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機動捜査班 罠のある街

「機動捜査班」シリーズ第二弾

早くもレギュラーの伊藤部長刑事役が二本柳寛さんから宮崎準さんに変わっているのだが、宮崎さんにあまり馴染みがない事もあり、キャラクター的にも二本柳さん以上に影が薄くなったような気がする。

その穴を埋めるように今回は大宮刑事役の青山恭二さんがやや目立つ活躍をしているが、ヒーロー的な活躍と言う程ではない。

むしろ前作に続き悪役を演じている内田良平さんの方が目立っており、こちらの方が主役とも言える。

今回も観客をミスリードするような設定になっており、後半で種明かしが行われるが、やや強引な設定のようにも思える。

出演者は当時の日活の常連ばかりと言った印象で、映画と言っても添え物的なと言うか、TVドラマの刑事ものに近いような雰囲気で派手さはない。

この時代のこの手の犯罪ものは、お約束のようにキャバレーや水着のお色気ダンスなどが出て来るのがご愛嬌。

劇中、タイアップを臭わせるチキンラーメンが登場するのも楽しい。

ラーメンが今のようにきちっと円柱状に成形されている訳ではなく、袋から丼に移すと麺が剥離してバラバラになっている。

電話喫茶と言う商売が出て来るのも珍しい。

テーブル席の横の棚に内線電話が置かれており、店内の各テーブル同士で会話が出来る仕組みになっているらしい。

若い時代の佐野浅夫さんがその店の小悪人風の店長を演じていたりする。

添え物映画、通俗娯楽としても説明不足な点が目立つし、全体的に話が大ざっぱな感じで凡庸な気がする。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1961年、日活、長谷川公之+宮田達男脚本、小杉勇監督作品。

ネオン輝く夜の東京 覆面パトカーで町に出ていた大宮刑事(青山恭二)が無線で、警視13は銀座築地方面へ向かいますと本部に連絡する。

タイトル

とある四つ角で停車した覆面パトカーの後ろから近づいたタクシーの運転手が、バカやろう!モタモタするんじゃない!と罵声を浴びせ、パトカーを避けて、向かいのビルの前で停まると、客が降りてビルの中に入って行く。

覆面パトカーの中でそれを見ていた伊藤部長刑事(宮崎準)は、その降りた客に見覚えがあると言い出し、恐喝などの前科がある井口鉄郎(内田良平)、通称鉄で、タブロイド紙を作っては広告料などを脅し取っている男だと大宮に教える。

それを聞いた大宮は、またマークする建物が増えましたねと答え、覆面パトカーは走り出す。

ビルの上の階の「あけぼの新報社」と言う事務所にやって来た鉄は、バッグの中から飲みかけの洋酒の瓶を取り出し、自分が一口ラッパ飲みした後、残りを本多(土方弘)にくれてやる。

隣の部屋で資料を準備していた山口二郎(中台祥浩)が急かされながら書類を持って来る。

それを見た鉄は、上出来だと褒めすぐに出かけようとしたので、どちらへ?と本多が聞くと、メルバだよと鉄は言い残して行く。

キャバレー「メルバ」 支配人室では支配人の古田(近藤宏)がホステス達の服装チャックをしており、新人のナナ子(香月美奈子)の胸元を引き降ろし、恵まれているものは最大限に利用すると言い聞かす。

その後、大鏡の前で胸元を上げていたナナ子は、いきなり近づいて来た鉄が胸元をまた下げ、この方が似合うぜと言って来たのでビンタする。

用心棒の健 (三木正三)が、何だ、お前?何の用だ?と聞くと、支配人の古田さんに会いたいと鉄は申し出る。

健から鉄の名を聞いた古田は、聞いた事ないな?と怪しみ、どうせ金の無心だろう、追い返せと命じるが、既に支配人室に入り込んで来た鉄が、遭わないとそちらが困る事になるんじゃないですか?などと言うので、やむなく古田は鉄の話を聞いてやる事にする。

鉄が取り出した封筒の中の書類に目を通した古田は、君!と言って顔色を変える。

表向きはキャバレーだが、裏では秘密の売春組織を持っており、客から法外な手数料を取っている…と鉄が指摘すると、買い取りましょうと古田は即答し、書類を取ろうとする。

かし鉄は、これはコピーだと牽制し、俺をボスに会わせてもらいましょうか?と言い出したので、そんなものはいない!と古田は否定する。

すると鉄は、ではこの記事を「あけぼの新報」のトップ記事にするか、サツにたれ込むか…と脅して来たので、古田は、思わず、待て!と止める。 ナナ子は、木内(嵯峨善兵)と言う割腹の良い客のテーブルに着かされていた。

