが、じゃあそれでお願いします!と律と唯が声を揃えて頼む。

翌日登校した唯は、校舎内で怪しく蠢く黒マントの一部を見かけたので、オカルト研究会の2人と気づき、お早う!寒いね!オカルト研もまだ部活やってるんだ!と声をかける。

はい、今から屋上でちょっと宇宙との交信を試みてきますと言うので、あ、そうだ、今度軽音部でイギリス行くんだよ!卒業旅行なんだよ、お土産何が良い?と唯が聞くと、ネッシーの…と2人揃って言いかけ、ぷっと笑いをかみ殺しながら、ネッシーの写真を撮って来てくださいと言う。

分かった!任せといて!と唯が安請け合いすると、オカルト研の2人は、軽音部さん…とあっけにとられる。

と言う訳なんだけど、予定に入れられるかな?と唯が放課後、部室で他のメンバー達に聞くと、ネッシーですか?さすがにネス湖は遠いですね…と梓が本を見ながら考え込む。

それに本当はネッシーなんていないらしいじゃないと、遊びに来ていたさわ子先生が言うので、もしかして、オカルト研ギャグ?レベル高すぎて分かんないよ〜…と唯は嘆く。

皆さん、他にリクエストはないですね?と梓が確認すると、ないで〜す!と律と唯が答えたので、じゃあこのメモを元にして効率よく回れるよう行程をまとめてきますと梓は「軽音部 ロンドン計画表!」なるメモを前に言う。

頼んじゃって良いのか?と澪が申し訳なさそうに聞くと、はい、私、こういうの好きなんです!と梓が答えるので、悪いなと澪は礼を言い、紬が、梓ちゃん、おかわりどう?と紅茶を進めるが、もう大丈夫です、おなかパンパンなんで…と梓は断る。

帰り支度をした梓に、梓、もう帰るの?と律が聞いて来たので、はい、皆さんはまだ帰らないのですか?と梓が聞くと、唯も手を挙げて、帰る!帰る!と言い出すが、アフタヌーンの練習して帰ると言い直し、私たちももう一杯お茶してから帰るわ!梓ちゃん、はい、これお土産!と紬も言って小さな包みを梓に手渡し、コップも洗っておくから…とまで言うので、礼を言った梓は帰って行く。

さて!と澪が言うと、こっからが本番やね!と律が言うと、何の?とさわ子先生が聞いて来たので、メンバー達は彼女がいた事を思いだし驚く。

まだいたのかよ!さわちゃん!つまらないものですが!あ、今日、デートなんじゃなかったっけ?などと律が言いながら、そんな予定ないもん!と膨れるさわ子先生を部室から追出す。

あずにゃんへのプレゼント…と言いながら唯がノートにタイトルを書くと、何が良いかな〜と楽しげに呟く。

いつも世話になってばかりだしな〜と澪が反省すると、日頃の感謝を私らなりに表現するとなると…と律が言い、劇か?と澪が言い出したので、もう劇は嫌だ!と唯が即答する。

その時、唯は、あずにゃん、ムッタン忘れてる!大変だ、大変だ!と気づく。

ムスタングだろ?と澪が訂正すると、澪ちゃんのエリザベスだよね〜と紬が聞く。

あ、ムッタンに聞いてみようか?と唯が言い出し、ムッタン?あずにゃんへのプレゼント何が良い?とケースに入ったエレキに聞き、な〜んちゃって!などと振り返った時、ムスタングが倒れ始めたので、他のメンバー達は焦る。

その気配でもう一度振り返った唯は、倒れたムスタングが床に衝突する寸前で抱きとめる。

駆け寄った3人に、ムッタンが、曲って言った!と床に倒れながらムスタングを抱いた唯が言う。 それを聞いた律が、しまった!打ち所が悪かったか!と案ずると、北極?と紬がぼける。

違うよ、曲!ソングと言うか、ミュージックと言うか…と唯はピンと来てないメンバー達に何度も言い換え、ああ、何で今まで気付かなかったんだろう!と後悔する。

梓に曲をプレゼントするってことか?と律がしゃがんで聞くと、うん!憂も言ってた!あずにゃんは軽音部と軽音部の音楽が大好きだって!と唯は言う。

あ…、梓ちゃんに送る曲…と紬も気付き、良いじゃん、それ!と律も気に入ったようなので、先輩が後輩に送る曲!めちゃくちゃかっこ良いよ!と唯は満足そうに答える。

かっこいい!と紬も感激し、なあ唯、どんな曲に仕様と澪が聞いて来る。

うん、それは先輩が作る曲だからね…、ば〜んとして、ど〜んとして、どか〜んだよと唯は抽象的な言い方で答えたので、わからん…と律が言うと、つまり、今までにないスケールの曲ってことだよと唯は解説する。

で、例えばどんな?と律が問いかけている時、忘れちゃった…と云いながら階段を登って来た梓が、お早うございます!なんちゃって!と言いながら部室に入って来たので、あずにゃん!いつからそこに!と唯は驚く。

あの…、たった今ですと梓が答えると、本当か?と律が厳しい顔で聞く。

はい!と梓が答えると、4人は拍子抜けしたように全員一斉にため息をつく。 ああ、そうか!ムッタン忘れたんだよねと言いながら、唯は抱えていたムスタングのケースを梓に手渡し、ダネだよ、忘れちゃ…と言い聞かせる。

失礼しま〜す!と帰りかけた梓だったが、ドアの前でギターケースのファスナーを開いて、異常なし…と呟く。

あずにゃん?と唯が話しかけると、嫌だ、私…、何でもないです!と愛想笑いをしながら梓は部屋を出て行く。

夕暮れ時の帰り道、さっきの先輩達…、みんな見た事ない真面目な顔してた…、あやしい…と、菓子を食べながら梓は呟く。

その夜、律は紬からメールを受け取る。 「あぶないところだったわね、梓ちゃんに気付かれてないかしら 秘密ってすごくどきどきする!! 紬」と書かれてあったので、こいつ楽しんでるな!と呟いた律は、私もヒヤヒヤするよ…などと呟きながら「何とかロンドンで考えちゃったり」返信する。

ワールドワイドな曲が出来ちゃうよ…と、メールを受け取った唯はベッドの上で嬉しそうにしていた。 唯は、憂に手伝ってもらいながら荷造りをしていた。 日本食を大量に詰め込み、制服もみんな持っていくって言うのでケースに入れる。

母親が旅の英会話集を、父がコンセントと変圧器を渡してくれる。 又荷物増えた…と言う憂に、早く寝なさいよと母親が声をかけたので、しまい揃って、は〜い!と返事をする。

