二本立て(同時上映は伊東ゆかり主演の「おしゃべりな真珠」)の添え物風のマンガの実写化 二本立てと言ってもどちらがメインなのか分からないと言うか、どちらも添え物同士みたいな組み合せだったのではないかと思う。 富永一朗さんのマンガなのでストーリーマンガのようなものではなく、確か見開き程度のギャグマンガだったと記憶しているのが、映画はマンガから離れて自由に発想しているものと想像する。 金と色欲に支配されたような地方の人間の浅ましさを描くお色気ナンセンスのような狙いだと思う。 とは言え、木下惠介監督「歌え若人達」の2年後の松竹作品がこれである。 もちろん、予算も違うし監督のキャリアも違うのだから、単純に比較して優劣を言うつもりはないが、この辺からそれまでの松竹カラーが急速に変質している感じがある。 女性のヌードシーンなどがあからさまに出るようになり、風刺性は感じるものの笑いどころもなくなったような気がする。 「氷点」(1966)を見に来た女性客達へのアンケートから、その当時、女性や子供が極端に映画館に来なくなっていた結果が浮き彫りになったらしいが、そう言う時代背景が何となくこの作品でも分かるような気がする。 女性客が好むようなセンスではないように感じる。 では男が見て楽しめるかと言うと、これも楽しめないので困る。 おそらく無理矢理会社からコメディ的なものをと要求され、得意でもないのに無理矢理作っているようにさえ見える。 コメディとしては全く笑えないし、ストーリーが面白い訳でもないが、主役の中村晃子さんは愛らしく、一種のアイドル映画のように彼女を愛でる映画と割り切れば我慢できなくもない。 途中からは、東京オリンピックパロディのようなものまで出て来るが、これも全く面白くなく、単に「東京オリンピックパロディ」なんだろうなと気づく程度。 東京オリンピックを知らない世代が見たら、パロディということにすら気づかないのではないか。 いくらマンガ原案とは言え、一人一人の登場人物達にあまりにもカリカチュアライズし過ぎており、リアリティを感じないので、どたばたやっている割に面白みが生まれていないのだ。 そもそも、出演者にお笑いの人が1人もいないのが不思議である。 通常、主役くらいは喜劇畑の人が出ているはずなのだが、この作品での主役は中村晃子さんであってお笑いの人ではない。 南道郎さんが一応元漫才師だったと言うくらいで、この当時は基本脇役である。 いわゆる喜劇ではなく、風刺、ナンセンスの類いと解釈しても、どうも全体的に面白みが伝わって来ないのがもどかしい。 なお、劇中で語られている「白子屋お熊」の話もオリジナル解釈なのか、そう云う出典があるのかも分からない。 キャスティングで珍しいのは、中村晃子さんの姉のショウ子を演じているホキ徳田さん。 大胆な肢体を惜しげもなく披露し、可愛らしくたくましい現代女性を演じているが、作家ヘンリー・ミラーと一時期結婚されていた方である。 映画出演は何本かあるが、これはその内の1本で個人的には初めて見たような気がする。 浜村純さんがちょっとエキセントリックな役で出ておられるのも嬉しい。 |
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
