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一発かましたれ

 

ずぶの素人がひょんなことから弱小ヤクザ一家の親分を引き受けざるを得なくなると言うサラリーマンコメディ

何だか「セーラー服と機関銃」(1981)や「二代目はクリスチャン」(1985)などを連想したくなる設定である。

藤田まこと主演で、園まり、犬塚弘、谷啓と云ったナベプロタレントも出演している。

上田吉二郎や大泉滉と云った俳優さんが喜劇をやっても不自然ではないが、花澤徳衛や待田京介と云ったどちらかと言うと強面イメージがある俳優さんがコメディを演じているのは珍しいような気がする。

園まりさんが劇中で歌を歌わず、演技だけで出演なさっていると言うのも珍しいような…

劇中にわざとらしく「銘菓ひよこ」が二度も出てくる所からタイアップしているらしく、かなりの低予算作品なのだが、小山幹夫監督はこの作品が「昇進第一回作品」とスタッフロールに出てくるので、それなりに張り切ってアイデアを盛り込んでいる雰囲気は伝わってくる。

1960年前後の日活作品で、商品とのタイアップと言うのは良く見かけるが、60年代半ばの東映作品で「銘菓ひよこ」とのタイアップをしていると言うのは意外だった。

元々博多の銘菓だったものが東京進出していた時期だったのかもしれない。

内容的にはどうと言うこともない展開なのだが、世間では暴力追放運動がうるさくなっていた時代のパロディだと言うことが分かる。

映画の方では、逆にヤクザ映画全盛になって行く時期の作品であるのが皮肉だ。

劇中で、潮健児さんがジェームズ・バンドなどと名乗ったり、アタッシュケースの中にいろいろ兵器が詰まっているギャグなどがあるので、「007」ブームのまっただ中だったことも分かる。

気になったのは、藤田まことさん演じる主人公が片思いをする社長秘書涼子を演じている中西杏子さんと言う女優さん。 モデルのようにきれいな方なのだが、女優としてあまり馴染みがある方ではない。

調べてみると、本作以外には、日米合作「男の嵐」(1963)と1965年公開の数作品に出ておられるだけのようだ。

東映作品と松竹作品に出ておられていると言うことは、特定の映画会社専属女優と言うことでもなかったのかもしれない。

出来としては、添え物映画としては普通くらいと言った所だろうか。

細かいことだが、キネ旬データベースのキャスト表に「兄六」と書かれている役名は「只六(ただろく)」と言っているように聞こえるし、花山役は谷啓さんで、藤山寛美さんは佐々木小太郎と劇中で名乗っている。

正直な所、びっくりするほど面白いと言う感じではないが、健さんファンなら一見の価値はあるだろう。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1965年、東映、笠原良三+安倍徹郎脚本、小山幹夫監督作品。

暗がりの中からスポットライトを浴び登場し、画面に向かった黒めがねの男が、こちらに拳銃を突きつけながら、こら!ごちゃごちゃ抜かしとったら、一発かましたるで!と威嚇する。

タイトル

キャスト、スタッフロールの黒バックに、小さいフレームが左右に出現、左側では踊るヌードダンサーのバタフライのアップ、右側では、その左フレームの踊りを見て鼻の下を伸ばす黒めがねの男のだらしない顔

ロマンス製薬の宣伝課員日森千太郎(藤田まこと)は、朝、安アパートの寝床の中で、色っぽい夢でも見ているのかにやついていた。

その時、天井から鎖で吊るされていた何十個もの目覚まし時計が一斉に鳴り出したので、寝ぼけ眼で起き出した千太郎はその時計を一つずつ止めて行く。

洋服ダンスの扉を開けると、奥には、会社の社長秘書美川涼子(中西杏子)の大きな写真が貼られており、千太郎はそれに向かって、涼子さん、2人が結婚できるまでお互いに頑張りましょうと手を合わせる。

1人で陶酔状態になった千太郎は、ズボンもはかずに部屋を出ようとし、慌てて戻って来てスーツのズボンをはく。

電光掲示板の時刻が8時56分を示す中、ロマンス製薬のビル内には、総務部長の藤岡(益田喜頓)はじめ、大量の社員たちが駆け足状態でなだれ込んでくる。 彼らは一斉にエレベーターに乗り込み、乗り切れなかった連中は階段を駆け上ってゆく。

エレベーターで5階に到着した藤岡らは、一斉に一番奥の社長室に向かうが、社長室の前には、既に椅子を廊下に出した社長黒岩大八(若宮忠三郎)が、じっとやって来た社員たちを睨み据えて座っていた。

社員の皆様、社長訓示がございます!全員屋上へお集まりください!と車内放送が流れ、ビルの屋上に社員たちが全員集まる。

諸君、あれを見たまえ!と社長が指差す方向には、ロマンス製薬の新精力剤「サムソン-D」の巨大看板がそびえていた。

半間宣伝課長のアイデアだ、半間、ご苦労!と社長からねぎらわれた半間(藤村有弘)は、社員と向き合うように前列に並んだ幹部たち列の藤岡の隣に立っていた。

我が社はこの新精力剤「サムソン-D」を中心に売り出して行くつもりだが、最近、ハッピー製薬が類似の精力剤を販売し出した…と社長訓示が続く中、半間は、屋上の隅から姿を現した千太郎に気づき、隠れろ!とジェスチャーで伝えようとするが、横の藤岡に不審がられ止められる。