その木内に電話が入り席を立つと、同席していたホステスショウ子が言うには木内はデパートの専務さんで、江ノ島に別荘を持っているのだと言う。

その頃、鉄は古田の車で出かけていた。 ナナ子はショウ子に、覚えてないかしら、昨年暮れまでいたはずのユカリさんの事と聞いていた。

後で晃子さんに聞いたら良いわ、木内さんでも良いのよ、贔負にしていたからとショウ子は答える。

一方、人気のない場所に車で連れて来られた鉄は、もう一台の車がいる事に気付き、こんな所で何をしようと言うんだ?と警戒するが、乗り換えだと古田が言うので、先に古田を降りさせる。

後から降りた鉄が、もう一台の車に近づくと、背後に立っていた古田がいきなり鉄の後頭部を殴りつけ、気絶した鉄を待機していた車の運転手健と一緒に抱え上げ後部席の中に押し込む。

仕事を終え、化粧室に戻って来たナナ子に、即席チキンラーメンか…と言いながら、丼にチキンラーメンを割り入れ、お湯を注いで蓋をしたアキ子(南寿美子)は、ユカリは死んじゃったのよと教える。

殺されたんじゃない?とナナ子が聞くと、自殺らしいわよ、麻薬の事が原因で…、だから警察も諦めたらしいわ、迷宮入りって言うの?あんた、そんな事聞きたくてここに入ったの?とアキ子が言うので、違うわ、ちょっと聞きたかっただけなのよとナナ子は笑って答える。

鉄は、顔の水を吹きかけられ目を覚ましていた。 目の前には古田と健がおり、殴ったのは目隠しと同じだよと苦笑する。

ボスは?と鉄が聞くと、風呂だよと古田は答え、やがてガウン姿で部屋に来たのは木内だった。

木内はソファにだらしなく横になると、何の用だ?と横柄に聞いて来る。

俺は恐喝などで飯を食っている男だがなと前置きした鉄は、お宅の売春を知って考えを改める事にした。

俺と共同事業しないか? あんたの店で客が女を買う。その客と女が言って先を耳打ちしてくれねえか?俺がその客を脅かす。

取った金は山分けだと鉄が言うと、古田も驚く程あっさり木内は手を差し出し、鉄と合意の握手をする。

翌日、鉄と山口は、港鉄鋼と言う大会社のビル前に車で乗り付けると、総務部長の梅野(山田禅二)に会い、温泉マークの前でパチリと…と言いながら、総務部長とホステスのソノ子(南風夕子)が抱き合っている写真を見せる。

プライバシーの侵害じゃないか!と怒るが、我慢する方がお利口だと鉄はなだめ、いくら欲しいんだ?と聞いて来た相手に、おまけしといて10万!吹っかける。

そんな金は出せん!と梅野が断ると、この事をトップ記事に作りましょうなどと鉄は脅す。

止めてくれ!と梅野が止めようとすると、その言葉キャッチフレーズになりますね?などと鉄はからかい、頂くものを頂きましょうか?と要求して来る。

そんな部長室の隣にいた秘書が警察に電話を入れ、捜査四課の大宮や伊藤刑事部長らが駆けつけて来るが、金を受け取った鉄達はそのパトカーから降り立ってビルの中に入る刑事達とすれ違い、知らんふりして帰って行く。

伊藤刑事部長から事情を聞かれた梅野は、お客さんが大きな超えを出したので、秘書が勘違いしたんでしょうとごまかすが、電話した秘書から事情を聞いた大宮刑事は、額に傷があった、10万円要求していましたと具体的な恐喝内容を知る。

大宮は、秘書が客の1人から受け取ったと言う名刺を伊藤部長刑事に見せるが、そこには「あけぼの新聞 山口二郎」と書かれていた。

捜査四課に呼ばれた梅野は、この種の犯罪は被害者が黙っていては解決しませんと遠山係長(長尾敏之助)から説得されると、会社や家内に知られると…と怯えるので、秘密は守りますからと伊藤部長刑事が横からなだめる。

