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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

有名な漫画の実写化らしいが、原作やアニメは一切知らない。

あくまでも映画としてだけの印象。

どういう経緯で映画評論家が脚本など書くことになったのか知らないが、この作品、まず話自体が酷くつまらない。

巨人が出現し、生き残った人類が3重の壁の中でひっそり暮らしていた…と言うことは、ナレーションで説明されているが、その壁の内側の世界を俯瞰的に見せていないため、人類がどのような位置で暮らしているのか具体的に把握し難い。

主人公たちが、どういう位置で会話をしているのか、今、どういう経路を移動しているのか、引いた絵での説明がないのでさっぱり分からない。

壁の中の世界自体も、後半の展開に繋がる伏線として謎めかしてあるし、壁の外側も未知の世界と言う設定なので、俯瞰描写のようなことが出来ないのかもしれないが、初見でこの世界を理解しろと言われても難しい。

後半、たくさん登場する廃墟のビル群は、昔の文明の名残と言うだけで、100年前から朽ち果てている廃墟と言うことなのか、それとも2年前の巨人の攻撃によって壊された町と言うことなのかすら判然としない。

調査団の女が、子供の声がする!取り残されたんだわ…などと言っている所を見ると、あの場所も最近まで人間が住んでいたと言うことなのか?

冒頭に登場する不発弾とか、壁に引っかかっていたヘリコプターが、巨人に壊される振動で落下するシーンなど、100年も前の機械がいまだに原型を止めていたと言うことなのだろうか?

さらに、一見、ものすごい恐怖の世界であるはずなのに、演出がまずいせいか、ちっともハラハラもドキドキもしない展開になっている。

特撮や若手メインの役者芝居は、まあそれなりだと思う。

巨人に食べられる人間の描写は、ひょっとするとデジタルエキストラなのだろうか?

99分と言う最近では比較的短めの尺だと思うのだが、特に前半のもたつき感があるためか、長く感じた。

後半の「サンダ対ガイラ」みたいな巨人同士の戦いにしても、ビルの上からの視点が多かったせいか、あまり迫力は感じられなかった。

作品としての全体像は、後編を見てから判断することにしたい。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2015年、映画「進撃の巨人」製作委員会、渡部雄介+ 町山智浩脚本、樋口真嗣監督作品。

100年以上前(アニメをバックに)

突然現れた巨人たちに人類の大半は喰われ、文明は崩壊した。

この巨人大戦を生き残った者は巨大な壁を3重に築き、その中で平和を保っていた。

だが、100年壊されなくても、今日壊されない保証はどこにもない。

車の燃料になる菜種油を売っている両親の店を出たアルミン(本郷奏多)は、友達のミカサに会いに出かける。

その時、近所の子供が、アルミンと声をかけ、壊れて鳴りっぱなしの楽器のようなものを持って出て来たので、直しとくからと返事をし、出かけようとしたアルミンは、顔に汚いショーツをかぶった怪し気な男とぶつかる。

ミカサの家にやって来たアルミンが、ミカサを探して上を見ると、建物の上で洗濯物を抱えていたミカサ(水原希子)の方が気づく。

町の外の草原の所へアルミンと一緒にやって来たミカサは、大昔から地面に突き刺さっている不発弾の上に乗っていたエレン(三浦春馬)を見つけたので、爆発したらどうするんだ!と注意する。

