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大怪獣モノ

河崎実監督お馴染みのおバカ怪獣映画

おバカと言うより、身内だけのお楽しみ自主映画と言ったノリで、テレビバラエティや懐かし特撮ドラマと云ったマニアックなネタを使って、分かる人だけ楽しもうと言った趣向になっている。

とことん予算をかけていない作品なので、それなりの特撮映画とか喜劇と言ったようなものを期待していると肩すかしを食う。

どちらかと言えば、学芸会や文化祭で上映される学生映画の延長のようなものに近く、そう言う雰囲気に溶け込めさえすれば、それなりに楽しめなくもない中途半端な面白さの作品である。  

正直、全体的に感覚も古く、昭和時代を知らない世代には何のこっちゃ?と首を傾げるようなネタも多く、ネタ元を知っていたとしても全く笑えないようなものが多い。

それでも冒頭部分は定番の怪獣映画らしい展開になっているため、その辺のノリで途中辺りまでは何とか見てしまう仕掛けになっている。

途中からは笑えない身内内の悪ふざけのようなものが始まり、正直中だるみ状態が続くのだが、その中だるみを我慢した所で、何とか最後の笑えないオチに出会える仕掛けになっている。

つまり、笑えないのは最初から最後まで一貫しており、金太郎飴状態と言っても良い。

何となく怪獣映画や特撮子供番組のような懐古趣味だけで、強引に全編を見せてしまおうとする自主映画と言った感じだと思う。

そう言う内輪ノリは正直馴染めない部分もあるのだが、新作が出来るたびに気になってみてしまうマニアの性を突いたにくい商売のようにも感じる。

実際、毎回毎回、マイナーながら新作が作れてしまう仕組みを構築した河崎監督独自のビジネス感覚には感心させられる。

ゲストとして登場するのも、年を取ったなあ〜と哀しくなるようなかつてのヒーローたちで、晩年はこんなことまでしなければいけないのかと同情したくなるような悪ふざけを演じさせられている。

個人的にちょっと気になったのは、途中、気落ちした主人公が過去の恋人との記憶をでっち上げ、ギターを弾きながら恋人のために作った歌うと言う、若大将ギャグにする所。

パロディにしたいのなら、途中から恋人の女性の方も一緒に歌う演出にするべきではなかったか?

若大将ネタではないのなら、あのシーンは面白くもおかしくもないシーンではないかと感じる。

それでも全体的には、前作「地球防衛未亡人」よりは楽しめる作品になっていたと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2016年、中野貴雄脚本、河崎実脚本+監督作品。

近年世界中で頻発している異常気象、ゲリラ豪雨、火山の噴火は人類への警告かもしれない…(とナレーション)

埼玉県明神岳では、古代植物ジュガンダの花が咲いたと言うことで、自然界のバランスが崩れて来ているのかもしれませんとテレビレポーター中井貝一(きくりん)が報告する。

その頃、バイオ研究の第一人者西郷博士(真夏竜)とその娘美和( 河西美希)の記者会見が行われており、美和は捏造疑惑の質問に対し、「セタップ細胞はあります!」と反論していたが、西郷博士は、マスコミの奴らが!とその横で憤慨していた。

そんな記者会見のニュースをカーラジオを聞きながら目的地へ向かっていた女性レポーターが、つまらないから他のにしてと頼んだので、運転していた男が局を探すが、何故か「毒蝮三太夫」の放送しか入らなかった。

やがて、後部座席に乗っていたスタッフの1人が後どのくらいかかる?と苛立たしそうに来言って来たので、もののけ峠って昔の地名だからカーナビに出ないんだと答える。

するとスタッフは小便がしたいと言い車を止めさせると、外へ飛び出してゆく。 慌てていたスタッフは、山の中で何かを蹴飛ばしてしまう。 それは古い仏像だった。

スタッフは気にせず、立ち小便をしようとしたとき、背後から、突然、こら!ここで何をしている!と怒鳴って来た鎌を手にした老人がいた。

僕たちは「心霊スポット.com」のものです。もものけ峠に夜な夜な怪しい光が出現すると言う噂があるものでその取材に来て道に迷ってしまい…と別のスタッフが説明すると、もものけ峠はこの先だ!立ち入ってはならん!荒御霊の気が満ちている!荒御霊は若い娘を良くしているんだ、出て行け!と老人は睨みつけて来る。

