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幻想館

 

伊賀野カバ丸

亜月裕原作のマンガの実写化で、千葉真一が率いるJACの若手達が活躍するアクションコメディ。

当時の「東映版スパイダーマン」などでお馴染みのロープを使った高所登りや大ジャンプなど懐かしい技が見られる。

登場人物も、疾風役の高木淳也さんがあまり馴染みがない事を除けば、武田久美子に森永奈緒美、真田広之、志穂美悦子、大葉健二と言った懐かしい顔振りが揃っている。

老けメイクで登場している野際陽子さんなども一瞬見分けがつきにくい。

原作は知らないので比較は出来ないが、単にノスタルジーだけではなく、青春ナンセンス映画としてはそれなりに巧くいっているような気がする。

学院長の大久保蘭と伊賀野才蔵との馴れ初めなど、やや説明不足な部分がないではないが、シリアスな内容ではなく、あくまでも子供向け映画なので、さほど気になるほどでもない。

タイトルと主役の名前は横山光輝原作の「伊賀の影丸」のパロディだと思うし、真田広之さんが白塗りで扮している目白沈寝などは、髪型からして影丸のライバル阿魔野邪鬼のパロディだと思うのだが、特にカバ丸のライバルと言う役柄ではない。

この当時から、少女コミックにはおねえキャラが登場しているのが興味深い。

少女達のとって、おねえキャラは笑いの素材として人気があったという事なのだろう。

ゲスト出演的な真田広之さんとか志穂美悦子さんはともかく、森永奈緒美さんがあまり活躍しなかったり、高田純次さんの登場場面が少ないのがのがちょっと物足りない気もするが、大葉健二さんの目力が当時から凄かったことを再確認させられるとか、大葉さんと真田さんが並ぶと同じくらいの背格好である事が分かり、お二人ともあまり長身ではなかった事が分かるなど、特撮や映画好きとしては新たな発見も少なくない。

後半が東映太秦映画村とJACのプロモーションになっているのはご愛嬌だろう。

冒頭に登場する新宿界隈の風景や当時の若者ファッションなども今となっては貴重だと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1983年、東映、亜月裕原作、志村正浩+長崎行男脚本、鈴木則文脚本+監督作品。

木の葉の間に蠢く目 その目が見ていたのは木の下の焚き木に刺さって旨そうに焼けている鳥の丸焼き。

木から飛び降り、その鳥の丸焼きが刺さった棒を取ろうとした忍び装束姿の伊賀野カバ丸(黒崎輝)は、どこからともなく手裏剣が飛んで来たので、実を避けた瞬間、鳥肉に鎖が突き刺さり誰かに奪われてしまったのに気づき悔しがる。

川に飛び込み、水を飲んで空腹をごまかそうとしたカバ丸だったが、側の滝をよじ上る人影を発見、自分もその後を追って滝を登る。

滝の上流で鮎を捕まえ食おうとしていると、近くの水中に潜んでいた爺を発見、慌ててジャンプして逃げようとするが、その足を掴まれ落とされると、この未熟者!と罵られながら杖でこっぴどく打ち据えられる。

小屋の天井裏にへばりついていたカバ丸は、思わずよだれを垂らしてしまう。

そのよだれは、囲炉裏端で爺が食べようとしていた雑炊の中に垂れてしまうが、爺は気にせずそれを食べ始める。

天井から飛び降りたカバ丸は爺に斬り掛かろうとするが、すぐに鍋の蓋で刀を防がれ、食いたかったらわしより強くなってみろ!この未熟者!とバカにされたのでカバ丸は、畜生!と悔しがるが、次の瞬間、急に串刺しの肉を頬張ったままその爺が倒れてしまう。

じっちゃん?と驚いたカバ丸だったが、身体を突いてみても動かないので、死んだ事を知るとその場で泣き出したかに見えたが、実は笑っており、これで腹一杯食えるぞ!俺は自由だ!と叫びながら川にジャンプする。

