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機動捜査班 警視十三号応答なし

シリーズ第13弾らしく、初期の設定から時間が経っているとは言え、又微妙にメインキャストが変わっており、大宮刑事役の青山恭二さんは冒頭いきなり渡米していなくなっており、上野山功一さん扮する新田刑事と言う新キャラが加わっている。

もはや捜査班が主役と言うより、完全にレギュラー犯人役とも言うべき内田良平さん主演作と言った方が良いような内容になっている。

この時代の内田良平さんは本当にかっこ良く、捜査班の方のキャラでは太刀打ちできない事が分かったのだろう。

イケメンだけどちょっとソフトなイメージ過ぎてインパクトにやや欠けていた青山さんの穴を埋めるように若手の上野山功一さんが起用されているが、当時人気があった「七人の刑事」や「警視庁物語」同様、機動捜査班自体が個人プレーではないので、キャラクターとして刑事個人が目立つような展開にならず、シリーズ物としてはテレビでやっていた「七人の刑事」や「警視庁物語」よりは印象が薄いのはやむを得ない所だろう。

さすがに13作目ともなるとアイデアが枯渇していたのか驚くようなトリックはもうなく、後半ちらっとトリックめいた要素も出て来るのだが意外性はほとんどない。

話も単調で取り立てて面白いと言う内容ではないが、白木マリさんや松尾嘉代さんが出て来るのがちょっと見所と言った程度だろうか。

新人時代とは言え、せっかく登場している郷英治さんが大した見せ場もないまま殺されるのも物足りない気がする。

特に出来が悪いと言うほどではないが、シリーズの中では凡庸な出来なのではないかと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1963年、日活、遠藤三郎+西田一夫脚本、小杉勇監督作品。

深夜便が到着する羽田空港側の金網の所で呼び出された南弘一郎(内田良平)に会った大里(木島一郎)は、今朝から80万集めた所だ、社長が今夜中に100万集めろと言うので今大変なんだと言うと、ノミ屋の稼ぎが足りないのなら、川崎第五レースの大穴の分があるのでこれを持って行きゃ、ちょうど100万になるじゃないかと南が言うので、それでこんな所まで呼び出したのか、これで社長に顔向けできるぜと大里は安堵し、ちょうど上空を飛び立つ飛行機を金網の所で物珍しそうに見上げる。

その背後からそっと近寄った南は、コートの下から取り出した麻酔がしみ込んだハンカチをいきなり大里の口に押し付ける。 気を失った大里の身体を肩に担いで近くの川の所へやって来た南は、暗闇の中で大里の身体を川の中に落とす。

翌日、羽田空港では、アメリカのFBIの研修に出発する大宮刑事(青山恭二)を見送るため、捜査四課一係の遠山係長(長尾敏之助)をはじめ、伊藤部長刑事(宮崎準)、金子刑事(花村彰則)ら全員が来ていた。

女性職員から花束をもらった大宮刑事は、頼むぞ!張り切って行け~!などと言う見送り代からの同僚達の声援を受け、旅客機に乗り込む。

空港内で一服していた遠山係長たちは、桜田商事の遠山様と呼び出すアナウンスが聞こえたので、行こうか?とみんなに声をかけ、空港を後にする。

外に出た伊藤部長刑事は金子刑事に、ありゃ加納じゃ?天下の大親分も年には勝てなかったらしい…と空港に向かう加納(加原武門)の姿に気付き教えるが、車に戻った遠山係長は、何?事件!岡部の子分大里?場所はこの近くなんだな?と無線を受け、ただちに仲間達と現場に向かう。

タイトル

川から引き上げられた遺体を見た伊藤部長刑事は、大里ですと遠山係長に伝える。 鑑識の話では外傷は見当たらないと言う事なので、大里の親分である岡部を洗ってみようと言う事になる。

その頃、岡部(山田禅二)は、子分達がまだ1万の金すら集めていない事を知り苛立っていた。

子分達は、どこも大里の兄貴に払い込んだと言ってるんで…と戸惑いながらも答えると、大里がやられて100万も取られたんだ、こうなったら1割の払い戻しと言う事で集めろ、早くしろ!と岡部は当たり散らす。

