白夜館

 

 

 

幻想館

 

アイアムアヒーロー

コミック原作の実写化らしいが、原作は知らないのであくまで映画だけの感想

主人公中心に事件が拡大して行く過程は面白いのだが、冷静に考えると釈然としない所も多い。

冒頭から流れているテレビ報道を聞いていると、世間でZQN(ゾキュン)騒動がマスコミに気付かれ始める時間と主人公鈴木英雄が遭遇するZQN(ゾキュン)騒動はほど同じタイミングで起きている。

と言うことは、鈴木がまずアパートでてっこに襲われ、翌朝、路上のZQN(ゾキュン)たちから比呂美と共にタクシーで逃れ、富士吉田市に到着したのはほぼ1日経つか経たぬかの出来事と言うことになる。

そんな短時間でZQN(ゾキュン)の弱点など分かる訳もないので、富士山に登れば安全などと言うネット上の書き込みはどう考えてもデマだったと言うことだろう。

なぜ鈴木と比呂美が富士山に向かう展開にさせたかと言うと、後半のアウトレットパークと言うある種閉鎖空間で物語を展開させるための伏線と言うことだろうし、なぜ閉鎖空間にしたのかと言うと、ZQN(ゾキュン)を演じるエキストラやセットの準備を始め、野次馬などに邪魔されず、撮影が楽になるという計算だろう。

深作欣二監督「ギャング同盟」(1963)後半の西部劇のテーマパーク跡地みたいな場所での攻防戦に発想は近いようにも見える。

仮にこのアウトレットと言う設定が原作にないのであれば、この場所ありきの映画的なアイデアだったのではないだろうか。

ただアウトレット設定にしたためそこから生じた疑問点もあり、一番気にかかるのが、鈴木と比呂美がアウトレットに到着するまでにかかった時間経過と、アウトレット内の屋上でグループ生活が営まれるまでに費やしたであろう時間経過とのズレである。

鈴木と比呂美は富士吉田市を出発し、一緒に夜を過ごしたのは神社での1晩だけ。

翌日にはもうアウトレットに到達しているようにも見えるので、てっこに襲われてからせいぜい2〜3日程度の時間経過に見える。

一方、アウトレット内の屋上でのグループ生活はとても2〜3日程度で形成されたようには見えない。

ZQN(ゾキュン)から逃れるうちに屋上が安全と気づき、生き残った者が全員屋上に上がって難を逃れるだけでも1日以上はかかりそうだし、あれこれアウトレット内から備品を屋上に運び上げているのだから、さらに数日はかかりそう。

さらに焼身自殺する者まで出ていると言うことは精神的に追いつめられるほどの時間経過があったと言うことだろう。

グループ内で伊浦と言うワンマンリーダーのような者まで出来て上下関係が出来ているのだから、とても2〜3日での出来事とは思えないし、一体、どんな経緯で伊浦があの立場に立ったのかも良く分からない。

さらに薮は病院の患者を放り出して逃げて来たと言っているので、アウトレットに来たのはZQN(ゾキュン)騒動発覚後のはずで、薮はZQN(ゾキュン)ではない一般の病人を見捨てて、たまたまアウトレットに買い物に来ていてZQN(ゾキュン)に襲われたと考えるのは不自然過ぎるだろう。

だとすると、最後薮が伊浦の遺体を指し、ただのZQN(ゾキュン)、クズ以下よと吐き捨てるほどの憎しみの原因が掴みにくくなる。

単に比呂美を矢で殺そうとした残虐行為を怒っているのか?

それとも、死ぬ前の伊浦が薮に投げかけたセクハラめいた発言に何か現実性があったのか?

だとすると、その男女の関係性はいつから出来ていたのか?

ただこうしたことは、見終わった後あれこれ涌いて来たもので、映画を見ている最中はさほど気になったと言う程ではない。

VFXも優秀だし、何も考えずに楽しめる、日本映画では珍しいゾンビアクションの快作になっているのは間違いない。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、花沢健吾原作、野木亜紀子脚本、佐藤信介監督作品。

今朝6時、広島県広島市で土佐犬が人を噛んで重体と言うことです。

駆けつけた警官3人も襲われた模様… 飼い主の藤井雅之も噛まれたとのことです… 今のニュースに誤りがあったようです、土佐犬が人を噛んだのではなく、人が土佐犬を噛んだと言う事でした… などとTVの女性アナがニュースを読んでいたので、聞きながら仕事をしていた漫画アシスタントのミーちゃん(栗田恵美)が思わず、訳分からんと呟く。

同窓会なんて誰が行くかなどとアシスタント仲間の松尾(マキタスポーツ)と雑談しながら仕事をしていると、TVから、35歳の無職の男が小学2年生に暴行と言うニュースが流れて来たので、鈴木君だったりして…、ついに鈴木君も犯罪人か…などとアシスタント仲間の三谷(塚地武雅)が冗談を言う。

からかわれた鈴木英雄(大泉洋)は、日本最高峰の文化は何かと言えば、映画は文化や言語の壁があって世界をリードするのは難しい。

それに比べ漫画は世界をリードすることが出来る!日本が誇る世界の文化はこの場所から発進されるのだ!と突然叫びだし、それを聞いた三谷(塚地武雅)も、負けたよ…、漫画最高だね!と達と一緒に盛り上がる。