しかし、その夜12時、スタッフたちは老人の警告を無視してもののけ峠で撮影を始める。

最初の録画が終わって小休止になると、レポーターの女性が車に戻ってメイクを直していると、運転して来た男も一緒に車の中に入り込み、俺はお化けより人間の方が良いななどと言いキスして来る。

その時、突然車が揺れたので何事かと前方を見た2人は光る巨大な目を目撃する。

大怪獣モノが出現したのだった。 スタッフの2人は、地震か!と驚いてその場を逃げ出すが、レポーターのサエはモノに襲われる。 運転手の男が、サエ!と上空を見上げながら呼びかけると、何か柔らかいものが落ちて来る。

それはヌーブラだったので、おっぱい、上げ底だったのか…とちょっとがっかりした男だったが、次の瞬間、その男も悲鳴を上げる。

タイトル

翌朝、件の老人は、現場に落ちていたテレビカメラを見ながら、ゆとり教育の弊害だな…とぼやく。

そんな老人の側で、これは3億3000万年前の植物だわ!とジュガンダの花を発見して驚いた美和は、お父様のスタップ細胞の研究のヒントになるかも…と、同伴の青年新田陽出人(斉藤秀翼)に話しかけていた。

美和を見た老人は、あなたは西郷博士の美和お嬢様!と声をかけたので、美和も老人が文化考古学と陰陽道の権威泉忍道(堀田眞三)であることに気づく。

お父様はお気の毒に…と泉は、マスコミのバッシングを受けて世間から身を隠した西郷博士のことを気の毒がる。

あれ以来、父は自暴自棄になり、女装趣味になったんですと美和は打ち明ける。(プリティ・ムーンのコスプレをしている西郷博士のイメージ)

父に研究に戻ってもらいたいのですと言う美和は、この巨大な花が他にも咲いてませんか?と聞くと、この辺りは荒御霊の陰がありますと泉が警告するので、お嬢様には僕が付いているから大丈夫ですと陽出人が答え、美和も、私も科学者の端くれですから覚悟は出来ていますと答える。

その後、美和と陽出人は、食いちぎられたような衣服が散乱しているのを見つける。

どうやら、夕べの撮影クルーのものらしかったが、そんなことを知る術もない陽出人は、落ちていたヌーブラを珍しそうに拾い上げ、これは未知のキノコですか?などと言うので、側で見ていた美和は恥ずかしがる。

その時、2人は珍しいものを発見する。

見たこともない卵のようなものだった。

サンプルとして持ち帰りましょうと陽出人は提案し、その卵を持ち帰ることにする。

その後、明神岳が噴火したと中井レポーターが報道していると、 もののけ峠で人が行方不明になっているんだ、下がって!と自衛隊んたちがレポーターを押しのけ、道路封鎖をする。

一方、陽出人と美和が持ち帰った卵を見た西郷博士は、これは大発見だ!この卵から抽出した細胞こそ、セタップXに欠けていたパズルのピースだったんだよ!DNAを解析してセタップXを完成したんだ!美和には今まで苦労を駆けたね…と娘に謝罪する。

そして西郷博士は、出来上がったセタップXを新田君に打ってみたいと言い出したので、それまでうれしそうに聞いていた陽出人は驚き、そんな話、聞いてませんよ!と拒否する。

