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機動捜査班

日活の刑事物で「刑事物語」シリーズの後を継ぐシリーズらしく、「刑事物語」のレギュラーだった青山恭二さんが、こちらにも出ている。

「刑事物語」で父親で相棒だった益田喜頓さんに代わり、本作では部長刑事役の二本柳寛さんとのバディものになっているが、人情派だった喜頓さんに比べると、二本柳さんはちょっと悪役っぽく、まだこの作品では魅力が十分出ていないように感じる。

これを見ると、改めて「刑事物語」での益田喜頓さんの魅力は大きかったんだなと気付かされる。 

青山さんの方は若手と言う事もあり、もっと印象が薄い。

話は暴力団同士の抗争を描いたもので新鮮みはないが、丹波哲郎さん演じる謎の男の正体が最後まで分からないのがミソになっている。

途中で、その正体をミスリードするセリフなどが伏線として出て来るので、観客はハンサムな丹波さんの見た目もありあっさり騙されてしまう。

もう一つの見所は、若き日の吉行和子さんが髪を染めたホステス役で登場している事。

丹波さんに一目惚れする純情な妹役で、お色気担当のストリッパー役南寿美子さんと対をなすようなキャラクターになっている。

その兄のやくざを演じているのが内田良平さんで、その弟分が藤岡重慶さん。

ただ、全体的に人間描写は弱く、型通りのキャラクターと言った以上のものになっていないのが惜しい。

低予算の添え物だと思うが、後半からのヤクザの資金源になる会社の話など不自然すぎるような気がするし、全体的に薄っぺらい印象は拭えないような気がする。

大きな空き地にヤクザ事務所のオープンセットを組み、そこにダンプを突っ込ませたり燃やしたり…と言った趣向は、後年の石原プロ作品を連想させたりする。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1961年、日活、長谷川公之+宮田達男脚本、小杉勇監督作品。


列を連ねパトカーが次々に夜の通りに繰り出して行く。

途中でパトカーと覆面パトカーの列は二手に別れる。

覆面パトカーの後部座席に伊藤部長刑事(二本柳寛)と共に乗り込んでいた大宮刑事(青山恭二)が、こちら警視671 17時5分浅草方面へ向かいますと無線を本部に入れる。

タイトル

繁華街の通りにやって来た覆面パトカーは人ごみに遮られて慰謝すると、ぽん引き(野呂圭介)が近づいて来て、旦那!良い子紹介しましょう。夫婦円満の秘訣はパパさんの若返り、大サービスしますよと伊藤部長刑事を警察とも知らないで窓越しに話しかけて来たので、ここを通らせてくれよと伊藤部長刑事が適当にあしらっていると、素通りする気か!といきなり仲間達も集まって来て、窓ガラスをいきなり殴って来てひびが入ったので、大宮刑事がドアを開けようとすると、それを止めた伊藤部長刑事は、我慢、我慢、我々機動捜査隊は秘密に暴力団などを捜査している覆面パトカーに乗っているんだから、正体を明かしたらお終いだよと言い聞かせる。

覆面パトカーは、キャバレー「アニータ」の前に来たので、ここは近松組の縄張りですねと大宮刑事が伊藤部長刑事に確認するが、今日の所は平穏そうだから、次に回ろうと伊藤は答え車は走り去る。

「アニータ」の店内では、近松組の鈴木(藤岡重慶)がホステスで情婦のユカリ(南寿美子)相手に、最近は兄貴がいないし、親爺は老いぼれて、組は落ち目、落ち目…、俺1人じゃ仕切っていられねえぜと愚痴をこぼしていた。

お兄さんが帰って来たら、温泉へでも行けば良いのよなどとホステルが慰めていると、ボーイが近づいて来て鈴木に来客だと言う。

何?あの2人?とホステスが、やって来た2人の男の事を聞くと、荒川グループだよと教えた鈴木は、何の用だい?と2人に声をかける。 すると、その2人組の1人が上着の下から銃を取り出し、いきなり鈴木に向かって発砲して来る。