1965年、松竹、富永一朗原案、石堂淑朗脚本 、 前田陽一脚本+監督作品。 この物語は架空である。ただ八丈島の美しい島の風景は本物であると言うようなテロップ タイトル 為朝島 ホテル海流荘の主人助徳(南道郎)が、若い衆に担がせて海岸近くに大きな絵看板を運び込んで来る。 あまりに大きな看板だけに、運んでいた竜一(加藤正)たちはへばっていたが、それに気づいた助徳が、ショウ子、発破かけてやれ!と同行していたミニスカートの娘に声を掛けると、ショウ子(ホキ徳田)はミニスカートをまくってパンチラを披露したので、竜一たちは発奮する。 やがて設置されたその看板は、海藻漂う海中に戻ったビキニ姿の女性がウインクをしている絵で、この島の観光名物に海女をアピールしようという狙いだった。 看板を設置し終わると、役場の村長(竹田法一)たちも集まって来て、これなら沖を通る外国船からも見える!観光客がどんどん来るぞ!などと大喜びをしていた。 海女たちを見せ物にしようと目論んでいたのだった。 その時、ショウ子!と呼びかけて来たのは海女仲間と、大納言(浜村純)と呼ばれている老人だった。 村長!そんなものはすぐ取り払いなさい!島が汚れる!と大納言は呼びかけて来るが、下がれ!キチガイジジイ!と村長たちは相手にしなかった。 設置した看板の一部の腰掛けていた竜一に、あんた、あたいをモデルにしたんじゃないの!とショウ子がからかうと、ショウ子の妹のお玉を想像して描いたんだ!と竜一は答える。 そのお玉(中村晃子)は海女の仕事の最中だったが、息継ぎに上がった時、船の上で見張っていた竜一の母親から、まだアワビ採ってねえのか!そんなことで飯食えるか!わしらがおめえくらいのときはバケツ一杯採ってたもんだ!と厳しく叱られる。 海辺に上がっても、みんな東京に行っちまうと竜一の母の愚痴は続いていたが、そこにやって来た若い海女仲間が、わしらをダシにして儲けるそうだ!海女芸者だってさ!と助徳の計画を教えるが、その時、ショウ子が近づいて来てお玉!帰るよ!と呼びかけたので、ショウ子の言うこと何か聞くんじゃないぞ!と竜一の母は注意する。 お玉とショウ子の父親伍作(左卜全)から、温泉のボーリングを依頼されていた技師(穂積隆信)は、火山島で800m掘って出ない所を見ると泉源がないんですよと言い、モーターを止めてしまう。 それを知った吾作は、モーターをかけてください。昔の記録に残っておるんだと、古文書に書いてあったと言う寛政の頃、天地が奮え温泉が湧き出たとの一部を暗唱し、頭を下げる。 しかし技師は、頭金の30万もらっているだけなんでもうボーリングは打ち切りましょう。 さらに掘りたけりゃ後150万用意してくれるんですねなどと言い残しホテルに帰って行く。 吾作は癇癪を起こし、近くに植えてあった植物を引っこ抜き、もう100m掘ったら出たんだ!昔の人が嘘つくはずがねえ! 温泉さえ出れば権利金一杯入ってくるんだ!そうしたらこんなボロ家壊して、コンクリートの家作って温泉ホテルの社長になるんだ!などと叫ぶ。 そんな吾作の家に風呂をもらいにやって来た竜一の母は、ショウ子に海女部落は協力せんと釘を刺す。 その頃、「ホテル海流荘」では、助徳の観光発展計画に賛同する村長たちが集まり宴会をしていた。 そこに助徳の妻お種(矢吹寿子)が酒を持って来たので、奥さんも一杯やりましょう!と客たちが勧めるが、お種は、私、飲まないんですと言うだけで、愛想も見せず立ち去る。 若いお種をうらやましがった村長が、うちのババア早く死なないかななどと言うので。あれも不感症気味なんですよなどと助徳はお種のことを言うと、医者の陣野(山本清)が、俺に任しとけ!などと豪語する。 そんな中、お待ちかね、ストリップショーが始まる。 ヌードスタジオさん!あの踊り子達を海女にしたら?と客達が、ストリップ経営者人魚館(江幡高志)に提案する。 