子分達が慌てて部屋を出て行ったのとすれ違いに伊藤部長刑事と金子刑事がやって来て、大里の件で心当たりは?馬券の集金かね?と聞くと、ノミなんてやってませんし、大里が金を持っている事はうちのものならみんな知ってましたよと岡部は言う。

警視庁 捜査四課一係 保安課から新田刑事(上野山功一)が四課に転属になり遠山が全員に紹介していた。

伊藤は、去年、麻薬の合同捜査で会ってますと言うので、早速、全員で大里殺しの捜査会議を始める事にする。

大里が持っていたらしき金が見当たらない事から、金目当てらしいが、アリバイを調べた所組の者は全員シロだった。

どうやら岡部の所はノミ行為をやっているらしく、大里に馬券の事で恨みを持っている奴かも知れんと遠山係長が言うと、見ず知らずの相手に呼び出されてあんな所へは行かないでしょう。

堂本と岡部の関係は?と新田が聞く。

その頃、加納は自宅に呼んだ岡部、堂本(弘松三郎)、瀬川(郷英治)を前に、パチンコで稼いでいる瀬川の収入はまあまあだと言った後、岡部の所は大里が殺され金を奪われたとかで今週計上できないと言うのか?とベッドの上から責めていた。

堂本は、金はいつ都合できるんだ?明日中にも始末しろ。100万くらいどうとでも出来るだろうなどと冷たく兄貴風を吹かせ、加納も、岡部良いな?と命じる。

キャバレー「コンドル」 踊子(日活ファミリークラブダンシングチーム)達が踊っている中、新田刑事と伊藤部長刑事がやって来たのを、用心棒役の南が物陰から見ていた。

支配人室で堂本のヒゲを整えてやって来た美子(白木マリ)が、お願いがあるのと甘えるように言う。

この店を任せて欲しいと言うのか?俺が加納を継いで二代目になったら考えてやると堂本が答えていると、南が入って来て、デカが来ていますと報告する。

岡部さんが何か言ったんじゃ?と美子が言うと、野郎!会長の所で俺がいたぶったものだから…、やる事がキ○ガイじみているなと加納は言いだし、美子も警戒しないと…と助言する。

岡部は事務所で、今日から払い戻しはストップだ!1割払い戻しを餌に集められるだけ集めろ!と子分達に命じていた。

そこに電話が入り、岡部が出てみると、堂本に狙われているぜと言う忠告で、相手は名乗らなかったが、その電話の主は公衆電話ボックスからかけていた南だった。

その電話の内容を岡部から聞いた子分達は、狙っているのはお互い様でしょう。

大里をやったのは堂本では?などと言いだす。

「コンドル」の支配人室では、美子が堂本に、岡部を呼んで直接聞いてみたらどうです?呼んでも来なかったら、本当に狙っているのかもと入れ知恵していた。 それを聞いていた堂本は、そうと分かれば先手を打つさと答える。

堂本から呼ばれた岡部の子分は、堂本の兄貴から呼ばれるなんて変ですぜと岡部に進言していた。

岡部は堂本の店に行く事にして全員着替えるよう命じながらも、店に着いたときの席順などをあらかじめ指示を与え、汚く飲むんじゃねえぞと注意する。

キャバレー「コンドル」にやって来た岡部と子分達は、踊子のショーなどを楽しんで飲んでいたが、途中で発砲音のようなものが響いたので岡部は驚いて立ち上がるが、それはショーのクラッカーの音だった。

その様子を堂本と一緒の席で見ていた美子に、あの子たちへの祝儀だと言って岡部が財布の金を出して来たのでちょっと驚く。

そのお返しのつもりなのか、あの子達の名刺代わりだと言い、堂本はトランプのカードを岡部に渡す。

帰る事にした岡部は、今夜の礼に今度は俺に招待させてくれと言いだし、それには及ばないと遠慮する堂本に、それじゃ俺の気がすまないと言い、店が終わる頃に車を来させるから、多摩川の女子でもどうだ?と言い残して帰って行く。