警視671、110番通報があり、キャバレー「アニータ」で発砲事件発生!暴力団同士の抗争の模様…との内容を聞いた伊藤部長刑事と大宮刑事は、直ちに現場に向かう。

「アニータ」の支配人(高野誠二郎)は、鈴木さんの方に目を奪われていて、撃った犯人の方は良く見ていなかったと言うし、従業員達の証言を集めていた大宮刑事も、加害者についてのはっきりした証言は得られませんでしたと伊藤に報告する。

しかし支配人は、荒川グループの奴では?鈴木さんと時々もめていたようですと言う。

負傷した鈴木は近くの病院に運び込んだと言うので、伊藤と大宮は病院へ向かう。

鈴木の腕から検出した弾丸を見せながら、手術をした医者は、リンゲル注射を打ってますが、尋問は出来ますと言うので、一緒に病室へ向かった伊藤と大宮だったが、部屋から看護婦が飛び出して来て、先生、大変です!と言うので、急いで病室を除くと、鈴木が寝ていたはずのベッドは空だった。 窓が開いており、ベランダ沿いに逃げ出したようだった。

警視庁 捜査4課の部屋では、遠山係長(深水吉衛)が黒板を使い、被害者の鈴木は近松組、加害者と見られる金次と言う男は荒川グループなどと整理していた。

どうして被害者である鈴木が病院を逃げ出したのか?は分からないものの、両方の組の対立が原因にあるらしく、今のうちに抗争の芽を摘んでおく必要がある事から、両方の組の親方を呼び出して事情を聞く事にする。

近松組の事務所から親分の近松(加原武門)がタクシーで出かける。

その事務所の隣の家の二階に潜んでいたのが、病院から逃げ出して来ていた鈴木だった。

付き添て手当をしてやっていたユカリは、何で病院を抜け出したのよ、あんた、被害者なのよと呆れたように聞くと、あいつら仕返しなんだ。

前に荒川グループのチンピラを1人カ○ワにしたからよ…、事情を話しちまったら、パクられるのは奴らだけじゃねえ…と鈴木は答える。

その時、床下の隠し戸から舎弟のタメ(神戸瓢介)が茶を持って来て、親分は今札から呼び出しを受けて出かけやした。

兄貴の事はとぼけとくと言ってました。それから、今日、太田の兄貴が出所して来るそうですと伝える。

小菅刑務所から連れ立って出所したのは、近松組の太田(内田良平)と小池(丹波哲郎)と言う男だった。

そこに、お兄ちゃん!と近づいて来たのは、太田の妹のサチ子(吉行和子)だった。

タバコ吸いたかったでしょう?とサチ子が太田に渡したのは洋もくだったので、太田は喜び、連れていた小池にも勧めると、サチ子に小池を紹介し、一週間前に同じ部屋になったんだ。

これから近松組に連れて行くつもりだ。保釈金もこいつが用意してくれたんだと言うと、サチ子は不思議そうな顔をする。

その頃、捜査4課にやって来た近松は、鈴木はちょっと前まで家におりましたが、いつか不始末をしでかしたので追出しましたなどと見え透いた嘘を言うので、すぐに引き取ってもらう。

部屋の入り口ですれ違いでやって来たのが荒川グループの親分荒川(森塚敏)で、帰る近松と親しげに挨拶して部屋に入って来る。

荒川は、容疑者の横井金次はうちの舎弟だがと答えたので、夕べの容疑者になっているのだが…と、金次の写真を前に聞いてみると、奴なら夕べ事務所にいましたぜ、そんな写真じゃなく、証拠を出していただきましょうか?などと余裕の表情で言うので、こちらもそのまま帰す事にする。

