白夜館

 

 

 

幻想館

 

檻の中の野郎たち

白黒で67分程度の中編なので、一見、日活作品か?と勘違いしそうだが、これは東宝作品である。

この50年代後半頃は、二本立て映画の添え物映画は全体的に短かったようだ。

東宝映画らしからぬのは、院長を演じているのが大映の清川玉枝さんであることと、出ている少年たちの大半が、東宝を連想しない無名の新人や歌手たちだからだろう。

東宝らしい俳優と言えば、看守を演じている沢村いき雄、宇野晃司、有名女優役で出ている塩沢とき、左卜全と言った脇役ばかりで、キネ旬データのキャスト欄によると、若林映子さんも出ていたらしいが気づかなかった。

最後にちらり、佐藤允さんが顔を出しているのが嬉しい。

山下敬二郎さんの実父柳家金語楼さんが登場し、息子と絡むシーンがあるのも楽しい。

意外なのは、出ている少年の中に、 田辺昭知と釜苑ヒロシ(ムッシュ・かまやつ)がいること。

「ザ・スパイダース」が結成されたのは1961年らしいので、この頃2人は、ロカビリーのバンドに入っていた時期らしい。

田辺さんは、劇中で登場する守屋浩、寺本圭一らと共に「スウィング・ウエスト」に在席していた頃だろうか?

かまやつさんの方は、ミッキー・カーチスと組んでいた時期だったのかもしれない。

田辺さんの方は「スパイダース」時代とあまり印象が変わらないし、画面的にもはっきり写っているのですぐに見つけられるのだが、かまやつさんの方は、髪型が違っていたりで、なかなかすぐには発見できない。

坂本九ちゃんは佐野修さん、石川進さんらと共に「ダニー飯田とパラダイス・キング」に所属していた頃だろうか?

水原弘さんは、「ダニー飯田とパラダイス・キング」を出て、ソロデビューした頃か?

役的には、目だっているようないないような微妙なポジションである。

デビュー当時のザ・ピーナッツが出ているのも貴重かもしれない。

話は、関沢新一さん脚本によるドタバタナンセンス調なのだが、国際的な悪の組織からある品物を偶然手に入れたアイドルたちが、それを取り戻そうとする悪の組織に追い回されると言うアイデアは、後にGS映画などの定番になる、ビートルズ主演「HELP! 四人はアイドル」(1965)にそっくり!

これ以前に何か元ネタがあるのかもしれないが、これがオリジナルだとするとちょっと驚かされる。

一応、東宝技術部も参加しており、特撮シーンもあるようなのだが、潜水艦が海上に浮上するシーンなどはミニチュアではなく実写である。

劇中でも話題になっている自衛隊から資料でも借りたのか、もっと古い時代に撮られた記録フィルムの流用なのかもしれない。

世代が違うだけに、山下敬二郎、ミッキー・カーチス、守屋浩らに、女性が熱狂するシーンなどはさすがにピンと来ない部分がある。

ミッキーさん以外のお二人は、見た目もアイドルらしからぬ凄く地味な印象に見えるからだと思う。

歌も、今の感覚からすると、ロックともジャズとも、ポップスとも付かぬ和風の感覚で、矯正院で少年たちが歌っている歌も古めかしく聞こえる。

さすがに、今見て乗れる雰囲気の音楽映画ではないと感じたが、大衆音楽史的には貴重な作品である事は確かだろう。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1959年、東宝、関沢新一脚本、川崎徹広監督作品。

練馬区にあるヒカリ少年矯正院の鉄格子の付いた窓の外を行進する少年たち。

やがて、彼らは庭で大きなサークルを作るように駆け足しながら院内に戻って行く。

そこに、院長(清川玉枝)と看守の遠山(沢村いき雄)に案内されやって来たのは、選挙が間近な赤堀(谷晃)とその秘書たちだった。

院長は、ここ数年強力犯の少年が増えており、矯正院への援助金を増額して頂きたいと赤堀に陳情する。

しかし赤堀の秘書たちは、政府が今関心があるのは自衛隊の方らしいので難しいと答える。

何の娯楽もないので、食堂にテレビくらい置いてやりたいと院長は言うが、あれはいかん!一億総白痴だ!と赤堀は答える。

院内に案内された赤堀たちは、少年たちが歌を歌いながら作業をしているのを見て、もっと頭脳を使う仕事はないのかね?と眉をひそめる。

それでも院長と遠山は、みんな楽しんでやっておりますと説明する。

そんな中、力自慢の少年川上敬次(山下敬二郎)の仕事ぶりを見た秘書は、自衛隊向きですなと赤堀に囁きかける。

院長は、手先が器用だと言う三木ミッキー(ミッキー・カーチス)も赤堀たちに紹介する。

院長室にやって来た赤堀は、自ら持参して来た三ノ宮尊徳のブロンズ像を道徳教育の目的で寄贈しますと言い出すだけだったので、援助金の事を院長が尋ねると、そう言う事は公明選挙が終わった後ですと秘書が答える。

