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名犬ラッシー

 

かつてテレビドラマにもなった有名な「名犬ラッシー」の映画化

原作を読んだ事がないので、この作品が原作通りなのか映画オリジナルなのかの判断は出来ないが、子供とラッシーとの心のつながりは描かれている。

ただ、話の基本は、ラッシーがスコットランドからヨークシャーまで単独で帰ってくると言う冒険譚になっており、子供とラッシーが絡むシーンは案外少ない。

基本、イギリスなどヨーロッパ映画であり、戦前設定の暗い雰囲気の中の地方の話なので、若干地味な印象がないではなく、派手なアニメなどにしか馴染みがない今の子供が夢中になるかどうかは分からない。

クライマックスの展開も、良くあるパターンと言ってしまえばそれまでだが、涙を誘うのは間違いない。

若干、単調な展開のようにも感じないではないが、大人の目からすると良心的な作品に感じられる。

ピーター・オトゥールが登場しているのには驚かされるし、旅の途中で、ネッシーらしきVFXシーンのサービスもあったりで、特に犬好きでなくても退屈する事はないと思う。

個人的には、この作品でラッシーがメスであったと知り、衝撃を受けたのは確か。

子供の頃からずっとオスだとばかり思い込んでいたので…
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2006年、アイルランド+イギリス+フランス、エリック・ナイト原作、チャールズ・スターリッジ脚本+監督作品。

イギリス ヨークシャー州 広い草原を逃げる一匹の狐 それを追う猟犬たち

近くの住宅地では、狭い路地でサラ・カラコフ(サマンサ・モートン)ら、鉱山関係者の奥さん連中が洗濯物を干していた。

そうした家の一軒で、ラッシーは何かに気づいて起き上がる。

狐狩りを指揮していたラドリング公爵(ピーター・オトゥール)が、部下たちに、挟み撃ちだ!と命じると、一緒に車に乗っていた孫のシーラ(ヘクター・オジャース)が、卑怯じゃない?と聞いてくる。

新鮮な空気と軽い運動が必要と医者が言っとったんだとラドリング公爵は、狐狩りの言い訳をし、運転手を後部座席に座らせると、自ら運転席に座る。

猟犬に逐われて住宅地に逃げ込んで来た狐は、路地を入ってくる。

それを見ていたのは、家から出て来たラッシーと近所の子犬クリケット 猟犬たちが追ってくる中、ラッシーは狐が横を通り過ぎるのを黙って見逃してやる。

そこにやって来たのは、ラドリング公爵の動物飼育係ハインズ(スティーヴ・ペンバートン)と犬狩りの手伝い連中だったが、仲間のボンフォーに、追え!と命じたハインズ目がけ、どこからともなく洗濯物が投げつけられる。

住民たちからも嫌われているハインズは、誰だ!と周囲を睨みつけながらも、犬はどこに行った!と猟犬の行方を仲間たちに聞く。

その頃、狐は、近くの鉱山に逃げ込んでいた。 猟犬もその後を追って工場内に乱入するが、ラドリング公爵の運転する車が入ろうとするので、入られては困ります!と鉱山の会社の人間が門のところで制止しようとする。

しかし、ラドリング公爵は、鉱山なんかとっくに終わっとる!とバカにする。

鉱山内で働いていたサム・カラコフ(ジョン・リンチ)ら鉱夫たちは、狐が穴の中に入り込んで来たので驚くが、猟犬も入り込んで来たのに気づくと、ラドリング公爵の仕業と気づき、連中の勝手にさせるのか?と相談し、狐の臭いを消すんだ!と言い出すと、名案だ!と言うことになり、その場で数人が立ち小便をする。

小便の匂いで狐の匂いを失った猟犬たちは、鉱山の中で立ち止まってしまう。

その頃、その地区の小学校で授業を受けていたジョー(ジョナサン・メイソン)は、先生から名指しされたが、質問を聞いていなかったと正直に打ち明けたので、前に出て、先生から両手を木の棒で三回ずつ叩かれてしまう。

その頃、狐狩りに疑問を持っていたシーラは、食べもしないのに、どうして捕まえるの?と、ビールを片手に休んでいたラドリング公爵に聞くと、みんな負けず嫌いなんだよなどと公爵は、猟犬たちの責任のように言うので、あの子は違うわとシーラが指差したのは、近くを歩いていたラッシーだった。

