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シン・ゴジラ

12年振りに作られた「ゴジラ映画」の最新作。

劇中で何度か台詞で出て来るが、庵野監督が初代に立ち戻り、これまでのゴジラ一切を捨て去り、「好きにやった」印象が強い作品になっている。

東宝は昔から「プロデューサー・システム」の会社と言われ、監督よりもプロデューサーの力の方が強かったため、「ゴジラ」シリーズも、良くも悪くも監督の個性と言うよりプロデューサーの意向に添って来た印象が強い。

そうした伝統の中、(実際は色々東宝からの枷があったのだろうが)外部の監督が好きに作っているように感じられると言うことは凄い変化である。

全体的な印象は「日本沈没」+「日本のいちばん長い日」で、怪獣の出現は未曾有の災害の象徴として描かれている。

ポリティカル・フィクションに近くなっており、ゴジラ描写はやや控えめかも知れないが、怪獣映画としてのバランスを考えると、これで正解かもしれない。

従来のゴジラシリーズは子供に飽きさせまいとするあまり、ゴジラが露出し過ぎていたようにも思える。

懐かしの伊福部メロディーで東宝特撮っぽさは感じるものの、キャラクターなどはかなり大胆なアレンジがされており、これがゴジラか?と戸惑う向きもあるはず。

つまり、従来のゴジラ映画のようなものを懐古趣味で期待していると、懐かしい要素は音楽以外にはあまり登場しない。

ゴジラに対する攻撃方法などを見ていると、ゴジラと言うより昭和ガメラの1作目や平成ガメラの方に近いかもしれない。  

ドラマの中心は施政者であり、一般大衆はエキストラ描写以外には全く出て来ないと言って良い。

さらに、「日本のいちばん長い日」に似て基本男だらけの議論映画になっているのだが、さすがにそれでは時代にそぐわないと言うことなのか、数名無理矢理女性キャラを登場させているような感じがする。

余貴美子さん演じる防衛大臣や、市川実日子さん演じる生物課課長補佐、石原さとみさん演じる米国大統領特使などは、別段、女性である必要はないように見えるが、三人三様興味深いキャラにはなっている。

戦後の日本政府のあり方の問題点など問題提起は分かるし、日本は危機の度に全員の総力戦でそれを乗り越えて行くと言うような応援メッセージのような部分も一応理解できるのだが、「オタクが創ったオタクのための映画」 と云う印象も強く、オタクとしては納得できても、普通の大人としてはどこか引っかかる部分がないでもない。

何となく、テンポの良さと音楽でごまかされているような印象がないではないからだ。

終戦期の事実をベースにしていた「日本のいちばん長い日」よりも、廃墟から急速な高度成長に浮かれていた戦後の危うさをファンタジーとして描いた「日本沈没」の系列に近いのかもしれない。

作品としては大胆な異色作と言うか、膨大な情報量を有した力作であることは間違いないし、それなりに見応えもあるが、説明の方に重点が置かれているために、特撮スペクタクルとしてはやや物足りなさを感じなくもない。

後は、「ゴジラ映画」としての好みで評価が分かれるくらいだろう。

個人的には、レジェンダリー版「GODZILLA」と同じくらいな「初代の枝分かれ作品としては悪くない出来」と言った印象で、「怪獣映画」としてはなかなかの出来だが、「ゴジラ」が主役のようには見えない気はする。

ある程度の情報を事前に知っていたと言うこともあるが、完成場面では予定されていたいくつかのシーンやアイデアが省かれてしまった印象があるからかもしれない。

又、登場人物たちは全員、説明台詞は言っているものの、個人的な感情を吐露するような部分がほとんど描かれていない点も、感情移入しにくい点かもしれない。

元々この手の映画に出て来る科学者や軍人と云ったキャラは説明台詞を言うためだけの記号に過ぎなかったりするのだが、この映画では、施政者と言うさらに政治面での説明役が記号として加わっただけのように見えなくもない。

みんな役割通り、記号的に動いてしゃべっているだけで感情的な部分をあまり出さないので、情感に訴えかけてくるような部分はないように見える。

情感表現のようなものはおそらく意図的に排除しているのだろう。

それでも、ゴジラと言うか怪獣そのものが初登場設定なので、ゴジラは良いものなのか悪いものなのか?とか、子供向けなのか大人向けなのか?と云った、従来のゴジラにつきまとっていた厄介なモヤモヤ感の類いは全くないことだけは確かだ。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、東宝、樋口真嗣監督 、尾上克郎准監督、庵野秀明脚本、総監督作品。

通常の東宝配給マーク

ちょっと古い東宝マーク(製作会社の意か?)

製作 シネバザール、東宝映画の文字 「東宝映画作品」の文字

ゴジラの鳴き声に「映倫」文字

横浜沖

羽田空港沖で漂流中のプレジャーボート「グローリー号」が発見され、海上保安庁の「はまなみ」が調査に向かうが、船内のフライングデッキに人影はなく、テーブルの上には書類袋に本「春と修羅」、赤い紙で折られた折り鶴、揃えられて床に置かれた革靴、東京湾の地図の上に眼鏡などが遺留品として残されていた。

事件性はなさそうだが乗組員は海中転落の可能性あり…と捜査中の隊員が記録音声を残し曳航準備に入ると報告しかけた時、 突如、通過中のモノレール越しの海上に海底火山の噴火を思わせる蒸気の噴煙が立ち上る。

さらにアクアライン上り線を走っていた自動車のフロントガラスに、突然トンネル上部の亀裂より血液を思わせる大量の赤い液体が降り注いで来たので、運転手はブレーキを踏む。

集約センターからの第一報です。海底トンネル上り線に亀裂が入り浸水、詳細は分かりませんが車両数台が巻き込まれた模様です。

先ほど官邸連絡室が設置されました。

きんさんチームが参集されましたと内閣官房副長官秘書官志村祐介(高良健吾)の報告を聞いた内閣官房副長官矢口蘭堂(長谷川博己)は、了解した、総理は?と聞くと、到着予定まで28分ありますと志村は答える。

今、情報が欲しい、下へ降りようと矢口は伝える。

有明の緊急災害現地対策本部に参集して来る役人達。

幹部会議室

集まっていたメンバーのうち、郡山内閣危機管理監(渡辺哲)に状況はどうなっていますか?と矢口が聞くと、隧道事案関係は衝突を確認していますと言うので、崩落の原因は局地的な地震ですか?と矢口は沖気象庁官に聞く。

現在、本庁に問い合わせ中ですと沖気象庁官は言う。

海上の噴火的事象との関連は?と矢口が聞くと、今は何とも…、情報不足です…と郡山危機管理監が答える。

その時、海保の撮った映像が部屋のモニターに映し出される。

やはり、海底火山の噴火に見えますね…と志村が矢口に言うと、…にしては、違和感があるが…と矢口はモニターを見ながら呟く。

保安ヘリ691から、水蒸気はなおも噴出中、変色するが撹拌され、海中の状況を確認できませんと言う報告が届く。

今後は複合的な初動対応が必要と思われる。

官邸対策室に改組する!と郡山内閣危機管理監が発言する。

その頃、「海ほたる」では、ここから退避してください!警察が誘導します。皆さん急いで乗車して木更津方面に避難してくださいと、海中からの噴煙をスマホで撮影していた見学者たちにアナウンスが流れていた。

トンネル内で停まった車から降りた若者たちは、警察に誘導され、避難用連絡スロープを伝い緊急避難が行われていた。

退避場所に集合していた避難民たちは、集まって来た消防車などを見ると、すげえ!これってスクープ映像って奴じぇね?などとはしゃいでスマホで映像を撮っていたが、トンネルの上部で物音がするので、避難民(前田敦子)たちは、何?上に何かいるんじゃないですか?と怯え出す。

やばい、やばい、何か分かんないけど怖いと言う若者たちの声。

何あれ?何かいる?と海から出現した巨大なものを見て騒ぎだす。

官邸にいた矢口は、スマホに上って来た現場の様子をつぶさに読んでいたが、その時、総理が戻られましたと志村が告げに来る。

大河内清次総理(大杉漣)が到着し、死者は出ていないんだな?と確認するので、二次災害の危険があります、3分後にレク始めますと総理大臣補佐官赤坂秀樹(竹野内豊)が答える。

官邸対策本部では、柳原国土交通大臣がこれは海底に何らかの熱源が存在する事象です。熱水の噴出思われますと発言すると、想定外だ、良くあることだよと金井内閣府特命担当大臣(中村育二)が言う。

考えられるケースを挙げてくださいと内閣官房長官東竜太(柄本明)が発言する。 その時矢口が、総理!何者かが海底にいる可能性がありますと発言する。

何者って?何だ?と大河内総理が聞くと、巨大な生物と推測します。ネットにはそれを裏付ける動画も存在しますと矢口が答える。

すると、ばかばかしい!あれがクジラの潮吹きとでも言いたいのか?と金井があざけり、海水が沸騰しているんだ。百度を超える体温の生物などいる訳がないだろうと関口文部科学大臣(手塚とおる)もバカにする。

河野総務大臣(浜田晃)が本省もインターネットの確認をしておりますが、エビデンスとして確証に至るかどうか判断しかねますとの意見も出る。

結論を急ぎましょう。ここは消去法で考えてはいかがですか?と東官房長官が発言。

そうですな、やはり新たな海底火山か、大規模熱水の噴出孔でしょう。他に考えられません!と榊原国土交通大臣(矢島健一)が断定するように言う。

基本的対処方針をまとめて、直ちに関係閣僚会議を開きますと東官房長官がまとめ、宜しいですか?総理…と大河内総理に聞く。

うん、分かったと総理は答え、それでは皆さん、大会議室に集まってくださいと東官房長官が呼びかける。

廊下に出た矢口の肩を叩いて横に並んだ総理大臣補佐官赤坂秀樹(竹野内豊)が、矢口!総理レクは先に結論ありの既定路線だ。

いい加減かき回すのは止めとけと注意する。 しかし、あらゆる事案を具申する事案と考えます!と矢口が答えると、やんちゃも良いが、お前を押した長官の立場も考えろ!良いな?忠告はしたぞ!と赤坂が矢口に釘を刺す。

風の塔の近くで噴煙の出ている周辺海面は赤く変色していた。 そこから突然、巨大な尻尾のようなものが海面から飛び出して来る。

ところがその直後、噴火活動が急速に沈静化との報告が入ったので、一同はもう終わりなのか…と、ちょっと拍子抜けする。

噴煙が立ち上った周辺海域は赤く染まっていた。

大会議室で、矢口は再び巨大生物の可能性の検討を提案するが、ここが閣僚会議の席ということを忘れるな!と東官房長官が叱りつけ、発言が議事録に残るんだぞ!そんなものがいる訳ないだろう!と大河内首相も苛立ったように言う。