するとエレンは、みんな吹き飛べば良い!と自棄のように言いながら地面に降りて来る。

又首だって?とアルミンが聞き、仕事を始めてまだ一月だと言うのに…とミカサもエレンの根気のなさに呆れる。

アルミンは、さっき子供から預かって来た楽器のようなものを取り出すと、これは電池で動くんだ。こう言うのもっと見たいと言う。

ミカサは?と聞くと、私はただ…とあまり夢がないようなミカサ。

それで良いのか?内地には金持ちばかりが暮らしていると言う。行ってみたくないか?壁の外に?とエレンが言い出す。

俺は嫌だ!と言うエレンは、わざと不発弾を蹴るが、その時、アルミンが、あれっ?と何かに気づく。

不発弾の表面にこびりついていた泥を剥がしてみると、その下に女のピンナップイラストが描いてあり、その背景には青々とした海が描かれていたからだ。

海など観たことがないエレンは、池じゃなくて?それが本当に壁の向こうにあるのか?とアルミンの説明を疑う。

ミカサも、空を飛ぶ鳥を見上げながら、あの鳥は海を観たことがあるのかな~…と呟くので、見たいのか?とエレンは聞く。

周囲を見回すと、大砲は見えたが、何故か町の方を向いており、兵士の姿も見えなかったので、人間じゃなく壁を守ってやがるとエレンはバカにする。

その後エレンは、禁止されている壁の方にあえて近づこうとするので、見つかるよとアルミンが注意する。

壁の真下までやって来たミカサは、こんなに近くで壁を見るの始めて…と感激しながら、高い壁を見上げる。

その時、ミカサがくしゃみをしたので、エレンは自分がしていたマフラーをミカサの首に巻いてやる。

しかし、ミカサは、今じゃなくて良い…と壁の向こうに行くことをためらい、アルミンも、壁の向うは巨人がたくさんいて、巨人以外すめないらしいじゃないかと怯える。

するとエレンは、信じてるのか?もしかしたら、壁の向うは楽園かもしれないと言い出す。

その時、お前たち、何をしている!と言いながら、警備兵たちが数人駆けつけて来たので、エレンは一人抵抗する。

そこへ、おいおい、相変わらずだな…と苦笑しながら近づいて来たのはソウダ(ピエール瀧)で、ここは俺に任せていくんだと他の兵士たちを立ち退かせると、で、この子に良い所を見せてやろうと?とミカサを見ながらエレンに笑いかける。

そんなんじゃねえよとエレンはむくれるが、俺も昔、お前のお母さん誘って同じことやった。でもお前の父さんに負けたけどな…とソウダが打ち明けると、そんなんじゃなくてむかつくんだよ!とエレンは吐き出す。

壁に気づいた時、天国も牢獄である…とソウダは何やら格言めいたことを言い、今度へ気概調査が始まる。議会を通りそうなんだ。国民の不満も高まっているからな。エレン、お前どうだ?と誘う。

新しい土地が見つかれば、どこに相撲が自由だとソウダが言うので、何か希望を感じたエレンは、ミカサ!と呼びかける。

その瞬間、突然地響きと共に地面が揺れ始め、多くの鳥たちが塀の上を飛び去って行くのが見えた。

地震!とアルミンは戸惑うが、地震にしては揺れが大きかった。

彼らが見上げた壁の上に、うなり声と共に超巨人の顔が出現する。

それを観たエレンは、本当にいたんだ!と愕然となる。

壁よりでかい!とミカサも驚き、安全じゃなかったの?とアルミンも呆然とする。

逃げろ!壁が破られる!とソウダ!が命じ、3人が一斉に逃げ出そうとした時、壁の下部に穴が開き、その衝撃で3人は吹っ飛ぶ。

巨大な岩が隕石のように町に降り注ぎ、振動で壁の一部に引っかかっていたヘリコプターの残骸が落下する。

砲を巨人に向けろ!とソウダは兵士たちに命じるが、火薬の使用許可が出ていない!と兵士たちはうろたえる。

それでも、急いで集結した兵士たちが町の方を向いていた大砲を壁の方に廻す。

次々に大きな岩が町に飛んで来て、建物を破壊して行く。

壁に空いた大きな穴から、何人もの巨人が侵入して来たので、それを目の当たりにしたエレンは、なんてこった!と呟く。

砲撃用意!発射!の号令のもと、大砲が発砲する。

砲弾は巨人に命中したかに思えたが、倒れた巨人はすぐに元の姿に戻ると、何ごともなかったかのように町に向かって来る。

伝説は本当だった!奴らは不死身だ!とエレンは愕然とする。

迫り来る巨人たちは、次々に兵士たちを捕まえては食べ始める。

そんな中、拳銃を取り出した兵士がいたので、そんなものが何の役に?と一緒に隠れていた女性兵士が聞こうとすると、兵士は銃を口にくわえその場で自殺する。

町に逃げ込んだエレンとミカサだったが、アルミンの父親が巨人に捕まったのを目撃する。

町の住民たちは一斉に教会の中に逃げ込むとする中、ミカサは他の母親が落とした赤ん坊を見つけ、慌てて抱き上げるが、その間にエレンは群衆に巻き込まれ、エレン!と叫びながらも、なす術もなく教会の中に入ってしまう。

