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CUTIE HONEY -TEARS-

永井豪原作コミックの実写化で、東映内部作品ではないが、東映変身ヒーローっぽい雰囲気の作品。

庵野監督のサトエリ版が「明るいキューティハニー」だったとすると、今回のは「暗いキューティハニー」

「キカイダー REBOOT」よりは若干金をかけている感じで、低予算ではあるが、オリジナルDVDよりはましな印象。

コンパクトながら、この手の等身大アクション物としてはそれなりにまとまっているとは感じる。

白組なども参加しているVFXの出来もそんなに悪くないが、いかんせんビジュアルが全体的に新鮮みがほとんどなく、「ディストピア」描写も中途半端。

「ブレードランナー」みたいな荒廃した一画があるかと思えば、普通の「変身ヒーローもの」に登場するような見慣れた地方都市が出て来たり。

敵やレジスタンスたちのイメージや展開もありきたりだし、 ハニーの変身もあんまり意味がないし…

特に出来が悪いと言うほどではないのだが、ビジュアル的にもストーリー的にもアイデア不足を感じ、満足感は薄い。

結局、予算がないから…と言ういつもの言い訳に集約されるのだろうが、これでは特撮がアニメにどんどん客を奪われて行くのも仕方ないような気がする。

とは言え、特撮初心者や俳優ファンにはそれなりに楽しめなくもないかもしれない。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、「CUTIE HONEY-TEARS-」製作委員会、永井豪原作、中澤圭規+田中靖彦脚本、A.T. +ヒグチリョウ監督作品。

「JOKER FILM」の文字

超高層ビルから張り出した足場を走る白衣の男、如月博士(岩城滉一)とその娘の姿を写したアンドロイド如月瞳(西内まりや)

背後から追って来た新型アンドロイド・ジル(石田ニコル)の警備兵から発砲され、博士は射抜かれる。

父親に駆け寄ろうとした瞳に、崩れ落ちた如月博士は、逃げるんだ、瞳!逃げ続けるんだ!と言葉をかける。

次の瞬間、瞳は足場の先端から墜落して行く。

その高層ビルの下部に侵入していた少年は、警備員2人に見つかり、立ち入り禁止だって言ってるだろう!と叱られながら連れさられようとしていた。

その時、その側に墜落して来たのが瞳だった。

驚いて手を離した警備員の手から逃れた少年は逃げ去る。

ジルは女性秘書に、放っておくの…、私が好きにするわと告げる。

少年は、墜落現場で赤子のように身体を抱え込みピンク色に光っていた瞳の姿を発見する。

瞳のまぶたが開く… タイトル 街は水平方向へ伸びる都市計画が進み、富裕層の暮らす上層階から垂れ流される多量の汚染物質の下で、貧しい下層階の人々は身体を蝕まれながらも生きていた。

新聞記者の早見青児(三浦貴大)は、出版社の廊下で会った編集長に下層階で活躍している超人がおり、実際に会ったことがあると取材の申し出をしていた。

編集長は、そんな早見の嘘くさい取材話を無視しようとするが、早見が書く記事のおかげで売り上げが五割り増しになっている事を鑑み、さっさと書けと促す。

ジルは、秘書から、下層階で不具合がと報告すると、分かってる…、あの子がいるとすれば…と呟く。

廊下でジルとすれ違った早見は、いきなり立ち止まったジルが自分の方を凝視して来たので、ジル様、僕なんかに何か用でも?とおどおどしながら聞くと、早見って言う記者ね、あの女に会ったと記事に書いてあったわよね?と言いながら、いきなり早見の首を掴むと持ち上げる。

早見が苦しげに、あれは冗談です!と否定すると、そう…、もし見つけたら私に知らせて…とジルは命じる。

高層ビルに付いた巨大モニターでは、怪しげな外国人(エリック・ジェイコブセン)が、上層階のすばらしさを宣伝していた。

胸くそ悪いな…とその広告の事をぼやきながら下層階で屋台のラーメンを啜っていた早見だったが、背後を通り過ぎた何かに気づくと、慌てて金を置いて店を飛び出して行く。

金を受け取った店のオヤジは、足りないよ…と呆れたように言う。

早見はスマホで、さんが!早く来てください!と誰かに呼びかけながら、後を付ける。

反乱罪の罪でゾドムと呼ばれる警備アンドロイドに捕まった男黒須の娘のぞみが、パパ!と叫びながら近づこうとするが、高層ビルの高層階からモニターで見ていたジルは、処分!とゾドムに命じる。