すると西郷博士は、名を残したくないのかね、過去にもシュバイツアーやキューリー夫人の尊い科学への献身があったからではないかねなどと説得する。

君のためにメロンの香りを付けておいたよなどと言うので、そんなのいらないですよと陽出人が断ると、じゃイチゴの香りに使用などと西郷博士は見当違いなことを言う。

巨大で逞しい男になれるぞ!君が銭湯で前を隠しているのを知っとるぞ!などと西郷博士がしつこく言うので、止めてくださいよと陽出人は困惑する。 その時、研究所内の卵が光り出す。

その時、ある女が、来る!もののけ峠から来る!と叫ぶ。 その言葉通り、大怪獣モノが出現する。

下がって!と道路封鎖していた自衛隊員が野次馬を下がらせようとするが、テレビ取材班のVTRは動かなくなるし、自衛隊の通信も電波障害を起こしてしまい、先制攻撃が出来ない事態となる。

その時、前線で道路封鎖していた自衛隊んたちの元へデモ隊が近づいて来る。

環境保護団体「ピース・シェパード」を名乗る団体だった。

その代表のような女こそ、先ほど、「来る!」と叫んでいた女で、怪獣を殺すな!死産会のバランスを崩したのは我々人間なのです!私にはモノの気持ちが分かりますと自衛隊員に告げたので、モノ?と聞き返すと、それがあの子の名前ですと女は当然のように答える。

さらにその女は怪獣の方へ向かい、聞いて!モノ!同じ星に住む仲間として、共に生きていることが出来るワ!などと呼びかけるが、次の瞬間、女はモノに食われ、着ていた服だけが吐き出される。

それを目撃した自衛隊員たちは、大変だ!でも何かすっとした!と本音を吐くと、怪獣をぶっ殺せ!と叫ぶ。

戦車隊も一斉に砲撃を始めるが、次の瞬間、モノの頭の角から光線が発射されたので、全員退避!の命令が下る。

その直後、通信が完全に途絶え、あらゆる周波数が不能になった中、唯一、50年以上続いている毒蝮三太夫のラジオ放送だけが受信できることが分かる。

防衛省内の怪獣対策本部では、神倉防衛長官(古谷敏)、橋本防衛副長官(きくち英一)、桐原教授(筒井巧)、事務次官小田(ウクレレえいじ)らが集結し、怪獣は大怪獣モノと呼称する!と決定する。

地中に潜ったモノは高崎より東京方面に熱源が移動していることから、首都圏直撃も考えられた。

桐原教授は、モノは、は虫類からほ乳類になる途中の生物でモノケロデリウスと言う地底怪獣です。電磁パルスを角から照射します。

この修正はカモノハシやイルカなどにも見られますと説明すると、それで電磁非常の説明がつくと橋本防衛庁副長官が納得する。

コンピューターが使えないと言うことか…、裸になったも同然だな…と神倉防衛長官が嘆くと、さすが、防衛長官!裸になるしかない!と言いながら老人が部屋に乱入して来たので、小田が何者かね?と止めようとするが、長年総理の相談役をやっておられる泉忍道先生ですと桐原教授が横から教える。

泉は「太平風土記」と言う古文書を広げてみせると、そこにも怪獣モノが描かれており、中国で言う所の鬼に当たると解説する。

モノは陰の気を持っているので、それと戦うには陽の気を持った者がふさわしい。生命力あふれる勇者の気を持った者です。

西郷正太郎博士を訪ねるが良い、全ては博士の手にゆだねられていると長官に助言する。

その言葉に従い、直ちに西郷博士の研究所にやって来た小田は、何か怪獣退治の秘策をお持ちだとか?と西郷博士に聞く。

しかし西郷は、最近、耳が遠くなったんですなどととぼけ始め、今までさんざん迫害しておいて、今更頼みに来るとは図々しいね…、この新田君と物まね対決でもやってみるかい?勝ったら、言う事を聞いてやるよと高飛車なことを言う。

それを受けて立った小田は、「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」より、志村喬の台詞と言うと「フランケンシュタインの心臓だよ」と一言物まねする。

