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キングスマン

昔から良くある「007」パロディ映画だが、昨今流行のシリアス路線ではなく、60年代半ば頃の「007」ブームに便乗して作られた数多くの便乗映画、模倣映画なども含めた「懐かしのスパイ映画ブーム」パロディと言った方が近いかもしれない。

「007 ロシアより愛をこめて」(1963)のローザ・クレッブへのオマージュとか、マイケル・ケインの「ハリー・パーマー(国際諜報局)」シリーズなど分かり易いのもあるが、ポップなナンセンスドタバタ劇仕立てだった「007 カジノロワイヤル」(1967)なんかに通じるノリがある。

その一方で、紳士スパイが若いチンピラを紳士スパイに育て上げると言う「マイフェアレディ」的な要素も加わっており、下品さと上品さと子供じみたファンタジー要素が入り交じったような独特の世界観になっている。

ちなみに、松尾昭典監督、二谷英明主演の日活映画「アジア秘密警察」(1966)では、洋服屋の着替え室がエレベーターになっており、地下に通信係の浅丘ルリ子と部長役の三島雅夫がいたりしたが、「キングスマン」はこれをパクっているのだろうか?

「0011 ナポレオン・ソロ」(1964~)の洗濯屋の地下が本部と言うのがベースになっているのだとは思うが…

この手のものを見慣れている目で見るとまずまずと言った所なのだが、あまり見慣れていない人にはすごく面白く感じられるかもしれない。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2015年、イギリス映画、マーク・ミラー原作、ジェーン・ゴールドマン脚本、マシュー・ボーン脚本+監督作品。

中東 1997年

砂漠で待機していたゲリラ二人は、突然飛来したヘリコプターから銃撃される。

ヘリは、建物を爆破、瓦礫が転げ落ちるような3D文字に代わる。

ファルコンを確保!とヘリから本部に連絡

情報を教えるんだ!部屋の中で捕まえた捕虜を尋問するガスマスクの4人組

その時、椅子に縛り付けていた捕虜が手榴弾を持っていることに気づいたガスマスクの男がもう1人のガスマスクの男に飛びついてかばった次の瞬間、捕虜の手榴弾は爆発する。

くそ!隠してたのか!見逃すとは…と、仲間にかばわれて助かったガスマスクの男が立ち上がり、ジェームズ、訓練はこれで終わりだ…と言うと、自分の身をかばい殉職した男に、君もキングスマンだと言うと、別のガスマスクの男に、ランスロット、ここは引き上げる!と命じる。

ロンドン

男は、自分を身を持って助けた仲間の妻に会いに行き、泣いている妻に、今後、出来るだけの援助はすると言いながらメダルを渡すと、裏にNo.が刻んであるので、今後困った時には電話してくれ。合い言葉を言うんだ。「ブローグではなくオックスフォード」と告げる。

しかし、泣いている妻は、援助なんかいらないわ。夫を返して!と訴えるので、男はペンダントを、スノードームを持っていたまだ幼い息子に手渡し、これを大切に持っているんだ、ママも大事にねと言い聞かす。

テーブルに置いたスノードームにカメラが寄ると、スノードームの中の風景と同じような雪山に画面が変わり、タイトル

17年後 アルゼンチン

椅子に縛られたアーノルド教授(マーク・ハミル)の口に貼られていたガムテープを剥がしながら、誘拐犯は、ボスが事情を説明する。その前にウィスキーでもどうだね?と話しかけ、1人がウィスキーを取りに行く。

その時、突然、山荘のドアがノックされたので誘拐犯は驚く。

外は雪山で、人が来るような場所ではなかったからだ。

ドアを開けてみると、そこにはスーツ姿の場違いな紳士が立っており、砂糖を貸してもらえませんか?と言うので、応対した誘拐犯は唖然となる。

次の瞬間、紳士は誘拐犯をその場で倒すと、山荘の中に入り込み、見張りのものたちも次々に倒して行く。

そして椅子に縛られたアールド教授に、家にお帰ししますと告げた紳士だったが、その時、ウィスキーをグラスに入れて運んで来たもう1人に気づいたので、瞬時に倒すと、落ちかけたウィスキーのグラスを取り、62年のダルモアだ…と巧そうに味わう。

その時、又、ドアをノックする音がしたので、怪訝そうにドアを開けた紳士は、外に、これ又場違いな美女が立っていたので驚く。

次の瞬間、紳士は縦にまっぷたつになり、左右に別れて倒れる。

山荘に入って来たのは、両足がバネのような義足の美女ガゼル(ソフィア・ブテラ)だった。

呆然としているアーノルド教授に、持ってて、お願いと布切れを渡したガゼルは、床に転がっていた死体に次々に布をかぶして行く。

きれいにしたわ…とガセルが言い終わった時、部屋に入ってきたのはヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)で、ガゼルからウィスキーのグラスを受け取ると、私は暴力が嫌いだ。血を見ると吐き気がする。不愉快なものをお見せしたとアーノルド教授に詫びると、ガゼルに、邪魔した男の背後を探るんだと命じる。

ロンドン

サヴィル・ロウにある高級スーツ店「キングスマン」

そこにやってきたガラハッド(コリン・ファース)に、店の主人は、アーサー様は奥に…と声をかける。

部屋で待ち受けていたアーサー(マイケル・ケイン)は、入って来たガラハッドにテーブルの椅子に座らせると、11年振りに開けると言う酒を注いでやり、亡くなったランスロットに乾杯!と音頭を取る。

アーサーのメガネには、目の前にいるガラハッドだけではなく、他の椅子に腰掛けているホログラムのメンバーたちが乾杯をする姿も見えていた。

ランスロットの交代要因を選ぶことにする。各人候補を1人ずつ午後9時までにあげてくれとアーサーは、ガラハッドと他のメンバーたちに伝える。

ランスロットが過去、何を追っていたかの紹介が始まる。

2012年にはウガンダ、2013年にはチェチェンで活動していたランスロットは、アルゼンチンに飛んだことまで判明していた。

最近、彼が追っていた相手は気象学の権威でガイア理論の提唱者アーノルド教授だったが、アーノルド教授は行方不明にはなっておらず、今朝も大学に出勤している事実が判明する。