ゾドムは、父親に近づこうとしたのぞみを銃で殴りつける。 早見は倒れたのぞみを助け上げようとするが、次の瞬間、ゾドムたちが倒れる。

突如出現した瞳がゾドムを倒している間、今のうちに!と早見は親子を逃がしてやる。

ゾドムの銃を奪い取った瞳は、その場で変身し、キューティハニーになったので、それを目撃した早見は、まさか!と仰天する。

下層階でバグが起こっているようですと秘書から気いたジルは、今すぐメディア・ボールを送る!と言う。

個体はアンドロイド、未確認の微粒子確認!これは!とメディア・ボールからのデータを解析した秘書は驚く。

ゾドムを全員倒したハニーに近づいたのぞみが、お姉ちゃん、ありがとうと礼を言う。

その時、雨が振り出し、ハニーがその場を黙って立ち去ったので、早見はその後を尾行しながら、黒須さんは無事です!と誰かに通信機で密かに報告する。

変身?と通信相手が驚くと、場所は住居地区Bです、浦木さん…と早見は、今いる場所を相手に教える。

あいつか?と浦木と呼ばれた相手が問いかけて来たので、とりあえず行きましょう。

メディア・ボールにはまだ見つかっていませんと早見は伝える。

瞳は尾行して来た早見に気づくと、何故つける?と早見に問いかける。 黒須さんは俺たちの仲間だ、何で助けた?と早見は逆に聞く。

私に構わないで!と瞳は不快感を示したので、大丈夫だ、後は付けられなかったと早見が答えると、確かね?と念を押し、瞳は早足で立ち去ってゆくが、その場に残った早見に、瞳とすれ違って近づいて来た浦木一仁(高岡奏輔)は、あいつが何者なのか、追跡装置を見ていろ!と、今、瞳とすれ違う時、さりげなく相手の服に忍ばせた追跡装置のことを早見に伝える。

瞳は、安アパートの一室に戻って来る。 ジルは、時間がない!今すぐこの地区閉鎖よ!とジルは秘書に命じる。

ゾドムを送りましたと秘書が言う。

下層階では、安いマスクで気管支がおかしくなった中年男が苦しんでいたので、通りかかった早見は自分のマスクを渡してやる。

早見は、浦木が瞳に密かにつけた追跡装置を頼り、安アパートを見つけ出すと、窓を外から少し開け中の様子をうかがう。

中では、老人夫婦と瞳が本当の親子のように一家団欒で朝食をとっている所だった。

その様子を見ていた早見は、病室のベッドで死んで行った父親のことを思い出す。

気がつくと、早見の背後に瞳が立っており、部屋から少し離れた所へ連れて行くと、何故つけて来たの?と睨んで来る。

友達かい?と入り口から顔をのぞかせたおばさん(倉野章子)や、瞳がやっと友達を連れて来たって?と一緒に顔を出して来た轟おじさん(笹野高史)に、身体に触るから中に入っていてと声をかける瞳。

ジャーナリストの早見青児と名乗ると、あなたの記事を読んだ事があると瞳は答える。

下層階に希望を与えたいんだ。上層階がいる限り、どこにも逃げられないんだ!と早見は説得しようとするが、つきまとわないで!と瞳が拒絶したので、やっぱり覚えてないんだ…と寂しげに呟く。

君が落ちて来たとき、俺はあそこにいたんだ…、20年前のままだ。

捕まりそうになったとき、俺を助けてくれただろう? あれからずっと探していたんだと早見が告白したのを聞いた瞳は、私を探していたの?と驚く。

ジャーナリストになったのも、怪しまれずに上層階の情報を知るために都合が良いと早見は続ける。

この都市を支配しているのはAIだ。 雲の汚染量が危険な状態になっていることを上層階は知らない。 下層階は苦しんでいる。 雲を消し去りたい。

世界を変えられないか?と早見は説得するが、無理よ!と瞳は否定する。

瞳ちゃんは味方だろう?と馴れ馴れしく早見が話しかけるが、それでも瞳は、私はあなたが考えてるような人間じゃない、私に関わらないで!瞳ちゃんなんて馴れ馴れしく呼ばないでよ!と不快感を示す。