暖簾に腕押しか…と、親分達を帰した後、遠山係長がぼやく。

尻尾をつかむまで張り込むしかないか、根本君、根元組が仕返しをするかも知れない。厳重に警戒を頼むと部下の根本部長刑事(長尾敏之助)に頼む。 荒川は、荒川建設事務所に帰って来る。

一方、近松組では、警察から戻って来た近松に出所して来た太田が、俺の保釈金も払えねえくらい落ちぶれているってことですかい?と詰め寄っていた。

俺ももう年だ、お前が挙げられてからは荒川グループが伸してきやがって…と近松は弱気な話をする。

それを一緒に聞いていた小池は、太田、ずいぶん、親分さんに言いたい放題じゃないかと注意する。 そんな太田は、俺が出て来たからには、奴らにデカい顔はさせねえ!と荒川グループに対抗心を燃やす。

その時タメが、兄貴、鈴木の兄いですと、隣の家に隠れていた鈴木を連れて来る。

鈴木は、太田に紹介された池田が当分こちらにご厄介になる事になりましたと挨拶して来ても、何故かそっぽを向いたままだった。

小池は、このまま相手をのさばらせておいて良いんですかい?いっその事、殴り込みでもかけたら?このままじわじわ競り合っていても焦れて来るからなどと言い出したので、何か良い策でもあるのか?と鈴木は面白くなさそうに聞く。

「アニータ」にやって来た太田は、応対に現れユカリに連れて来た小池を紹介する。

するとユカリは、いつまで働かせるの?妹さん、あんたが出て来るまでだったはずよとこの店でホステスをやっているサチ子の事を太田に聞く。

そのサチ子は、金回りの良さそうな丸山(鈴木大介)と言う中年客から、無理に金を胸に押し込まれたりしていた。

その時、店のフロアでは、洋子(星ナオミ)と言うストリッパーのショーが始まる。

丸山は喜ぶが、いつの間にか隣に座っていたサチ子が去り、代わりにユカリが座っていたので驚く。 ユカリは、小屋がはねるとキャバレーで稼ぐんだってと洋子の事を丸山に教える。

太田は小池に、俺は一足先に出かけるからな?本当に今夜やるのか?と聞くと、成功を祈るぜ、俺も義理は忘れねえぜと答える。

捜査4課では、奴らを現行犯で捕まえるしかない、今の所十分な証拠がないのでダメだと遠山係長が悲観しており、伊藤部長刑事も、密かに見張りを続けるしかないと言っていた。

そんな中、大宮が奴らに犯罪を誘発させたらどうでしょう?アメリカでは潜入捜査をやっているそうじゃないですかと言い出す。

ヤクザに化けて内定すると言う事か?と伊藤は呆れたように答える。

土砂降りの雨の中、キャバレー「アニータ」の前から帰りかけていた洋子に、通りかかった車が水しぶきをはねたので、側にいた小池がその車に駆け寄り、洗濯代を要求する。

渋々運転手が出した金を受け取った小池は、洗濯代だと言い洋子に渡してやる。

その後、小池は公衆電話ボックスに入ると電話をする。

その電話を受けたのは、荒川グループの舎弟サブ(杉幸彦)で、何!お前さん誰なんだ?と聞き返すが電話が切れてしまったので、麻雀をやっていた荒川に、兄貴、今夜ここに近松組が殴り込みをかけて来るって電話があったんだと知らせる。