その後、岡部が差し向けた車に、2人の子分同伴で乗り込み出かける事にした堂本だったが、人気のない場所を走るので、妙な場所を通るじゃないか?と運転手に話しかけると、こっちの方が近道ですからと運転手が言うので、そいつはすまなかったと詫びる。

しかし、その後、その車はエンストを起こしたようで、堂本の子分2人と車を降りた運転手が前を開けて、ポイントが焼けちゃったらしい。

こりゃダメだ、その辺で車を拾いますからと言うので、やむなく、堂本も車を降り、懐中電灯を持って先導しだした運転手の後に付いて歩き出す。

運転手はさりげなく前方に向けて懐中電灯を回して合図すると、拳銃を持った岡部が現れて、とんだ料理屋で驚いたか?などと堂本に笑いかけて来る。

しかし次の瞬間、堂本や子分2人も銃を取り出し、岡部、罠のつもりだったろうが、お前の考えている事は子供だと嘲る。

その時、岡部があらかじめ仕掛けていた罠が作動し、堂本達の銃を払い落とす。

これでも俺の考えは子供か?と睨みつけた岡部は、先にバラそうとしたのはお前だ!大里をやったのもお前だろう!と言うので、大里をやったのは俺じゃない!と堂本は驚いて否定する。

ネタはとうに上がってるんだと言うと岡部はその場で発砲し、堂本を射殺する。

そして岡部は、唖然としている堂本の子分2人に、こいつが死ねば、会長はおめえたちを俺に預けるに決まっている。

今夜の事は見なかったことにして俺について来るか、それとも冥土までこいつについて行くか?と銃を突きつけ迫ると、2人とも見なかった事にすると答えたので、このまま死体を置いとけないので小屋にぶち込んどけと岡部は命じる。

堂本が殺された事を知った四課では、遠山係長が加納一家の組織図を紙に書いて刑事達に説明していた。

当夜、岡部のアリバイはあったそうだが、仲間内の証言なので信用できない。

堂本の子分達は、夕べ堂本は1人で帰ったと言っている。 利害が反する2組の意見が合っているのが気になるが、奴らの身辺を洗う事にしようと遠山は言う。

瀬川と岡部を屋敷に呼び寄せた加納は、ベッドの上から、この頃、お前達の中が巧くいってないと知った。

気苦労かけないようにやってくれ。店は美子に任せる事にした。女の事だ、何かの時力になってやれと言い聞かせる。

加納の屋敷から帰りかけていた瀬川に、兄さん!と呼びかけて来たのは妹の光江(松尾嘉代)だった。

光江帰ってたのか?と瀬川が笑いかけると、兄さん所と違って変な連中が出入りしないからと答えた光江は、卒業するまでここに落ち着けそうなの、一人前の看護婦になったら看病してくれって言ってるのと加納の意向を伝える。

「コンドル」の支配人室では、美子相手にジョニ黒を飲みながら、これで俺の計画は成功したって訳だ…と南がほくそ笑んでいた。

みんな、あんたのためにやったのよ…と美子も笑いかける。

加納家を訪れた伊藤部長刑事は、羽田でお見かけしましたが…とベッドに寝ていた加納に話しかけると、別府へ療養へな…と答えるが、子分達の私生活には立ち入らないようにしている…と堂本殺しに関しては口を閉ざし、言苦しげに咳き込む。

そうした会話を、茶を運んで来た光江が部屋の外で立ち聞きしていた。

四課に呼ばれて事情を聞かれていた岡部は、大里を殺したのは堂本で、堂本を殺したのはお前だろう?と刑事から責められると、証拠はありますか?何事も証拠ですよと平然と答え、あっさり帰るのを許されると、瀬川も呼ばれてやって来たのに気付き、何だ、お前もかと声をかける。

「コンドル」の支配人室の中では、美子とキスをしていた南が、馬鹿な奴らだ、仲間同士恨み合ってその内消えて行くさと苦笑していた。

大丈夫?と美子は案ずるが、岡部だって自分で墓穴は掘らんさ。いよいよ次の計画だ。チャンスは向こうからやって来る。俺はチャンスを待つだけよと南はうそぶく。

岡部は事務所に戻って来ると、当分、ノミ屋は中止しろと子分達に命じ、留守中、変わった事はなかったか?と聞くと、南から監視を寄越して欲しいと連絡がありましたと言うので、そいつは感心だなと岡部は答える。

