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拳銃を磨く男

 

南廣主演の刑事物で、島田一男原作の映画化。

この後に3本シリーズ作が作られている。

61分と言う中編仕立てになっており、2本立ての添え物として作られた作品だと思う。

「ウルトラセブン」「V3から来た男」のクラタとしても知られる南さんの主演作があり、しかもシリーズ化されていたと言うことも驚きだが、頬がこけるほど痩せてイケメン時代の梅宮辰夫さんが同僚刑事として出ているのにも驚かされる。

もう1人の若手刑事を演じている草刈竜平と言う俳優さんもイケメンなのだが、あまり馴染みがない。

この当時から、東映は若手のイケメンをこの手の短い作品で起用して、徐々に現場に慣れさせて行っていたのかもしれない。

前半「七色仮面」で有名な波島進さんも出て来るし、課長役は「七人の刑事」や「警視庁物語」でもお馴染みの堀雄二さんなので安定感がある。

曽根晴美さんがハーフ役で登場しているのも意外だが、この当時の曽根さんは、確かにちょっと日本人離れした雰囲気があり、ハーフに見える。

島田一男原作ものだけに通俗ながらテンポは良く、飽きずに最後まで見られるが、本格ミステリのように細部までかっちり作っている印象はない。

主人公は警視庁の刑事でありながら拳銃の名手で、女にもモテまくるダンディな独身イケメンと言う設定からも、リアルな刑事物でないことは明らかだろう。

そうした主人公の前に次々と女性が登場するのも特長の一つ。

ちなみに劇中登場する「代々田駅」はどう見ても「代々木駅」なのだが、3番ホームには「吉祥寺」などと行き先が書かれていたはずだし、そこから電車に乗って犯人が降り立った駅も、どこだか見当がつかないような郊外の町だったりするから中央線のイメージなのだろう。

キャバレー、謎の中国人、偽ドルと云った当時の通俗ミステリの定番のような素材が使われている。 出来はまずまずと言った所で、それなりに楽しめる。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1959年、東映、島田一男原作、小川正脚色、伊賀山正光監督作品。

空き地で拳銃をくるくる回す男 「拳銃を磨く男」と異名をとる加下刑事(南廣)は、空き地にある棚の上に並べた瓶を片っ端に撃ち落として行く。

それを横で感心したように見ていた同僚の菊田刑事(波島進)は、クレー射撃のように脇から空中に瓶を投げあげてやるが、加下はそれも全部空中で粉みじんにしてみせる。

朝からほれぼれする腕だな、俺にも教えてくれよと菊田が頼むと、あいにくだが今夜は野暮用があるんだ!と加下は笑顔で断る。

タイトル キャバレー「オネガ」にやって来た加下刑事は、カウンター席に座っている高尾(岡譲司)と沢田(山本麟一)たちのことを監視し始める。

そこに子分が来て電話ですと告げると、沢田が事務室へ向かい電話をとる。

電話の相手が言うには、本庁のデカがこちらに来ている、今夜は止した方が良いと言う警告だった。

カウンター席に戻って来た沢田は、スパイがいるらしい、今夜はヤバいそうだと報告したので、それを聞いた高尾は、中止しようと決断する。

その直後、トラックに乗った警官隊がバーの前に到着し、あっという間に店内になだれ込んだ警官たちと客たちとの騒動が始まる。 加下は事務所に入ろうとするが、鍵がかかっているので、やむなく銃撃で鍵を壊し、中に入り込む。

しかし、既にもぬけの殻で誰もいなかった。 警視庁 公安三課長室 半年も張り付いていて引っかかったのは雑魚2匹か…、偽ドルの取引は確かだったのかね?君はしばらくさす見たまえ!と加下を前にして命じたのは課長(堀雄二)だった。