エレンが中に入った直後、教会の扉に閂が落とされ、神父が絶対に開けてはならん!と中に者たちに命じたので、ミカサを始め、扉の外に取り残された者たちの顔を窓から観ながら、自分だけ足すかりゃ良いのか!とエレンは抗議するが、周囲の人間が皆睨みつけて来たので黙るしかなかった。

外で赤ん坊を抱きしめていたミカサは、巨人の1人が間近に迫って来たので、絶望的な顔になる。

次の瞬間、何かが爆発したような衝撃があり、エレンたち、教会の中にいたものたちはなぎ倒される。

エレンは立ち上がり、ミカサ!と叫ぶと、扉の閂を開けて、自分だけ教会の外に出るが、外にはミカサの姿はもうなかった。

さらに、閂を閉めた教会の中から助けてくれ!と叫ぶ民衆の顔が覗き窓から見えた、

上を見上げると、教会の屋根を破壊した数名の巨人たちが、教会の中に閉じこもっていた者たちを嬉しそうに食べ始める。

大量の血が、教会の扉の下から外へ流れ出す。

エレンは呆然となりながら、すっかり巨人たちに破壊された町の中を歩き出す。

2年後

長年にわたる平和の代償は、惨劇によって支払われました…

奪われた土地を奪い返すために、この栄えある作戦を遂行するため…

町では、新たなる作業員たちが調査団として召集され、クバル(國村隼)の演説が行われていた。

内壁の中だけでは食料不足も深刻化しており、何とか外の壁を修復し、奪われた土地を奪還するのが我々の悲願ですとクバルが言うと、代わって壇上に登場したハンジ(石原さとみ)が、今の我々にはこの立体起動装置があります!と説明し始めるが、うっかりワイヤーを飛ばすスイッチを押してしまったので、ハンジは焦る。

今夜門前地区に出発するが、向うに爆薬が用意されている。そこでシキシマ隊長と合流する!と気を取り直したハンジが説明すると、聞いていたエレン他作業員たちに驚きと憧れの表情が広がる。

日没と共に出発します!

心臓を捧げよ!と再び前に出たクバルが声を挙げると、作業員たちも一様に、右手を心臓の部分に置くポーズを取る。

出発前の作業員と家族たちの別れが、金網を境に行われる。

アルミンは両親も、壊れた楽器を預けた子供も既に死んでいたので、別れに来る相手はいないと思われたが、小さな女の子が、お兄ちゃん!と呼び掛け、汚れた人形を金網の間から差し出して来る。

出発の前の食事を配給するテント前に並んでいたアルミンは、酔ったような給仕係がソウダであることに気づく。

一緒に並んでいたエレンも、ソウダの様変わり振りに驚く。

かつての勇壮な兵士の面影は消え失せ、廃人のようになっていたソウダは、生きてたか?と再会に驚きながらも、結局、お前たちもか…と、兵士になったアルミンやエレンのことを不憫がる。

みんな死んじゃったし…、アルミンはそう言うしかなかった。

あの子はどうした?とソウダがミカサのことを聞くと、俺のせいだ!とエレンは自分を責め、そんなことないよ!とアルミンが慰める。

それで復讐か…、一匹や二匹くらい倒したってどうにもならんのだぞ…などとぼやきながらk、ソウダは尻餅をつく。

ソウダさんは何故志願したの?とアルミンが聞くと、女房子供に会うためだ…、待っているんだよ…と答えながら、ソウダは空を指差す。

その時、あの〜…、まだですか?と声をかけて来た女性がいた。

食事の配給に並んでいた女兵士サシャ(桜庭ななみ)だった。

その食いしん坊のサシャと同じテーブルで食事をすることにしたアルミンは、皿に盛られたマッシュポテトのようなものを模型に見立て、壁の下部に穴が開いた部分の上部を爆破し、下の穴を塞ぐ今回の外壁修復作戦について説明する。