キャバレーの女を夕べ誘ってホテルに行ったんです。

写真を撮られたなんて全然気付きませんでしたとようやく梅野は話しだす。

そこに大宮が、山口二郎には前科がありましたよ、前科3犯ですと言いながら写真を持って来る。

それを見た梅野は、こいつに間違いありませんと断定する。

その後、「あけぼの新報」にやって来た伊藤刑事部長を、そこにいた鉄は、伊藤さん!と懐かしそうに出迎える。

捜査令状だ!と見せた伊藤は、山口はどこにいる?と聞くが、とっくに首にしましたよと答えた鉄は、大宮が見せた名刺にあけぼの新聞って書いてあるでしょう?あいつ、まだ古い名刺をまだ使ってるのか?ととぼける。

四課に戻って来た大宮は伊藤にソノ子と山口はグルなのでは?と推測を話すが、メルバとあけぼのの関係は分からなかった。

そこに何かやってますね?と顔を出したのは池田刑事(伊藤孝雄)だった。

「メルバ」のカウンターで、山口、本多と共に飲んでいた鉄が古田から呼ばれ支配人室へいくと、鉄、いい加減にしろよ!お前んところ、手入れ受けたそうじゃねえか、こちとらでかい所帯持ってるんだ、側杖を食いたくない。この際、元通り縁を切っても良いんだぜと睨んで来る。

それを聞いた鉄は、分かったよ、消しゃあ良いんだろう?山口を…と答える。

その後、泥酔した山口を本多が抱えて、外で待っていた鉄の車の助手席に乗せる。

鉄は車を走らせ、埠頭に来ると、自分は運転席から降り、意識のない山口を運転席の方に横たえ、アクセルを踏ませてそのまま車を海に突き落とす。

キャバレー「メルバ」では、ネリイ・渚(星ナオミ)のエロティックダンスをやっていた。

それを見ていた木内とナナ子は、見覚えのない新客池田が来て、ソノ子を指名した事に気付く。

そんな店内の様子を、支配人室のハーフミラーの窓から見ていた古田は、江ノ島からこう毎日来られたんじゃ息も出来ないとぼやいていた。

そこの時、電話喫茶「フォーン」の森川(佐野浅夫)から電話がかかって来て、相手は外人だよと言うので、相手を考えていた古田は、ソノ子にしようと返事をする。

その頃、テーブルの木内が飲んだブランデーグラスをそっと持ち出し、着替え室に戻って来たナナ子は、自分のロッカーから指紋検出道具を取り出し、グラスに付いた木内の指紋を採ろうとしていた。

外を通りかかった健がそれに気付き、いきなり更衣室に入って来たので、驚いたナナ子は思わずグラスを落として割ってしまう。

ナナ子、店のグラスじゃないか?可愛い真似するな…と、単なるこそ泥と勘違いしたのか、健は、これ、ソノ子に渡してくれとナナ子にハンカチを渡す。

ナナ子は、そのハンカチをフロアで池田と踊っていたソノ子に手渡すとソノ子は踊りを止め去って行ったので、池田はその様子を見て、表で待っていた覆面パトカーの伊藤部長刑事らに知らせる。

そこに店からソノ子が出て来たので、持っているハンカチが売春の合図ですと池田が教えると、さすが専門の保安係だなと伊藤は感心する。

すると池田は、伊藤さん、婦人警官を泣いていさせていませんかね?本庁かどっかで会ったことがあるホステスがいるんですと言うので、麻薬関係なら保安課では?と伊藤は答える。

ソノ子を尾行し、電話喫茶「フォーン」に来た伊藤部長刑事は、ソノ子の近くの席に座り様子をうかがう。

店の別の席には、外国人とテーブルに座っていた森川が、席に付いたソノ子の事を相手にOK?と聞き、外国人は嬉しそうに、ありがとうと礼を言う。

ソノ子と外国人が連れ立って「フォーン」から出て来たので、伊藤も外で待っていた覆面パトカーに戻り、池田と大宮刑事につけるんだ!と命じる。

ソノ子と外国人は「ホテル フローラ」に入る。

ホテルの前に来た大宮は検挙しましょうといきり立つが、我々機動捜査班は売春より恐喝を捜査すべきだ、今夜の所はこのくらいで引き上げようと伊藤部長刑事がなだめ、覆面パトカーは警視庁へ引き上げる。