為替の方も事務所に帰って来ると、子分が、堂本をやったのは岡部と言うのがもっぱらの噂ですぜと話しかけて来たので、サツでもそう云う考えらしいと瀬川は答える。

この際、岡部の奴をいたぶって泥を吐かせれば?と子分が進言する。

「コンドル」の支配人室にやって来た岡部は、どうです?順調に行っているでしょう?と話しかけて来た南が、私をここのマスターにするように会長に進言していただけませんかと頼まれると、バカなことを言うな!俺が先にマスターになる!と叱りつける。

するといきなり南が飛びかかり、岡部の拳銃を奪い、このハジキは預かっておくと言いだす。

堂本をやったのがおめえだと言う事はお見通しだ。ノミ屋の上がりなんてたかが知れている。

ここの上がりを山分けにしないか?御前さんがその気なら、このハジキは安全な場所に隠しとくと南は言い、岡部が不承不承承知すると、祝い酒だ、美子!と南は言う。

美子と酒を酌み交わす南の様子を見た岡部が、まさかお前達2人は!と気付くと、そのまさかって奴よと南は苦笑する。

その夜、「さくらアパートメント」に車でやって来た南は、就寝中だった瀬川の部屋のチャイムを押す。

目を覚まし銃を持って、誰だ?と聞いた瀬川は、「コンドル」の南です。折り入ってご相談したい事がありますと言う声を聞き、お前か…と安堵して部屋に招き入れる。

夜分お邪魔して申し訳ありませんと恐縮しながら上がり込んだ南に、瀬川はガスストーブを付けて応対する。

これなんですがね…と言いながら南がテーブルの上に置いたのは岡部の拳銃だった。

その際、南が左手に包帯を巻いているのに気付いた瀬川がどうしたんだ?と聞くと、グラスを磨いていて切ったんですよと南は答え、うちの社長をやった岡部さんのですと拳銃の説明をする。

だがどうしてこれを?と瀬川が聞くと、かねがね社長には可愛がってもらっていたんで探っていたら、岡部はマダムと深い関係になっているらしんです。そのマダムの部屋からこれを盗んで来たんですと答えた南は、何か冷たいものでもありませんか?喉が渇いちまってと言いだす。

それを聞いた瀬川は、これは気がつかなくてすまなかった。ビールで良いかい?と言い、冷蔵庫からビールを取り出すと、南と自分用にコップにビールを注ぎ、乾杯と行くか?とコップに手を取ろうとする。