ラッシーを見たラドリング公爵は、動物飼育係のハインズを呼ぶ。

ラッシーは、飼い主のジョーの学校の門の前にやってくる。

そこに校舎から出て来たジョーが近づいて来て、もう痛くないから帰ろうとラッシーに話しかける。

屋敷に戻ったシーラは、ラドリング公爵とトランプをしながら、パパが直に戦争になるって…と話していた。

そこにやって来た召使いは、151ポンドでダメだと言いましたと公爵に報告する。

一方、鉱山から帰って来たサムの汚れきった背中をたらいの中で洗い流してやっていた妻のサラは、鉱脈がもう枯れかけていると言う夫の話を聞き、今はまだ何とか食べているけど…と暗い話をしていた。

そんな両親の話を二階から盗み聞いていたのは、息子のジョーだった。

その後、ジョーの寝室にやって来たサラは、ジョーのベッドの横にいたラッシーを呼び寄せ、ベッドはダメよと言い聞かす。

そのとき、ジョーがサラに、さっきの人は?パパ、売らないよね?と聞いたので、悪い子ね、盗み聞きして…、売らないわよとサラが応えると、良かった!とジョーは安堵する。

ある日、鉱山会社にやって来た警官たちが、8人は車に!と鉱夫たちに呼びかける。

家にいたサラは、近所の主婦から、サラ!早く!コート着て!と誘いに来られたので、急いでコートを着て外に出る。 周囲の主婦たちも一斉に鉱山会社の方へと向かう。

会社の門を警備していた警官に中に入らないように止められたサラたちが、どういうこと?亭主に会えないの?と聞くと、いや、嫌と言うほど会えるさ…と警官は応える。

駆けつけて来たジョーが、どうしたのママ?と聞くと、鉱山が閉鎖されたのよ…とサラは教える。

その時、会社から鉱夫たちが一斉に外に出て来て、その中にはサムの姿もあったが、ジョーたちの方を見なかったので、僕らが見えなかったの?とジョーは聞くが、ちゃんと見えてたわとサラは応える。

一方、ラドリング公爵の屋敷にやって来たのは、娘でシーラの母親だった。

夫のチャールスが将校になったのよと父親の公爵に伝えた母親は、あの子は?と聞き、二階だと教えられると、二階のシーラに会いに行く。

パパは来ないの?とシーラが聞くと、娘の髪をとかしてやりながら、軍隊に入ったのよと母親は教える。

鉱山の仕事を失ったサムは、毎日足を棒のようにして職を探していたが見つからないと家に戻ってさらにこぼしていた。

サラも、家賃も払わなければいけないし、食料も買わねばならない…と哀しげに訴えていた。 そんな下から聞こえてくる両親の話し声を、ジョーはベッドの中で聞いていた。

翌朝、シーラの母親は、学校を探さないと…、ロンドンは危ないのよ…と、自分一人で帰宅することを打ち明けていた。

見送る公爵は、チャールスによろしくな!気に入らん奴だが…と、車に乗り込み帰って行く娘に告げていた。

母親が帰って行った後、ラドリング公爵はシーラに見せたいものがあると言い出す。

その日帰宅したジョーはサラに、今日、ラッシーが学校に来ないんだと報告していた。

シーラは、庭先の檻に入れられていたラッシーを見る。 売らないって言ってたんじゃないの?」とシーラが聞くと、金をちらつかせたらあっという間に手放したよと公爵は教える。

しかし、ラッシーが、与えられた餌も食べずぐったりしているので、飼育係のハインズを叱りつける。

ハインズは、急に豪華な餌になったからでしょう。数日で餌に慣れますと自信満々に応える。

公爵とシーラが立ち去ると、檻の前に立ちはだかったハインズは、食わせるぞ!喉に詰め込んでもな!覚えとけ!ここでは俺が主人だ!とラッシーに言い聞かせる。

その後、乗馬から帰宅したシーラは、檻の中のラッシーに、お風呂に入った後で会いにくるからねと声をかけ屋敷へと向かう。

しかし、檻の周囲に人気が亡くなったことを悟ったラッシーは、檻の下の地面を掘り始め、そこから外へと抜け出す。

学校を終えて校舎から出て来たジョーは、門の前でラッシーが待っているのを発見し、どうやって来たんだ!と驚く。

しかし、一緒に家に帰ると、車が停まっており、サムとサラが困ったようにジョーを待ち受けていた。

ハインズが連れ戻しに来ていたのだった。

今度やったらひどい目に遭わせるからな!と捨て台詞を残し、ハインズはラッシーを車に乗せ屋敷へと戻る。

しかし、その途中、反対側からやって来たヤギの群れと道で遭遇したハインズの車はしばし立ち往生するが、その間に、後ろに閉じ込められていたラッシーは、背後の扉の掛けがねを外し逃走する。