さらに、「東京裁判」での佐藤慶のナレーションの物まねも披露する。

それを聞いた西郷博士が、次、新田君!と指名したので、いきなり振られて戸惑いながらも、ぶどう園に来た人が驚いた物まねと言うと「キョホー!」と新田が披露すると、場は完全にしらけてしまう。

何ですか、この沈黙は!と新田は無茶ぶりした西郷にまで文句を言うが、仕方ない…と勝負の負けを認めた西郷博士は、セタップ細胞を使う時が来たようだ…と1人で決める。

新田はまたしても強引な展開に戸惑うが、これを使うことで君は人間と神の領域に迫る超兵士になる!と西郷博士は説得する。

そして、娘のベッドの下から見つけて来たと言いながらプロレス雑誌を取り出すと、それを見た美和が恥ずかしがるのも構わずに、娘はムキムキマンが好きなんだと教える。

君が娘に惚れているのを知らないとでも思っているのか?筋肉モリモリの男になるんだぞ!と西郷博士は陽出人を焚き付けると、美和に、どんな筋肉が好きなんだ?と聞く。

美和は恥じらいながらも、大胸筋と上腕二頭筋!と答える。

このセタップXは、2分40秒で細胞活性化が終わって元の姿に戻ると西郷博士が熱っぽく話すので、やりゃ良いんだろう!と陽出人は半分ヤケになる。

すると西郷博士は、この設計図に基づいて繊維工場で作ってくれと何かの設計図を小田に手渡す。

そんな西郷博士の家の前には、暗号名「スコルピオ」を名乗るリサ(赤井沙希)が中の様子をうかがっており、小田や西郷たちが屋敷を出たので尾行しますとどこかに電話する。

モノの熱源が接近しているとの報告を受けた神倉防衛長官は、怪獣を食い止めるんだ!と命じる。

都内でロケをしていた中井レポーターは、突然の地震に驚くが、次の瞬間、ビルの狭間に怪獣モノが出現する。

大分被害が出ているようだ、新田君、バスローブを脱いで!と現場にやって来た西郷博士が命じるので、バスローブの下は素っ裸の陽出人はさすがに恥ずかしがる。

すると、自衛隊んたちが巨大な布のような者を広げ始めたので、私が開発したパンツだ、あそこに立ちたまえと西郷博士は命じる。

陽出人が、広げられた巨大パンツの中央部分に立つと、いたくないからね、ちょっとだけチクッとするだけだ…となだめながら西郷博士は、セタップXの注射を陽出人の腕にする。

すると、ものすごく痛え!と驚いただったが、みるみるその身体は巨大化し、40mの超人(飯伏幸太)に変身する。

それを見た民衆(なべやかん)は、あれは何だ!と叫ぶ。

サングラスをかけた謎の女リサも巨人の姿を見上げていた。

美和も、ムキムキマンに変身した陽出人を見ると、なんてすてきな大腿筋!と喜ぶ。

そのパンツを履くんだ!と西郷博士が下から呼びかけると、言われた通りに巨大パンツを履いた巨人は、モノと戦い始める。

ジャイアントスゥイング! この高揚感!これがスタップXの威力なのか!と戦う巨人になった陽出人は、顔と身体だけではなく気持まで変化したことに気づく。

ヤシの実割り!16文キック! その実況(村田晴郎)を聞いていた美和は、プロレス用語が昭和だわ!と呆れる。

この戦いの様子を対策本部のモニターで見ていた神倉防衛長官は、巨人そのもの!これは進歩なのか?破滅への罠なのか?と自問自答しながら自問する。

やがて、高層ビルの上に上った巨人は、フェニックス・スプラッシュの大技をモノに浴びせる。

すると、さしものモノも見下出して行く。

細胞活性化の限界だ!と西郷博士が言って間もなく、陽出人は元の人間の大きさに戻るが、何故か顔と体格は元に戻らなかった。 それでも、陽出人さん!と美和が抱きついて来たのでまんざらでもない表情になる。