その時、中断してテレビ点けて!と東官房長官が言う。 すると、テレビで中継していた東京湾の海上に、巨大な生き物の尻尾のようなものが出現する。

会議室のTV画面に見たこともない巨大な尻尾が映し出されたので、何だ?今のは!と関口文部科学大臣が驚いたように声を上げ、東官房長官は、尻尾ですね…と呟く。

赤坂も、矢口の冗談が現実になれば受け入れるしかないか…と諦めたようにつぶやく。

東官房長官は、事態急変のため会議を注しますと宣言。関係閣僚は至急総理執務室へ!と指示を出す。

総理執務室に異動した閣僚たちに、モニターに映し出された巨大な生物の映像を見た大河内総理は、これは何だ!と再度聞く。

巨大不明生物としか…呼称しようがありませんが…、もっか省内や大学、緊急機関の生物学と多方面から学識経験者を招集し、緊急の有識者会議を設置すべく、候補者リストを作成しておりますと文部大臣は、事務官から渡されたメモに書かれた通り読み上げる。

早く正体を知りたい!急ぐようにと大河内総理が焦ったように言うので、総理!緊急の課題はこの正体よりも今後の対応ですと赤坂が助言する。

あ、そうか…と総理が納得すると、しかしこいつは思ったより想定外過ぎるぞ…と内閣府特命担当大臣が口を開き、内閣危機管理監は、しかし対処方法の選択はシンプルです。諦観…つまり野放し、もしくは捕獲か駆除か、それとも湾外に追い出すか?といくつか提案を出す。

でしたら駆除で宜しいかと…、賛成ですね、トンネル事故との関連はさておき、羽田は全便欠航、東京湾内は無期限全面封鎖されており、既に莫大な経済的損失が出ておりますとの発言がある。

河野総務大臣も苦情に同意しますと答えたので、そうだ!一刻も早く駆除すべきだ!そうだろ?防衛省!と内閣府特命担当大臣らが発言する中、過去、有害鳥獣駆除を目的とした出動は幾度かありますが、海事による東京湾内での火器の使用は前例もなく、何とも…と平岡の返答は曖昧だった。

すると、まあまあ事を荒立てず、穏便に追い出せないの?と閣僚が聞くと、総理、各学会と環境保護団体が、貴重な新生物として捕獲調査を提言しています。

定置網を至急湾内に用意して欲しいそうですともありますが?と環境省の菊川(横光克彦)が発言する。

魚雷ですぐ沈むだろうと金井が無責任に言う中、保護、確保、排除の中で検討してくださいと矢口が提案していた最中、水蒸気が多摩川河口へ向かったとの報告がある。

しかし、いや…、ここは駆除だ!魚雷とか使えばすぐすむだろ?と金井が目の前に座っていた防衛大臣花森麗子(余貴美子)に提案すると、お気持ちは分かりますが、ここは火器使用も含め本省に検討の時間を頂きたいと花森防衛大臣は毅然と答える。

私からもぜひとも捕獲を視野に入れた検討を願いますと文部大臣も発言する。

速やかに巨大不明生物の情報を収集し、駆除、捕獲、排除と各ケース別の対処方法の検討を開始してくださいと矢口が関係各省に頼むと、戸惑ったような閣僚が、それ、どこの役所に言ったんですか?と矢口に問い返して来る。

水蒸気煙が多摩川方向に向けて移動を開始した模様です!との報告が官邸執務室に入ると、え?動くの?と金井が驚いたように聞き返す。 そりゃ、生き物だからな…と榊原国土交通大臣がとぼけたように答える。

巨大不明生物は羽田D滑走路連絡誘導側面から多摩川河口に侵入していますとのヘリからの報告が入る。

あ!首都高湾岸線、多摩トンネルに浸水事故発生!詳細不明!との連絡が入ると、何てこった!と河野総務大臣がぼやく。

それを聞いた関口文部大臣は、捕獲は無理だな…とあきらめ顔でぼやく。 動くの?と内閣府特命担当大臣が聞くと、そりゃ動くでしょうと呆れるような声あり。

その時、生物学の有識者3名が到着したと言うので、大河内総理が面会するが、古代生物学者柳(犬童一心)は、あのテレビの映像だけでは、太古の恐竜なのか、クジラの亜種なのか、種目も何も判別が突きませんねと答え、海洋生物学者縞(緒方明)は、誰も見たことがない水棲生物の新種、それ以上は現物を調査しないと何にも言えませんと答え、生物学者志賀(原一男)は、そもそもあの映像が本物かどうか実証もなく、憶測で判断してはもはや生物学とは言えんでしょうが!などと、何一つ役に立ちそうなことを言わなかったので、大河内総理は呆れる。

こんなことしている場合かよ…と志村は総理秘書官室でぼやく。

橋を破壊しながら呑川を遡上し始めた巨大不明生物の背中にはひれのようなものが認められた。

御用学者は役に立たないと判断した大河内は、時間を無駄にした!役職は問わない!レベルは問わん!誰でも良い、すぐに話の分かる奴を呼んでくれ!と部屋から出て来て命じたので、誰かいないか?と矢口が志村に聞くと、確か環境省にいる大学の先輩に詳しい人がいます。

まだ課長補佐ですが…と志村が答えたので、構わないからすぐに呼んでくれと矢口は頼む。

官邸執務室に呼ばれたのは環境省自然環境局野生生物課課長補佐、尾頭ヒロミ(市川実日子)だった。

尾頭はパソコンのモニターで巨大不明生物の映像を確認すると、この動き…、基本は蛇行ですが補助として歩行も混じっていますね。えららしき形状から水棲生物と仮定しても肺魚のような足の存在が推測できますと閣僚たちに伝える。

それを聞いた矢口が、もし足があるなら上陸の可能性はありますか?と聞くと、はい、可能性は捨てきれませんと尾頭は即答する。

本当か?どうなんだ?と大河内総理が関口に聞くと、と言われましても、まだ所管官庁も正式決定しておりませんので…と狼狽する声が上がる中、メモを受け取った関口文部大臣が、学者の意見では、例えひれのような足があっても水棲生物が丘に上がると自重で潰れて死に至りますから、学術的に上陸は万が一にもあり得ないとのことですと読み上げる。

すると、お言葉ですが、既に自重を支えていると考えますと尾頭が指摘する。

そうなのか?環境大臣の見解はどうなのか?と大河内総理が聞くと、うちの課長補佐が失礼なことを言っておりますが、先ほどの有識者の結論も上陸行動は常識として考えられないと発言したので、関口は尾頭の方を睨みつける。

総理、隧道案件の被害もあります。

一刻も早く国民を安心させるために緊急の記者会見を開くべきかと…と東官房長官が提案する。

すると、総理!会見の際は、不確実な憶測ではなく確実な情報だけ公表すべきかと…と赤坂も進言する。

それを聞いた大河内は、分かった!防災服と原稿の用意してくれと命じる。

呑川を遡上する巨大不明生物の姿と、避難する住民たちの姿。

官邸1階で手話通訳者も同席した記者会見の席上、大河内総理は、巨大不明生物はアクアトンネルと多摩トンネル等に甚大な被害をもたらし、現在東京都大田区の呑川を遡上しておりまと発表し始める。

その正体は現時点では不明ではありますが、上陸という事態は想定しづらく、水深が浅くなり、川岸に打ち上げられたとしても、自重で潰れ、死に至ると思われますのでどうかご安心ください。 繰り返します、巨大不明生物の上陸はあり得ません。都民、国民の皆様、どうか、ご安心下さいと頭を下げた大河内総理だったが、その時、総理!会見中に失礼します!と言いながら総理に近づいて来た事務官が蒲田に巨大生物が上陸したと耳打ちしたので、え!蒲田に!と大河内は声を上げてしまう。

蒲田に上陸した巨大生物から逃げ惑う民衆の姿 記者会見場に1人残った記者が、スマホの映像を見ながら、何だ…、さっき上陸はあり得ないって…とぼやいていた。

地下通路

大河内総理は、どうするんだ?上陸はあり得ないと言っちゃった後だぞ!と不機嫌になり、ですから文言をアレンジせず、報道官の原稿のままお読みくださいと…と事務官が言うと、はっきり言わんと国民は安心せん!心が伝わらんだろう!と大河内総理は怒ったまま言う。

おっしゃる通りです、今何故上陸で来たのか、識者に問い合わせ中ですと事務官が答えると、すんだことはもう良い!現状はどうなってる?と大河内総理は聞く。

蒲田に上陸した巨大生物は、頸部の鰭のような部分から、大量の血液に似た赤い液体を路上に放出する。

総理!これは緊急災害対策本部を設置する案件と考えますと郡山危機管理監が提言し、分かったと大河内総理も厳しい表情で答える。

先ほど政府は、東京に上陸した巨大不明生物に関する緊急災害対策本部を設置親しましたと東官房長官がテレビで発表し、横断歩道で待っていた都民たちや電車内の乗客たちがスマホなどで一斉に注視していた。

これにより、国民皆様の安全に対し万全の対策を講じ、速やかな避難行動を実行するため都庁及び関係省庁との連絡を密にし…と官房長官発表は続いていたが、その間にも上陸した巨大不明生物は平均時速13kmの早さで大田区から品川区にかけて移動中だった。

数体はデカいのにずいぶん遅いな…と対策本部でモニターを見ていた閣僚が漏らす。

それに対し、この速度でも3時間で首都圏を横断できますと矢口は閣僚たちに伝える。

東京は意外と狭いしもろいからな…と関口文部大臣も呟く。

やばいぞ、被害が尋常でなく拡大している!と河野総務大臣が報告を読んで焦ると、だからこそすぐ駆除すべきじゃないか!と内閣府特命担当大臣が花森防衛大臣に指摘する。

花森防衛大臣は、しかし現場が人口密集地です。今は攻撃より避難を優先すべきですと反論する。

総務省と国交省に避難先の区域と搬送手段の確保を進めてくれと郡山危機管理監が事務官に命じる。

東京都庁

防災ルームでは、官邸より登庁に対する車道を考えた避難措置を受理しました!と指示が伝えられている中、防災服を着てやって来た小塚知事(光石研)は、何ですぐ避難指示が出せないんだ!と苛つく。

何せ想定外の事態で、該当する所蔵マニュアルが見つかりませんと防災課局長安野(諏訪太朗)が答えると、災害マニュアルはいつも役に立たないじゃないか!すぐに避難計画を考えろ!と小塚知事は腹を立てる。

しかしこのような事態の防災訓練も行っておりませんし、パニックの回避を考えるならば批判区域の広域な指定も困難ですと安野が答えると、ここは都民の自主避難に任せるしかありませんと川俣副知事(藤木孝)が小塚に提言する。

現場には交通統制によるコントロールを徹底させますと警視総監が小塚知事に伝える。

道路では信号が消え車が全部停められ、乗車していた人々は降車を命じられる。

区内全域に避難指示が発令される。

巨大生物は国道15号沿いに進行し、途中の超高層マンションを這い上がろうとして崩壊させる。

都知事は、公安委員会へ連絡してくれ!政府が動かないなら都が自衛隊に防衛出動を要請をする!と言い出す。

しかし、自衛隊の防衛出動は出来なかった。

都内で戦闘を始めることになるからだった。

官邸では矢口が、ですから総理、自衛隊の運用や国民の避難など、政府に寄る事案対象のあらゆる統合が必要です。直ちに災害緊急事態の布告の宣言をお願いしますと大河内総理に指示していた。