西新宿の高層ビルを背景にタイトル 歩行者天国にやって来た学生服姿のカバ丸を背景にキャスト、スタッフロール

「スーパーマン」の看板がかかる歌舞伎町の映画館や新宿アルタ前を物珍しそうに歩くカバ丸

靴磨きの3人組を見かけたカバ丸は足を差し出すが、草鞋だったので、クリームや靴積みを直接足の甲に塗る靴磨きの若者たち。 それでもカバ丸は気に入ったようだった。

やがて屋台の焼きそばを見つけたカバ丸が、いきなり鉄板上のそばを食べだしたので、焼いていた主人(ストロング金剛)が、おい、少年!金持っているんだろうな?と聞くと、カバ丸は黙って小判を差し出して来たので、受け取った主人は面食らう。

竹下通りで踊るリーゼントのロカビリー族や少女達。

持っていた焼きそばの包みを落としたカバ丸は、それをローラースケートの若者が踏みつぶして行ったので怒り、1人のローラーを奪うと追いかけて来たローラー族仲間達から逃げ出す。(ここまでスタッフロール)

女生徒たちが歌う「ローレライ」が聞こえて来た高校の前にやって来たカバ丸は、学園の名前が「金玉学院」と書かれていたので仰天する。

正しくは「きんぎょくがくいん」で、院長の大久保蘭(朝丘雪路)と教頭の中尾(蟹江敬三)は、ホステスのバイトをしていた女生徒毛利郁子を処分仕様としていたが、蘭の孫でこの学院の生徒でもある大久保麻衣(武田久美子)が、毛利さんはクラブ活動の補助金だけでは足りないので仕方なくやっていたのだと弁護する。

しかし、横で聞いていた中尾は、毛利郁子の行動には問題があり、この前はキスをしていたらしいと蘭に言いつける。

院長室に来ていた女生徒たちは、キスくらい良かんべえと反論するが、それを聞いた蘭は驚き、ひいおじいさまが創立したこの学校の品位をこれ以上落とす事は許しません!と憤慨するが、麻衣は、全てはクラブ活動の経費削減が原因よ!と言い返す。

そんな孫と院長が言い合いしていた院長室の天井が突如崩れ、落ちて北野がカバ丸だった。

何だ、君は!と突然の闖入者に驚いた中尾が聞くと、俺は客だよ、忍者ともあろう物がドアをとんとん叩いて入るような気恥ずかしい事出来るか!とカバ丸が答えたので、忍者?才蔵様!と叫び、薫がいきなりカバ丸に抱きついて来る。

才蔵は爺さんだよ、爺さんが死んだらここに来るように言われていたんだとカバ丸が打ち明けると、あの方がお亡くなりになった!と薫は驚く。

カバ丸は、薫の屋敷である大久保家で一緒に暮らすようになる。

執事の八木(高田純次)が食卓にいた麻衣に前島からのラブレターを持って来るが、もう500通よと麻衣はうんざりしたようで、同じ食卓にいて「ひつじのヤギ」と聞いて混乱したカバ丸は、どっちかはっきりしろ!と切れる。

薫も麻衣にラブレターは女の勲章よ、残しておきなさいと勧めるが、同席していた中尾は、ライバル校王玉の前島にはお気をつけなさい、父親の王玉剛蔵の背後には暴力団も付いているとも言われていますと麻衣に忠告する。

そこに、メイドの亜月裕子(志穂美悦子)が食事を運んで来たので、蘭が召し上がれと勧めると、カバ丸は見慣れぬ西洋料理を手づかみで食べ始める。

その浅ましい姿を見かねた麻衣は食卓から逃げ出し、自分の部屋にこもると、いやいや!あんな野蛮人と暮らすなんて!と嘆きながら、自分のテニス姿の写真が入った写真立てを裏返す。

そこには麻衣の憧れの君、目白沈寝(真田広之)の写真が入っていた。

一方、自分の部屋に戻った蘭は、私の若い頃はキスどころか手も握らなかったのに!近頃の子と来たら!などと怒りながら、才蔵を思い出したのかクッションを手に取ってそれにキスをするのだった。

翌朝、「別マ」を置いたベッドで目覚めた麻衣が窓を開けると、目の前の木に上に登っていたカバ丸が、おひつを抱えてその中の飯を食いながら、よお!と挨拶して来たので仰天してしまう。