誰からだ?と荒川が聞いても、それがどうも…とサブが相手は名乗らなかった事を言うと、名前の言えねえ奴の言う事が信用できるか!と無視する事にする。

近松組の建物が見える場所では、根元部長刑事と金子刑事(花村典克)が車の中から監視していた。

一方、荒川グループの事務所前では、伊藤部長刑事と大宮刑事が車から監視していたが、両方とも動きはなかった。

結局、朝まで両組とも動きがなかったので、監視チームもそれぞれ引き上げる事にする。

ところが、その直後、「杉谷建設」と書かれたダンプが荒川建設の事務所に突っ込むと言う事件が起きる。

さらに荷台に火炎瓶を持った男達が乗り込んだ別のダンプがやって来て、事務所の中に火炎瓶を投げ込んで逃げ去る。

4課に戻って来ていた伊藤は、電話を受け、近松組がやったぞ!とみんなに知らせる。

すぐさま、荒川建設の事務所に向かい、現場に残されていた「杉谷建設」と書かれたダンプなどを検分する。

朝、アパートで寝ていたサチ子は、太田が帰って来たので、こんな時間まで何していたの?利根どこから行くと、あちこち義理があったからと太田が答えるので、出所したら足洗うって言ってたわよね?良いわ、私が働くから…、洋裁だって一人前になるし…とサチ子は健気に言う。

さらに隣の布団に横になった太田に、小池さんってとっても感じの良い人ねと言うので、信用できる奴だと答えた太田は、サチ子、今日限りあそこは辞めろと命じる。

しかしサチ子は働きたいのと言うので、工場でも行けよと太田が勧めると、給料良いし、兄さんとも日に1回は会えるし…とサチ子は答える。

そんなサチ子に、お前いつの間に小池に惚れたんだ?と太田は聞くが、それにはサチ子は答えなかった。

「杉谷建設」のダンプは盗難届が出ていましたと大宮が伊藤部長刑事に報告する。

それを聞いた伊藤は、盗んだダンプでやったんだな…と答える。

遠山係長は大宮に、再び両方の組長を呼び出すように命じる。

再び出頭した荒川は、火炎瓶?火鉢か何かの間違いで燃えたんだと思いますなどととぼけ、近松の方も、ヤクザ同士の事ですから旦那達は御心配なく…などと言うだけだった。

事務所に戻って来た近松は太田に、ダンプカーから足がつくめえな?と聞く。

そんな中、鈴木は、荒川の方にけが人が1人もいねえのがおかしいぜと疑問を口にする。

小池を疑っているのか?と太田が叱ると、あいつは兄貴の仲間かもしれませんが、俺は奴とは他人ですぜ!と鈴木は言い返し、荒川の犬とでも言いてえのか?と太田が聞くと、小池はサツの人間だよ、デカだよと鈴木は断定する。

それを聞いた太田は、デタラメ言うな!この野郎!と鈴木を怒鳴りつける。

ユカリと一緒のタクシーでアパート近くまで帰って来たサチ子は、部屋に入ろうとした所で背後に忍び寄って来た丸山から、お前さんにはずいぶん貢いでいるぜ、仲良くしようやなどと良いながら部屋に押し込まれる。

サチ子は驚き、ここは兄さんの部屋ですと言って逃れようとするが、その時、奥の部屋にいたのが小池で、こんな気がしてね、「アニータ」から付けて来たんだと言う。

あんたは誰だ!と丸山がひるむと、サチ子の兄貴だよと小池が凄んだので、丸山は這々の体で逃げ帰る。 その後、悪かった、兄貴なんて言って…とサチ子に詫びた小池は、もう大丈夫だと言いながら帰ろうとする。

サチ子は、兄が帰ってきますから…と止めようとするが、用があるからまた来ますと言い残し、小池はあっさり帰って行く。

そんな小池を、サチ子はうっとりした目で見送る。

その後、小池は荒川建設の事務所前に立っていた。

そこにタクシーでやって来たのは金次と洋子で、洋子はこの前洗濯代巻き上げてくれた人!と思い出し、小池に笑顔で手を振ると、金ちゃん、今夜帰って来てよと頼み、金次をそこに降ろして、自分はそのまま車で去って行く。

小池は金次に、お兄さん、荒川組の人でしょう?荒川さんに折り入って話があるんだと話しかける。

金次は、とりあえず事務所に連れて行き荒川に会わせる。 小池は荒川に、先日、近松が来るって電話をしたのは私なんですと明かすと、お仲間に入れてもらえませんか?近松組にはちょっと恨みがあるんだと切り出す。