前回より良い候補を選べとアーサーから言われたガラハッドは、彼のお陰で今、私はここにいると答える。

17年前知らないおじさんからもらったペンダントを胸に下げていたエグジー(タロン・エガートン)は、情けなさそうに鏡の中の自分を眺めていた。

母親から名前を呼ばれたので行ってみると、そこには、母の再婚相手ディーンが椅子にふんぞり返っており、タバコの巻き紙を買って来いと札束を見せる。

すっかり荒んだ母親の横には、ディーンの子分が座っていたので、そいつに買いに行かせりゃ良いじゃないかとエグジーは言うが、母親もディーンの言うことを聞きなさいと言うので、仕方なく金を受け取り出て行こうとするが、その時、入口の側のベッドの中で泣いていた赤ん坊の妹に吸い口をくわえさせ、もう泣くな…と言い聞かせる。

パブで友人二人とだべっていたエグジーは、何故おふくろさんは家を出ないんだ?と言われたので、いつかあいつをぶちのめすと吐き出すが、その時、店内にいたディーンの子分たちが、その言葉を聞き、ボスの女の息子だからって悪口を言って良いのか?と因縁をつけて来る。

バツが悪くなったのか、友人二人と店を出たエグジーは、今、因縁をつけて来た相手から掏り取った車のキーを友人たちに愉快そうに見せる。

パブの中にいたチンピラたちは、店の外で車の発信音が聞こえたので、何ごとかとドアを開けて外を見ると、そこに停めてあった車にエグジーたちが3人乗り込んでおり、その場で急旋回していたので唖然とする。

チンピラはその場で携帯を取り出すと、ディーン!エグジーが車を盗んだ!と連絡する。

すると、その場から逃げ出したと見えたエグジーの車が、パトカーに追いかけられ、バックのまま戻って来たので、さらにびっくりする。

パトカーと向き合う形でバックのまま車道に逃走していたエグジーは得意げだったが、バックミラーに写った、狐が道路の真ん中に立ちすくんでいるいるのに気づくと、それを避け、路肩に衝突して停止する。

パトカーが迫って来たので、運転していたエグジーは、狐が害獣なんだぞ…とぼやく友人二人に逃げるように命じる。

ホルボール警察署に連行され、取調べを受けるはめになったエグジーは、友達の名前を言わないと刑務所送りになるぞと脅されていたが、電話をかけさせてくれと頼む。

母さんにか?帰宅するのは1年半後だぞ!と刑事は嘲りながらも部屋を出て行く。

エグジーは、ペンダントの裏に書いてあった「12 19 97」と言う数字に携帯をかけてみる。

相談事務所と名乗る女性事務員のような声が応答したので、困った時にはここに電話しろと言われてたので…とエグジーは説明するが、おかけ間違いのようですと相手が言い、電話を切られそうだったので、待ってくれ!「ブローグではなくオックスフォード」と、記憶に残っていた暗号を言ってみる。

すると、相手の女性は、承りましたと返事をする。

外で待っていた刑事は、携帯が鳴ったので出ると、分かりました!と驚いたような表情で答える。

刑事が署内に戻ると、すぐにエグジーが代わりに外に出て来る。

階段を降りかけたエグジーは、そこに立っていたメガネの紳士ガラハッドから家まで送ろうと声をかけられたので驚く。

唖然としているエグジーに、礼くらい行ったらどうだ?私はハリー・ハート、君にメダルを渡したものだ…とガラハッド は言う。

その後、エグジーの馴染みのパブで2人になったハリーことガラハッドは、昔、父さんに命を救われた。私はミスをした。君の父さんは勇敢だったと打ち明け話をする。

だが、今の君には失望している。学校の成績は優秀だったはずなのに、今では麻薬に溺れ堕落した毎日を送っている。

体育も2年連続で1位だったはずだ、何故海兵隊を中退したんだ?とガラハッドは責めるように聞く。

母が反対した。どうしようもないんだ。あんたも裕福じゃなかったらそうなるよとエグジーは反論する。

その時、ディーンが仕返しを許可したと言いながら、チンピラグループが店に入って来る。

これを呑み終わるまで待っててくれ、今日は気が立っているんだ…とビールを飲んでいたガラハッドが注意するが、チンピラグループは、黙ってろ!ジジイ!と無視し、エグジーを睨みつける。

席を立ち上がり、店を出て行くかに見えたガラハッドに、援交相手の子供なら他で探せ!とチンピラが罵倒して来たので、入口の所で立ち止まったガラハッドはドアの掛けがねを自ら閉めると、マナーが作るんだ、人間を…、意味が分かるか?と言うなり、持っていた笠の柄でテーブルのグラスを投げ飛ばし、チンピラのリーダー格の額にぶつけ失神さす。

思わぬ反撃に立ち尽くすチンピラたちに、一日中立っている気か?と挑発するガラハッド

そして、飛びかかって来た他の連中も次々に倒して行く。

倒れていたリーダーが起き上がり、銃を向けて来たので、ガラハッドは傘を開き、防弾すると、信信モードのスイッチを押し、傘の先端から礫を飛ばし、リーダー格を再度失神させる。

パプの店主は騒ぎに怯えて警察に電話をかけようとするが、記憶喪失モードにしたニードルを、ガラハッドが腕時計から発射すると、そのニードルは主人の首筋に刺さり、主人もカウンター内で気絶する。

チンピラたちを全員倒したガラハッドは、何ごともなかったかのようにエグジーのテーブルに戻って来ると、失礼した、気が立っていたもので…と弁解する。

先日、友人が死んだんだ。君に見せる気はなかった…と言いながら、腕時計を向けて来たガラハッドに、俺は口が堅いんだ!と記憶を消されないようにエグジーは答える。

ガラハッドはそんなエグジーを信じるかのように、肩を叩いて店を後にする。

TVでは、大富豪リッチモンド・ヴァレンタインのショーの紹介を華々しくレポーターが行っていた。

帰宅したエグジーは、義父のディーンから、パブで誰と会っていた?と殴られる。

しかし、そのエグジーは決してしゃべらなかったので、その罵倒と暴力は増すばかり。

そのディーンの罵倒は、エグジーの背中に先ほどガラハッドが付けておいた小型マイクで、仕事中のガラハッドに全て筒抜けだった。

ディーンがなおも暴力を振るおうとした時、私が聞いているぞ!君を一生刑務所に入れることも出来るんだ!とどこからともなく声が聞こえて来たので、ディーンは驚く。

エグジーも驚いていたが、話した洋品店へ行けとガラハッドの声が命じる。

エグジーは迷わず、「キングストン」にやって来る。

店内でガラハッドが茶を飲んでいたので、どう見ても仕立て屋には見えないけど…とエグジーが嫌味を言うと、来いと命じたガラハッドは、エグジーを連れ試着室に入る。

鏡に映ったエグジーを見ながら、私に見えるのは将来を嘱望された有望な若者で、正義を信じるものだ。君は「ニキータ」を見たことはあるか?「プリティ・ウーマン」は?とガラハッドは聞くが反応がない。

