白夜館

 

 

 

幻想館

 

ポーラー・エクスプレス

全米で有名な絵本を元に全編CGIアニメで描いたクリスマスファンタジー

ぱっと見、実写か?と思わせるようなリアルな動きをしているのだが、表情はリアルなのが災いして、不気味な雰囲気になっているのが惜しまれる。

生気のない人形のような顔立ちで、例えて言えば、「サンダーバード」など、スーパーマリオネーション用の人形キャラと実写の間くらいの印象。

観ている内に徐々に慣れては来るのだが、日本人好みのキャラクターとは言いがたい。

ただし、話自体は、まるで「銀河鉄道999」でも観ているようなイメージで、日本人にもなじみ深い。

テンポや幻想描写も素晴らしく、途中からぐいぐい引込まれる魅力を持っている。

決して「お涙頂戴物」ではないが、観ている内に童心をくすぐるのか、何となくうるうるしてしまう所がある。

ただ、ラストの「信じるかどうか」という件は、宗教心とも絡んで来る部分なので、日本人としては微妙な物がある。

クリスマス映画としては、それなりに楽しめる内容ではないだろうか。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2004年、アメリカ映画、ウィリアム・ブロイルス・ジュニア脚本、ロバート・ゼメキス脚本+監督作品。

雪が降る背景にタイトル

クリスマスイブの夜

二階の寝室のベッドの中で横になっていた少年は、なかなか眠ろうとしなかった。

何故なら、あの音を聞き逃さないため…、そうサンタの鈴の音

窓の外を覗こうと起き上がった少年は、ガラス窓に近づこうとして、うっかりスチームに両手を置いてしまい、熱っ!rと手を上げた後、窓の曇りを拭ってみる。

そっと下に降り、玄関口を開けて外を覗いても、近所に作られた雪だるまが見えるだけで人っ子一人いない。

その時、サラはもう水飲んだかなな?と父親の声が聞こえて来たので、慌てて二階に戻り、鍵穴から、隣の妹の部屋を覗き込む。

ベッドに寝かされていた妹のサラが、サンタは光より早く家を廻るんだってと両親に話しかけていた。

お兄ちゃんが教えてくれたのかい?と父親が聞くと、サンタはいないかも…だって…とサラが答えている。

起きてからのお楽しみ…と、そんなさらに言い聞かし、両親は妹の部屋を出て行く。

少年は、懐中電灯の灯りを頼りに、棚の上に置いてあった大人向けの雑誌に書かれたサンタの扮した大人の写真屋、サンタを皮肉ったイラストなどを眺める。

さらに、辞書で「北極」を調べると、「不毛で生き物はいない」…と、はっきり書いてあった。

その時、両親が上がって来る足音が聞こえたので、慌てて少年はベッドに飛び込み、毛布をかぶって寝た振りをする。

すると、眠っている。去年までサンタを観るんだと言って一晩中起きてたのに…。大人になるんだ。魔法が終わるのね…などとこそこそ話をし、少年の寝顔を確認すると、寝ている。急行が来ても分かんないなどと言いながら出て行く。

両親が下に降りて行ったのを確認した少年は目覚め、魔法の終わり?と呟くと目を閉じる。

目を閉じたときは、側の目覚まし時計は10時20分だったはずだが、再び目を開けた時には11時になっていた。

その時、突然、部屋の中が振動し始める。

スチーム暖房機から蒸気が吹き出し、汽笛が聞こえたかと思うと、窓の外を列車の窓の明かりが通過していく。

急いでガウンをパジャマの上から羽織って下の玄関から外に出てみると、外には列車が停車していた。

ご乗車下さ~い!と呼びかける声がしたので、その声の方を見やると、蒸気の中に見えて来たのは、車掌のようだった。

車体には「急行北極号(ポーター・エクスプレス)」と書かれてあった。

少年が戸惑っていると、そうか…、これを持ってくれとランプを手渡した車掌は、君の名前は?と言いながら、乗客名簿を確認し、君は願いを書かなかったんだね?あんた用のおやつも妹に用意させたんだね?サンタを疑っている…と言ったサンタは、そのままランプを受け取り、お好きに…と言い残し列車に乗り込む。