食卓にいた蘭に、慌てた様子の亜月裕子がやって来て、ご飯がおひつごとなくなりましたので、いま急いで焚き直していますと報告すると、ドアを開けて、おひつを持ったカバ丸が嬉しそうに、助かった!もう食い終わっちまったんでと言いながら笑顔で入って来る。

金玉学院に初登校したカバ丸は、いきなり自分のクラスの教壇の所でドカベンを開くと、中に入っていた海老フライに喜びながら食べようとするが、その時、同じクラスに麻衣もいる事に気づくと、勝手にその隣の席を自分の席と決め、迷惑がる麻衣にはおかまいなしに横に座る。

そこにやって来たのが番長グループで、お前さっきから態度デカいんだよ!とカバ丸に迫ると、運動部の地獄のしごきを見せてやる!と言うと、カバ丸の身体をロープでぐるぐる巻きにして、校舎の外側に逆さ吊りにする。

番長達がそのロープの先を下から引っ張っていたが、カバ丸は平気な顔で、ゆらゆらみの虫のように身体を振り始めると、次の瞬間、学生服の中から抜け出し、屋上に立つ。

伊賀忍法縄脱けの術!と叫ぶカバ丸。

その様子を校舎の窓から見ていた女子高生達は、彼こそ金玉学院のシンボルよ!と憧れたまなざしで見つめるが、次の瞬間風にあおられた赤フンの下からシンボルが見えているのに気づき、恥ずかしさに悲鳴を上げ教室内に逃げ込む。

そこにいた麻衣は、他の女生徒たちがカバ丸の事で騒ぐのを見て、いつも見てるんですもの、同じ家に住んでいるんですもの…、デカいのよなどと吐き捨てると、女生徒たちは驚いて顔を赤らめる。

窓の所へ来て、屋上にふんどし一丁で立っていたカバ丸を見て、自分の発言が勘違いされた事に気づいた麻衣は、態度がよ!と慌てて訂正しようとするが、誰も聞き入れようとはしないので焦ってしまう。

屋上のカバ丸が抜け殻になった自分の学生服に飛び移ると、屋上から滑車を通してロープの先端を持っていた番長と子分2人が逆に吊り上げられてしまい、最後までロープにしがみついていた番長は小便を漏らしてしまい、下で見上げていた子分達の顔に降り注ぐ。

その後、1人になった番長に鞭が飛んで来る。 だらしがない!何のために番長格にしていると思っているんだ!恥を知れ!と、屋敷内で番長に鞭を振るっていたのは目白沈寝だった。

そこへ、もうそのくらいにしてやってください、あいつの事は私に任せてくださいと名乗り出て来た女がいた。

君が?と沈寝は驚くが、私がもっと…と言うので、そうか…、任せようと沈寝は答える。

カバ丸は、スー婆さん(野際陽子)が1人でやっている焼きそば屋で焼きそばを食っていた。

学院で良い所見せたんだって?私も見たかったね~…などと言いながら、カバ丸の股間を覗き込んで来たのでカバ丸は思わず股を閉じる。

スー婆さんは、あんたは才蔵さんにそっくりだとカバ丸の顔を見ながら言うので、じっちゃん、知ってるの?とカバ丸が意外そうに聞くと、私の初恋の人…とスー婆さんはうっとりしたまなざしで答える。

放課後、テニス部の練習を麻衣がやっているのを見学していたカバ丸は、麻衣が相手の女生徒に良いようにあしらわれているのを見かね、だらしないな、俺が代わってやると麻衣のラケットを借りてコートに入るが、相手が放ったサーブの球がカバ丸の口にすっぽりハマってしまう。

相手の女生徒は、そんなカバ丸に近づくと、私が手ほどきして差し上げても良いのよと上から目線で話しかけ、周囲にいた他の部員達が、こちらはテニス部部長で生徒会長の野々草かおる(森永奈緒美)さんよと教えるが、それを聞いたカバ丸は、「野糞香る?」と聞き違い思わず笑い出してしまう。