その頃、お玉の家の風呂をのぞきに来た竜一と友達は、風呂に入っていた母親から、おっ母覗く奴があるか!竜一!お前と思っとった!と呆れたように叱りつける。 お玉から風呂を勧められたお玉が入らないと言うと、おめえ、あれか?この島では昔のしきたりだから、“他火小屋”に入るんだ。 夜中、男が覗きに来てスリルあっど、お前の先祖は、白子屋お熊だからな…などと竜一の母はからかう。 お熊は江戸吉原の遊女で、15の時、足抜けが見つかって、女として初めてこの島に流されて来たんだ。 初めて女が来たというので、島中の男が殺到したが、お熊は片っ端から相手をしてやり、子供を作った。 その後、お熊は、江戸市中引き回しの時、白無垢の襦袢の上に、八丈島名物の黄八丈を着ていたんだとと竜一の母は伝説を教える。 竜一の友人は、夜ばいにでも行かねえか?他の女にちょっかい出しに行こう!と誘うが、お玉にしか興味がない竜一は、腹が減ったから、助徳さんの所で飯でも呼ばれて来ると言うと、1人「ホテル海流荘」に向かう。 その頃、助徳は、招待客達を新婚向けの特別ルームを見せていた。 その部屋の隣には「鏡の間」と称する覗き部屋があり、助徳が自慢げにハーフミラーで隣の部屋の鏡がこちらでは丸見えの窓になっているだけではなく、隣の音をテープに録音できる盗聴器も仕掛けられていると紹介していたので、それを見た村長や医者の神野は大喜びする。 そんな「海流荘」にやって来た竜一が、お種を呼ぶと、お種は非常口から二階へ上がるよう黙って指示する。 建築中のおがくずが置いてある空間に竜一を招いたお種は、私、助徳が嫌で嫌でしようがないの、私、まだ女の喜び知らないの…、お小遣い上げるからなどと誘い、竜一を抱こうとする。 そんな中、海岸べりの無人の大看板の下では、兜をかぶった大納言が、暗闇の中、1人槍を突いていた。 翌朝、吾作の家に朝帰りして来たショウ子を見たお玉が、どうしたの?と聞くと、二日酔い、夕べ泊めてもらったなどと言うので、役所行かんの?と聞くと、今日はもうお休みなどとショウ子は言い、風呂敷を下げているお玉を見て、あんた、あそこへ行く気になったんだ?面白い所だよ…とからかう。 その日も技師を呼んだ吾作は、きっと出ますよ、そしたら150万くらいのはした金いつでも払いますからと頼んでいたが、お縄をちょうだいしてもらおうじゃないの…、ただし、私だって無下に断る訳じゃありませんよ、お玉ちゃん、一晩だけ旅館に寄越してくれたら良いんです…、ただの恋愛ですよなどと、出かけるお玉の姿を見かけた技師が条件を出して来る。 吾作が驚いて拒否すると、なるほどね、島の人は古いや…帰らせてもらいます、いずれ警察と一緒に戻ってきますよなどと言い捨てて技師はホテルに帰って行く。 すると吾作は技師の後を追い、本当にただの恋愛ということでしたら…などと言い出す。 “他火小屋”に向かう途中のお玉を待ち伏せしていた竜一は、どこ行くの?“他火小屋”だろ?おめえがあれだってことをショウ子に聞いてるんだ。 赤い鼻緒の下駄、入り口に置いといてくれよなと声を掛けるが、お玉は振り向きもせず立ち去って行く。 “他火小屋”の中には、既に10数名の島の女達が集まっていた。 その内、缶詰持って男達が来るとよ!と女達がやって来たお玉に話しかけるが、お玉は何も答えず、障子部屋に入ると、入り口の踏み台の下に赤い鼻緒の下駄を隠す。 「海流荘」ではまだストリップショーが続いており、竜一と友人がそれを見ていたが、その後、人魚館の親爺が、明日からうちのストリッパーを海女に使ってくださいと助徳に申し出る。 