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吶喊

岡本喜八監督の「赤毛」(1969)と並ぶ「戊辰の戦い」を描いた痛快時代劇。

幕末を舞台にしながら、その中で面白いものを探して奔放に生きる破天荒な若者の姿をエネルギッシュで面白おかしく描いてある。

系統としては、戦争を皮肉った「独立愚連隊」に連なる陽性な作品だと思うが、艶笑譚要素も絡めたナンセンスな部分も楽しめる一方、コミカルな背後に人間の残虐性などもさりげなく描き出している。

ATG作品なので低予算のはずなのだが、安っぽさはほとんど感じられず、撮影所時代の作品と遜色ない出来になっている。

大掛かりな戦のシーンのいくつかは錦絵でごまかしてはいるが、それなりにエキストラも投入しており見応えはある。

ナレーターは中谷一郎さんが勤め、岸田森さん、天本英世さんと言った常連組や、仲代達矢さん、田中邦衛さんなども出番は少ないながら出演しているのも、低予算を感じさせない所だろう。

本作の見所は、何と言っても、主役を務めている伊藤敏孝さん、岡田裕介さん、高橋悦史さんと言った男優陣と、伊佐山ひろ子さん、千波恵美子さんら、女優としては抵抗がありそうな性的演技を堂々とこなしている度胸だろう。

一番活躍しているのは伊藤敏孝さんなのだが、その伊藤さんとコンビのように活躍しているのが、この当時の岡本組の常連で、今や東映会長の岡田裕介さん。

デビュー当時の石坂浩二さんに似た甘いイケメンというイメージから、頼りなげで素っ頓狂でとぼけた独特のキャラクターを見事に演じている。

登場人物や場所を紹介する長々しいテロップは「シン・ゴジラ」の庵野監督演出を彷彿とさせる。

ちなみに、キネ旬データベースの二枚橋ノ和助役は堺左千夫となっているが、明らかに別人だと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1975年、ATG、岡本喜八脚本+監督作品。

五平餅のようなものを囲炉裏で焼きながら、婆さん(坂本九)が語りだす。

昔、昔、千太と言う暴れ馬みてえな男がおったそうだ。 大きなチ○ポコを持っていたが、貧乏で嫁をもらえなかった。

それで、お狐さんに3、7、21日、嫁が欲しいと願掛けしたら、満願の日、三味線を持った女が来るとお狐さんが言ったそうな。

その予言通り、三味線を持った女が来たんだと…

(回想)でも、道ばたの草の中に身を潜め待ち受けていた千太は女に声をかけられず、通り過ぎて行きそうな女の後を追って行ったんだと…

三味線を持った女お糸(伊佐山ひろ子)は、いきなり背後から追って来た千太(伊藤敏孝)に襲われ、帯を解かれ始めたので、三味線で殴りつけて逃げ出すが、千太はなおも追いかけて来て抱きつこうとする。

お糸は簪を抜くと千太の尻に突き刺す。

明治0年、4月19日

お糸に馬乗りになった千太は、突然、拳銃の発砲音の直後倒れる。

お糸は、近くの草原で拳銃を発砲した青年がそのまま黙って立ち去ろうとするので、お待ち!と呼び止め、お前さんただ者じゃないね?お前、寺参謀の賭場伏見の世良さんの手下だね?と話しかける。

するとその青年万次郎(岡田裕介)は、手下じゃない、密告の技術を教えている者だと答える。

その万次郎、お糸が気絶した千太に石で殴り掛かろうとしたので、慌てて止めると、おいと同じくらいの年じゃ。気を失っているのに、むくり起き上がっとる…と千太の股間の元気の良さをお糸に教えると、いきなり自分がお糸に襲いかかる。

お糸は、世良さんに言うたらただじゃおかん!と組み敷かれながら言う。

気がついた千太は、顔の真横で母親(岩崎智江)が包丁を研いでいたので、お母!悪かった!と詫びながら起き上がる。

今度は何やった?強請か?集りか?と母親が聞くので、包丁研ぐのは物騒だから辞めてくれと千太は頼む。

しかし母親は、物騒だから研いでるだ、何したんだ?と平然と聞くので、おら、嫁っこさがしてただと千太が答えると、地べたに寝っ転がってキ○タマさらして、チ○ポコおっ立ててか?と母親は呆れたように聞く。