加下はもう少しやらせてくださいと頼むが、菊田くんと代われ!と命じた課長は、菊田を部屋に呼び出す。

やがて、加下の親友でもある菊田が顔を出す。

その後、加下と事件を検討した菊田は、何か手がかりないかな?と考え込む。

その後、留置場に入れられていた2名のチンピラは、若松弁護士(須藤健)のおかげであっさり釈放する。

警視庁前で、頭を下げて見送る2人のチンピラと別れた若松が車で走り去ったので、菊田は急いでタクシーを拾いその後を尾行する。

車を降りた若松はバー「桂子」に入って行ったので、それを確認した菊田は、タクシーを降りるとすぐ公衆電話に入り、課長に報告、今夜当たり、中の様子を探りますと言うと、井上と南条を外に張らせとこうと課長は答える。

その夜、バー「桂子」でビールを飲み始めた菊田に、ホステス由美子(岡田敏子)が近づいて来て、あんた、この辺で見かけない顔ねと言いながら同席したので、君みたいな美人がいると聞いて来たのさと菊田は調子良く返事をする。

そこに沢田がやって来て、カウンター席から見慣れぬ客の菊田を発見、テーブルにやって来ると、ここは旦那みてえな堅気の来る所じゃありませんぜ…と睨みつけ、菊田が平然としているので、何とか言ったらどうだい!俺は親切で言ってるんだぜ!と凄んで来たので、つまりこの店は暴力バーってことなんだね?と菊田は聞き返す。

何!といきり立った沢田は菊田の頭をビール瓶で強打、沢田は呼子を吹き鳴らしたので、ヤバいと感じた沢田は店から逃げ出すが、店の前で張っていた井上(梅宮辰夫)と南城領刑事(草刈竜平)に逮捕される。

留置場に入れられた沢田は、いい加減出したらどうだ!と留置場の外にいた菊田に呼びかけるが、沢田は俺が聞いたことを言ったら出すさと言うので、そんなこと知るか!と沢田は癇癪を起こす。

その後、沢田と同じ牢に入っていた六助と呼ばれる年寄りが釈放されることになる。 沢田はその六助に、西町のバー「桂子」のママに渡してくれとそっと何かを託す。

警視庁を出て西町に向かおうとしていた六助の後を尾行していた加下は途中で呼び止め、さっき頼まれた者を出しな!と警察手帳を示しながら頼む。

六助は仕方なさそうに沢田から預かった紙片を手渡す。

署に戻った加下は「代々田 10AM No.3」と書かれた紙片の内容を菊田と2人で検討する。

何の暗号だろう?とタバコをくわえ考え込む菊田。

加下が自分のライターで火を点けてやると、良いライターだなと菊田が褒めたので、加下はもらいもんだけど良かったらくれてやるよとプレゼントする。

加下は「代々田」は「代々田駅」のことじゃないか?と気づく。

バー「桂子」にやって来た高尾は、どうして連絡をしてくれないんだ?夕べ沢田が来て、何か渡したはずだとマダムのお桂(日高澄子)に文句を言うので、いいえ…と不思議がったお桂は、三太の奴、渡す前に喧嘩を始めたのね…、しかも警察に捕まったのと事情を察し高尾に打ち明ける。

それを聞いた高尾は、時間がない出かけようとお桂を誘う。

代々田駅前で張っていた加下と菊田は、高尾とお桂が駅に入って行き、3晩ホームで、バッグを持ったサングラスの女と合流したのを見届ける。

No.3ってプラットホームの番号のことだったのかと気づくと、高尾とサングラスの女はやって来た電車に乗り込んだので、加下と菊田もさりげなく乗り込む。

ある駅が近づくと、隣り合って座っていた高尾が、さりげなく横の女が持っていたバッグを手に降りようとするので、電車の中で取引しやがった!と気づいた加下は、俺は男を王から、君は女を追ってくれと菊谷さりげなく頼む。

高尾は山間の駅で降りるとタクシーに乗り込んだので、一緒に降りた加下は、近くに停車中だったパトカーの警官に警察手帳を示し、あの車を追ってくれと頼み、同乗させてもらう。