島の観光に協力してくださいと助徳がストリッパー達に頼むと、私も一口乗せてくださいよと人魚館が耳打ちして来る。 “他火小屋”の中では女達がゴーゴーを踊っていたが、お玉は奥の部屋で1人布団の中で静かに寝ていた。 お玉の脳裏には、海岸べりに建った大きな看板の絵が脳裏に浮かび、うぶな顔していても、先祖は白子やお熊だからな…、男が嫌いな分けないと言う竜一の母親の言葉が思い出される。 そんな“他火小屋”に近づいて来た竜一は、中に忍び込み、赤い鼻緒の下駄を確認すると障子を開け、布団に寝ていたお玉に近づこうとする。 どこからか、祈祷師が祈る「娘を孕むぞよ」と言う言葉が呪文のように聞こえて来る中、布団の中のお玉は怯えていた。 やがて、竜一がお玉の上に覆い被さって来て、竜一の首にかかっておいた十字架のペンダントがお玉の顔に触れると、いや!と叫んだお玉は跳ね起き、小屋から飛び出して逃げ出す。 竜一の方も慌てて小屋を飛び出すと、そこで待っていた友達にも目もくれず、お玉とは逆方向へ逃げ出す。 浴衣姿のままあの大看板がある海辺に来たお玉は、浴衣を脱ぎ全裸になって海の中に入ると、身体を清め始める。 その後、雨戸を叩く音で恐る恐る開けた大納言は、そこに濡れたお玉が立っていたので、どうしたんだ?濡れて…と聞く。 一方、竜一の方は、俺はもうダメだ!と頭を抱えるので、近づいて来た友達が、てめえで逃げる奴あるか!とバカにすると、あいつ、フクロウみてえな目でじっと見てただ…、俺、お玉に嫌われただ!と竜一が是打つ棒するので、他に女作って見せつけてやれと友達は励ます。 大納言の家に上げてもらったお玉は、大納言さん、私、本当に白子屋お熊の子孫なのかしら?と聞くと、わしだって、先祖は戦国大名で豊臣方に味方したので、一族もろともこの島に流されて来たと言われているんだ。 それでも、島のものたちが米屋麦を持って来てくれるから生きて行けるようなもんだと打ち明けた大納言は、御赦免花を知っとるか?崇福寺の蘇鉄の花が作と御赦免になるといわれておる。 わしは一日千秋の思いで花の咲くのを待っているんだ…と話した大納言は、さ、寝なさい、花の咲く夢でも見なさい…と勧める。 竜一は一人太鼓を叩いて気持を落ち着かせていた。 お玉を別室に寝かせた大納言だったが、深夜、むくりと起き上がる。 その後、般若の面をかぶった白い寝間着の大納言はお玉の部屋に忍び込み、寝ていたお玉の顔に近づく。 異変を察知し目を開けたお玉は、目の前に般若の面が迫っていたので驚いて飛び起きる。 面が外れた大納言が、悪かった!許してくれ!お前があんまり美しかったから、お前の匂いを嗅ぎたかっただけなんだ!信じてくれ!と謝る。 しかし、お玉は家から飛び出して行ったので、わしとしたことが…と大納言は頭を抱えて悔やむ。 翌日、大納言の家に水汲みにやって来た女(谷よしの)が、腹切りじゃ!大納言の腹切りじゃ!と慌てて飛び出して来る。 駐在(吉田義夫)と一緒に医者の神野が駆けつけて来ると、大納言が日本刀で腹を斬っていたので、お、やりおった!と面白そうに言う。 はらわたが飛び出しとるじゃないか!と駐在は慌て、訳は何じゃ!言い残すことはないか?と大納言に呼びかける。 大納言が遺した辞世の句のようなものがあったので、駐在は「世の汚れ 死して清めん 御赦免の花咲く時 また蘇らなん」と書かれた文を読む。 その血置き、みんな!肉体女優じゃ!と若い者が呼びに来て、野次馬達が一斉にそちらへ走って行ったので、ばか騒ぎしているときじゃない!と叱りながらも、駐在もその後を追って行く。 