しかしな、今までやってきたことが大変な布告だぞ…、その上、初の防衛出動の命令とは…と大河内総理は迷う。

総理、警察による短時間での避難誘導は困難です。防衛出動となると…、逃げ後れた住民を戦闘自体に巻き込む覚悟が必要になりますと郡山危機管理監が発言する。

超法規的処置で防衛出動を発動するしかありません。決められるのは総理だけですと赤坂も総理に提言する。

日米安保条約を適応し米国に頼めば?との意見も出るが、まずは我が国が動くべきです!と花森防衛大臣は答える。

あんな生物です、まずは国民を守るのが大切ですと矢口も大河内総理に迫る。

いやいや、それは…と大河内総理がためらうと、総理、ここは苦しい所ですが、被害の拡大を防ぐためにも承認のご決断を頂かないと…と東官房長官も迫る。

それを聞いた大河内総理は、今ここで決めるのか!聞いてないぞ!と驚く。

時間がありません!ご決断を!と官房長官は言う。 災害対策基本法、災害緊急事態の布告を宣言、巨大生物に対して戦後初の武力行使命令をテレビのレポーターが伝える。

巨大不明生物に対し、自衛隊初の防衛出動が決定されました。 緊急措置として国会の承認を事後に回し、害獣駆除を目的とした戦後初の武力行使命令を総理が下した模様です。

市ヶ谷の地下にある自衛隊作戦本部で幕僚長クラスの作戦会議が行われており、進行担当が練馬の第一師団は既に都の要請で災派として出ていますと説明していた。 引き続き現運用部隊は救護と避難誘導任務を優先させます。どのみち普通科の装備では対処できないでしょう。

石倉陸上幕僚長役(國本鍾建)が、飛行科も特科も即応できない。やはり対戦ヘリしかないな?木更津の状況を確認しておけ!と発言すると、三沢のF2爆装して上げるか?と小沢航空幕僚長(中田春介)が答える。

いえ、国民に被害が出た場合、自衛隊の存続に関わる可能性があります。使用武器は最小限に止めましょうと浜田運用部長が発言する。

ただし、彼の能力が不明すぎる。我の全力を投入する準備は必要だと考えますと北野海上幕僚長が進言すると、話を聞いていた矢島統合幕僚副長(鶴見辰吾)が、そうだな…、三自衛隊の統合運用による作戦案を統幕長に進言しよう。官邸に連絡!と指示する。

官邸では花森防衛大臣が、東部方面総監を指揮官とした統合任務部隊を編成、作戦目的は駆除としますと大河内総理に報告していた。

陸上部隊は住民の避難誘導を優先では対応できないため、即応可能な回転翼機を主力とした作戦を立案しましたと財前正夫統合幕僚長(國村隼)が総理に伝えた後、総理、市街地での作戦なんで老人や病人等が残っている可能性もありますと郡山危機管理監が指摘する。

だとしたら現場を見んと判断しかねるだろう!と大河内総理は憮然となる。

現状では国民の生命及び私有財産への損害もやむを得ないと考えますと赤坂が発言する。

総理!ここは苦しい所ですが、承認のご決断を!と東官房長官も総理に迫る。

大河内総理は分かった!と承認を決断する。

木更津基地では、対応が想定外で危険な任務だ。隊員は志願させるのか?いえ、ローテで行きます。皆入隊したときから覚悟は出来ていますと自衛隊員同士が会話した後、攻撃ヘリが飛び立つ。

地下へ降りる直通エレベーターの中、対戦ヘリで殺処分できるだろう。奴の肢体を利用した復興財源を考えるかなどと金井たちがのんきそうに話していたので、一緒に乗っていた矢口は、先の大戦でも根拠のない楽観的な判断で300万以上の尊い犠牲が出ましたと注意する。

その頃、北品川に巨大生物が到達していた。

避難民を誘導していた消防隊員は、地震対策では対応できない!新たな避難場所を乞う!と本部に指示を要請していた。

そんな中、巨大不明生物は突然上半身を起こし、その直後、地面に突っ伏す。

巨大不明生物が停止!突如進行を停止した模様です!との報告が官邸に入る。

停止?何だ、急に?と大河内総理はいぶかしむ。

巨大生物は身体が変形し始める。

肩の辺りにあった突起物から小さな手が出現する。

咆哮する巨大不明生物の姿をモニターで見ていた矢口は、凄い!まるで進化だ!と驚く。

品川神社の階段を上って避難する住民たち。 北品川駅に停車中だった電車は、巨大生物に放り投げ出され、道路上に墜落する。

品川神社の階段に集まっていた避難民が立ち上がった巨大不明生物の姿におののく。

巨大生物が八ツ山跨橋に迫った時、接近して来た4機の攻撃ヘリは、CP、アタッカー1、目標が報告と違う!繰り返す、目標が報告と違う!と緊急連絡して来る。

アタッカー1、CP、駆除作戦は続行!そのまま待機!指示を待て!と本部より返事が返って来る。

作戦展開区域での住民避難完了との報告ですと対策本部の郡山危機管理監がはつげんすると、分かりました!花森大臣、いつでも射撃を開始できますと財前統合幕僚長が花森防衛大臣に語りかける。

了解しました、総理!本当に始めますよ、良いですね?と花森防衛大臣は大河内総理に念を押す。 分かっている…、やってくれ!と総理は答える。

アタッカー1、CP、巨大不明生物への攻撃を開始せよ!射撃開始!繰り返す!射撃開始!おくれとヘリに指示が飛ぶ。

目標正面!巨大生物頭部!距離300!発射用意!とスイッチに親指を置こうとしたとき、射撃待て!射撃待て!の指示。 踏切の信号が鳴っている。

何故撃たないんだ?と内閣府特命担当大臣が対策本部でモニターを見ながら言う。

目標周辺に人影確認!住民がいる!まだ人がいる!射撃の回避を問う!まだ人がいる!射撃の回避を問う!と指示の確認が上層部へと伝わる。

人が残っています、射撃を開始して構いませんか?と財前統合幕僚長が花森防衛大臣に伝える。

花森防衛大臣が、総理!撃ちますか?良いんですか!総理!と確認すると、中止だ!攻撃中止!自衛隊の弾を国民に向けることはできない!と大河内総理は厳しい表情で答える。

アタッカー1、CP、攻撃中止!直ちに送れ!との指示が攻撃ヘリに飛ぶ。 了解!射撃中止、退避する!と答え、ヘリは現場から離脱する。

巨大不明生物は咆哮し、天王洲運河から離岸、京浜運河から東京湾へ帰ってゆく。

大田区では大規模な火災が発生していた。

しかし、鉄道は京急を除き全線復旧。 マスコミが続々とニュースを流し始める。

矢口と赤坂は、内閣府特命担当大臣に付き添い大田区の災害現場を訪れる。

上陸からたった2時間超でこの有様とは…と随行員が現場の被害を目の当たりにして呟くと、いえ…、2時間強あっても初期対応が至らず残念です…と矢口が言うと、想定外の事案だ、しょうがないだろうと内閣府特命担当大臣が憮然とした表情で答える。

完璧ではないが最善は尽くしている…、うぬぼれるな矢口!と赤坂も言う。

しかし矢口は、内閣府特命担当大臣がマスコミ対応に移動した後もその場に残り1人合掌をする。

相模湾、大島付近を航行中の「おおなみ」からディッピング・ソナーが投下される。

巨大不明生物は離岸後、金谷沖の東京湾に潜行したと推測されます花森防衛大臣が大河内総理に伝える。

現在、監視体制を強化し、芝沖と相模湾の哨戒を海事が遂行しています。相模トラフに潜伏したとなると早期発見は困難ですと統合幕僚長が補足する。

いつまたどこに現れるのか分からん…と言うことか?と大河内総理は悟り、再上陸への備えはどうなんだ?と聞く。

官邸3階のエントランスホールで待機中だった記者(三浦貴大)たちは、ここでも地方は後回しか…とぼやく。

執務室にいた矢口は、料亭にいた盟友の保守第一党政調副会長泉修一(松尾諭)に電話を入れ、「巨大不明生物特設災害対策本部」略して「巨災対」に 集めるチームの人選を依頼していた。

料亭で電話を受けた泉は首を斜めに振らない連中を送るよと答え、矢口も骨太を頼むよと言う。

官邸二階に集まった「巨災対策」メンバーを前にした矢口は、事務局長の矢口だと名乗ると、本対策室の中では、どう動いても人事査定に影響はない。

なので役職の自省庁間の縦割りを気にせず、ここでは自由に発言して欲しいと説明する。

厚生労働省官僚森文哉(津田寛治)が、便宜上、私が仕切るとメンバーたちに伝え、そもそも出世に無縁の霞ヶ関のはぐれもの、一匹狼、変わり者、問題児、鼻つまみ者、厄介者、学会の異端児と言った人間の集まりだ。気にせず好きにやってくれとメンバーたちに伝えると、推定された基本スペックはこれだ。

各部署で確認してくれと言い、データを記した書類をテーブルに置く。

上陸時(四肢歩行)推定全長 約120m 体重 不明 上陸時(二足歩行)推定身長 約60m弱 推定全長 約170m弱 体重 不明 これだけですか?と聞かれた森は、それだけだ、その先を調べるのも我々の仕事だ。他に基礎情報があれば共有しておきたいと答える。

ちなみに昨日の有識者会議では、あまりにも常識から外れ過ぎていて何も分からないという結論だったそうだと矢口が発言する。

「巨災対策」メンバーの1人生物学者間邦夫(塚本晋也)は、確認された形状を簡単に整理してみたとテーブル状に自分が書いた書類を広げると、三形態まで変化したってことは次の変態もありえる!と推測していた。

文部科学省官僚安田龍(高橋一生)が、先日採取した巨大生物が残した体液のサンプルが欲しいんですけどと手を挙げると、理研で分析中ですと答えがある。 尾頭がうちにもサンプルを下さいと言うと、それが残りの体液は全部米国が持って行っちゃいましたと安田が言う。

現場の残液は腐敗臭が酷いと言う名目で全て焼却処分しましたと自衛隊員が付け加える。

ははあ…それ、上で米国の圧力があったらしいよと別のメンバーが答えると、分かりました、分析は理研に任せますと尾頭は承知する。

他、行動生物学的に何かないか?と森がメンバーたちに聞くと、行動パターンと言っても奴はただ移動しているだけです、なので思考も特定できませんと安田が答える。

知能レベルも不明なら我々とのコミュニケーションも無理だろうな?と間が発言すると、素朴な疑問なんだが、あれの生物のエネルギーは何なんだ?と言う経済産業省官僚立川(野間口徹)が聞く。

確かに身体の活動だけでなく基礎代謝だけでもかなりのエレルギー量が必要ですね…、消化器官による酸素変換だけでは動作効率が説明できませんと安田も同意する。

尾頭は、あれだけのエネルギー…、まさか核分裂?とつぶやくが、冗談ポイです、尾頭さん、ありえませんよ!と安田が笑って否定する。

しかしその後、横須賀の米空母が緊急出動?と矢口は郡山危機管理監からの電話を受ける。

横須賀市の放射線モニタリングポストに反応があるとの報告が入ったと郡山危機管理監が言う。

至急原子力規制庁に確認しますと答え、矢口は電話を切る。

原子力規制庁の根岸監視情報課長(黒田大輔)は、上から停められているので公表を差し控えていますが、都内各所の放射線モニター空間線量に軽微な上昇が認められますと電話で伝えて来たので、どこから漏れていると考えられますか?原発ですか?と聞くと、いえ、全国全ての原子力施設での放射性物質のリークは確認されていませんと根岸が言うので、じゃあ、発生源は何なんだ!と電話を終えた矢口は苛立つ。