じゃあ、お母が俺を助けてくれたか?と千太が恥ずかしげに聞くと、1人じゃ無理だ、まごたろうが助けてくれただと母が言うので、家の中に飛び込んでみた千太は、何者かに殴られて、また外に吹き飛んで来る。

誰だあれは?と聞くと、細谷十太夫と言う仙台のお侍だ、何でも戦が西の方から登ってくるんだと…と母親は教える。

家の中では、その細谷十太夫(高橋悦史)と、宇都宮で怪我して、何とか組…、そうそう新撰組に入ったんだと話していた土方歳三(仲代達矢)がいた。

会津が何故朝敵なのか?と十太夫が不思議がると、理屈に合わないから分からないんだ。ちょっとした敵討ちだね。

しかし敵討ちじゃ様にならないから、天皇様を担ぎだした。薩長が官軍になれば、新撰組なんて…と土方は言う。

これからどうするんです?と聞かれた土方は、会津に150名集まったらしい。そこで一緒に戦って死ぬ…、勝ち負けはもはや論外…と答えると、その話を聞いていた千太が飛び込んで来て、そいつはかっこ良い!俺は百姓だと憧れのまなざしで言うので、俺も百姓辞めて侍になった…と打ち明ける。

しかし、戦うったって、敵の姿は欠片も見えないと十太夫が言うと、薩長は白河口まで来ていると土方は教える。

仙台の世良にきりきり舞いしていますよと十太夫が教えると、世良を何としても斬るべし!と土方は言うので、最後まで戦火を止めるべきです!と十太夫は提案する。

無駄だとは思うが、まあ良いや…、お互い理屈だけは通そうやと土方が言うと、では私はこれで…、やがて早馬が来る時分ですからと挨拶し、先に家を出て行く。

千太は、こっちの方が面白いな!とすっかり戦に夢中になるが、おんしの頃は面白いが、百姓は辞めねえ方が良いぜと近藤は諭す。

早馬に乗っていた2人が路上で狙撃され落馬したのを、迎えに来た十太夫が発見し、驚いて2人に駆けつけるが既に2人は息絶えていた。

十太夫は、草むらの中に人影を見つけ後を追う。

その直後、落馬した遺体のある場所に包丁を持って駆けつけたのは千太で、面白そうだがや!と喜んでいた。

やったね万次郎…、草むらから拳銃を持って出て来た万次郎にお糸が声をかける。

お前鳥撃ったろう?とお糸が聞いて来たので、ウサギだと万次郎が答えると、おめえ、今日が筆下ろしじゃないの?とお糸がからかって来たので、又、万次郎はお糸をその場に押し倒す。

福島 月心院に馬で駆けつけて来た十太夫は、そこにいた仲間達から、世良が金沢屋に泊まったという情報を聞いたので、嘆願書を持った早馬が謀殺された。敵は薩摩の密書を手に入れたと十太夫は教え、仙台の仙田勇之進に知らせろと命じる。

一方、千太は、金沢屋にぶっ殺しに行くという一団に遭遇し、その後を付いて行く。

金沢屋にお糸と共にやって来た万次郎は、部屋の中から世良が明日にしろと声をかけて来たので、明日については分かりませんと答え、廊下で粘っていた。

万次郎は懐から拳銃を取り出すと、障子を少し開けて顔を出した女に渡す。 その頃、宿の入り口から何気なく入り込んだ襲撃隊は、藁に包んで隠して来た竹槍を取り出していた。

その後、世良の部屋の前に千太と共にやって来た番頭が、世良様、女の父親から使いが…と廊下から声をかけ、一緒に付いて来た千太も、ちょっとばかり顔貸してくんさいと部屋の中に呼びかける。

中から出て来た女テル(千波恵美子)は、あんた知らねえし、あたいに父っちゃまいねえぞ…と不思議がるが、千太は黙って下へテルを連れて行く。

竹槍隊が宿に突入し、世良は?と仲間達に聞くと、勝見と言う付き人が隣に…と言う。 部屋で出て行ったテルを待っていた世良修蔵(村松克巳)は、勝見!女を黙らせろ!と隣の部屋に呼びかける。