この巨人の活躍にマスコミが殺到するが、全ては記者会見しますからと西郷博士は軽くいなす。

記者会見の席で、ノーベル生物化学賞受賞できますね!との賞賛の声にも、遅すぎたね…と西郷博士は余裕で答える。

一躍人気者になった新田陽出人はマイクを向けられると、セタップXは小さな巨人です!とどこかで聞いたようなフレーズを言う。

それを聞いた西郷博士は、こういうシーンでは普通博士役が一番良い台詞を言う所なのに、お株取るなよ…と横の席の陽出人に文句を言い、先に帰ってくれと命じる。

しかし、一躍時の人になった陽出人は、「バーかおる」のゲストに呼ばれ、大きくなるとあそこも大きくなるんですか?モノのものより大きいってことですよね?などとくだらない下ねたに付き合わされたりする。

又、作家の岩井志麻子(本人)も、デカいのが良いわ!などといつものように下品な感想を述べる。 タレント兵動大樹(本人)は、パンツが気になるなどと勝手な感想。

歩いていた陽出人に、ホームパーティアンバサダーをやっている有村昆(本人)なども、気安く話しかけて来る。

レポーターの中井に招待され、バーにやって来た陽出人は、ホステスに囲まれ酒を勧められるが、僕、酒はちょっとしか飲めないんですと断る。

しかし、中井に、ぐいっと一気にね!などとおだてられ、思い切って一気飲みをしてみた所、旨い!と叫んでしまう。

体質まで変わってしまったのか、酒もがんがん飲めることが分かり、陽出人は調子づいてドンドン酒を飲み始める。

筋肉生で触らせて!とホステスにねだられると、酔った勢いもあり、脱ぐよ!と言いながら、自らシャツを脱いで行く。

そこにやって来たのは泉忍道で、新田君だったね?モノは一時的に姿を消しただけだ。こんな所でうつつを抜かしていていいのかな?今、この国は災いの陰に覆われている!色と欲にまみれとるんだ!と警告するが、支配人がご指名のあけみさんですと泉の元にホステスと連れて来たので、指名してるのかよ!と陽出人は突っ込む。

その後、トイレに立った陽出人は、凄い美人に立ちふさがれる。

その美人リサは、その場でジンを瓶から一気飲みしてみせたので、お見事!と陽出人は感心する。

するとリサは、私、酒も男も強いのが好きなの…、私、リサ…と、色っぽい目つきで自己紹介して来る。

そして、大胆にもキスして来るが、その瞬間を、先ほどから見せの中で待機していた男が盗撮して逃げ去る。

リサは店の外でスマホを取り出すと、こちらスコルピオ、引き続き作戦を続行します!と何者かに連絡する。

それを不思議そうに見守るオカマ リサと陽出人のキス写真は、21日発売の雑誌「サースデイ」に掲載されると電話で知らされた美和は、陽出人さんのバカ!と嘆くが、その時、研究所内の卵が光り出したことに気づき、お父様大変!と西郷博士を呼ぶ。

卵が数時間の間に急成長したことを知った西郷博士は愕然とするが、この卵は大怪獣モノの卵よ!モノはこれを追って来たのよ!と美和は気づく。

これを返せば、モノももののけ峠に帰るかも…と美和は思いつくが、何故そう言いきれる?と西郷博士が聞くので、女の勘よ!と美和は答える。

その頃、対策本部では、地中の熱源がまた急接近し、渋谷の地上に間もなく出現することを察しする。

現場ではレポーターの中井が、再び大怪獣モノが現れました!と伝える。

それを見ていた通りかかりの老人(西條康彦)は、くそ!自衛隊は何やってるんだ!と悔しがる。

現場に卵を持ってやって来た西郷博士と美和が、その卵を地面に置くと、怪獣モノはその卵を拾い上げ、愛おしそうな表情になる。 あれは正にモノの卵!と対策本部のモニターで見ていた桐原教授も断言する。