それでも、生まれの貧しさは関係ない。学ぶことで強くなれるんだと言うと、「マイ・フェア・レディ」みたいなものか?とやっとエグジーが反応したので、それは見ているのかとガラハッドは安堵する。

君をキングスマンに育てるとガラハッドが言うと、一種のスパイみたいなものね?とエグジーは察する。

興味は?と聞くと、失うものはない…とエグジーが答えたので、ガラハッドは正面の大鏡に自分の手のひらを押し付ける。

鏡は掌紋認証装置になっており、認知した試着室はエレベーターとなって地下に降下し始める。

降下中、ガラハッドは、キングスマンの組織が出来た経緯、資金の秘密などを説明し、スーツは現代人にとっての鎧であり、キングスマンは現代の騎士なのだとガラハッドは言う。

地下に降り立った2人は、そこに停まっていた円筒形状の乗り物に乗り込む。

その乗り物は高速でロンドンの地下を通過し、とある宮殿のような豪邸に到着する。

遅刻だ…と言いながら、ガラハッドがエグジーを連れて来たのは、飛行機が何機も収まっている地下格納庫のような場所だった。

今君がしているような顔を、かつて私もした…と、ガラス窓から格納庫を眺め、唖然としているエグジーを見ながらガラハッドが言う。

そんな2人を待っていたのは、マーリン(マーク・ストロング)と言う男だった。

ガラハッド、遅刻だと言うと、エグジーには入れ!ととある部屋のドアを指し示す。

中に入ったエグジーは、自分と同じような若者が数名部屋で待っていることに気づく。

面接を始める。

試験に通れば君等の誰かが新しいランスロットになる。各自、自分の名前の書かれた死体袋を確認するように。この仕事は死と隣り合わせだ…とマリーンは事務的に説明する。

エグジーに親し気に自己紹介して来たのは、2人いる女性の1人ロクサーヌ、通称ロキシー(ソフィー・クックソン)だった。

男たちは、全員裕福な家庭のお坊ちゃんたちらしく、エグジーに、君はケンブリッジ?それともオックスフォードと聞いて来たので、エグジーがごまかすと、急にバカにしたような態度になる。

ロキシーは気にするなとエグジーに注意する。

一番意地悪そうなのがチャーリー、それにバルバビー、ルーファス、女性のアメリアなどがエグジーに挨拶して来る。

その頃、まっ二つになったランスロットの遺体を縫い合わせた写真を前に、身元を調べさせていたのはヴァレンタインだった。

自分は地球を救済するため尽力を惜しまなかったが、いくら自分が努力しても地球は良くならない。政治家たちは再戦のことばかり考え、地球を良くしようとはしないと力説するヴァレンタインの話を聞いていたある人物は、この条件に同意するなら話を聞こうと答える。

その頃、エグジーたちキングスマン候補生は、トイレも付いている大きな室内のベッドに全員就寝していた。

深夜、そんな部屋の床から水が湧き出し、水かさが増すにつれ、たちまちエグジーたちのベッドも浸かり始めやので、エグジーは飛び起きる。

他のものたちもほとんど一斉に起き上がり、水で部屋が満たされそうになっている状況に気づくと、トイレの中には空気がある!シャワーのホースで空気を吸おう!とチャーリーが提案、全員、水の中を泳ぎシャワールームの方へと向かうが、エグジーだけは入口を開けようと反対方向へと向かう。

しかし、水中を泳ぎ、入口を開けようとしたエグジーは、そこが開かないことを知ると、シャワーのホースをトイレの便器に突っ込み、呼吸を確保している他のメンバーたちの背後の大きな鏡に向かって泳ぎ出す。

ハーフミラーになっていると確信したエグジーは、鏡の所にたどり着くと、鏡を割ろうと、同じ箇所を何度もパンチで殴り始める。

やがて、ハーフミラーは割れ、そこから室内を満たしていた大量の水が流れ出す。

外ではマリーンが、採点表を手に待ち構えていた。

最初に、トイレの中に管を通せば空気が吸えると気づいたチャーリーと、ハーフミラーに気づいたエグジーは立派だったが、今回のテストは全員失格だ。チームワークを忘れていたからだとマリーンは全員に言い渡す。

鏡の外に出た面々は、今出て来た室内を振り返り、床に倒れて動かないアメリアの姿を発見する。

死体袋は決して冗談ではなかったことを、今、全員悟るのだった。

ある日、ガラハッドは、大学の教室に1人残っていたアーノルド教授に会いに行く。

ガラハッドは、いきなり初対面のアーノルド教授の耳を掴むと無理矢理尋問しようとするが、その時、突如、教授の頭部が爆発したので、脳みそが顔に降り掛かったガラハッドは唖然となる。

同時刻、ガゼルはヴァレンタインに、アーノルド教授の埋め込みスイッチが起動しましたと報告する。

ガラハッドの方は、見知らぬ男が2人、教室に入って来て発砲して来たので、爆弾を爆発させ、窓から外へ飛び出す。

ヴァレンタインは、我々を追う組織は一体なんだ?と戸惑っていた。

M16、KGB、北京なども調べましたが該当者はありませんでしたとガゼルが報告すると、北京とは何だ?中国の組織名も分からんのか!とヴァレンタインは苛立ちながらも、製品のリリースを早めた。金ならいくらでも出すと告げる。

キングスマン養成所の屋敷の外では、子犬が数匹入った駕篭を前に、マリーンが候補生たちに、自分の子犬を一匹ずつ選べ!これからいかなるときもその犬と生活を共にするのだ!と命じていた。