その後、知らせを聞いたお玉が大納言の家に走って来る。 医者の神野は、ちょっと三針ほど縫っといた、だが患者は必ず死ぬ…と言い残し帰って行く。 一方、島にやって来たのは、別荘を建てるつもりで見学に来た肉体女優春本(春川ますみ)だった。 出迎えた村長は、東京から40分で来られますなどとセールストークを始める。 そんな一行に近づいて大納言が切腹したぞ!と知らせたのは学校の校長で、同行して来たP・T・A会長(水上令子)は、あの大看板をすぐにでも取り壊せ!この島をパンパン宿にでもする気ですか!とむきになるが、それを聞いていた肉体女優は、そう云う話、後にしてくださらない?と迷惑がる。 その頃、吾作は古い武具がある大納言の家からこっそり日本刀を一振り盗んで行く。 ほっぺに一度だけ頬ずりしたかっただけだ…、娘みたいに愛おしゅうなってな…と布団の上で気がついた大納言は訪ねて来たお玉に打ち明ける。 わしは死ぬ…、泉ン大が島に流されて来て18代…、とうとうわしでお終いだ…、不運な一族よな…、お玉ちゃん、さようなら…、御赦免花はとうとう咲かなかったな…と大納言は独り言を言う。 大納言から帰ってくるお玉を待ち受けていた竜一は、その場に連れて来ていたショウ子に打ち合わせ通り、お玉が通り過ぎる時見せつけるためにわざと抱き合うが、お玉は何も言わずそのまま通り過ぎて行ったので、どうだ?気づいたか?と聞いた竜一は、行っちまったわよとショウ子に言われたショックで泣き出してしまう。 諦めるんだよ、私が付いているからさとショウ子は慰める。 家にたどり着いたお玉は、家の中に上がり込んでいたボーリングの技師から、一体いつまで待たせる気だ!と迫られた父吾作が、神棚に隠していた日本刀を取り出し、これは名刀だ!売ったら600万はすると言いながら技師に迫っているのに気づく。 おとなしく聞いてりゃ、お玉がどうだと言いやがって!後100m掘らなかったら斬る!と日本刀を抜いた時、家に上がって来て、父ちゃん、こんな人斬っちゃいなさいよ、思い切ってと止めるどころかけしかける。 春本さんに別荘を買ってもらったら、この島をヌーディストの島にして、その会長になっていただきましょうなどと、春本が泊まっていた「海流荘」の新婚用の部屋に邪魔していた村長達がお世辞を言っていたが、春本は、私、お風呂に入る時間なのと言い、押し掛けていた連中を追い返す。 浴室に入り、湯加減を見た春本は熱かったので、思わずベランダの方へ熱湯を浴びせる。 そこには春本の入浴姿を覗き見していた若者がいたが、熱湯をかけられたので逃げ出す。 その後、隣の「鏡の間」から春本の部屋の様子を除き始めた村長らだったが、入浴後、ハーフミラーの鏡に近づいて来た春本は、顔に泡を塗りたくりひげを剃り始める。 翌日、日の丸を胸に付けた竜一が、駐在の乗るスクーターに先導され、聖火ランナーとして島を走っていた。 それに気づいた海女達は声援を送るが、ただ1人、お玉だけはそっぽを向いていたので、お玉ちゃん、昨日のこと誤解だよ!と言いながら、竜一はコースを離れ、海岸に逃げたお玉を追って行く。 それを他の海女達も追って来る。 次のランナーは、駐在のスクーターだけ近づいて来て肝心の聖火ランナーがいないことに気づき慌てて、竜一いねえじゃねえか!と駐在に知らせる。 駐在もその時初めて、後ろに付いて来ていた竜一がいなっていることに気づく。 「為朝島運動会」と書かれた運動場に、近隣の島々や漁船代表らが集まって入場行進が始まる。 そこに聖火を持った竜一が走って来て、松明に点灯する。 