その時南が、これは早い所隠した方が?とテーブル場の拳銃を指して言ったので、そうだな…と答えた瀬川は棚にしまいに行く。

その隙に、左手の包帯の中に隠してあったカプセルの中の毒を瀬川のコップのビールの中に入れる南。

戻って来た瀬川がビールを飲み、これからもちょいちょい情報を頼んだぜと言うので、怪しまれないうちに帰らないと…と言いながら立ち上がった南は部屋を出て行く。

しかし、南は表に停めた車に乗り込むとじっと時間が過ぎるのを待ち始める。

その間、ソファに座っていた瀬川は睡眠薬が効いて来てその場で眠り込んでいた。

ある程度時間が経ったのを見透かした南がもう一度階段を上り瀬川の部屋の前に立つと、念のため軽くノックをしてみるが返事はない。

南は、部屋の前にあったガスの元栓を止めたので、眠り込んでいた瀬川の横にあったガスストーブの火が止まる。

南は再び元栓を開いたので、ガスストーブからガスが噴出し始める。

翌日、瀬川の死を知った四課では、ガス中毒の事故のようですと伊藤部長刑事が遠山係長に報告していた。

睡眠薬害の中から見つかりましたが致死量ではありません。

部屋にはグラスが2つ残っていたが、部屋から見つかった拳銃から長谷川の指紋しか出て来ないし、ドアには鍵がかかっていたなどと言った情報が報告される。

そんな中、新田刑事は、部屋のすぐ前にあるガスの元栓の位置が気なると指摘する。

「コンドル」の支配人室」では、俺が承知なら君をマスターにしても良いと岡部が南に言っていた。

会長の所でつまらん事をしゃべってないだろうな?と聞いた南は、そんなことしたら堂本の事バラすぜと逆に威嚇する。

なぜあの銃を瀬川の所へ?と岡部が聞くと、あれ以上安全な隠し場所はないだろう?と南は得意げに答える。

岡部が去った後、部屋に入って来た美子は、マスター!今日からマスターって言うわと南に笑いかけ、計画通りよと南もほくそ笑む。

1人、瀬川のアパートで遺骨を前にしていた光江は、突然やって来た南がお線香を上げさせていただきたいと思ってと言うので、部屋に招き入れるが、南が証拠をしている最中、横で倒れてしまう。

驚いた瀬川は光代を抱き上げ寝かせると、ご心配いりませんよ、お疲れになったのでしょうと優しく労る。

気がついた光江は、ご迷惑をかけました。どうしてこんなに弱いんでしょう…と詫びるが、大丈夫、大丈夫…と南は言い聞かせる。

捜査四課では、遠山係長が、瀬川のパチンコ屋で聞くと日頃瀬川は睡眠薬は使ってなかったそうだ。

今後は殺しと事故の二面で行こうと刑事達に伝える。 南と言う奴が怪しいと言うので、伊藤部長刑事は金子刑事と新田刑事に「コンドル」へ向かわせる。

「コンドル」の支配人室では、南が美子に、後は岡部が死ぬのを待ってシマを全部取るんだ。俺は人殺しは嫌いだなどと言っていたが、瀬川はあんたがやったんでしょうと美子が聞いて来たので、下手な詮索は止めなと注意すると、私はこの「コンドル」が2人きりになればそれで良いんだわと美子は言う。

「コンドル」にやって来た金子と新田は建物の裏に回り、支配人室の窓に映った2人のシルエットに気付く。

これからが忙しくなる。方々に手を回さなければいけないからなと南は今後の事を話していた。

その後、南は再び瀬川のアパートを訪れ、その後、誰も来ませんでしたか?人間って薄情なものですねと出迎えた光代に同情する。

私、ここを引き払い、卒業まで会長の事炉でお世話になる事にしましたと光代が打ち明けると、光代さん、この部屋代、私が出しちゃいけないでしょうか?そうさせてください。

瀬川さんとは知らない間柄でもなかったので…と申し出、気晴らしにどっか行きませんか?と光代を誘う。 その後、ドライブで梅園見物や野立てを楽しんだ後、海辺を歩く南と光代。

その頃、新田刑事と金子刑事は、瀬川が死んだ夜の事を近所で聞き込みしていたが、全く手がかりは見つからなかった。

「コンドル」の支配人室に来た岡部は美子に、南と手を切っておれと手を組む気はないかと持ちかける。

美子が無視すると、おめでたいんだな、南はな、瀬川の妹とごちゃごちゃやっとるぞ。あんたも南に利用されてるんだと岡部は言うので、まさか!と美子が答えると、南が言ってただろう?まさかが世の中には多いんだって…と岡部は苦笑する。

金子刑事が聞き込みでアパートの住人から迷惑がられ帰った直後、「さくらアパートメント」にやってきた美子は光代を訪ね、南は私の夫よと言い聞かせる。

それを聞いた光代は驚き、奥さんがいるなんて言ってませんでした。あの人は私を本当に愛しているのと言いながら泣き出す。

想像通りね…と言いながら、美子は梅園の絵はがきをばらまき、あの人はあんたの兄さんを殺した男よ!証拠も掴んでいるわ、それでもあいつを追いかけるのならご自由に…と言い残し、笑いながら美子は帰って行く。

岡部の車に乗り込んだ美子は、やっぱりそうだったわと教えたので、俺と手を組む計画は?と聞く岡部に、そうね…と答える。

その後、光代の部屋にやって来た南は、兄さんを殺したのはあなただったのね!と光代が言って来たので、誰がそんな事を!と驚くと、「コンドル」のマダムよと光代が言うので、そんな事だろうと思っていた。

