人気コミック原作のアニメの劇場版らしいが、原作もアニメも知らないので、あくまでも映画としての感想。 非常に凝った設定と多様な登場キャラクター、昔話の絵本から始まり、その絵本の出来事が現実に起きる騒動を描いているが、快調なホラーアクションの出だしから始まり、CGアニメを巧く利用したクライマックスまで飽きずに見せてくれる快作になっている。 登場して来るキャラクターも、見ていると何となくポジションは掴めるし、原作を知らなければ訳が分からないと言う程ではない。 過去の妖怪ものやホラーなどの要素を全部詰め込んだごった煮風と言えばそうなのだが、基本となるストーリーはシンプルである。 さすがにこれを実写化するのは無理があるかも知れないが、アニメなので持ち味を生かして巧く再現できている。 可愛い姿をした悪魔が民衆の中に紛れ込んで来ると言う設定や、巨大な魚を思わせるモンスターとの戦いなど、往年の名作「ホルスの大冒険」などを連想させる部分もあるが、これはこれで全く違ったスペクタクル作品になっている。 絵本の解釈、冒頭のゴーストトレインでの死者の供養、両方とも雪男と燐の解釈は違っている。 映画では燐の考え方の方が正しかったような終わり方になっているが、雪男の考え方が間違っていると言う訳ではなく、燐の考えに潜む危険性への警告がパニックとなって描かれている。 人を見た目や肩書きなどで差別するのは良くない、みんな仲良くしようと言う燐の博愛主義も、見た目に騙されて油断していると大変な事態に陥ってしまうと言う雪男の現実主義もどちらも必要な考え方なのである。 見る者は、そのどちらの重要性にも気付くようになっている。 大人にはそう言うメッセージ性の面白さを楽しめるが、多感な子供時代に見たらもっと違った意味でこの混沌とした世界観に惹き込まれていたに違いないと思う。 子供向けのアニメに外れはないな…と再認識させられるだけではなく、原作にしろ脚本にしろ女性の力量に唸らされる見事な作品だと思う。 |
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
2012年、「青の祓魔師」劇場版製作委員会、加藤和恵原作 、吉田玲子脚本、高橋敦史監督作品。 昔々、ある村の外れに悪魔が現れました。 元気がないようだったので、村の少年が食べ物を与えてやりました。 元気になった悪魔は少年と遊んでそのまま村に居ついてしまいました。 村人達は悪魔のせいで働く事を忘れて遊び続けました。 そこに伏魔師が現れ、悪魔を封じ込めました。 悪魔はいなくなりましたが、村人達は村の事を忘れてしまっていたので、村は荒れ果て、なくなってしまいました。 やがて人々はこの村の事を忘れてしまわないように、悪魔を祀って11年に1度お祭りをするようになりました。 「忘れんぼうの村と悪魔」と題された絵本を読み終えた義父藤本獅郎(声-藤原啓治)に、これが始まりなの?と子供時代の奥村雪男が聞くと、ああ、これは1000年前から伝わる話だそうだ…と義父は答え、ところでお前らだったらどうする?もしこの絵本の悪魔に出会ったら…、その時お前らならどうする?と、幼い奥村燐と雪男兄弟に問いかける。 その問いかけに、燐は絵本の表紙を思わず見つめる… 11年後… やばい!目覚まし5個もセットしいたのに!と、近道の金網を越え、慌てて学校へ向かっていた燐(声-岡本信彦)は、まとわりついて来る魍魎(コールタール)に、お前らじゃまだ!退け!と払いかけた時、足を滑らせ階段からずっこけて落ちてしまう。 そんな燐に、大人の癖して転んでら!この人鼻が潰れてる!痛い?泣いちゃう?などと祭り衣装の子供2人が珍しそうに近づいて来たので、子供がこんなに遅くうろついて良いと思っているのか! とっとと家に帰れ!大人は怒ったら怖いんだぞ!と立ち上がった燐が怒鳴りつけると、子供たちは驚いて逃げて行く。 その時、燐は無数の提灯に飾られた「正十字飛蹴夢」と書かれたネオンサインを見つけ、祭り?と呟いた次の瞬間、又慌てて階段を駆け下り学園へ急ぐ。 正十字学園町の上部にカメラがティルトし、満月の月が映し出される。 タイトル 町では祭りの飾り付けをしていた。 川をボートでやって来た霧隠シュラ(声-佐藤利奈)は、ったくよ~、こっちは仕事だって言うのに浮かれやがって…と、町の様子を見てぼやく。 そんなシュラに、頭、気をつけてください!と同伴の男が声をかけたので、近づいて来た鉄橋の高さに身体をかがめたシュラは、随分低いな…と又ぼやく。 期間中、水門が全て閉まるので、水位が大分上がってますと同伴の男が教える。 これか?と鉄橋の下を潜ったシュラが見上げると、正十字学園第1号水門ですと男が言う。 それを見たシュラはふっと笑い、せっかく来たんだ、お前も手伝えと一緒にボートに乗っていた笠をかぶった男に話しかける。 その頃、正十字学園町駅のホームに来ていた杜山しえみ(声-花澤香菜)は、ファントムトレインとは列車に憑依している悪魔で、我々の物質界(アッシャー)と悪魔の棲む虚無界(ゲヘナ)を行き来しており、別名人食い列車と呼ばれ…とメモを読み上げていると、正しくは人の魂を食う列車ですと、待ち合わせていた燐がなかなかやって来ないので、遅いな、兄さん…と苛立っていた奥村雪男(声-福山潤)が教え、よく勉強していますね、しえみさんと褒める。 そこに電車が近づいて来たので、来ました、あれが今回の討伐対象、ファントムトレインですと雪男が言う。 元々、この地に埋もれていた古代遺跡をフェレス卿が復元したものです。同じものが町を取り囲むように28カ所あり、11年ごとに全て貼り直し、悪魔から町を守っています…とシュラと笠をかぶった男に、水門に囲まれた地下へ通じる巨大な空間を随行の男が説明する。 全開の貼り直しから今年でちょうど11年目なので…と随行員が続けていると、あくびをして、前置きは良いからと言い出したシュラは、笠をかぶった男とクジを引き合い、お前が新しい結界を貼り、私が古い結界を解く役だ、とっとと終わらせて飲みに行こうぜ!と嬉しそうに言う。 行き先に「虚無界」と書かれたファントムトレインを覗いてみたしえみは、中に子供や普通の乗客が乗っている事に気付く。 扉が開いたのでそのまま中に乗り込もうとした時、しえみさん!と雪男が呼びかけ、気をつけてください、この悪魔はそうやって乗せ、ゲヘナへと連れ去ってしまうと注意すると、僕らが乗るのはこっちですと良いながらリモコンのスイッチを押す。 すると、反対側の支線から小さなトロッコ車が近づいて来る。 人が乗ってるけど?としえみが指摘すると、列車に乗ってしまった人たちです。おそらく自分が死んだ事も自覚できていないでしょうと雪男は教える。 