ちょっと妙だ、妙に静かだ…、お前の女の声しか聞こえなくなった…と布団の上で世良は警戒する。

すると隣から、女は手洗いに行ったきり帰っておりませぬが…と言う勝見善太郎(樋浦勉)の返事が聞こえて来たので、何!と世良は緊張する。

女の笑い声は、別室で、五木の子守唄を歌う万次郎に抱かれていたお糸の声だった。

最後の腰を入れる時、チェスト!と気合いを入れた万次郎の声を聞いた世良は、何がチェストだ!とバカにする。

一方、テルを部屋に連れ込んだ千太は、俺にかじりついていりゃ大丈夫だと良い、テルは、おら、おっかねえだ!と怯え千太に抱きつく。

千太はそんなテルの着物の裾をたくし上げると、おら、お前が初めてだ!と興奮し、テルに抱きつくと腰を振り始める。

まるで極楽にいるみてえだ!と感激した千太は、一緒に行くべな!と語りかけるが、一緒に行かれねれえっす!くたばるっす!とテルは答える。

勝見はようやく障子が開いたので、女が戻って来たと思い、長い手洗いだったなと布団に寝そべったまま声を掛けるが、入って来た襲撃隊に刀を突きつけられ仰天する。

隣の世良から、今の物音は何だ?と声が聞こえるが、刀を突きつけられた勝見は、何もなかです!と答えるしかなかった。

その直後、隣の障子が開いて賊が入って来たのに気づいた世良は、先ほど万次郎から預かった拳銃を向けて引き金を引くが弾は出なかった。

世良修蔵と知っての襲撃か?と聞くと、伊達は良くねえと言ったな?奥羽は皆敵とはどう言うことか聞きに来た!と襲撃班は詰め寄る。

錦に歯向かうとどうなるか分かっとるか!と世良は虚勢を張る。

その世良の部屋を覗いていた千太はテルの目を隠すと、くたばってくれ!と祈るが、テルは、おら、おっかねえ!と震えながらもしっかり目を見開いて世良の様子をみていた。

錦の御旗ってそんなに偉いのか!と言いながら、世良が捕まって行った部屋に入って来た万次郎は、落ちていた拳銃を拾い上げ弾を込めながら、これで戦争が始まるな…、おらも金でかどわかされた。面白い世の中だから、そのなかで楽しむだけさと万次郎が言うので、お前、子供かと思っていたら案外大人だねとお糸は感心する すると又、万次郎がお糸に挑みかかる。

一方、千太はテルから、先ほどやって来た万次郎が世良から10両もらったという話を聞き、待ってろ、その10両で身請けしてやると言い残し部屋を出て行く。

万次郎は、早馬の使者から奪った密書を読みながらお糸に乗っかっていた。

そこへやって来た千太が、おめえ万次郎だな?と言いながら迫って来たので、ピストルを取り出した万次郎が撃つぞ!と脅すが、撃ってみろ!撃ったら連中がやって来るぞ!10両渡せば、命ばかりは助けてやると千太は迫るが、万次郎の下にいたお糸の顔を見ると、お前ら、どっかで見たことねえか?と思い出す。

金を渡した万次郎から名前を聞かれた千太が答えると、今度会ったらぶっ殺すぞ!と万次郎は捨て台詞を吐く。

翌朝、世良修蔵は河原に引き立てられて来る。

同じ河原の側にいたのが千太と身請けされたテルで、千太は、川の水で顔のおしろいを洗ったてるの素顔を見ると、おめえ、まるでわらしこみてえにめんこいなと感心する。

そして、これから男に襲われそうになった時、キ○タマ蹴ってみろ!と自分が相手役になって命じる。

テルは恥ずかしがって嫌がるが、何度か急所を蹴る練習をさせる。

4月20日

世良は首をはねられてしまう。

その側の河原で、恩に着ることはねえと千太は言うが、テルは、そっち行ったら戦争がある、おら、お父っつぁんもおっ母さんもいねえ!と打ち明けるが、千太は、ほんじゃば又!と言い残し、逃げるようにその場を立ち去って行く。

21日 白河城奪回 雨の中 戦争、どこまで来てる?と千太が通りの人間に聞くと、そこまで来てると言うので、早く戦争を見てえ!と千太は嬉々とする。

そんな中、のんびりうどんなど食っている参謀仙田勇之進(岸田森)と瀬尾斗介(大木正司)に、何故あんたら戦から逃げた?と細谷十太夫が聞いていた。 今は仙台からの増員を待っている。