慌てて麻衣が、このかたは「野糞」じゃなくて野々草かおるさんよ!と何度も訂正するが、かおるは繰り返される「野糞」に深く傷ついてしまう。

バカ丸と一緒にいるのに疲れた麻衣が校門の外に出ると、そこに沈寝がやって来たので、ちょっとカバ丸君が野蛮で礼儀知らずなので哀しくなって…、私を同じような人間だと思わないでください!と同情を買うように悩みを打ち明けるが、沈寝はカバ丸の野性味溢れる行動を人間本来の姿として認めていますと褒め、麻衣に近づいて来たカバ丸にちょっと話さないかと誘う。

カバ丸は誰がお前なんかに付き合うか!とバカにするが、沈寝が手に持っていたリンゴに誘われ、校舎の屋上まで付いて行く。

沈寝がリンゴを投げ渡したので、それを受け取りかじり始めたカバ丸だったが、いきなりそのリンゴに沈寝が鞭を当て粉砕したのでカバ丸は怒りだす。

しかし沈寝は執拗に鞭でカバ丸を叩いて来たので、カバ丸は屋上を囲っていた金網の外側に逃げる。

それでも内側から沈寝が鞭で叩いて落とそうとするので、カバ丸は再び内側に戻って来て互いににらみ合う。

すると突然沈寝が、すまん!ちょっと試してみたかっただけなんだ。君みたいな人間を捜していたんだ。私の手足になってくれないかと言い出す。

しかしバカ丸はそんな沈寝の言いなりになるつもりなど全くなかった。 校外に出た2人に近づいて来たのはサイドカーに乗った坊主頭の2人組で、彼らは沈寝の兄、目白要(吉瀧久司)と目白二葉(稲健二)だった。

プー付きの豪勢な目白家の屋敷に招かれたカバ丸は、プールサイドのテーブルにごちそうを並べられ、さあ、召し上げれ!と接待を受ける。

兄2人は、沈寝は子供の頃から女の子のように育てられて来たのだとカバ丸に教えながら、接吻しようと顔を近づけて来たので、カバ丸が素早く顔を避けると、兄同士がキスをしてしまう。

それに気付いた2人は、不潔!と叫び、その場で互いに派を磨き始める。 そして、改めて互いの顔を見合わせた兄達は、又嘔吐くのだった。

一方、王玉学園の豪遊宴(大葉健二)と会っていた沈寝は、関東の諸星同盟の主導権争いとして、両校から5人ずつ選手を出し、剣道で勝負しようと言う申し出を受けていた。

その勝者が裏組織の主導権を握ることになったので協力してもらいたいと沈寝から聞いたカバ丸は、話によってはやってやっても良い…、金を出せるか?と答えたので。

いくらだ?と沈寝が慎重に確認すると、焼きそば10杯分などとカバ丸が答えたので、良いとも!50杯でも100杯でも!と沈寝は苦笑しながら答える。

それを聞いたカバ丸は喜び、良し、引き受けた!と返事する。

やがてライバル校である金玉学院と王玉学園との剣道試合が始まり、麻衣もリアガールとして応援に参加する。

いよいよ雌雄を決する時が来たわね、時間制限はなし!どちらかが完全に打ちのめされるまで続きますと豪遊宴がおねえ言葉で開会の挨拶をする。

しかし、金玉学院の大将カバ丸はまだ試合会場に来ていないことを知った沈寝は、先に焼きそば代を渡した策が失敗だったと気づく。

まずは金玉の先鋒白川大作(関根大学)対王玉の霧野疾風(高木淳也)の第一試合が始まる。

その頃、カバ丸はス-婆さんの店でのんきに焼きそばを食っていた。

白川は疾風に敗れたので、次峰藤枝晃(山本亨)が立ち上がるが、これもあえなく敗退、副将立花諭(藤川聡)が立ち上がる。

その頃、焼そば屋にやって来た蘭は、カバ丸君こんな所にいたの?みんなが探してたわよと声を掛けると、まだ試合まで1時間もあるとカバ丸は店の壁にかかった時計を見ながら笑う。

しかしスー婆さんが、あの時計は30年も前に止まっていると教えたのでカバ丸は驚くが、薫に対峙したスー婆さんは、せっかく人が才蔵さんの孫にごちそうしているというのに!と文句を言い出す。