荒川は、争いはない、帰ってもらおうと一旦は断って来たので、じゃあと小池が立ち去ろうとすると、いや、おい待て!と声をかけ、俺にやれと言われたら何でもやるか?と聞いて来る。

横で話を聞いていた金次も、万一裏切ったら命はないぜと睨んで来るが、そんな事は承知で来てるんだ!と小池は啖呵を切り、自分の小指を突き立ててみせる。

その後、繁華街のストリップ小屋の前に向かった小池は、店の前にいた丸山に、しばらくだな、見るのか?と声をかける。

丸山は小池の姿に一瞬ビビるが、すぐに笑顔になり、ジェニー洋子がイカすんでねと答える。

そのストルップ小屋の楽屋に入り込んだ小池は、そこにいた金次に、やっぱりここかと話しかける。

金次は、こうサツがうるさくちゃな…と身を隠している事を明かすと、良い仕事見つけたんだが役者が一人必要なんだと小池が言うので身を乗り出す。

あんたのかみさんだよと小池は言う。 洋子はステージで踊っており、客席でそれを見ていた丸山の側に来ると、小池は親しげに肩を叩いてみせ、良い身体しているね、一つお世話しようか?と言葉をかける。

アパートに戻った洋子は、次の出番が迫っているのよと急かし、水からベッドに入り、付いて来た丸山を誘う。 服を脱いだ松山がベッドに入って来ると、洋子は空咳をしてみせる。

それに気付いた丸山が、風邪か?裸商売じゃな…と声を掛けると、今度は洋子はベッド脇に置いてあったオルゴールを開けて曲を流す。

どうした?と丸山が洋子の行動を不思議がると、オルゴール音を合図にしていた金次が突然部屋に乗り込んで来る。

俺の女房に手を出したからは、このままですむと思うなよ!と凄んだ金次は、洋服ダンスの一番下の引き出しの中から銃を取り出し丸山を脅す。

美人局に引っかかったと気づいた丸山は、財布の金を渡すが、おっさん、存外持ってるじゃないかと受け取った金次はその金額の多さに驚く。

さらに、財布を改めていた金次は、ビニールの小袋を見つけ、何だこれは?と聞く。

会社の見本だと丸山が怯えながら答えると、薬屋さんか?と言いながら、その薬をちょっと嘗めてみた金次は、薬はもらっとくぜと言う。

そのまま組事務所に連れて来た丸山を前に、荒川は金次から受け取った薬を嘗めてみて、ペイだと断定すると、どこだ、てめえの会社は!と丸山を脅す。

小池が見ている前で金次が痛めつけると、丸山はあっさり相田製薬の名を出す。

さっそく相田製薬の社長(伊藤寿章)を訪ねて行った金次と荒川は、社長が差し出した封筒の中の金を改め、あれだけ大金をポンと出す所を見ると相当儲かっているらしいですね?我々もご商売のお仲間に入れてもらえませんかと提案する。

品物を月々無償で回してもらえば良いんですよと荒川が言うと、承知した社長は、誰が漏らしたんだ?と聞く。

お宅の社員の丸山さんですよ。この秘密はあっしらと社長さんだけと言う事にした方が良いのでは?と荒川が言うので、と言うと…と考え込んだ社長は、まさか丸山を!と驚く。

本当に消しちまっても良いんですぜと荒川が言うと、丸山が死んでも私は関係ないんだよと社長は念を押して来る。

丸山の遺体は、鉄橋の下で発見される。

丸山修三、57歳の遺体から摘出された弾丸のライフルマークは鈴木を撃った犯人の弾と全く同じだと判明し、伊藤部長刑事が遠山係長に報告し、問題は証拠ですと言う。

奴の銃が手に入れば、荒川組の手入れも可能だと遠山係長は答える。

その頃、金次と洋子の部屋に合鍵で忍び込んだ小池は、タンスの一番下の引き出しの中から金次が隠していた拳銃を取り出す。

組事務所で麻薬を小袋に詰め替えていた金次は、4包みで小1万か…と満足そうだったが、鉄橋の下で丸山をバラしたのはまずかったぜ、商売にヒビでも入ったら堪らねえ…、この際自首したらどうだ?と荒川が言うので驚く。