助手席に乗ってパトカーに尾行されていることに気づいた高尾は、拳銃で運転手を脅かし、スピードを出すように強要する。

90km、100km、タクシーは山間の道をぐんぐんスピードを上げパトカーを振り切ろうとする。

しかし、その直後、ハンドルを切り損ねたタクシーは、崖から転落する。

翌日、警視庁の課長室に来た加下は、高尾が持っていたバッグの中身は香港ものの偽ドルだったと言う課長から、哀しむべきニュースがあると聞かされる。

菊田が死んだと言うのだ。 今朝方、錦ヶ岬に死体が浮かんだ。

一発頭にぶち込まれていたと言うので、あの女だ!と加下は悔しがる。

沢田は小者だし、若松も事件には関係ないらしい…と伝えた課長は、仇を取りたい!仲間が殺されたんだ!徹底的にやれ!と加下や井上たちに命じる。

その後、自宅マンション日帰ってきた加下は、タンスの扉の内側にかけていた銃を取り出すと、俺の同僚まで殺しやがった…、この仇はきっと取ってやる!と心に誓いながら銃を磨き始める。

その夜、加下はバー「桂子」に客として潜入する。

お桂は加下を気に入ったようで、何の仕事しているの?と聞いて来たので、善と悪とを分けると悪の方だなと加下はとぼけるが、女をずいぶん泣かして来たんでしょうね?私も口説いていいかしら?などと迫って来る。

その時、お桂は、ボックス席の客に呼ばれて離れて行ったので、続いてホステスの由美子(岡田敏子)が、うちのママ、良い男には全然手が早いんだから気をつけないと…と話しかけて来る。 俺はあいにく婆さん好みじゃないんだ、あんたの方が…などとまたもや適当に答えていたが、その由美子もボックス席のお桂に呼ばれてそちらへ向かう。

すると今度は、カウンターの中にいたもう1人のホステス富貴子(八代万智子)が、ライターで加下のタバコに火をつけながら、あの子にはヒモが付いているのよ、沢田って言う怖いお兄さんが…と陰口をきいて来たので、そのライターに目を留めた加下が、今夜終わったら付き合わないか?と誘うと、本当!と喜び、良い所に案内するわとすぐに返事をして来る。

その夜、富貴子と一緒に別の店に行った加下は、富貴子が又さし出して来たライターを変わったライターだな?と指摘する。

知らない?用心棒の今井って男からもらったの、今こっち見てるわ!欲しいって言った訳でもないから、今夜にでも返しちゃうわと答えた富貴子は、ね?踊らない?と誘って来る。

踊り始めた富貴子と加下を、店の隅から今井(佐原広二)はじっと見つめていた。

ママの男のことを聞くと、死んじゃった、錦ヶ崎って所から落ちちゃったんだって…、でもママ、お金持っているから、男なんて何とも思っちゃいないわよと富貴子は言うので、ドルを扱っていると聞いたんだけど?とカマをかけてみると、知らないわと言う。

ママの所に良く来てたのは沢田だけかい?と聞くと、ママは銀座のセーヌ画廊って所の社長とも付き合いがあったわと富貴子は言う。 加下はすぐさま、銀座のセーヌ画廊に向かう。

社長室に入りかけた加下は、社長と言うのは、先日、代々田駅で出会ったサングラスの女と気づき緊張するが、眼鏡をかけた変装姿で「週刊20世紀」の吉岡と申しますと名刺を渡すと、社長は小太刀涼子(故里やよい)と名乗る。

インタビューを申し込むと、今日は夕方までスケジュールが詰まっているので、時間は後でお宅の社に電話するわと涼子が言うので、結構ですと笑顔で答えた加下は一旦引き上げることにする。

加下が部屋を出て行くと、涼子はブザーでジョージ(曽根晴美)を呼び出す。

その後、「週刊20世紀」編集部主任の吉岡(岡野耕作)に会いに行った加下は、無断で君の名前を借りた、大学の時以来の友人じゃないか、分かってるって、トップ記事をくれって言うんだろう?任しとけ!と頭を下げていた。