すると蘭も、振られたからってそんなこと言わなくても!当時、私は軽井沢小町と言われていたんですよ!とスー婆さんに負けじと言い返す。

するとスー婆さんも、私はミス軽井沢だったんです!と言い返す。

試合会場では副大将の立花も疾風に敗れたので、後1人…、大将はどこ?と豪遊宴が言い出し、いないとなると勝負はこれまでだな…と嘲るように言う。

すると沈寝が、私がお相手しようと言い出し、支度に少々お時間を…と言い残し、体育館奥の部屋に入って行く。

その間、見物していた女子一同はうっとりして沈寝の動静を見守っていた。

やがてドアが開き、白い胴着の男が出て来る。

疾風との勝負は互角の戦いとなり、互いに竹刀を捨て、拳法での戦いになる。

大きくジャンプして二階通路に飛び上がった金玉学院の剣士が面を取るとそれはカバ丸だったので、カバ丸!カバ丸じゃないか!と疾風は呼びかけながら自らも面を外す。

その顔を見たカバ丸も、はや吉!と驚く。

もう10年にもなるか!と再会を喜び合う2人をよそに、大きな皿に焼きそばを乗せた沈寝が体育館に戻って来るが、様子がおかしい事に気付き戸惑う。

カバ丸が疾風に、じっちゃんは死んだ、じっちゃんの所に預けられながら勝手に逃げ出しやがって!とからかうと、お前はいつも腹を空かしているばかりで、泣き虫だったので残ったんだろうと疾風もやり返し、ガキの頃の決着を付けようとにらみ合うが、沈寝が豪遊君、次の対決は?と聞くと、修学旅行の京都で、あくまでもあの2人のデスマッチをと豪遊宴は答える。

その夜、自宅の部屋に戻って来た麻衣が、写真立ての裏の沈寝の写真を見ようと裏返すと、そこに入っていたのはカバ丸の写真だった。

驚いて床を見ると、そこには破り捨てられた沈寝の写真が落ちていたので、怒った麻衣は、カバ丸の写真を抜き出し、床の落として踏みつけるのだった。 その庭先に潜んで喜んでいたカバ丸は、いきなり顔を押さえる。

手を離すと、左目から頬にかけ、くっきりと靴痕が記されていた。

翌日、体育会系のクラブの強化訓練をさせてもらいたい、伊賀野君をリーダーにして訓練したいんですと野々草かおるが院長室に頼みにきたので、中尾は認められません!と即座に拒否するが、そこに、お願いします、院長先生と言いながら沈寝がやって来て、沈寝さんがこの提案をしたんですとかおるが説明すると、あっさり中尾は良い案ですねと態度を変える。

院長の蘭も、体育会だけではなく希望者全員に許しましょうと言い出し、同行をしようと立ち上がった中尾を制し、自分が自ら同行します。場所も思いつきましたと言い出す。

大型観光バスで大きなテニスコートがあるレジャー施設に到着した一行だったが、カバ丸は、唐草模様の大きなふろしき包みを背負って降りて来たので、麻衣が何なの?と聞くと、命の次に大切な物さとカバ丸は答えるだけだった。

そんなカバ丸が、周囲の風景を見ながら、どこかで見た事があるな…と不思議がると、蘭は、目的地はあの山の又先の山の中ですと教えたので、こりゃ、伊賀!あそこは俺が住んでいた山じゃないか!とカバ丸は気付き、逃げ出そうとするが、その腕を握った沈寝は、逃げられては意味がない、案内してくれたまえとカバ丸に話しかける。

ロープを使い、生徒達は厳しい山の崖を登りだす。

もんぺ姿で張り切る蘭院長は、こんなのまだ序の口よ!と早くもへばり気味の生徒達を激励する。

やがて一行は、宿泊先となる山奥のあばら屋に到着する。

蘭は、その中に安置されていた仏像を見て微笑むのだった。 生徒達のランニングが始まる。

石段をうさぎ跳びで登る訓練の最中も、ふろしき包みを背負ったままのカバ丸に、いつまで担いでいるんだ!と他の生徒達は呆れるが、命の次に大切な物、盗まれちゃ敵わないからなとカバ丸は答えるだけだった。