そんな2人にゾドムたちが接近して来る。

それに気づいた瞳は、お願い!おじさんたちを助けて!あいつらに見つかる!急いで!と早見に頼む。

一方、上層階のジルは、どこに隠れたって、絶対に見つけ出すわと笑っていた。

早見は、瞳がゾドムから逃げると同時に、おじさんとおばさんをアパートから連れ出す。

ゾドムは監視装置でおじさんとおばさんの位置を探す。

早見は2人を倉庫の中のドラム缶の陰に匿い、瞳さんは大丈夫ですと伝えた後、ゾドムが近づいて来たので、僕が気を引きますから、お二人は逃げてくださいと支持する。

一方、瞳は、数人の若者が遊んでいたビリヤード施設に逃げ込み、逃げて早く!と警告する。

しかし若者たちはその意味を計りかね、瞳をからかおうとするが、部屋に入り込んで来たゾドムが光線銃を発射したので、その瞬間にハニーに変身する。

しかしハニーは、光線銃で額を射抜かれてしまう。

その時、ゾドムも背後から攻撃を受け倒れる。 ゾドムを倒した浦木は、片付けろと命じる。

ハニーはトラックに乗せられる。

(回想)瞳に笑顔で接するかつての如月博士

交通事故に遭った瞳に、血相を変えて駆け寄ってくる博士

目覚めた瞳に、瞳!私はお前に2つ大事な物を埋め込んだと如月博士が話しかける。

博士が撃たれるイメージ

(回想明け)浦木の仲間達がいるアジトに連れ込まれたハニーこと瞳の身体を調べた木村龍太(永瀬匡)が、彼女はナノミクロンの形状記憶を持っている…と言うと、気色悪いって事ね…と、同じくレジスタンス仲間の清瀬由紀子(今井れん)が冷めたように言う。

目覚めた瞳に気づいた浦木が、やっと目が醒めたか…と話しかける。

早見は?と瞳が聞くと、お前のせいでぼろぼろだよと言いながら、浦木はカーテンの奥のベドに寝ていた傷だらけの早見の姿を見せる。

それでも早見は瞳に気づくと、大したことないよ…、瞳ちゃんは?と無理に笑顔を作ってみせる。

ねえ、おじさんと」おばさんは?と瞳が聞くと、さすがに表情を暗くした早見が、ごめん…とだけ謝る。

そう…と瞳は、2人が助からなかったことを知る。

その背後で、人が死んだっって言うのに、アンドロイドつうのは…と木村がバカにしたように呟くが、瞳は涙を流していた。

ジルの元に、どうやら、協力者がいるようです…と、ハニーを取り逃がした報告に来た3体のゾドムを前に、絶対逃すなって言ったわよね!とジルが睨みつけると、ゾドムの側から思わず秘書が離れ、次の瞬間、3体のゾドムは破壊されてその場に崩れ落ちていた。 時間がない!とジルは怯える秘書に言う。

レジスタンスたちのアジトでは、あの2人は私をアンドロイドと分かっていて、自分の子供のように可愛がってくれた…、初めてやさs区してくれた人たちなの…と瞳が早見に打ち明けていた。 私が悪いの…、私が2人に甘えたから…と瞳は自分を責める。

そこへ、話したのか?と浦木が早見に声をかけて来る。

まだだと早見が答えると、 2日後に上層階で建国イベントがある。 その際、排出される汚染物質が過去最大になるらしい。 AIを止める方法を知らないか?と瞳に聞いた浦木だったが、瞳が何も答えないのを知ると、やっぱりただの機械だな…、とんだ無駄足だったとがっかりしたように言う。

すると瞳は、私の父如月博士は、AIに都市機能を管理させる研究をしていた…と訥々と語り始める。

AIの動力源になる空中元素固定装置を私に埋め込んだの…、だけど私には感情があって巧くいかなかった… そもそもジルって何なの?と早見が聞くと、彼女は新型のアンドロイド、感情を持たないアンドロイド…と瞳は答える。

で、博士は?と早見が聞くと、瞳は首を振る。 その時、側で聞いていた浦木が、冗談じゃねえ!俺は俺のやり方でやってみせる!と言い出したので、それじゃあテロリストと同じだ!上層部の奴らと同じじゃないのか?他に方法があるでしょう!と早見は反論する。