その後、ラッシーを屋敷に連れて来たサムは、一緒に連れて来たジョーに、言うんだ!と命じる。

檻に入れられたラッシーに、ジョーは、ここで幸せに暮らすんだ!二度と戻ってくるな!帰って来ちゃダメなんだ!悪い犬め!と叱りつけるが、嘘の気持だったので、良い終えた後、思わず父親に抱きついて泣く。

そんな様子を側でじっと見守っていたシーラは、ジョーたちが帰って行った後、ここが嫌だから逃げるんじゃないの?と公爵に聞くが、奴らはこの犬に逃げる訓練をして、そのうち別の奴に売るつもりなんですよ、ヨークシャーの人間はずるいですからなどとハインズは応える。

檻の前に立ったシーラは、帰りたいのね、私もなの…、仲間ね…とラッシーに話しかける。

その後、学校にいたジョーは、帰宅時刻が迫った3時28分の壁時計を見て、いつも迎えに来てくれていたラッシーのことを思い出していた。

一方、ラドリング公爵はハインズに、明日出かけるぞ、ヨークシャーともお別れだと命じていた。 檻に入っていたラッシーは、大きくジャンプして檻の上を越え、またもや逃げ去る。

その後、怒ったハインズがサムの家を訪れ睨みつけてくるが、ここにはいないと応えたサムは、ジョーはどこだ?とサラに聞く。

ハインズは、明日はスコットランドに行くんだ、犬も一緒だとサムに教える。

サムは家を出て、森の中でラッシーと一緒にいたジョーを発見する。

犬を盗んでも解決しないよ、犬は彼らに売ったんだ…とサムは言い聞かせるが、盗んでないよ、帰ってくるんだ…、どうやったってまた帰ってくるよとジョーは応える。

ラッシーはスコットランドへ行くんだ。100歳まで生きても行けないよ。その内また別の犬を飼ってやるから…とサムはなだめようとするが、別のなんていらないよとジョーは拒否する。

しかし、ラドリング公爵とともにラッシーは列車に乗せられ、スコットランドへと向かう。

シーラは、ハインズの目を盗み、檻に入れられていたラッシーに餌を与えに行く。

スコットランド シーラが朝起きてラドリング公爵と犬舎に行くと、ハインズに連れて来られたラッシーが、先にいた別のコリー犬の檻の前に連れて来られるのを見る。

その頃、ジョーはすっかり元気をなくしており、ベッドから起きて来ようとしなかったので、起きなさい、ママもラッシーは好きよ、でも、あなたの方が好きなの。

うちは今3人食べるのがやっとなのよ。時には諦めるものよ。ラッシーの成長を見守れただけでも幸せだったの。 今、ラッシーは冒険に出たのよ。喜んで上げなさいとサラは言い聞かすが、ジョーがベッドの上から動こうとしないので、諦めて下に降りる途中、階段のところで泣き出してしまう。

犬舎のラッシーに会いに来たシーラは、ここから出たいのね、家に帰りたいんでしょう?寄宿学校に入れられたら私も同じだわ…と話しかけていた。

ある日、他の犬と一緒にラッシーを庭に出して歩行訓練をしていたハインズは、植え込みの陰にラッシーを引っ張ってくると、自分のズボンのベルトを外し、それでラッシーを殴りつけ始める。

ラッシーは、そんなハインズを振り切り逃げ出したので、ハインズはあわてて、庭木の手入れをしていた庭師たちに捕まえてくれ!と怒鳴るが、ハインズの言うことに耳を貸す庭師はおらず、ラッシーはそのまま門の方へと向かう。