腕立て伏せを始めた生徒達に、カバ丸は木の枝で、未熟者!とじいちゃんの真似をしながら鞭を振るう。

そんな中、河原で1人読書をしていた沈寝を発見した麻衣は、ラブレターを乗せた紙の船を川に流して、沈寝に届けようとする。

そんな紙舟に気付いたのは、水中で鮎を捕まえていたカバ丸だった。

水面に浮き出たカバ丸は、近づいて来た紙舟に乗った麻衣のラブレターを読んでしまう。

その後、「若きウエルテルの悩み」の本を顔の上にかぶせ寝ていた沈寝に近づいた麻衣は、読んでくれたのね!こうやってあなたの側にいるだけでも幸せだわ…などとうっとりする。

そんな麻衣の手を沈寝が手を差し伸べて握ったので、夢!夢じゃないわよね!と麻衣は感激するが、その時、本物の沈寝が側を通っているのを発見、仰天する。

本を外した下の顔はカバ丸で、これ婚約者、おりも幸せだ!などと沈寝に言うので、沈寝様!酷い!あんまりだわあなたに差し上げた手紙をあんな山猿に!と麻衣は必死に泣いて言い訳しようとする。

しかし、女の涙に惑わされてはいけません、ほとんど嘘ですから…と言いながら野々草かおるが沈寝に近づいて来る。

麻衣は、生徒会長だからと思って…とかおるを睨む。

そこへ慌てて駆け込んで来たのが豚山(すのうち滋之)で、食い物が盗まれたぞ!と言う。

食い物がなくなったため、その後の訓練は空腹状態のまま三日目を迎えていたが、さすがに顔パックしてやせ我慢していたかおるの腹も鳴りだす。

そんな中、番長1人だけ缶詰を持っていたので、それに気付いた全員が番長に迫るが、これは俺のだ!と言いながら缶を開けた番長の缶の中から出て来たのはブルーのパンティだった。

次に、空腹の生徒達が目をつけたのは、カバ丸がいつも背負っている唐草模様のふろしき包みで、その風呂敷の中、何が入ってるの?食べ物でしょう?ちょっと開けなさいよ!と言いながら生徒達が押し寄せ、カバ丸から無理矢理奪い取ったふろしき包みの中味は案の定、大量のカップ焼きそばだった。

その後、カバ丸は崖の上に隠していた行李を開け、持って来たのは焼きそばだけじゃねえぞ!と自慢しながら、中に入っていた大量の餅を食い始める。 食い物がなくなって5日目も山中での厳しいランニングが続けられていたが、みんな体力の限界に近づいており、途中で倒れ込んでします。

そんな中、空腹の限界を超えていた三枝由紀(佐藤実理)は、側で四つん這いになって喘いでいた豚山の姿が本物の豚に見えてしまい、その腹に思わず噛み付いてしまう。

どうしたの?由紀!と麻衣達が駆け寄ると、豚山君が食い物に見えたの…と由紀が言うので、その様子を見ていた番長は、怖い!今日こそ山を下りよう!と怯えた顔で呟く。

その夜、山小屋の中で寝ていた麻衣がふと目覚めると、何者かが並んで寝ていた生徒達の枕元に1つずつ餅を置いているのが見えた。

その人物が小屋を出て行くとき、一瞬振り向くと大仏の顔だったので、思わず麻衣は悲鳴を上げ、その声で全員起きてしまう。

みんなは、枕元に置かれていた餅に気付くが、カバ丸だけは、餅?まさか…と呟くと、外に飛び出し、木の上に隠していた葛篭を覗きに行く。

案の定、中に入れていた餅はなくなっていた。

その頃、山小屋とは別の小屋にいた蘭は、大仏像に向かい、やはり生きていてくださった…と感激したように話しかけていた。

あれから50年、あなたはちっとも変わらない… どうして死んだ真似をなさったの?と蘭が仏像に問いかけると、カバ丸に拾い世の中を見せてやりたかった…、身寄りのない私ですから、ついあなたにすがってしまった…と仏像から声が返って来ると、カバ丸君は明るく屈託がなく良い子ですと蘭は褒める。

明日にでも隠しておいた食い物を返してやりましょう。

少しは食べ物のありがたさを分かったでしょうと大仏は言う。

翌朝、山の中で院長の蘭に会った生徒達がどこにいたんですか?と不思議がると、真夜中のおデート、仏像様と忍び合い、 仏像様は本当にすばらしい方でしたなどと蘭は嬉しそうに答えるだけだった。