戦のことに口出しするな!と瀬尾は不愉快そうに答える。

しかし十太夫は、世間であんた達のことを何と言っているか知ってるか?「ドン五里」、ドンとなったら五里逃げるということですよと嘲る。

すると、仙田が、貴公、どうして白河にこだわる?我々は百姓ではない。

そんなに言うなら、お前が取り戻してみろ。お気に入りの百姓を使ってな…と皮肉って来る。

しかし、その言葉を聞いた十太夫は、何事かをひらめいたようだった。

十太夫から話を聞いた地元のヤクザ太平(今福将雄)は、ヤクザは命を賭けて縄張り守るってことだろうと言うので、二枚橋ノ和助は元気か?と聞く。

外に出た十太夫は、すれ違った万次郎に、官軍の元密偵、今掏った財布を返してもらおうと呼び止める。

万次郎は立ち止まり、細谷さん、同業のよしみで情報を買わないか?と持ちかけて来る。

1両分売ってもらおうか?と十太夫が答えると、官軍は陸羽街道をまっしぐら、薩長の兵は20名ばかり…と万次郎は教え、残りはもう1枚!とねだるが、十太夫はそれだけで十分なようだった。

それでも万次郎の方も、1両手に入ったので、飯にありつけると大喜びする。 千太は雨の中、街道をひた走っていた。

官軍に撃たれた地元のヤクザ二枚橋ノ和助は、自分を抱えていた子分達に、もう良いぞ、おりゃ、もうおしめえだ…、何をもさくさしとる!とっとと行け!と怒鳴りつける。

その言葉に押されるように3人の子分はその場を逃げ出し、その場にやって来た千太にぶつかる。

先にその場にいて草の中に身を伏せていた十太夫は、千太の足を引っ張ると、おめえ、面白えことやりたいと言っていたな?と声をかける。

その直後、林の木の陰から顔をのぞかせた千太が、官軍に向かって、くそ袋!と大声でからい始める。

その声を目がけ、官軍は発砲して来たので、千太の持っていた雨傘はあっという間にぼろぼろになる。

その隙を突き、十太夫が官軍に斬り掛かって行ったので、それを見た千太は、かっこええ!と感激すると、周囲で死んでいた官軍から銃を取り上げ撃とうとするが弾が出ない。

それを見た十太夫は、弾を込めないと当たるか!と教える。

負傷した和助を助け起こした十太夫だったが、旦那…、久しぶりだな…と言った和助はそこで息を引き取る。

見ると、千太が鉄砲に弾を込め夢中で発砲しているので、もう1人もいねえよと十太夫が声をかける。

父っつぁん、やられた!と叫びながら太平の所へ戻って来た子分3人は、飯を食い終えて帰ろうとしていた万次郎とぶつかる。

その頃、十太夫は千太に、戦は面白いことばかりじゃない。明日から苦しいことが多くなるかも知れんぞと言い聞かせていたが、戦に夢中になった千太はそれでも大丈夫だと答える。

一方、親分の吾助の最期も見届けずおめおめと逃げ帰って来た3人の子分を叱りつけた太平は、おめえら、ぶった斬ってやる!と叫ぶと、部屋の奥から刀を持ち出し抜こうとするが何故か抜けない。

そこに戻って来た十太夫が、その刀を借りて、とんとさやの部分を叩き抜いてみせると、すっかり刃は錆び付いていた。

十太夫は、太平、せっかく洗った足をまた汚す気か?と言い聞かせながら、持ち帰って来た吾助の遺髪を差し出す。

それを見た太平は、3人の子分達に、お前らも命預けろ!掛田ノ善兵衛、桑折ノ和三郎、桜井ノ百蔵らに声をかけてこ!と命じる。

万次郎は再会した千太に、預けておいた10両、返してもらおうと迫るが、あの金で身請けしてやっただと千太は答え、嘘だと思うなら調べてみろ!と自らのからだを差し出し、まだここに2両ばかりのこっていると股間を指す。