次の瞬間、三谷が、鈴木君!独り言止めて!と注意する。

今、偉そうなことを言っていたのは、鈴木の妄想だったのだった。

夜 アパートへ帰って来ると、同棲中のてっここと黒川徹子(片瀬那奈)がベッドに横たわり枕元のTVを見ていた。

てっこは、TVで男は働いて良い所を見せないとと女性タレントが主張している時、わざとボリュームを上げて、カップラーメンを啜っていた鈴木に聞かせる。

深夜、壁に貼った「俺は大器晩成型」とか「俺こそロック」「メガネドレッサー」などと自分で書いた自画自賛コメントの付箋と小さなトロフィーを見ながら、もう15年か…と呟きながら、本棚を横にスライドさせ、置くにあったロッカーを明けると、そこには猟銃と「猟銃・空気銃 所持証」が入っていた。

ロッカーの中の鏡に向かって猟銃を構えていた時、起きて来たてっこが寝ろよ!とバカにしたように言って来たので、仕事のイメージ作り!と鈴木がごまかすが、売ったら?趣味に金をかけるような余裕ないから…と吐き捨て、壁に貼った付箋を破ったてっこはトイレに入る。

今度こそ巧く行きそうだから…と答えた鈴木だったが、翌日、「スピリッツ編集部」に漫画を持ち込むと、主人公が普通なんですよ…と原稿を見た編集者はダメ出しをする。

その時、コロリ先生!と呼びかけた編集者は、編集部にやって来た人気漫画家中田コロリ(片桐仁)に、こちら同期でしょう?新人漫画賞の…と鈴木を紹介する。

コロリは鈴木を覚えてないらしく、鈴木の名前は編集者から聞いて始めて思い出したようだったが、今、どこで描いているんです?と聞かれた鈴木は、面白くなさそうに、今、休んでいる所ですと答える。

編集者は立ち上がりコロリの後を追うと、先生、ロレックス良いな〜とか褒めちぎるが、鈴木の原稿は、又その内!と無視して去って行く。

その日、帰宅したアパートでは、仕事が取れなかった鈴木に我慢できなくなったてっこが、鈴木の荷物を全部部屋から捨て始める。

漫画賞のトロフィーを掴んだてっこは、燃えないゴミと分別する。

英雄君のは夢じゃなくて妄想って言うのよ!英雄君、普通じゃない?出てってよ!もう私だって34なんだよ!と怒鳴ると、てっこはドアを閉め、鈴木を外に押し出してしまう。

テッコの左手首には、自傷の痕か包帯が巻かれていた。

てっこ、ごめん!銃の所持許可証だけ取ってくれないか?あれないと銃刀法違反になるんだよ!とドアの外から鈴木が呼びかけると、郵便受けの隙間から許可証を渡して来る。

近くの公園のベンチに腰掛け、スピリッツの中田コロリの作品を、これが大人気?とぼやきながら読み始めた鈴木だったが、すぐに、まじか?面白え!と感動する。 そんな鈴木の隣のベンチにも、得体の知れない中年男が座っていた。

アシスタントの仕事のために先生のマンションに行くと、新型の感染症と見られる風邪が流行っていますと言うTVのニュースの流れる中、ミーちゃんが体調悪い…と言いながら隣の部屋に入って行く。

大丈夫?風邪流行ってるね?などとアシ達は案ずるが、ミーちゃんと先生出来てるんだぜ、首のキスマーク見たろう?などと三谷が言い出す。

仕事の痕、ミーちゃんここに戻って来るんだ、尾行している俺が言うんだから間違いない!などと三谷は言うが、そこに先生がやって来て、やはりだるい…などと言うので、大丈夫ですか?と三谷が聞くと、何か、締め切り来ない気がする…などと言うが、その首筋にはキスマークを隠すためか絆創膏が貼ってあった。

夜、仕事部屋で寝ていた鈴木の携帯が鳴ったので出るとてっこからだったので、ベランダに出てきちんと聞こうとした鈴木は、上空を飛び去る何機ものヘリコプターを見る。

英雄?とてっこが呼びかけたので、てっこどうした?と聞くと、酷いこと言ったけど、私やっぱり英雄君といたい!と言うので、てっこ、俺がごめん!てっこは悪くない!俺が全部悪い!と謝り、翌朝、アパートへ帰るが、ドアに鍵がかっていて開かない。

慌ててズボンのポケットを探った鈴木だったが、鍵を持たないまま追出されたことに気付き、鍵開けて!てっこが好きなメロンパン買って来たからと呼びかけるが全く返事がない。