ならばこれでモノは地下へ帰るのか?と橋本防衛副長官が聞くと、マタニティブルーが心配です、妊娠前後は情緒不安定になってい

るのですと桐原教授は説明する。 その頃、現場に駆けつけて来た陽出人は、遅れてすみませんと西郷博士に謝る。

美和は、陽出人の頬にキスマークが付いていることに気づき、何よ!キスマークなんか付けて!不潔!と軽蔑する。

モノに地下に帰るよう説得するんだと命じた西郷博士は、又セタップXの注射を打つ。

ものすごく痛え!と又叫びながら、陽出人は巨大化する。

ところが、モノの熱怪獣パワーは以前とは比較にならないほど増大していた。

頭突きをかました巨人に、実況アナが藤原組長か!と突っ込む。

強い!この間より何倍も強くなっている!と巨人陽出人は戸惑う。

卵を取られると思ってるんだわ!と見上げていた美和が気づく。

モノはどっきり攻撃で、油を吹きかけて来る。 もう時間がない!と焦る西郷博士。

なす術もなかった陽出人は巨人から元の姿に戻ってしまう。

その直後からマスコミの手のひらを返すようなバッシングが始まる。

気落ちして歩く陽出人に執拗に迫った女性レポーターは、陽出人から退いてくださいと押しのけられると、痴漢しました!とカメラの前で訴え始める。

一方、セタップXの威力に限界を感じた西郷博士は、夜通し研究を続け、お父様、少しはお休みにならないと…と美和が案ずるほどだった。

先に寝ていなさいと答えた西郷だったが、その側にあった紙袋の中身を見た美和は、まだ女装コスプレにハマっているの!と驚く。

プリティ・ムーンだけが唯一の安らぎなんだ…と西郷は打ち明ける。

そこにやって来たのが小田で、折り入ってお話ししたいことが…と切り出すと、この際、プロの格闘家にセタップXを使った方が良いのでは?と提案する。

しかし西郷博士は、それは分からんね、まだ新田君以外の者には試していないからね…と乗り気ではなさそうなので、このままでは埒があかんと言う意見も出ております。

公安の外人4課から連絡がありました。

この近辺に外国人スパイが出没しているらしいのです。博士と美和さんにボディガードを付けますと小田は言い出す。

もう俺はダメだ…と絶望視、研究所を出た陽出人を待ち構えていたのはリサで、そのままラブホテルに連れ込むと、男は女次第でどうにでも変わるものよ、とりあえず寝てから決めましょう。

先にシャワーを浴びて来てとベッドの腰掛けてささやきかける。

その言葉に従い、素直にシャワーを浴び始めた陽出人だったが、リサは又スマホをかけ、こちらスコルピオ、サンプルを手に入れました。

これよりアジトに戻りますと伝えホテルを出て行く。 シャワーから出て来た陽出人は、リサがいなくなっていることに気づく。

アジトにやって来たリサは、ミスター・バイパーなる謎の外国人に会うが、金を要求するリサに、中を改めさせてもらおう。

動くな!君は完全に包囲されている!とバイパーが命じて来たので、渡してたまるもんですか!とリサが拒否すると、セタップXはそのケースの中に入っているんだな?とバイパーは聞いて来る。