「北極号」は動き出したので、しばし迷っていた少年は、思い切って乗り込むことにする。

デッキから家の方を振り向くと、雪だるまが手を振って見送っているように見えた。

客車の中を観ると、大勢の子供たちが寝間着姿で田のl氏荘に席について騒いでいた。

その中に入り、緊張しながら座席に座った少年を、通路を挟んだ反対側の席に座っていたアフリカ系の少女が興味深そうにじっと少年の顔を見つめていた。

すると、少年の前の座席に座っていたメガネの子が、背もたれから顔をのぞかせ、これって何の列車か知ってる?と聞いて来たので、私、知ってる!北極雪の急行でしょう?とアフリカ系の少女が答えると、ボールド1931年型…などと、メガネは鉄オタ的な説明をしだす。

途中、おもちゃ星だ!とメガネが窓の外を指差すと、玩具がたくさん並んだ通りに面した店が見えた。

口すますってステキできれいだわ…と少女がうっとりしたように言う。

その時、乗車券を拝見と言いながら車掌がやって来るが、少年はそんなものを持ってないので戸惑う。

ポケットに入っているんじゃないかね?と車掌が言うので、ガウンの右のポケットに手を突っ込んで見るが、そこには穴が開いており、入れた手の指先が覗く始末。

左のポケットじゃないのかね?と車掌が辛抱強く言うので、少年は仕方なく左のポケットにも手を突っ込んでみると、何とそこから見覚えのない乗車券が出て来たではないか。

車掌は、素早いパンチさばきで、切符に何か文字の形を開け始め、少年に返す。

次の停車駅では、又、別の少年にご乗車下さいと車掌は声をかけていたようだったが、その子は乗ろうとしなかったので、お好きに…と言い残し、車掌は列車に乗り込み、列車は動き出す。

しかし、少年が窓からその少年に手を振って別れを告げると、その子は追いかけて来たように見えたので、急げ!と先に乗っていた少年は叫ぶが、雪に足を取られてその子は間に合いそうになかった。

列車を停めなきゃ!と叫んだ少年は、客車の背後に付いていた非常用のレバーを引いてしまう。

その結果、列車は急ブレーキがかかり、何とか停まるが、車掌がやって来て、誰が非常レバーを引いたんだ!と聞いたので、子供たちは一斉に少年の方を観る。

あれを引くのは緊急の時だけだ。今夜はクリスマス・イブだ!ダイヤが立て込んでいる。遅れたら大変なことになる!大切な日なんだと少年に近づいた車掌は注意するが、そんな少年をかばうように、アフリカ系の少女が、あの子を乗せるためだったんですと背後を指して説明すると、車掌は納得したのか、良し!と言っうと、みんな席について!ありがとう!と言って下がって行く。

しかし、乗り込んで来た新しい少年は、何故か客車に入ろうとせず、最後尾の車両の椅子にぽつんと1人だけ座っていた。

すぐに客席に戻って来た車掌は、お飲物がいる方?と聞くと、ほぼ全員の子供たちが手を挙げる。

すると、何人ものウェイターが客車の通路にやって来て、各人の椅子の前にテーブルを拡げると、全員で踊りながらホットココアを配りだす。

アフリカ系の少女は、自分用に貰ったココアを何故かそっと、座席の下に隠してしまう。

みんなが飲み終わり、ウェイターがそのカップとテーブルを回収して帰った後、少女は、隠していたホットココアのカップを持って、最後尾の車両に持って行ってやる。

その直後、少年は少女の席の上に残されていた乗車券を発券する。

誰のか確認しようとするが、何故か車掌のパンチが入ってなかった。

少年は、それは今行った少女の物に違いないと感じ、自分が後部車両に持って行ってやろうとドアを開けるが、デッキ部分が何故かなくなっており、ドアの向こうにあるのは連結部分だった。

列車は猛スピードで走っている最中なので、強い風が少年に吹き付け、持っていた乗車券を風が飛ばしてしまう。

その乗車券は、客車の窓の外に貼り付いたので、慌てて客車の内側からそっと窓を開けて取ろうとするが、又風に飛ばされ雪山の中に落ちる。

そこは狼たちの群れがいる所で、狼たちが走り出すと、その流れに乗車券は又空中に飛ばされる。

その乗車券をくちばしでくわえたのは鷲で、そのまま鷲は、自分の巣でお腹をすかせていた小鳥に食べさせようとする。

小鳥は乗車券を食べようとするが、まずいので吐き出してしまう。

丸まって地面に落ちた乗車券は転がって崖を下るうちに雪だるま状になるが、すぐに元の乗車券に戻り、風に乗って元の「急行北極号」の車両の客車の中に入り込み、後部の棚の部分に挟まる。