競技が始まり、アベネに似た雰囲気の痩せたマラソンランナーなどが登場する。 表彰台では、春川がメダルを選手達に渡す。 その頃、「海流荘」が客達に海女見物の観光船が出ますよ〜!と呼びかけていた。 浴衣姿のままの宿泊客達が、用意された観光船に乗り込む。 為朝島名物だよ!夜の相手も交渉次第!などと助徳が客達に煽る。 水中で踊る海女に化けたストリッパー 本物の海女達の所に、おーい、みんな!大変だ〜!ストリップの奴らが海女に化けて写真撮らせているぞ!と知らせが来たので。驚いた海女達は現場に行ってみる。 しかし、海辺で写真を撮らせていたストリッパー達は、お前達も本当はやりたいんだろう?などと言い返して来たので、海女チームと喧嘩になる。 海女達はストリッパーを担いで海に落とし始め、お玉もそのどさくさにまぎれ、竜一を海に突き落とすと自分も飛び込み、海底に沈んでいた錨に付いた紐を引き上げ、水中の竜一の足に縛り付けたので、竜一は浮かび上がれず、水中で浮遊する。 それを岩場から応援する海女達。 今夜、海女っ子芸者達は安く転ぶって言うぜなどと下世話な話をしながら客が「海流荘」に戻って来る。 「海流荘」には海女達が海女芸者になるため集まっていた。 みんなが海女芸者に来てくれるとは思わなかった!と感激した助特は、これで軌道に乗って来たよと喜ぶ、そこに、私らを日干しにしよって言うのかい!ショウ子!お前が口説いたんだな!と苦情を良いに来たのが竜一の母達おばさん海女だった。 おばちゃん達はヤバいだろとショウ子がからかうと、これでもショメ節歌わせたら右に出るもんいないんだぞと言い出した竜一の母は、その場で歌を披露する。 やがて、泊まり客の宴会になだれ込んで来たのは、竜一の母達おばさん軍団だけだったので、何でババア達が来たんだ!と客は怒りだす。 そんな中、番頭が助徳に何事かを耳打ちする。 新婚用の部屋に竜一を誘い込んでいたお種が、あんた、まだお玉と何ともないの?と聞いていた。 “他火小屋”で言わんかった…、生娘に手を出したらあいつと結婚しなければ行けないしきたりだろう? 結婚したら遊べなくなるから…と竜一は答える。 それを聞いたお種は、ケッッコンして遊べるなら、女優なんかが良いだろうな…と竜一が夢のような話をするので、私と結婚しちゃえ!とお種が誘う。 そうした2人の逢い引きを番頭から聞いた助徳は、隣の「鏡の間」の盗聴テープで録音しながら聞いていたが、そのお種の言葉を聞いた瞬間、万歳!これで慰謝料なくて別れられる!と喜ぶ。 翌朝、宿泊客達が浜で地引き網を引いてみると、網の中には海女達が詰まっていたので大喜びする。 「海流荘」のサービスの一環だった。 その頃、ボーリング技師はモーターの上に座り込み、約束の100m出るか出ないか?と掘った結果待ちをしていたが、櫓から温泉が出る気配はなかった。 その側で祈っていた吾作に、残念でしたとからかうように技師が言うと、癇癪を起こした吾作は、畑に植えてあった蘇鉄の苗を次々に引っ込抜き出す。 すると、その抜いた穴から次々と温泉が吹き出して来たではないか。 島の半鐘が鳴り響き、冬眠達がこの温泉騒ぎに駆けつけて来る。 役場の村長も医者の神野も海女達も駆けつけてみると、畑から涌き出した温泉の中で吾作が踊っていた。 それを見た大納言は良かった、良かったと喜ぶが、すっかり元気になっているその姿を見た神野が驚くと、先日は失礼!と大納言は何事もなかったかのように挨拶する。 その時、ふんどし一丁で踊っていた吾作が倒れる。 神野は倒れた吾作の脈を数えていた。63〜64〜65… やがて吾作の葬式が執り行われる。 