翌日、捜査四課にいた大宮刑事は電話を受け、夕べの外人が恐喝されたそうです。

被害額は10万!と伊藤たちに知らせる。 四課にやって来た外国人は、ベッドルームの声をテープレコーダーに録音されて恐喝されたと言い、また「山口二郎」の名刺を渡されたと言うので、山口の犯罪者カードを見せると、ノーと外国人は言う。

喫茶店へは誰の紹介で?と聞くと、外国人は「エキスポート・カンパニー」の秋山と答える。

さっそく「エキスポート・カンパニー」の秋山(広瀬優)に会いに行き事情を聞くと、いわゆるコール・ガールと言う奴ですよ。

最初に私が広告のチラシをもらって会ってたんです。

「デイジークラブ」と言います。

その内、外国人客に紹介するようになりました、こういう商売には必要ですからと秋山が言うので、「フォーン」と言う喫茶店はご存知ですか?と大宮が聞くと、必ず「デイジークラブ」から紹介してきますと言う。

「メルバ」の女ばかりでは?と大宮が確認すると、何ですか?それ…と秋山は戸惑う。

秋山は「メルバ」に関しては全く知らないようだった。

その頃「メルバ」の支配人室では、夕べの金だと言いながら古田が鉄に5万渡していた。

そして、マジックミラーの窓から店内を見ながら、あれをミロ、次の仕事だと古田は鉄に告げる。

テーブル席にいたのは、建設会社の社長荻野(松本染升)と公団の幹部野村(伊藤寿章)だった。

この後あの2人は別荘に行くんだと古田は言う。

役人か?と鉄が聞くと、勘が良いなと古田は苦笑する。

野村はホステスを物色しているようだったが、ナナ子に目を付けると、テーブル席にいたアキ子が、私は荻野さんと行くわ、あの子はダメよ、断られると思うわと野村に忠告する。

フロアではネリイ・渚が、マスクを取って、それを木内の顔に付けたりしていたので、あのブランコの子なら?と野村が聞くと、OKよとアキ子は答える。

そんな中、又、ナナ子は、こっそり木内のブランデーグラスを持ち出し、着替え室のロッカーから道具を取り出し指紋採取を始める。

その時、着替え室の前に来て中の様子に気付いたのは支配人の古田だった。

ナナ子は、今度こそ木内の指紋採取に成功する。

その頃、アキ子とネリイ・渚を伴い別荘にやって来た荻野と野村だったが、女性2人が風呂に入っている間、野村は女を紹介してもらった礼を言っていた。

荻野の方も、野村さんの援護射撃がなければ建設会社はやって行けませんよなどと世辞を返していた。

入浴中のネリイ・渚は、アキ子から、今から野村が荻野から小切手を受け取るはずだから、ソノNo.を見て欲しい、その礼として明日マネージャーから1万くらいもらえるわよと頼まれていた。

風呂から上がったネリイ・渚とアキ子は、荻野から小切手を受け取った野村の所へやって来る。

その庭先に潜んでいた本多は8mm映写機で別荘の中の様子を撮影していた。

翌日、波止場で車が引き上げられる。

捜査四課の伊藤部長刑事は、引き上げられた車の中から死体が見つかり、それが山口だと電話で聞き驚く。

一方、会社にいたの村は、突然訪ねて来た鉄と本多を、荻野の使いのものだと勘違いする。

鉄は、これを言付かってきましたと言いながら8mm映写機を取り出すと、早速、部屋の中を暗くして映写を始める。

そこは荻野の別荘の情景で、次はオリンピック!と鉄が言うと、映し出されたのは庭でふざけ合う野村とネリイ・渚、荻野とアキ子の姿がだったので、止めろ!と慌てふためいた野村が命じる。

何者だ?とようやく自分の勘違いに気付いた野村だったが、荻野さんの使いじゃない事は確かで、言わばジャーナリストですと鉄は自己紹介し、何のためだ?と野村が聞くと、金です。嫌だと言ったら酷い目に遭わせてやると単刀直入に要求する。