そんな…、早く助けてあげないと…としえみが言うと、無理です、ファントムトレインを祓えば、中のゴーストも消滅してしまいます。残念ですが今回はゴーストを助けている時間はありませんと雪男は言う。 トロッコがファントムトレインと連結したので、これも仏マの道具なの?としえみが聞くと、今回の討伐のために用意された特別車両ですと雪男は教え、しえみと一緒にトロッコに乗り込む。 その時、電車が動き出したので、燐まだ来てないよとしえみが言うと、仕方ありません、今回は僕としえみさんの2人で…と雪男が言いかけた時、来た!としえみが目を輝かす。 燐!こっち!としえみが呼びかけると、ようやく電車がもう出発している事に気付いた燐が慌ててホームを駆け出し、線路に降りると、その電車ちょっと待った~!と叫びながら、何とかトロッコに近づこうと走る。 兄さん!と雪男が叫び、しえみも早く!頑張って、もう少し!と急かす。 燐は手を伸ばしてトロッコの手すりにつかまろうとするが、もう少しで届かない。 その時雪男が手を伸ばし、兄の手を掴んでトロッコに引っ張り上げる。 任務に遅刻するなんて何を考えているんだ!本当にエクソシストになる気があるの?燐!と雪男が叱ると、気合い入れて勉強してたんだよ、そしたら寝落ちしちゃって…、悪かったよ、でも間に合ったんだから良いじゃんとふてくされたように燐は言い訳する。 ごちゃごちゃ言うなって、それより早く祓っちまおうぜ!と燐が言いながらファントムトレインのドアノブに触ろうとすると、ゴースト化したノブに噛まれ手を火傷してしまう。 全く…、人の話を聞かないから…と呆れたように良いながら、雪男は電車の屋根に上ると、では今回の任務に就いて説明しますと言い出す。 現在11時50分です。2人はこのままトロッコに残り、僕1人で先頭車両に向かいます。 0時ちょうどになると、ファントムトレインはゲヘナに戻るために正体を現すので、そこを狙って祓います。 祓い終わったら、2人はトロッコでブレーキをかけて列車を停止させてください。 安全に停車させた後、回収班が来るのを待って下車、今回の任務は終了となります…と雪男は話し終える。 それを聞いた燐は、何だよ、ただのブレーキ係かよ…と不満そうに言うので、ただし列車を祓いきれなかった場合は、僕たちもゲヘナ行きですと雪男は補足する。 もし僕が失敗するような事があれば、そこにある赤いボタンを押して、トロッコを列車から切り離し、ブレーキで停止させ脱出してくださいと雪男は付け加える。 お前はどうするんだよ…と燐が聞くと、僕の事は良いから、兄さんは任務に集中して!と雪男は言い残し、屋根の上を歩いて戦闘に向かう。 何だよ、格好付けやがって…と燐は膨れるが、その時しえみが名を呼んで来て、ゴーストが中に乗ってるの、ユキちゃんには時間が内からって言われたんだけど、助けて上げられないかな?と言うので、助けるったって、方法はあるのかよ?と燐が聞くと、使い魔のニーちゃんから何事かを聞いたしえみは、多分、ほおずきを使えば…、ほおずきには例を呼び集める力があるから…、やってみなくちゃ分かんないけど…と言う。 すると燐は、分かった、俺に任せろ!と言い出す。 その頃、シュリは笠をかぶった男に、打ち合わせた通りに頼むわと声をかけ、男は了解したと答え、封印を貼り直す儀式を始めていた。 男の術を見たシュリは、上々、なかなかやるじゃないかと感心し、じゃこっちも…と言うと祈り始める。 ファントムトレインの扉を足で蹴って倒した燐は、それじゃ行くぞ!としえみに声をかけ、車両の中に入って行く。 何か背後で異変を感じた雪男だったが、そのまま屋根を這って前方に進む。 客車の中で燐がやれるか、しえみ?と聞くと、しえみは肩に乗っていたニーちゃんに声をかけ、ニーちゃんの両手が伸びてほおずきになって行く。 束になったほおずきを持ったしえみは「鬼の火」と書いてほおずき…、この色と形、それから香りがゴーストを呼び寄せるんだって…、おばあちゃんが言ってた…と呟く。 すると、座席に座っていた乗客達の姿は白い人魂に代わり、ほおずきの皮の中に素込まれて行く。 屋根の上で待機してた雪男は腕時計を見て、後5分と呟く。 その時、雪男!ちょっと待ってくれ!今しえみがゴーストを助けてると、屋根に上って声をかけて来たので、何してるんだ、兄さん!と驚く。 シュラと笠をかぶった男の祈りは続いていた。 その時、走っていた電車が変形し始めるが、まだその事に気付いてない燐が、あの人達はまだ生きてたんだ、供養とか、そう云うのしてやんないと!と屋根の上で燐が説明していた。 そんな余計な事を!と雪男が怒りだしたので、余計な事じゃない、人助けだ!と燐は反論する。 雪男は、人助けは仕事じゃない!悪魔を祓うのがエクソシストだ!と言い返してきたので、違う!人を助けるのがエクソシストだ!と燐はむきになる。 その時、列車から伸びて来た無数の触手が襲って来たので、反撃しようと下雪男は銃を落としてしまう。 雪男!と燐が前に出てかばおうとすると、まだ時間は早いのに、兄さんが余計な事をしたから!と雪男は叫ぶ。 ファントムトレインの戦闘部分が大きく口を開き、妖怪に変形すると、振り返って燐と雪男に向かって来る。 一方、シュリの方は任務を終え、やっぱり2人いると早くて良いねえと喜んでいた。 お前、暇だったら明日から付き合えよと誘うと、俺に頼らずとも日本支部は人材豊富だろう…と笠の男はエレベーターの中で答えたので、冗談とシュリは返す。 例の2人…、兄の方はサタンを脅かす程の力と聞いておるぞ…と笠の男が言うので、ずいぶんな噂だな…、大した事ねえよ、まだエクスワイヤーだとシュラは返す。 エクスワイヤー?と笠の男が呟くと、会って驚けよとシュラは苦笑する。 エレベーターを下りたシュラは、近くに良い店を見つけたんだ、おごるぜ!三丁目まで船乗って行くか?と又誘いかけるが、その時、高架線を走り抜けるファントムトレインに気がつく。 担当者は?とシュラが聞くと、奥村先生とエクスワイヤーが2名と随行員が教える。 何やってるんだ、あいつら!とシュラは目の前で繰り広げられている事態に苛立つ。 笠の男は、奥村?あれが例の双子か…と興味深そうに通り過ぎた列車を見送る。 列車の屋根の上にいた燐は、何なんだこれ!と迫り来る戦闘部分のゴーストと戦っていた。 雪男は銃を撃ちながら、ゴーストを奪われ凶暴化したんだ!と説明する。 客車からほおずきを抱えたしえみが、燐!こっちは終わったよ~!と声をかけていた時、凶暴化したゴーストが迫って来たので驚くと、銃で応戦しながら雪男が客席に降りて来る。 ユキちゃん!