しかし、これまでの修復作戦はことごとく失敗していた。

俺たちが失敗したら、人類は終わりになる…とアルミンは深刻そうに呟く。

その時、近くのテーブルに座っていたジャン(三浦貴大)が、やんなくて良いから!邪魔なんだよな、へなちょこばかり集まると…と、周囲の兵士たちに聞こえよがしに悪態をつき始める。

悔いしか能がない芋女とか…とサシャを屈辱したジャンは、作業員なら喰いっぱぐれがないと聞いたんで…と言うサシャに、どうせみんな、口減らしでここに売られて来たんだろう?とバカにする。

それを黙って聞いていた作業員の中に、死ぬのを恐れているリル(武田梨奈)と、リル、大丈夫、僕が守ってやると抱いて慰めているその夫もいた。

それを観たジャンは、バカ夫婦が!と罵倒する。

そんなジャンに、やっぱり巨人が恐いんだよと口を挟んで来たのはアルミンだった。

それを聞き、巨人なんて屁でもねえ!と逆上したジャンはアルミンに近づくが、その時、巨人に乳首はあるか?と聞いて来たのはエレンだった。

ジャンが答えられないと、観たことないのに威張る内地の坊ちゃんか…とエレンはバカにする。

そこへ、言ったでしょう、巨人に性器はないって、だから乳首もない。その正体を探るため解剖したいから、生きた巨人が欲しい!10分後に集合!と言って来たのはハンジだった。

ハンジの言葉で、その場の空気は一旦緩和するが。そう言えば、巨人を前に女を見捨てた男いたってな?そいつにもないんじゃないか?とジャンがエレンをバカにしたので、逆上したエレンとつかみ合いの喧嘩になる。

その場にいた兵士たちに引き離され、何とかその場はおさまり、その後彼らは全員トラックに乗り込む。

エレンの隣に座ったサンナギ(松尾諭)が、里帰りだな。外苑の出身だろ?と声をかけて来る。

おれは弟や妹のためにやるんだ!とサンナギは、先ほど網の所で別れた幼い兄弟たちのことを説明する。

巨人は夜眠る。大声が出すな。叫ぶくらいなら舌を噛め!死にたくなかったらな…と先輩兵士(神尾佑)が新人作業員たちに言い聞かせる

朝までに表町に着くこと、この門を通るもの、一切の望みを捨てよ!この地獄の億には女神がいる。半年に10匹以上の巨人を殺したと聞いた作業員は、そりゃ、女神じゃなく死神だろうと答える。

そんな中でも、リルは夫に、恐いよ!と抱きついていた。

暗闇の中、走っていたトラックは途中で停車する。

まだ表町ではなかったが、周辺を確認!と命じられた作業員たちは、カンテラに火を灯し、暗闇の中の様子を探る。

すると、そこにいたのは牛だったので、巨人は人しか喰わねえのかね…と呟く作業員。

その時、犯し直人が暗闇に響くが、それはサシャのおなかが鳴った音だった。

アルミンは、そんなサシャに、自分用の芋を二つ渡す。

これなら夜明け前に着ける…と安堵の声が挙る中、子供の声が聞こえる!取り残されたんだ、助けないと…と言い出した女が、勝手に暗闇の奥の方へ向かう。

その女を引き止めようと、その後を追うエレン。

しかし、女に接近した時、エレンのカンテラが消えてしまう。

その時、確かに近くで赤ん坊の鳴き声が聞こえる。

女の髪に、上から粘液上のものが垂れて来たので、頭上に目をやると、そこにいたのは巨人の赤ん坊だった。

巨人の赤ん坊は、建物の上から地上に落下して泣き出す。

その鳴き声を聞いた先輩兵士は、巨人が目を覚ます!と作業員たちに注意を歓喜するが、次の瞬間、先輩兵士の身体が持ち上がり、姿を現した巨人の口の中に喰われる。

その時、数匹の巨人たちに追われて逃げて来たエレンと女が合流する。

クバルは、前進!と命じ、トラック部隊は得れんたちをその場に残したまま出発する。

アルミンは、巨人から逃げようとして転ぶが、サンナギが援護してくれる。

その時、立体起動装置を付けた何者か空中を飛んで来て2人を救ってくれる。

やがてアルミンたちは、表門が見えて来たことに気づく。

巨人は不死身じゃない!頭部を粉砕しても1〜2分で復活するが、立体起動装置で、巨人の後頭部の下を大きく損傷すれば、巨人は蒸発する!とハンジが説明し、調査兵団、シキシマ隊長(長谷川博己)を作業員たちに紹介する。

