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続やくざ坊主

勝新主演「やくざ坊主」の続編。

正直、朝丘雪路さんと松尾嘉代さんの美貌以外にこれと云った見せ場はなく、凡庸な続編と云った印象。

海女が泳ぐシーンなどもあるが、特にお色気シーンと言うほどでもなく、アクションも驚くほどの物ではない。

2作目がこの程度の出来では、その後シリーズが続かなかったのも当然だろう。

大映末期の作品と云う事を考えれば予算がかけられなかったのも致し方ない部分もあったのだろうが、主役の坊主が、座頭市や兵隊やくざ、悪名の主役朝吉などと並ぶくらいの魅力がないのが致命的だろう。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1968年、大映、笠原良三+杉浦久脚本、池広一夫監督作品。

房州袖ヶ浦

海岸の岩場からちらちら覗く、笠をかぶった坊主竜全(勝新太郎)。

覗いていたのは海女達の着替えの様子。

海女達は、いつの間にか間近に立って数珠をもみながら祈っている竜全に気付いて悲鳴を上げて逃げ出す。

タイトル

海を泳ぐ海女の姿を背景にキャスト、スタッフロール

海辺近くの荒れた庵に近づく地元の漁師達。

やい!泥棒!今朝方の上がりみんな持って行きやがって!と中に向かって漁師が呼びかけると、扉が開いて拝みながら出て来たのは竜全だった。

人違いだったかな?と戸惑いながら漁師達は帰って行くが、扉を閉めて中に戻った竜全の前に物陰から出て来たのは、サザエの入った網を下げた半助(大川修)だった。

半助は礼のつもりかサザエを1個取り出して竜全に渡し、その場を立ち去ろうとするが、サザエ1つで命と交換する気か?と竜全が凄むと、諦めたように網ごと全部渡す。

竜全は網の中に入っていた巾着袋の中の金を取り出し、半助が差し出した巾着袋の中に入れてやると、その袋ごと奪い取ってしまう。

そんな竜全が表に出ると、駕篭に乗った女が通りかかる。

江戸からやって来たお紺(朝丘雪路)とお供の八十松(守田学)であった。

女の素性を半助に聞くと、五藤伝八郎の情婦だと言う。

五藤の名前を聞いた竜全は、金座の主人である事に気付く。 その頃半助は、お見それしました、あっしを連れにしてくださいと竜全に頼み込んでいた。

何か人に出来ない事でもあるのか?と聞くと、走るのが速いというので、試しに走ってみろと命じると、すぐさま半助は走って見えなくなってしまう。

苦笑して道ばたに座っていた竜全は、付近の街道を通る二台の籠の列を見る。

新川の東兵衛(石山健二郎)と五藤伝八郎(内藤武敏)を乗せた籠だった。 そこへかけて戻って来た半助を竜全は供にする事にする。

門前町に着いた竜全と半助は、人肌救世観音像を擁する西念寺に見物に来る。

その頃、三崎の源十(遠藤辰雄)の屋敷に来た五藤伝八郎は、お露を崖から海に突き落としたので死んでるはずでさあと報告するが、それを聞いた伝八郎は死体は確認したのか?と睨みつける。

賭場にやって来た竜全は、お紺がツキまくっているのを見ると勝負を挑む。

そして、わざとお紺の前に中腰にしゃがんだ竜全は、足をちらちら広げて股間をお紺に見せつけて惑わす作戦に出る。

しかし、お紺は半を選び、壺の中味も半だった。 負けたと知った竜全は、ノミを取る振りをしてサイコロに近づく。

竜全が賭場から帰った後、いかさまがばれたかと思ったぜと苦笑していた東兵衛の元に、再びこっそり戻って来ていた竜全は、先ほどのみを掴む振りをして手に入れていたサイコロをその場で振ってみせ、いくら降っても半になるイカサマ賽である事を暴露する。