としえみが声を掛けると、非常事態です、トロッコまで急いで戻りましょう!と雪男は応戦しながら呼びかけ、兄さんも急いで!とまだ屋根の上で戦っていた燐にも声をかける。 動かないしえみに気付いた雪男が、どうしたんです!と苛立たしそうに聞くと、客席内のつり革なども一斉にゴースト化している所だった。 屋根の上の燐も苦戦していたが、要するにこいつをぶった切れば良いんだろうと言うと、降魔剣を抜きゴーストに斬り掛かって行く。 すると、ゴーストの頭部が迫って来た架線柱にぶつかり切断、上に乗っていた燐もろとも高架線から落下して行く。 雪男は腕時計を見て、後30秒!と叫ぶと、しえみを誘導しながら客車後方のトロッコに向かう。 トロッコに飛び移る時、雪男は右腕をゴーストに挟まれ、コートの袖の部分がちぎれてしまう。 何をしてるんだ、兄さん!と発砲しながら雪男は待つが、燐はちぎれて暴走するゴーストトレインの頭部とまだ戦っていた。 雪男はトロッコの赤いボタンを押しトロッコを分離、急ブレーキを引くが、燐の方はゴーストの頭部とともに線路から飛び出し工業地帯の川へ落下する。 川から這い出た燐は、側で倒れている幼児を発見、上から鉄骨が降って来たので慌てて抱き上げて救い出す。 声を掛けると、薄目を開けてまた眠ろうとするので、おい、眠るな!と揺するが、そんな燐の背後にゴーストトレインの頭部が接近していた。 そこにモーターボートで駆けつけたのがシュラで、モンスターに挑んで行く姿に驚いていた燐が、こいつの手当を!と接岸したボートに乗っていた人物に呼びかけると、そこには笠をかぶった見知らぬ男がいたので思わず息を飲む。 男は笠を撮ると、お前がサタンの落胤か…と話しかけて来る。 シュラは、ゴーストの姿を、底なしに見える空洞付近で見失ったので、ちっ、逃したか…と舌打ちする。 その頃、トロッコからはね飛ばされた雪男を解放していたしえみは、ニーちゃん、治療薬を出すように頼むと、すぐ手当てするからしっかりして!と気を失っている雪男に呼びかける。 半キロメートル区間の路線破壊、再建工事中のビル3棟、車両15台、工事用重機3台エトセトラ…、幸い身内の怪我は2名ですみましたが、奥村先生、管理責任者としてあなたが付いていながら…と正十字学園内で裁判長が嘆くので、僕の責任です、申し訳ありませんと右手を吊った雪男が謝罪する。 側で聞いていた燐は、違う!それは俺が…と口を挟もうとするが、兄さんは黙ってて!と雪男が制する。 正十字騎士團日本支部長フェレス卿ことメフィスト・フェレス(声-神谷浩史)に、彼らの処分は?と校長は聞き、フェレス今日は何事か答える。 シュラが舌打ちした直後、処分を言い渡す。奥村雪男戒告処分、奥村燐と杜山しえみは5日間の謹慎処分とする。始末書を明日まで提出しろと裁判官が告げた後、奥村先生、あなたのキャリアに汚点を残す結果…、私も残念ですと言い残し去って行く。 雪男…と燐が近づいて喜多雪男に話しかけようとすると、人を助けるのもエクソシストの仕事なんだろ?死んだ人のゴーストを助けるために生きている人を危険にさらしてどうするんだい?と雪男は冷たく言い放つ。 いつまでもエクスワイヤーでいられないんだ。エクソシストになって兄さんのやり方は通用しないよと言い残し雪男は去って行く。 燐はその後、治療を受けていたしえみを医療室の前で待っていた。 それに気付いたしえみは、」左頬の絆創膏を押さえながら、大した事ないから大丈夫だよと微笑む。 ごめんな、俺のせいで…と燐が詫びると、本当に平気なんだから、私が悪いんだから…としえみは答える。 その時、そっと燐の背後に近づいたシュラは、いきなり燐に飛びかかりヘッドロックしながら、てめえ、何だ、あのざまは!てめえ、ちゃんとできねえのか!と言いながら、燐の頭頂部にげんこつをぐりぐり押し込む。 そこへ、滑稽だな…、ファントムトレインごときであの騒ぎとはがっかりさせられたぜ…と伊稲原男がお供のものを従え近づいて来たので、てめえはあの時船にいた!と燐も気付く。 ああ、紹介がまだだったな?と気付いたシュラは、こいつはリュウ・セイリュウ(声-木内秀信)、正十字騎士団台湾支部の上位一級エクソシストさと教える。 その時急に、燐が工場地帯で助けた幼児が大人にしがみついて本部内に暴れて込み、起きたら急に…と云うので、おい落ち着け!と燐は声を掛けるが、幼児には言葉が通じないのか、暴走を止めようとしない。 台湾支部の部下が刺又で幼児を取り押さえたので、子供相手にやり過ぎじゃ?と燐が文句を言うが、見ろ!と言いながら幼児の上着の後ろを上げてみると、そこには尻尾が見えた。 エクソシストが悪魔を助けてどうする?とリュウが嘲って来る。 リュウは檻を持って来させ、幼児をその中に閉じ込める。 身元不明の悪魔ねえ…、封印されていたと思われる祠は見つけたのですが、記録はなく、調べようにも倒壊した瓦礫の下敷きで…と雪男が説明すると、話を聞いていたフェレス卿は、なるほど…、では殺してしまいますか?と言い出したので燐は驚き、殺す事はねえだろ!と反論する。 今は祭りの期間中、身元を調べて封印し直すには人手が足りません。どこかに謹慎でも食らって暇そうにしている奴がいれば良いのですが…、こんな都合が良い話…、おや?良い事を思いつきました。奥村燐!あなたが面倒見ると言うのはどうです?とフェレス卿が言い出す。 何で俺が?と燐が戸惑うと、連れて来たのはあなたです。無理と言うのなら処分してしまっても…と言われてしまっては、分かった、俺が預かる!と承知するしかなかった。 雪男は兄さん!と驚くが、フェレス卿は交渉成立ですと満足げに答え、ではこれ檻の鍵と言いながら燐に手渡し、手に負えなくなったらいつでも言ってください、こちらでさくっと処分しますからと言い、籠の中の幼児をからかい始める。 どうして預かるなんて言ったんだよ、兄さん!とフェレス卿の部屋を出た雪男が聞くと、仕方ねえだろ!と燐は答えるが、その時、雪男は階段の下でしえみが待っていた事に気付く。 燐!ちょっと良いかな?としえみは言って来る。 近くの公園に燐を連れて来たしえみは、ニーちゃんが再びほうずきを咲かせると、その花から魂が天に昇っている所を見せ、みんな救われたんだよ、ありがとう!と礼を言う。 自宅に戻った燐は、幼児姿の悪魔を入れた大きな檻が部屋の中に置いてあったので、どうやっていれたんだよ!と呆れる。 雪男はそんな燐に、謹慎中の兄さんのスケジュールを書いといたから…と言いながらスケジュール表を渡す。 掃除、ゴミ出し、冬休みの宿題、ちゃんとやっといてよ!ときつく言い放った雪男は部屋を後にする。 檻の中の幼児はまだ怒っていた。 その内部屋の中でうとうとしてしまった燐が、やべ!又寝落ち!