エグジーは闘犬のブルドッグと思って子犬を選ぶが、ロキシーから、それはパグだと教えられる。

ガラハッドは屋敷内の病室に入院していた。

復帰はいつになる?と見舞いに来たアーサーが聞くと、何を浴びたか調べないと…とマーリンは答える。

そこに、ガラハッドを案じたエグジーもやって来たので、合格すれば彼も喜ぶとマーリンは励ます。

その後、子犬を連れた屋外訓練が始まるが、JBと名付けたパグがなかなか言うことを聞かず、一緒に走ろうとしないので、抱くのは禁止と言う注意事項を考慮し、エグジーはJBを自分の服の胸元に入れて走り出す。

その間、ヴァレンタインは、大きな工場で、何かを大量生産させていた。

ある晩、ベッドで寝ていたエグジーは、突然水を浴びせられたので、又、水没テストかと勘違いし飛び起きるが、それはチャーリーの悪戯だったので、ロキシーが止めて!と注意する。

やがて、ガラハッドが病室で目覚める。

エグジーたちは、ロキシーが狐の役をやり、夜間の射撃訓練をやっていた。

ヴァレンタインは、スカンジナビア王女と首相を招き、自分の計画にはスカンジナビアの協力が必要だと説明していたが、王女は、あなたはいかれた人ね!と呆れ、首相があっさり同意したことが信じられないようだった。

ヴァレンタインは、そんな王女を軟禁しようとしたので、護衛の2人が銃を取り出して防ごうとするが、ガゼルが義足でたちまち2人を倒してしまう。

王女を軟禁した後、スカンジナビア首相は、ヴァレンタイン付き添うのもと、自ら望んで何かを首筋に埋め込む手術を受けていた。

エグジーはまだ6人の最終候補者に残っていたので、病室にいたガラハッドは予想以上だとその結果に満足していた。

そこに、マーリンがやって来て、エグジーに君は外へ!と命じたので、ガラハッドは、彼には何でも聞かせようと提案する。

仕方なくマリーンは、エグジーにも、アーノルド教授の頭部が爆発したときのガラハッドの記録映像をその場で見せる。

どうやら、頭部に埋め込んだチップのIPアドレスを作っているのはヴァレンタインの会社なんだとマリーンが明かすと、天才だ!今日の発表、聞かなかったかい?と言い出したエグジーは、マーリンの持っていたボードを借り受け、今朝放送されたヴァレンタインのテレビ画像をモニターに映し出してみせる。

そこに写っていたヴァレンタインは、今後、自分が開発したSIMをスマホに装着すれば、電話もネットも全部無料になる!と世界に向け発表していた。

その映像を凝視していたガラハッドは、発表しているヴァレンタインの横に立っていた女性司会者の首筋に何かの手術跡があるのを発見する。

マリーンは、数日後に、ヴァレンタイン主宰の晩餐会があると告げると、誘拐したくなる人間に化けるとしようとガラハッドは言い出す。

その後、エグジーたち6人の候補生たちは、飛行機から目的地点に落下する降下テストを受けていた。

地上の目標に近ければ高得点になるが、途中で感知されてはいけないと言い渡されたメンバーたちは一斉に飛び降り始めるが、ロキシーだけは怖じけずいて飛び込めないでいた。

最後まで一緒に残っていたエグジーは、俺に続け!と励まし、先に飛び降りるが、なかなかロキシーは飛び降りず、失格ぎりぎりのタイミングになって、ようやく身を投げる。

降下するメンバーたちは自由落下を楽しんでいたが、彼らの耳に付けられたシーバーに、もしこの中の一人のパラシュートが入っていなかったらどうする?目標の内側に着地したら褒めてやる…と言うマリーンの声が聞こえていた瞬間、全員の顔が強張る。

エグジーは全員に、2人ずつ組むんだ!と声をかけるが、ルーファスが勝手に自分のパラシュートを開いてしまう。

仕方がないので、5人全員輪になり、1人ずつパラシュートを開いて行き、開かない奴がいたら、その右側にいた奴が助けることにしようと言うことにする。

最初の1人は無事にパラシュートが開き、2番目も無事に開き、空中で手を繋いでいるのは、ロキシー、エグジーを含んだ3人だけとなる。

次の1人もパラシュートが開いたので、ロキシーとエグジーだけが取り残される。

既に、安全高度以下になっていたので、モニターで経過を見ていたマリーンも動揺し、飲んでいたコーヒーカップを床に落としてしまうほどだった。

ロキシーがパラシュートを開くと開いたので、思わずエグジーはロキシーにしがみつき、奇跡的に屋敷の庭園内の目標地点の内側に落下する。

ヒューゴー、デルズビーは目標から外れ失格、ルーファスは感知されたので失格!と近づいて来たマーリンが伝え、3人は家に帰れと命じる。

高度90mで開いたのは新記録だとマリーンは褒めるが、何故俺のパラシュートがなかったんだ?とエグジーが詰めとると、そんなにカッカするなと自分の側に呼び寄せたマリーンは、エグジーのパラシュートのフックを引く。

すると、エグジーのパラシュートも開くことが分かる。

つまり、一番最後までフックを引かなかったエグジーこそが肝が座っていたと言う証拠だったので、エグジーは思わずにやける。

一方、富豪に成り済ましたガラハッドは、単身、ヴァレンタインの屋敷を訪れていた。

ヴァレンタインはガラハッドの身分を怪しみ、今まであなたを存じ上げなかったが、どうやって資産を?と聞いて来たので、不動産と株で…とガラハッドは答える。

テーブルについた2人の前に、ガゼルがクロッシュをかぶせた料理皿を運んで来る。

クロッシュを取ると、皿に乗っていたのはマックのハンバーガーだった。

寄付してくださるとか?とヴァレンタインが探りを入れると、天候の変化は世界的な危機ですから…とガラハッドは答える。

どうやっても世界は救えない…とヴァレンタインが言うと、アーノルド教授はいっていたが、ウィルスは人類なんだとガラハッドは同意する。

スパイ映画は好きかね?とヴァレンタインが聞くと、最近のはシリアス過ぎて…とガラハッドが答えると、昔のジェームズ・ボンド映画は子供たちの夢だったとヴァレンタインは言うので、敵の悪役は魅力的だったと言うと、大人になるのはつらい…、二日ほど考えさせてくれ。部下が連絡しにうかがうとヴァレンタインは答え、食事を終えたガラハッドを送り出す。