社員の列に加わろうとしていた千太郎の方も、半間の意図が良くわからず、うろうろしている時に社長に見つかり、名前を聞かれてしまう。

宣伝課日森千太郎です!と答えた千太郎だったが、部屋に戻って来た後、課長に、せっかく褒められた所だったのに、君のために宣伝課として恥をかかされたとこっぴどく注意される。

千太郎は、時計が30分遅れていまして…と言い訳するが、総務部長が5000円減俸すると言っとるぞと半間から言われると、さすがに愕然とする。

昼休み、食堂で宣伝課の同僚たちと昼飯を食っていた千太郎は、憧れの涼子がやって来て、半間と同じテーブルで食べ始めたのをうらやましそうに眺める。

同じように涼子を見ていた同僚の真田(杉義一)も、良いマスクしているな〜とほれぼれしたように感心する。

しかし、上の空状態になった千太郎が5000円の減俸のことで頭が一杯であることを一緒のテーブルで食べていた桑野糸子(園まり)は気づいていた。

その夜、千太郎は総務部長の藤岡の自宅を訪ねていた。

藤岡が応接間のテーブルのボタンを押すと、壁にかかった「母さん、花子、美子」と書かれた掲示板の母さんの部分が光る。

呼ばれてやって来た妻に、千太郎は土産として持って来た「銘菓ひよこ」を渡す。

遅刻は初めてなんですと言い訳する千太郎に、君がこれまで遅刻7回、無断欠勤1回だと言うことは調べが付いてるんだと藤岡は冷ややかに答えるので、千太郎は自分の月給は35000円で、手取り3万です!と訴え始める。

アパート代が7000円、月賦が8000円、服その他が1万5000円かかるので、5000円減俸されると、タバコ1本、コーヒーも飲めません。タバコやコーヒーは我慢するとしても、結婚計画が成り立たなくなるのです! 部長!僕の結婚への希望を与えてください!お父さん!と呼びかけたので、藤岡は面食らう。

さらに、茶菓子を持って来た妻にもお母さん!と呼びかけ、部長は死んだオヤジに「そっくりなんです!などと言いながら、千太郎はさめざめと泣いてみせる。

さすがにそこまでやられた藤岡は、今回だけは大目に見てやるが、今後絶対に遅刻してはいかんぞ!と言い聞かすしかなかった。

翌朝、千太郎の「平和荘」の二階の部屋の窓から外の通路に伸びた紐を、登校途中の数人の小学生たちが引っ張りながら、まだお兄ちゃん起きないのかな?と二階を見上げていた。

二階の部屋の中では、布団の上で足に結びつけた天井から伸びた紐を引っ張られ、ほぼ逆立ち状態になっていた千太郎が何とか目を覚ましていた。

町の電光時計が8時40分を示す中、ロマンス製薬のビルにやって来た千太郎は、そこにいた守衛に、今日は僕が一番だろう?と自慢げに話しかけるが、今日5月10日は創立記念日で会社は休みですよと言われ、又愕然とする。

そんな千太郎の前に近づいて来た見知らぬ男2人の年上の大村鉄三(花澤徳衛)の方が、日森千太郎坊ちゃんじゃおまへんか?と声をかけてくる。

もう1人の丘金吉(待田京介)も、てめえ生国と発しますはハワイ!ワイキキの浜辺で産湯をつかい…などと奇妙な仁義を切り出したので、訳が分からない千太郎はいきなり会社を飛び出し逃げ出す。

二人のヤクザもその後を追って来たので、千太郎は喫茶店「BRAZIL」に飛び込み、メニューで顔を隠し、表をお取りすぎて行く2人をそっと見送る。

何とか逃げ果せたとほっとした千太郎は、注文を聞きに来たウエイトレスに、お冷や!アイスウォーター!と答え、ああ、冷たい水ですねとバカにしたように言われる。

その後、天国荘に帰り着き、二階の部屋を開けた千太郎は、先ほどの2人が部屋の中で、ボンボン、お帰りやす!と挨拶して来たので呆然とする。 あんたら、誰や?と聞くと、わいら、子分でんがな、お父はんの千波万太郎はんが作りはった大阪千波組の大村鉄三!通称吉良鉄!わいは丘金吉、飛車金言います!と2人は名乗る。

昨年来の暴力団追放運動で親分が捕まり、ムショの中でころっと逝ってしまはりました。悪性流感で…と言う。

親分の死後は組はバラバラになり、残ったのはわいら2人きりになった。 このままでは親分がお気の毒です、親分の血を引くのはボンボンだす、二代目親分ですがな!と吉良鉄は言い、軍資金ならおまんねん、500万ありますと良い、腹巻きの中から札束を取り出す。