やる気がないんじゃしょうがないじゃないかと浦木は瞳のことを当てこすって去ってゆく。

彼は何をする気?と瞳が聞くと、高層ビルごと破壊しようとしてるんだと早見は打ち明ける。

俺はそんなことさせたくないんだ。君になら別の方法でAIを止められるんじゃないかと思って…と早見は瞳に言う。

その頃、ハニーの行方を探していたジルは、やっと見つけた…、もう少しよとほくそ笑んでいた。

その時、秘書が、管理局のサーバーに不正アクセス確認!と報告する。

早見が人気のない場所でアクセスをしていたのだった。 しかし、該当者なし…と言う答えしか手に入らなかった。

そこにゾドムやメディア・ボールが接近して来たので、まだアクセスしているかのように見せかけ、素早く早見は逃げる。

その後、又、瞳に近づいて来た早見に、私に近づかない方が良い。轟さんは死なずにすんだのに…、私に関わった人はみんな死ぬ…、今までずっとそうだった…などと瞳が自虐的なことばかり言うので、それは違うと思うよ、俺はぴんぴんしてるよと早見は言い聞かす。

あなたは特殊だっただけよと瞳が言うので、ずっと逃げ続けて何の意味があるんだよ?と早見が聞くと、博士からそう言われた…と瞳が答えたので、下層階に人がいなくなったら逃げられないなと早見はからかう。

私の中の如月瞳が一番博士のことを分かっているのよ…と瞳が言うので、君には感情がある。

無理してアンドロイドになる必要ないんじゃないかな?と早見が言うと、無理に笑ってばかりいる人に言われたくないわと瞳はやり返す。

説得力ないか…、苦しいことがあったら笑えと教えられたんだと早見は、病室で亡くなった父親のことを思い出していた。

それに、みんな暗い顔しているから、俺くらい笑っていたいんだ。今の俺、かっこ良くない?と早見が気取ってみせたので、変な人と言って瞳は初めて笑顔を見せる。

それを見た早見は、笑っている方が可愛いよ。如月博士は生きているかどうかは管理局でないと分からないようなんだ。 管理局があるのは最上階、目指すのは同じだ、一緒に行こうと早見は誘う。

いよいよ、建国パーティが始まる。

瞳は目立つファッションで階段を上ると参加者たちの視線が集まる。

みんな私を見ているけど…と瞳が戸惑うと、密かに階段を上っていた早見が通信装置を通じ予定通り頼むよ!と伝え、浦木には、電力を切る前に連絡ください、それまで俺たちで何とかします!と伝える。

サーバールームは最上階の1つ下の階だった。

浦木たちは地下に侵入していると聞いた瞳は、それまで私がジルを止めるのねと答える。

瞳はパーティ会場に侵入するが、それに気づいたガードマンたちが近づいて来る。

しかし、瞳だと思った女性は全くの別人だったので下がって行くが、その女性の前にいた男性こそが瞳が変身した姿だった。

瞳に雰囲気が似た女性は、催眠術でもかけられたように茫然自失の状態だった。

やがて、瞳の美貌に目を停めて近づいたのは、いつも巨大スクリーンで上層階の宣伝をしている外国人だった。

その間、最上階の下のサーバールームへ近づこうと、早見は通路を警戒しているゾドムの目をかいくぐっていた。

早見は、「山崎久司」と言う編集長のコードを勝手に使いサーバールームに潜入する。

一方、地下電源室では、爆薬を鉄骨に設置していた木村が懐中電灯を落として物音を立ててしまい、警戒中のゾドムに気づかれてしまう。

ゾドムは、パソコンを夢中で見ていた木村の背後から近づくが、木村はそれに気づかなかった。

そのゾドムに気づき倒したのは浦木だったが、これで、ゾドムは警戒モードになったと呟き、行くぞ!と木村に呼びかける。

始めるわよ!と瞳が通信して来たので、派手にやっちゃって!と早見が答えると、にわかに会場内で始まったファッションショーで瞳はモデルとなって登場する。

パーティー会場でターゲット確認!とジルの元へ報告が届く。

あの子ね?ゾドムをパーティ会場へ…とジルは秘書に命じ、向かいますか?とジル自身の講堂を確認されると、いや、待機だと答える。

パーティー場から警備員に連れ去られて行く山崎編集長の姿があった。

ファッションモデルになっていた瞳は、客にウィンクするサービスをしてみせるが、そこにゾドムが近づいて来たので、ステージ上でハニーに変身する。

その頃、地下電源室では、浦木が、ゾドムにマークされた、予定より早く爆破する。

待っている余裕がないと連絡して来る。

それを聞いた早見は、待って!計画が!と呼びかけるが、悪いな…早見…と浦木は答えただけで、軌道装置のスイッチを入れ爆破する。

電源供給が絶たれ、建物内は瞬時に停電してしまう。 サーバールームに侵入しかけていた早見は、やべえ!と緊張するが、巧く抜けたか?と浦木から連絡を受けると、勘弁してくださいよ、浦木さん…、と、何とか間一髪中に入り込めたことを知らせる。