乗車券をまだ切ってなかったと言いながら席に戻っていたアフリカ系の少女の元にやって来た車掌は、少女が乗車券を見失ったと言い出したのを観る。

少年は、その子のせいじゃないです。咳に落ちていたのを自分が拾って、その子に渡そうとしたら、風に飛ばされて…と説明する。

しかし、車掌は乗車券を持ってない少女に、一緒に来なさいと言い、そのまま後部車両へ連れて行ってしまう。

少女は列車から降ろされると思った少年は、停めなきゃ!と感じ、またもや非常用レバーを引こうとするが、その時、レバーの横の棚にあの乗車券が挟まっていることに気づく。

その乗車券を取った少年は、急いで、連結部を飛び越え後部車両に来てみるが、車掌も少女もいない。

そこに1人座っていたあの最後に乗り込んだ子に、あの2人は?助けなきゃ!と聞くが、シャイなのか、その子は何も答えない。

その時、窓に屋根を歩いている車掌と少女らしきシルエットが映ったので、少年は思い切って、走っていく列車の外梯子を上り、天井上がる。

雪が叩き付ける中、少しずつ前に進んでいくと、人影のような物が遠くに見えたような気がしたので、お〜い!切符あったよ〜!お願い!待って!と呼びかけるが、気がつくと、何と走る列車の屋根の上でたき火をし、手回しアコーディオンを弾いている不思議な男と出会う。

何しにこんな所に?と男から聞かれた少年が、女の子の切符なんだと見せると、間違いなく本物だ!と驚いた様子の男は、安全な所へ入れておけよ、私だったら靴の中に入れとくなと教えてくれたので、言われた通りに靴の中に入れる。

男は、俺はただ乗り専門なんでそんな切符はいらないと言い、たき火で暖めていたコーヒーを振る舞ってくれる。

しかし、一口飲んだだけで少年は吐き出してしまう。

酷くまずかったからだ。

それを男は気にする風でもなく、サンタを信じているのか?と聞いて来る。

少年は、信じたい…、でも…と口ごもったので、騙されたくない?はめられたくない?乗せられているのかも知れない…と男はからかうように聞いて来る。

観ることは信じること…と言う、じゃあ、この列車は?と男が聞いて来たので、北極に行くんでしょう?と、じゃ、全部夢なの?と、少年は不安そうに聞き返す。

すると、その男は立ち上がり、屋根の上のたき火を踏み消して、その女の子を捜しにいこう!と言い出したかと思うと、君は幽霊を信じるか?と唐突に聞き、そのままスキーを履いて、列車の屋根の上を前方の方へ歩いていく。

少年も男に付いて行こうとするが、今の状況は夢かも知れないと思い、自分で自分の手の甲をつねってみたり、屋根の上に積もった雪に顔を埋め、目覚めようとする。

すると、男は、列車の上で夢遊病になるのは困るよ、急がなきゃ!女の子は前の石炭車にいるに違いない。この先にトンネルがある。屋根の天井部分と列車の屋根との隙間は3センチしかないなどと言うではないか。

少年は、男に肩車してもらい前方に進み始めるが、強風のため飛ばされて屋根から落ちかける。

男が差し出したピックに掴まり、何とか屋根の上に戻ると、石炭車が見えたので、思い切って飛び込んで、その石炭の中に落ちる。

観ると、運転席にあの少女が1人座っているではないか。

君が運転を?と少年は驚きながら少女の側に近づくと、簡単よ。運転士たちは前の電気を付け替えにいってるのと言う。

そして、簡単に、運転席の装置の説明をし始める。

汽笛のレバーを教わった少年は、前からやってみたかったんだ!と言いながら、汽笛を鳴らしてみる。

その時、走る列車の前方の電球を取り替えていたデブの運転手と赤毛の助手は汽笛に驚くが、デブの方が、前方に何かを発見、少女に、汽車を停めろと大声で叫ぶ。

少女は、驚きながらもブレーキをかけようとするが、その少女の動きを見守っていた少年は、その装置で間違いないの?本当に?と確認すると、少女は自信がぐらつき始める。

それで少年が、自分でこっちだと思うスイッチを引くと、それが正解で、列車は何とか停車する。

観ると、前方の線路をトナカイの群れが延々と横切っているではないか。

ラッシャが停まったことに気づき運転席にやって来た車掌は、少年の姿を観ると、又君か!と呆れるが、降りてみて、100万頭はいるのではないかと言うほどのトナカイの延々と続く移動を観ると、このままでは列車が遅れてしまうと焦る。