千太の身体検査を始めた万次郎は、千太の股間にあるのはキ○タマだけで、からかわれたと気づくと掴み掛かり、2人は喧嘩を始める。

それを見た太平が、辞めろ、おめえら!と怒鳴りつける。 さらに十太夫が、手桶に入った水を2人にぶっかけると、怒った万次郎は拳銃を突きつける。

その銃口を覗いた十太夫は、弾は入っているな…、最初は空で、二発目に弾が出る。

だが、二発目撃つ時、おめえの手はないよと十太夫は刀に手をかけ脅す。

すると万次郎が、薩摩の芋掘り百姓に人情などない!俺は金儲けして商人になる!と言い出したので、それで早馬撃ったのか?と十太夫は問いかける。

その内、官軍が来たら、俺を撃つ?と十太夫が迫ると、時の流れ…、知らん!と万次郎ははぐらかす。

千太がぶっ殺すぞ!と睨みつけたので、万次郎が拳銃を発砲すると、千太はその場にまた気絶してしまう。

やがて、3人の子分達が呼び集めた掛田ノ善兵衛(伊吹新)、桑折ノ和三郎(小川安三)、桜井ノ百蔵(長谷川弘)らが、太助の縄張りをおらたちで守るか!との呼びかけに賛同する。

気がついた千太が、どこや、ここは?と聞くと、からす組の本陣!と十太夫が教える。

聞いたことないな?と千太が起き上がると、今思いついたばかりだと十太夫も笑う。

5月5日

からす隊を結成したとの報告を十太夫から受けた仙田勇之進と瀬尾斗介は、そんな名前では…とバカにするので、「衝撃隊」と言う別称も十太夫は提案する。

そんな烏合の衆では、藩士隊の足手まといになるなよと仙田は釘を刺す。

近隣の博徒、百姓などをかき集めたからす組だったが、十太夫はこれを5つの招待に分け、夫々に小隊長を決めた。

鉄砲隊隊長に指名されたのは千太だったので、おらまだ19だ!と千太はビビる。

すると大次郎は、お前の部下は18だ、72歳の猟師もいたか…などと言う。 彼らの衣装は板屋の女郎達が協力してくれた。

制服を縫っていた女郎達の部屋に駆け込んで来た千太が、ふんどしがねえんだ!と頼みに来るが、ふんどしだけは自前でと言うことになる。

ところが、そんな中、千太は顔なじみを発見する。

テルであった。

テルは恥ずかしそうに、以前、千太が忘れて行ったふんどしを懐から出して渡してやる。

千太はテルの再会を良かった、良かったと喜び、鉄砲隊の部屋に戻ると、市(丹波義隆)、紋次(粕谷正治)、弥太(藤田漸)ら若い部下達に出て行ってくれないかと頼み込む。

何でじゃ?と部下達が聞くので、あれじゃ…と千太は口ごもるが、あれって何じゃ?としつこく聞いてくるので、童し子作るんじゃ!と教えると、意味が分からない部下達は、手伝おうか?などと言って来る。