その時、ノートパソコンを調べていた安田が、ああ!こんなんありか?と奇声をあげながら立ち上がり、みんなにパソコンのモニターを見せに行く。

同時にノートパソコンを持った尾頭が矢口の所へ来て、このサーベイデータとあの巨大生物の移動は完全に一致していますと伝える。

尾頭さんの言うことが正しかったと言うことか…と矢口が言いながら安田を睨むと、安田はごめんなさいと素直に詫びる。

既に一般市民の間でも情報はかなり広がっていますねと、放射線量が上昇しているとのネット情報を見た尾頭が指摘する。

直ちに矢口は、長官室へ行く!赤坂補佐官と森戸さんに連絡してくれと志村に命じる。

面倒だな、これは…と矢口から話を聞いた東官房長官は呟く。

だからこそ長官か総理が直ちに会見を開くべきですと矢口は提案する。

とは言え、発生源を特定できず先の生物との関連も不明なままの公式発表ではいたずらに不安を煽ることになりますと森戸が発言する。

行政が避難指示を出す占領地ではない。すぐに政府が動く法的根拠もありませんと赤坂が指摘。

しかし、いくら軽微とは言え放射性物質の案件です、会見を急ぐべきですと矢口が言うと、そうだな…、私がやろう、総理には話しておく…と東官房長官が答え、5分で良い、総理のレクを入れてくれと指示する。

廊下で赤坂は矢口に、米国大統領次席補佐官が密かに来日、非公式な会談を総理に望んでいると伝えたので、動きが性急すぎますねと矢口が驚くと、ああ…、次席補佐官は既に横田を出てここに向かっている、外務省北米局が大慌てだと赤坂は言う。

同行の大統領特使がお前のアポを取ったとの情報も入っていると伝えるので、矢口は怪訝そうな顔になり、僕に?何故ですと聞く。

現政権のレポートを読んで私が判断したの、過去も興味深い。使えそうな人物としてランドウ・ヤグチがベストな選択、何か不満でも?と矢口に対面したカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が聞いて来たので、いえ、でしたら赤坂首相補佐官が適任かと…と矢口が答えると、彼が断ったので次点のあなたのしたの…とカヨコはあっさり打ち明ける。

何をしても良いけど、私の汚点を残さないような仕事して!と言い放ったカヨコは、この当該人物を捜して欲しいと言いながら矢口に、ガードマン(マフィア梶田)から受け取った書類を手渡す。

その理由は何ですか?と聞きながら、書類袋を矢口が開くと、ここに上陸した生物の存在を数年前から予言していた人物…、今はそれで十分でしょう?とカヨコは愉快そうな顔で答える。

7日前に成田に降りた時点までは把握している。

ゴロー・マキ?日本人…、元大学教授…と資料に貼られた写真(岡本喜八)を見ながら矢口が確認すると、この国の捜査機関は優秀だそうね?期待している!と上から目線で言いながらカヨコは立ち上がる。 その対価は何ですか?と矢口が聞くと、彼の情報とトレードして、我々の基礎情報をあなたたちに渡す。

ただし第三国にエンターエイジェンスは流さない…That’s U.s.JAPAN…、そう、ウィンウィンと言う。

understood.Let’s get winと矢口が答えると、サンキューとカヨコは喜び、夕べ横田でパーティをしていた途中で抜けて来たので着替える時間がなかったの、ZARAはどこ?と聞く。

その頃、別室でカヨコの経歴を読んでいた東官房長官が若いな…とつぶやくと、彼女はパターソン上院議員の娘で、親の七光りと才能でのし上がって来た女ですと赤坂が教える。

君には苦手なタイプだなと東がからかうと、親の七光りとコネを臆することなく利用する矢口と同じ政治家タイプですと赤坂は答える。

警察庁

こんな時に人探しですか?と長官官房長沢口(古田新太)に呼び出された刑事局局長(モロ師岡)が聞く。

矢口副長官からだ、彼の先代にはお世話になった。最優先で頼む。ガン取りにどれだけ人手を割いても構わん。人的情報はこれだけだと書類を渡しながら沢口が言う。 書類を見た局長は、日本から追い出され、米国研究機関に所属していた異端の教授…と読む。

生物学者なのにエネルギー関連の研究機関に帰属…、面白い老人ですね…、レッド・ノティスですか?と刑事局長が聞くと、いや、生活拠点の特定までだ、あとはNSAだかCIAだかが引き継ぐらしい…こちらに迷惑はかけないそうだ…と沢口は答える。

元教授の最後の足取りですと言いながら、上がって来た調査報告を矢口はカヨコに渡す。

さすがおばあちゃんの国、仕事が早い!とカヨコは喜ぶ。

先日来行方不明…、羽田沖で漂流していた彼の小型船が無人状態で海保に保護されていますと矢口は伝え、パターソン特使、あなたが探していたのは元教授ではなく、こちらでは?と船に残されていた書類を矢口は示す。

Yes,light youとカヨコは認める。

私は好きにした、君らも好きにしろと、矢口はその書類に書かれていた牧の文を読み、遺書と見るべきか…、中味の確認は必要ですか?とカヨコに聞く。

印刷は特殊インク、コピーは不可能よと言いながらカヨコは自分の方の書類を手渡すので、写真は撮れます。

対策室チームに共有させますと矢口は答え受け取る。

「GODZILLA」?と矢口は、カヨコから受け取った書類にかかれていた聞き慣れない言葉を読む。

カヨコは、それはDOEのコードネーム「GODZILLA」だと答える。 どう言う意味だ?と矢口が聞くと、 スマホで調べていた志村が、一件ヒットしました。

元教授の故郷の大戸島の伝説で、神の化身を意味する言葉ですと即答する。

荒ぶる神を意味するそうで、彼が「GOD」 と付けたそうよとカヨコが付け加えると、読みにくいので元々の日本の読み方「ゴジラ」にしようと矢口は即答する。

その報告を東から聞いた大河内首相は、こんな時名前なんかどうでも良いでしょうと苛つく赤坂に、名前はついていることに意味がある…とつぶやく。

その頃、志村は密かにフリージャーナリストの早船(松尾スズキ)と二人きりで公園のベンチで会い、発表の時期は早船さんに任せるとうちの先生が言ってましたと牧元教授の独自調査を依頼する。

今から60年前… 各国の放射性廃棄物の無秩序な海洋投棄のモニター映像を巨対災のメンバーたちと見ていた矢口は、まさか!ゴジラが食べた?と呟く。 イエス、それがDOE(米国エネルギー省)の出した結論…とカヨコは答える。

放射性廃棄物を餌とする生物の存在に気づいたDOEが調査分析を嘱託機関に依頼、その中心人物が牧五郎元教授だった。

太古から生き延びた海洋生物が奇跡的に生きながらえていた生息地域に、偶然大量の放射性投棄物が海中投入され、その影響下で生き残るため放射性に耐性を持つ生物として急速に変化した…とカヨコは巨災隊メンバーたちにゴジラに関する仮説を説明する。

間は、自分のメモに、分かりそう!!♡と書き込んでいた。 しかしパターソン特使、上陸したゴジラは当時の推定体重をはるかに上回っていますと尾頭が指摘すると、イエス!それに水棲生物が陸上生物に急激な突然変異!今のゴジラはDOEの情報を超えた状態で私にも説明がつかないとカヨコは答える。

私に権限で知りうる情報はこれまで!ここからはパーソナルサービス!とカヨコが言うと、メンバーたちの前に彼女のボディガードが一枚の不思議な書類を広げてみせる。 牧元教授の遺品ですか?と矢口が聞くと、カヨコは無言で頷く。

さっぱり分かりませんねと矢口がぼやくと、それを目にした間も、新元素による分子配列でもない…一体ゴジラの何なんだ?と呟く。

私も専門外で良く理解できないけど、構造レイヤーの解析表らしいのとカヨコは説明する。

彼が本国に残していた最終データには意図的な空白があり解析不能だった。やはりこれと合わせると改訂版があるみたいとカヨコは言う。

我々も解析を試みます、宜しいですね?と矢口がカヨコに聞くと、シュア!と答えながらも、どうも日本語の敬語が苦手なの、そろそろタメ口にしてくれる?とカヨコは提案する。

では遠慮なく、米国はゴジラをどうする気だ?研究対象か?それとも駆逐対象か?と矢口が聞くと、それは大統領が決める…、あなたの国は誰が決めるの?とカヨコは答える。

現場で回収された放射性物質の分析結果です。検出されたガンマ線の波長が既存のそれと一致しません。

大発見ですよ!ゴジラでしたっけ?その体内には未知の新元素が存在していますと、根岸原子力規制庁情報課長が赤坂補佐官に伝えていた。

DOEも絡んだ米国の素早い動きはこれが理由か…、データを対策室に、総理に連絡だ!と赤坂は部下に命じる。

分かった、放射能とはまた面倒な話だ…と赤坂からの電話を受けた大河内総理は答える。 で、どこまで言って良いのだ?と大河内は聞く。

ゴジラの通過経路で検出された物質分析した結果、被災地付近で0.5マイクロシーベルトと言う…と、大河内総理はテレビで発表会見をする。

「巨災対」では、しかし米国との情報共有等があったものの、ここにきて色々と手詰まりになって来た感があるな…と森がぼやいていた。

ですね、理研の報告はインパクトありましたからね…、まさかゴジラの人類の8倍もの遺伝子情報があるとは…と安田も頷く。

シークエンスの作業だけでも何年かかるか分からない量ですよと根岸も言う。

これでゴジラがこの星でもっとも進化した生物と言う事実が確定しましたと尾頭が言う。 ゴジラは世代交代ではなく、一個体のまま劇的な進化を続けている。

正に人智を超えた完全生物だ!と間が指摘する。

とは言えゴジラは生き物だ、ならば必ず倒せると自衛隊員が言うので、だと良いんだが…と間は案ずる。

それを探るのも我々巨災対の仕事ですよと森が口を出す。 生体情報だけでなく行動にも何かヒントがないか?と森が聞くと、とは言え歩くだけですよと安田が答える。

そう言えば、先の上陸時、何故急に東京湾に戻ったんだ?と経済産業省官僚が不思議がると、そうか!と手を打った間が、冷えてないんだ!と気づく。 おそらくゴジラは体内に原子炉のようなシステムを有していて、背びれ等から常時放熱をしている。

だがそれは余熱調節の補助で、メインは血液流を冷却機能にしている可能性が非常に高い!と間が仮説を述べると、だから最初の形態変形時は体温調整がまだ巧く働かず、一時的に退化し海中に戻ったと推測できます!と安田が続ける。