不思議に思いスマホをかけても出ない。 郵便受けの隙間から中をのぞくと、ベッドで寝ているてっこの姿が見えたがぴくりとも動く気配がない。

てっこ!と何度も呼びかけていると、急にベッドのてっこがけいれんを起こしたような奇妙な動きをしてベッドから落ちる。

てっこ、大丈夫か?と郵便受けの隙間から呼びかけると、おかしな格好で立ち上がったてっこはいきなりドアを押して外に飛び出して来る。

そのてっこの様子のおかしさに怯えた鈴木は殴っててっこを部屋の中に閉じ込めるようにドアを閉めようとする。

すると、てっこは閉まりかけたドアの端を口でくわえたので、歯が取れてぼろぼろと落ちて行く。

鈴木は左手を噛まれるが、何度かドアを閉めて難を逃れる。

郵便受けから中をのぞくと、てっこはいきなり仰向けに倒れると、後頭部から黒い血が流れ出すのが見えた。

同じアシスタント仲間の松尾は頭を割られ死んでいた。

恐ろしさに絶えきれず鈴木は逃げ出すが、部屋の中には、てっこと鈴木のツーショット写真を入れた写真立てが転がっていた。

歩道橋を渡っている時、反対方向から左手を押さえた女がすれ違い、上空を巨大な軍用機のようなものが多数飛んで来るのが見える。

先生のマンションにやって来た鈴木は、何か中の様子に違和感を感じ、そっとアシスタントの部屋を玄関から覗くと、TVを見ていた三谷が振り向き、血の付いたシャツとバットを握っていることに気付く。

上がって来いよ、もう土足で良いからなどと三谷は声をかけて来るが、TVでは、救助の消防隊員も噛み付かれたなどと言うニュースが流れていた。

その時、お前、やったんか?などと言いながら三谷に隣の部屋から近づいて来たのは、胸に包丁が刺さったままの先生だった。

ミーちゃん締め切り…、ミーちゃん、どこ行ったの?などと呟く先生の頭部をいきなりバットで叩き潰す三谷。

それでも先生は、都庁できた?などと言っている。

さらに頭部を叩き潰した三谷は、頭を完全に破壊しないと死なないらしい。

都庁、3時間で描けるか!アメリカなら銃で一発なのに…とぼやきながら、床に倒れた先生の頭をバットで何度も叩いた三谷は、やる?と言いながら、血染めのバットを玄関にいる鈴木に渡そうとする。

一体何が起きたんです?と聞くと、俺に分かる訳ないだろう?俺はかみさんか!とおどけた三谷は、鈴木君、噛まれてない?噛まれると観戦するらしいと三谷が言うので、さっきてっこから噛まれた左手を確認した鈴木は血は出たないと答える。

世の中全部ニートになった…、俺たちの時代がやって来たんだ…と喜んでいる三谷の右足を見ると、咬み傷があった。

俺はならない、クソ虫には…と言いながら、机の上にあったカッターナイフを取った三谷は、俺たちの時代が来た〜!と叫びながら自分の喉を切断する。

呆然として立ちすくんでいた鈴木は、隣の部屋から出て来て迫って来た元ミーちゃんらしき異様な容貌のモンスターを見て、マンションから逃げ出す。 外の道路に飛び出すと、そこは既に、襲うものと逃げるもので大混乱状態だった。

警官がいたので、おまわりさん!と助けを呼びかけた鈴木だったが、既にその警官もモンスターになっており、次の瞬間、猛スピードで走って来た車にひき殺される。

鈴木は懸命に逃げるが、群衆の中にはこのパニック状態を面白がり写メを取っている連中もいた。 車に引かれそうになった男がいたので、大丈夫か?と近づこうとした鈴木だったが、大勢の群衆が迫って着ているのに気付きさらに逃げ出す。

タクシーが停まっているのに気付いた鈴木は、運転手に乗せてください!と窓を叩いて頼むが、運転手(村松利史)は外の様子にビビってしまい動こうともしない。

その時、突然、見知らぬ女子高生早狩比呂美(有村架純)が鈴木に抱きついて来る。

背後を見やると、いつもお世話になっておりますとスマホに話しかけながら近づいて来るサラリーマンのモンスターがいた。

思わず鈴木は持っていた猟銃を構えるが、それは妄想に過ぎなかったので、女子高生に気付かれないように指パッチンの真似をしてごまかす。

その時、タクシーの反対側から後部座席に乗り込んだ男がいたので、鈴木と比呂美も、それぞれ後部座席と助手席に乗り込む。

タクシーに付いていたTVでは、「トゥデイズライン」と言う番組で暴動のニュースを報道していた。

チャンネルを変えると、13チャンネルだけいつもと同じようにアニメを放映していたので、東テレがアニメを放送している間は大丈夫だと鈴木は前の助手席の比呂美に伝えるが、次の瞬間、その東テレもニュース番組に切り替わる。

先に乗り込んでいた男千倉(風間トオル)は苛立たしげにどこかに電話をしていたが、発砲許可が下りない?などと言っている所から見ると政治家っぽかった。

しかし、その千倉の左手を見ると噛まれた痕がはっきり見えた。 次の瞬間、千倉はモンスターに変心し始める。 タクシーが走っている外のマンション群は火災が起きていた。

千倉は、まだ自分の変身に気付いてないのか、ノートを取り出してその内容を読もうとするが、自分の顔から落ちた血がノートを汚すのに切れ、ティッシュだよ!と運転手に怒鳴りつけながら男は噛み付く。