その時、少年が、列車の上から下がっていた赤毛の運転助手の長いあごひげを何気に引っ張ると、運転手は痛がり悲鳴をあげる。

それを聞いたトナカイも何故か鳴き返す。

車掌も真似して、赤ひげを引っ張ると、運転助手は痛がり悲鳴を上げ、それを聞いたトナカイも鳴き返して、何となく事情を察してくれたのか、線路を跨いで行進するのを一旦止めてくれる。

それを観た車掌は問題解決!と喜び、低速進行!と運転席に呼びかける。

いつの間にか、少女も少年や車掌と同じ、列車の最前部のバンパー部分に乗っていたし、運転席にはデブと赤毛の運転士が戻っていた。

ところが、列車が動き出すと、徐々にスピードが増して来て、とても低速運転ではないので車掌は嘆き、少女は運転席に向い、スピードを落として!と声をかける。

しかし、デブの運転士は焦っていた。

スピード調節が思うように出来なくなっていることに気づいたからだ。

低速にしようとレバー操作をしているうちに、レバーの関節部分のピンが外れて床に落ちてしまう。

減速レバーが壊れてしまったので、列車はますますスピードを上げ続け、暴走を始める。

車掌は、この先には世界一深い谷がある!と緊張する。

やがて、スピードを増した列車は、その谷部分に差し掛かり、まるでジェットコースターのように急降下、急上昇を繰り返す。

この激しい動きで、床の隙間に落ちていたピンが空中に飛び出したので、運転士はそれを掴もうとするが、謝って、開けた口の中にピンは飛び込み飲み込んでしまう。

最前部のバンパー部分に乗っていた車掌は、まずい!線路が凍結している!と叫ぶ。

列車は、その凍り付いて氷河状態になった場所に突進したため、列車は線路から外れ、脱線状態になる。

その時、運転席にいた赤毛の運転助手は、デブのケツを叩くと、運転士はピンを吐き出す。

しかし、異様な動きをする列車のバンパー部分から少女が落ちかけたので、それを車掌が受け止め、その車掌の体を少年が掴んで落ちないようにするが、自分も引っ張られて落ちそうになる。

その時、誰かが自分を背後から引っ張ってくれていることに気づき振り向くと、それは、先ほど屋根にいた男だった。

少年や車掌が何とか少女を元に戻すと、その男は雪に姿を代え消えてしまう。

自分の長い髪を頭の上で束ねていたピンを抜き、それを壊れたスピード調節機の関節部分にピンの代わりとして差し込む。

これで、スピード調整が可能になったので、デブの運転士は、列車のスピードを落とす。

その時、最前部にいた少年が、前を観ながら、観ろ!と叫ぶ。

線路だ!と車掌も気づく。

氷河の向うの山に、線路の先端が見えて来たのだった。

車掌は機関車の屋根に上ると、前方を観ながら、右だ!と運転士に方向を指示する。

運転士は必死にその車掌の指示に下が会うと列車を操縦する。

その時、少年靴の中に入れておいた少女の乗車券が飛び出してしまう。

風に乗って飛び去ろうとする乗車券を必死に掴もうとする少年と少女。

車掌の必死の舵取りもあり、何とか列車は、線路の上に戻ることができる。

車掌は、バンパー部分に戻って来ると、少年と少女にありがとうと礼を言い、少女の乗車券があったと聞くと、その場で切符にパンチを入れて少女に渡す。

少女の乗車券に入った穴明き文字は、メガネと同じだった。

やがて、列車は、とんがり山を螺旋状に上っていくコースに入る。

こうして助かったのも何かのお陰だよ…と車掌が言うので、少女が、天使ね!と言うと、観たの?かもね…と車掌は笑う。

観ることは信じること!見えない物こそ真実であるとも言うけどね…と車掌は言いながら、とある車両にやって来る。

そこには、壊れた玩具がたくさん積まれていた、

路地や空地に捨てられていた人形たちだよ。回収して修理するんだ…、リ…バイサイクルリング(リサイクルのこと)とか言うんだと言いながら、車掌は後方へと行ってしまう。

汚れ、壊れた人形を観ていた少女は、酷い!と哀しむ。

固まってしまったこの操り人形の糸をほどけるのは、北極に住む器用な連中なんだと車掌は言うが、その操り人形を観ていた少年に、突然、スクルージ人形が動きだし襲おうとしたので少年は怯える。

お前は信じちゃいない!