助徳は、あの温泉で譲ってくれないかなどと、葬列の中にいたショウ子に頼むが、相手にされないので、ふん、あんなホテルに負けるか!と捨てセリフを吐く。 一方お種は、助徳は私を嫌っているから土産物屋でももらって、もらうもんもらったら出て行くよと泉j蜜新子尿の部屋で竜一に言っていた言葉を録音したテープを聞かされ、土産物屋はやる、ただし儲けの7割はもらうと助徳が契約書をふてくされて聞いていたお種の前に差し出す。 そこに番頭がやって来て、旦那。大変だ!海女っ子が変な風呂を始めやがったと知らせる。 それは、温泉を使った「トルコ風呂」だった。 都はるみが歌う「アンコ椿は恋の花」が流れる中、何と大納言までスチーム風呂に入っていた。 そんな中、やって来た助徳に近づいたショウ子が、助徳さん、私に融資しない?トルコを立派にしたいのよと申し出るが、お前に客を取られてたらるか!と助六は拒否して帰る。 その頃、竜一は友達達から、早く着替えろと誘われていた。 浜にやって来た助徳は、早く船を出さないか!と急かす。 大納言は、これは健康に宜しい。 助徳を困らせてやれ!とショウ子をけしかけ、こんなぼろ家壊して、温泉ホテルの社長になるのよ! 父ちゃんもきっと喜んでいるわ、お前も海に潜るの止めて、東京へでも出て行けば?島はどんどん発展しているんだ、乗り遅れるよ!とショウ子は新しい生活に馴染めないで戸惑っているお玉に言い聞かせる。 竜一に振られたんだって?とショウ子から聞かれたお玉は、何のこと?と聞き返すが、お種と出来ているんだよとショウ子は教える。 海女見学の観光船からいつものように水中ショーを覗いていた客達は、2人しかいないじゃないかと騒ぎだす。 水中に潜っていた海女は、竜一の友達達が変装したものだったが、水中でブラジャーが外れてしまったため、男じゃないか!オカマだ!詐欺だ!と大騒ぎになり、船に乗り込んでいた人魚館の主人が海に突き落とされてしまう。 「海流荘」ではショウ子たちが踊って盛り上がっていた。 竜一の母親も一緒に盛り上がっていたが、ショウ子は、もうあたいたち海に潜らないからね!と叫ぶ。 その時、竜一の母親と助徳が別室に入って行ったので、何事かとショウ子が様子を見に行く。 助徳は、お種のことでわしは大恥かいたわ!と竜一のことを責める。 母親はそれを聞き、竜一の揶揄が大それたことを!と詫びる。 だが俺も太っ腹と言われた男だ、お種と竜一に店を一軒持たせることにしたと恩着せがましく助徳が言うと、あなたは神様みたいな人だと竜一の母はひれ伏して感謝する。 そこで頼みがある。お玉は親爺が死んで寂しいだろうから、わしの女房になるよう計らってくれと助徳が持ちかけたので、聞いちゃった!お玉なんてさっさとくれてやるよ!t部屋の中には行って来たショウ子が助徳に話しかける。 トルコ、辞めるって言うの、お玉の奴…、今、“他火小屋”にいるから…、処女に手をつけたら結婚するって言われがあるんでしょう?一番海側の部屋よとショウ子が助徳を焚き付ける。 それを聞いた助徳は巧い話だと気づく。 その夜、“他火小屋”に夜ばいをしに行った助徳は、一番海側の部屋で寝ていた女に襲いかかる。 お玉ちゃん、好きだ!わしと結婚してくれ!と助徳ガタ飲むと、女は泣いていたので、お玉ちゃん、すまん!結婚したかいばかりに、竜一にわしのお種を取られたんだ。 わしはこれでも甲斐性はあるつもりだ。 わしの所へ来るには何の支度もいらん。 遺産の権利はお前も半分あるはずだ。 はすっぱで生意気なショウ子やっつけようと助徳は言い聞かせるが、権利はショウ子に全部やっちまったよと言いながら布団を外して顔を見せたのはお玉ではなくショウ子だった。 