そこから考えられる即応可能な唯一の対処方法が体内冷却システムの強制停止です!と根岸が言う

停止されるとゴジラは生命維持のため自ら反応のスクラム状態にせざるを得ないと思われます。

その過程で急速な冷却を必要とするので死に至るかも…ですが、少なくとも血温冷却は可能ですと尾頭が指摘する。

その為の、血液凝固剤の経口投与の可能性を模索するべきと考えますと国土交通省の竹尾(吉田ウーロン太)が言い出す。

ゴジラは直立歩行形態になっている、出来るのか?と矢口が自衛隊員に聞くと、 具体的な実行方法は朝霞で立案します。

経口投与には民間の高圧ポンプ車が使えそうですと自衛隊員はポンプ車の写真を見せながら答える。

必要な凝固剤や特殊車両等は厚労賞、経産省、うちの役所で全部手配して全国からかき集めますとメンバーは言う。

これを「矢口プラン」として総理への提案をお願いしますと森が矢口に依頼する。

分かった…、名前はともかく進めてくれと矢口は承知する。

「巨災対策」メンバー達の徹夜作業が続く。

国会前では、「ゴジラを殺せ!」「ゴジラは神だ!」「ゴジラを守れ!」と言う両派のデモ隊が昼夜わめいていた。

夜通し仕事に没頭し、疲れ切っていた矢口たちに、翌朝、事務員(片桐はいり)が、ご苦労様ですと声をかけながら茶を配って行く。

みんな少し休むかと矢口が提案する。

朝食をとりながら秘書メンバーたちは、みんな帰れと言っても帰らない、帰っても翌日手作りの弁当を持って出勤して来る。まじ感動ですよ、泉さんも不眠不休でみんな頑張ってくれるなどと話し合っていたが、それを聞いていた矢口は、そうだな…、この国はまだまだやれと…、そう感じるよと答える。

しかし副長官、そのシャツはいつから着ているんですか?と志村が矢口に笑顔で聞くので、矢口が自分のシャツを匂うと、ノートパソコンで作業を続けていた尾頭も、正直、服も部屋も匂います。シャワーくらい浴びても宜しいかとと思いますと指摘する。

矢口の机に真新しいワイシャツが届いた頃、部屋に入って来た志村が、副長官!1分前にゴジラが相模湾から出現!鎌倉に再上陸しますと報告する。

Jーアラート発動!巨大不明生物上陸警報を一斉に伝達!第一次情報の通知及び送信を完了しました!と有明の緊急災害現地対策本部に集結して来た職員たちにアナウンスが流れる。

巨大不明生物が由比ヶ浜から上陸し、緊急避難警報が住民たちに発せられる。

官邸内の対策本部には総理が入って来る。 マスクをして逃げる鎌倉の住民たち。

目標は鎌倉市街を抜け、進行する模様と対策本部にアナウンスが入る。

その姿を見た閣僚たちは、おい、初上陸よりかなりデカくなっていないか?と指摘し、全く想定外の大きさだ!と内閣府特命担当大臣が口癖のように言う。 声や姿もまるで違うぞ!と他の閣僚も驚く。

ええ、身長が二倍近くになっています。

さらに進化したゴジラ第四形態ですと矢口が伝えると、こいつは大事になりそうだ…と関口文部科学大臣がモニターを見ながらおののく。

佃法務大臣は、何でまたこっちに来るんだ!と怒る。

配布資料にある通り、攻撃に際し、体内の放射性物質の拡散等のリスクが存在しますが、再び首都蹂躙を許す訳にいかず、ここは進行阻止を優先すべきと考えますと対策本部では発言が続いていた。

ゴジラは放射性物質が補給源と聞く。もしも原子力関連施設を襲われたらゴジラより大変なことになる。

総理、今のうちに叩くべきですと河野総務大臣が発言する。

総理、海外から弱腰と見られるのを避けたいと思いますと別の閣僚が発言。

令の「矢口プラン」の進捗はどうなっとる?と大河内総理が聞くと、残念ながら、実行に至るまではまだ…と矢口が答えるしかなかった。

花森防衛大臣が、総理、命令があれば自衛隊は市街地でも徹底的にやれます!と進言する。 災害緊急事態の布告は今も継続中です、攻撃は総理のご意志で決まりますと東官房長官が説明する。

総理!と赤坂が促すと、分かっている…と大河内総理は答え、始めてくれ!と花森防衛大臣の命じる。

分かりました、総理、市ヶ谷に連絡を!と花森防衛大臣は財前統合幕僚長に伝える。

総理から新たな作戦の実施がかないされた、武器使用は無制限まで想定、防衛大臣からは、いざとなったら徹底的にやれ、必ず都内侵入前に駆除せよとのことだと矢島統合幕僚副長が他の幕僚長たちに伝える。

神奈川上陸の場合はB-5計画となりますとの説明がある。 良し、川崎側を戦場とする駆除作戦「B-2号」を発令する。

了解、多摩川を絶対防衛ラインと想定する「タバ作戦」を開始!との指示が出る。 F-2ジェット機、攻撃ヘリが立川から出発、戦車部隊が多摩河川敷に集合する。

射撃準備態勢に移れ! 頼んだわよ!と浜森防衛大臣はモニターを凝視しながらつぶやく。

浅間神社、団前指揮所 緊張するな、いつも通りやれば良いんだと先輩自衛隊員が後輩を励ます。

目標は体内に放射性物質を有している。攻撃は頭部と脚部のピンポイントのみとする。改めて全部隊に徹底させろ!と前線テント内には行って来た西郷タバ戦闘隊長(ピエール瀧)が命じる。

攻撃ヘリが武蔵小杉に接近していたゴジラに向かう。

郡山内閣危機管理監が全該当地区の避難が完了した旨伝えると、郡山君、今度は本当だな?間違いないな?と大河内総理は念を押してきたので、私は現場の報告を信じるだけですと郡山は答え、目標以前進行中ですと財前が花森防衛大臣に伝える。

総理、武器使用の承認をお願いしますと花森防衛大臣が聞くと、武器の使用を許可しますと発言。

総理の下命を確認しました!と自衛隊に電話が入る。

それを聞いた小沢航空幕僚長は、射撃を許可する、射撃開始!と命じる。

タバ作戦 フェーズ1を開始する!射撃開始!繰り返す、射撃開始!送れ!と西郷隊長も前線テント内で命令する。

攻撃ヘリは機銃掃射を開始するが、全弾命中!しかし効果を認めず! アパッチを30mmに切り替えろ!もう少し様子を見ると西郷隊長が指示

しかしそれでも効果なし。

1万5000発もの機関砲を受けてもゴジラに効果はなかった。

市ヶ谷と官邸に連絡!と小沢航空幕僚長が命じる。 東部方面から誘導弾の使用許可をと財前が花森防衛大臣に伝える。

人口密集地ですがやむを得ません、総理!ミサイルの使用を許可しましょうと花森防衛大臣が大河内総理に進言。

今より武器の無制限を許可しますと大河内総理は決意する。

誘導弾全弾命中、しかし黙視による損傷、確認できませんと花森防衛大臣が機械的に報告する。

ミサイルでも死なないのか…と内閣府特命担当大臣が呆れたように言い、なんて奴だ…と菊川も呆れる。

目標の外皮構造は予想以上ですねと東部方面作戦室でも驚きが広がっていた。

タバ作戦はフェーズ2に移行する。

戦車隊が砲撃を始める。 全弾命中し、目標の移動速度が低下した模様と判断、西郷隊長は特科大隊攻撃開始と命じる。

御殿場の第1高射特科大隊からも攻撃を開始する。

目標停止!

作戦はフェーズ3へ移行、 航空攻撃が開始される。

丸子橋近くて動きを止めたゴジラの頭部と足下で投下爆弾が炸裂。

目標、進路を北西に全進!

向きを変えたのか?と関口文部大臣がいぶかると、空爆が効いたのか?と河野総務大臣も呟く。

JDAMの第二弾行きますと花森防衛大臣が説明、良し、これでとどめだ!と閣僚は期待する。

ゴジラの身体は爆発の煙で包まれ、やったか?と特命担当大臣は喜ぶが、次の瞬間、破壊された橋桁そのものが大きく吹き飛び、戦車隊の村崎(斎藤工)は慌てて後退させるが、戦車の一台がその下敷きになる。

団前指揮所内で指揮を執っていた西郷隊長がいた前線テントも押しつぶされる。

目標、多摩川越え、東京都に侵入!の報告。

そこへ、全火器残弾なし!との報告が入る。

防御陣地崩壊!作戦続行不能!との連絡が入り、市ヶ谷作戦本部から、米軍関係者たちが退室して行く。

統幕本部長!特科大隊はまだ射程内です。攻撃を続行しましょう!と、市ヶ谷の山本運用部長が進言するが、 だめだ!太田区及び世田谷区の避難完了の報告を受けてないと矢島統合幕僚副長は拒否する。

対策本部の花森防衛大臣は悔しがるが、総理!残念ですが、ここまでです!と花森防衛大臣が報告する。

分かった、作戦を終了すると大河内総理は決断する。

団前指揮所内では、残念ですと近づいて来た部下を前に、国民を守るのだ我々の仕事だ、攻撃だけは華じゃない、住民の避難を急がれろ!と西郷隊長が答えていた。

巨災対でも、タバ作戦は失敗した!ゴジラは健在!以前進行中だ!と自衛隊員が報告する。

自衛隊の総力戦が徒労と化すとは…と森は呆れる。

予測計算を凌駕する自己防御力だと間が呟くと、外からの物理兵器で倒せるなら私たちも苦労せずに住みますと尾頭が言う。

正にゴジラは人智を超えた完全生物か…と矢口は再認識する。

目標は世田谷区から目黒区へ侵入! 総理!遺憾ながら米軍に安保適用による駆除協力の要請を出しましょうと花森道営大臣が提言する。

総理、駐日米大使からです!既に大使館防衛のため、空軍機がグアムを離陸しているそうですとの報告を聞いた大河内総理は驚く。

夜間進行中のゴジラの影響で、周辺では大停電が起きる。

米国の爆撃予定範囲を示した資料が、都庁にもたらされるが、それを見た川俣副知事は、むちゃくちゃだ!ゴジラより大変じゃないかと驚き、小塚東京都知事は搬送や移動じゃ間に合わん…、とにかく都民を地下施設に退去させるしかないと指示する。

ゴジラに対し、米軍の攻撃が開始されます!地下鉄や地下街に逃げてください!と車で身動きが取れなくなった道路を逃げる都民たちにアナウンスが流れる。

浅草線泉岳寺駅構内には避難民が殺到し、地下鉄ホームが停電する。

ゴジラの身体が夜間赤く光る。

ゴジラの予想進路内に官邸も一致しています。自衛隊で阻止できなかった奴です。米軍も駆除できない可能性がありますと郡山危機管理監が進言して来たので、まさか、ここを捨てろというのか?と大河内総理は驚く。