驚いた鈴木は、運転手さん、停めて!と呼びかけながら、飛びかかって来た男に噛まれないように必死に抵抗する。

その時、鈴木の横のドアが開き、飛びかかって来た千倉はその勢いで自らドアから落ちかけるが、引きはがそうとする鈴木の身体にしがみついて来てはなれない。

見かねた比呂美が、助手席から後部ドアを閉めて千倉にぶつけ引き離そうとするが、道路に引きずられながらも千倉はなかなか離れない。

鈴木は必死に千倉を蹴飛ばし、何とか引き離すが、道路に落ちた千倉は背後から迫って来ていたトラックに轢かれてしまう。

その時、運転手が、私は優秀なドライバー…、無事故無違反何十年!などと独り言を言いながらモンスターに変身し始める。

鈴木は比呂美を後部座席に来させ、シートベルト!と呼びかける。

鈴木自身も何とかシートベルトをはめた次の瞬間、アクセルを踏みっぱなしで加速していたタクシーは、前を走っていた車に衝突し、何度も横転して道路から飛び出す。

生きてるのか…、目を開けた鈴木は呟き、隣を見ると比呂美が目をつぶったままなので、大丈夫ですか?と声を掛けると比呂美も目を開ける。

何とかひっくり返ったタクシーから抜け出た鈴木と比呂美が周囲を見渡すと、横転した車が延々と道路脇に連なっていて、遠くに見える町並みのあちこちから煙が上がっていた。

高速の表示には富士吉田と書かれており、比呂美が見ていたスマホの書き込み情報では、謎の感染によってZQN(ゾキュン)と言う怪物に変身すること。

高い所では感染しないらしく、富士山に登れなどと書いてあったが、もっと詳しく情報を得ようとしている時電源が切れてしまう。

富士山?と鈴木と比呂美は目の前に見える富士山を見ながら呟く。

途中で自販機の飲み物を買った鈴木は、とある神社の軒下で比呂美と休憩し、てっこのために買っておいたメロンパンを半分にして比呂美に与え、自分は猟銃を出して周囲を警戒しながら食べる。

その猟銃本物なら、さっきから使ってれば良いじゃない?と比呂美が言うので、公共の場で出すと銃刀法違反になるんですと鈴木が説明すると、じゃあ今は?と比呂美が言うので、暗いし…2人きりだから…、お守り…と曖昧に鈴木が答えると、私はこれ!と言い比呂美が取り出したのは、ミュージックプレイヤー用のイヤホンで、半分っこと言って片方を鈴木に渡す。

イヤホンをはめ、2人で音楽を聴き始めると、これ小さい時、お母さんが歌ってくれたの…、私、比呂美ですと始めて名乗り、おじさんは?と聞いて来る。

鈴木英雄…「えいゆう」って書いて英雄と教えると、ヒーローだと比呂美がおどけたので、名前だけね…と鈴木は謙遜する。

英雄君といたら大丈夫みたい…、一緒にいても安全のようだし…と意味有りげに比呂美が言うので、それは…、男としては複雑な…と鈴木が戸惑うと、褒めたのに…と比呂美は言う。

翌朝 目覚めた鈴木は、比呂美が自分の方に頭を乗せて寝ていることに気付く。

その比呂美の寝顔の唇などを見とれていた鈴木だったが、いかん、いかん、淫行で捕まるぞ!と自分に言い聞かせる。

しかし、比呂美の首筋に小さな噛み痕がある事に気付くと、首!と言いながら立ち上がり、猟銃を比呂美に向ける。

その声で起きた比呂美は、それっ!と鈴木が首を指すと、赤ちゃん…、隣のうちの赤ちゃんに噛まれた…、一昨日かな?と言うので、その赤ちゃんは?と鈴木が聞くと、分かんない…と比呂美は言う。

母乳からでも感染するなら、私もZQN(ゾキュン)になるかも…、殺して良いよ…、あんまり未練もないし…と投げやり気味で言うので、なったらなったで考えよう…としばし迷った鈴木は答える。

大丈夫、ならないよ。俺も噛まれたけどならない…、そう云うラッキーもあっても良いんじゃない?と鈴木は慰める。

安全な所へ行こう…、富士山に行ったら大丈夫だよ。俺が君を守る!と鈴木がかっこうよく答えると、比呂美は、うん!と嬉しそうに微笑む。

鈴木は猟銃を構えると、ヒロちゃん、後ろに!行くぞ!と先行して出発する。

そんな気張った鈴木に、私のこと、撃てないでしょう?と比呂美はからかう。

山道に差し掛かると、さすがに比呂美は体力的に付いて来れなくなり、行って…、英雄君のこと食べたくない…としゃがみ込んで言うので、少しだったらかじっても…と鈴木が冗談を言うと、やだ…、まずそうだもん…と比呂美は言う。

否定できない…と鈴木がうなだれると、ちょっと微笑んだ比呂美は、最後はちょっと楽しかった…、ありがとうと言いながら、ミュージックプレイヤーを差し出し、お守りと言って来る。

バイバイ…と言う比呂美に、比呂美ちゃん…、やっぱり一緒に…と鈴木は迷うが、英雄君、お願い!と叫んだ比呂美の左目がおかしくなって来る。

慌てて逃げ出した鈴木は、前を歩いていた工事人風の男に出会ったので、すみません!助けてください!と背後から声を掛けるが、振り返ったその男はZQN(ゾキュン)で、いきなり鈴木に襲いかかって来る。