と目覚めると、檻の中の幼児はおとなしくなっていた。 ペットボトルの水を燐が取ると、幼児は顔を背けたので、喉乾いたろ?と優しく声をかけペットボトルを渡してやる。 その水を飲んだ幼児は、いきなりズボンを脱いでしゃがみ込もうとしたので、慌てた燐はトイレに連れて行ってやる。 臭すぎる!ザリガニ雑巾とジジイの靴下の匂いだ!と燐が顔をしかめると、無礼者!臭いとは何だ!と幼児が口を聞いたので、お前しゃべれるのか?と驚く。 リュウと雪男は、ラップ現象と思われる通報があったと言う家の調査に来ていた。 のんきな物だ…、俺なら建物後と焼き払うぞとリュウが言うので、そんな乱暴な…と雪男が驚くと、冗談だよとリュウは答え、報告は見たか?と聞く。 ファントムトレインのちぎれた頭部は工業地帯高架下にて発見、逃走した本体はゲヘナとアッシャーの境界を食い破りながら移動し、学園内に潜伏しているものと…と雪男が説明すると、結界が緩んでいる隙を突かれた…、厄介な奴を取り逃がしたな…とリュウは嫌みっぽく呟く。 その時、ラップ現象の家から、フランス人形を乗せた乳母車を押した熊の人形が出て来たのでリュウは注目する。 その直後、フランス人形の髪が伸び始め、顔も巨大化して来たので、リュウが飛び降り、杖で頭部を打ち据えると、何をちんたらやってる!お前らそれでもエクソシストか!とエージェント達を叱りつける。 その時、背後に熊人形が浮かび上がったので、雪男が銃で粉砕する。 それをみたリュウは苦笑し、お前は使えそうだな…と言いながら雪男の横を通り過ぎて行く。 その後、初日から自信なくしましたよ…、文句言わんと、修業や、凄かったですね、あのモルブ…などとぼやきながら、全身ドロドロになった勝呂竜士(声-中井和哉)、志摩廉造(声-遊佐浩二)、三輪子猫丸(声-梶裕貴)の3人が燐の家に風呂を借りに来る。 扉を開けると、幼児に紐を結わえた燐が風呂に入れさせようとしている所だった。 結局、4人掛かりで幼児を風呂に入れ、身体を洗ってやる事にする。 入浴後、ドライヤーで幼児の髪を乾かしてやっていた燐は、幼児の頭部から耳のような角のような突起物が出て来たのに気付く。 幼児には、神木さんが選んでくれたと言う子供服をしえみが持って来たので着せてやるが、幼児はちくちくするなどと言い、着心地は悪そうだった。 燐が感謝すると、時間がなかったから適当に見繕っただけよと神木出雲(声-喜多村英梨)は言う。 結局、風呂は言っただけで休憩時間終わってしもうた!とジャージに着替えた勝呂たちはぼやく。 忙しい所悪かったな!困ったときはお互い様だなどと会話して、燐は勝呂たちと玄関先で別れるが、その隙に幼児はこっそり逃げ出してしまう。 あれ?あの子は?と家に入りかけたしえみが気づいたので、野郎!どこ行きやがった!と燐は慌てて外へ飛び出して行く。 お前また忘れて来たのかよ!さっきまで覚えてたのに!などと祭り姿の子供達が集まって騒いでいるいるのを上の道から覗いて見ていた幼児は、車を避けているうちに道に迷ってしまう。 その頃、燐は猫の黒に会い、変な髪型したちっこいガキを見なかったか?と聞く。 黒が側にあった柱の上にしゃがんでいる幼児を見たので、燐もそれに気付き、あいつ…と呟く。 黒は柱を駆け登り、幼児の足下で巨大化して捕まえる。 自宅に連れて帰り、檻に入れようとした燐だったが、幼児が中に入らないので、飯にすっか?と言い出す。 ニュデリー支部が遅れているので京都支部の皆さんに行っていただきますと椿 薫が指示を出している本部内にいた 兄貴達も来ているはずなんだけどな…と志摩が言い、奥村君頑張ってましたねと猫丸も感心する中、見張れって言われとるのにあないに自由にさせといて良いのかいな?と勝呂は案ずる。 燐は「スパーイエロー奥村流スペシャル」なるオムライスを作っていた。 燐は手持ち無沙汰そうにしていた幼児に、レンゲに乗せたオムライスを差し出し、味見してみるか?と聞く。 まずクロが食べてみせると、幼児も食べてみて喜んだので、だろ?と燐は言い、幼児とクロは美味しそうにオムライスを食べ始める。 そう言えば名前聞いてなかったな、俺は燐と名乗ると、幼児は名前などないと言うので、そうか、じゃあ考えなくちゃな…と呟いた燐は、もう食っちまったのかよ?ちゃんと噛んで食えよ、うさ麻呂(声-釘宮理恵)!と呼びかける。 燐の分を分けてもらったうさ麻呂は、目を輝かし、いただきま~す!と言う。 その頃「正十字商店街」の中の飲み屋で1人ビールを飲んでいたシュラは、ビールのお代わり、ネギマと皮、明太ジャガのバター焼き!と追加注文したので、お客さん、良い飲みっぷりだね!これサービスとウエイトレスから気に入られていた。 そんなシュラに、まだ任務終わってないですよと付き合っていた雪男が注意する。 休憩だよ、休憩!とシュラが答えていると、勤務中に飲食とは看過できない、霧隠シュラ!と言いながら窓の外を通過して来たのは、大きな剣を持ったアーサー・オーギュスト・エンジェル(声-小野大輔)だった。 雪男がタージンが何故こんな所に?と驚くと、今回の祭りの主役を頼まれてなとアーサーは答え、その姿に気付いた民衆から、年男だ!年男が来たぞ~!と歓声があがる。 その歓声に応えるアーサーの姿にシュラは呆れる。 懐かしき祭り囃子の面影に思いめぐらす白雪の恋…とフェレス卿が1人悦に入っていると、ハムスターの姿になったアマイモンも僕もお祭りに行きたいです!でもこの姿じゃ…と言うので、仕方ない…、おとなしくしてるんですよ、では!フェレス卿は言い聞かせる。 その頃、任務中の志摩が、もう見ました?ジャカルタから来てはるリーナさん、もうめっちゃ好みやわ~などとうっとりしていた。 そこに、新たなモルブが接近、ナナフシだと知った志摩達は、あれはあかん…と諦める。 ちょっとあんたたち、何してんのよ!と出雲が呆れる中、3人はまた全身ドロドロになってしまう。 部屋で宿題をしていた燐に、おい!と呼びかけたうさ麻呂は、何と書いてあるのじゃ?と一冊の絵本を見せに来る。 それは、昔子供だった燐が義父獅郎から読んでもらった「忘れんぼうの村と悪魔」の本だった。 わあ、懐かしい!昔読んでもらった事があるな~と忘れんぼうの村と悪魔は絵本を手に取ってみた燐は、うさ麻呂が膝の上に乗って来たので、自然と内容を読んで聞かせる事にする。 昔々、ある村の外れに悪魔が現れました。 元気がないようだったので、村の少年が食べ物を与えてやりました。 元気になった悪魔は少年と遊んでそのまま村に居ついてしまいました。 村人達は悪魔のせいで働く事を忘れて遊び続けました。 そこに伏魔師が現れ、悪魔を封じ込めました。 