親分の遺産です、ボンボンのものでっせと吉良鉄が言うと飛車金もバッグを広げ、親分の着物を出してみせ、ヤクザの魂だすなどと言う。

吉良鉄も、これも固めの印ですと言いながらドスを差し出して来たので、僕は金や固めの印なんていらない!千波組なんか関係ない!僕は妾の子さ!ヤクザなんか、蛇、クモ、ナメクジ、ゲジゲジより嫌いや!と答えると、人間、人の上に立たんとあきまへんで!と言う吉良鉄が座っていた座布団を抜き取り、脱いだ自分のズボンの上に置くと、自分が重し代わりに座る。

しかし、吉良鉄は、このままでは大阪に帰れまへん、居座らせてもらいまっさと言う。

翌朝、割烹着を着た吉良鉄が、ボンボン、起きて!朝飯できてまっさかいと言いながら、無理矢理抱いて起こすと、洗面所で歯ブラシを持って待ち構えていた飛車金が、やって来た千太郎の歯を勝手に磨き出す。

朝飯の飯台も用意されるが、皿に乗っていた沢庵は全く切れておらず、引っ張り上げると蛇腹のようになる。

2人の子分に、僕は朝飯食わないことにしてるんだ!と叱りつけた千太郎は、いつものように、タンスの扉を開け、奥の涼子の写真に向かって笑顔で合掌して出かけてゆく。

直後、タンスの中を調べた飛車金は、このスケ何だす?と言うので、死によったボンボンのスケやろ、さすが二代目や!やりよるな…と吉良鉄は感心し、2人はタンスの奥に貼られた涼子の写真に合掌する。

その日、ビルの屋上に立つ「サムソン-D」の看板を見上げながら「ハッピー製薬」の社長永井(ミヤコ蝶々)に会いに来たのは、紋付袴姿の車先生(由利徹)だった。

銀座のど真ん中に大きな広告塔が建ちましたな、あれを見てライバル会社が何とも思わんと言うのは不感症ですよなどと挑発したので、不感症とは何です!と永井は不機嫌そうに言い返す。

広告塔を降ろしてあげましょうか?30万で…と車が言い出したので、ハッピー製薬にはそない出せないと永井は断る。

これはあなたと私の話ね…と言うと、車は永井の耳に何事かささやきかける。 その後、車先生は八尾長興行のビルにやって来て、社長の八丁善六(上田吉二郎)に会う。

善六は、最近の組織暴力追放運動で青息吐息ですわとヤクザの現状を訴える。 そんな善六に、良い話を持って来たと車先生は笑う。

すぐさま子分の只六(佐藤晟也)と双六(潮健児)を引き連れ、ロマンス製薬の社長室に乗り込んで来た善六は、銀座八尾長組の八丁善六と名乗ると、一体誰に断ってわしの顔をさらしとるんだ!と、窓から見える「サムソン-D」の広告塔に使われているモデルを指す。

確かに、広告塔に大きく使われている笑顔の逞しい男の顔は善六と瓜二つだった。

騒ぎを聞きつけ社長室に入って来た藤岡が、強請に来たのか?警察を呼ぶぞ!と虚勢を張ると、わしは金なんて要求していない、あの広告塔を取っ払ってくれれば良い、家に帰って返事を待っているからなと言い残すと、子分たちと帰って行く。

藤岡は直ちに広告課長の半間を呼びつけ、モデルを選んだのは君だろう!と叱りつけ、半間は部屋に戻ってくるなり、千太郎を呼び、君がモデル候補の写真の中に入れてるからこんなことになるんだ!君が相手に会って謝って来たまえ!と命じる。

半間はその直後人に呼ばれて退室するが、この話を側で聞いていた糸子は千太郎と喫茶店「BRAZIL」で2人きりになると、日森さんの気持分かるわ…と、半間の日頃の横暴ぶりに同情する。

勘定をウエイトレスに聞いた千太郎は、650円と言われたので、ケーキはいくら?と聞くと450円と言われ、高いな…とぼやきながらも、持ち合わせが足りなかったので、月給日に返すからと断り糸子から借りることにする。

その後、「八尾長興行」のビルの一室へ出向いた千太郎は、ラーメンを啜っていた双六に、ロマンス製薬から参りましたと声をかけ、善六に、このたびはどうもすみませんでしたと詫びると、持って来た土産を手渡す。

しかし、子分がその場で開けた箱の中身が単なるケーキだと知ると、ただの菓子やないか!と怒り出したので、月給が安いもんで…と言い訳しながら千太郎は泣き出す。

そんな千太郎は顔にケーキをぶつけられ、生クリームだらけになった所を、この若造を叩き出せ!と善六から命じられた子分たちに袋だたきにされる。

しょんぼりして「平和荘」へ戻って来た千太郎は、タンスの中に仏壇を作り念仏を唱えていた吉良鉄、飛車金を見て、彼女はちゃんと生きてるんだぞと怒ると、位牌などをタンスの中から取り出して捨てる。