いよいよ明日からロンドンか…と唯は嬉しそうだった。

良いなあ〜…と憂が言うと、憂も来てくれたら安心だよなどと唯が言い出したので、えっ?と憂は驚く。

でも入らないか…とトランクの中を見ながら唯が言うので、ええっ!と憂は呆れる。

うそうそ!と唯が微笑んだので、お姉ちゃん!と憂は困ってしまう。 翌朝、ケースを押して唯は家を出、駅で律に合う。

梓も到着し、ムスタング持って来たんだなと律から言われると、はい、唯先輩は絶対持って来ると思って…と答えた梓は、唯のギターを見て、やっぱり!と安堵する。

そこに自販機で缶コーヒーを買って戻って来た澪もギターを持っていたので梓は驚くが、もし誰かミュージシャンに会ったらサインしてもらうんだよと澪は照れくさそうに言い訳する。

はいはい、じゃあ、ムギの駅まで行くぞ!と律が駅構内に入って行くのを見た唯は、嫌だ、律ちゃんもだ!と気付く。

電車に乗った梓が忘れ物ないですか?と確認すると、あ、パスポート忘れて来た!と唯が言うので、じゃあ唯先輩は置いて行きますと梓が冷たく言い放つと、唯が慌てたので、首から下げてるじゃないですか!と梓が教えると、お約束かと持って…と云いながら、唯はポシェットの中からパスポートを取り出してみせる。

終着駅で待っていた紬と合流した3人だったが、全員楽器持参している事に気付いた紬は、ああ、ずるい!私も持ってくれば良かった!と嘆く。 9時、空港に着いた4人は先に荷物を預ける事にする。

すると、本日大変機内が込み合っておりまして、宜しければそちらの荷物をお預かりさせていただきたいのですが…とカウンターのスタッフが言うので、3人はギターを預ける事にする。 律と唯は空港内の動くエスカレーターや芸能人へのインタビューごっこなどをして楽しむ。

さすがに、はしゃぎ過ぎだろうと澪は呆れる。

やがて、待機している旅客機が見えて来る。 慌てなくて良いよ、すぐに機内食出ますから…と梓がフロアで教え、感心されると調べましたから…と答える。

11時45分発JAL401便に乗り込んだ澪は、何か嘘みたいだ…、飛行機に乗って、降りたらロンドンなんてさ…と云いながらバッグを手荷物入れに押し込む。

違う国なんだよな〜と律も言うと、本当にみんなで海外に行けるなんて…と紬も喜ぶ。

梓と隣になった唯は、過去とか未来へ行っちゃったりして…と浮かれていると、タイムマシンじゃないですよと梓が答えると、でも時間戻るよ!と前の席に座っていた紬が振り向いて話しかけて来たので、ムギ先輩!と梓は驚く。

笑いながらアイマスクを渡して来た紬から受け取った唯は、時間が戻るって?と不思議そうに梓に聞いて来る。

地球の回転と逆の方向へ行くからじゃ?と梓が教えると、逆回りすると時間が戻るの?と唯が言うので、はいと梓が答えると、じゃあさ…と唯が聞きかけた時、ベルト着用のサインが出る。

じゃあさ、ずっと逆回りしてたら、やっぱり過去へ行っちゃう?と唯が聞くので、そこまでは分かりませんと梓は答える。

じゃあどの辺まで…とさらに唯が聞いて来たので、あ、離陸します!と梓は窓の方を見て教えたので、慌てて窓の外を見た唯は、テイクオフですか!と興奮する。

ベルト着用サインが消えた時、あずにゃん、ここから日本語禁止だよ、OK?と唯が言い出したので、驚いた梓は、アイ、アンダスタンド…と答える。

すると唯は、アズキャットなどと言い出したので、えっ?と梓が聞き返すと、ノージャパニーズ!と注意した唯は、アズキャット、機内食は英語で?と聞いて来る。

フライトミールと教えると、チキン オア ミート?エクササイズ!と唯が聞くので、チキン プリーズと梓が答えると、エクセレント!と唯は喜ぶ。

そして、梓にも同じ質問をさせた唯がビーフ プリーズ!と答えていた時、お客様?と声をかけて来たアテンダントは、和食と洋食、どちらになさいますか?と聞いて来る。

夕暮れ時、アイマスクをかけて眠るメンバー達。 そんな中、1人アイマスクを外して起きた唯は、窓の日よけを開け、夕焼けを見ると、思わず隣で寝ていた梓を起こそうとするが、さすがに悪いと気づいたのか止め、あずにゃんの歌詞を書こうと呟きながらノートを取り出す。

しかしすぐに眠くなった唯は、隣の梓に抱きつくように眠ってしまう。

それでえ目が覚めてしまった梓が唯の身体を窓の方に押しやった時、唯が書きかけていたノートの文面をつい見てしまう。

そこには「ワールドワイド ロック スケールがデカい アウトロー もちろんカッコイイ!」などと書かれていたので、何これ?ワールドワイド?などと読みかけると、その声で気付いたのか、えっ!と驚いて目覚めた唯は、慌ててノートを閉じ、あずにゃん、何か見た?と聞く。

あ、いえ…とあずにゃんがとぼけると、そっか…と唯が安堵したようなので、何か書いてたんですか?と梓が聞くと、あ〜あ…、うん…、私のこれからの生き方に付いてね…、色々考えなきゃ行けない訳よ…などと唯はごまかす。

その後、トイレから戻って来た梓は、何だろう?まさか…今更だけど、本当に「放課後ティータイム」の方向性を変える気じゃ?…、もしくは本当に留年しちゃって、今後の事を考えないと行けないとか…とワールドワイドでスケールがデカいロックなんて…などと思い倦ねていたが、すぐに自分でぷっ!と吹き出す。

いつしか寝入っていた梓に、あずにゃん、起きて!着くよ!と先に起きていた唯が声をかけて来る。

ヒースロー空港に降り立った5人は浮き上がる。

入国審査では大抵旅行の目的を聞かれるのでサイトシーイングと答えれば大丈夫ですと梓はみんなに教えるが、緊張していた唯は、サイドビジネス!と答え、紬はハロー!澪はイエス!律はフォートイズ、痣様でもアイムセブンティーンなどと答えてしまう。

預けていた楽器も受け取った3人だったが、澪の荷物だけがベルトコンベアで見つからなかった。

秋山さん、どうするの?おパンツ!レディとして…と律がからかうと、泣きそうになっていた澪の後ろで、澪ちゃんは履かない派なんでしょう?などと紬が言い出し、イエス!シーイズノーパンツ!などと唯も調子を合わせる。