その直後、主任宛に電話がかかって来たと編集者が言うので、加下が受話器を取り、分かりましたと答えると、どこで待ち合わせだ?と聞いて来た吉岡に、8時にここの前だとさと教える。

8時、出版社の前にやって来たのはジョージが運転する車で、ミスター吉岡ですか?と聞かれた加下は笑顔で頷いて後部座席に乗り込む。

とあるマンションの5階の58号室に連れて来られた加下は、ドアが開いた途端、涼子が撃って来たので、撃ちかえす。

涼子の銃弾はジョージに当たり、加下の銃弾に倒れた涼子とともに床に倒れる。

畜生!こんなことだと思った!と加下は悔しがる。

「女性画廊主人が混血青年と即死」との報道はすぐに新聞に載る。

再びセーヌ画廊に出向いた加下は、受付係の小柳つや子(峰博子)に、社長の涼子が偽ドルを扱っていたことを知っていたか尋ねると全く知らないようだった。

今、1ドル=360円だって知ってるよね?これが闇では400円から450円くらいになるんだと加下は説明し始める。 2000ドルで4000円ずつ増える訳です。

海外の日本人も偽ドルで所持金が増しますと加下が教えると、あのマダムがそんなに悪い人だったなんて…、でもそのマダムがなくなって、この画廊はどうなるんでしょう?とつや子が困惑するので、私が責任を持って次の仕事を見つけてあげますと加下は約束する。

画廊はしばらくこのまま続けてくださいと頼んだ加下は、社長が付き合っていたのは?と聞く。

沢田さんくらいかしら…とつや子が言うので、ちょくちょく来てたの?と聞くと、強請りに来ていたのと言う。

後は、ニーナと言う人が時々来ていたわとつや子は言う。

その時電話がかかって来て、つや子が取ると、加下宛だと言う。

電話に出てみると釈放された沢田からで、今朝出て来たが、ボスは仲間を次々に消して行くので怖くなったので何でも全部話したい。

10時に神谷精機(?)の引き込み線で会ってもらいたいと言う。

その夜、引き込み線の所へ出向いた加下は、堅気になるなら人はだ脱いでやっても良いぜと言いながら待ち受けていた沢田に近づくと、沢田が撃って来たので、そんなことだろうと思ったと言いながら加下も撃ちかえす。

貨車の間でしばし銃撃戦を繰り返したあげく、加下は沢田の帽子と銃を撃ち落とし、殴りつけて手錠をかけようとする。

その時、銃声が響き、沢田は突然倒れる。

引き込み線から逃げて行く狙撃犯の後ろ姿を加下は見つめる。 翌日、課長は、奴さんたちも相当あがき始めたな、手がかりになりそうな奴が次々と消されて行く…と悔しがるが、加下は、沢田が持っていた金は全部同じ銀行のものでした、流れた銀行を調べてみますと加下は言う。

銀行に行ってみると、10日前にある方が引き出されたお金だと言うだけで、職業上、客名は教えられないと言うので、加下も、じゃあこっちも職業上やむを得んことをしましょうか?と脅すと、あっさり客の名前を打ち明ける。

警視庁に呼び出した長浜月枝(中野かほる)にニーナ・キリーヨとの関係を聞くと、私は金貸しですよ、しっかしした裏付けがあれば誰にもお金は貸しますと言い、今は、ピアスホテルの地下でバーをやってますよと教える。

ピアスホテルの地下のバーでは、ニーナ・キリーヨ(エリス・リクター)に弁護士の若松が会いに来ていた。

客を装って来ていた加下は、そんな2人の様子を監視していた。

ニーナは後でゆっくりねと断ろうとするが、若松が急いでいるようなので上の部屋に連れて行く。

あなたは石塚さんから500万借り、300万10日前に返しました。

残りの200万はどうしたのですか?と若松が聞くと、ニーナは、もう少し待ってくださいと頼み、一緒に話を聞いていた野上(河野秋武)も、石塚も我々も仲間じゃないか、我々も金貸しから金を借りて300万返したんだよと言い訳する。