片思いか…と気づいた吉良鉄だったが、千太郎の顔の傷に気づくと、どこのどいつがやりましたんや!と訳を聞く。

しかし千太郎は、しようがないんだ、相手はヤクザなんだ…、もう良いんだ、僕が首になれば良いんだ…などと泣き言を並べるだけなので、詳しい話を聞かせとくんなはれと吉良鉄は千太郎に迫る。

その後、ロマンス製薬の半間に、宣伝課長か?と電話がかかってくる。

公衆電話から電話をしていた吉良鉄は、自分は千波組の大幹部の吉良鉄と言い日森の遠縁のものだが、今ヤクザともめているらしいじゃないか?と伝えると、半間は、今晩、神楽坂の「ふじや」で会うことになっていると打ち明ける。

その晩、「ふじや」で半間と会っていた「八尾長興行」の善六は、広告塔のモデルの件で言い訳をする半間にコップのビールを浴びせかける。

その時、突然座敷に乱入して来たのが、吉良鉄、飛車金を従えた黒めがねに黒服、口ひげの男で、代表して吉良鉄が、大阪千波組の者や、このヤマは千波組の親分に任せてもらえないか?ほんまもんのヤクザやったら素人に迷惑をかけんのが筋じゃねえのか!とテーブルに片足を載せて啖呵を切る。

何!と同じように片足をテーブルの上に乗せて対峙した双六が持っていたリンゴが、次の瞬間、四つに切れる。 吉良鉄のドスが走ったのだった。

表に出ろ!と言うことになり、中庭に降り立った「八尾長興行」の双六、只六と吉良鉄、飛車金のドタバタ喧嘩が始まる。

半間は、黒めがねの仙波組の親分にOKサインを出してみせる。

その後、半間は仙波組の3人をキャバレーに連れて行きねぎらう。

ヌードダンサーが踊る中、あなた方は正義の味方と言うことですななどとお世辞を良いながら、半間は吉良鉄らにビールを勧めていたが、そう言う半間に、こういう場合、部下に手柄を譲るのが上司ってもんなんじゃねえのか?わいらの遠縁の日森のことや!最初に「八尾長興行」に詫びに行ったらしいじゃねえか!と吉良鉄は説教する。

すると半間は、目の前にいる黒めがねの親分が千太郎とは気づかず、あいつは月給泥棒ですよなどと悪口を言う。

その時、店にやって来たのが涼子で、半間は席を立つとカウンター席の涼子の隣に座ったので、千太郎は気になって見つめる。

すると、涼子の方でも千太郎のことが気になるらしく、あの人誰?と聞くと、半間は、広告塔の一件で頼んだヤクザだよとバカにしたように教える。

でもちょっとすてきじゃない…、ねえ、紹介してよと涼子は言い出す。

半間は困惑しながらも、テーブル席に涼子を連れてくると、社長秘書の美川涼子さんですと紹介すると、自ら千太郎の隣に座った涼子は踊っていただけますか?と積極的に誘ってくる。

突然の大チャンスに上がりまくった千太郎は、無言で涼子と踊り始めるが、あなたって意外とおとなしい人…などとからかってくる。

そんな涼子に、あんた、課長はんが彼氏と違うか?と千太郎が聞くと、そう見える?別に関係ないわ、今夜、送ってくれない?OKなら強く抱いてよなどと言うので、千太郎は夢見心地で涼子の身体を抱きしめる。

そんな2人の様子を気にしながら見つめていた半間と子分のテーブルに戻って来た千太郎は、このスケ送って行くと伝える。

涼子が千太郎を連れて来たのは、オカマバー「カマトト」だった。

オカマのママ(大泉滉)は、ブランデーを注文した千太郎と涼子の仲に嫉妬する。 この店、課長はんとちょいちょい来るのか?お前大した不良やな…と千太郎は少しがっかりして言う。

タクシーに乗り込み、もう一軒行かない?と誘って来た涼子に、明日、会社に遅れたらいかんさかい…と千太郎が断ると、会社?と涼子が不思議がったので、会社のもめ事の相談に乗るんやと千太郎は慌ててごまかす。

平和荘の部屋に戻って来た千太郎は何故か浮かない顔をしており、彼女が惚れてるのは本当の俺じゃない…、俺であって俺じゃない…、昼間の俺はどうなっとるんじゃい!と、先に戻って来ていた吉良鉄と飛車金に愚痴る。

あの女子は、そう言うボンボンに惚れてるんだと吉良鉄が慰めるが、ヤクザなんかに惚れるような彼女の目を覚まさせたいんだ!と千太郎は反論する。

すると、吉良鉄が、今日の喧嘩料10万円問いながら金を出してみせたので、ただやなかったのか?と千太郎は驚く。

翌日、半間は、善六たちの問題を30万で解決したと社長に報告していた。

社長は驚きながらも、広告を塗り直すより安上がりか…と納得する。

社長室の前の女子化粧室の中に隠れていた千太郎は、社長室から涼子が出てくると、見慣れぬ千太郎を見て驚く涼子をなだめながら無理矢理、廊下の反対側の無人の放送室へ連れ込む。