赤堀たちが帰っていたのとすれ違いに、「ヒカリ矯正院」に連れて来られたのは、練馬から送られて来た森田宏(守屋浩)と言う新入りの少年だった。

院内では、少年たちが、もう赤堀が寄贈した三ノ宮尊徳像の首をねじ切り遊んでいた。

そこに、森田を連れた遠山が来るが、いつも犬猿の仲のミッキーと敬次が互いににらみ合っていたので、応援を呼ぼうとするが、他の青年たちが木工ドリルなどの工具で脅かしたので、遠山は身動きできなくなる。

そんな中、敬次とミッキーの喧嘩が始まる。

(早送りで)2人は院内をあちこち動き回り、詰まれたタイヤチューブの中に隠れてモグラ叩きのような真似をしたり、ミッキーがペンキを敬次の顔に塗りたくったりする。

そこにやって来た院長は、怒るどころか、いつもの2人の喧嘩を笑いながら見始め、今に止めますよ、坊やたち…と、うろたえる遠山に言い聞かせる。

見ていた少年たち(田辺昭知、水原弘)は、いつもプライドを持てって言ってるじゃないか!と院長に食って掛かったので、良いのよ、ケガさえしなければ、何やったって良いのよと、院長は物わかりの良い事を言う。

2人御喧嘩が一段落付いた所で、院長は新入りの森田宏をみんなに紹介する。

すると、いきなり森田は、ヤクザのように仁義を切り始める。

その後、生まれた時間が同じ6月10日の6時間違いだけと言う敬次とミッキーの誕生パーティを開く。

院長が、2人を祝って歌いましょう!と提案すると、遠山が大きなラッパが付いた蓄音機を廻し始める。

そこから聞こえて来たハッピバースディーソングに合わせ、みんなが歌い始めると、ここにはテレビもないのかとぼやいた森田が、じゃあ、俺が洒落た歌でも歌ってやるぜと言うと、みんなのハッピバースディの歌を無視して勝手に歌い始める。