しかし荒川は、慌てるな金次、代人を立てるんだと荒川は言う。

その頃、小池はSLが通過する鉄橋の下で、金次の部屋から持ち出して来た拳銃を地面に向かって撃ち、土の中から弾丸を取り出す。

一方、荒川と金次は、サブを外に呼び出すと、金次の代わりに自首して欲しいんだ、出て来たら幹部にしてやるぜと相談していた。

どうだサブ?男になってみねえかと勧めるが、さすがにビビったサブは、俺は嫌だ!と拒否する。

すると荒川はあっさり諦めた様子で、これを売人の所へ持って行ってくれと薬を手渡す。

サブが出かけると、荒川は金次の心臓の所を指先で突き刺してみせる。

小池が銃を金次の部屋のタンスの中に戻していると、当の金次が帰って来たので、小池は慌ててベランダに逃げる。

その直後、部屋に入って来た金次は、タンスの一番下の引き出しの中から拳銃を取り出すと、旨そうにみかんを食い始める。

夜、閉園後の遊園地に呼び出されたサブは、何事かと金次に近づく。

俺の代人になる話さと金次が言うと、殺し2つはてても…とサブはビビる。 すると金次は拳銃を取り出し、都合があるんで死んでもらうぜと言い出す。

殺されると直感したサブはバカな事は止せよ!と言いながらその場を逃げると、ジェットコースターのレールを登って行く。

しかし、途中で、下から金次に撃たれ落下したサブの手に、金次は今撃った拳銃を握らせ、これでおめえは自殺って訳だと呟く。

サブの死体を翌日検分した伊藤刑事部長は、自殺にしては弾を撃ち込んだ角度が不自然だと指摘する。

サブの死体から摘出した弾丸のライフルマークを調べた所、鈴木と円山を撃った弾と全く同じものだと分かる。

荒川グループか…と遠山係長は呻く。

その頃、小池がアパートにやって来たので、何かネタでもあがったのか?と太田が聞くと、奴らの新しい資金源が分かった。それを横取りしようと思うんだ、これを使ってなと小池は、持って来た金次の弾丸を取り出して言う。

そこに来たサチ子が、どこへ行ってたの?と小池に聞くと、荒川グループって所よと平然と小池が答えたので、止めてよ!とサチ子は叫ぶ。

ある日、いつものように相田製薬の社長室にやって来た金次と荒川だったが、社長が、君たちとはもう取引はせん!帰ってもらおうと言いだしたので驚く。

するとすぐに、太田と鈴木が部屋に入って来て、今日からここの仕事は近松組がちょうだいするぜと言い、鈴木が弾丸を取り出すと、金次、こいつはてめえの銃の弾だ!俺を売ったのもおんどれじゃ!証拠はここにあるんだ、サツにバラされたくなかったら引き上げろ!と詰め寄る。