金額を聞くと、200万!収賄容疑も含まれています。

あなたが荻野から受け取った小切手のNo.も分かってますと鉄は言う。

払う!と野村が覚悟を決めると、時間と場所を鉄が聞いて来たので、明日夜11時、中央ビルの地下駐車場でと野村は答え、鉄と本多は帰って行く。

一方、野村から電話を受けた荻野は、何ですって?女達に繋がる連中かも…と、恐喝の相手を推測するが、そこに当の鉄がやって来る。

冷たいですって?夕べ限り、あなたとのご縁は切れたはずですよ。最初から覚悟の商売をしたはずですと言い返していた荻野の受話器を奪い取った鉄は、野村さん、早速御注進ですか?明日お待ちしてますよと伝え電話を切ってしまう。

鉄を見た荻野は、君か…と、恐喝者の正体を知ると、その場で50万の小切手を書いて渡すと、バカヤローと帰る鉄に怒鳴りつける。

その頃、伊藤部長刑事は、引き上げた車はあけぼの新報の車で、一見山口は泥酔した上での事故と言う風に見えるが、鉄の仕業に違いないと見抜く。

一方、大宮刑事は捜査課の部屋から「デイジークラブ」に電話をかけ、A-28番の秋山さんからのご紹介で大宮と言いますと囮の電話を入れる。

電話を切った大宮は、伊藤部長刑事や遠山係長に、指定された場所は、やはり電話喫茶「フォーン」ですと伝える。

その頃、木内の別荘に来ていた古田は、ナナ子がユカリの事を聞いているそうですと、更衣室のナナ子のロッカーから見つけた木内の指紋を店ながら報告していた。 あの時の麻薬の事だ。その時、ユカリを殺した…と木内は感づく。

なぜナナ子はボスの指紋を?と古田は不思議がる。

俺がナナ子をここの医連れて来ても良いぜと木内は言い出し、万一捜査していたら俺がバラしても良いぜと鉄が申し出ると、俺が1人で待っている方が良いか?と木内は作戦を練り直し、良いでしょうと古田も承知する。

電話喫茶「フォーン」では、店長の森川が店内の様子を見回り、客として店に来た大宮の様子を観察すると、店内の電話から大宮の横に置いてある内線電話に電話を入れる。

大宮刑事がかかって来た電話の受話器を取ると、右後ろの3番目の子です、いかがです?と森川が聞いて来る。

デパートのネクタイ売り場にいる子で、ちょっとお値段ははりますが?と言うので、最高だよ、頼む!と大宮は芝居をする。

「フォーン」の前で覆面パトカーの伊藤部長刑事らが待ち構えていると、店から出て来た大宮とホステスが「ホテル フローラ」に向かったので尾行する。

すると、入り口に待機していた本多が、ホテルに入って行く2人の写真を撮ろうとしたので、尾行していた服部刑事(花村典克)と池田刑事(伊藤孝雄)らがその場で捕まえて署に連行する。

本多が持っていたのは赤外線写真機で、他に、ベッドの下に仕込むテープレコーダーとリモコン用のそのスイッチなども押収する。 そのテープレコーダーのマイクを向けながら、本多にしゃべってみろと刑事達が迫る。