ちょうど通りかかった糸子がその現場を目撃してしまう。

放送室で千太郎は、一目見たときから愛してしまったんです。

あなたは僕に人生をバラ色に輝かせてくれた!などと告白し始めるが、もじもじして放送器具をいじっているうちに、放送中のスイッチが入ったことには気づかなかった。

結果、千太郎のプロポーズは社内中に響き渡り、それに気づいた糸子は慌てて放送室へ飛び込むと、スイッチを切る。

涼子が放送室の窓のカーテンを引いてみると、外にはこちらを見て笑っている社員たちが連なっていたので、それに気づいた千太郎は自分を初め泣き出す。 一方、糸子は一人で屋上に上がると哀しそうな表情で遠くを見つめる。

傷心の千太郎が平和荘に帰ってくると、部屋のドアに「青山2丁目2番地のみどりマンションに引っ越します」と言う貼り紙が貼られているではないか。 そのマンションの305号室に行ってみると、吉良鉄と飛車金が部屋の模様替えをしている所だった。

吉良鉄は、ヤクザは見てくれが肝心や、あんなぼろアパートに住んでたらあきまへんと言うし、飛車金はぎょうさん作ってきましたんやとうれしそうに言いながら、大きく引き延ばした何枚のも涼子の水着写真のパネルを部屋の壁に飾り付けていた。

しかし、その悩殺的なポーズを目にした千太郎は、あかん!目の毒や…と目をそらし、あかんな…、何で昼間の俺は惚れられへんのや…とまたもや愚痴り始める。 そんな千太郎を励ますように、ボンボンは立派に二代目を勤めるんや!と言うので、割り切った千太郎は、よっしゃ!二代目になったろうやないか!と決意する。

早速室内で形ばかりの襲名式を始めるが、千太郎はすぐに足がしびれてしまい、すぐに足を崩すと出かけると言い出す。

あのスケとおデートやな?と飛車金がからかうと、このヒゲが分からんのか!このカス!と千太郎は自らの付け髭を見せたので、すんません!これからは姐さんと呼びますと飛車金は詫びる。

それから、俺が親分をやるのは夜だけやどと千太郎は2人の子分に念を押し、部屋を後にしようとする。

すると吉良鉄が、ジローシャを用意せい!と飛車金に命じたので、何事かと表に出た千太郎は自動車のことだと気づき、ご機嫌な気分で乗り込むと、見送る2人の子分を残し、自ら運転して出かけて行く。

先にオカマバー「カマトト」に来ていた涼子に出っ歯の花水一家のチンピラ健(岡部正純)が色目を使っていた。

そこに千太郎がやって来て涼子の隣に座ると、ママがカクテルを涼子の前に起き、あちらの方のおごりよと健を指す。

すると千太郎がタバコの吸い殻をそのカクテルの中に放り込んだので、健は、俺は花水一家の通称花健だぞ!と息巻く。

すると、中に割り込んだままが、俺はオカマの五右衛門って言うのや!と見栄をきり、千太郎も千波組の千太郎やと名乗ると、健は格負けしたと悟り、すごすごと店を後にする。

そんな様子を側の席で聞いていたのは、黒めがねに黒ずくめのスーツを着た犬丸(犬塚弘)だった。

店を出た後、近くの暗がりのベンチに座り、濃厚なキスを涼子とした千太郎だったが、気がつくと、自分の口ひげがそっくり涼子の鼻の下にくっついているではないか。

まだうっとり目を閉じている涼子から口ひげを剥がそうとした千太郎は、巧く行きそうにもないのでもう一度濃厚なキスをして口ひげを取り戻す。

その後、帰りましょうと涼子が立ち上がったので、片隅に座っていた千太郎はベンチがひっくり返り転げ落ちる。

翌日、ハッピー製薬の社長永井は、幹部会議で無能な部下たちを前に、サムソンをやっつけようとは思わんのか!男として恥ずかしくないのか?明日から全員坊主になりなさい!と叱り飛ばしていた。

そこにやって来たのが車先生。 永井社長は、前に払った30万返しなさい!人を騙しやがって!広告塔はどうにもなっとらんやないの!と文句を言う。

しかし車先生は平然としており、向こうに致命傷を与えれば、5000万、6000万と言う金額がこっちの会社の儲けになるんだよと言い聞かせる。

翌朝、ロマンス製薬の社長室では、幹部社員を前に、黒岩社長が、これよりサムソンの広告塔に感謝の黙祷を1分間捧げると言い出し、窓のブラインドを開けた藤岡は、広告塔に落書きされていることに気づき驚く。

半間はまたしても千太郎を呼びつけ、解決しないと首にしてやるぞ!といつものように嫌がらせを言う。

その後、屋上で千太郎と会った糸子は、今日という今日は腹が立ったの!課長にではなく、日森さんのあの卑屈さに腹が立ったの!と言い出す。

一人で御無理御尤もと上司の言いなりになるだけで良いの?課長は涼子さんのこともあるので必要以上に当たるのよ、男って勝手ね…、妻子があるのに…、涼子さんのこと好きなんでしょう?私も日森さんのことが好きなの!と急に糸子が告白して来たので、弱っちゃったな〜僕…、そんなこと言われても…と千太郎はデレデレになる。