それは寝るときの靴下の話!と澪が怒ると、あ、あそこにあるじゃん!と唯が隅においてあった荷物に気付く。

誰かが避けておいたのかしら?などと言う中、澪は感激して荷物の元へ駆け寄る。

外に出ると、ロンドンの寒さが5人を歓迎する。

ロンドンの空!ロンドンのタクシー!ロンドンの英語!と次々に唯が指差す周囲の物を澪がカメラで撮っていく。

ロンドンにいる私たち!と唯が言うと、全員を入れた自撮り。

タクシーの前に来た唯は、ロンドンでは自分でドアを開けるんだよってお父さんが…と良いながらの部を探すが手に触れない。

やっぱ自動なんじゃないの?などと律と唯が言い合いをしていると、運転手の老人が観音開き型にドアを開けてくれる。

ホテルアイビス、プリーズ!と梓が頼むと、どこにあるのか聞いてるみたい?と紬が言うので、どこってロンドンに決まっているじゃん!と律はバカにしたように言う。

唯と律は後ろ向きで乗り込んだので、発射した途端、唯は後部座席の紬の膝の上に突っ伏してしまう。

ホテルの前に着いた時、唯はタクシーに酔ってしまったようだった。

ソファーに力なく座った唯だったが、澪が晩ご飯どうする?と案ずると、ローストビーフが良い!後アイス!などと唯はちゃっかり答える。

その時、大変!と梓と一緒にフロントに行っていた紬が大変!と叫び、どうした?と律が聞くと、ホテル、予約されてないようで…と梓が説明する。

泊まれないってことか?まさか野宿?などと言いながら3人もフロントにやって来ると、フロント係は梓の持っていたメモを読んで何語とか節米するので、梓は英語がわかると言う紬に何と言ってるんですか?と聞くが、紬は早すぎて分からないようだった。

すると澪が、このホテルはこの市内に何軒かあり、アールズコートにある系列ホテルにちゃんと予約が取れてるそうだと通訳してみせたので、何だ、良かった〜と律は安堵する。

地図を広げ、アールズコートの場所を確認した梓達は、決行は慣れている事に気付き、又タクシー乗る?と相談し合うが、唯が、ねえねえ、バスとかで行けないかな〜?と言い出す。

澪がバスストップのルート表を調べると、直接行けそうにはなかった。 しかし、梓が地下鉄だったら本で行けそうですと本を見て教える。

歩き始めたメンバー達だったが、梓が遅れているので、どうしたの?と唯が振り向いて聞くと、新しい靴で来ちゃったので…と梓は言う。

足、痛いの?と唯が気付き、靴ズレしたのか?と律も聞いて来る。

ずっと痛かったの?と唯が案ずると、いえ、さっき辺りから何となく…と梓が言うので、じゃあ、当たらしい靴買いに行こうよ!と唯が言い出す。

え?いやいや皆さん疲れているのに…、荷物もありますし…と梓は遠慮すると、じゃあ私ここ行きたいと、ガイドブックを見ていた澪が言う。

どこどこ?と集まって来た他のメンバーに、ここ、ロックっぽい吹くとかあるらしいとガイドを見せた澪は、良い?梓と聞く。

午後5時25分 地下鉄で目的の駅に降り立った5人は、無事、梓の新しい靴を購入する事が出来る。

その時、目の前に「回転寿司 蘭鋳」と言う看板を見つけたので、紬は、回るの?と驚く。

どうやら紬は回転寿司を知らなかったらしいので、ロンドンまで来て寿司?と一同はためらうが、いや、ロンドンに来たからこそ、腕前を拝見させてもらおうか!と律は腕組みをする。

店内は予想に反してらんちゅう金魚の飾り物が下がっている豪華なインテリアだったので一同は面食らう。

嫌な予感がする…と澪が言い出したので、空港でのトラウマが蘇ったか?と律はからかう。

紬は梓に、でも想像してたのと違うわ、私、バレリーナみたいに回るお寿司を想像してたと耳打ちして来る。

なんかステージが…と前に出ようとした唯は、店のスタッフらしき男性からハロー!と呼びかけられる。

何か、ジャパンと言って来たので、反射的にイエスと答えた唯だったが、又何か言って来たので、イエスと答えると握手され、何故か法被を全員着せられる。

すると、何とステージ上に自分たちのギターが並べられているのに気付いたので、何て事を!と憤った紬がステージ上のスタッフに抗議をしにいく。

ムギちゃん、お寿司食べに来ただけだよって言いにいってくれたんだねと唯が喜び、やっぱり持つべき物はムギだな〜と律も感心していると、ステージ上にエレクトーンが運び込まれて来る。

笑顔で戻って来た紬に、何してるんだ?と律が聞くと、だってなかったんだもの…と紬は答える。

埒が明かないと判断した律が、ここは私に任せておけ!と言い、スタッフに猛然と、ウイ、ア…お客さん、演奏しません!アイラブスシ…と話しかけるがほとんど日本語だったので、スタッフには何も通じてないようだった。

結局、逃げれそうにもない事を悟った5人はステージに立つ。 とにかくやるしかないねと言いながら唯がギターを持つと、そうだね、そうしないとお寿司食べさせてもらえないのかも…などと紬も言い出す。

何演奏する?と聞かれた唯は店内を見回すうちに、1人のターバンを巻いたインド人青年が手を挙げて挨拶して来たので、「カレーのちライス」は?と言い出す。

寿司屋なのに?と律は戸惑うが、いや…、ご飯つながりで…と唯が説明すると、みんな、おお!と納得する。

後、良い人そうだから…と付け加えた唯は、行くよ!と格好をつけたので、何の真似だよ、置いて行かないでくださいとメンバー達は戸惑う。

ごめんごめん!気分が乗って来ちゃって!とにかく早くしないとね…と唯は焦るが、ギターの音を出してみると、チューニングが微妙にずれていた。 しかし時間がないので、梓は、先輩の音に合わせますと言う。

そして、どうも「放課後ティータイム」です!と挨拶した唯達は演奏を始める。

演奏後、スタッフ達は大喜びして、ありがとうございました!と日本語で礼を言って来る。

しかし、あの…寿司を…と口にしかけた唯達は、結局そのまま店を送り出してしまう。 あの人最後なんて言ってた?と聞くと、「ラブクライシス」って言ってましたね…と、店の前で座り込んだ5にんは呆然と言い合う。