ちょうどそこに、ラドリング公爵と一緒に車で外から帰って来たシーラがラッシーに気づく。

庭園内での騒ぎに気づいた公爵は、何をしとんだ?と聞くが、シーラは、ハインズさんが犬と遊んでいるわと嘘を教える。

ラッシーを懸命に追っていたハインズは、門の側に来たシーラに気づくと、門を開けるんじゃない!と叫ぶが、シーラは聞こえい振りをして門を開けたので、ラッシーは外に逃げ出してしまう。

その直後、門のところにやって来たハインズは、門に触らないでと言ったはずだ!とシーラを睨みつけるが、シーラはとぼける。

そんなハインズが、ズボンのベルトを手に持っている事に気づいたラドリング公爵は、ベルトはどうした?私の動物たちに虐待は許さん!出て行け!と叱りつける。

ハインズは、門を通って屋敷の方へ向かった公爵の車を追いかけて言い訳しようとするが、ズボンが落ちかけたので諦める。

その頃、ヨークシャーのサムは、息子のジョーの寝室に来ると、隠さなくて良い、話しがあると切り出していた。

タバコ止めたの?とジョーから聞かれたサムは、ママからも注意されたので止めたと応え、実はしばらくの間戦争に行く事になった。1人で頑張るんだ。パパが留守の間、ママを頼んだぞと告げる。

ラッシーは?とジョーが聞くと、今はちゃんと餌がもらえる大きな屋敷に住んでいる。だから、もう忘れろ…とサムは言い聞かす。

その頃、屋敷を飛び出したラッシーは、雨に降られたので、無人の納屋に入り込み、わらにくるまって休息を取っていた。

屋敷ではシーラが、早く見つけないと死ぬ!とラッシーの事を案じるので、公爵は、あの犬はペットだ、自分で餌を取る術を知らない。餌がなくなれば飢え死にだ…と応えたので、私が門を開けた事を後悔させたいの?とシーラが聞くと、後悔しているのか?と聞き返した公爵は、もう寝なさいとなだめる。

翌朝、納屋のわらの中で目覚めたラッシーは、またヨークシャー目指して歩き出すが、反対側からやって来たトラックの下に潜り込んだので、轢いてしまったと思った運転手は急ブレーキをかけ、道路から乗り上げてしまう。

怒った運転手は車を降りて来てラッシーに、さっさと失せろ!と怒鳴りつけるが、サイドブレーキをかけていなかったトラックは、少し傾斜が付いていた道を勝手にバックし始め路肩にぶつかって停まる。

その際、荷台に乗せていたジャガイモ袋が崩れ、中身がこぼれだしてしまう。

南に15kmの所でラッシーを見たと言う連絡があった…と、朝食の席でラドリング公爵がシーラに教えると、もう心配してないわ、行きましょう!とシーラは喜ぶ。

ラドリング公爵から依頼を受けて捜索していた地元の警察が、町の郵便局の側で水を飲んでいたラッシーを見つけ、捕えようとするが、あっさり逃げられてしまう。

そこに、シーラとラドリング公爵の乗った車が近づいてくるが、ラッシーはその車の屋根を伝って反対側に逃げて行ってしまう。

それを見たラドリング公爵は、今はダメだ、怖がっているんだ、腹が減ったら戻るさとシーラを慰めようとするが、屋敷へは戻らないと思うわ、前の家に戻るつもりよ…とシーラは反論する。

川で水を飲むラッシー その頃、学校にいたジョーは、終業時刻の4時頃、犬が吠えたような気がして振り返る。

家に帰ってその事を聞いたサラは、またラッシー?今度口にしたら、ママは出て行くからね!とジョーを叱りつける。

その頃、とある農家の庭先に迷い込んだラッシーだったが、農民が出て来て、またニワトリ泥棒だな!と言いながら、いきなり猟銃をぶっ放して来たのであわてて逃げる。

その後、とある大きな湖では、ボートに乗った紳士二人がクリケットの試合をラジオで聞きながら、どっちのチームが勝つかと議論し合っていた。

その時、一人の紳士が湖岸にいるラッシーを発見する。 観察していると、水の中に入ろうとしているように見えたので、湖を泳って渡るつもりなのか?直線距離で160kmもあるこの湖をどうやって渡るのか?と不思議がっていた。