糸子さんって本当に良い人だねと千太郎が見直すと、私も犯人探しに協力するわと糸子も約束する。

和光の時計台が6時を指していた。

その夜、黒めがねに口ひげの親分スタイルの千太郎は、半間をオカマバー「カマトト」に呼び出す。

半間は涼子と並んで座っていた千太郎を見ながら、紹介して2〜3日しかならないのにもうミスロマンスをモノにされたようですなと嫌みを言うので、千太郎はにやつきながら涼子!と呼び、店を出て行く。

カウンター席に1人残った半間は、面白くなさそうに、涼子、涼子って夫婦気取りでいやがる!と吐き捨てる。

店の外に出た涼子は、今夜は私に運転させてと言うと、自ら千太郎が乗って来た車の運転席に乗り込む。

オカマバー「カマトト」の中では、ふてくされて飲んでいた半間の隣に犬丸が座り、振られたようですなねと話しかけてくる。

余計な話だ!と半間が迷惑そうに言うと、余計な話をするのが私の趣味でして…、あいつ、消しましょうか?と言いながら、持っていたアタッシュケースをそっと開いてみせると、中には拳銃や手榴弾が詰まっていたので、半間は仰天する。

一方、旅館に着いた千太郎と涼子に、女中が「銘菓ひよこ」を出し、冷蔵庫には「サムソン-D」も入っていますなどと説明するので、千太郎は会社を思い出すな〜…とつい漏らしてしまう。

しかし、それに気づかない涼子は、もっとダークなムードが欲しいの…などとささやきかけながら千太郎に抱きついてきてキスをする。

その後、一緒に風呂に入ることになるが、先に湯船につかっていた千太郎は、サングラスを取り顔を洗うと付け髭が取れてしまったことに気づき慌てる。

そこに涼子が入って来てシャワーを浴び出したので、千太郎はずっと湯船の仲に顔の半分を漬けたままごまかす。

その後、このままではバレてしまうと考えた千太郎は、ひげ剃り!と言いながら、タオルで顔の下半分を隠しながら浴室を出ると、慌てていたので、涼子のシミーズとブラジャーを着たのも気づかず、上着を手に部屋の外へ逃げ出す。

翌日、東京タワーの下の放送局では、「サムソンクイズ」なるロマンス製薬提供の番組生放送を行っていた。

そのスタジオ内に特賞景品として置かれていた自動車から降り立った視聴者代表は「八尾長興行」の双六で、司会者のマイクの前に立つと、ジェームズ・バンドですと自己紹介し、司会者からマイクを奪い取ると、あの薬はインチキだ、途中で元気がなくなる!などとテレビカメラに向かって演説すると、マイクを奪い返そうとする司会者めがけ、どてっぱらに風穴を開けるぜと言うと、水鉄砲を向け水を発射する。

この放送をロマンス製薬の会社内で見ていた社長以下、社員たちは騒然となるが、何も知らず、テレビを見つめる宣伝課の仲間に近づいた千太郎は、また長嶋ホームランでっか?などと的外れなことを言う。

この放送は全国で話題になり、銭湯でも雑誌でも「サムソン-D」はインチキではないかと言う噂で持ちきりになり、大規模な反対デモにまで広がる。

黒岩社長は熱を出して倒れてしまい、幹部たちが看病する中、半間は、これは八尾長組です!と言うと、千太郎を連れてまた神楽坂の「ふじや」に向かう。

千太郎に、千波組と連絡はつけたな?と確認した半間は、仙波組が来るのを座敷で待ち始める。

庭に出た千太郎は、別室で待機していた吉良鉄と飛車金に合流すると、急いで親分の姿に変装し、待ちくたびれていた半間の座敷に何食わぬ顔でやってくる。

半間はいつの間には千太郎が姿を消したことに戸惑いながらも、要領を得ない依頼を始めるが、要するに相手の悪質ないたずらの確証を握って会社に提供せいちゅう訳やな?と吉良鉄がまとめる。

20万用意していますと半間が封筒を差し出して来たので、あんたんとこどけちやな?と吉良鉄が呆れたように言うので、やむなく半間はもう10万上乗せする。

すると吉良鉄は、あんたの手口は全部分かっとるんや、持って来たもん、全部出しいな!と迫る。

仕方なく、持って来た金を全部差し出した半間に、千太郎が扮した親分は、俺は金が欲しいんやない!涼子の回りうろうろせんで欲しいんや!男として約束するなら引き受けて良いと言い放つ。

半間は承知しましたと言いながら、テーブルにおいた金を持ち帰ろうとするが、一旦出したもんを引っ込めるのはみっともねえぜと飛車金が止め、車賃くらいもって帰らないと…と言いながら札束を勘定し、結局、1万円札1枚だけ半間に戻してやる。