それに気づいた敬次は、ちぇっ!キザな奴だなと呆れるが、ミッキーの方は森田を気に入ったようだった。

森田に釣られたように、みんなも一緒に歌い出したので、院長は大喜びする。

夜、ベッドに入った森田に両側から身を寄せて来たミッキーと敬次は、どっちにするんだ?と迫るが、森田は、派閥など興味なさそうに、俺は中立で良いやと言う。

ミッキーは、賄賂のつもりか、蜂蜜を渡そうとするが、森田が煙草が良いなと言うと、煙草か…、俺たち未成年だからな…、俺たちも…と持ってない事を明かす。

消灯時間が来て、少年たちの寝室の扉に、遠山が施錠しに来る。

もう1人の看守青川(宇野晃司)は、懐中電灯片手に外回りを始める。

遠山が控え室で眠りについた後、寝室の窓の鉄格子を切るものがいた。

森田だった。

そんな森田に、ベッドの中から汗を拭くハンカチを手渡す少年。

坊や、新入り早々暴れるな?と森田に声をかけて来たのは、ベッドから起きた敬次だった。

あのババアが恐いのかよ?と森田が嘲ると、こちら孤児院育ちの筋金入りなんだと見栄を張る敬次。

森田は、これからハリケーン吉と決闘するんだ。勝った方がスケを頂くんだと森田が説明すると、スケ?どんなスケだ?とミッキーも興味を持って起き出す。

ササールとパスカル・プティを一緒にしたような奴なんだと森田が教えると、外からクラクションが聞こえて来る。

あれが合図なんだと森田は焦る。

負けて、スケを取られたとあっちゃ、ヒカリ矯正院の恥だ!と言い出したミッキーは、かねて用意しておいた、寝室のドアの合鍵を見せる。

すると敬次も、この扉を開けたって塀はどうする?と言うと、こちらもかねてより用意してあった縄梯子を取り出す。

森田、敬次、ミッキーの3人は、部屋に残っていた仲間たちに、朝までには戻ると言い残し、ドアを開けて廊下に出ると、縄梯子を使って院の屋根によじ上る。

何故、逃げられるのに逃げなかったんだ?と森田が不思議がると、逃げられると分かっていると、やる気が出ないからさと敬次とミッキーは答える。

庭先では、歌が好きそうな青川が、「だから言ったじゃないの♪」と口ずさみながら巡回していたが、その隙を突いて3人は庭を突っ切ると、塀に縄梯子をかけ登り出す。

塀の外に停まっていたスポーツカーには、問題の女の子ナオミ(野口ふみえ)とハリケーン吉(寺本圭一)、そして、彼の仲間らしき2人(佐野修、石川進)が乗っていたが、直美がマダッ決闘しちゃダメよ!などと大声で叫んだので、縄梯子を登っていた3人はずっこけかけ、庭を巡回中の夏川は用水路に落ちてしまう。

車の男たちは、早くしろ!と森田たちを急かせ、寝ていた遠山と院長は、庭の騒ぎで起きて来て、用水路にハマっていた夏川を助け出そうとする。

その最中、遠山が、塀にかかったままだった縄梯子を発見、脱走です!と騒ぎ出したので、夏川は、又、用水路の中にほったらかしになる。

直美の言う決闘とは、口の部分を割って拡げた一升瓶のようなガラス容器を2人の男に持たせ、その瓶の中に熱湯を注ぎ込み、どちらが長く持っていられるかと言う我慢大会だった。

まずは、森田とハリケーン吉が挑戦するが、瓶に熱湯が満杯になる前に両者とも耐えきれず手を離してしまったので、ナオミは怒る。

誰か挑戦する?とナオミが聞いたので、敬次とミッキーが受けて立つ事にし、ナオミは勝った方にキスよ!と約束する。

結果はミッキーの方が先に手を離してしまったのに対し、敬次は満杯の熱湯が手首に流れても我慢して瓶を持ち続けていたため、ナオミは感激し、敬次の頬にキスをする。

その頃、矯正院では、警察に電話するのが良いと電話をかけかけていた遠山に、院長は、朝になったら帰ってきますよと笑いながらなだめていた。

その後、ナオミはオープンカーを時速90kmで運転し、後部座席には、森田、ハリケーン吉、敬次、ミッキーの4人が、万歳をするように両手を上に上げたまま全員立って乗っていた。

さすがに、風圧に煽られて危険なので、ハリケーン吉が真っ先に根を上げ、車を降りてしまう。

結局、残った3人で勝負を続ける事にするが、走ってる背後からパトカーのサイレン音が近づいて来たので、見つかったと焦った3人は一旦決闘を止め、ミッキーがナオミに代わって運転をし、逃亡を始める。

どうやら追ってくるのは2台の車らしかったので、脱走くらいで2台もパトカー来るか?と敬次たちは不思議がる。

実は、パチカーが追っていたのは、重要な軍事ファイルを盗んで逃亡中だった国際スパイ団の乗った車で、スパイ団のキャップ黒田(左卜全)の配下トンミー(ジェリー藤尾)と浦口(坂本九)は、パトカーがバックミラーを撃って来たので、後部座席の窓を壊し、応戦して来る。

それに気づかずスピードを上げていたミッキーは、時速90kmを突破したので、助手席で感激したナオミが頬にキスして来る。

いつしか、スパイ団を追ったパトカーは、ミッキーたちの車とは別方向に去ってしまうが、鉄橋の下に差し掛かった時、ミッキーたちの車は突然爆発を起こしストップしてしまう。

ナオミは、もう停まってるの!と運転席のミッキーに呼びかけるが、ハンドルを握ったままミッキーは気絶していた。

後部座席で倒れていた敬次も失神寸前で、さよなら、おばちゃん…、これは良い奴だったな…と自画自賛する。

そんな男たちの情けない姿を見たナオミは、みんな最低!失格!と宣言する。

パトカーから逃げていた車の中の黒田は、軍事ファイルを捨てるぞ!と言うと、浦口からギターを受け取り、その中に入れる。

パトカーが近づいて来たので、止まっていたスポーツカーに乗ったミッキーたち4人は、全員両手を上げて降参のポーズで立っていたが、乗用車を追ったパトカーは、彼らの車の前を通り過ぎて行ってしまう。