そんな中、72の猟師与作(天本英世)は、鉄砲は長いのに限る…などと言っていたが、テルと部屋でことを始めた千太の股間を見て驚く。

翌朝、出発しようと家の外に出た十太夫と太平は、鉄砲隊の部下達が外で震えていたので、何してるんだ?と聞くと、隊長が夜っぴいて鉄砲撃ちだと言う。

太平は与作は?と聞き、隊長!おらたちゃ先に行くぞ!と部下達が家の中に声を掛けると、行くぞ!と叫びながら、満足そうな顔に千太が飛び出して来る。

それを見た十太夫は、あの野郎!と呆れ、太平も、どこ行くか分かっているのか?と呆然と見送る。

十太夫は、一番隊、出発!と号令をかける。

隠れて、敵がやってくるのを待ち受けていた千太は、万次郎が官軍の赤毛の隊長らしき人間と一緒に近づいて来たのに気づき、撃て!と命じる。

部下達が一斉に発砲を開始した中、与作だけは鉄砲を支えに眠っていたので揺り起こすと、年寄りは遠目が効くっちゃ!と言い、赤毛を目印に発砲する。

赤毛が倒れたので、みんなで駆け寄り、ふん縛ろうとしている所へ十太夫がやって来て、手負いを縛る奴あるか!と叱りつける。

そして、からす組隊長細谷十太夫と自ら名乗ると、赤毛の名前を問いただす。

負傷した隊長は松田精造(小野寺昭)と名乗る。 その時、後方から官軍が撃って来たので、十太夫は、本体はまだ見えないのか?引け!と命じる。

万次郎は、流れに逆らうて世の中動いているとからす組をバカにするが、そんな中、負傷した与作が、赤いのに当たったか?と言いながら息を引き取る。

千太らは、赤いのにちゃんと当たったぞ!と呼びかけてやる。

与作の死を知った太平は、負けじゃ!1人でも死んだら負けじゃ!と言うので、千太が何で?と聞くと、みんなが死んだら誰が戦うんじゃと太平は言う。

この最初の戦いで犠牲者が3人出たことを、遺髪を持って、参謀達に知らせに行った十太夫だったが、瀬尾が、無頼の輩など相手にしないと言い、仙田は、今夜、白河を一気に奪回となったと言うので、怒った十太夫は、衝撃隊は藩主殿を見限りました!と言い残し、その遺髪を掴んで戻って行く。

それを見た仙田は、怒らせておけば、無頼共も少しは役に立つ…とうそぶく。

その夜、鉄砲隊の若者は、俺たちの隊長がまたいなくなったと言い出す。 千太か?と聞いた太平は、弥太に、本当は知っているだろうと詰め寄ると、しゃべったらブッ殺すって…と口ごもる。

万次郎は、1人寝ていた千太に近づくと口を塞ぎ、表は弾袋で一杯だ!と脅す。

なして君はこんな敵の中で寝取る?と万次郎が聞くと、君?と千太は聞き慣れない言葉に驚く。

君と僕、官軍で流行っとると万次郎は教える。

千太が警戒して何も答えないので、たいがいの察しは付いとると万次郎は言い、もうお前の10両は欲しくない。その代わり仲間が欲しい。一万両の軍資金がある所を知ったんだと誘う。

それを聞いた千太が泥棒か?おらは泥棒などしたくない。俺たちの縄張りを守るのが役目だと言いながら立ち小便を始めたので、アホか!流れは利用する方が面白いと言いながら、万次郎も並んで立ち小便をする。