半間が座敷を出て行くと、行動開始や!と千太郎は2人の子分に命じる。

翌日、ハッピー製薬の永井社長と車先生、そして八尾長組の善六が集まっているホテルの「707」号室の前に来た千太郎たちは、ドアの所で中の会話を盗み聞く。

すると、車らは口止め料を要求している所だったので、やはり黒幕はハッピー製薬や!と千太郎たちは見抜く。

その時、あなた方は?とボーイから声をかけられたので、大阪曾根崎署のもんや!と言いながら、警察手帳を見せる振りをしてごまかした千太郎は、一旦部屋の前から離れるが、そこにやって来たのが半間と涼子だったので、物陰に隠れて様子をうかがう。

2人は「709」号室へ入ったので、千太郎はその部屋の中の様子を聞こうとし、吉良鉄たちには「707」号室の様子を探るよう命じる。

吉良鉄と飛車金は、用意して来たアタッシュケースの中から聴診器を取り出すと、壁に当てて盗聴を開始する。

一方、千太郎の方は、約束破ってこんな所へ連れてきやがって…と悔しがりながら、コップを壁に当てて耳に当てると言う古風な方法をとる。

思い出すな〜1年前、あの時もこの部屋だった…、雨がしとしと降ってたね…と感傷的に半間が話し出すと、涼子は、今更あんた言うことなんて興味ないわと冷淡な返事をする。

ヤクザとギブアンドテイクか…と半間が皮肉ると、向こうが夢中になって来たのよと涼子もバカにしたように答える。 今夜は喧嘩は止そう…、良いじゃないか…と言いながら、半間は涼子に抱きつく。

そして、服の中に手を入れた所、外に飛び出して来たのはパッドだった。

その会話を聞いていた千太郎は、感じた!と言うなり、廊下で失神してしまう。

それに気づいた吉良鉄と飛車金は、ボンボン!と呼びかけながら駆け寄って来て、聴診器を胸に当てて心音を聞く。

「709」号室の中では、課長止まりのあんたなんか魅力ないわ!と涼子が半間をはねのけると、頼む!と半間は泣き落としにかかる。

涼子が呆れて部屋を出てゆくと、オカマバー「カマトト」のマッチを取り出した半間は店に電話を入れ、犬丸って人がいるはずだと告げる。

すると電話に出た犬丸は、あれから大分上がってね、値上げムードでね…などと、料金のつり上げを要求してくる。

マンションに戻って来た千太郎は、俺はほんまにアホやった…と言い、部屋中の涼子の写真パネルを一カ所に積み重ねると、その上に飛び乗って写真を全部破り、泣き出すのだった。

翌日、会社の屋上でバナナを食べていた千太郎の元へやって来た糸子は、マル秘ニュースよ!課長が仙波組の親分の暗殺を依頼したんですって!交換台の青木さんから聞いたんだけど…と教える。

殺し屋が言うには、2代目が住んでいるマンションまでは突き止めたらしいけど、今いないらしいの。

広告等妨害事件の犯人と関係あるんじゃないかしら?と糸子が話していると、涼子が近づいて来て、社長がお呼びよ!あなた、仙波組と遠縁なんですって?社長命令よと千太郎に高飛車に話しかけてくる。

しかし、千太郎は、行かないよ、君の正体が分かったからさ、君は不潔だ!と言い放つと、食べていたバナナの皮を放り捨てる。

覚えてらっしゃい!と捨て台詞を残し、涼子は帰ろうとするが、その時、床に落ちていたバナナの皮で滑ってこけそうになる。

その姿を見送った糸子は、胸がすかっとしたわ、これからは言いたいことを言った方が良いわよと言うと、意味の言う通りだよ、何もかもはっきりさせる時が来たようだ、良し!と千太郎は晴れやかな表情で答える。

その日、吉良鉄と飛車金は、「八尾長興行」からどこかへ出かける只六とその舎弟の後を尾行していた。

只六たちは、予想通り、「サムソン-D」の広告塔のあるビルの中に入って行ったので、吉良鉄、飛車金は下で様子を見ることにする。

すると、屋上の広告塔の下にはしごを持ってやって来た只六たちは、広告塔にはしごをかけ、それを上って、白いペンキの入ったバケツにブラシを付けようとして手を滑らせてしまう。

白いペンキの入ったバケツは、下の道路にいた飛車金の頭の上に落ちてしまう。

それに気づいた吉良鉄はペンキまみえになった飛車金と共にビルの中に入り、只六たちが「サムソン-D」の写真のモデルの目から白い涙が出ているような落書きをしていた広告塔の下に来ると、只六と舎弟が上っていたはしごを思い切り蹴飛ばす。