もはやこれまで!と身をすくめた鈴木だったが、相手が襲いかかって来なかったので恐る恐る目を開けると、はZQN(ゾキュン)の首をへし折っている比呂美の姿を見る。

比呂美ちゃん?と恐る恐る呼びかけると、振り返った比呂美の左目だけがZQN(ゾキュン)化していた。

しかし、倒れたZQN(ゾキュン)の首をねじ切った比呂美はそれを放り投げ、右手ももぎ取った力は常人のものとは思えず、鈴木の方に近づいて来たので、さっきまずそうって言ってたじゃない!と狼狽しながら鈴木は逃げようとする。

しかし比呂美は左手を差し伸べているだけだったので、助けてくれてありがとう…、じゃあ失礼します!と礼を言い、鈴木は落とした猟銃を拾い上げ立ち去ろうとする。

結局、比呂美をその場に置き去りに出来なかった鈴木は、その後も比呂美を連れ山道を登り、山中で壊れた軽トラを見つけると、荷台から転がり落ちた缶詰を物色する。

缶詰の一つを開けて自分がまず食べ、食べる?と言いながら比呂美に差し出すと払いのけてしまう。

しかし、試しにネコ缶を開けて差し出すと、何故か比呂美は普通に食べることが分かる。

その後も川で水を飲み、比呂美を背負って山を登っていた鈴木は、道路に置きっぱなしになった買い物用カートを発見する。

中に入ったものを物色するが食料はなかったが、カートには「FUJI ROYAL OUTLET」と言うプレートが付いている事に気付く。

道路を見やると、乗り捨てられた車が何台も停まっていたので、先の方に「アウトレットモール」があることが分かった鈴木は比呂美をカートに乗せ、押しながら「FUJI ROYAL OUTLET」と書かれたアウトレットパークにやって来る。

中に入ると、通路上でしゃがんだ状態の黒こげになった焼死体を見つける。

それでも無人に思えたので、一軒の店に入り、お気に入りの革ジャンを見つけて着てみた鈴木だったが、その時突然、いらっしゃいませ!と声がしたので驚く。

元その店の従業員だったらしきZQN(ゾキュン)だった。

比呂美ちゃん?と助けを求めカートの方を見た鈴木だったが、比呂美は眠り込んでいるようだった。

襲いかかって来たZQN(ゾキュン)になす術もなくやられたと身をすくめた鈴木だったが、次の瞬間、そのZQN(ゾキュン)の頭部に斧を打ち込んだ見知らぬ女性から、誰?どっから来たの?と不思議そうにと聞かれる。

怪しいものではありませんと鈴木はかろうじて答える。

カートに乗った比呂美にその女性 藪(長澤まさみ)が気付くと、何か睡眠障害みたいで、すぐ眠っちゃうんですと鈴木は教える。

そこに、ZQN(ゾキュン)か?と言いながら、おのおのマスクのようなものをかぶった若者たちが近づいて来る。

眠っていると薮が教えると、ZQN(ゾキュン)は寝ないよと若者の1人が答える。

付いて来て!と薮が言うので、その場にあったショールを取った鈴木は、比呂美の左目を隠すように頭に巻いてやり、カートを押して、薮や若者たちの後に付いて行く。 外に出ると、大量のZQN(ゾキュン)が迫って来ていた。

しかし、ある方向から鍋など金属を打ち鳴らす音が聞こえ始めると、ZQN(ゾキュン)達は一斉に音のする方向へと向かいだす。

その時、こちら伊浦!低調にお迎えしろ!と言う無線が若者のレシーバーから聞こえて来る。

鈴木は比呂美と共に、モールの建物の屋上部分に案内される。

ZQN(ゾキュン)は入れない…と薮が教える。

鈴木が背中からかけていた猟銃を見た若者たちは、あの銃、本物かね?まさかね…などと囁き合っていた。

屋上で待っていた伊浦(吉沢悠)は、ようこそ、地上7mのセーフティゾーンへと鈴木に語りかける。

その後、伊浦は資材部のアベサン(徳井優)に寝袋2つと指示すると、それ、クレー用のショットガンですよねと鈴木の持っていた猟銃のことを指摘する。

伊浦さんもお好きですか?と聞くと、ロスにいた時見ましたと伊浦は言う。

寝袋を鈴木に渡したアベサンがロレックスの腕時計をしていたので、鈴木が驚くと、好きなの持って行ってと差し出して来たのは箱に不雑作に詰め込まれた大量のロレックスだった。

夜、眼鏡で良いんだっけ?とニックネームを聞いて来た薮から、仕事は?と聞かれ、漫画家です、開店休業状態ですけどね…と答えるが、私、漫画読まないから…と興味なさそうな薮は、あの子妹?と、テントの中で寝ている比呂美のことを聞いて来る。

逃げる時、一緒になっただけで、知らないと言えば知らないんです…と鈴木が答えると、あんたかっこいいなと薮が言うので、ちょっとかっこをつけてみた鈴木だったが、良く知らない病気の子を良く見捨てずにここまで連れて来るなんて…、私は出来なかった…と薮が意味有りげに言う。

ZQN(ゾキュン)達はみんな過去の記憶に生きている…、そっちの方が幸せかもね…と薮は言う。

翌朝、比呂美のいるテントの前で歌を歌っていた鈴木は、比呂美が聞いているように見えたので、分かるの?比呂美ちゃん?と語りかけると比呂美は微笑む。

その後、屋上から、下のアウトレットパーク内にいるZQN(ゾキュン)達の様子を見ていた鈴木は、ブリーフ姿で大ジャンプをし、頭から墜落した若者ZQN(ゾキュン)を見つける。