ガラハッドは、今振る舞われたワインにヴァレンタインが何かを混入させていたことに気づかなかった。

ヴァレンタインは最初からガラハッドを怪しんでいたのだった。

その後ヴァレンタインは、どこかの施設に幽閉されていたスカンジナビア王女の部屋の前に来て、意志が変わらないか再確認するが、同意はしない!永遠に!と強い拒否反応を王女が示したので、クソ女!と罵倒して、覗き窓を閉める。

TVでは、世界中の有名人や政治家などが失踪している事件が大々的に報じられ始め、スカンジナビア王女誘拐に関して、首相が犯人を捜しているとのインタビュー発表をしていたが、その首筋に手術痕がある事が映し出される。

一方、ヴァレンタインが発表した無料SIMをもらう長い列が世界中で出来、すでに10億枚以上が配られていた。

キングスマンの次のテストには、エグジー、ロキシー、チャーリーの3人が残り、パーティに忍び込んで、写真の人物を口説き落とせと言う指令がマリーンから下る。

3人に渡された写真は同一人物の女性だった。

3人は意気込んでパーティに出向き、ターゲットの女性にあれこれ言葉をかけ口説こうとするが、その時、見知らぬ男が側にやって来て、一番良い女の落とし方は薬を飲ますんだ…と教える。

次の瞬間、3人の意識は遠のいて行く。

3人が飲んでいたシャンパンに眠り薬が仕込まれていた事に気づかなかったからだった。

目覚めたエグジーは、自分が鉄道の線路に身体を縛られている事に気づく。

さらに、接近して来る列車の音も聞こえて来る。

目の前には1人の男が立っており、このナイフで命は救われる。エグジー、キングスマンとハリー・ハートの正体を教えるんだ。君の二人の友達は既に吐いたぞと話しかけて来る。

列車が目の前に近づくが、エグジーは、ふざけるな!と怒鳴り返しただけだった。

次の瞬間、列車が通過するが、線路に縛られていたエグジーの身体は、その一角だけ地面に沈み込み、難を逃れる。

目の前の見知らぬ男は変装を解き、アーサーであった事が分かる。

これが本来のテストだったのだ。

アーサーは、残った3人のうち、チャーリーだけがしゃべってしまい、家に帰されたと教える。

チャーリーは、自分が不合格になった事に納得できないのか、パパに言いつけてやる!と捨て台詞を残す。

かくして、エグジーを推薦したガラハッドと、ロキシーを推薦したパーシバルは、それぞれの推薦人と24時間一緒に過ごすようマリーンから言い渡される。

ガラハッドの仕事部屋に招かれたエグジーは、「サッチャー暗殺未遂事件」など、壁に貼られていた過去の大事件を報ずる新聞が、実はどれもガラハッドが影で活躍した事件なのだと聞かされ驚く。

エグジーが、僕はあんたと違い平民だ…と卑下すると、紳士とは学んでなるもので、生まれは関係ないとガラハッドは言い聞かし、正しいマティーニの作り方を伝授する。

その頃、ヴァレンタインは、デスクの表面に設置した掌紋認証装置のテストをガゼルと共にやっていたが、安全性を優先したため、手間がかかり過ぎる難点がある事に気づく。

ガラハッドはエグジーを連れ「キングスマン」へやって来る。

主人が、第一試着室は先客が使用中なので第二試着室へ…と声をかけるが、一流の紳士は第二など使わない、第三へ行こうとガラハッドはエグジーを促し第三試着室に入ったので、又エレベーター?とエグジーは聞くが、違うと言いながら洋服をかけるフックを手前に倒す。

すると、奥の壁が開き、別室が現れる。

そこには、ありとあらゆる武器や装身具が陳列されていた。

靴も必要だと言い、ガラハッドがエグジーに渡したのは「ブローグ」製だった。

エグジーはそれを履きながら、「ブローグではなくオックスフォード」の暗号の意味を理解する。

君の射撃は優秀だとガラハッドは褒め、ドイツ貴族を真似てみろと言い出したので、エグジーが苦し紛れにナチス式敬礼をしてみせると、違う、こうだ!と言いながら、ガラハッドは自分の靴の両かかと部分をかちんと合わせる。

すると、靴の先端部分から尖ったナイフが飛び出して来て、それも武器だと言う事が分かる。

ペン先から毒が出る万年筆、ライター型手榴弾、5万ボルトの電流が流れる指輪などをガラハッドは紹介して行く中、隙を観てライターを一つくすねようとしたエグジーだが、部屋を出る時、元に戻しておけよとしっかり注意される。

第三試着室を出たガラハッドは、第一試着室から出て来たヴァレンタインと鉢合わせになり固まってしまう。

この前、君が着ていた服が気に入ったので店を調べて来たんだよと言うヴァレンタインは、野球帽にスーツと言う奇妙なコーディネートだった。

私が提案した件は?と、動揺を隠し、ガラハッドが聞くと、間もなく部下が来るとヴァレンタインは答える。

帽子も必要でしょう?と店の名を言うと、「監獄」と覚えてくれとガラハットは皮肉で教える。

ガゼルを伴いヴァレンタインが店を出て行くと、ガラハッドは後を尾行し始める。

ヴァレンタインは、ガラハッドが推薦した通りの店でシルクハットを買うと、ガゼル、競馬場に行こう!アスコット競馬場は遠いのか?と愉快そうに言う。

その頃、アーサーに呼ばれ、愛犬のJBを連れ部屋に行ったエグジーは、JBと言うのは「ジェームズ・ボンド?」とアーサーから聞かれたので首を振ると、「ジェイソン・ボーン?」と聞かれたので、「ジャック・バウアー」と答える。

アーサーは、ブラボー!と喜び、君も一流のスパイになれるときが来た…と言いながら、エグジーに銃を手渡し、犬を撃て!とウィスキーを飲みながら命じる。

隣の部屋では、ロキシーがマリーンから、同じように、愛犬を撃て!と命じられていた。

JBに銃口を向けたエグジーだったが、どうやっても引き金は引けず、アーサーの方に銃口を向けた時、隣の部屋から銃声が聞こえて来る。

彼女はガッツがある。君は無理だと思った…と言いながら、エグジーの銃を受け取ったアーサーは、家に帰れ!と命じると、ロキシーをこの部屋へと通話器に呼びかける。

テストに落ちたエグジーは、JBを抱いて屋敷の玄関を出ると、そこに停めてあったタクシーに乗り込む。

一方、アーサーの部屋にやって来たロキシーは、君もキングスマンだ。新しいランスロットだとアーサーから認められていた。

すっかり、元のチンピラスタイルに戻りJBと共に自宅アパートに帰って来たエグジーは母親と久々の再会を喜び合う。

赤ん坊だった妹も数ヶ月分成長していたので、随分大きくなったなとエグジーは驚く。

母親の目の廻りの痣に気づいたエグジーは、僕がいなかったからだ。止めさせる…と言うと、自分が乗って来たタクシーに乗って、子分たちとたむろっていたディーンに会いに行く。