我々が欲しいのはそのパンツだ。白刃は30になると急に太り出す。その万能パンツは売れます。

筋肉増強の方は良くあるアイデアです。アメコミ映画とかに良く出てきますとバイパーは言う。

その頃、西郷博士は、今のセタップ細胞には何かが足りない。どっきり攻撃にも負けないようにするためには、悪の遺伝子なのだ!と悩んでいた。

そこに訪ねて来たのが泉忍道で、彼には必殺技を身につけさせるしかない。滝の流れを切るんだと提案する。

すると西郷博士は、滝など絶対切れん!と猛抗議するので、何故そんなにむきになるんだ?と泉は不思議がり、それをやらんとこの国は終わりなのです!と強調する。

一方、対策本部でも、この国を救うヒーロー、ヒロインはいないのか?と神倉防衛長官が嘆いていた。

モノに弱点はないのか?もはや西郷博士は当てにならない…と橋本防衛副長官も考え込んでいた。 このままでは日本は終わりです!と神倉防衛長官は頭を抱える。

小田や桐原教授らは、全力でやります!と答える。

すっかり気落ちした陽出人は、今では遠い昔のようだ…と、美和ともののけ峠で3億5000年前の花を発見したときのことを思い出していた。

(回想)美和さんのことを思い出しながら作った曲があるんだ、聞いてくれる?と言い出した陽出人は、ギターを弾きながら美和に歌を歌ってみせる。

(回想明け)そんな都合の良いシーンなどなかっただろう!と夢を壊すように話しかけて来たのは泉だった。

良いじゃないですか!記憶をねつ造するくらい…と陽出人は反論する。

泉は例の古文書を広げてみせ、日輪が陰る時、荒御霊が現れる。それを倒すには和御霊が必要なのだ!付いて来いと言うと、陽出人を山の中の滝に連れて来る。

そして、あの流れる滝の水を切ってみろ!心頭滅却すれば火もまた涼しの心境で水の流れに身を任せるのだ!と泉は命じる。

その後、陽出人は「ロッキー」風のメロディーが流れる中、猛特訓を開始する。

一方、スパイのアジトでは、対峙していたミスター・バイパーがしびれを切らしたように、スコルピオ、早くパンツを寄越しなさい!と迫っていた。 スコルピオことリサは、近くにいたボディガードたちが銃を向けて来たことに気づく。

あなたは知りすぎた。パンツを出すのです!とミスター・バイパーが言うと、リサは突然、ボディガードたちと格闘を始める。

そして、そんなにパンツが欲しいならどうぞ!と言い、リサはパンツをミスター・バイパーの顔に投げてかぶせる。

息が出来ない!とパンツで顔を覆われたバイパーは苦しむが、次の瞬間、逃げようとしたリサは、ボディガードから撃たれてしまう。

その頃、陽出人さん!あなたはどこに行ってしまったの…と自宅研究所で美和が案じていたが、何かの物音に気づき玄関先に出てみると、そこに逃げて来たのが腕を負傷したリサだった。

誰?と一瞬リサの顔を見ていた美和だったが、雑誌で陽出人とキスをしていた相手と知ると、良くも陽出人さんを誘惑したわね!と相手の腕を叩き始める。

怪我してるんだよ!とリサが怒ると、ようやくそれに気づいた美和はその場で治療をしてやる。

ありがとう…、あなたよい人ね、私ほど美人じゃないけどと美和を褒めているんだかけなしてるんだか分からない礼を言ったリサは、このパンツを彼に渡してと言いながら、本物のパンツを美和に渡す。

それを見た美和は、これは陽出人さんのパンツ!どうしてこれを!と言いながら、又リサの腕を美和が叩き始めたので、だから怪我してるっていてるだろう!とリサは怒る。

そしてリサは、私、間違っていた…、あなたと陽出人さんに謝らなくちゃ…と言うので、陽出人の姿が見えないのよと美和が訴えると、坊やはあんたとの一番の思い出の場所にいると思うよとリサは教える。

陽出人は明神岳の山の中の滝を切ろうと懸命に努力していた。

なかなか巧く出来ない陽出人に、氏の一歩手前まで行かんと分からん境地に達するのだ!と泉は励ます。

その言葉を意識し、もう一度滝きりに挑戦した陽出人は、ようやく滝を一直線に切ることに成功する。 よっしゃ!やった!やりました、先生!と陽出人は側で見守っていた泉に語りかける。