どっかで聞いた事ある名前だね、あ!律ちゃんの友達のバンド!だね〜、じゃあ律ちゃんの友達は「ラブクライシスジャパン」だね…と唯は力なく呟く。

やっぱり回るのは良くないんだ…と澪が嘆く。

後さ…、おなか減ったね〜と唯はため息をつく。

言うな…と律が言い、言っちゃいましたね〜と梓も嘆く。

お寿司…と唯が言いながら紬に身体を持たせかけると、食べたいね〜と紬も同意する。

とは言え、もう一度入る勇気はない…と律は諦める。

ねえあの人達、みんな演奏してから食べてるのかな?と唯は訳が分からないと言った風に呟く。

とりあえず、邪魔になるから退こうか?と律が言い、立ち上がると、それにしても何だったんだよ、この寿司屋はよ〜とぼやいていると、あれ?澪ちゃん、律ちゃん!びっくりした!と自分たちに話しかける女性がいたので、慌てて英語で返事を仕様とする律。

みんなで来たんだ?などと言うので、イエス!と適当に答えながらも、やばい、親衛隊が出来てる!と澪に話しかけた律だったが、でも相手は日本語と澪が言うので、改めて相手の顔を確認した律は、マキちゃん!と驚く。

「ラブクライシスジャパン」!と唯も気付いたので、梓と紬も驚く。

何で?何で?何でここにいるの!分け分かんな〜い!と叫びながら駆け寄った律に、どうしたの?と「ラブクライシスジャパン」が聞いて来たので、何かね、お寿司食べようとしたら演奏してって言われて…、演奏したらお寿司食べられなかったんだよ〜、変な所だったのかな〜と泣きながら唯が説明する。

そうなの?私たちここで開店祝いに演奏する事になっているんだとマキが言うので、私たち間違えられたんだ「ラブクライシスジャパン」に!と紬が気付く。 さすがムギちゃん名推理!と唯は感心する。

川上さんって覚えたない?とマキは言い、ライブハウスの?と唯が答えると、そう、その川上さんの紹介でね…、ここの店長さんと知り愛らしいんだとマキは言う。

それを聞いた律は、は〜、世界は狭すぎるにもほどがあるな〜と妙な感心をする。 何か不思議な気分…と唯もうっとりしてしまう。

てか、寿司屋の人勘違いしたままだぞと律が教えると、ああ、そうだね、中入ってくれと良いながら「ラブクライシスジャパン」が店に入て言ったので、5人は店の外でそれを見送る。

5人はようやく、予約していたホテルに到着し、唯は梓とフタリベ派に着いた途端、やっと2人きりに慣れたね〜…と甘えたように抱きついて来る。

おなか空いたね〜、お風呂も入りたいしね〜ともうろうとしながら唯が言うので、そうですね、寒かったですし…と梓は答える。

しゃがみ込んだ唯が、晩ご飯どうしよっか?と言いながら運んで来たケースの方を見る。

結局、日本から持って来たインスタントカップ麺などでの夕食となる。

憂ちゃん、ありがとう!と部屋にやって来た4人も喜ぶが、帰ってから何かお礼しないとな点と澪が恐縮すると、でもこれ電気がないと食べられない〜♩と制服姿になっていた律ははしゃぎながら言う。

先輩方の部屋は何やってたんですか?と梓が聞くと、記念写真だよ〜んと律が言うので、制服で?と梓が驚くと、そのために持って来たんじゃ〜ん!と律は嬉しそうに答える。

その時、シャワーを終えて戻って来た唯がドライヤーを部屋のコンセントに繋ごうとしてショートしたので慌てる。

どうした?と聞かれた唯が、火吹いたんだけど…と怯えると、唯ちゃん変圧器付けないと…と紬が指摘するが、もう嫌だ…、怖いよ〜と唯は泣き出しながらも、ご飯食べようと言うので、全員うんと頷く。 学校の教室で、あずにゃん!私留年したよ!と唯が迫って来たので、ええ!と梓が驚くと、これからは同級生だよ〜などと言いながら唯は梓に抱きついて来る。

そんな!宜しくね! じゃあ私、唯先輩の事を何と呼べば?と部室で梓が戸惑うと、唯でいいんじゃないかな?と、ケーキを食べながら唯は言う。

唯?うん! ゆ…い…? もっと大きな声で! 抱きつかれた梓が、ちょっと唯、止めてよ〜!と言うと、そんな感じ〜!と唯は満足そうに言う。

何だかしっくり来ませ~ん!と体操服の梓が走りながら言うと、だって私、もう先輩じゃないんだよ〜、ないんだよ〜、ないんだよ〜と唯は言いながら部室から出て行く。

夜中、梓はベッドで目覚める。 横のベッドを見ると、唯が電気を点けたままノートに何かを書いた姿で眠っていた。

起きてノートを覗き込むと、「あずにゃんLOVE」とノートに書いてあったので、何これ?と梓は、唯先輩、怖!と怯え、又ベッドに潜り込む。

翌日、5人はロンドンの町に繰り出す。

公園のポストのような物に手を突っ込んで律とふざけていた唯は、それが近づいて来た中年女性の連れた犬の糞入れと気づいて慌てて逃げ出す。

シャーロック・ホームズのベーカー街221-Bの前に立っていた警官と記念写真を撮ったり、アビーロードを歩いてみたりする。

梓が先輩たちが学祭の劇で使っていた律の墓のレプリカを博物館で見たいと言うので同行した5人は、地上に出た所でちょっと休むかと言い出す。

確かこの辺にアフタヌーンティーが出来る所が…と梓が言い出したので、それは私たちの魂だよ!と喜んで店に行ってみるが、そこは予約制だった事が分かる。

テームズ側にかかる巨大観覧車の前に来た一行は早速乗ろうと言い出すが、そんな中、澪は回っている!と言うと、私は下で荷物番しとくよ!などと言いだしたので、大丈夫だよ、みんな着いてるからと良いながら、無理矢理澪も引っ張って行って乗せる。

実際に乗ってみると、ぐるぐる回っているように見えないためか澪も平気のようだった。

ホテルに戻って来ると、梓が私もこっちで…と3人部屋の方へ行こうとするので、あずにゃんはこっちで!と自分の部屋に引きずり込んだ唯は、部屋に入るなり抱きついて来ようとするので、思わず身を避けた梓は、すみません、でも私、そう云うのじゃないんです!ときっぱり宣言する。

しかし床に倒れた唯は、どう言うの?私、ギターに抱きつこうとしただけなのに…と言うので、梓はえっ!と驚き、顔を赤らめると、すみません!勘違いでした!すみません!と詫びながらベッドに潜り込む。

憂にもらった護身術の本が役に立って良かった…と立ち上がりながら唯は呟き、布団にくるまっていた梓のベッドに近づいて来ると、あずにゃん、寝るの?子守唄歌ってあげようか?などと言いながら歌いだすが、すぐに自分の方が眠り始めてしまう。