サーバーはあったか?と聞いて来たので、これからですよと早見は答えるが、リミットはそのままだと浦木は言う。

レーザーの探査装置が動いている中、その光から見を避けようとして早見は通路の外に通信装置を落としてしまう。

ハニーは焦りつつ、そっちはどうなってるの?と聞いて来る。

しかし、早見からの返事がないので、ちょっと!早く!聞いてる?と焦れるが、何とかケーブルをターザンのように使って、落ちた装置を口にくわえて何とか回収した早見は、乱れる息を悟られないように、何の問題もないと答える。

返事が返って来たハニーは、心配させないでよ!と起こるが、急ごう!と早見が答えると、うん!と素直に返事する。 早見は、何とかサーバールームに到着し、アクセスを開始する。

すると、ジルの秘書が撃って来て、室内には警報が鳴り響きだす。 地下でもその警報は響き渡る。

秘書の背後からハニーが襲いかかり、倒すと、油断しないで、時間ないでしょう?と早見に告げる。

瞳ちゃん、ここは俺が何とか食い止めるから、ジルの方を頼む!と早見は指示する。

気をつけてねとハニーが言いながら部屋を出て行くので、瞳ちゃんもね!と早見は送り出す。

地下では浦木が、時間切れだ!と言い出すが、木村が、下に下層の者がいます!と忠告する。

その会話を通信装置で聞いていたハニーも、待って!まだ爆破しないで!絶対私、停めてみせる!信じて!と頼む。 その直後、浦木は、追って来たゾボムに撃たれる。

後は頼む!と浦木は呻く。 一方、サーバーをコントロールしようとしていた早見は苦戦していた。

最上階にやって来たハニーは、博士はどこ?と聞くが、待ち構えていたジルは、それを聞いてどうする?と冷笑する。

その返事を聞いたハニーは、いるのね!と直感する。

あなたに関わった人間は全て私が処分する…、ゴミのようにね…とジルは言い放つ。

あなたは破壊して、空中元素固定装置をもらう!と言いながら、右手を差し出したジルは、その手のひらから光線を出し、ハニーを弾き飛ばしてしまう。

その時、早見はサーバー侵入に成功する。

空中元素固定装置の能力はこんなものじゃないわよ…、ねえ如月博士…、死ぬ前に見せてあげる…と言ったジルは、ハニーに、上半身だけになった如月博士の姿を見せる。

今も天才的な脳で、この町を支配してくれるのよと、その上半身だけになった博士を見ながらジルが言う。

博士が公なったのも、あなたが逃げたからでしょう?彼はもう寿命なの…、あなたたちは1つに慣れて嬉しいでしょう?とジルは倒れたハニーに笑いかける。

じゃあ、死ぬのね、私の可愛いキューティーハニーと言うと、ジルはハニーの胸の中に腕を突っ込む。

ハニーの身体からボールサイズの装置を取り出したジル。

地下から外へ脱出しようとしていた由起子に撃って来るゾドム。

最上階にやって来た早見は、そこで倒れていたハニーに気づき近づこうとする。

雲は?とハニーが聞くと、下では繋がらなかった。ここからだ!と部屋にあった装置にアクセスを試みるが、畜生、やっぱりダメだ!命令コマンドがロックされている!解除できない!と絶望する。

下では、由起子がゾドムに銃を連射していた。

その時、上を見上げてい滝村は、排気口から出て来る汚染物質の量が通常ではないのに気づき、こんなに雲を排出し続けたら、上層階まで危ない!と感じる。

ジルは、倒れていたハニーの髪を掴み引きずると、早見を弾き飛ばし、早見は血反吐を吐いて床に突っ伏す。

由起子は、自爆しようとしていた浦木から装置を奪い取ると、ちょっと!何考えてるんです!と叱り飛ばす。

この上は上層階だと浦木が言うので、今更何言ってるんですか、浦木さん…、やるじゃん!と由起子が呆れたように言うので、お前ら…と浦木は仲間に感謝する。

上層階の管理室では、空中に浮かんだジルが、ナノマシンはあなた自身だったのね…、でももう死んじゃったけど…、あなたは私に勝てない、なぜなら、不完全だから…とジルはハニーを嘲る。