しかし東兵衛は慌てず、10両をポンと竜全に渡し口止めすると宿に無料で泊めてくれと言う。

さっそく宿に泊まった竜全は半助と一緒に船に入ると、先ほど見かけたお紺のことをあれこれ話す。

その話を隣の女湯に浸かって聞いていたのは当のお紺だった。

その時、お紺が入っていた事に気付いた竜全は、女湯の隙間から着替えているお紺を覗き、そのまま部屋まで押し掛けて行く。

その頃、伝八郎は海辺で泳ぐ海女達の姿を吟味し1人の女を選ぶと、西念寺の一室に目隠しをして布団に寝かせる。

その女を抱きかけた伝八郎は、そっと部屋に忍び込んで来た竜全と顔を突き合わせる。

異変に気付き部屋に入って来た智念上人(沢村宗之助)に、竜全はたった今寺から盗んで来た菩薩像を半助に持って来させ、これを買え!と迫る。

東兵衛の子分達に終われ、崖から海に飛び込む半助と竜全。

その後、半助だけが何とか陸地にたどり着く。

竜全の方は、浅瀬に倒れている女を発見、気がついたその女は何も覚えてないのか、言葉も満足にしゃべらず、ただ、江戸へ連れて行ってくださいと頼むので、竜全はその女を連れて江戸へ向かう事にする。

途中の茶屋で半助と再会、その時、竜全は女の着物の襟元に何かが縫い込まれている事に気付き取り出すと、それは小判と書状であった。

その書状には、この娘こそ先代五藤が女中に生ませた娘お露(松尾嘉代)である事が分かる。

宿に一緒に泊まることになった竜全は半助を呼び、袖ヶ浦に五藤伝八郎と弟が一緒に来なかったか調べて来いと命じる。

その後、同じ部屋に床を敷かせようとした五藤伝八郎だったが、急に正気付いたかのように立ち上がったお露は、勝手に隣の部屋に逃げ込んでしまう。

そこに現れたのが、竹中(伊達三郎)、為吉(木村玄)、小森(玉置一恵)の3人で、お露を買いたいと申し出て来ると、10両、20両、30両と小判を積み上げて行く。

しかし、その小判に一瞬は心を奪われたかに見えた竜全だったが、いくら積まれてもお露はやれないと拒否する。 3人が退散した後、自分を守ってくれた竜全に感激したお露は抱きついて来る。

やがて袖ヶ浦から戻って来た半助の報告によると、確かに袖ヶ浦に伝八郎と弟がやって来たが、お露の死体も見つかっていたと言う。

さすがに偽者と分かっていて抱かなかったんですね?と半助は感心してみせるが、良く見ると、竜全ののど元にキスマークが付いていたので双方バツが悪くなる。

後日、石川豊前守(尾上栄五郎)を招いての江戸での家督相続襲名式に突如、謎の贈物が届けられ、その後から部屋に乗り込んで来たのは赤い僧衣に身を固めた竜全だった。

竜全は、臓物の衣を剥がし、その中に入っていた棺に座ると、これはお露の遺骸だと五藤伝八郎を睨みつける。

しかし、五藤伝八郎が死人に口無し…などととぼけるので、棺の蓋を開けてみると、そこに寝ていたお露が起き上がる。

証人が生きていたとなるとどうする?と竜全が言うと、豊前守が気色ばんだので、東兵衛が慌てて止めに入り、招待客達もその場は言ったん退出してくれと頼む。

竜全はおめえさんは弟を毒殺したんだ!と伝八郎の悪事を暴くと千両を要求し、千両箱が部屋に持ち込まれるが、棺桶から出て来たお露は実は偽者である事を打ち明ける。

それを聞いた伝八郎側も驚くが、お露も驚き、急に開き直る。

その後、川岸に出た竜全は、東兵衛一家に囲まれるが、得意の金串攻撃で東兵衛と短筒を撃とうとしていた五藤伝八郎の両名も殺害してしまう。

しかし、半助に小舟で運ばせようとした千両箱は、手が滑って川の中に落としてしまい、元の木阿弥になってしまう。

翌日、事件が解決し、半助を連れ旅立つ事にした竜全に、偽お露が付いて来ようとするが、普通に戻った女には興味ないんだと竜全は言い放ち、半助とともに去って行く。
 


 

 

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