その後、律達の部屋に来た唯はお菓子を食べながら、誰か出来た?梓ちゃんに送る曲のコンセプト?と紬が聞くので、ロンドンに来ればスケールの大きい曲が浮かぶと思ったんだけどな…とぼやき、ロンドンタワー!テームズ川!みたいな…と力んで叫んで歌ってみるが、律にそれ名所を大きな声で叫んでいるだけと指摘されたので、だって今までにない凄いな曲、作りたいじゃんと言う。

私たちがいなくなっても、その曲聞いたらやるぞ〜!みたいな気持になるような…と唯が力説すると、無敵になれるような…と紬も言い出す。

その時、ベッドに転がった唯が、あのさ、ルームキー持って来るの忘れちゃった!と言い出したので、あそこから行けるんじゃないのか?と隣の部屋に繋がるドアを澪は指差す。

その頃、部屋で目覚めた梓は、隣のベッドにいるはずの唯の姿がなく、カーペットにキャンディーが落ちているのに気付き、今度こそ本当の道しるべ…と寝ぼけながらその後を辿り、隣の部屋に向かう。

その頃、律達の部屋にいた唯は、あずにゃんの部屋に帰りますので…と挨拶し、隣へのドアから部屋へ戻っていた。

その直後、律に部屋をノックして入って来たのは梓で、寝ぼけ眼で部屋の中を見回し、唯がいないと知ると、お邪魔しましたと言い残し、隣への扉から帰って行く。

すると又ドアをノックする音が聞こえ、覗き窓から確認した律は、さっき帰ったばかりの唯だと言う事に気付く。

大変、大変!あずにゃんがいない!と言うので、唯今来たよ、でも戻ったと舎人に繋がるドアの方を紬は指す。

唯はそのドアから自分の部屋に戻ると、又廊下側のドアからノックがあり、梓が入って来て、律先輩、おかしいです!唯先輩がいません!と言って来たので、紬と澪は隣へ通ずるドアを指す。

え?と梓が戸惑っている所へ、又唯が廊下側のドアからやって来た唯が、律ちゃん、やっぱりいないよ!あずにゃん!大変!あずにゃんがいないんだよ!と梓の肩を掴んで来て、ようやく、お?いるじゃん!と気付くと、どこ行ってたんだよ、心配したよ!と言いながら抱きしめる。

その時、いきなり室内の電話が鳴りだしたので、どこから?フロントからかな?こんな夜中に?日本からじゃないか?日本は今朝の6時だよなどと全員疑心暗鬼になる。

唯ちゃん、時差に詳しくなったねと紬が感心し、律が電話に出てみると、ハロー!何!殺し!などとふざけるが、出た途端、切れちゃった!と舌を出す。

そんな律を殴った澪が、どこからなんだろう?と不思議がると、大事なようだったらまたかかって来るわよ〜と紬が言う。

そうだね…と唯も納得し、梓と自分たちの部屋に戻ってベッドに入るが、無敵の曲…と先ほど紬が行っていた言葉を考えていた。

その時、隣のベッドで寝ていた梓が、じゃあ唯先輩は何と呼べば良いのか…とうなされていたで、寝ているのか…と唯は気付く。

翌朝、寝不足気味なのであくびをしながら朝食の席に付いた梓は、先輩、瞬きした方が良いですよと、目の前でじっと自分の方を見つめっぱなしの唯に注意する。

唯は、あずにゃんのための曲…とずっと考え込んでいたのだが、あずにゃん、にゃんにゃん…あずにゃん、にゃんにゃん…と夢中で考えていた唯の気持を知らない梓は、そんなに見ないでください!もうと視線を避けてしまったので、怒られちゃった…と唯は考える。

その後、1人町に出た唯は、曲のコンセプト全然思いつかないな〜、あずにゃん、にゃんにゃん…、あずにゃん、にゃんにゃん…、このフレーズから離れなくちゃ〜…と行き詰まっていた。

そんな唯に、そろそろ出かけますよ〜!と梓が呼びかけて来たので、あずにゃん!と駆け寄ろうとして唯はずっこける。

みんなと楽器店に行った時も、唯は、あずにゃんのための曲…、もっとスケールの大きな…、大きな…、大きな…じゃなくて!と心の中で1人突っ込みしていた。

ロンドンの町みたいにかっこ良い曲を…と、その後もずっと唯は考え続ける。 ベンチで休憩していた時、

律の携帯が鳴り、あれ?川上さんからだと律が耳を当てると、この間はどうも!元気!マキちゃんから聞いたんだけど、あなた達もロンドンに行ってるんですって?で、お願いがあるんだけど、そっちで日本のポップカルチャーを紹介するイベントがあってね、「ラブクライシス」と「ブラックフリル」が演奏するんだけど、あなた達にもお願いできない?と言って来たので、律は考え込むが、明日の午後なの、そっちにいる?と言うので、はいと律は答える。

詳しい事は携帯にメールさせてもらうからと川上さんは言う。

女子高生バンドとして紹介したいんだって…とその後マーケットで買い物ちゅう、メールを読んだ律がみんなに伝える。

すると唯が、ねえねえ、日本から送ったメールって過去に送っている事になるの?と聞いて来たので、ならないですよと梓が答えると、だってこっちはまだ今日だけど、日本では明日になっているんでしょう?と唯は言うので、それは…と梓は困惑する。

どうしようか…、いきなり言われてもな…と買い物しながらメンバー達が話し合っていると、唯が突然、あ!だったらこっちからのメールは未来に向けて送ってるんだ!と言い出したので、唯先輩、話がごちゃごちゃになりますから黙っていてください!と梓が注意する。

じゃあ断る?と律が聞くと、私、演奏したいよ…だめ?何か良く分からないけど、凄くラッキーじゃない?大丈夫!きっとお寿司屋さんの時のようにはならないよ!と唯が言い出す。

そこ、心配してるんじゃないんですけど…と梓が言うと、私もやりたい!と紬も賛成し、澪も、うん!と乗り気になったので、良〜し!川上さんに返事出すな…と良いながら律は携帯を取り出すとその手を高く上げたので、他の4人はその手にみんな加わり、一緒にメール送信する。

未来に向けて送信した!と唯が喜ぶと、あの…、明日って帰国する日じゃ?と梓が指摘する。

あ、そうだね…と唯も気付き、飛行機に間に合うんですか?と梓が確認すると、飛行機って何時だっけ?と澪が聞く。

5時くらいに空港に着かないと…と梓が教えると、メールを確認した律は、演奏は4時からだと言うが、大丈夫だよ!大丈夫と唯がセーターの袖先からピースなのかどうか良く分からない指を差し出して言う。