はい市ヶ谷も有明も危険です!直ちにここを大挙し、官邸機能を立川予備施設に移管する必要があります!と郡山危機管理監が訴える。

しかし米軍の攻撃が都内で始まる!、私にはここでその推移を見届ける義務がある。それに都民を置いて我々だけが逃げ出すことは出来ん!と大河内総理は抵抗する。

しかし総理、総理には東京を捨てても守らなければならい国民と国そのものがあります!子機は退避してくださいと矢口は進言する。

幸い都庁は機能しております、しばしの間指揮は小塚都知事に任せましょうと東官房長官も勧める。

わかったと総理は納得し、至急木更津からヘリを二機用意しますと聞かされる。

長官、我々は車で移動しますと矢口から告げられた東官房長官は、分かった…、君たちの方が時間がかかる。

渋滞で大変だろうがと思うが後で会おうと答える。 はい!這ってでも行きますと矢口は答える。 「巨災対」メンバーたちも退避命令に従い避難することになる。

赤坂外堀通りを車で退避していた矢口と志村だったが、予想通り渋滞で身動きが取れなくなり、みなを地下に退避させようと言うと、自分は車を降りる。

その時、遠くを通り過ぎて行くゴジラの姿を見て、あれがゴジラか…とつぶやく。

副長官!予定より早く米軍の攻撃が始まります!とスマホで確認した志村が伝える。

米軍のMOP2がゴジラに命中、出血が認められたことを知ると、いけるぞ!さすが米軍だなどと内閣府特命担当大臣たち官僚は感心する。

待機していた大河内総理に郡山が、間もなくヘリが到着しますと告げる。

に来たゴジラは咆哮し、背びれが紫色の光り出す。

ヘリに乗り込もうとしていた大河内総理に、壱岐が米軍の攻撃によりゴジラの出欠を確認!と報告する。

地下鉄赤坂5丁目駅A2出入り口でその様子を目撃した矢口は、何の光だ?といぶかしむ。

大河内総理も、何をする気だ?とゴジラの発光現象を不思議がっていた。

下を向いたゴジラの口から液体のようなものを吐き出すと、目に膜が張り、次の瞬間、高熱の炎を吐き出し、周辺のビル群は燃え始める。

その炎は徐々に鋭利な紫色のレーザー光のように収束する。

ゴジラの口から放たれた紫色のレーザー光は、上空のB−2爆撃機を斬り割き、周辺の高層ビル群をなで切りにして行く。

福生付近の個k、有働16号を車で移動中だったカヨコは、ゴジラ…、正に神の化身ね…と驚愕していた。

米軍は仇を討つ!とさらにゴジラに対し空爆を続行すると、背びれからも無数のレーザー光が上空に向けて発射され、B−2爆撃機を破壊して行く。

飛び立った大河内らを乗せた専用ヘリも撃破される。

浜松町、銀座四町目付近、港区虎ノ門、国会議事堂がある永田町辺りは大火災の海と化す。

有明の緊急災害現地対策本部のメンバー達も地下に逃げ込み、不安な様子で事態の推移を見守る。

ゴジラは千代田区の東京駅近くで動きを止め、目を閉じて眠りにつく。

都民には、高い放射線量が予想されるため、発生時から49時間以内は屋外へ出ないよう指示が出る。

さまさまな情報が錯綜する。

大河内総理以下、東官房長官ら総理臨時代理候補者5名全員が安否不明の状況となる。

暗闇の中を歩いていた矢口は怒りを露にする。

傷つきながらも、矢口と志村は官邸機能の臨時拠点として整備されていた立川災害予備施設にたどり着き、防災着に着替えると泉修一と合流する。

俺は金帰火来のお陰で助かった、矢口も地元は大事にしとけよと言いながら矢口と合流した泉は、おい、怪我をしているじゃないか?大丈夫か?と矢口の顔を見て驚く。

すみません、どこも救急用品が品切れで…と同行して来た志村が詫びると、大丈夫だ、大した怪我じゃない!と矢口は言い、施設内に入って行く。

消防関係者は都庁の指示に従ってください、総務省はほとんど機能していませんなどと電話指示が錯綜するオペレーションルームの自室にやって来た矢口は、とにかく情報をくれ、今あるだけで良い、今、ゴジラはどうなっている?と聞くと、今はもう活動を停止したまま、停止理由は目下の所まるで不明だと泉が教える。

放射線量の状況はと聞くと原子力規制庁は何とか被害を免れた。今は都内のサーベイでてんてこ舞いだ。

ゴジラの方は口から微量の放射性物質を今も放出しているが、この程度なら問題ないらしいと泉は教える。

ゴジラによるフレームは房総沖を抜けたそうですが、かなりの広範囲に高濃度の汚染が広がっているようですと泉に随行していた久松第二秘書も報告する。 直撃を受けた都内三区は帰宅困難地域になる恐れがある。

除染の問題も大きくなるだろう。 事態は危急存亡と言うか超深刻だが、対応するには人も物資も法律もまるで足りない状態だ…と泉がぼやいていると、救急箱を持って部屋に入って来た志村が、仕方ないですよ、総理も官房長官も花森大臣も皆、もう誰もいないんですから…と言うと、急に椅子を立ち上がった矢口が、ないものを当てにするな!今残ったものでやれるだけやるだけだろう!と興奮して怒鳴ったので、水のペットボトルを渡した泉は、矢口!まずは君が落ち着け!と諭す。

水を一口飲んだ矢口は、すまない…と冷静さを取り戻し、総理臨時大臣は決まったのか?と聞く。

埼玉避難所に、里見祐介農林水産大臣が総理臨時代理に指名されたとのニュースが流れていた。

政府の機能不全による緊急避難としての臨時体制です。

これ以上の政治的空白を避けるため、直ちに新内閣が組閣される模様ですとアナウンサーは説明する。

自衛隊による、避難民へのカレーの炊き出し風景。

首班指名が里見さんが決まるとは…と立川で仕事を始めた矢口が驚くと、みんな中継ぎなんか嫌だから押し付けられたんだろうと泉が答える。

外務省官僚風越達雄(神尾佑)から、佐世保から、対馬辺りで不穏な動きがあるとの知らせを聞いた里見祐介農林水産大臣(平泉成)は、ここは様子見かな?と答え、外務省は動けるの?と外務省官僚片山修一(嶋田久作)に聞く。

昨日の復旧を急がせておりますが、まだ…と片山は答える。

そう…、とにかく不測の事態だけは避けてよと里見総理臨時代理は頼む。

2人が退室した後、昼食に取り寄せていたラーメンがすっかり伸びてしまったのを見ながら、やっぱ総理の仕事って大変だな…と里見総理臨時代理はため息をつく。

立川の矢口が、立川もゴジラから30kmしか離れていないと不安がるが、赤坂さんがいる。今回のことで我が国はすぐに頭が変わるのが長所だと思ったと言う。

次は君か?大命大臣とは出世だな…と泉がからかうと、俺は10年後を考えていると矢口は答えと、総裁選に打って出ろ、見返りの幹事長は俺にしてくれ。

赤坂先生は今度内格差以外長官代理になっていた。

お前も対策後本部副部長か?出世は男の本懐だ。お前は何で政治家になった?と泉が聞くと、政界は敵か味方しかいないのでシンプルだと矢口は答える。

そこに、「巨災対」メンバーが到着したとの知らせが届く。

矢口は、再結集した「巨災対」のメンバーたちの前で、欠員はすぐ補填する!家族や仲間を亡くした悲しみを乗り越え、今は国民のため凍結プランの完成に挑んで欲しい!頼む!と伝える。

では、仕事に取りかかろう!と森が全員に声をかけて仕事が再開する。

森課長!凍結プランの進捗はどうなっていますか?と矢口が聞くと、ゴジラのデータ不足のため、シリカやトロンビンなどをベースに血液凝固のプロトタイプを民間各社に手分けして24種類ほど精製中です。このどれかが効くはずなんですが…と森は答える。

その検証はどうしますか?と矢口が問うと生態細胞の検証を陸自とうちに頼んでいます。そのサンプルを使って絞り込みますと尾頭が答える。

サンプル回収作業完了ですとの自衛隊の報告を矢口は聞く。

副本部長!早速筑波のBSL4対応施設に回しますと尾頭が告げる。

分かった!残ったサンプルは官民を問わず、P3レベルに対応可能な研究所へ送ってくれとネクタイを結びながら矢口が指示すると、しかし国の最重要機密指定物ですよ、やばいですよと尾頭が指摘したので、良いんだ、少し手も多角的なゴジラの情報が欲しいと矢口は答える。

東京駅前のゴジラは全く微動だにしなくなっていた。

ゴジラの線量は動きがなく、08~1シーベルト付近で安定していますと、歌舞伎座屋上の自衛隊の放射線モニター班が監視していた。

寝相は良いんだよと1人が冗談言うと、その分派手にエネルギーを貯めているということだよと別の隊員が答える。

そんな中、矢口はカヨコから、後5分で立川に着く。総理大事に至急ミーティング宜しくと言う電話を受ける。

では改めて米国の知見を日本国危急の事態に提供したいと?と里見総理臨時代理が面会したカヨコに聞くと、イエス、日米でのゴジラのコントロールを築けますと答える。

一緒に聞いていた赤坂長官代理は、軍官の常駐はお断りしますと釘を刺す。

日米コアリッションということですか?良いじゃないですか、知恵は多いほどありがたい…と矢口は言いながら、カヨコとリヒター統合調査団長ら米国の研究チームを巨災対に連れて来る。

陸自の新無人偵察機システムによる検証映像を、日米のメンバー全員が見ることにする。

撮影した東京駅で動かなくなったゴジラの映像はすぐに消えてしまう。

撃墜後、即座に停止しました。シミュレーションD-2と同じ結果ですと言う。

本能的に接近する全てのものを迎撃されると見て間違いありませんと自衛隊員が言う。

停止したゴジラの下を偵察していた監視部隊は、突然、ゴジラの身体から落下して来たと思われる血塊のようなものを発見する。

各所で起きている事象と筑波の各種データと合わせて検証したゴジラの無性生殖で個体増殖の可能性です。世界中にねずみ算式に個体が群体化すると予測していますと安田がパソコンモニターが象を示しながら矢口に教える。

進化的見地から小型化だけではなく有翼化して大陸間を飛翔する可能性がある!と間はおののく。

その時は人類の終わりだ…とリヒターが呟きながら米国チームが部屋を出た後、カヨコは電話を受け、ア ユー シリアス!と驚く。

その後、多摩モノレールの線路脇で矢口と会ったカヨコは、ワシントンの国防長官がゴジラの処分に熱核兵器を使用すべきと主張していると伝える。

ホワイトハウスの動向は?と矢口が聞くと、西海岸へのゴジラ上陸の可能性が13%と言うレポートが大統領に渡った。

国連大使が安保理に対し対ゴジラ攻撃部隊の設置工作を始めたそうよとカヨコは教える。

米国は本気か?と聞くと、カヨコは本気ねと答える。

横田と本国の研究チームが弾道ミサイルの核攻撃をするしかないと結論を出した。 ペンタゴンでは既にB-AD2核弾道の爆発規模選定と有効な爆発高度設定でチームが動いているそうよとカヨコは言う。

このまま東京で使う気か!と矢口が唖然として聞くと、 私に即時退去命令が出たとカヨコが言うので、そうか…その可能性が高いと言うことか…と絶句する。

だからこそ今は戻らない!祖母を不幸にした原爆をこの国に三度も使う行為を私の祖国にさせたくないから…とカヨコは言う。

原爆を受けた広島の写真。

わかりました。そのように善処致します…、ロス大統領…と里見総理臨時代理は電話に向かって答える。

聞いていた通りだ、本当にあの国は無茶を押し付けてくるんだな…と、電話階段を追えた里見総理臨時代理がぼやくと、一緒に聞いていた片山が、それにしても…、この内容は酷すぎます!と机を叩いて悔しがる。