違う!と言いながら起き上がったハニーは、不完全だから立ち上がれるの!不完全だから諦めないの!不完全だから前に出る力が湧くの!不完全だから勝てるのよ!と言いながら立ち上がり、ジルに全身で殴り掛かってゆく。

すると、ジルは動きを停め、町中のゾドムたちも停止する。

メディア・ボールも全部落下してゆく。 やったのか、あいつが!とそれに気づいた浦木が驚く。

私が倒れても世界は変わらない…、永遠に…と、動けなくなったジルが呻くが、そんなことはない!あなたが思っている以上に人間は強いのとハニーは答え、息絶えたジルの身体を抱き、床に降ろしてやる。

そして、動かなくなった早見の所に駆け寄ると、早見!と呼びかけながら身体を揺り動かす。

すると、痛え!と呻きながら早見が目覚めたので、思わずハニーは抱きしめる。

早見は、瞳ちゃん点、痛い!と言うので、思わず瞳は、ごめんと謝る。

その時、ハニーの左手にある♡マークが光り出す。

気がつくと、背後に、あの如月博士が立っているではないか! しかし、それは映像であることにハニーは気づく。

どうやら、上半身だけになった博士の脳が生み出した幻影のようだった。

久しぶりだな、瞳…と如月博士が語りかけて来たので、お願い、お父さん!あの雲を停めて!たくさんの人が苦しんでいるのと訴えるが、それはできない…、私にそんな力があるなどというのは、ジルが流した偽りの情報なのだと博士は答える。

その時、地上にいた黒須の娘のぞみが空を見上げ、パパ、あれ何?と聞く。

空には巨大な雲が渦巻いていた。 排気できないほどの汚染物質が貯まっている。ジルが作り上げた…と如月博士の映像が言うので、あんたが作ったんだろ!と早見が指摘する。

方法はあるでしょう?とハニーは博士の映像に詰め寄るが、私はずっとお前を見守って来た…と如月博士が話しだしたので、お父さん!とハニーは呼びかけるが、私は決して良い父親ではなかったが、お前は私の娘だ…、大人になったな、瞳…、自分が正しいと思うことをやりなさいと言い終えると、如月博士の映像は消え去る。

ハニーは泣き出す。 瞳ちゃん、方法って何?あるなら早くしないと…と早見が聞くと、ハニーの右手からピンクの光が出て来る。

まさか!瞳ちゃん!と早見は驚く。

その頃、地上に脱出した浦木たちは、大量の廃棄物質の雲が地上に這うように迫って来たことに気づく。

民衆は、その煙から逃れようと一斉に逃げ出す。

高層ビルの突き出し部分の先端に立ったハニーは、まっすぐ伸ばした両手の間に空中元素固定装置を浮かべ、その球体に毒雲が吸収され始めていた。

ハニーの身体には時折、雲から発生した雷が流れ、ハニーは苦しむので、その背後に近づいた早見が、止めろ!瞳ちゃん!と叫びながら、突き出し部分に近づこうとする。

このままじゃ君が!これ以上はダメだ!止めてくれ!と絶叫する早見。

振り向いたハニーは、そんな顔市内で、いつものように無理に笑ってよ、お願い!と早見に頼み、自分も無理して笑顔を見せる。

ありがとう…とハニーが言った瞬間、空中元素固定装置が壊れる。

空には雲が消え去り、青空が蘇っていたが、ハニーはその場に倒れ、落下する。

間一髪、手を伸ばし、ハニーの右手を掴んだ早見だったが、その右手はちぎれハニーは落ちて行く。

瞳〜! あれからずっと探していたんだぞ!と叫ぶ早見 ありがとう…と泣くハニーは、墜落の途中でその姿が消え去って行く。

パパ、きれいだね!と青空を見え気ながらのぞみが言う。

浦木たちも青空を見上げ、悔しげに蹴る。

早見は突き出し部分の上で涙していたが、気づくと、紫色の光が手のひらに集まっていた。

ありがとう!と感謝する早見。

ガスマスクが廃棄された中、子供たちが元気よく駆けて行く。

落ちていた空中元素固定装置が光りだす。
 


 

 

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