唯先輩の大丈夫はとても危険な気がしますと梓は案じる。

とりあえず「ご飯はおかず」を英訳してみたよと、ホテルに戻って来た唯は、みんなに見せる。

それを聞いたメンバー達は、何?英語で歌うの?と驚くので、インターナショナルにねと唯は言うので、大丈夫か?と澪は案じ、どう訳したんです?と梓も聞く。

「ご飯は凄いよ」は「ライス イズ スーパー?」と唯が言うので、直訳過ぎないか?と澪が指摘する。

「何でも合う」は?と聞くと、「ばっちりジャストフィット」と唯は答えるので、ばっちりって日本語じゃなかったっけ?と澪が不安げに呟く。

「むしろご飯がおかずだよ〜」は「むしろ…、ノット ソウ マッチ エー アズ ビー」と唯が言うので、定番の構文ですね…と梓が言う。

何だかごはんがメインからサイドになっちゃった!と紬は面白そうに笑う。 その夜、ベッドで寝ていた唯は急に目を覚ますと、今何か浮かんだ!あずにゃんのための曲…、何だろう…、何か凄い大発見のような気がしたんだけど…と考える。

じゃ、私、唯先輩の事何と呼べば…と梓はまたうなされていた。

翌日、梓は眠そうにしており、唯先輩の夢を見て良く眠れなかったんですと言うので、どんな夢?と唯が聞くと、それが凄く変な夢なんですよ、秘密ですけど…と梓は肝心の部分を話さなかった。

エレベーターで1階ロビーに降りた時、ちょっと待ってと言いながら、紬がキーボードを持って来たので、ひょっとして、ムギのキーボード?と澪が驚くと、だってみんな持って来てたんですもの〜と紬は言う。

金持ちすげえな!と律が感心すると、一杯揃って嬉しいね〜と唯も喜ぶ。 巨大観覧車の側に会場はあった。 たこ焼きの屋台や、怪獣、鎧兜やコスプレなどの姿も見える。

あ、焼きそばの屋台があるよ!と紬が発見するが、今回も食べられない!と律が言う。

「ラブクライシス」に会ったので、マキちゃん達は何時からと律が聞くと、3時半と言うので、私たちの前なんだ…と澪は気付く。

「ブラックフリル」さんたちは?と唯が聞くと、2人とも4時と手で知らせて来たので、あれ?4時?と唯は不思議がり、私たちも4時からじゃなかったですか?と梓が言う。

律ちゃん、間違えたんじゃない?と唯が確認すると、ううん、時間合ってるよ、「ブラックフリル」と私たちは中のステージで演奏するんだけど、律ちゃん達は野外ステージなんだってとマキが教える。

それを聞いた唯は実際に野外ステージに立ってみると、決行良い長めだねと気に入る。

私たちだけ野外かよ〜と思ったけど、良いかも!と律も安心する。

その時、スタッフの男性が近づいて来て、セッティングを始めてくださいと言って来る。

唯は、ギターのコードをアンプにさそうとして、ホテルでのショートを思い出し、これさして良いのかな〜、火花が出たりしない?と怯える。

そんなことある訳ないじゃないですか〜と梓は教え、ねえ澪先輩と聞くと、そうだな…なんか嫌な予感がするなと澪は言うので、澪先輩まで!と梓は呆れる。

誰か分かる人いないかな〜…と唯が躊躇しているので、お客さんの中にですか?と梓は驚く。

私、スタッフの人呼んで来ようか?と紬が声をかけるが、そこに近づいて人物が、唯の手からコードを取り上げ、そのままさせば良いのよ!と良いながらアンプに刺したのはさわ子先生だった。

そもそもそのギター、日本のメーカーじゃないでしょう?とさわ子先生は言うので、何?幻?何故ここに?とみんな不思議がる。

足ある…などと澪が言うので、何よ!幽霊じゃないわよ!と叱ったさわ子先生は、どうしてロンドンに?ハネムーンは?と聞いて来た梓に、マイルが貯まってたのよ、飲み会のカードで払ってコツコツ貯めたのに、もうすぐ有効期限が切れちゃうのよ、それに私、軽音部の顧問だしね!とさわ子先生は言う。

いつ来たの?と唯が聞くと、着いたのは昨日とさわ子先生は答え、帰るのは?と澪が聞くと、今夜!と言うので、大人って凄い!と澪は感心する。

一言言ってくれれば良いのに…と律が言うと、ホテルに電話したんだけど、あなた達でないんだもの…とさわ子先生が言うので、ああ、あれ、さわちゃんだったんだ…と律は思い出す。

さ、とっておきの衣装も持って来たわよ!と言いながら、さわ子先生がバッグを開けると、そこには忍者風の衣装が入っていた。

ジャパニーズレディニンジャ!と披露したさわ子先生は、和と憂が扮装している写メを携帯で見せる。

それを見た律は却下!と言いながら、さわ子先生の携帯を閉じると、はいはい、スタンバイ、スタンバイ…と冷めたように指示する。

ステージを始めた「放課後ティータイム」だったが、唯、そろそろ飛行機の時間が…と律が注意したので、唯は時間がない事を悟り「ご飯はおかず」を日本語で歌い始める。

1234ご飯!の後、もう一回!と唯が言い出したので、みんな驚く。

スカイハイ!と唯はしめる。

演奏後、メンバー達は、赤ちゃん可愛かったんだもの!と言い訳する唯に同意しながらも、ぎりぎりの出発時間に間に合わせるため、全速力で空港へ向かう。

かっこいいとこ見せたかったんだよ〜と叫ぶ唯も走っていた。

さわ子先生がタクシーを停め、空港へ向かうが、疲れ切ったのか、梓は1人眠りについていた。 律は、そんな梓の寝顔を写真に撮る。

途中、外は雪が降り始めた事にメンバーは気付く。

その時唯が、ねえねえ凄い事に気付いたよと言いだす。 いつもの自分達の曲で良いんだよね…と唯が他の3人に囁きかけると、あら、今頃気付いたの?と律は言い、私もそう思ってたわよ、唯ちゃんと紬も、私もとっくの昔に気付いてたわと澪も答えるので、ええ!と唯は驚く。

旅客機は飛び立つ。 無事帰宅した唯は遊びに来た和に、土産で持って来た紅茶を前に、好きなの持ってって!と選ばせる。

10年分くらいあるわね…と和が量の多さに驚くと、ロンドンでアフタヌーンティーできなかったんだって…と憂が言うので、それは残念ねと和は同情する。

でも演奏はして来たんだよね?と憂が聞き、聞いた、それ見たかったわと和も言うと、楽しかったよ〜と唯は微笑む。

すると、クラスのみんなも見たかったと言ってるわよと和が言うので、そうなの?と唯は聞き返す。

3年2組の教室でも、ねえねえ、ロンドンでライブやったんでしょう?どうだった?何やったの?とクラスメイト達が聞いて来る。

「ご飯はおかず」だよと唯が教えると、どないやねん…と若王子いちごがぼそりとつぶやき、卒業するまでにもう一回聞きたいな〜、唯達の演奏…と立花姫子が言い出し、ジャズ研は卒業ライブするんじゃなかったっけ?などと言うので、何!と律はいきり立つ。