行っちゃったよとナオミが言い、やっぱりカポネ級かなどと敬次は呟くが、その時、あれは何だ?と森田が指差す先の草むらに、ギターが落ちていた。

翌朝、車から投げ捨てたギターを探しに、トンミーと浦口が草原を探しまくるが、ギターはどこにも見つからなかった。

ヒントは黒地に白ナンバー「69」!と一緒に付いて来た黒田が指摘すると、そこに放置してあったレンターカーのナンバーが「6993」である事を浦口が発見する。

車の持ち主を調べろ!とキャップ黒田は命じる。

その頃、ギターを拾った敬次、ミッキー、森田、ナオミの4人は、ジャリトラの荷台に乗り、東京方面に戻っていた。

敬次は、今日俺、食事当番だぜなどと院の事を気にしていた。

その時、ナオミが、ギターよりベッドよ!グッドアイデア!とひらめく。

4人は、ナオミの父親(柳家金語楼)が神父をやっている教会の手伝いをすることにする。

敬次とミッキーが、賛美歌を歌っている死んじゃたちから御恵みを集めている間、ナオミは台所で食事の準備をする。

信者に混じって、置き去りにされていたレンタカーのナンバーから、教会にたどり着いた黒田たちも紛れ込んでいたが、敬次たちが御恵み用の袋を差し出して来たので、黒田とトンミーは泣く泣く金を出す事にする。

神父は、御恵みを集め終えて前に戻って来たミッキーと敬次に聖水を振りかける。

集会が無事終わり、ナオミが料理を作り終えたキッチンにやって来た神父は、感心な少年たちだ、矯正院には私から連絡しておこうと言いながら、敬次とミッキーからその日の御恵みを受け取るが、たった535円しかないと知ると、そんなはずはないと首を傾げる。

しかし、娘のナオミから、お父さん!と睨まれると、それ以上強い事は言えなくなり、主よ、いかに生きるべきでしょうか?物価は上がるばかりだし…と愚痴を神に言い始める。

その時、もしもしと言いながら黒田が入って来たので、その声を聞いた神父は、早速主のお声が聞こえた!セント・サンパウロ様!等と言いながら黒田を抱きしめようとするが、渡し、警察のものです。ドライブクラブの事で…と黒田が噓を言ってきたので、掴まると感じた敬次やミッキーたちは慌てて教会から逃げ出す。

その後、神父から連絡を受け、敬次たちを引き取りに矯正院の護衛バスで来ていた遠山と青川に、女中(笹るみ子)は、あけみさんたちは出かけたと教える。

その頃、森田たち4人は銀座を歩いていた。

すると、ショーウインドーに飾られていたテレビを発見、初めて観るテレビでは、人気歌手(森山加代子)が歌っていたが、値段が72500円と想像以上に高い事を知る。

ところが、番組の最後に「オリンピック劇場、歌のコンテスト」では飛び入りも歓迎しており、優勝者には、3型テレビを贈呈しますと言うので、テレビを持って帰れば、おばちゃんも喜ぶだろうな~…と敬次は呟く。

それを聞いたナオミも、出場しなさいよと3人に勧める。

ミッキーは、シャバにだって悪い事ばかりじゃないなと喜ぶ。

一方、護衛バスで東京を走っていた遠山は、歌が好きな青川に、テレビが当たれば母ちゃんだって喜ぶぞと焚き付けていた。

一足先にコンテスト会場の下見をして来た浦口は、外に停めてあった車の中の黒田に、奴らはここにいますと報告する。

黒田は57計画で行こう!と言い出す。

「オリンピック劇場、歌のコンテスト」の会場では、コンテスト前のアトラクションとして、新人の双子の歌手(ザ・ピーナッツ)がステージで「キラキラ ユラユラ エンゼルキッス♪」と歌っていた。