軍資金を狙う仲間になる君と僕、山分けでどうだ?と万次郎はしつこく迫るが、千太はやだ!と拒否する。

その頃、からす組では、誰か後ろに回したいと十太夫が提案するが、もう回っていると太平が答える。

暗闇に乗じ、市、紋次、弥太の3人が近づいて来たのに窓から気づいた千太は、部下3人のすぐ背後に官軍の見張りがいることに気づき焦る。

見張りは小屋の中をのぞくと、そこにいた万次郎が、やあ!と挨拶したので油断するが、次の瞬間、隠れていた千太が襲いかかる。

かっこ良い!と千太は喜ぶが、寝そべっていた万次郎は、あほらしい!とバカにする。

そんな万次郎を見ていた千太は、変な奴…、敵か味方か分からなくなっただ…と呟く。

千太らが、窓から近づく官軍に向け鉄砲を向けると、近くの半鐘が鳴りだしたので見上げると、万次郎が鐘を叩きながら、アホー!と叫んでいた。

千太は狙い澄まして発砲すると、万次郎は落下して来る。

しかし、からす組の奮戦むなしく総攻撃は失敗する。

その後、からす組は、友軍として各地で活躍するが、指揮不統一のため7名の死者を出す。

その後、3隻の軍艦が到着する。

7月26日

官軍に寝返った二本松城落城 からす組は3人が死亡する。

その後、からす組は仙台を目指すが、その途中、二本松の少年隊の遺体に出くわす。

遺体は全員、股間を切断されており、それを見た千太は、何もチ○ポコまで斬らなくても…と悔しがり、いつか仇を討ってやる!と誓う。

その近くでは、あばら屋の中に女の裸の死体もいくつも見つかり、それを見た十太夫は、火をかけて葬ってやれ!と命じる。

8月7日

相馬口に転進を命じられる。

仙台藩は背水の陣を引き、駒ケ嶺、旗巻峠では1200人の官軍相手に、からす組は死闘に次ぐ死闘を繰り返していた。

9月10日

藩主が降伏に断を下したと太平が十太夫に伝える。

それを聞いた千太は、何が幸福だ!と憤る。 十太夫は、青葉城に行ってこの目で確かめて来る。

俺が戻るまで1人もここを動いちゃいかんと言い残して出かけて行く。 後を任された太平は、戦はごたごたしとるくせに、負けたとなると早え、早えと藩士達をバカにする。

ところが、そこにやって来た瀬尾が、仙台藩は降伏などせん!駒ケ嶺へ斥候として5名出ろ!命令だ!と言うが、誰も動かないので、これが名だたるからす組か!と嘲笑する。

1人も出るなと隊長命令だと太平が答えると、所詮はごろつきか…、お前らキ○タマ縮み上がっているんだろう!などと瀬尾は侮辱して来る。

それを聞いた千太は、キンタマ縮み上がっているなんて言われて黙ってられるか!と言い立ち上がると、他の仲間達も横に並び、自分たちの股間をさらけ出そうとする。

すると太平もそれに習おうとするので、千太が年寄りが無理することはねえ…と止めようとするが、太平が取り出したものを見ると、何とまあ!と唖然とする。

青葉城 評定所

十太夫を迎えた仙田は、謝罪師の人選が決定した。

これ百姓も安心して稲刈りができるな…などと人ごとのように伝える。

駒ケ嶺の斥候に選ばれた千太は、まだ駒ケ嶺は落ちちゃいねえぜ!と他の4人に告げた瞬間、待ち伏せしていた官軍の鉄砲隊に撃たれてしまう。

太平は、青葉城から戻って来た十太夫に、斥候に5人駆り出されてしまったち悔しそうに伝える。

そこに、1人生き延びた千太が戻って来て、止めたい奴は止めろ!とやけになる。 戦争は終わったぞと十太夫は言い聞かす。

旗巻峠本陣 瀬尾斗介がやけ酒を呑み、立ち小便をしようと暗がりに向かった時、背後からつかみ掛かった千太が、瀬尾の腹に刃を突き刺す。

猪苗代湖畔 官軍が会津に進んでいた。

そんな中、何故か荷車を引いていた千太が、道ばたに転がっていた遺体を埋葬しようとすると、官軍じゃ、賊平の埋葬をするのは禁止じゃ!と万次郎が言うので、チンポコ斬られた童し子もか!と千太は反論する。

何故荷車なんか引いているのか?と万次郎に聞かれた千太は、ここならいつでも錦の御旗が見られるし…と言うので、錦の御旗など何の役に立つ?と聞くと、帯にして娘っ子にやろうなどと千太は笑う。 すると万次郎は、軍資金の在処が分かったとまた言い出す。

その時、馬に乗った白毛の対象が走り抜けて行ったので、今のは誰だ?と千太が聞くと、総大将の板垣退助だと万次郎は教える。

功名心に逸った千太が鉄砲で撃とうとするので、万次郎が殴り倒す。 その後、万次郎と千太は延々と走り始める。

万次郎が言うには、錦旗が泊まる所は塔寺村らしかった。

そこでは、官軍が集まって女を裸にして悪ふざけをしていた。

そこに、止めんか!恥を知れ!と怒鳴った赤毛の隊長がいた。

官軍にもましな奴がいるな…と、隠れて様子を見ていた千太が言うと、万次郎が、あいつ、松田とか言ったぞ。

いつか逃がしてやった奴だ!と思い出す。 あいつに聞いて見ようと千太が出て行こうとしたので、ばれちまうぞ!と万次郎が止めるが、その時、近くにいたお糸に気づく。

僕の女じゃ!と万次郎は再会を喜ぶ。

仁和寺宮 総本陣 お糸が三味線を弾きながら「ぼんちかわいや ねんねしな♩」と博多どんたくを歌っているのを聞いた万次郎は、僕のコツを歌うとると勝手に感激する。

屋敷内では、板垣退助(木村博人)たちが酒を飲みながら、岩倉、大久保、伊藤、板垣…、みんな歴史に残る人物たいなどと自慢話をしていた。

そんな中、万次郎がそろそろ行くぞ!と、居眠りを始めていた千太に声をかけて起こす。

お糸が厠に来ると、そこで待っていた万次郎が巧い話を持って来たと話しかける。 するとお糸は、軍資金だろ?私ゃ忙しいんだからさ…と軽くいなし、小便をするためしゃがみ込む。

万次郎は千太に、錦旗の部屋が分かった。見張りももう船を漕いじょると教える。

千太は屋敷の庭先に忍び込むと閉まった雨戸の下に小便を撒き、滑りを良くした上で雨戸を開け、座布団を二枚両手に持って足の下に敷き、足音がしないように奥の座敷に向かうと、メム離婚でいたみはりのいる部屋のろうそくを消す。