良いね!思いつかなかったね?と紬も言いだし、何かやりたいねと唯は律達に迫る。

どこでやろう?と唯が言うと、部室?と澪が言うので、ええ!と唯は落ち込む。

その時、じゃあさ、リクエストして良い?と中島信代が声をかけて来る。

教室でライブ?職員室にやって来た唯達から相談を受けたさわ子先生は戸惑う。

そう、最後の登校日に…と唯が言い、高校最後の思い出作り!と律も付け加える。

その時、職員室に堀込先生が入って来て、その会話を耳にすると立ち止まり、さわ子先生の方を見たので、さわ子先生はのけぞり、ダメよ、他のクラスの迷惑になるでしょう!と言い出す。

合奏部や吹奏楽部が教室で演奏したりする?とさわ子先生が言うので、さわちゃん、急にどうしたんだよ!と律などは戸惑う。

とにかく、あなた達だけ特別って訳には…と言いながら、テスト用紙の裏側に何かを書きながら、いかないの!と言いながらも、その用紙をメンバー達に見せてウインクする。

そこには、「朝とかどう?」と書いてあった。 分かったよ、さわちゃんと唯が言うと、そう?分かってくれた!とさわ子先生も嬉しそうに答える。

あん時、何か知らないけど、メチャメチャ怒られたのよね…と4人が帰るとすぐ、さわ子先生は考え込む。

あの子達、あの頃の私たちに比べ全然ロックじゃないもの…と、教室内で演奏し、堀込先生に怒られていた「DEATH DEVIL」時代を思い出す。

ふわふわのひよこちゃんだわ…、きっと絶えられないわ、あの子達…、絶対泣いちゃうわね…、だったら私が守るしかないじゃない!とさわ子先生は決意する。

梓は、花の飾りを作っていたが、はさみを借りに来た鈴木純に貸すと、梓ってさ…、面白い事するよね…とテープの付いたはさみを見せて来たので、しまった!それは先輩が!と言い訳仕様と立ち上がるが、その時、窓を叩いて来たのに気付いた梓が目をやると、手招きして来たので、違うのに…とぼやきながら窓を開けると、唯達4人がしゃがんでいた。

教室でライブですか?と廊下で話を聞いた梓は戸惑うが、うん、でもまあ、あたし達の教室だからさ…、私たちで野郎かな〜と思って…と唯が言うと、そんなのダメです!私もやりたいです!と梓は言って来る。

本当に?と唯が確認すると、はい、先輩たちとみんなの前で演奏できるなんてもう最後じゃないですか!しかも学校で!と梓は熱く語る。

ありがとう、あずにゃん!と唯が抱きつこうとすると、それを押しのけながら、で、いつやるんですか?律先輩!と梓は聞く。

来た!最後の登校日、あの子達は私が守ってみせる!と意気込んでさわ子先生は学校にやって来る。

教室では机を並べてステージを作っていた。

「放課後ティータイム」の演奏を始めた時、堀込先生が職員室にやって来て、山中先生お早いですなと声をかけて来る。

ええ、やる事が色々ありまして…とさわ子先生が答えた時、おや?あの音は…と堀込先生が気付いたので、え?ああ、工事でもしてるのかしら?とさわ子先生はごまかす。

ああそうですか、景気の良い工事ですな〜と堀込先生は言いながら自分の席に向かいかけるが、な〜んてな!と言うや、きびすを返し、お前らがこそこそ話してたのはこれか!怪しいと思ってたんだぁ!と言い、教室へ向かう。

待ってください!とそれを追うさわ子先生。 図書館にいた女生徒たちも、ライブ?見たい、見たい!と出て行く。

えと、これで最後にします!と言った唯は、最後の曲「U&I」を始める。

問答無用!と教室に向かう堀込先生の身体に抱きつき、廊下を引きずられて行くさわ子先生。

ま、昔のお前達に比べたら、可愛いもんだな…と、教室の前に来ていた堀込先生はさわ子先生に言う。

昔、堀込先生から叱られていたとき、泣きそうになっていたのはさわ子先生だったのだ。

その時、教室内から女生徒たちが出て来て、堀込先生とさわ子先生を教室内に押し込む。

それを見て驚くメンバー達、教室内にはオカルト研の2人も来ていた。

後はあずにゃんの歌を完成させるだけだよ…と、その日の放課後、唯は3人と話していた。

だけって、それが一番大事な事だろ?と澪が言うと、そうだ、メロディが出来たの…と紬が言うので、聞かせて!と唯はねだる。

その後、律と澪もイヤホンで曲を聞くと、凄いぞ、ムギ、これ!と感心する。 後は歌詞がまとまれば完成だね…と紬は言う。

あずにゃんと一緒にいた時間がたくさんあって困っちゃうね…と呟く唯。 私たちの宝物だよ…と唯が言うと、あ!それ使おうよ!と澪が乗って来る。 帰宅後も、みんな歌詞を考える。

その後、みんなでバーガーショップに集まり互いの歌詞を見せ合う。

そして、曲と詩を合わせてみた4人は、できた?できた!良かった!間に合った!と感激する。

その知己、澪が、唯、まさかとは思うが、この事はまだ梓には…と言うので、大丈夫だよ!憂にも内緒にしてるもん!と唯はVサインを出してみせる。

なんかさぁ〜と卓球をしていた梓が言い出したので、相手をしていた鈴木純がどうした?と聞くと、ずっと変なんだよね、先輩達…と梓は言う。

ずっと変じゃんと純が指摘すると、そうじゃなくて!と梓が言うので、どこが変なの?と純が聞くと、私が行くとね、急に何かしてた事を止めたりするのと梓は答える。

そりゃおかしいねと純が言うと、何してたんですか?って聞くと、急に目をそらして…と梓が言うので、宇宙と交信してるんじゃない!と言いながら純が打ち返して来る。

もしくは、梓に隠れてすんごいお菓子食べてるとかね…と純が言うので、それは…、あり得るな…と梓は納得する。

何かずっと隠している感じで…、ねえ憂、まさかとは思うけど、唯先輩、留年…してない?と梓が小声で聞くと、審判役を務めていた憂は、それはないよ、卒業式用のタイツ買うって言ってたもんと教える。