運転席のウィンドーを開けディーンの名を呼ぶと、この虫けらめ!と罵倒する。

何しに帰って来た?とディーンの方も嘲り、子分たちが立上がって向かって来ようとするので、エグジーもタクシーを降りようとするが、その時、開けていたウィンドーがいきなり閉まり、タクシーも勝手に動き出してしまう。

タクシーがやって来たのは、ガラハッドの家だった。

君には期待していたのに最後の機会を逃した…、しかも、ボスの車を盗んで来るなんて…と二階の窓から顔をのぞかせていたガラハッドは、部屋に上がって来たエグジーにこぼす。

あんたも最後の犬を撃ったのか?とエグジーが軽蔑したように聞くと、奥の部屋に招いたガラハッドは、そこの棚の上に置いてあった犬剥製を示し、ピックルだと名前を教える。

銃は空砲だ。ピックルは、テストの後11年生きてブルックリンで死んだ。アメリアも死んでないと裏話を打ち明けたガラハッドだったが、部屋に飾られた数多くの蝶の剥製を見ながら、あんたは俺の父も剥製にしてるのか!とエグジーは皮肉る。

これからヴァレンタインと関係があるらしい「サウスグレード教会」へ行くとガラハッドが教えると、エグジーもさすがに言い過ぎたと感じ、すまなかったと詫びる。

ここにいろと言い残し、ガラハッドは出かけて行く。

教会へやって来たガラハッドは、そこが完全な人種差別主義者のたまり場である事に気づく。

その様子は、キングスマン本部のマリーンもモニターで見ていたし、エグジーも、ガラハッドのパソコン映像で見ていた。

さらに、教会の300m離れた場所に潜んでいたヴァレンタインとガゼルも、モニターで監視していた。

テストを始める…とヴァレンタインが告げた時、教会内では、さすがに場の雰囲気に耐えかねたガラハッドが席を立とうとしていた。

隣に座っていた婦人は、入口に向かっていたガラハッドに、この神を信じない、罰当たり!と侮蔑の言葉を投げかけて来る。

その途端、目が急に座ったかに見えたガラハッドは、急に、上着の中から銃を取り出すと、追いかけて罵倒した婦人に向け、引き金を引く。

それを合図にしたかのように、教会内は大混乱が始まる。

信者も牧師も狂ったようになり一斉にガラハッドに向かって来たので、ガラハッドは全員射殺したり、殴り倒したりし始める。

その狂気の大乱闘をモニターで目撃したエグジーは、どうなってるんだ!と驚く。

カードへの反応は100%!キングスマンも殺せる!と、同じくモニターでこの様子を観ていたヴァレンタインは喜ぶが、ガゼルは、まだよ!とモニターを注視する。

ガラハッドは、教会内にライター型手榴弾を投げ、大爆発を起こすが、そのショックで、自分も正気に戻る。

目の前には、累々と死体の山が出来ていた。

呆然としながら教会の入口から出て来たガラハッドを待ち受けていたのは、ヴァレンタインとガゼルだった。

私に何をした?と戸惑うガラハッドに、皆殺しにした…、感心したろう?攻撃本能を活性化させたんだ。映画みたいだろ?とヴァレンタインが愉快そうに教える。

そして、いきなり銃をガラハッドの顔に向けたヴァレンタインは引き金を躊躇なく引くが、血を見たくないために顔を背け、倒れたガラハッドが死んだか?とガゼルに聞く。

普通、頭を打てば死ぬと思うけど?とガゼルは、臆病なのか残酷なのか分からないボスを呆れたように答える。

ヴァレンタインは吐きそうになりながらも、パーティは明日始める…と告げる。

教会の前の看板には、「アメリカは滅びる」と言うメッセージが書かれていた。

一方、あろう事か、ガラハッドが射殺された現場を目撃してしまったエグジーと本部のマリーン、そしてアーサーも又、愕然としていた。

アーサーはパソコンで見ていたエグジーに、見てただろう?とても哀しい…、彼に報いるためにも、新たなハリーとして働いてもらいたい、エグジー…と連絡して来たので、エグジーは乗って来たタクシーで、再びキングスマンの本部の屋敷に戻って来ると、アーサーと再会する。

アーサーは部屋に1人で出迎え、ガラハッドが死んだ。世界中にSIMが配られた。その証拠を捜査当局に送ったと説明しながら、仲間を失った追悼の意味で1815年のナポレオンを一緒に飲むんだと言いながら、エグジーにもグラスを用意し、2個のグラスに酒を注ぎ分ける。

その時エグジーは、アーサーの首筋に手術痕があるのを見逃さなかった。

ガラハッドの為に乾杯!と言い、2人で乾杯するが、その直後、これが何か分かるか?と言いながら、アーサーは万年筆を取り出して見せる。

クリップ部分を引けば、相手に毒が回るんでしょう?と答えたエグジーは、あんたも仲間か?とアーサーに聞く。

アーサーは、地球にとって害悪となるウィルスは人類なんだ。ヴァレンタインは将来、人類を救った男になる!と嬉しそうに言うので、奴は自分の都合で人類を選り分けしてるんだとエグジーは反論する。

アーサーは、もはやこれまでと言う風に、万年筆のフックを押すが、エグジーは平然として、俺は昔から手癖が悪くてね…、あんたが目を離しや隙にグラスをすり替えたのさと説明する。

次の瞬間、苦しみ出し、テーブルに突っ伏したのはアーサーだった。

アーサーが洗脳され死んだと知ったマリーンは、エグジーとロキシーに対し、Xディまで時間がない!我々だけで戦うんだ!と指示を出す。

屋敷の前の庭園に、巨大な円形の滑走路と自家用ジェットが浮上して来る。

飛び上がったその自家用ジェットを操縦していたのはマリーンで、エグジーとランスロットと呼ばれるようになったロキシーが乗り込んでいた。

2人は客席に積まれていた奇妙なメカを見て不思議がっていたが、アメリカの「スター・ウォーズ計画」が話し合われていた時期に作られた大気圏飛行メカのプロトタイプなのだとマリーンが説明する。