くだらない事ですね…、くだらない事です。あなたは僕の言う事より、あんな女の言う事を信じるんですか?と答える。

光代は泣きながら南にすがりついて来る。

美子は加納を訪ね、大里や堂本を殺したのは南で、光代にも手を出したと密告していた。 さらに美子は、南は次は会長を殺そうと言う腹なんですとまで吹き込む。

その頃、「コンドル」に帰って来た南は、マダムは?とカウンター席に座ってバーテンに聞き、これから帰るそうですと教えられたので、ジョニ黒の瓶を受け取り、グラスに注ぎながら、君は帰って良いよとバーテンに言う。

バーテンがカウンターから出た後、南は睡眠薬のカプセルを取り出し、ジョニ黒の瓶の中に投入する。

そこに美子が帰って来たので、お帰り、一杯行くか?とウィスキーを勧める。

お付き合いしても良いわとグラスを受け取った美子はその場でウィスキーを飲む。

それを見届けた南は、話があるんで二階へ来てくれと話しかける。

雨が降る中、傘をさして「コンドル」を出たバーテンは、そこにやって来た伊藤部長刑事と新田刑事から南さんはいるか?と聞かれる。

金子刑事は遠山係長に電話を入れ、南とマダムは「コンドル」にいますと報告する。

店内では、睡眠薬が効いて来た美子が床に倒れ苦しんでいた。 「支配人室」に1人いた南は、ドアが開いて突然入って来たのが会長の加納と岡部と知り驚く。

さすがのおめえも俺が病気じゃねえと知り驚いたようだな?とほくそ笑んだ加納は、身内にシマを狙っている奴がいると知り、そいつを捜し出すために病気と言う事にしていたんだ。

それは堂本だと思っていたが、後がまを狙っていたのがおめえだったとはな…と加納が言うので、加納さんも狙ってましたよと南が告げ口すると、同じ穴の狢だが、岡部は堂本を消してくれた。

だがおめえは許せねえ!と加納は睨みつけて来る。 その加納からおい!と声をかけられた岡部はドスを抜き、大里をバラしたのはお前だ!美子から聞いた南に迫って来る。

しかし、南は拳銃を取り出し、その場で加納と岡部を射殺すると、ベッドの下に隠していた金を服の中に詰め込み部屋から脱出しようとする。

そこへ這って来た美子が南の足にしがみついて来たので、南は美子もその場で射殺する。

「コンドル」の前では、覆面パトカー「警視13」に残っていた運転手が、本部に無線連絡を取っていたが、突然ドアを開けた南が銃で殴って来る。

「支配人室」に踏み込んだ伊藤部長刑事、新田刑事らは、そこにあった加納、岡部、美子の死体を発見、急いで表に飛び出して来るが、警視13号が発射する所を目撃する。

警視庁の司令室では、警視13号に呼びかけの無線を繰り返すが、それを無視して運転していた南は、気がつきかけた運転手を車の外に放り出す。

新田はただちに本部に13号が奪われたと公衆電話から連絡を入れると、遠山係長は戻って来い!と命じ、一斉検問を開始する。

本部に戻って来た刑事達は各署に電話連絡し、警視13号の行方を必死に探ろうとする。

翌朝、大破して横転した13号が河原で発見され、機動捜査班がやって来る。

車を見た伊藤部長刑事は偉いこっちゃ…と呟き、運転手には気の毒な事しましたと新田が声をかける。

足跡が残っている事から、土手に登って周囲を見回していた新田は、川沿いの芦原に人影を発見、長さん、あれです!と方向を知らせる。

全員がその方向に向かい、南が発砲して抵抗する中、包囲する。

弾を込め直した南はその場から逃走を図るが、追いかけていた新田は足を撃たれてしまう。

そんな新田に肩を貸し、なおも南を執拗に追いかける刑事達。

特急こだまが通過する鉄橋の下まで逃げて来た南だったが、鉄条網に阻まれた所で、追いついた刑事達から手錠をかけられる。

南!金はどこにあるんだ!と金子が身体検査をし、服の中に隠してあった札束を発見する。

そして、大丈夫か?歩けるな?と南に確認すると、刑事達はパトカーの方へ戻って行く。


 


 

 

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