たまには良い女に巨人に会いたいものだ!とシキシマはぼやくが、その時、迫り来る巨人に完全に立体起動装置で立ち向かう女がいた。

それを観たエレンは愕然とする。

死んだとばかり思っていたミカサだったからだ。

巨人を倒したミカサは、シキシマの近くに降りて近づくと、2人一緒にそのまま無言で立ち去って行く。

表町に到着したウバル士官とシキシマが握手する。

爆薬の警護、ご苦労!とねぎらったウバルに、大きな扉の前にいたシキシマは、開けようがなくて…と、扉を開く術がなかったことを打ち明ける。

倉庫の中に入ってみたハンジも、そこ何もないので、士官、爆薬は?と聞く。

すると、クバルは、床面の一部の円形の枠内の扉を開き、そこから地下室に階段が続いているのが分かる。

反乱の可能性があるのでねとクバルは説明する。

それを観たシキシマは、なるほど…、これなら安全だと感心する。

その頃、ジャンはエレンに、お前のせいで計画はメチャクチャだ!と文句をつけていた。

しかしエレンの方も、臭えんだよ、坊ちゃん!小便ちびったんじゃねえか?巨人、恐かったのか?と逆襲したので、その場で又つかみ合いの喧嘩になる。

エレンは、大きくジャンプしてジャンの顎をキックする。

そこへ、これ以上、隊規を乱すな!と止めたのはミカサだった。

あらためて、ミカサの顔を確認したアルミンは、ミカサだよね?どうした?と今の状況を聞く。

しかし、良い蹴りだったよ、遊びにしては…とエレンに声をかけたのはシキシマだった。

名前は?とシキシマが聞いたので、エレンですと答えると、門前の?と何かを思い出したようなシキシマは、両親は?と聞く。

死にましたとエレンは答え、ミカサはどうして?と逆に聞く。

巨人と楽しく遊ぶ方法をおれが教えた。自分も知りたいって顔してるな?とシキシマが答えたので、おれも倒したい!巨人が憎いから!とエレンが言うと、何故憎い?とシキシマは問う。

俺たちを閉じ込めた敵だからだとエレンが答えると、外れだ、本当の敵は巨人じゃないとシキシマは言う。

本当の敵は安全だよ。狼を恐れて柵の中で暮らす…、そんな動物を何と呼ぶ?とシキシマから聞かれたエレンは、家畜?と答えるが、じゃあお前は?と再びシキシマから聞かれると、おれは違います!よエレンは否定する。

なら、飛んでみろ!棄てなければ得られない!とシキシマは言う。

サシャといたアルミンは、以前子供から預かった壊れた楽器を取り出し、昔は色んな機械があったらしい。空を飛ぶ事も出来たらしい…と羨ましそうに教えていたが、その時、サシャは持っていた芋を水溜まりに落としてしまう。

そこに姿を見せたのはクバルで、君は添いうい技術の発展が何を生み出したか学んで来たかね?とアルミンに問いかける。

無駄な資源破壊や殺戮兵器ですとアルミンが教わった通り答えると、ゆっくり休みなさいと声をかけ立ち去るクバルは、水溜まりに落ちた芋を踏みつけて行く。

ジャンの怪我の手当をしてやるソウダが、何でエレンに突っかかる?と聞くと、面だよ、自分1人で世界中の不幸を全部背負ってるような…と言うので、彼女をなくしたんだよ。名前はミカサ…と教えてやる。