悪魔はいなくなりましたが、村人達は村の事を忘れてしまっていたので、村は荒れ果て、なくなってしまいました。 すると、嘘じゃ、嘘じゃ!絶対に違う!とうさ麻呂が本を投げ出し怒りだしたので、どうした?急に…と燐は、うさ麻呂が弾き飛ばした絵本を拾い上げると、物に当たるなよ、ジジイの形見なんだぞ、これ…と注意する。 村がなくなってしまったと言うのは本当か?とうさ麻呂は、何か思い詰めたような表情で聞いて来る。 いや、まあ…、絵本だからな…と燐も戸惑うが、うさ麻呂はベッドの上に座り込むと無言になってしまう。 その内、うさ麻呂がうつらうつらと船を漕ぎ出したので、おい、もう遅いから、寝ろ!と燐は声をかける。 するとうさ麻呂は、檻の中に戻ろうとしたので、俺のベッドで寝て良いぞと言い聞かすと、御主は寝ないのか?とうさ麻呂は聞いて来る。 今日のノルマ、全然終わってないからな~と燐がぼやくと、眠くはないのか?とうさ麻呂は不思議がる。 眠いけど、宿題やっちまわねえと…と燐が答えると、宿題がなくなれば眠れるのか?とうさ麻呂は聞く。 ああ、そりゃもちろん…と燐が答えると、じゃあ、宿題がなくなれば良いと思っているのだな?とうさ麻呂は言い出す。 ああ、そう云う事になるかな?と燐が答えると、うさ麻呂は何かを身体から発し始める。 だから早く終わらせてしまわねえとな…と答えた燐は、その異変に全く気付いていなかった。 ふと気付いた燐が、俺も寝るか?と言うと、じゃあ、燐と一緒に寝る!とうさ麻呂は嬉しそうに抱きついて来る。 その後、帰宅した雪男は、燐がうさ麻呂と一緒にベッドで寝ていたので、何で檻から?と不審がるが、その時、見覚えのある絵本「忘れんぼうの村と悪魔」が置いてあるのに気付く。 懐かしいだろ、それ?すっかり忘れてたよ、あんなにジジイに読んでもらったのに…と目覚めた燐が話しかけて来たので、何で檻から出したんだ?兄さんお任務は監視でしょう!と雪男は責める。 それに今日の分、宿題ちゃんとやってあるの?と雪男が確認すると、宿題?と燐が答えたので、やっぱり…謹慎中の自分の立場が分かってるの?と雪男は怒りだす。 監視もできない、宿題もやってない…、それだから兄さんは…と雪男が嘆くと、うるせえな~…、檻に入れりゃ良いんだろう?と言いながら、燐はうさ麻呂を抱いて一緒に檻の中に入ってしまう。 ああ~…と嘆いた雪男は、祭りが終わったらその悪魔は封印するんだ、それまで決して目を離しちゃダメだよと言い残し、部屋を出て行く。 宿題って…、あいつ…と、籠の中の燐がぼやくと、ふと、うさ麻呂が目を覚ます。 (回想)これが始まりなの? ああ、1000年前から伝わる話だそうだ…と義父が答える。 ところで、お前らだったらどうする? もしこの本のような悪魔に出会った時、お前らならどうする? 幼い雪男は、僕は頑張ってやっつける!と答える。 (回想明け)雪男はロープウェイに乗っていた。 到着した駅には、リュウとその部下2人が待ち受けていた。 2時間程前に、南町でファントムトレインの目撃情報だ、行くぞ!とリュウは教える。 その後について行きながら、そう言えば、シュラさんから聞いたんですが、リュウさんはこの祭りと縁が深いとか?と雪男が聞くと、俺の先祖が絵本に出て来る伝説のエクソシストだからさ…とリュウは答え、どうした?サインなら後にしてくれと冗談を言う。 翌日、またモルブと戦い終え、全身ドロドロになった志摩、猫丸、勝呂が燐の家に風呂を借りに来る。 ところで、モルブって何?と志摩が聞くと、モンスター・オブ・リキッドバルーン…、略してモルブですと猫丸が教えると、ただの水風船お化けでええやないかと志摩は愚痴る。 入り口から、奥村!風呂化してくれる?と呼びかけると、庭先から、ええぞ!と燐が答え、うさ麻呂とサッカーボールで遊んでいるのが見える。 良いんですかね?すっかり懐いちゃっていますけど?と猫丸が言うと、おい!奥村、何しとるんのや?と勝呂が呼びかけてみる。 すると燐は、ずっと檻の中に閉じ込めておく訳にも行かないだろ?たまには外出して遊んでやらないと…、お前らも風呂は言ったらちょっと付き合えよなどとあっけらかんと答える。 その後、しえみや出雲も交え草野球をやる事になる。 勝呂がピッチャーだったが、一番バッターの出雲から簡単に打たれ、塁に出られてしまう。 手が滑っただけや…と勝呂は負け惜しみを言うが、二番バッターは燐で、しかもバットを差し出して予告ホームランを宣言する。 くそ!俺のストレートがどんだけ早いか知らんな!と勝呂は力む。 出塁している出雲と志摩がじゃれ合っているうちに、勝呂の投げた球を燐が打ち返し、志摩がキャッチしそこねてしまう。 レベル低すぎ…と出雲はぼやく。 ロープウェイに乗っていた雪男とリュウは、うさ麻呂に打ち方を教えていた燐の姿を目撃し、ほお…、随分楽しく見張っているじゃないかとリュウは皮肉を言い、目障りだ、問題になる前に処分しろ!と雪男に命じる。 はい?しかしフェレス卿からは…と雪男は抵抗するが、悪魔に情をかけてどうなる?エクソシストは悪魔を祓うのが仕事だとリュウは答える。 それを聞いた雪男は、分かってますと言うしかなかった。 下では、分かったな?思い切り降るんだぞ!と燐が、バッターボックスに入ったうさ麻呂に声をかけていた。 キャッチャー役の猫丸が、もっと下の方を持った方が良えよ、球が来るから前を向いてなどと声をかける。 1球目はストライクに完全に振り遅れたうさ麻呂だったが、勝呂の渾身の2球目をあっさり打ち返してしまう。 一塁へ走ってと猫丸が言うと、バットを持ったまま走ろうとするので、バットは置いて行った方が良いよと猫丸は教える。 燐やしえみたちがうさ麻呂を褒め、うさ麻呂はすっかり嬉しくなって仲間達と仲良しになる。 その後も燐はうさ麻呂と兄弟のように家の中で過ごす。 町は祭りがにぎわい、元の姿に戻ったアマイモンがフェレス卿と一緒に見物していた。 アーサーは剣舞を披露し、シュラは任務の呪文を続けていた。 勝呂たちも燐の家の風呂に通うたびに、すっかりうさ麻呂と付き合うのが当たり前になっていた。 絵本「忘れんぼうの村と悪魔」の中の、村人と悪魔が楽しく遊ぶページのイメージ 又、肉片だけの空振りか…と、モンスタートレインの頭部を探索していたリュウはがっかりする。 肉片の焼却処理を見守っていた雪男は、例の祠、撤去が終わるまで立ち会ってきますとリュウに言い、その場から離れる。 水門で任務を遂行中のシュラは、ドブ臭!と顔をしかめる。 ポンプの調子が良くないみたいで!と係員が声をかけて来たので、さっきより水位が上がって来てるけど、大丈夫なのかよ?とシュラが聞くと、水没するまでに終わらせちゃってください!