だよな~…と頷いた里見総理臨時代理は赤坂長官代理を呼び寄せ、米軍を中心とした対巨大不明生物用多国籍軍結成を国連安保理が決議した。

当事国として我が国も参加、その指揮下で動くことになる。 まあこれも…、総理に全権委任する特別立法も成立させてくれと里見は赤坂に頼む。

東京での核兵器容認をですか?と赤坂が確認すると、静かに頷いた里見総理臨時代理は、こんなことで歴史に名を残したくはなかったな~と1人窓に向かいぼやく。

立川防災センター屋上

国連の名の下、米軍がゴジラを処理する。我が国はかの国の属国だ。数百万度の熱に敵うものはいないと赤坂から聞かされた矢口は、再考願えませんか?戦後は続くよどこまでも…と皮肉り、だから諦めるんですか!凍結作戦もまだ続いているんですと答える。

凍結プランはまだめどがついてない。核攻撃に頼るしかない。

巨大不明生物を倒さなければ日本は世界の信用を失う。

倒した後を考えるのが私の仕事だと言う赤坂に、今は東京三区の被害ですみますが…と、矢口は熱核攻撃を使った場合の損失の大きさを指摘する。

しかし赤坂は、今の日本は復興どころか円は続落し続けており、デフォルトの危機にさらされる。今は国際的な同情と融資が必要だと言うので、国の復興が最優先ですか?と矢口が問うと、 夢ではなく現実を見て考えろ!と赤坂は矢口に言い聞かす。

ゴジラに対し熱核攻撃?!と巨災対で知らせを聞いた森は驚愕する。

ここで使うんですか!と根岸も矢口に怒ったように確認する。

先ほど政府が承認し、国連大使に通知したと矢口は答える。

まじか…と自衛隊員が呟き、ゴジラは進化自体を超越し、死をも克服している可能性すらある!だから核で滅却するのか?矢口プランで凍結させるしか事態収束の方法はない!と間が指摘する。

そりゃ選択肢としてはありだろうが、選ぶなよ…と安田はぼやき、ゴジラより怖いのは私たち人間ねと尾頭も言う。

国連はすぐにでも核弾頭を使いたいだろうが、人道的配慮で都民の避難を優先するだろう。

その間に凍結プランを確立するしかない!と矢口は言う。 ですね…、今、サンプル実験で適応可能な生成物が確定できましたが量産はこれからですと森が答える。

ゴジラは推定血液量から計算して凝固剤は最低672kl必要ですと安田が指摘、全国でプラントの確保を進めているんだが…、間に合いますか?とメンバーたちが不安がると、必ず間に合わせるんだ!諦めず、最後までこの国を見捨てずにやろう…と矢口はメンバーたちに檄を飛ばす。

全国の民間化学会社に可能な限りの製造ラインを確保できるよう、審議官から直に!お願いします!と電話に頭を下げ頼むメンバー。

安田も局長に、そちらの研究員に資料を渡しますから、明日中に生成過程の簡略案を出すように局長から頼んでくださいと電話で依頼していた。

尾頭は、サンプルをばらまいていたお陰で各照合が進みます。確かに知恵は多い方が良いですねと呟く。

巨災対の作業はその後も進み、タンク車を最終的に政府が引き取ってくれるなら上海の業者が三台提供してくれるそうですとの報告も入る。

ライシング大使より、ゴジラが先の戦闘時に放出したエネルギー量を多国籍軍が推測し、再び移動レベルに蓄積するまで後360時間との結論が通知されましたと片山が里見総理臨時代理に報告する。

後15日でゴジラは活動を再開する可能性が極めて大ですと泉も里見総理臨時代理に告げる。

東京駅の側で動きを止めていたゴジラの尻尾の一部がカチッと音を立て動く。

カートランド米軍大佐、ペイン司令官、ライシング大使ら3人は、2週間は多国籍軍にとっては長いが、日本国民には短いと話し合う。

避難とは住民に生活を根こそぎ捨てさせることだ…、簡単に言わないで欲しいな~と里見がぼやくと、全くですと泉も同意する。

360万人もの疎開?あまりにも無茶です!その規模では警察のオペレーション遂行は困難です。都内だけではなく千葉、神奈川も該当区域です。あまりに対象者が多すぎる!小塚都知事も東京がなくなると反対しています!など取り巻きたちが赤坂に問いかけると、国の重要決定事項だ、自治体レベルの話じゃないと赤坂は答える。

しかし、受け入れ先の選定や許可だけでも困難です、二週間ではとても…と事務官が抵抗すると、 巨大不明生物が活動を再開した時点で熱核攻撃の開始時刻は無条件に繰り上がる。そのときは犠牲者もやむを得ないとし、速やかに戦略原潜の弾道弾による熱核攻撃を開始すると言うのが安保理と多国籍軍の決定だと赤坂は答える。

遠いアジアの出来事だからって無茶してきやがる!と取り巻きの連中は悔しがるが、例えニューヨークであっても同じ決断をするそうだと赤坂は言う。

台東区避難支援バスターミナルからバスに乗り込んだ多くの都民が避難を始め、中央自動車道の八王子付近はバスで渋滞する。

横浜港からは船舶で、自衛隊の木更津基地からはヘリで避難民を輸送する。

立川の昭和記念公園内のベンチで志村と再会したジャーナリスト早船は、ネット以上の情報はと聞かれ、もちろんです、ま、こっちも仕事ですので…と答え、核攻撃の一日前に記事に…と言う確約と交換ではどうでしょうと持ちかけて来る。

志村は新たなゴジラの情報を見返りに渡し、その代わり、発表のタイミングはこっちで…でどうでしょう?と伝える。

早船は、はいはい、分かってますよと答え、互いに書類を交換し合う。

その資料を読んだ矢口は、元教授は、唯一の救いだった自分の妻を死に追いやった放射性物質を憎んでいた…と呟く。

だから放射性物質を無害化する研究続けていたらしい… 放射性物質の無害化が可能ということは、新たな放射性物質を作り出すことも可能…、武器に郡司利用されることを危惧したんですね…と尾頭が指摘する。

それで、意図的にDOEのデータを放棄したのか…矢作が言う。

彼は放射性物質を憎んでいた…そしてそれを生み続ける人間そのものを憎んでいたんだろう…、妻を見殺しにした日本という国も…と矢口が言う。

それでいて、今度はデータを残して好きにしろって…、変わった人ですねと志村は不思議がる。

彼は最後に何を好きにしたんだ?と矢口はつぶやく。

その後、解析図の謎は解けたか?と矢口が安田に聞くと、内閣情報局の暗号専門の人にも手伝ってもらってますがさっぱりです…、米国はまだですか?と安田は疲れ切ったように答える。

そう聞いているが、実のところ不明だ…、今は当てにしない方が良いと矢口は言う。

ゴジラに関する多層的な重要データということは分かるんですが、その先がまだ…と尾頭もお手上げ状態のようだった。

生物学者の間は、科学的な図式というより観念的な文様…、むしろ曼荼羅に近い。先に答えを想像しないと解けないと言う逆説的な問いかけになっていると苦しんでいた。 その時、なんでそもそもデータじゃなくて紙なんだ?と安田が素朴な疑問を口にする。

何か…、折れ線みたいですよね…、しかしこれだけの図体、昔の放射性廃棄物だけじゃ腹持ちしなさそうですよね…と志村が素人らしい指摘をする。

そうだな、歯並びが悪そうな歯並びだ…、これじゃ、核物質も補食できんぞと森がゴジラの顔の写真を見ながら言う。

そんな話を聞いていた生物学者は、牧元教授が「グローリー号」に残していた書類袋の上の鶴の折り紙を思い出し、折り紙…、食べてないんだ!と呟く。

一種の折り紙の形状から新たな図式情報が追加され、解析パターンを全て網羅することが出来ました。 その結果、放射性物質のエネルギー源という情報にこだわり過ぎている。 水や空気があればどこでも生きて行けるって…、霞を食う仙人みたいだと志村が呟く。

つまりゴジラは人類の存在を脅かす脅威であり、人類に無限の物理的な可能性を示唆する福音でもある…と言うことか…と矢口が指摘。

しかしそんな細胞膜を持っていたら血液凝固促進剤も体内で無力化される可能性が高い、矢口プランは成り立たんぞと森が気づく。

あり得る話だ…、で、どうする?と聞くメンバー。

他に代案はありません、矢口プランの確度を上げるだけですと尾頭が言う。

この分子構造を解析して回避手段を考えるしかないな…、解析の準備は?と森が聞くと、うちの主導で日本中のスパコンを並列させ解析する予定ですが、結果が出るまで何日かかるか…と鶴の折り紙をいじりながら安田が言う。

核が落とされるまで後10日しかない…と志村が案ずると、なので、コネの多い局長代理から世界中に声かけてもらってますと安田が言う。

その結果、ドイツが協力を表明し、スパコンを駆使してデータの解析を急ぐ。

かくして牧元教授の解析表の分析が完了する。

細胞膜ではなく、細胞内で抑制する微生物の存在が明らかになる。

それを見た厚生労働省官僚は、いけますよ、これ!と矢口に伝える。

良し!と答えた矢口は、その後、内閣府の屋上でカヨコと会い、牧元教授はこの事態を予測していた気がすると伝える。

彼は荒ぶる神の力を解放させて試したかったのかも知れない…、人間を…、この国を…、日本人を… 核兵器の使も含めて、どうするのか、好きにしてみろと…と言うと、そうね…、あなたに好きにしてみろと…、けど、この国で好きを通すのは難しい…とカヨコは答える。

ああ、僕1人じゃな…と矢口も答える。

泉は里美臨時総理に、総理、巨災対の働きで矢口プランの問題点は解決に向かっております。実行の承認を重ねてお願いしますと頭を下げる。

しかしな~泉ちゃん…、もう国連決議まで出っちゃっているしな~と里見総理代理は困惑する。

米国はゴジラを隠匿して幕引きにするつもりです、自国のために他国を犠牲にするのは覇道ですと泉が言うと、 分かってるよ、日本は人徳による王道を行くべきと言うことか…と里美は迷うが、総理、そろそろ好きになさったらいかがでしょう?と赤坂が横から口を出すと、そうだな…、で、どれに判子を押せば良いんだ?と里見は答える。

立川防災センター応接室で財前、石倉陸上幕僚長役、小沢航空幕僚長らと新作戦の打ち合わせの席についた矢口が、「巨大不明生物の活動凍結を目的とする血液凝固剤経口投与を主軸とした作戦要項」と言う作鮮名があまりに長過ぎると指摘すると、役所のすることですからな…と財前は苦笑する。

矢口はその場で「ゴジラ凍結作戦」も子供っぽいですから「ヤシオリ作戦」としましょうと決断する。

分かりました、運用は五段階、朝霞で詳細に詰めてありますと財前が答え、仮説作業と机上の復旧作業、隊員による車両の遠隔操作等の訓練や爆薬の設置作業も終了していますと石倉陸上幕僚長役が伝え、後は実行のみですと小沢航空幕僚長が言ったので、ありがとうございます!と矢口が感謝すると、礼はいりません、仕事ですからと財前は受け流す。

雨が降る線路の向こうに佇むゴジラの姿。

カウントダウンも残り2日か…と「巨災対策」の部屋にいた志村がつぶやくと、森が、抑制剤の最低量の製造確保までにどうしても後3日かかります、何とか24時間カウントを中断できませんか?と矢口に申し出て来る。