近くの大学の選手だってとアベサンが教えてくれ、あの買い物好きなZQN(ゾキュン)はかみさんです、京子って言うんですと言うので、それはどうも…と鈴木は恐縮する。

ここには色んなZQN(ゾキュン)がいます。あれは何か分かりますか?とアベさんが指差した先にいたのは、何かを右手で掴んで立っていたので、通勤電車?と鈴木が言うと、当たり!とアベサンは言う。

あっちは何です?と鈴木が聞くと意味不明なのもいますと言うので、黒こげの奴は?と聞くと、最初は良かったんです、みんな協力して頑張ろうって…と答えたアベサンは、すみません、伊浦サンが呼んでるんで来てくださいと言う。

伊浦は一枚の略図を示し、ここの従業員が書いた地下の地図ですと前置きし、この食料庫に1万色あると言います。

今あるものは底をつきそうですと言うので、私は何をすれば?と鈴木が聞くと、何も…、その銃を渡してもらえれば…と伊浦が言い出したので、これは人に貸すのは禁止されているので…と鈴木はさすがに躊躇する。

すると伊浦は、誰の何の法律に禁止されているのですか?ここの法律は僕ですと言い出す。

死んじゃいますよ、今のままでは…、可愛い女子高生も…と伊浦は言い、外のテントで比呂美の様子を見ていた薮は、いきなりサンゴ(岡田義徳)ら男達が比呂美を連れ出そうとしに来たので、手出ししないって言ってたじゃない!伊浦!そんな勝手が許されるのか?と呼びかける。

木村も慌てて外へ飛び出すと、その後を追って外に出て来た伊浦は、男達がナイフを構えて捕まえた比呂美の方にアーチェリーを向ける。

木村は猟銃を伊浦に向け、頭、はじけるぞ!あいつにナイフを捨てさせろ!と命じるが、あなたに僕が撃てますか?人を殺せますか?と伊浦は嘲笑して来る。

その時、比呂美が捕まえていた男達を弾き飛ばしたので、比呂美ちゃん、止めて!と鈴木は叫ぶが、男達は比呂美の頭に巻いたショールをほどき、こいつZQN(ゾキュン)だぜ!と叫ぶ。

撃つな!と鈴木は叫ぶが、伊浦はアーチェリーを発射し、額に鉄の矢が突き刺さった比呂美は倒れる。

比呂美ちゃん!と鈴木は狼狽するが、すぐに仲間達に取り押さえられ、猟銃も奪い取られる。

大きなテント内に連れ込まれた鈴木は、男達から暴行を受ける。 それを冷静に見守っていた伊浦は、まだ殺さないで、貴重な兵隊だからと命じる。

俺がもらうはずだった女子高生、伊浦君殺したじゃん!とサンゴが叫ぶので、ZQN(ゾキュン)じゃ仕方ないだろう?ニートが!と伊浦は言い聞かせるように答える。

するとサンゴは、今みんなニート!平等になったんだよ!と猟銃を向けて来て、明日のツアー、先人は伊浦君ですと宣言し、いつまでも高みの見物できると思うなよ?と伊浦を嘲る。

それを見ていたアベサンは、まずいよ、これは…と呟く。

蹴られ血だらけの口になった鈴木が薮の所に行くと、テントに寝かせられていた比呂美を見せ、矢は脳幹を外れて、まだ生きてると言うと、分かる、かすかに脈がある。感染したら心肺停止になるの。

病院で診たどの患者とも違うの…と薮が言い出したので、薮って本名じゃ?と鈴木が驚くと、誰も助けられない薮だから…、病院を逃げ出したんだ…、患者を見捨てて…、だから罪滅ぼししているつもり…、自己満足だけど…と薮は自嘲気味に答える。

もう銃はなくなっちゃいました…、撃てませんでした…、チャンスはあったのに…と鈴木も自虐的に答えると、人間を撃たなかったのは間違ってないと薮が慰めてくれるが、でも結果これだもの…、こう言う奴なんです…、世界がひっくり返っても変わらない…、何にもならない…、うんざりです、自分に…と吐露した鈴木は、すみません…、役に立たない人間で本当にすみません…と愚痴を聞かせた薮に謝る。

比呂美ちゃん、宜しくお願いしますと言いながら鈴木は薮に頭を下げる。

翌朝、地下の食料庫に向かう先陣を切ることになった伊浦は、サンゴから武器としてゴルフクラブを渡されただけだった。

屋上に残る女性陣が、食器などを打ち鳴らし、下にいるZQN(ゾキュン)立ち退きを引いている間に、建物の反対側から男性陣は地上に降りる。

伊浦ちゃん、先頭行っちゃって!と猟銃を持ったサンゴが命じる。

建物内の駐車場に侵入した鈴木ら一行だったが、照明が落ちているため懐中電灯の光だけでは首位の様子が良く分からなかった。

そんな中、先頭を歩いていた伊浦は一行の列から離れて行くが誰も気付かなかった。

やがて「地下1F食料庫」の文字が見えたので、一行は地下に降り、突然、照明が点いたこともあり、無事食料庫を見つける。

一行は夢中で食料をかき集め始めるが、鈴木は、あの…、ネコ缶ありませんかね?とアベサンに聞く。 ネコ缶?と不思議がったアベサンだったが、そう言えば、電気点けたの誰ですかね?と首を傾げる。 その時、突如、音楽が室内に響き渡る。