などと無責任な指示が来たので、何だよそりゃ…、メフィストの奴、適当な管理しやがって…とシュラはぼやく。 燐の家で、食事の後、ごちそうさまでした!とうさ麻呂が言えるようになったとしえみが喜んでいると、出雲は、か、可愛い!とうさ麻呂に母性愛を感じたようだった。 うさ麻呂君、こんなに可愛いのにどうして封印されていたんですかね?と一緒に食事をし終えた猫丸が不思議がる。 すると、うさ麻呂は、分からぬと答え、身に覚えがないらしんだと燐が補足する。 目の前で祭り見せられながら任務なんて生殺しですよと志摩が愚痴ると、弱音吐くな、それも今夜の1丁目の警備で終わりやと勝呂が慰める。 すると、あれ一昨日ですよ、今夜は6丁目の…と猫丸が訂正して来る。 しかし、それは昨日と出雲が再訂正し、大分やられてますねと志摩がからかうと、お前もさっきコンビニへ何買いに行ったか忘れて帰って来たやないかと勝呂も言い返す。 コンビニなんていつ行ったんです?などと言いながら、飛んで来た蝶を掴んで窓から志摩が逃がしてやったので、お前!虫嫌いの志摩さんが!と勝呂と猫丸は唖然とし、どないした?もう今日は休んでくださいと労る。 後片付けしながら、あいつら相当来てるな…と呆れた燐だったが、ん?しえみ、どうした?その絆創膏…、どっかで転んだのかな?気をつけろよなどと言い出したので、それを聞いたしえみはえっ!と驚き、自分で左頬の絆創膏を触ってみる。 志摩が、俺に祭りを!ギブミーフェスティバル!などとおどけだしたので、それを見ていたうさ麻呂は、みな祭りに行きたいのか?と聞くので、そりゃみんな、仕事がなければ行きたいですよと猫丸が答える。 仕事がなくなれば、みな祭りに行けるのか?とうさ麻呂は聞く。 もちろん!と猫丸が答え、仕事なかったら、町中の人みんな参加しますよと志摩も言う。 町中の人みんながそう思っているのだな?とうさ麻呂は確認する。 あもちろん、みんなの願いですわ…と云う志摩の返事を聞いたうさ麻呂は、急に笑顔になると、又身体から何かを発し始める。 本部内では、なり続ける電話を取る物は誰もいなくなっていた。 どうした?とリュウから聞かれた雪男は、さっきから本部に電話してるんですが誰もでなくて…と答える。 祠の瓦礫の下から、ウサギの置物と祠が姿を現す。 それを見たリュウは、あれは!と目を見開く。 皮には何隻もの飾り付けられた船が通過して行く。 岸に接岸した船の上で太鼓を打つ男達、岸には大量の市民達が見物に集まっていた。 やあやあ、我こそは伝説のエクソシスト!いざ尋常に勝負!などとアーサーが見栄を切る。 勝呂たちやしえみたちも、祭りに加わり太鼓を叩いたり纏を振って楽しんでいるので、やって来た雪男は、みんな何をやっているんです!と呼びかける。 何をって、見れば分かるやろ?と船の上から勝呂が答えると、勝手に持ち場を離れないで!任務はどうしたんです?と雪男は問いかける。 すると勝呂は、任務?これの事ですか?などと言いながら太鼓を叩いてみせるので、違う!警備の任務があるはず!と雪男は怒鳴る。 そないな話、聞いてませんけど…と勝呂が言うので、えっ?と雪男は驚く。 そこに、こりゃ、奥村先生、これお一ついかがですか?とたこ焼きを勧めて来たのは講師の椿 薫だった。 どこ行ったらしたんです?奥村先生?と声をかけたのは裁判長だった。 どうしたんですか?その腕?などと、雪男の左腕の事を聞いて来たので、先生方まで、一体どうなっているんだ?と雪男は驚くが、その時、結界が崩れ始め、モルブが出現する。 雪男は銃で応戦し、破裂したモルブが群衆の上に降り注いでみんなが逃げ惑う中、燐は祭り見物に連れて来たうさ麻呂とはぐれてしまう。 うさ麻呂も人ごみの中で燐を見失い、兄!どこへ行っとったのじゃ!と発見したつもりで近づいて手を握ると、それは同じ法被を来た白鳥と言う別人だと気づく。 走り始めた民衆に転ばされたうさ麻呂を見て、大丈夫か?坊主、お父さん、お母さんは?と見知らぬカップルが心配して声をかけて来る。 1人?坊や、名前は?住所、言える?と迷子だと思ったカップルが優しく声をかけて、うさ麻呂が泣きそうになった時、何やってんだよと肩を叩いたのが燐だった。 勝手にどっかに行くなよな?と燐が叱ると、燐!とうさ麻呂は呟く。 良かった、迷子じゃなかった見たいとカップルが離れると、さあみんなの所へ行くぞと燐が先に歩き始めると、その手をうさ麻呂がしっかり掴んで泣きそうになる。 祭りはさらに盛り上がっていた。 屋根の上に座り込んで、舞い落ちて来る紙吹雪を見つめていた燐に、祭りが終わったら、うさ麻呂はまた閉じ込められるのか?と横に立っていたうさ麻呂が聞く。 燐は、任せとけ、俺が何とかすると苦笑する。 その後、燐はウサギのお面を買って、うさ麻呂の顔にかぶせてやる。 懐かしいな…、11年前にも来たんだ…と、うさ麻呂を肩車して縁日を見ていた燐が言う。 あの時は、雪男が迷子になっちまって…、ジジイと2人でこの辺探したな〜と燐は思い出す。 結局、神社の境内で1人泣いてた。 あいつ、俺とジジイの顔を見た途端、今度は安心してわんわん泣き出した…とその神社の境内にやって来た燐は言う。 すると、肩に乗せていたうさ麻呂が、悲しい事か?と聞いて来たので、何言ってると燐が呆れて笑うっと、つらい事か?と又聞いて来る。 つらい訳…と笑いながら答えようとした燐は、義父藤本獅郎との思い出が蘇って来る。 ジジイの思い出がつらい…とつい燐は漏らしてしまう。 すると、うさ麻呂の身体からまた何かが発せられる。 (回想)いつの間にか、燐は藤本獅郎の前に来ていた。 誰だ?誰かいるのか?と獅郎が聞いて来る。 すると、子供時代の自分と雪男が部屋に駆け込んで来る。 ねえねえこの本読んで!と椅子に登った兄弟は獅郎にせがむ。 子供の頃の俺がいる…と燐は驚く。 雪男も…、でもあれは誰だ?と絵本を読み始めた獅郎の事が分からなかった。 思い出せない…、大切な人だった気がするのに… すると、獅郎が振り向き、どうした?燐!と声をかけて来る。 (回想明け)神社で正気付いた燐は、ジジイ!親父〜!と呼びかけながら目の前に会った黒いもやのような物を握りしめると、急速に今までの記憶が消え始める。 これは!と燐が驚くと、せっかく食べたのに、思い出してしまったのか…と、いつの間にか側に立っていたうさ麻呂が言う。 まさかお前が…記憶を…?と燐が聞くと、嫌な事、つらい事、みんなうさ麻呂が食べてやるのじゃ…とウサギの面をかぶったうさ麻呂が言う。 お前の封印された理由はこれか!と気付く燐。 大丈夫だ、燐、又みんな食べてやるとうさ麻呂が言い、黒井もやもやが燐を被い尽くそうとしたので、止めろ!と燐は叫ぶ。 