そのミカサは、廃墟の中にあったピアノを弾いていた。

そこにやって来たエレンは、とにかく良かった…と、ミカサが生きていたことを喜ぶ。

良かった?と睨みつけたミカサは、あの子は喰われた…と言い、私も…と言いながら、自分の左脇腹を露出し、そこに大きく残った巨人の歯形を見せる。

世界は残酷…、私は巨人を殺すだけ…とミカサは呟く。

それを呆然と聞いて立ちすくんでいたエレンの足下に何かが投げ込まれる。

見るとそれはリンゴだった。

投げたのは、いつからいたのかシキシマだった。

悪い!邪魔だったかな?喰うか?旨いぞと言うと、シキシマは自分が持っていたリンゴをかじる。

そのかじったリンゴをシキシマから受け取ったミカサは、自分もかじる。

そんなミカサをシキシマは、背後からそっと抱きしめる。

廃墟の外に出たエレンは、思わず絶叫するが、また巨人を呼ぶ気?とそれを止めたのは、いつか赤ん坊巨人と一緒に遭遇した女性作業員だった。

ごめん…とエレンが詫びると、謝るのは私…と女も答える。

良いよ…とエレンが言うと、何があったの?ミカサ班長と…と聞いて来た女は、思ったより子供なんだ…とからかって来る。

関係ない!とエレンが怒ると、女はエレンの手を引いてくタ狩りの方へ誘う。

その奥では、リルと夫がキスをして抱き合っていた。

あの二人結婚できるかな?おかしいよね、結婚に許可がいるなんて…、子供を作った所で…と女は呟き、金網の所で別れた幼い娘のことを思い出す。

そして、突然、子持ちじゃ嫌?と言い出したその女は、エレンの手を取ると、自分の胸を触らせようとする。

娘の父親になってくれる?と誘って来た女の背後の窓から、巨人の目が覗いていることにエレンは気づく。

次の瞬間、未亡人は巨人に外に引き出される。

死にたくない!嫌〜!と絶叫しながら、女は喰われてしまう。

包囲された!撤収!撤収!と声が響く。

外に出て立体起動装置で空中に飛び上がったシキシマは、対峙した巨人に、じたばたするなや、死に際くらい…と言いながら、ワイヤーを巨人の足に絡め転ばしておいてから、後頭部を斬り裂く。

ミカサも立体起動装置で巨人を撃破に飛ぶ。

サンナギは、巨大な𨨞で、巨人のくるぶし部分を斬りつける。

何が何でも爆薬を守れ!とクバルが命じる。

そんな中、ソウダは、既に死んでいる夫にすがりついていたリルを助け起こす。

その様子を側で観ていたアルミンとサシャは、痛ましそうにその場を立ち去ることにする。

その時、火薬を積んだトラックが突然走り出したので、ハンジは驚き、誰が運転してる?と聞く。

トラックを運転していたのは、ショールをかぶり顔を隠した謎の男だった。

その直後、火薬が満載のトラックの荷台に、何者かが火の点いた松明を投げ込む。

その直後、運転席に入り込んで来たのはリルだった。

リルは、突き落とそうとする謎の男を蹴り、何とか運転席に入り込む。

そのまま火のついたトラックは、巨人にぶつかり、大爆発を起こす。

それを建物の上から見たシキシマは、きれいなものだ…と苦笑する。

最後の爆薬が〜!と絶望したハンジが叫ぶ。

これで、外壁の修復は不可能になったのだ。

その後、ハンジは、爆薬を奪った犯人の物らしきショールの一部を見つける。

巨人たちは次々と調査兵団を喰い続ける。

それを目の当たりにしたジャンは、地獄だ…、人間は弱いんだよと呟き、側にいたエレンに、逃げるぞ!と声をかける。

しかし、巨人を前にしたエレンは、狼を恐れて柵の中でクラス動物を何と呼ぶ?と問いかけたシキシマの言葉を思い出していた。

エレンは、意を決し、始めて立体起動装置で飛び出してみる。

それを観たシキシマは、敵の懐へ飛び込め!一度傷つけたら、必ずとどめを刺せ!と声をかける。

ワイターを操作しながら、巨人の頭部に近づこうとしたエレンだったが、巨人に足をくわえられ、そのまま近くのビルの屋上に叩き付けられる。

それを観たシキシマは、ま、運もあるさ…と他人事のように呟く。

おい!あれ!とサンナギが指差すと、アルミンが、ちょっと聞いてください!と廻りの作業員たちに声をかける。

ジャンが巨人に囲まれていたのだった。

ハンジが照明弾を打ち上げ、巨人たちの注意をそらす一方、他の作業員たちは、わざと大きな物音を立て、巨人たちの気を惹く。

自分を助けようとしていることに気づいたジャンは、あいつら…と感激する。

ビルの屋上から、矢を放つサシャ!