控え室には、森田、敬次、ミッキー対外に、青川も参加者として遠山同伴で来ていたが、出場者でごった返していたため、互いの事に気づいていなかった。

客席に潜入していたトンミーと浦口は、互いに女装して、中に太い針金を仕込んだ丈夫なレイ(花の首飾り)を黒田に見せていた。

審査員は、音楽プロモーターの河本(有木山太)と、若い男の子が好きな有名女優(塩沢とき)だった。

35蕃の方!と呼びだされた森田、敬次、ミッキーの3人はステージに出て、それぞれ偽名を言うと、矢でも鉄砲でも持って来やがれ♪俺たちゃ恐くねえ♪と歌い始める。

ナオミがステージに上がって、3人に頑張ってねと激励すると、女装したトンミーと浦口もステージに登ると、ファンを装い、用意してあった白いレイを3人にかけて行く。

そのレイには、紙テープが巻き付いたようになっており、客席に降りたトンミーと浦口は、歌っている2人のレイを頑丈な特殊紙テープで引っ張ろうとする。

ステージ上で歌っていた3人は、レイが紙テープで引っ張られるので、客席に落ちそうになるが、必死にマイクの前から動かないように耐える。

それを客席前列で応援していたナオミは、いつの間にか背後に立っていた黒田から、背中に拳銃を突きつけられている事に気づく。

そんな中、森田たちに気づいた遠山は、逮捕の方が先ですよ。捕まえれば、テレビの30ヶ月月賦も払えるでしょうなどと青川を説得し、捕まえようとする。

しかし、ステージ上は興奮した女性客が上がり込み、床に寝そべって歌う3人に抱きつこうと大混乱になる。

河本や有名女優も、その混乱に巻き込まれていたが、森田はあのギターを抱え、歌い続ける。

遠山と青川も、ステージ上の女性ファンに押しつぶされそうになっていた。

歌い終わった後、河本と舞台裏に逃げて来た3人は、テレビを下さいと言うと、やるからこれにサインしてくれと3人に何か書類を渡す。

意味も分からず3人がサインをすると、これで契約はすんだ。今夜から出演してくれ。10日も働けばテレビの10台も買えるようになるなどと河本が言い出したので3人はあっけに取られるが、「タイム・イズ・マネー」「タレントは金なり」です!と河本はけしかける。

その後、マネージャーとなった河本は、3人を身ぎれいにすると、「ヒカリスターズ」と命名する。

予想通り、河本の元には「ヒカリスターズ」出演依頼の電話が殺到し出す。

3人は、騙されて契約にサインしてしまっている以上、河本の言うことを聞くしかなかった。

その頃、国際スパイ団では、日本支部の黒田が、盗んだ軍事ファイルを紛失してしまったミスに関しての裁判が行われていた。

参加していた各国のスパイたちは「有罪」と言う。

議長(ハロルド・コンウェイ)は、判決として、24時間以内にギターを取り戻せないと気は、潜水艦で本部に送還され、ガスルーム送りにすると言い渡す。

それを聞いた黒田は、オーマイゴッド!と叫ぶ。

その後、黒田はすっかり気落ちし、とあるキャバレーにやって来る。

ステージでは、脇毛もふさふさな踊子が踊っていた。

そこにやって来た浦口とトンミーは、まだ18時間もあると慰めると、又、森田たちを探しに出かける。

沈んでいた黒田のテーブルに座ったホステスは、棺桶から顔を出したような顔してどうしたの?と聞くので、黒田は、「私は貝になりたい」と答える。

するとホステスは何を勘違いしたのか、あら、もう?どこのホテル?などと聞いて来る。

そんな中、司会者が登場し、当キャバレー初出場の「ヒカリスターズ」です!と紹介する。

黒田、敬次、ミッキーの3人は、それぞれギターを抱え、ステージに出て来ると歌い出す。

ホステスが、ごらんなさい、可愛いじゃないとステージの方を指すが、気落ちしている黒田は、歌手の顔をちら見しても、特段興味がなさそうで、シャラップ!と叱りつけるだけ。

しかし、テーブルの側に来て歌っていた3人の方は黒田に気づくと、手が回った!と気づき、歌いながら後ずさり、あっという間に店の外へ逃げてしまう。

その時、黒田の方も、今歌っていた3人こそ、軍事機密ファイルを入れたギターを持ち逃げした連中だと思い出し、呼び寄せたマネージャーの河本が、あの子たちを渡すには30~40万かかると言って来ても、あれを手に入れるためなら200万でも300万でも出す!と言い切る。

タクシーに乗り込んだ森田たち3人は、練馬のヒカリ矯正所へ行ってくれと運転手に頼む。

その頃、海上に浮上した国際スパイ団の潜水艦の中では、110号黒田を処刑された死と言う本部からの指令をあの議長が受けていた。

ヒカリ矯正院に乗用車と「新日本運送」と書かれたトラックがやって来る。

院長が「故郷」をオルガンで弾く前に立っていた遠山は、やっぱり院長のおっしゃる通りでした。2日館も独房に入れておけば大丈夫でしょうと、戻って来た3人の事を話していた。