その時、杖で裏麻呂の身体を突き飛ばしたのはリュウだった。 着地したうさ麻呂は、ウサギの悪魔の姿に変身していた。 正体見せたな?こんな所で時の眷属に巡り会えるとはな…、我が一族の名にかけて祓ってやる!とリュウはうさ麻呂に語りかけ、兎丸に飛びかかろうとする。 そんなリュウの前に立ちはだかったのは弱った燐だったので、何をする?とリュウは驚き、貴様、やはりエクソシストにはなれんな!と断ずる。 燐の身体をはね飛ばしたリュウだったが、その身体に、うさ麻呂の尻尾から黒いもやもやが襲いかかる。 リュウは幼い頃のパグ犬との思い出を失いかける。 その時、駆けつけた雪男が銃撃してもやもやを払いのける。 うさ麻呂は、雪男の銃弾とリュウの部下2人をすり抜け神社の外に逃げ出す。 塀を乗り越え、町中に追いかけた雪男だったが、町にはゴーストが溢れていた。 増援はどうした?本部は何やってる!と防戦中だったリーナが叫んでいた。 それを見た雪男は、あいつのせいだ、このままでは…と苦慮する。 そこに、気絶した部下を背負って来たリュウと燐が近づいて来たので、何者なんですか?あのウサギ…と雪男は聞く。 あいつは時の眷属、時を操り人の記憶を食う。かつて我が祖先が封じた悪魔…、わずかなほころびから人間の欲につけ込み、心を滅ぼす能力を持つ…、かつて祖先は奴が村人と関わるのを許し、そのために村は滅んでしまった…、村も奴を封じた場所も忘れられ、いつしか伝説となって言った…、あいつを放っておくと、この町が滅びるぞ…と本部に戻って来たシュラは語り終える。 うさ麻呂は次々と警備員を倒し逃げ延び、町には巨大なゴーストが徘徊していた。 町に出た燐は、警備中の雪男に近づき、どうだ?と声を掛けるが、まだ何も…と雪男は答える。 その時、燐は正十字メトロの入り口に目をつける。 携帯で報告を受けていた雪男が、兄さん?と呼びかけた時、もう燐は側にいなかった。 地下鉄の線路上を逃げていたうさ麻呂は、何故じゃ?みんな嫌な事を忘れ幸せになったのに何故?と呟いていた。 (回想)村人達の前で払魔師に追いつめられたうさ麻呂は、違うQこれは何かの間違いじゃ!と仲良しだった少年達を前に叫んでいた。 面をかぶった払魔師が迫ると、違う!違うのじゃ!と叫ぶうさ麻呂。 おい、聞こえるか!しっかりしろ!と呼びかけたのは、工業地帯で壊れた祠の側で倒れていたうさ麻呂を抱き起こした燐だった。 違う…とうさ麻呂は呟く。 (回想開け)線路上で立ち止まっていたうさ麻呂は泣いていた。 その背後に近づいて来たのは燐だった。 地上では、どっちへ行ったんだ?とリュウが聞き、二手に分かれますか?と雪男が確認していた。 その時周囲が揺れ始めたので、地震?と雪男が気付くと、この気配、奴だ!とリュウが察する。 ゴーストトレインの頭部だった。 地下鉄内では、その振動により坑道の底が崩壊し、線路とともに燐とうさ麻呂が下に落ちる。 そこには底なしの大きな空洞が広がっていたので、何だ、ここは?と燐は?と驚く。 地上から、兄さん!と雪男が呼びかけると、待て、見ろ!とリュウが空洞の途中にへばりついていたゴーストトレインの頭部を発見する。 お前はウサギから目を離すな!と雪男に指示したリュウは、飛び降りて、多数の眼球を持ったサンショウウオのような形態のゴーストトレインの上に飛び乗る。 そして、呪文を唱えながら杖でゴーストトレインを突く。 その戦いを2人並んで覗き込んでいたうさ麻呂が、はっと気づいたように、例え燐でもエクソシストは嫌いだ!と身を避けたので、うさ麻呂、何で人の記憶を食う?と問いかける。 するとうさ麻呂は、嫌な事を忘れ、みんな幸せそうな顔になったのじゃ…、なのに…と言うので、記憶を食っても別の誰かが覚えているだろう?と燐が指摘する。 そしたらそいつの記憶も食ってやる!とうさ麻呂は言うので、町には人がたくさんいるぞ、みんな食うのか?と燐は問いかける。 国中みんな、食ってくって食いまくって、そしてみんな幸せになるのじゃ!と兎丸は答える。 俺とお前の思い出もか?と燐が聞くと、さすがにうさ麻呂はぎょっとなる。 そこに銃を持った雪男が近づいて来て、そいつに何を言っても無駄だ!兄さんは下がって!と指摘するので、待て、雪男!と燐はなだめ、うさ麻呂、俺は…と又語りかけようとしたとき、下からゴーストトレインが這い上がって来る。 壁にゴーストとレインが激突すると、うさ麻呂と雪男が乗っていた巨大な牛の形の彫刻部分が根元部分から剥がれ滑落し始める。 牛の頭部は、トロッコの線路を破壊し、地下水の中に落下する。 雪男は壊れた線路の一方に乗り、うさ麻呂に発砲していたので、2人とも待て!と切断した線路のもう一方に乗っていた燐が止める。 そこへ、リュウが乗ったゴーストトレインが落下して来て、燐のいた線路部分にしがみつこうとするが、又滑り落ち地下水の中に落下する。 水中でリュウを振り落としたゴーストトレインは、又空洞の支柱をよじ上って来る。 崩壊し始めた線路から大きくジャンプした燐はゴーストトレインの身体にしがみつく。 ゴーストトレインは、雪男の線路の方へやって来たので、雪男もその身体に乗り上げるが、逃げようとしたうさ麻呂は弾き飛ばされてしまう。 うさ麻呂〜!と呼びかけ、飛んで来たうさ麻呂の耳を掴む。 放せ!燐!と抵抗するうさ麻呂に、うさ麻呂、お前はみんなを幸せにするためにその力を使ったんだろ?と語りかける燐。 そうじゃ、なのに、なのに…と悔しがるうさ麻呂。 お前、良い奴じゃん!と微笑みかけた燐は、でもな、うさ麻呂、つらくても悲しくても忘れちゃ行けない事があるんだ、俺はジジイとの思い出がどんなにつらくたって決して忘れない!忘れちゃ行けないんだ!とモンスターハンターの背中にしがみついた燐は言う。 ろ?とうさ麻呂に言い聞かす。 それを空中で聞き言葉を失ううさ麻呂。 兄さん!と驚く雪男。 その眼前で、モンスターとレインが巨大な口を開ける。 燐は降魔剣を抜くと、燐!と呟いたうさ麻呂とモンスターハンターを一緒に切断する。 モンスターハンターはそのまま地上に落下すると身体が溶けて行く。 ウサギの面をまっ二つに斬られたうさ麻呂は、裸の幼児の身体に戻っていた。 だからうさ麻呂、約束してくれ…と語りかけながら、近づいて自分の学生服を着せてやった燐は、もう人の記憶は食わない。 その力を二度と使わないって…と優しく語りかける。 うん…と素直に頷くうさ麻呂。 すると燐は、雪男、こいつは俺が引き取って弟にすると言い出したので側にいた雪男は唖然とする。 ずっと考えていたんだ…、ジジイだっておれたちを半分悪魔と知って育ててくれたじゃないか、だから今日からおれたちは3人兄弟だと燐が言うので、何を言ってるんだ、兄さん!