荒川は、この礼は必ずさせてもらうぜと言い残し、その場は金次共々帰って行く。

事務所に戻って来た荒川は、新宿と渋谷で急いでかき集めるんだ!と子分達に命じる。

その後、荒川組を監視していた大宮が、愚連隊ですね…と、事務所に続々と集まって来た人影を見て言う。

車の中で一緒に見ていた伊藤部長刑事も、何かある、すぐ本部へ!と連絡を命じる。

一方、近松組の監視を続けていた根本部長刑事と金子刑事の方も、やけに出入りが激しくなって来たな、殴り込みでもやるつもりか?と気づき、本部に連絡を入れる。

遠山係長は、両組とも隣の組から加勢を呼び出している。殴り込みが迫っている事は間違いないと踏み、一個中隊の機動部隊を準備させる事にする。

ただし、事前に相手に気付かれてしまっては現行犯での一斉検挙ができないので、第5機動隊は待機する事にする。

その時、遠山係長に電話がかかって来て、密告です、近松組と荒川グループがお揃いで殴り込みなんですね。

もうお気づきかと思いますが…と言って切れる。 公衆電話を出て来たのは小池で、彼が乗り込んだ車には「杉谷建設」の文字が入っていた。

その後、太田のアパートにやって来た小池を見たサチ子が、お兄ちゃんは一緒じゃなかったの?と不思議がると、今夜は帰らないと思うんですけど…と言いながら、部屋の電気のスイッチを消した小池は、好きな男と会うときはこうするもんだぜ…と言いながら上がり込むと、今まで事情があって素性を見せられなかったんだ…、今夜は別だと言うと、いきなりサチ子に抱きつき、大した事が起きる訳じゃないよ、せいぜいこんな所だ…と言いキスをする。

窓の外には電車が通過し、部屋に置いてあった花瓶が倒れる。

近松組の前から5台のタクシーに分乗した男達が荒川グループの事務所ヘと向かう。

連絡を受けた第5機動隊が出動する。 途中で監視していた大宮刑事が、ただいま3丁目通過!と近松組のタクシーの動きを本部に通達する。

伊藤刑事部長も、出発!荒川グループへ向かった模様ですと報告する。

その頃、荒川組の事務所では、書く志度の後ろからライフルや拳銃を取り出し、全員武装すると、事務所の窓の所で、相手が来るのを待ち構えていた。

その直後、荒川建設事務所の前の広場にタクシーが5台到着し、ライフルを持った太田や鈴木が加勢の男達とともに事務所に近づこうとする。

事務所の中では、荒川達がライフルを構えてその様子を見ており、窓ガラスを割ると先に発砲して来る。

それに気付いた太田や鈴木達は慌てて後退し身を伏せる。 その時、サーチライトが点灯し、隠れて待機していた機動隊が広場に突入して来る。

そして、催涙弾を荒川建設事務所の二階に投げ入れる。

伊藤部長刑事が大宮刑事に、スピーカーを頼むと命じると、大宮はスピーカー車に近づき、直ちに抵抗をやめろ!君たちは完全に包囲されている!とマイクで呼びかける。

伊藤圭二部長もパトカー無線で本部に連絡を入れる。 太田はヤケになり、バカヤローと言いながらライフルを撃って来るが、すぐに取り押さえられ全員逮捕されてしまう。

その後、キャバレー「アニータ」では、お待たせしましたと言いながら、支配人が金の入った封筒を小池に渡していた。

杉谷組が付いている以上、心配いらないと小池は支配人に告げる。

その様子を客に化けて監視している大宮刑事。 同じく、客を装ってテーブルに座っていた遠山係長が、同席していた相田製薬の社長に、新しく麻薬を要求して来たのはあの男か?と小池を見ながら確認していた。

支配人に別れを告げに来たのはサチ子で、ここを止めて工場で働くんですと、側にいた小池に教える。

あれっきりすげないじゃないか…と小池がからかうと、サチ子はビンタして来てくる。

小池は苦笑いを浮かべながら、やってみるんだな…、どうせまた戻って来る事になるんだと去って行くサチ子に向かって言い放つ。

遠山係長と社長が立ち上がると、社長の手には手錠がかかっていた。

小池の側に近づいて来た大宮が、小池だな?と確認して手錠をかける。

大宮に連れられ店の外に停まっていた車に乗せられた小池は、前の席に座っている相田製薬の社長に気付く。

本庁へと大宮刑事が運転する服部警官(大庭喜儀)に声をかける。

覆面パトカーが出発したのを見送っていたサチ子は、そのまま黙って立ち去って行く。


 


 

 

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