ヴァレンタインが世界中のSIMに電波を飛ばす中継基地となる衛星をランスロットが止めるんだとマリーンは命じる。

その頃、スウェーデン空軍の飛行機がとある雪山の中腹に着陸する。

そこには、ミサイル砲が設置されており、近づいて来る飛行機を選別していた。

その雪山の一角に着陸したマリーンのヘット機から降り立ったランスロットことロキシーは、大気圏飛行メカに乗り込む。

メカに付いた2個の巨大なバルーンが膨らみ、大気圏飛行メカはゆっくり浮上して行く。

マリーンはエグジーに、お前は敵地に付いたら、死んだアーサーに成り済まし、チェスター・キングと名乗れと命じる。

ジェット機の中でマリーンは、死んだガラハッドが君のために作ってくれたスーツだと言いながら、真新しいスーツをエグジーに見せる。

その頃、秘密の基地内では、世界中から招かれたVIPたちを前に、新しい時代の誕生を祝おう!彼らの犠牲を祝おう!ここにいる君たちは選ばれた人々だ!ノアの箱船に乗ることができた選ばれた人々なんだ!パーティだ!と呼びかけていた。

ジェット機の中では、スーツに着替え紳士になったエグジーが、最後のメガネをかけ、ご機嫌な気分になっていた。

似合うぞ、エグジー!と褒めたマリーンは、ヴァレンタインの秘密基地の暗号名「W247C」に着陸許可を申請する。

ミサイルが設置してある雪山の中腹の隙間の中に、滑走路が造られているのに気づいたエグジーは、マジかよ!と驚く。

アーサーと思っている基地は着陸を許可、マリーンが操縦するジェット機は、雪山の割れ目の滑走路に着陸する。

ジェット機から降り立ったエグジーは、待ち構えていた検査係に、チェスター・キングだと名乗り、スマホを見せる。

検査係が身体検査している中、ジェット機の入口で様子を観ていたマリーンに、君を操縦士から執事に昇進させるとエグジーは声をかける。

それを聞いたマリーンは、生意気に…とぼやく。

その後、ジェット機は一部滑走路ごと地下格納庫へと降下して行く。

マリーンは、エグジーの耳に取り付けられた小型シーバーに、パソコンを見つけるんだ!それでオンラインに繋ぐんだ!と指示を出す。

パーティ会場に入って来たエグジーは、ボーイから飲み物を聞かれ、マティーニ!ウォッカじゃなくてジンで!と注文する。

一方、成層圏を上昇していたランスロットことロキシーは、目視できる距離に近づいた衛星に向け、レーザー銃を取り出す。

大きな会場内を見回っていたエグジーは、パソコンを使っている男を発見、許可を受けたものだけが接続できる事を聞き出すと、その場で眠らせ、自らパソコンをマリーンのオンラインに接続する。

マリーンは機内のコンピューターからロキシーに、行くぞ!と指示を出すが、ロキシーのメカのバルーンの片方が破裂してしまう。

パソコンを見守っていたエグジーの方も、突然、近づいて来た客から捕まる。

キングスマンの最終テストに落ちたチャーリーだった。

彼の家族がここに招待されたのだと言い、ヴァレンタイン!スパイを見つけた!と報告する。

エグジーの画像を見たヴァレンタインは、いつかの執事だ!と、キングスマンの店でガラハットと試着室から出て来たエグジーの事を思い出す。

エグジーは、指輪をチャーリーの耳元に押し付け、電流を流して気絶させるとその場を逃げ出す。

ヴァレンタインはガゼルに、2分前からカウントダウンを始めようと命じる。

ロキシーは大気圏飛行メカのバランスを失いながらも、何とか衛星を狙い撃つが、もう片方のバルーンも爆発してしまう。

ジェット機内では、マリーンが基地内の地図を分析しながら、エグジーに逃走経路を教える一方、ロキシーには、ランスロット!離脱だ!と命じながら、格納庫から機体を滑走路部分に上げていた。

エグジーは、敵の護衛部隊に銃撃を受けながら、基地内を逃げ回る。

ヴァレンタインは、掌紋認証を経てスイッチを押し、衛星への信号を発するが、ロキシーが撃った小型ミサイルが見事衛星を破壊し、システム障害が起きる。

良いぞ!ロキシー!とマリーンは機内の司令室から褒める。

ガゼルは、衛星が1機消えました!今、分析中!と焦っていた。

マリーンは、自分たちの通信をハッキングされそうだと気づき、一旦外へ出ようとするが、武装兵たちが集まって来たので、何か、問題でも?私はただのパイロットですよ…と戸惑ってみせる。

しかし、武装兵たちの目的はマリーンではなく、基地内のエグジーの方らしく、全員、基地内へ向かって行くのが見える。

そこに、エグジーが戻って来たので、武装兵たちと立ち会わせになるが、マリーンが機体の入口から援護射撃をする。

機体に戻って来たエグジーは、ヴァレンタインの生体認証を止めるしかないと言うので、マリーンは、本気か?と驚く。

エグジーは、マリーンが持っていたマシンガンを貸して!と頼むが、俺のだ!と断ったマリーンは、機内の壁に隠してあった秘密兵器類を開陳する。

エグジーは、その中から傘を手に取ったので、良いチョイスだ!とマリーンも褒める。

ヴァレンタインは計画の遅れに苛立ち、衛星を再配備しろ!とテーブル上のモニターで指示を出すが、彼が指した衛星はあなたのじゃない!とガゼルが注意する。

するとヴァレンタインは、衛星の持ち主へ電話をしろと言い出し、その場でコンタクトを取ると、ヴァレンタインだ、君の衛星を使わせてくれと頼む。

この動きには、機内の司令室モニターを監視していたマリーンも気づき、まずいぞ!衛星を接続していると告げる。

マリーンのジェット機の前方には、武装兵たちが大挙して接近して来ていた。

敵がそっちに来るぞ!と基地内に再び戻って行ったエグジーに連絡するマリーン。

エグジーは、傘を開き、防弾機能で敵の銃撃を防ぎ、ライター型爆弾で敵を粉砕していた。

ガキは死んだか?とヴァレンタインが聞くと、直に死ぬわ…とガゼルも答える。

しかし、多勢に無勢、次から次へと湧き出て来る武装兵を前に、もうダメだ!とエグジーも諦めかけていた。

ジェット機内にいたマリーンも、武装部隊がミサイル発射装置をこちらに向け、滑走路を運んで来ているのに気づき、私もだとエグジーに答える。

エグジーはロキシーに通話し、ママに電話してくれ!妹を浴室に入れ、外から鍵をかけろって!そして、愛していると…と伝えると、ジェット機内のマリーンには、奴等の首に埋め込まれているチップを起動できないか?と提案すると、マリーンもそれは名案だと気づく。