安保理に対し引き延ばし作を考えるしかないがどこを動かす?とメンガーが聞くと、中露は地政学的に近すぎますから反対どころか推進してますと尾頭が言うと、フランスはどうだ?原子力推進国だ、ゴジラの体内システムには興味津々だと思うと他のメンバーが指摘する。

パイプがある、裏で交渉してみるよと巨災対に来ていた泉が答える。

私も欧州局長に電話を入れておきますと別のメンバーも名乗り出ると、頼む、片山外務大臣には俺から話しておく、何としても24時間確保してくれ!と矢口も言う。

カヨコは福生の専用機内でカスリー政府高官に会い、フランスからカウントダウンの中断を申し込んで来た。日本がこれほど狡猾な外交が出来るとは…、危機と言うもには日本を育てる。 核は抑止力だ。大統領に進言してみよう。

私は良いが、君は経歴と家を汚すことになるぞ、40代で大統領になる夢も潰れるぞとカスリーは警告する。

それでもカヨコがカスリーの手に自分の手を重ねて来たので、その意志が固いと知ったカスリーは、カヨコ!グッドラック!と言って見送る。

カヨコから米軍との共同作戦案を知らせられた矢口は、互いの指揮は独立しているが歩調は合わせられるか…と悩むが、この国は疲れてるわね~、空軍も海兵隊からもサポート指導者は続出よ、無人偵察機も調達済み、どう一口乗らない?とカヨコに誘われると、良かろう!無償で!と話に乗る。

その後、何とか必要最低限の抑制剤が確保できた!至急筑波にタンク車を回してくれと森が連絡する。

木更津、こちらも集積可能な資材と搬送可能な血液凝固剤で作戦を断行します、本部にゴーサインを送ってくださいとの連絡も入る。

立川防災センターを出発する矢口に、副本部長、今一度前線部隊への同行は考え直して頂けませんか?と志村が言うと、作戦には政治的な判断が必要になると予測される。

即座にそれが出来るものが必要だと矢口は答える。

とは言え、危険すぎる!施政者は後方指揮で良いだろう?10年後には総理じゃなかったのか?と同行していた泉が諭そうとする。

しかし矢口は、僕が10年後に総理になるより、10年先にもこの国を残す方が重要だ!この国には有能な人材が官民に残っている、君もいるし…、国のリーダーは問題ないよと泉に語りかける。

玄関口を出た矢口は振り返り、君のキャラには助けられた、礼を言うと泉に伝える。

買いかぶりだ、赤坂先生の手腕だよと泉は苦笑するので、後は頼む!と矢口が手を差し出しながら言うと、おう、幹事長なら任しとけ!と泉は笑って握手に皇子、矢口の肩を叩く。

へリポートに居並ぶ特殊建機部隊員たちの前に立った矢口は、実動部隊たちの前に立った矢口は、今回の「ヤシオリ作戦」遂行に際し、放射線流の直撃や急性被爆の危険性があります!ここにいる者の生命の保証は出来ません!だが、どうか実行して欲しい!我が国の最大の力はこの現場です。自衛隊はこの国を守る力が与えられている最後の砦です!日本の未来を君たちに託します!と挨拶する。

「ヤシオリ作戦前方指揮所」に防護服姿でやって来た矢口は、対策副本部長!こちらはいつでも行けます!しかし、東京から避難完了の報告はまだです。無人攻撃機待機中、まだ放射線が多すぎますとの報告を受けるが、この機は逃せません。決行します。自治体に屋内退避を徹底してください。丹波師団長、御願いしますと声をかける。

関東地区の各自治体に報告!以後50時間の一切の外出自粛と全住民の屋内退避を要請!と丹波師団長が部下に命じる。

新橋より連絡、無人車両全車切り離し完了、ゼロポイント通過!

では「ヤシオリ作戦 」開始する!第一段階、陽動始め!と丹波師団長が命じる!

新橋より陽動始め!(「宇宙大戦争」のメロディーが鳴る中) 無人新幹線爆弾が二台、寝ているゴジラの足下に突っ込んで行く。

陽動成功!無人新幹線爆弾効果あり!作戦第二段階!航空隊攻撃開始!

了解!米軍に連絡!

足下の大爆発をきっかけに予定通りゴジラは目覚め、予想通り、上空に接近して来た米軍部隊の無人攻撃機に背びれからのレーザー照射を始める。

目標、予定通り背部より放射線流を排出中! 作戦通り、飛行するもの全て撃ち落としています。

第一班全滅! 構わん、消耗戦だ!ゴジラが熱源を放出したくなるまで吐かせ続けろ!

巨災対メンバーは全員モニターを注視し、カヨコは横田基地の滑走路から見守っていた。

無人攻撃機第二班出撃! 第三班、攻撃開始! 第三班全滅! 新たな汚染区域が拡大しています。

副本部長、敵線量が予定値を超えますと丹波師団長が矢口に伝えると、今止めたら全てが無駄になります。

このまま攻撃を続行してください!と矢口は頼む。

ゴジラの背中から捕出していた無数の紫色の光が周囲のビル群をなぎ倒して行く。

第四班壊滅! 第五班攻撃開始! 目標背部放射線の放出を停止!第五班攻撃を続行中!

その時ゴジラの廃部から尻尾に向かい、紫色の光が走ったかと思うと尻尾の先端からも光線を発射し始める。

まさか!あんなことが!と驚く隊員たち。 口と尻尾の先端の二カ所から光線を放射するゴジラ。

攻撃機第五班全滅!! ゴジラプルーム予想値の二倍を超えます! 耐えるんだ!耐えるしかない!

第六班、攻撃開始! 放射線量の絶対量が低下しています。 目標熱炎フレームの停止を確認! 作戦第三弾、定地爆破!と丹波師団長が命じる。

ゴジラの周囲の高層ビルを爆破して、ゴジラに向かって倒す。

放射線量の絶対量が予定値まで落ちました。 目標Kポイント1に固定中!

作戦第四弾、誘導爆破発射! 米軍からミサイルが撃ち込まれ、ビルの重みに耐えかね転倒したゴジラの上に、さらにビルを倒せかける。

倒壊したビルの瓦礫に埋もれて身動きが出来なくなったゴジラ。

目標転倒!Kポイント1に固定完了! 作戦最終段階、特殊建機行動開始!

待機していた特機、建機第一小隊に発車が命じられる。

了解!第一小隊、前へ!

天羽々斬(あめのはばきり)01、各車!運転開始!BP2侵入後、戦闘時に移行せよ!

天羽々斬(あめのはばきり)01!BP1にて行動区域確保完了、送れ!

アウトリガー展開!注入を開始せよ!

接続作業に入る、送れ!

各機、注入を開始!

ホイールローダー車、コンクリートポンプ車が一斉に東京駅正面口付近に集結し、伸ばしたアームの先からゴジラの口の中に凝固剤を注入して行く。

全機防護始動!リモコン操作問題なし!良し、回転上げろ!出力最大!

投与量、予定の20%突破!

投与量、予定の30%突破!と安田が読み上げる。

その時、ゴジラの背部が紫色に発光し、口から熱線を照射したため、特殊建機第一小隊は全滅する。

矢口は無念そうに目をつぶるが、投与の効果あり!目標、動きが鈍っています!との報告を聞くと、この機を逃すな!無人在来線爆弾、全車投入!と叫ぶ。

ゴジラの足下で在来線は爆発し、ゴジラは東京駅の上に再度転倒する。

ゴジラ、再度転倒! 丹波さん、第二陣の出発お願いします!と矢口が頼む。

第二、第三小隊前へ!一気に凍結させろ!と丹波師団長が命じる。

またしても、伸びたアーム部分から、東京駅に仰向けに転倒したゴジラの口内に凝固剤を注入して行く。

投与量、50%突破! 20が空になります。21番からの交代作業、急げ!

投与量、60%突破!

投与量、75%突破!血液凝固剤、投与すべき最低量を超えましたと安田。

投与量、90%突破!

最後までうごめいていたゴジラの尻尾が力なく地面に落下する。

投与量100%突破!臨界点を超えました!と凝固剤の注入度をノートパソコンのモニターで監視していた安田が言う。

頼む!計画通りに行ってくれ!と祈る隊員たち。 ゴジラの湿布がうねり、地面を叩き付ける。

やったか?と司令部は息を飲むが、次の瞬間、ゴジラはまた立ち上がり、東京駅に足を突っ込みながら咆哮するが、その時、その身体は瞬時に氷結してしまう。

胸部中央部の温度-196°に低下!

ゴジラ、完全に沈黙しました!

現時刻を持って「ヤシオリ作戦」を終了する!

ありがとう、ごくろうでした!と矢口が礼を言う。

立川でも安堵の色が広がる。 核爆弾発射まで1時間を切っていた。微妙なタイミングだがフランスを説得し続けた総理臨時代理のおかげだと赤坂は言う。

モレリ駐日フランス大使に深々と頭を下げている里見総理臨時代理の姿。

あの…、このサーベイデータ見てください!と尾頭がパソコンのモニターを巨災対メンバーたちに見せる。

ゴジラの新元素の半減期は20日だったか…と間が気づくと、これだと一ヶ月で半分か…、2、3年でほとんど影響が消えるなと森は喜ぶ。

ええ…、これで都内の除染に光明が見えます…、良かった…と尾頭は安堵する。

練馬駐屯地で矢口と会った赤坂は、ごくろう…、近々里見臨時内閣は全ての責任を取って総辞職する。

全て里見さんのシナリオだ。

せっかく崩壊した首都と政府だ…、まともに機能する形に作り替える。

次の臨時政府で巨大不明生物関連法案の成立と、東京復興のめどが立てば解散総選挙だ。

都の避難民が360万人いる瀕死の日本を立て直す新たな内閣が必要だからな… スクラップアンドビルトでこの国はのし上がって来た。

今度も立ち直れる…と赤坂は言う。

その後、「ヤシオリ作戦前方指揮所」でカヨコと会った矢口は、カウントダウンはあくまで中断…、ゴジラが再び動き出した瞬間再スタートする。3526秒後には発射される。良く許容したわね、そんなこと…と聞かされ、それがないと世界は安心しないだろう。 日本…いや、人類はもはやゴジラと共存していくしかないと言う。

フランスに情報を横流ししたでしょう?とカヨコが睨むと、フランスだけじゃない、世界中に共有させた。約束は破ったが後悔はないと矢口が言うので、あなたが手段を選ばない所は気に入ってる…、だから、辞めないでね?私が大統領の時、矢口が総理なら理想的なビジョンだからとカヨコは言う。

理想的な傀儡だ…、結果はどうあれ多くの犠牲を出した。

その責任を取るのが政治家の仕事だ。政治家の責任の取り方は自らの進退だ。自分の責任は自分で取ると矢口が言うので、ま、 牧と同じで好きにすれば?と言い残し、カヨコは帰ってゆく。

1人残り、凍結したゴジラを見ていた矢口は、だが今は辞めるわけにはいかない、事態の収束にはまだほど遠いからな…と矢口はつぶやく。

凍り付いたゴジラの尻尾の先には、人間の屍骸のようなものが複数付着していた。
 


 

 

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