と雪男は叫ぶ。 メフィストには俺から話をつけるから…と燐が言うので、そう言う問題じゃなくて…と雪男は焦る。 そんな兄弟の側に近づいて来たリュウが、ペッツのような歌詞を口に入れると、巨大なゴーストが近づいて来て壊れて行くのに気付く。 その時、燐!良かった、うさ麻呂君、見つかったのね!と喜びながら、しえみが駆け寄って来る。 どうなっている?結界は?と燐が聞くと、今一カ所を貼り替えている所だって…、それよりも町の人には避難命令が出たのとちえみが言うので、兄弟揃って驚く。 凄い数のコールタールが町に溢れ大変なの。エクソシストは本部に集合だってとちえみは言う。 町は無数のコールタールで埋め尽くされそうになっていた。 しえみに手を引かれ帰る途中、避難する町の人々の姿を見て驚くうさ麻呂。 その時、ロンドンタワーのような橋の橋脚部分に追いつめられた子供2人に気付いた雪男は、子供が取り残されている!と驚く。 先に行っててくださいと言い残し救助に雪男が向かうと、待て!俺も行く!と燐も後に続く。 燐!と呼びかけたうさ麻呂に、大丈夫だ、すぐ戻るから、しえみと行っててくれ。そら辛気くさい顔するなって!と言い、うさ麻呂の頬をつまんでみせた燐は走り去って行く。 その頃、水門の前で封印の呪文を続けていたシュラも、外の連中は何やってる?結界場の中まで食い込まれているぞ!と焦っていた。 そのシュラの身体もコールタールの群れに覆い隠されてしまう。 シュラは慌てず詠唱を始める。 まとわりついて来るコ−ルタールに切れたシュラが、うるさいぞ!ハゲ!と叫ぶと、ハゲではない、アーサー・オーギュスト・エンジェルだ!と行って出現したアーサーが、ここは俺が食い止める、さっさと詠唱を続けろ!とシュラの前に立ちはだかるので、うるせえ!いちいち格好つけるな!とシュラは苛立つ。 本部内には多数の負傷者が収容されていた。 町の様子を熱心に見つめる兎丸に、うさ麻呂君、危ないから奥へ行こう?と諭すしえみ。 その時、意を決したように、うさ麻呂が屋根伝いにどこかへ向かったのでしえみは慌てる。 ロンドンタワーの中に子供2人を誘導した雪男と雪男と燐だったが、上の部屋部分に登ると周囲はコールタールで埋め尽くされていた。 町が!と唖然とする雪男。 子供2人をさらに屋根の上に押し上げた燐は、足を滑らせた雪男の片手を掴んで自身もぶら下がってしまう。 出来るだけ奥に隠れてろ!と子供達に呼びかける燐だったが、その左手が掴んでいた建物の窓に引っ掛けていた刀がずり落ちそうになる。 雪男!と呼びかけ、弟の身体を持ち上げようとするが、片手では無理だった。 銃で応戦していた雪男もとうとうその銃を落としてしまう。 町にはコールタールが集合した蛇のようなモンスターが何匹も蠢いていた。 その時、燐は近く塔の天辺にいるうさ麻呂に気付く。 うさ麻呂…、何してる!戻れ〜!と燐は呼びかけるが、燐!うさ麻呂も忘れないぞ〜!燐との思い出〜!と叫び返して来たうさ麻呂は、でも…ごめんなさい、約束守れなくて…と呟くと前を見据える。 何をするつもりなんだ…と雪男も見守る中、わ〜!と叫びだしたうさまろは、体中から黒井もやもやを発し、 これは!記憶だけじゃない!時空そのものを食おうとしている!と下で状況を見守っていたリュウが気付く。 本部内ではみんながモニターを見守り、町中では、しえみやリュウ、水門の所ではシュラとアーサーが驚くべき展開を見守っていた。 お風呂も野球もとろとろも祭りも…、みんな楽しかったぞ…、ありがとう、燐!とうさ麻呂は呟きながら白い光となって消えて行く。 (回想)燐はどうする?もしこの絵本の悪魔に出会ったら?と義父が聞くと、仲良くする!と答えたので、雪男が驚く。 だってこいつ、みんなと楽しく遊んだんだろう?だったら友達じゃん!と嬉しそうに燐は言う。 友達って…、兄さん、悪魔だよと雪男が言い返しても、友達ならやっつけない、仲良くする!と燐の答えは変わらない。 でも仲良くったって…、悪魔なんだから…と雪男は釈然としないのでまた言い返そうとする。 仲良かったらあくまでも友達だ、だからこいつは良い奴だと燐が言うので、義父さんどっちが正しいの?と雪男が聞くと、そうだな…と義父も頭をかいてく称するしかなかった。 (回想明け)自宅の勉強机の前で寝ていた燐は、あ、うさ麻呂!と叫んで目を覚ますが、部屋にはもう大きな檻の影も形も残っていなかった。 そこに雪男が帰って来たので、雪男、うさ麻呂は?みんなは?町はどうなった!と燐が聞くと、うさ麻呂?何寝ぼけているんだ、兄さん、祭りは終わったんだから今日からはちゃんと…と雪男は怪訝そうに答える。 気がつくと、窓の外の景色は雪化粧に変わっていた。 あいつが食ったんだ…と燐が言うと、あいつ?と雪男が聞くので、覚えてないのか?と言いながら燐は部屋を出て行く。 一体何を…と雪男は唖然としながら見送る。 外で、勝呂やしえみ、出雲たちと出会った燐だったが、奥村、どないした、そないに慌てて?と勝呂が聞いて来たので、お前らは…、いや、何でもない…と言い残し、そのまま燐は走って行く。 ロンドンタワー風の橋の所へ来た燐は、何事もなくそびえ立っている橋を確認する。 さらにユキの中を走りながら、うさ麻呂〜!と叫んでいた燐は、いつしか、リュウが立っていた祠の所へ来る。 お前は覚えているのか?と燐が問いかけると、自分以外誰も覚えていない記憶があったとして、その事にお何の意味がある…と笠をかぶったリュウは答える。 なんっつてな…とおどけたリュウは、悪魔も心を開く事があるのか?面白いものを見せてもらったと言い、去って行く。 燐は祠の横に転がっていた片耳が壊れたウサギの人形を置き直し、うさ麻呂、俺は忘れない、ずっと覚えている!と語りかける。 空中に浮かんだソファーに座ったフェレス卿に、兄上、この絵本に書いてあるのと最後が違ってますけど…と、ソファの下に逆さまに吊り下がって絵本を読んでいたアマイモンが聞くと、私はそのオチが気に入らなかったんですよ、彼が書き換えてくれたようですね…と傘をさしたフェレス卿は答える。 雪道の階段を登って帰っていた燐は、途中で待っていた雪男が、突然飛び出してどこに行ってたんだ?と聞いて来たので、うるせえな〜…、俺だって1人で考えたいときがあるんだよと照れながら答える。 考える?それより今兄さんが一番考えなければ行けないのは宿題でしょう!と雪男がきつい口調で言って来たので、宿題、宿題って、お前はお母さんか!と燐が突っ込み、それより腹へってない?オムライス作ってやるよとごまかす。 鉛筆スケッチとエンドロール タンポポが咲き乱れる春の祠には、祭りで売っていたウサギのお面が飾られていた。 |