しかし若松は、あんた方とはもう付き合いたくないんだ!わしは偽ドルとは関係ない!と言うので、ニーナは、シャラップ!と怒り出す。

その直後、ニーナに話しかけようとしていた若松の背後に回った野上がいきなり若松の後頭部を殴りつける。

そんな室内の様子を、ドアの外で加下が耳を澄ませて聞いていた。

ニーナと野上は気絶した若松の腕を引っ張って窓の方へ引きずってゆく。

その直後、ホテルの前の路上に墜落死した若松の死体が発見され、警察の現場検証が始まる。

加下も、客の1人として居残り、警察の事情調査を受ける芝居をする。

自殺じゃないのですか?と店側が不思議がるので、頭に打撲傷があったので殺人事件だと思われますと担当刑事が説明する。

加下は、井上に同行し、別室に連れて行かれる振りをして、一緒にニーナの部屋に入り込む。

若松をやったのはニーナと野上に違いない。ニーナが外地から偽ドルを持って来るルートが分からないと加下は言い、井上とともに室内を物色し始める。

加下は、ベッドの下に並べられていたハイヒールの1つから「262」とかかれた鍵を見つけ出す。

部屋の鍵でも車の鍵でもなさそうだった。

加下は浴室に向かうと、そこにあった石けんでその鍵の型を取る。

翌日、八重洲のロッカールームにやって来たニーナは、262の鍵を使い、中に何かを入れるが、その様子は貸したが密かに見守っていた。

ニーナが立ち去った後、加下は作っておいた合鍵で、262のロッカーを開け、中に入っていた紙切れを読む。

「10月6日午前10時横浜オーシャン丸」と書いてあった。

加下は急いで紙切れをロッカーに戻し、鍵をかけて待機すると、ほどなく眼鏡をかけた男がやって来て、262のロッカーから髪を取り出すと、それを読んで持ち帰る。

警視庁の公安三課課長室では、課長が黒板に書いた人物関係図を前に事件を整理していた。

香港ボスが全然姿を見せていないのが気がかりで、日本側のボスの正体はいぜん分からないままだが、八重洲のロッカールームにやって来た眼鏡の男は石塚喜久雄(斎藤紫香)と言う男で、キャバレー「オネガ」の関係者だと言う。

この事件では菊田刑事と言う貴重な命が奪われている通り、このボスは相当狡猾で残酷と思われると課長は刑事たちに注意を促す。

自宅マンションに戻って来た加下は、鼻歌を歌いながら拳銃を取り出し、洗面所へ向かうが、その洗面所の鏡に映ったドアのノブがゆっくり動いていることに気づく。

加下は銃を取ると、振り向き様、銃を片手に入って来た今井を撃つ。

銃を弾かれた今井に駆け寄った加下は、石塚に頼まれたのか?菊田刑事をやったのもお前だろう?と詰め寄り、部屋の中に引きずり込むと殴りつける。

横浜 海に浮かぶオーシャン丸の様子を波止場から眺める課長以下、公安三課の面々。

杉山刑事(菅沼正)が、資料室から密輸関係者の写真を持って来たと課長に見せる。

やがて、オーシャン丸から降りて来た客の中に、揚長二(神田隆)とジェーン・李(藤里まゆみ)の2人の姿を確認する。

我々は揚の方を追うので、井上と南条は李の方を追ってくれと課長が命じる。

香港ボスはどっちか?と課長が悩むので、揚と李は、バー「桂子」には現れないでしょうと加下は推理する。

その後加下は、セーヌ画廊のつや子に会いに行き、何か変わったことはないかと聞くと、石塚喜久雄と言う人物がこの画廊をお買いになったそうですと言う。

そこに杉山刑事が来て、連中が横浜に向かっているらしいと言うので、横浜で待機していた井上刑事と加下は合流する。

様子を見ると、李が男たちに何か荷物を車に積み込まさせている所だった。

井上と加下は、出発した李の車と荷物を積んだバンを尾行し始める。

李は尾行してくるパトカーに気づき、バンとは別の道に逃げ込む。

警視庁の課長室では、捕まったバンから応酬された偽札は、沖から箱ごと海に投げ込まれ、仲間が回収する気だったのだろうと推理した課長が、李に逃げられたのは残念だったが、奴らが日本にいる限りは袋のネズミだと言っていたが、そこに電話が入り、石塚が銀座に向かったとの報告を受ける。