前島家の屋敷 庭先で泣いている前島(鹿又裕司)が、坊ちゃん、どうして涙なんか流しているのです?と聞きながら近づいて来た帆立貝之助(安岡力也)は、秀が麻衣宛に書いたラブレターを燃やしている事に気付くと、また、坊ちゃん、振られたんですか?と呆れる。

学院にカバ丸という奴が来たんだと秀が答えると、悔しくないんですか?と帆立が聞くので、悔しいよと答えると、この帆立貝之助にお任せください。大久保麻衣を裸にして、坊ちゃんの前に土下座させますと帆立は胸を張る。

京都 修学旅行でやって来た金玉学院の麻衣は、憧れの沈寝と一緒に記念写真に納まろうとするが、新婚旅行の予行練習などと勝手なことを言うカバ丸に邪魔されてしまう。

さらにカバ丸は、読書をしていた沈寝の本のページに、わざとカップ焼きそばをこぼしてりして嫌がらせをする。

その後、沈寝は、明朝、王玉の霧野疾風と決着をつけると修学旅行に来た生徒達に伝える。

翌朝、川の両岸に並んだ金玉と王玉の生徒達を前に、霧野疾風とカバ丸が互いに飛び出し、川の中で戦い始める。

その時、見物していたまいに近づいて来た車が停まり、中から降り立った帆立と仲間達が麻衣を拉致して車で逃走する。

それに気付いたカバ丸は、こんにゃく泥棒!と叫び、緊急事態だ、勝負は一時中断させてもらうと沈寝が宣言する。

カバ丸は走って車の後を追跡し始める。 帆立達の車は竹林の横に近づくが、その時、前方の竹が進路を塞ぐように倒れ掛かって来る。

車が停まると、駆けつけたカバ丸が後部座席から麻衣を連れ出し逃走しようとする。

すると、黒服のギャングたちが前に立ちはだかる。 俺の子分の黒龍一家だと車を降りて来た帆立があざ笑う。

大久保は俺のこんにゃくだ!こんにゃく者だぞ!と言いながら麻衣と一緒にカバ丸はその場を逃げだす。

カバ丸と麻衣が逃げ込んだのは東映太秦村 時代劇セットの屋根の上を逃げる2人 何の撮影ですか?と見物客の中年男が聞くと、伊賀野カバ丸ですと隣の若い女性見学者が答える。

芝居小屋の中に逃げ込んだカバ丸と麻衣は、忍び装束の忍者とお姫様の紛争になって反対側の出口から出て来る。

追って来た帆立と黒龍一家は全員忍者姿になっていた。

先ほどの中年見学者が何の撮影です?と聞くと、影の軍団ですと隣の女性見学者が答える。

煙玉を焚いたカバ丸は、二階やの屋根の上を麻衣とともに逃走、追って来た黒龍一家と立ち回りをする。

その間、足を滑らせ落下したお姫様姿の麻衣を下で受け止めたのは、中国のカンフー衣装を着た疾風で、助太刀に来たぜ!と上のカバ丸に声をかける。

下で撮影中の監督が服部半蔵役の役者がまだ来ていないと苛立つと、まつげを付けているのでと助監督が知らせる。

助監督が、荷車の上に腰を下ろした監督にセブンスターを差し出すと、次のシーンではパーンと空中に飛び上がるんだと監督は指示するが、荷車の柄の部分を黒龍一家が扮した忍者達がジャンプに使ったので、座っていた監督自身がその場で飛び上がる。

やがて、お姫様に化けた麻衣が黒龍一家に捕まり夜の加茂の河原セット内に逃げ込むと、どこからともなく着流し姿の侍に紛争した目白沈寝が登場し、か弱き娘にかような狼藉…、十六夜も笑うておりましょう…などときざなセリフを言いながら黒龍一家と帆立らをその場で斬り捨ててしまう。