そっか…と梓が納得すると、じゃあさ、やっぱり大学落ちてたり…と純が言い出したので、ちゃんと確かめた!と憂は答える。

じゃあ何だろう?と梓は首を傾げるので、大丈夫だよ、梓ちゃん!と憂は慰める。

その頃、でもね〜、会えたよ〜、素敵な君に〜♩と唯は自室で歌の練習をしていた。 ふ〜ん…、何かここの歌詞物足りないな〜…と歌詞を書き直そうとしていた時、ノックの音が聞こえ、お姉ちゃん、入るよと憂の声が聞こえたので、は〜いと答えたものの、ま〜だだよ!と焦り始めた唯は、歌詞ノートを机の下に隠してベッドでネタ振りをする。

お姉ちゃん、又ほっぺに弦の痕がつくよと注意していた憂は、テーブルの下のノートに気付いてしまうが、明日の準備できてるよね〜とごまかす。

うん、とうとう卒業か…と呟いた唯は、早く寝てね!と言う憂に、憂もねと答え、帰りかけた憂を呼び止めると、ありがとうねと「言い出す。 え?と驚く憂に、私、ちゃんと卒業できるよ〜…言うので、うん!と答えた憂は、おやすみ!と可愛く手を振っていく。

すると又、あ、そうだ、憂!と呼び止めた唯は、大学行ってもみんなでお茶出来るよね?と聞いて来るので、もちろん!出来ると思うよ!と憂が答えると、そっか…良かった〜と唯は安堵し、じゃあ今度こそお休み!と言う。

憂は、何も心配ないと思うよと梓にメールを送る。 翌朝も、唯はベッドの上で曲の仕上げをしていた。

その時、8時を過ぎている事に気付いた唯は慌てて駆け出す。

4人も合流し学校へ走る。

卒業式の後、屋上へ向かった唯は、開いてたぞ!と先に屋上で待っていた律から呼ばれる。

わ〜!と叫んで唯が走り出すと、他の3人も声を上げながら屋上を走る。 その後、4人でスクラム組んだ唯は、ねえ律ちゃん、巧く演奏できるかな?と聞く。

私、何だか、今までで一番緊張してるよと打ち明ける唯。

すると紬も、私も…凄く手が冷たいの…と言い出す。 その手を握った律は、本当だ!と言い、緊張するよな!と身重手を握りしめる。

ヤバい!と叫んで、もう一度スクラム組み直す律たち。

やっぱり止める?ダメだ〜! 梓ちゃん、どう思うかしら? 喜ぶに決まってる! 良かった、みんなドキドキしてたんだね〜と唯が喜ぶト、当たり前だ〜!と律が応じる。 その時、風がふき、1羽の鳩が飛び立ち、飛行機雲が上空に見える。

その頃、梓はノートに、唯先輩へ…と何か書きかけていた。 その時、風で窓が鳴ったので、廊下に出て外を見た梓も、鳩と飛行機雲を見る。

私が始めて律ちゃん達の演奏を聴いたのって、翼をくださいだったよねと唯は思い出す。

あれで4にんで軽音部が始まって…と紬も言い出す。

梓が入って来てくれて…と「律が言うと、凄いパワーアップしたよね〜と唯は嬉しそうに言う。

梓のカッティングで音が閉まるんだよな…と澪も言う。 唯のは力技だもんな〜と律がからかうと、お前が言うなよと澪が突っ込む。

その時、そっか…、私たちに翼をくれたのはあずにゃんなんだ!と唯が言い出したので、3人も驚く。

あずにゃんは私たちを幸せにしてくれた! 小さくて可愛い天使なんだよ!と唯は言う。

その間も、教室に1人残っていた梓は、ノートに何かを書き続けていた。

天使って…と律が呆れると、そうかもしれないなと澪が反省するが、その時、唯は、でもね〜会えたよ〜素敵な天使に〜♩と歌ってみせると、ちょっと恥ずかしくないか?と律は照れるが、いや凄く良いと思う!と澪達は感激する。

この曲もあずにゃんの羽になるかな?と唯が聞くと、なる!…と思いたい…と律が答える。

なるわ、たくさん詰め込んだもの!梓ちゃんへの気持、一杯!と紬も強調する。 気に入ってくれると良いな…と澪は呟く。

唯が、空の飛行機雲に両手の手のひらを広げて伸ばし、親指と人差し指で三角形を作って見上げると、お茶にしようか…と誰かが言い出す。

部室で抗茶を煎れ、紅白饅頭食べよ!これ旨いよな〜などと話し合う4人。

これ、あずにゃんの分ねと言いながら、唯が紅茶をカップに注いでいると、みんなどうやって切り出す?と澪が言い出す。

まずは部長の私から、梓、聞いて欲しい曲があるんだ!次ぎはムギかな〜? 梓ちゃんのために作ったのよ!巧く言えるかな〜と紬が言うので、笑ったりしちゃダメだよ、ムギちゃん!とみんなが励ます。

はっ、ちょっと待って!と言い出した紬が、この話をしているときっていつも…と言いかけた時、ドアが開いて梓が入って来る。

すみません!今日くらい、お茶煎れようと思ってたんですけど…と梓が言うので、だめよ〜と紬は微笑む。

職員室で自分への寄せ書きを書いた色紙を眺めるさわ子先生。

あずにゃん、こっちへお出で…と呼びかける唯。

椅子に腰掛けた梓の前で、音合わせした4人は互いに頷き合い、梓のための曲を演奏を始める。

(歌を練習して来た回想が重なる)でもね〜会えたよ、素敵な天使に〜♩

演奏が終わると、思わず立ち上がった梓は拍手をする。

梓と別れ4人で帰る唯が、あずにゃん喜んでくれたよね、あれ?秋山さん泣いてるの?とからかうと、ちょっと鼻が詰まっただけだ!と澪はむきになって否定する。

泣いてる暇なんてないわよ澪ちゃん!と紬が言うと、そうだよ、私たち大学生だよ!と唯も突っ込む。 お茶の時に食べるお菓子もちょっと大人っぽくしなきゃと律が言う。

そう言えば、あの「DEATH DEVIL」の曲も後輩のために作った曲歌なんだって…、そうなの?人の感性ってそれぞれだな…などとだべりながら歩いていると、あれ?私たち、ちゃんと伝統受け継いでいるじゃん!と唯が気付く。

すっごい偶然だけどな…と律が言う。

そうだ、来年はどこ行く!と唯が駆け始めたので、来年?とみんなも早足に鳴りながら聞くと、あずにゃんの卒業旅行!と唯は言う。

行くのかよ〜と突っ込む律。 行こうよ!と笑いながら走る唯は、羽を広げるように両手を横に伸ばし、橋の上で会った友達2人に声をかける。

おしまい

風の中で演奏する「放課後ティータイム」のMV風イメージをバックにエンドロール
 


 

 

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