しかし、真っ暗闇になった部屋の中に手探りで入ろうとしたとき、すぐに見張りの侍に触れてしまったので、くせ者!と騒がれて、あっけなく取り押さえられてしまう。

その騒ぎに乗じ、万次郎は軍資金を盗み出すと、翌朝、死体が散らばる戦の跡地の穴に埋めるが、その様子を陰からお糸が見ていた。

そこへ、捕まった千太が松田隊長らに連れて来られ、首を斬られようとする。

千太は恐怖から小便を漏らすが、死体の陰に隠れてその様子を見ていた万次郎は、松田精造隊長!覚えておられますか?道案内の万次郎です!と呼びかけながら姿を見せると、こいつはなして斬られるとですか?僕の親友ですと言う。

夜ばいが癖でして…、謝れアホ!と言うなり、しゃがんでいた千太をぼこぼこに殴りだす。

そのお陰で釈放された千太は、本当に助かった…、君は親友だと万次郎に感謝しながら一緒に歩いていた。

軍資金は?と聞くと、誰にも分からん所へ埋めておいた。掘り出すのはいつでも良いんだなどと万次郎が答えるので、どうも分からない…と言い出した千太は、君ばかり得して、僕は酷い目に会った…、ひょっとして、おらを騙し、2人掛かりでやらないかなどと誘って、実は自分だけ…、分かった!と合点したのか、いきなり万次郎を殴りだす。

2人が大減価をしている所へやって来て、止めんか!と仲裁したのは、守備隊隊長山川大蔵(田中邦衛)とその部下達だった。

君たちは近隣の百姓だと思うが、彼岸獅子を踊れるか?と山川は聞き、獅子舞の笛と太鼓は用意できたんだが、先頭で踊るものがいなかったんだと言う。

鶴ヶ城へ帰りたいのだが、街道はびっしり囲まれていて、まともには帰れそうにない。

敵もまさか、獅子舞に隠れているとは思うまい。 ばれたら、血路を開いて斬り死にするまでだと山川は言う。

会津若松 官軍が城に大砲を撃っている最中、万次郎と千太を先頭に、獅子舞の一行がにぎやかに演奏しながら通り過ぎて行く。

それを見た官軍は、あっけにとられて見送るだけ。

その頃、お糸は、万次郎が埋めた穴から軍資金を盗もうとしていた 鶴ヶ城 西本丸 城に近づいた山川は、山川隊、行くぞ!と声を上げ、一斉に城の中に逃げ込む。

穴の中から、お糸が引っ張り上げた手に掴んでいたのは死人の手首だったので悲鳴を上げる。

鶴ヶ城 西追手門内 千太は、キ○タマ縮み上がって、どこさ行ってしまった!と自分の股間を触りながら言うので、万次郎も自分の股間を確認する。

こんなときは娘っ子に限る!早い者勝ちだ!と叫んだ万次郎は、近くにいた娘に襲いかかるが、その娘は果敢に急所を蹴って来るではないか! それを見た千太はテルだと気づく。

テルも、千太さん!と呼びかけながら近づいて来たので2人はしっかと抱き合う。

おまえ、なじってこんな所さ?と聞くと、親類が会津にいて、ここへ来てけが人の手当をしていたとテルは答える。

千太は、キ○タマ縮み上がって…、なじょしてくんろ!と叫ぶと、官軍の爆撃が続く中、テルと手を取り奥へと駆けて行く。

おらのキ○タマ、見つけなけりゃいけねえ!と千太は叫ぶ。

一方、万次郎の方は、歩いて来た若衆姿の娘に襲いかかろうとすると、長刀を持った女剣士達が集団で駆けつけて来る。

あった!おらのキ○タマあった!あったぞ〜!と、爆発が続く中、千太がテルの上で嬉しそうに叫ぶ。

(回想明け)千太はせっせと童っこつくったんだと…と囲炉裏の前の婆さんが語る。

戦が終わっても、何人も作ったんだと…

又、戦が始まり、終わって…、また始まって…、終わって… 始まって、終わって、始まって、終わって…

どこまでやっても同じ事だ。

子供が死んでも、孫さ作り、孫が死んだら、ひ孫さ作り…、100年ばかり経ったんだと…

これでお終え…、ちゃんちゃん(と、婆さんは両手を打つ)
 


 

 

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