その直後、「あけぼの新報」社と「ホテル フローラ」、キャバレー「メルバ」にそれぞれ手入れが入り、森川や古田も逮捕されるが、鉄の姿が見えない事が分かる。

鉄に連れられ別荘にやって来たナナ子に、待っていた木内は、これはどう言う訳なんだ?とナナ子が採った自分の指紋を見せつける。

君は死んだユカリの事で私を調べていたらしいが、その目的は何だ?と迫ると、いきなり拳銃を取り出したナナ子が木内!その左腕をまくりなさい!と突きつけながら命じる。

木内のシャツの左腕をナナ子が破ると、木内の左手に彫られた錨の入れ墨が露になる。

ナナ子は、私はユカリの妹さ、入れ墨と指紋で姉さんを殺したにくい奴を探していたんだ!と言いながら銃を木内に突きつける。

(回想)浜辺を水着姿で楽しそうには知るユカリ、そのユカリに無理矢理注射をする木内

飲み物に毒を入れてユカリに飲ませる木内。

倒れたユカリは口から血を流して死ぬ。

(回想明け)麻薬で縛り付け、さんざん働かせて…、最後には毒を飲ませて殺したんじゃない!と責めるナナ子だったが、お金でカタをつけるわ。

復讐は諦めるわと言うので、近づいて来た鉄が、危ないものは預かろうと言い、ナナ子から銃を預かる。

それを見た木内は安堵し、お前に預けると鉄にナナ子を任せようとするが、嫌だねと断った鉄は、ナナ子は3年も前に俺の女房になったんだと言い出す。

こいつは復讐、俺は金、今ではこいつも金で良いと言ってるんだ…、短気は損気…、命大切になどと言いながら鉄が銃を向けるので、木内は諦め、良し払おうと言い出す。

その時、ボス!大変だ!「メルバ」が手入れで…と報告に来た健は、鉄が銃を構えている事に気付き驚くが、鉄は迷わず健を撃ち殺す。

その時、木内が鉄に飛びかかるが、ナナ子が木内の後頭部をもので殴りつける。

捜査四課では、麻薬の仕事から足を洗うため、ユカリって女をバラしたんだ…と古田が自供していたが、それを聞いていた池田は、分かった!伊藤さん、あの女、ユカリの妹です!と「メルバ」で見かけたナナ子の事を思い出す。

伊藤は古田に、ヤサはどこだ!と迫る。 実は…と古田は口を開く。 頭から出血した木内は金庫から金を取り出し、鉄とナナ子の前に置く。

ナナ子、頂戴しようぜと鉄が言うと、あんた、木内はどうするの?とナナ子が聞くと、ついでに消しちまおうと言うと、鉄は木内を強引に引き起こし浴室に連れて行くと、水の張った湯船に木内を入れ、上から無理矢理押し付けて無抵抗にした上で射殺する。

そこへ伊藤部長刑事ら警視庁のパトカーが接近して来る。

別荘内に入って来た大宮刑事達は、そこに転がっていた健と木内の死体を発見する。

窓から暗い外を見た大宮は、鉄だ!と叫ぶ。 鉄とナナ子が車で逃亡したのが見えたのだった。

急いで後を追うパトカー。

警視13より本部!神奈川県警に警戒を願います!と大宮は無線で連絡するが、踏切に所で鉄の車に逃げられてしまう。

東京方面へ逃走中!トヨペットのNo.れの9436!と通報する大宮。 逃走していた鉄は検問に気付くと、途中から脇道の林の中に車を乗り入れると、降りるんだ、この車は使えねえとナナ子に言うと、おめえ1人で車かタクシー拾って羽田へ行け、俺は用があるんだ、公団の野村に会う。

200万入るんだぜ、高飛びしたら金だけが頼りだ。早く行きなとナナ子を先に行かせる。

ナナ子はその場から立ち去りながらも、気をつけてねと夫をねぎらう。 鉄は、拳銃の弾を込める。

鉄橋を渡って東京方面へ逃げていた鉄は、線路伝いに大宮達が追って来た事に気付く。

銃で相手をひるませながら、正面から迫って来た電車に気付くと、反対側の線路に移り、走りすぎる電車を盾にしてその場を逃げ切る。

中央ビルの地下駐車場の車の中で待っていた野村は、突然ドアを開け入って来た鉄からお約束の金と言われ、用意していた金を渡すと、急ぐんでな、あばよ!と言い残し車を降りようとするが、その時、前方から近づいて来る伊藤部長刑事や大宮刑事ら機動捜査班メンバーの姿を見つける。

鉄!もう諦めろ、野村さんからの連絡で、今晩ここにくる事が分かったんだ!と大宮が呼びかけると、突然運転席にいた野村を押しのけ、車を発車させると、鉄は野村を射殺する。

中央ビルを出た鉄の車を追う機動捜査班の覆面パト。

やがて鉄は車を乗り捨てると、工場の中に逃げ込む。

拳銃を撃ちながら逃亡を図った手伝ったが、砂山の上から水のある場所に降りた所で追って来た大宮に組み付かれる。

泥まみれになりながら殴り合う2人だったが、最後には大宮刑事が鉄に手錠をかける。

そこに伊藤部長刑事達も到着する。

その後、着替えた大宮刑事は雨が降り出した中、羽田に向かう。

空港建物の入り口付近で立っていたナナ子に気付いた大宮は、煙草をくわえたまま車を降り、ナナ子さんですね?と声をかける。

じゃあ、あの人は…と呟いたナナ子に、黙って頷く大宮。

ナナ子が持っていたハンドバッグの中を改め、札束を確認すると、そのまま車にナナ子を乗せ、帰路につくのだった。
 


 

 

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