伊浦!とサンゴは、電気や音楽をかけた者の正体に気付くが、その時、ZQN(ゾキュン)が自分たちに迫って着ているのが見える。

来た!やばい!サンゴ、行くぞ!と男達は動揺し始める。 木村も逃げようとするが転んで逃げ後れてしまう。

駐車場に戻って来たサンゴたちはZQN(ゾキュン)に教われる。

すげえ!パーティじゃん!と言いながら猟銃をぶっ放すサンゴだったが、1発もZQN(ゾキュン)に当てられなかったので、当てろよ!と仲間達は苛立たしげに叫ぶ。

そんな仲間らの様子を監視室からモニターを通じてみていた伊浦は、クズどもが…と吐き捨て、さらに駆んない音楽のボリュームを上げる。 外にいたZQN(ゾキュン)たちも、響き渡る館内音楽に惹かれるように駐車場に向かって来る。

屋上で比呂美といた薮もその音楽に気付く。

伊浦は、外のZQN(ゾキュン)たちが音楽で駐車場に集結して来たのをモニターで見ると、良し、良し、良し…と満足げに微笑む。

そんな中、頭がへこんだ元大学生のZQN(ゾキュン)が、自ら両手を頭の上で打ち鳴らすと、又大きくジャンプをし、とうとう女達がいる屋上のテントに落下する。

その頃、地下1階で逃げ後れていた鈴木は、ロッカーの中に逃げ込む。

この曲、何?と聞いた女は、目の前に、頭がへこんだZQN(ゾキュン)が立っていることに気付く。

電気止まっていたよね?と別の女が先の女に話しかけながらテントからでてくると、相手の女が死んでいるのに気付き、思わず後ずさるが、そこに立っていたZQN(ゾキュン)の胸に突き当たる。

恐る恐る振り向いたその女は、大きく口を開いたZQN(ゾキュン)に頭から食われる。

やがて、建物内の音楽が止まったと思うと、伊浦は館内の照明のスイッチも消してしまう。

ZQN(ゾキュン)たちが詰め寄せている駐車場のシャッターが開くのに気付いたアベサンは、やばいと後ずさる。

サンゴもZQN(ゾキュン)に襲われ、持っていた猟銃を落としてしまう。

その時、鈴木が隠れていたロッカーの前に落ちていたシーバーから、こちら屋上!誰かいないの?こちらは全員やられた!と呼びかける薮の声が聞こえて来る。 ロッカー前のそのシーバーの側にはZQN(ゾキュン)が2匹うろついていた。

くそ!下も全滅かよとぼやく薮の声が聞こえる。 助けて!誰でも良いから!誰かいない!と薮は呼びかける。

ロッカーの中でその声を聞いていた鈴木は、ロッカーから飛び出し、すぐに2匹のZQN(ゾキュン)に襲われる妄想にとらわれなかなか踏ん切りがつかない。 何度も同じ妄想を思い浮かべるが、現実に飛び出す勇気が起きず、ダメだ!と呟く。

そんな中、メガネ!人任せにしてるんじゃねえ!比呂美ちゃんどうするんだ!てめえで片付けろ!てめえで助けろ!と薮が呼びかけて来る。

鈴木は、ロッカーの中の鏡で自分の顔をじっくり見ながら自分に喝を入れ、思い切ってロッカーを飛び出すが、妄想していたようにZQN(ゾキュン)が飛びかかって来なかったので一瞬拍子抜けする。

しかし、次の瞬間、左手からZQN(ゾキュン)が左手に噛み付いて来たので、持っていたトンカチで頭を殴りつけ難を逃れる。

シャツの左腕部分をまくり上げた鈴木は、大量のロレックスを左腕に巻き付けていたので助かったのだった。

次の瞬間、右手の金網の中にいたZQN(ゾキュン)が飛びかかって来たので、鈴木は何とか金網の中に押し込み、扉の鍵をかけ身を守る。

そして、落ちていたシーバーを拾い上げた鈴木は、今、行きます!と呼びかけると、メガネ?と薮は驚く。

鈴木はやられた仲間が落としていたネイルガンを拾い、迫って来るZQN(ゾキュン)たちに向かって発射するが、全然効かないじゃないか!と気付く。

その頃、薮は比呂美を背負って屋上から地上へと降りていた。

その後も、パチンコ玉を転がして、追って来るZQN(ゾキュン)を転ばしたりしながら1階駐車場までやって来た鈴木は、そこに落ちていた猟銃と弾丸を見つけ拾い上げる。

駐車場の中にやって来た薮は、伊浦と出会う。

薮?無事か?と言いながら近づいて来た伊浦は、地下二階に置いてある俺の車で逃げようと言うので、メガネは?と薮が聞くと、今すぐ背中のZQN(ゾキュン)を降ろしてセックスしよう…、俺が欲しいんだろう?嫌々やってるふりして、本当は喜んでいたんだろう?などと伊浦が言い出す。