結局、ラッシーは湖岸を走り出すが、湖には巨大な生物が泳いでいた。

やがて、高山の頂きに立つラッシー

その頃、母親に連れられ「聖ヒルダ女学院」に車でやって来たシーラは、寄宿舎のベッドなどを案内してもらう。

シーラはここでは「110」と番号で呼ばれるとの事だった。 私、番号なの?とシーラが不満そうに聞くと、軍隊と同じよと寮監の女性が答える。

一方、ヨークシャーでは、サムがトラックに乗って軍隊へ出かけるのを、ジョーとサラが、哀しげに見送っていた。

ラッシーは川を泳いで渡っていた。

「聖ヒルダ女学院」では、朝起きて顔を洗っていたシーラがわざとぐずぐずしており、その後、寮監がベッドに様子を見に行くと、そこには毛布の下にタオルなどが置かれて膨らませてあっただけで、もうシーラの姿はなかった。

寮監は脱走したと気づき、ホイッスルを吹く。

外に逃げ出したシーラは、ヒッチハイクをしようとするが、車はなかなか停まってくれない。

町にやって来たラッシーは、道路を渡ろうとして、車の往来に戸惑っていた。

手を上げていたシーラは、やっと一台の車が停まってくれたので喜ぶが、中から降りて来たのは寄宿舎の寮監だった。

一方、町を歩いていたラッシーは、野犬狩りの車に見つかっていた。

降り立った2人の野犬係は、歩道でラッシーを挟み撃ちにし、網で捕えてしまうが、それを見かけた青年と若い女性が、暴れているラッシーを見かねて、怯えているじゃないの!と抗議すると、自らラッシーを抱きかかえ、野犬狩りの車に乗せてやる。

車が走り去ると、それを見送ってその場に残っていた青年が、感心しましたと若い女性に声をかける。

子供の頃、同じような目に遭っている犬を知っていましたら…、でもあの犬たちどうなるんでしょう?と女性が言うので、飼い主が見つからないものは処分されるんでしょうね…と教えると、収容所はどこ?と女性は聞き返す。

収容所に連れて来られたラッシーは檻に入れられかけるが、間一髪逃げ出す。

二人の野犬係は、慌てて、建物内を追いかけ始めるが、ラッシーは裁判所の中に入り込んでしまう。

裁判長は、ラッシーを見ても驚かず、冗談を言いながら、守衛官に、どうしたものかな?と相談する。

外に出した方が宜しいのでは?と守衛が答えた所に、野犬係が入って来たので、皆さん、お静かに!犬を下がらせるように…と命じる。

しかし、ラッシーは、野犬係の手をかいくぐり、窓から建物の外壁に飛び出して行ってしまう。

さらに、下を通りかかったトラックの荷台の幌の上にジャンプして飛び降りてしまったので、その後、あの若い女性と青年が収容所に来た時には、コリーはいませんと野犬係は答えるしかなかった。

お金が必要なら出すわとまで女性は言うが、脱走したよ、逃げましたと言うので二人は安堵する。

外に出た青年と女性は意気投合し、女性は、あの犬が自由になれて良かったわと喜ぶ。

その後、草原を歩いていたラッシーを、同じ方向に向かっていた馬車の御者が見つける。

その御者は、見せ物師のミゼット、ロウリー(ピーター・ディンクレイジ)だったが、口笛を吹いたりしても、ラッシーが近づこうとしないので、よほど警戒心が強い犬だと言う事に気づく。

その後も、馬車の後から付いて来るラッシーの事が気になり、途中、馬車を止めて、地面に餌を置いてやったりするが、ラシーは警戒してその餌を食べようとはしなかった。

その後、自分の昼食のため、愛犬のトゥースと共に休憩する事にしたロウリーは、試しに自分が食べかけていた皿に入れた料理を、女王様は気高いので…などとつぶやきながら側で一緒に休んでいたラッシーの前においてやると、今度はその料理を食べ始めたので、トゥース、友達が出来たらしいな、さらに入れなくちゃいけないらしいな…、地面に直接置いちゃいけないんだ…などと愛犬に話しかける。