サンナギも巨大𨨞を振り回す。

今だ!

その隙にジャンは逃げ延びる。

エレンは?とアルミンから聞かれたジャンは、あの上にいる!とビルの屋上を指差すが、その直後、アルミンが巨人に捕まってしまう。

ミカサは、ビルの上で叩き付けられ、身動きできなくなっていたエレンを発見する。

そのエレンも、巨人に喰われかけていたアルミンを発見していた。

サシャが矢を次々に放つが効き目はない。

ミカサは立体起動装置で、アルミンを喰おうとしていた巨人のうなじを狙ったが、剣が折れ、致命傷を与えられない。

アルミンは巨人の口の中に入ろうとしていた。

その時、アルミンの手を捕まえたのはエレンだった。

こんな所で死ぬな!そう叫んだエレンは、強引にエルミンの身体を巨人の口の外へ引っ張り上げるが、その代わり、エレンの方が喰われてしまう。

エレンは巨人の食道を滑り落ち、胃の部分に落ちるが、そこには、既に胃散で半分溶けかけた女作業員が倒れていた。

駆逐してやる!暗い胃の中で絶叫するエレン。

その後、巨人たちは、ビルの上に取り残されたジャンたちを襲おうとしていた。

誰も援軍が来ないので、まさか俺たちを囮にして…と、アルミンたちは調査兵団の作戦を怪しむ。

そこに降りたって来たのはミカサだった。

エレンが喰われた!とアルミンが教えると、ミカサは地上で拾い上げたエレンの腕を差し出して見せる。

それを観たアルミンは、僕のせいだ!ごめん!とミカサに詫びる。

そのミカサは、私が脱出させるわ!と言い残し、立体起動で飛び出していくが、無理だ!もうガスが残ってないんだ!と言うアルミンの絶叫は聞こえていなかった。

ミカサは、そのままビルの屋上に墜落する。

ミカサは空の上を飛ぶトンビの姿を目にする。

そして、2年前、壁の近くでエレンからもらったマフラーのことを思い出す。

今でも、そのマフラーの一部を、右手に握りしめていたのだ。

そんなミカサに巨人が迫って来る。

その巨人は、先ほどエレンを飲み込んだ巨人だった。

次の瞬間、巨人は口から何かを吐きそうになる。

大きく開いた巨人の口の中から黒い手が巨人の上あごを引き裂いて行く。

巨人の口から新たな黒い巨人が外に出て来る。

その黒い巨人の風貌を見たミカサは、エレン?と驚いたように呟く。

黒い巨人の左手部分が再生し、五体満足になった黒い巨人は、周囲にいた他の巨人たちを襲い始める。

巨人が巨人を攻撃した!とハンジが驚き、我々の味方なんでしょうか!とサンナギも喚く。

あの戦い方には意志を感じるとハンジは指摘し、こんなの始めて〜!と絶叫する。

ミカサは、自分を見つめる巨人化したエレンに、私のせい?と呟くが、次の瞬間巨人エレンに掴まれる。

しかし、一声叫んだエレンは、ビルの屋上にミカサを投げ戻した後、地上に倒れ込む。

さすがに力尽きたか…、うなじを切開しろ!早くしないと巨人に取り込まれる!細胞が同化してしまうよ!とハンジが叫び、倒れた巨人エレンの背中に乗ったミカサが、うなじを切断する。

すると、その切れ目から、胎児のように丸まったエレンが出て来る。

そうか…、だから、巨人はうなじが弱点なのか…と驚くハンジ

巨人と対峙するものは、自らも怪物とならぬよう心せよ…、ビルの上で居間までの一部始終を観察していたシキシマが呟き、リンゴをかじる。

目を開けたエレンだったが、その目は真っ赤だった。

君は人か巨人か?エレンは人類最後の希望です!(後編の映像らしきものを背景に)

悪い芽はすぐに摘み取らねばなりません…と言うクバル

この日を待ってた!

板壁に書かれた金文字エンドロールをカメラが徐々に上がりながら写していく。


 

 

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