その時薮は、伊浦の左手から血が滴っているのに気付き、あんた、気がついてないの?どこかで噛まれた?と声をかける。

次の瞬間、伊浦の目が変化し、あれっ?目が見えない!と言い出した伊浦は、両手を前に伸ばすと人差し指を突き出し、腕を曲げて自分の両目に突き刺す。

見えないよ〜…、ママ!見えないよ〜!と言いながら迫って来たので、ママとやってろ!と言いながら蹴り付けた薮は、その場を逃げ出す。

伊浦のZQN(ゾキュン)がその後を追って来るが、その時、避けろ!と前方から声をかけて来たのが猟銃を構えた鈴木で、は~いと言いながら引き金を引き、元伊浦だったZQN(ゾキュン)の頭部を弾き飛ばすと、大丈夫ですか?比呂美ちゃん!と薮に近づいて来る。

薮は死んだ伊浦の死体を見ながら、あんなのただのZQN(ゾキュン)、ゴミ以下だよと吐き捨てる。

その時、誰か気配がしたので鈴木が猟銃を向けると、撃つな!サンゴだ!すげえよメガネさん!今からはメガネさんと呼ぶよとお世辞を言いながら近づいて来て、自分が着ていた銃弾入りのベストを鈴木に返す。

その時、大量のZQN(ゾキュン)に追われ逃げて来たのはアベサンだった。 ZQN(ゾキュン)の人数に呆然とする鈴木だったが、英雄君…、英雄君といると大丈夫な気がする…と、壁際に座らされていた比呂美がしゃべる。

人間の部分が残っているようだった。

96発!と銃弾を教えた鈴木は、出来るだけ倒します!と言うと、迫り来るZQN(ゾキュン)に次々に発砲して行く。

薮も斧を手に立ち上がると、比呂美ちゃん待ってて!と声をかけ、ZQN(ゾキュン)に立ち向かって行く。

アベサンやサンゴも通路の両方から迫って来たZQN(ゾキュン)に立ち向かう。

皆さん!下がってください!と仲間達に呼びかけた鈴木は、まとめて数人のZQN(ゾキュン)を一発で撃ち殺す。

足を撃っても死なないので、頭を粉砕するしかなかった。

お下がりください!と言いながら、元ガードマンだったらしきZQN(ゾキュン)が近づいて来たのでその頭部も吹き飛ばす。

元ウエイターらしきZQN(ゾキュン)に、アイスコーヒー下さい!と言いながら戦うサンゴ。

そんな中、力士のような巨漢が迫って来たので鈴木は冷静に頭を吹き飛ばすが、勢いがついた巨漢は鈴木を押し倒してのかかって来る。

右手を伸ばし、落とした猟銃を握る鈴木。

その時、サンゴが大勢のZQN(ゾキュン)に捕まったので、鈴木は撃とうとするがZQN(ゾキュン)の多さに判断を迷った時、サンゴは顔を食われてしまう。

アベサンも女のZQN(ゾキュン)に襲われるが、その女の顔を見たアベサンは、京子!と思わず気付く。

女のZQN(ゾキュン)も、あなた…と一瞬アベサンに気付いたようだったが、次の瞬間噛み付く。

それに気付き、アベサン!と絶叫する鈴木。

アベサンは近くに落ちていたアーチェリーの矢を掴むと、京子の背中を突き刺す。

そして、京子、今行くよと言いながら、矢をアーチャリーにセットすると、自らの口の中に撃ち込む。

鈴木は、左手をまくり上げると、付けていたロレックスの腕時計を全部外し、身軽になった所で、本格的に猟銃の連射を開始する。

ほぼ全員のZQN(ゾキュン)を撃ち殺し、安堵しかけた鈴木だったが、その時、ZQN(ゾキュン)の死体の中央に落ちて来たのはスポーツ選手の大学生ZQN(ゾキュン)だった。

スポーツマンZQN(ゾキュン)は全力疾走で迫って来たので、鈴木は猟銃を撃つが、弾は胸を貫いただけでZQN(ゾキュン)はますます近づいて来る。

急いでベストのポケットから弾を探した鈴木だったが、弾がもうない。

その時、近くに落ちていた弾丸に気付き、急いでそれを拾い上げると猟銃にこめ、飛びかかって来たZQN(ゾキュン)の頭を打ち砕く。

やったと思った鈴木だったが、何故か吹き飛ばされたスポーツマンZQN(ゾキュン)は又立ち上がる。

嘘だろ?と鈴木は唖然とするが、頭が割れたZQN(ゾキュン)はまた全力で走って来る。

鈴木は持っていた猟銃で相手の頭を完全にかち割る。

それを見ていた比呂美が、ヒーロー…と呟く。

鈴木は、落ちていたキャップを拾い上げるとかぶる。

車に比呂美を乗せ、薮が運転して「フジ アウトレックパーク」を出た薮は、タバコを吸いながら、私、小田つぐみ…、本当の名前…と言うので、それまで、じっと後部座席で自分の両方の手のひらを凝視していた鈴木は、案外可愛いらしい名前なんだなと感心する。

あんたは?とつぐみから聞かれた鈴木は、鈴木英雄…と答えるが、ひでお?とつぐみが聞き直すと、ただのひでおですと答える。

それを聞いたつぐみは、了解!と答える。

I AM HEROの文字が浮かび上がる。

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