落下して来た只六とその舎弟相手に、屋上で喧嘩を始める吉良鉄と飛車金。

只六と舎弟の頭をぶつける吉良鉄と飛車金。

挙げ句の果ては、はしごの段の間に只六たちの頭を突っ込み、吉良鉄と飛車金がそれぞれはしごの両端を持ってぐるぐる回り始める。

ペンキまみれになった舎弟が組に逃げ戻り、只六の兄貴が連れて行かれた!と双六たちに伝える。

善六はすぐさま吉良鉄に電話を入れ、いずれ決着をつけようと思っていたと伝え、東雲埋め立て地東側の掘建て小屋だと決闘場所を指示する。

先に指定場所に来ていた双六たちは、掘建て小屋の近くにスイッチ代わりの石を設置し、その上に乗ると、掘建て小屋は爆発する罠を仕掛ける。

千太郎は、吉良鉄と飛車金と、人質の只六と共に車で指定場所に向かうが、えらいことになったな〜、何であんな親から生まれたんやろ?と怯えていた。

そんな情けないこと言わんといて下さい!と吉良鉄は励まし、目的地の埋め立て地に到着するが、車を降りた千太郎は、腰が抜けたようにへっぴり腰だった。 親分、どうぞ!と飛車金がピストルを渡すと、千太郎はシェー!と怯える。

八尾長組がやって来たので、どうしてもやる気か?と千太郎は震え声で呼びかける。

ハッピー製薬から手を引いたら返してやる!と吉良鉄は、連れて来たペンキまみれの只六を相手に見せ、ドスを抜く。

互いの組がにらみ合っていた時、1台の車が近づいて来て、見慣れぬ羽織袴の男が2人の子分と共に降りてくる。

あんさん、どなたはんですか?と吉良鉄が聞くと、第日本黒幕党花山武蔵(谷啓)と羽織袴の男は名乗り、警視庁から噂を聞いて来たと言うと、ここは私に任せてくれねえか?と提案する。

千太郎は賛成やと乗り気になり、善六も構わないと言う。

そんなヤクザたちの話し合いを、近くのドラム缶の背後から狙っていたのは犬丸だった。

もちろん標的は、半間から依頼された仙波組の親分こと千太郎だった。

武蔵は、互いに一発ずつ空に向かって撃ってすっきりさせようじゃないか、ワン、ツー、ガチョーン!で撃ち合う、双方良いね?と言いながら、自分も前進するが、それを見守っていた双六は、武蔵のすぐ目の前に、掘建て小屋を吹き飛ばす爆薬のスイッチの石があることに気づきやきもきする。

しかし、武蔵がそんなことを知るはずもなく、再び、ワン、ツー…と前進しながらかけ声を発していたが、その時、ドラム缶から千太郎を狙って銃を向けていた犬丸に気づき、あれ?あんた誰?と声をかける。

次の瞬間、武蔵がスイッチの石の上に足を置いたので、側にあった掘建て小屋は大爆発。 その場にいた全員、千波組も八尾長組も大日本黒幕党も犬丸もぼろぼろの状態になる。

犬丸がその場に倒れた後、他のみんなも全員倒れる。 マンションに犬丸を連れ帰り、聴診器を当てて診断した吉良鉄だったが、既に犬丸は絶命していることに気づく。

その時千太郎は、もう殺し合いはご免や、葬式やろう!俺の身代わりになってもらうんやと言い出す。

今日こそ言うで!俺は親分が務まるような人間やない、今後は人間らしい生き方をしようやないか?と言いながら、口ひげを取る千太郎。

それを聞いた吉良鉄も、ボンボンがその気やったら何も言うことないわ、わいと飛車金が襲名披露の席で親分をやってもうたと言うことにしましょう。

ボンボン、サラリーマンかて親分にならなあきまへんで!と答える。

その後、口ひげの仙波組親分の遺影が飾られた葬式が大々的に行われ、大日本黒幕党総裁の佐々木小太郎(藤山寛美)が代表して弔辞を読む。

吉良鉄と飛車金らは自らムショに入り、休憩時間、お遊戯会のような踊りをムショの庭先で行う。

ロマンス製薬ではいつも通り社長以下幹部会が行われていたが、そこに突然乗り込んで来た千太郎は、仙波組の親分の方から40万を送り返してきましたと黒岩社長に緊急報告する。

40万?と聞いた黒岩社長は首を傾げ、君には50万渡したはずだ!と半間を睨みつける。

それを聞いた藤岡も会社の金をピンハネするなんて!と半間を責め、黒岩社長は、君のようなやつは首だ!と言い渡す。

すごすご部屋から出て行く半間の姿を、社長秘書として同席していた涼子があざ笑う。

私のご報告はこれで!と言い残し、千太郎も退室するが、それを見送った黒岩社長は、総務部長!ああいう根性のある者がいることをわしに知らせんとは職務怠慢だ!と藤岡を叱りつける。

その後、屋上のベンチで、千太郎は糸子とキスをしていた。

千太郎がいろいろな場所に行ってみようか?と言うと、うっとりしていた糸子はその全てに良いわ…と答えていたので、言いたいことははっきり言い、断るときははっきり断る!と千太郎は、笑顔で糸子に教えられたことを逆に言いながら立ち上がる。

その時、糸子が、千太郎のスーツの背中にベンチの塗り立てのペンキがべっとりついていることに気づく。

糸子の背中も同様だったので、ついてねえな〜…と千太郎が愚痴ると、付いてるのよ!と糸子が訂正する。

そうか!と急に笑顔になって張り切った千太郎は大きくジャンプする。
 


 

 

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