はすっぱで悪かったね!今夜からあんたの女房だよ!トルコは私のもの。どうせ色と欲の私たち、良い旅館を作ろうよとショウ子が言うので、罠にはめられたと気づいた助徳だったが、もはや手遅れだった。 後日、八丈島に飛行機が到着する歴史的な日が訪れ、助徳会長の結婚式と一致しましたと村長が挨拶していた。 そんな助徳とショウ子の結婚式をやっている最中、竜一がお種の部屋を覗きに来ると、お種は藁人形を前に、丑の刻参りをしている最中だった。 竜一が来たのに気づいたお種は、目覚まし時計を投げて寄越し、丑の刻に合わせろというので、丑の刻って何時だと竜一が聞くと、夜中の3時!と白装束のお種は答える。 良くも私を追い出し、トルコ女なんかと…と言いながら、お種が藁人形の胸に五寸釘を打ち込むと、結婚式をやっている最中の助特がいきなり胸を押さえて苦しみだす。 出席してい退社の神野が容態を診て、梅毒だな…などと見当違いの見立てをしていると、続いて右手、続いて左足とお種が釘を打ち込んだので、助徳は苦しみ抜く。 その頃、父親吾作の墓に手を合わせたお玉は、1人前を向いて道を歩き出す。 途中待ち受けていた竜一が、お玉ちゃん、何もかも嫌になった。 お玉ちゃんが一番まともじゃ。お玉ちゃん好きだ!と告白するが、それを無視して崇福寺の所まで来たお玉は、蘇鉄の花が咲いていることに気づく。 白い御赦免花だった。 御赦免花が咲いている!とお玉が驚くと、竜一も本当だ!こりゃ奇蹟だ!40年前に咲いたきりなんだと花に触ろうとするので、止めて!とそれを制したお玉は、御赦免花が咲いたわ!と大喜びする。 そして走って大納言の家に向かったお玉は、大納言さん、御赦免花が咲きましたよ!と教える。 何!御赦免花!と驚愕した大納言が寺に来て確認すると、間違いない!大変なことだ!お許しが出たんだ、30年振りに東京に戻れる!と大納言は喜ぶ。 白子屋お熊も許されたんだわ!とお玉も喜ぶ。 お種が藁人形に、溲瓶の小便をかけると、結婚式場では人魚館の親爺がビールを助徳の頭にかけている所だった。 そこに駆け込んで来た番頭が、温泉が止まったというので、式場に参加していた全員が外に飛び出し、吾作の畑に行く。 確かに、畑から吹き出していた温泉はどれも止まっていた。 ホテルかも知れんぞ、原因は…と気づきホテルに戻り、支配人はいないか!と助徳が聞くと、ボーリング技師が出て来て、今、飛行機が来る。 今に、為朝の温泉は全部ここに集まる!1000万でも売れるってことねと愉快そうに笑う。 学生ブラスバンドが行進して来て、お種とすれ違う。 竜一は途中で座り込み泣き出す。 学生ブラスバンドがその空港の中に入って行く。 羽田から為朝島への第一便が空港に到着する。 羽織とウエディング姿の助徳とショウ子も空港にやって来て、そこに来ていた村長に話しかけるが、もはや誰も助徳のことなど気にせず、飛行機から降り立って来る観光客への歓迎一色になる。 その内、助徳もヤケになって万歳を叫び始める。 海辺に建っていた大看板の所へ1人来た竜一は、看板の乳首の所に火を点ける。 燃え上がる大看板。 お玉は港から連絡船に乗り込んでいた。 町では海女達も浮かれ、行進の列に混じって騒いでいた。 助徳もショウ子も人魚屋の親爺も子供達の後に付いて行進していた。 そんな中、海辺に来ていた大納言は遠ざかって行く連絡船を見ながら、御赦免の花先に蹴る裏寂し こっけんこけじょとホトトギス鳴く…と歌を詠む。 船上のお玉のアップ おわり |