ミサイル発射装置は、ジェット機の先頭部分に標的を合わせる。

マリーンは基地オンライン内を探り、チップの起動スイッチを探し出すとためらわず押す。

途端に、チップを首に埋め込まれていた武装兵士たちの頭が吹っ飛び始める。

パーティ会場に集まっていたVIPたちの頭も爆発し、あたかも花火大会のようになる。

スウェーデンの首相の頭も爆発する。

それを目撃したエグジーは、あんたは天才だ!とマリーンの手際の良さを褒める。

基地内の幽閉室の前に来たエグジーは、とあるドアの覗き窓から出して!と声をかけられたので、それが失踪していたスウェーデン王女だと気づいたエグジーは、今、地球を救う所なんだ。後からキスしてくれたらねと冗談で答えるが、キス以上の事をしてあげると王女は答えたので、エグジーは喜ぶ。

しかし、チップを埋め込んでなかったヴァレンタインとガゼルはまだ生き残っていた。

その頃、エグジーの母親は、ロキシーからの電話の通り、乳母車に乗せた幼い妹を浴室の中に置き、自分は浴室の外から鍵をかける。

ヴァレンタインは、衛星回路が繋がったので、テーブル上の掌紋認証装置を作動させる。

エグジーは、世界を救いに行かなくちゃ!と言い、王女が捉えられていた部屋のドアの前から去ろうとしていたが、そんなエグジーに、ケツでやらせてあげるわなどと王女は声をかける。

ヴァレンタインが発した信号は、世界中の無料SIMを使っていたスマホユーザーたちの理性を狂わせ、凶暴化した市民たちがあちこちで殺し合いを始める。

スマホを愛用していたエグジーの母親も凶暴化し、浴室内の妹を殺そうと、自分で鍵をかけたドアをこじ開けようとし始める。

リオデジャネイロの海岸でも殺し合いが起きていた。

パーティ会場へたどり着いたエグジーは、二階の部屋にいるヴァレンタインに気づき、上に行くには?とマリーンに通信で聞き、今調べると言うマリーンの答えを待つ。

しかし、その二階の窓を突き破り、義足のガゼルが銃を乱射しながら会場へ飛び降りて来る。

その間、ヴァレンタインは、殺人電波を世界中に配信続け、早くカタを付けろ!とガゼルに命じる。

エグジーの母親は、ナイフを使い浴室のドアを破りそうになっていた。

ソウル、カラカス、ムンバイに騒動は広がって行く。

我々の仲間を殺したガキを殺せ!とヴァレンタインは絶叫する。

ガゼルが大きくジャンプして義足を突き出して来たので、エグジーも、靴のかかとを合わせ、大きくジャンプする。

空中で二人は交差するが、ガゼルの義足を間一髪避けたエグジーの靴の先端から飛び出したナイフがガゼルの右腕を引っ掻いていた。

床に降り立ったエグジーのネクタイが切れて落ちるが、ガゼルの方は、右腕の傷から毒が全身に廻り、その場に倒れる。

それを観たヴァレンタインは、ガゼル!と哀し気な悲鳴をあげる。

エグジーは、死んだガゼルの義足の片方を抜くと、思い切り、二階でこちらに背を向け作業を続けていたヴァレンタイン目がけて投げつける。

大きな針が付いた義足は、ヴァレンタインの身体を貫き、自分の血を見たヴァレンタインは吐きながら、二階から落下する。

良くやった!とマリーンは機内でエグジーを褒め、雪山に着地していたロキシーもやった!と喜ぶ。

浴室に入りかけていた母親も正気を取り戻し、怯えて泣いていた赤ん坊を抱き上げると、ごめんなさい!ママが悪かったわ!と詫びながらキスをする。

ハリーも喜ぶぞ!彼は正しかった!とマリーンはガラハッドがエグジーを推薦した眼力を褒める。

パーティ会場の床に倒れていたヴァレンタインは、これが映画なら、下手な洒落でも言う所か…と虫の息で呟く。

そんなヴァレンタインを見下ろしながら、これは映画じゃない…とエグジーが答えると、パーフェクト!と言いながらヴァレンタインは息絶える。

エグジーは、その足で、スウェーデン王女の部屋に戻って行く。

世界を救った?と王女は聞き、ああ…とエグジーが答え、それじゃあ中に入る?と誘って来る。

ああ、入るよ…と答えたエグジーは、扉を開けるには?とマリーンにシーバーで聞く。

「626-25」だとマリーンが教えてやると、マリーン、礼を言うよと言いながら、エグジーは暗証キーを打って扉を開け、ソファーに座った王女に近づいて行く。

マリーンは、一つ貸したぞと答えるが、返事がないので、エグジー?と呼びかけるが、機内の指令モニターに王女の尻が映し出されたので、見ていられないと顔を背ける。

その後、馴染みのパブで、母親と子分たちとたむろっていたディーンの元へ、スーツ姿のエグジーはやって来る。

戻って来たか?仕立て屋を引き受けたのか?とディーンが嘲ると、仕事もらった。家も付いてる。お前を病院送りにする…とメガネのエグジーは答える。

母親は怯え、出て行って!とエグジーに警告するが、一旦、ドアの所へ戻りかけたに見えたエグジーは、マナーが人間を作るんだ、ディーン…と言うなり、傘の柄で手近のテーブルに乗っていたビールのジョッキを飛ばし、ディーンにぶつける。

失神したディーンを前に、唖然としていた子分等だったが、どうする?1日立っているのか?とエグジーは呼びかける。


 

 

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