そこにやって来たのは、大日本貿易社のブラジル支社の福松社長からの使いで来たと言う男だった。

福松君ね!あちらで成功したのね!と名前に覚えがあった院長は喜ぶ。

福松社長はこちらを思い出し、急に寄付するように思い立たれましたと言いながら、大きな荷物を披露する。

少年たちを集合させ、その先輩からの寄贈品を受け取る事に押した院長だったが、次の瞬間、箱の中から出現したのは、拳銃を持った黒田、浦口、トンミー、そして、メガネをかけた小太りの男らだった。

浦口とトンミーは、あの3人はどこだ?と聞きながら、並んでいた少年たちの顔を1人ずつ銃で殴って行く。

すると、イー公(水原弘)が良いな?と他の少年たちに声をかけ、3人は独房に入っています、案内しましょうと言い、スパイ団の一味を連れ、独房のある場所へと向かう。

すると、整列していた少年の後ろの列の連中が、足で巧みに床板を外し、そこに空いた空間の中に消え始める。

独房にいた森田、敬次、ミッキーは、突然、天井の一角が開き、そこから縄梯子が降りて来て、兄貴、大変だ!と呼びかけられたので、連中がやって来た事を察知し、俺たちだけで懲りずに、学園まで荒しやがって!と憤ると、全員縄梯子を登って天井から脱出する。

最後になった森田は、拾ったレイのギターを持って逃げる。

そこに案内されて来られたのが黒田や浦口たちで、独房の中がもぬけの殻と知ると、共同作戦で行こう!と言い出す。

元の場所に戻ってみると、少年たちの姿も消えており、見張りに残していた子分が部屋の真ん中で縛られ、ブランコに乗せられていた。

部屋の黒板には、バカにしたようなマンガの顔と「赤んべえ」と落書きまで残されていた。

その時、窓の外から、少年たちが黒田たちをからかうような仕草で誘って来たので、黒田たちは庭に出るが、ホイホイ♪と歌を歌い始めた少年たちは、塀の後から顔だけ出して見せる。

スパイ団が撃つと、少年たちの首が隠れ、代わりにたくさんの風船が塀の後ろから空へと舞い上がる。

屋根の上に上った少年たちは、タイヤを屋根から落として来る。

さらに、消防用のホースで、屋根からスパイ団目がけ水を放射して来る。

庭の一隅に置かれた枯れ草の山野後から、少年たちが誘って来たので、そちらに向かった浦口たちは、枯れ草に火をつけられ、危うく火だるまになりかけて逃げ出す。

屋根の上に居並んだ少年たちが、スパイ団をからかうように歌い始める。

一番端で例のギターを弾いていたミッキーだったが、うっかりそのギターを落としてしまう。

庭先に落ちて来たそのギターを拾い上げる黒田。

そこにヘリコプターが一機接近して来たので、トンミーは無線で、略奪成功とヘリに連絡する。

すると、宜しい、ギョロリ・G・ロビンソンと返事があったので、スパイ団は一目散に逃走を始める。

玄関前に停めてあった乗用車とトラックに乗り込みエンジンをかけたスパイ団たちだったが、車が前に進まない事に気づく。

実は、車のタイヤは全部外され、乗用車とトラックは、コンクリートの台の上に置かれているだけの状態になっていたのだ。

「国際諜報組織全滅」の新聞記事が踊る。

檻のハマった独房の中で将棋を指していた森田、敬次、ミッキーたちに、何とかインタビューしようと詰め掛けた記者(佐藤允)やプロモーターやファンたち。

しかし、3人は、うるせえ!とっとと帰ってくれ!俺たちはここが良いんだよとぼやく。

檻の隙間から、契約金のつもりなのか札束を放り込んでくるものもいたが、3人は全く無視をする。

数日すると、3人目当ての客はぱったり来なくなったので、世間は冷たいものですな…と遠山が院長に話しかけていた。

一方、青川には、探偵小説は書けたんですか?と遠山が聞くと、あれは止めました。やっぱりここを逃げて社会に出てもつまりません。ここにいますと青川は答える。

遠山は、ようやく設置したテレビの写りが悪いので、室内アンテナをいじり始める。

そんな中、少年たちは檻の中で一斉に歌い始める。

その声を聞きながら、森田、敬次、ミッキーの三人は、新聞で彼らを知った篤志家に引き取られ、矯正院を出ることになる。

院長は、門の鍵を開け、3人を外に送り出す。

3人は院長に、行ってきますと挨拶し、院長もそれを笑顔で見送る。

3人が歩き始めた道の向うから、ナオミがやって来て合流する。

4人は同じ方向へ向かって歩き始めるのだった。


 

 

inserted by FC2 system