ある日、ジョーが学校を終えて外に出ると、サラが迎えに来ていたので、パパは?と聞くと、クリスマスには戻ってくるわとサラは答える。

ロウリーは、とある町で子供たちを集め人形劇を披露していた。

愛犬のトゥースも、助手役として樽に乗ったりする芸を披露する。

さらに、ラッシーまでも、「アンドロクレスとライオン」と言う人形劇の、足に刺が刺さったライオン役として出演するようになっていた。

森の中で野宿していたロウリーは、もう冬だ…、明日は早いぞなどとトゥースとラッシーに話しかけていたが、それに気づいたのは、うさぎ狩りに来ていた猟師二人だった。

あれは何だ?ミゼットだ…、いやドゥワーフだ、ドゥワーフは金を掘るんだ…、本人に確かめようぜなどと話しながら、ロウリーに近づくと、トゥースが吠え始めたので、犬を黙らせろ!と居丈高に命じると、茶を一口飲ませてくれ、このウサギと交換でどうだ?と無遠慮に頼み込んでくる。

突然の闖入者たちに警戒しながらも、良いよと答えたロウリーは茶の準備を始める。

クリスマスも近いし、儲かっているようだな?金だよ…、おとなしく出せば乱暴はしない…と、猟師は本性を現す。

金はない…、あるのはお茶だけだとロウリーは答えるが、痛い目に遭いたいらしいな…と言いながら、二人の猟師は迫ってくる。

ラッシーが吠えると、あっちへ行け!と猟師は棒で威嚇したので、ラッシーはその場を逃げ出す。

猟師たちは、馬車の中を物色し始めるが、ロウリーはその身体の小ささを利用して、そんな二人に蹴りを入れたりして追い出そうとする。

怒って外に出て来た猟師の足にトゥースが噛み付いたので、猟師は激高し、棒で殴りつける。

殴られたトゥースはその場に横たわり声を出さなくなったので、それに気づいたラッシーが戻ってくると、猟師が持っていた棒に噛み付いたり、コートを噛んで放さなかったりする。

執拗なラッシーの攻撃に嫌気がさした猟師たちは、だから俺は犬は苦手なんだ、昔からな!などとぼやきながら逃げ出す。

横たわったトゥースを前にして、もう身内はいない、7年間一緒だった…、神様のお恵みがありますように…と祈りを捧げる。

そんなトゥースとロウリーの様子を、ラッシーは黙って見守っていた。

その後、ロウリーは、高台に小石を積み、トゥースの墓を作ってやる。 神を信じて…とロウリーはつぶやく。

その後、再び馬車を出発させたロウリーだったが、二叉路に来た時、ラッシーが同行するのをためらい、別の道の方へ行こうとしたので、冬が来る…、もう帰らないと…、トゥースを思い出すな、お嬢さん…、哀しいね…と、馬車を降り、ラッシーの側に来たロウリーは語りかける。

今まで楽しかったな…、さあお別れだと言ったロウリーは、ラッシーの額にキスをしてやる。

ラッシーと分かれたロウリーは馬車に乗って去ってゆく。

ラッシーの方は、線路伝いに岐路についていた。

やがて雪が舞い降り始める。

クリスマスのため、シーラも母親に連れられ、車で公爵の屋敷に帰っていた。

自宅でクリスマスツリーを作っていたジョーは、聖歌隊の練習よとサラに急かされ、教会へ出かける。

ラッシーは、雪の中黙々と歩き続けていた。

教会にいたサラの元にサムが帰って来て、メリークリスマス、外はきれいだよと話しかけ、キスをしたので、聖歌隊の列に並んでいたジョーも気づき笑顔になる。

ラッシーは雪が積もったヨークシャーに帰って来ていた。

教会では、サムとサラがろうそくに灯をともす。 自宅前までたどり着いたラッシーだったが、見上げると二階のジョーの部屋の明かりが消えている。

ジョーは聖歌隊と一緒に教会で歌っていた。

その歌声に気づいたラッシーは、声のする方へ歩き出す。 しかし、既に体力の限界を超えていたラッシーは、協会にたどり着く前に雪の中に倒れ込む。

ラッシーが帰って来た事に気づいていた子犬のクリケットは、ラッシーの危機を感じ取ると家を飛び出し外へ走り出す。

倒れていたラッシーの元にやって来たクリケットは、教会にいたジョーに知らせに行く。 ジョーは、突然クリケットがやって来たので、何事かと外について行く。

サムとサラも、いつの間にかジョーの姿が見えなくなった事に気づき周囲を探し出す。 クリケットに連れられ、倒れていたラッシーを見つけたジョーは、ラッシー!ラッシーが帰って来たよ!と叫ぶ。