北町奉行所のお白州セットに捕縛された姿で正座させられた帆立たちと前島に、これにて一件落着!とカバ丸が見栄を切る。

帆立は前島に、坊ちゃん、申し訳ありませんと謝る。

隼人はそんな前島に、死と会長のくせに恥ずかしくないのか!と叱咤する。

隼人とカバ丸はまた川に戻って戦おうとするが、諸星連合の頂点となるべき勝者決定戦は場所を改め近代五種競技にちなみ近代アクション五種競技を行う事にすると豪遊宴が宣言する。

東京での決勝戦

第一種目空中ハイダイビング はじめは20m垂直落下

安全マットの上にカバ丸と疾風が飛び降りるが、両者とも互角の勝負だった。 次は最上段40m!と沈寝が言う。

隼人はさすがに飛び込む際迷いを見せ、落下するが、安全マットの恥から横のプールに落ちてしまう。

カバ丸は成功し、金玉学院が1点先取する。

第二種目水泳

500m先にあるブイに付いた風船を先に割った方が勝ち!と宴が説明する。

クルーザーの上から一緒に飛び込んだ疾風とカバ丸は、一度も息継ぎをせず、ブイの間近まで泳ぎ切ると水面に顔を出し風船を割るが、隼人の方が一瞬早かった。

第三種目乗馬

馬に乗って、途中に刺してある十字手裏剣を取り、「王」と書かれている扇子に馬上から投げて当てるという競技で、カバ丸が扇子のより真ん中に当てたので勝ち、2対1となる。

第四種目早食い 両者は体育館の中に並べられた二列のテーブルの上に置かれた何種類もの大盛り料理を片っ端に平らげ始める。 途中、食いながらカバ丸が屁をこくと、隼人も負けじと屁をこく。

宴は隼人有利と見て愉快そうに笑ってみていたが、そのとき麻衣が、最後のメニューである焼きそばの皿を持ち上げカバ丸を応援する。

それを見たカバ丸は一挙に張り切り、焼きそばも平らげて先にゴールのテープを切るが、異議あり!と立ち上がった宴が、途中の食い終えた皿の下から一粒の小豆を見つけると、失格!と宣言する。 かくして金玉と王玉は2対2の互角になる。

第五種目決勝戦はカーロデオ

宴と沈寝が交互に運転する自動車の屋根にへばりつき、振り落とされた方が負けと言う勝負だった。

まずは沈寝が運転する車の上に隼人がへばりつき、それを振り落とそうとする沈寝の操縦も空しく、制限時間の3分間落ちる事はなかった。

続いて、運転を宴が代わり、車を発進させると、前方で大きくジャンプしたカバ丸は着地位置をミスり、車の背後に着地、慌てて走って車を追いかけ屋根の上に飛び乗る。

宴は何とか振り落とそうと操縦テクニックを駆使して運転するが、カバ丸は一向に落ちないどころか、応援していた麻衣たちに手を振って答える始末。

後10秒しかないと悟った宴は、岸壁からそのまま車を海にダイブする。

海から上がって来た豪遊宴は、あいつには敵わんよと呆れる。

海の中でもカバ丸は車の屋根にしがみついたままだったからだ。 3対2で金玉学院が勝利し、カバ丸は大喜びするが、そんなカバ丸にどこからともなく木の杖が飛んで来る。

それを見たカバ丸は、じっちゃん!と驚く。

未熟者!と言いながらじっちゃんが鞭打って来たので、お化け!とカバ丸は怯えるが、お化けではありません、才蔵殿は生きておられたのです。

この方は本物の才蔵様ですと院長の蘭が説明する。

醜い老人のマスクをその場で脱ぎ捨てたのは、伊賀野才蔵(千葉真一)だった。

しばらくぶりだな、カバ丸、はや吉! お前達をここへ送り込んだのも第二の修行をさせるためじゃ。 もう一度原点に戻り、鍛え直してやろうか?と才蔵が言うと、驚いたカバ丸と隼人はその場を逃げ出して行く。

それを見て笑う、才蔵、蘭、生徒達。

西新宿の高層ビルの所に来たカバ丸と隼人は、才蔵の目を逃れた安堵から互いに肩を組んで喜ぶが、その時、未熟者!と怒鳴る才蔵の声が聞こえたので、2人とも驚いて飛び上がるのだった。
 


 

 

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