泉は、秘技鳴滝切り!見事じゃ!努々忘れる出ないぞ!と満足そうに答える。 そこに、陽出人さん!と駆けつけて来たのが美和だった。

美和さん!と感激の抱擁をする2人を見た泉は、若さはすばらしい!わしも久しぶりにかすみちゃんに電話しようなどと言い出す。

その頃、研究を続けていた西郷博士は、ついに悪の遺伝子細胞を完成させる。

町では中井レポーターが、街角インタビューを行っていたが、特撮だの日本の伝統芸だの言っても、ハリウッドのCGには勝てないでしょうなどと言っていた男は、突然出現したモノに食べられてしまう。

中井レポーターも、食われるのは嫌だ!とモノに怯えるが、次の瞬間あっさり食べられてしまう。

モノが抱いていた卵はまた巨大化していた。

それを現場で不安そうに見上げていた西郷博士は、パンツが戻ってないんだと桐原教授に漏らす。

そこに、取り戻してきました!と美和がパンツを持って駆けつけて来る。

西郷博士はスタップXを陽出人に注射し、陽出人はものすごく痛え!と叫びながら三たび巨人化する。

きっと大巨人が救ってくれる!これが最後の戦いだ!と西郷博士は表情を引き締める。

マスクを付けた怪しげな人物(堀内正美)も、マスクを取って戦いを見ている。

秘技鳴滝切り!と巨人は会得した必殺技を繰り出すが、モノには通用しなかった。

あの技が効かぬとは!と泉は驚き、いかん!やられる!と西郷は叫ぶ。

陽出人さん!と美和も絶叫する中、万事休す!と泉は諦めかける。

元の大きさに戻った陽出人は、もうダメだ…と絶望する。

すると西郷博士は、改良セタップXを作っておいた。君に足りないのは悪の遺伝子だ!と言うと注射する。

またまたものすごく痛え!と叫んで巨大化した陽出人は、すっかり顔が別人(鈴木みのる)に変わっていた。

新巨人はビルの黒い垂れ幕がタオルのように顔にかかったんで、それを脱ぎながらモノを挑発すると、側のビルの屋上の鉄塔を引き抜くと、それを凶器にしてモノの顔を突き出す。

そして飛び蹴り! しかしすぐに巨人の姿は元の陽出人(飯伏幸太)に戻ってしまう。

悪の遺伝子の効果が弱って来たんだ…、新田君!一気にとどめを刺せ!と西郷博士は下から呼びかける。

その時、殺しては行けません!あの怪獣は人間で言うと70歳以上の老婆、モノはババアみたいな奴なんです!と呼びかけながら近づいて来たのは桐原教授だった。

ババアをいじらせなら、この方に来てもらいました!と桐原教授が言うと、車から降り立ったのは毒蝮三太夫(本人)だった。

くたばり損ないのババアか!と慣れた口調でババアいじりを始めた毒蝮三太夫の言葉の効果が現れ、モノが持っていた卵が発光し始める。

卵は生きてるよ!ババア!地底に帰るんだ!今がチャンスだ!と毒蝮が呼びかけると、モノは素直に地底に潜って行く。 見ていた民衆たちが一斉に拍手をする。

良かった!良かった!さすがはババアいじりのレジェンドだ!毒蝮こそ、奇跡なのかもしれません…としみじみ桐原教授が漏らす。

作戦終了! 対策本部でモニターを見ていた神倉防衛長官が言う。

人類を救ってくれた毒蝮に敬礼!と言いながら、モニターに敬礼する。

現場では、顔も身体も元に戻った陽出人(斉藤秀翼)が、筋肉モリモリじゃない僕は嫌いかい?と不安そうに美和に聞くと、どんな姿になった陽出人さんも好き!と言いながら美和は抱きついて来る。

毒蝮の力で当面の危機は去った… しかしいつ又モノは目覚めるかもしれない。 その日まで、モノの胎動が止むことはないだろう…(とナレーション)
 


 

 

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