その声に気づき近づいてくるサムとサラも驚いていた。

サムは、倒れたラッシーを抱えて家に戻る。

そんな家族の様子を、町の人々も興味深げに見守っていたが、酒屋の店先の野次馬の中には、あのハインズの姿があった。

自宅に呼んだ医者は、ラッシーの容態を診て、聞いてごらん…とサムに話しかけ、心拍はあるが、この先はどうなるか…、人間と違い生に執着がないだけに、家に着いたと言う安堵で力尽きるかもしれん…と言う。

何とかできませんか?とサムが聞くと、何か飲ませると良いのだが…、ミルクかブランデーか…と言った医者は、また明日様子を見に来ますと言い残し帰ってゆく。

サラや見守っていた近所の主婦たちが、ミルクやブランデーを探し始める。 一方、ラドリング公爵の屋敷では、親戚一同集まってクリスマスが始まっていた。

シーラは、脱走しようとした気持は忘れないように…と手製のラッシー人形を取り出す。

サラはラッシーにミルクを飲ませていたが、そこにノックの音が聞こえ、入って来たのは、ハインズと警官だった。 隠しても無駄だ!警察を連れて来たからな!とハインズは睨みつけてくる。

病気なのよ!とサラは抗議するが、獣医の許可書だ!とハインズは書類を突き出す。 サムも、触るな!とラッシーに近づこうとするハインズを叱るが、売ったんだろう?とハインズは迫ってくる。

サムが、僕が連れて行くと答えると、警察も一緒だ!逃亡の常習犯だからな…とハインズは憎まれ口を聞くので、それを聞いたサラは、なんて事を!と憤慨する。

親戚たちと食事をしていたラドリング公爵は、辞めさせたハインズがやって来て、犬を連れてきました!玄関にいますと言うので、イブに戻って来たか…と驚きながらもシーラと一緒に玄関に向かう。

そこには、警官と、サラ、サム、ジョーも来ており、ラッシーは力なく横たわっていた。

ラッシーの様子を観察しだしたラドリング公爵は、これはただの犬だ、あの距離を帰ってくるとは思えない、年はとっても分かるぞ!野良犬を押し付けようとしても騙されんぞ!などと言い出す。

側で聞いていたハインズは戸惑い、しかし、これは…と言い返そうとするが、ヨークシャーとこことは800kmもあるんだ、歩ける距離じゃないと公爵が言い張るので、警官たちも、はい…、公爵がそう言われるなら…と納得し、引き下がって行く。

おいでシーラと、食事の席に戻ろうとする公爵に、優しいのねと微笑みながら付いて行くシーラだったが、まだ終わっておらんと答えた公爵は、ハインズ、まだいたのか!と驚いてみせ、悪いが食事中なんで失礼するよと言うと、スキッパー!ボースン!と番犬の名を呼ぶ。

ハインズは、かつて自分が面倒を見ていた番犬が出て来たので、愛想を振りまこうとするが、犬たちがそれを相手にせず迫って来たので、あわてて逃げ出す。

山を越えて帰路についていたサムたちだったが、車に乗ったラドリング公爵とシーラが後を追って来て、相談があるんだ、ハインズが辞めたので家の犬の世話をしてくれんか?と公爵が声をかけてくる。

家族も一緒だと言うので、それを聞いたサラは、給料は7ポンド!と要求する。

公爵は5ポンドが限界だと言い返すが、サラは諦めずに6ポンド6!と言い張り、住む場所も要求する。

空いているコテージを使ってくれ、それでどうだ?と公爵が苦笑しながら根負けすると、ありがとうございますとサムは礼を言う。

歩けるようになったラッシーを見た公爵は、元気になったなと声を掛けると、シーラと共にまた車で帰ってゆく。

車の中では、喜んだシーラがなついて来たので、止せ!べたべたされるのは好かん!あの犬が欲しかったので男を雇っただけだと公爵は言い訳をする。

その後、ラッシーは6匹の子犬を生んで母親になっていた。

それをうれしそうに見守るシーラに、子犬は10日めには目が見えるんだと教えるジョー。

その後、子犬を連れたラッシーと、高原の草原を走るジョーとシーラの姿があった。
 


 

 

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