セーヌ画廊に行くものと思われ、欲ボケした奴があそこに集まる。

こいつは面白いことになって来たぞと課長は言い、加下も、目鼻が付いて来たようですねと同意する。

加下はすぐにセーヌ画廊に向かい、つや子と打ち合わせして、画廊内の物陰に隠れて待つことにする。

やがて石塚がやって来て、つや子さんですか?石塚です、今度、私がこの店を買いましたと挨拶すると、すぐに画廊内に飾ってあった一枚の絵に近づく。

その油絵を外すと、その下には隠し金庫があり、石塚は、つや子が見ているのも構わず、うれしそうにダイヤルを回し始める。

扉を開いた石塚は、札束が詰まった金庫の中に仕掛けられていた拳銃発射装置によって、眉間を撃ち抜かれその場に倒れる。 それを見ていたつや子も恐怖のあまり失神してしまう。

驚いた加下がつや子に駆け寄り介抱するが、何事かと入り口付近に野次馬が集まり、その中には野上の姿もあった。

加下は署に電話を入れ、石塚が死んだことを報告すると、ニーナには僕が会ってくると伝える。

ソファに座っていたつや子には警官を呼んだから動かないでと言い聞かし、画廊を後にする。

その直後、つや子に近づいた野上は、自分は加下くんの同僚で、あなたを危険から保護するようにと言われましたと話しかける。

しかし、野上の車に乗り込んだつや子は途中で方向がおかしいことに気づき、どこへ行くんですの?と聞く。

すると運転をしていた野上は拳銃を取り出し、お嬢さんは黙って付いてくれば良いんだ、騒ぐとぶち殺すぞ!と脅す。

ニーナはバーのスタッフに、石塚が死にました、危険です。私、香港に帰ります。10時に羽田に行きます。ボスに連絡頼みますと話していたが、その時、お前が行くのは別の所だ!と声をかけやって来たのは加下だった。

ニーナ・キリーヨ!君を逮捕する!と言うと、逮捕状ありますか?と聞いて来たので、手錠を出してかけようとすると、手錠を捨てろ!両手を上げろ!と背後から呼びかけたのは、つや子を拉致して来た野上だった。

ニーナは加下の銃を奪い取ると、つや子と一緒にライン蔵に連れて行く。

お前たちはここで仲良く眠るんって訳さと野上は笑い、日本の警察も香港までは無理ねとニーナも嘲笑する。

逃げられると思うのか?と野上は迫るが、その時加下は背後に立っていたニータの靴を踏みつけ、相手が痛がって姿勢を崩した隙に銃を再び奪い取る。

その間、野上は外へと逃げ出したので後を追う加下。

ドラム缶の集積場に逃げ込んだ野上は、加下と撃ち合うが、かなわないと気づくとその場から逃げ出そうとする。

止まれ!と空に銃を撃って威嚇した加下は、止まって振り返った野上とつかみ合いになる。

そこに車でやって来た李と揚は車を降りると、加下を射殺する。

右腕を撃たれた加下も撃ちかえしたので、揚は即死する。

揚!と倒れた揚に駆け寄る李だったが、そこへパトカーが集まって来て警官たちが取り囲む。

加下の手の傷は思ったより軽く、思ったより早く退院できたので、見舞いに来た課長は、今回の活躍は総監賞ものだぞと褒める。

加下は一緒にいたつや子を鑑識かどっかで使ってもらえませんか?彼女には活躍してもらったから、大いにごちそうしなくちゃと課長に頼む。

課長は俺にはしてくれないのか?と言うので、課長、アベックの邪魔をするんですか?と加下は言い、課長もこいつは参ったなと苦笑し、車に乗り込むと帰って行く。
 


 

 

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