しかし、その人形のいとを天井に開いた穴から操っていたのは、あの不思議な男だった。

不思議な男は又姿を消してしまう。

少年と少女が元の車両に戻ると、メガネの子が、君たちは観なかっただろうけど、今、氷河を滑ったり凄かったんだぜと自慢話を始める。

そんな自慢したがりのメガネの相手はせず、後部の席に座った少年だったが、その時、少女が、しっと静かにさせる。

聞くと、最後尾の車両からあの孤独な少年の歌が聞こえて来た。

少年と少女が、最後尾に行くと、寂し気な子は、サンタが僕の所には来ないと歌っていた。

どうやら、これまでプレゼントなど貰ったことがない可哀想な家の子のようだった。

いつしか、その歌に少女が加わり、クリスマスは楽しいよと諭す。

でも、その子は、サンタの鈴の音を聞いたことがないと哀しく歌う。

少女と寂しいこの声が重なりクライマックスになると、上空に広がるオーロラが見えて来る。

客席の子供たちの歌が聞こえて来る中、そこに車掌がやって来て、北極圏に入った。あそこが北極点だと教えてくれる。

列車は、北極にある大きな都市の中に入っていく。

少女が、町中に大勢のエルフたちがいるのを発見する。

列車は無事到着、予定の5分前!と懐中時計を観ながら車掌は喜び、帽子を脱ぐ。

彼は見事な禿頭だった。

もうすぐ、町の中心で、サンタが最初のプレゼントを渡します、君らの1人に!と車掌は子供たちに知らせる。

町中では、大勢のエルフたちが町の中心に向かって集まって来ていた。

完全に列車を降りた子供たちは、誕生月の偶数奇数で二列に並ぶように車掌から指示を受ける。

その後ろの方に並んでいた少女は、まだ列車内に、あの孤独な子が乗ったままなのに気づき、慌てて降りるように言いに行く。

少年もその後を追うが、列車の昇り階段を上がる時、連結スイッチを踏みつけてしまったことに気づかなかった。

孤独な少年は、クリスマスに良いことなんかない…、僕には何にも関係ない…とまだ落ち込んでいた。

イブの夜なのに…と少女と少年は同情するが、その時、彼らが乗っていた最後部の車両が本体から外れ、後に滑り出したことに気づく。

緊急ブレーキだ!と少年は車内を探しまわるが、どこにもブレーキレバーがない。

その後部車両の屋根には、又あの男が乗っており、熱いコーヒーを飲みなよ…などと誘うが、トンネルに差し掛かったので、男の体はトンネルにぶつかり雪のように飛散する。

少年は、車両の外に付いたハンドルのような物を廻して見るが、全く車両が停まる気配はない。

町中を凄いスピードで通過していく車両。

やがて彼らが乗った車両は、クリスマスの音楽が流れている無人の回転式操車場に到着する。

外に降りた少女は、聞こえる?鈴の音よ!と言い出し、放射線状に伸びた回転台の一本の線路の向こうにあるトンネル内から聞こえて来ると言い出す。

そして、勇敢にも、そのトンネル目がけ線路の上を歩きだしたではないか!

線路の下は、無限の底なし穴状態だった。

少年には何も聞こえなかったのだが、少女についていくしかなく、孤独な子と一緒に、バランスを取りながら、綱渡りのように線路の上を歩き始める。

途中、孤独な子が足を滑らしかけたりするが、何とか3人とも向こう岸のトンネルの入口に到着する。

トンネルの中に入ってみると、そこにはいくつかの建物が並んでおり、先ほどから聞こえていたクリスマスソングは、その中の一軒の無人の部屋匂いて会った蓄音機のレコードの物だったことが分かる。

レコードは針が引っかかったのか、何度も同じ所を繰り返していた。

少年は少女に、確かかい?と又尋ねる。

間違いないわ!と自信ありげに答えた少女は、突き当りにあった小さなトンネルの中に入って行く。

やがて、彼らは、広大なホールのような部屋が見下ろせる場所へやって来る。

部屋全体が巨大で、下では、エルフたちがプレゼントの手配の準備をしているようだった。

向こう側の壁にはたくさんのモニターが並んでおり、夫々に、世界中の子供たちがベッドで寝ている姿が映し出されていた。

エルフに見つからないように、しゃがんで下を観察し始めた3人は、どうやらプレゼントを贈る予定の1人の少年に問題があるので、サンタに取り止めるよう電話をするかどうかエルフ同士が検討している所を観る。

1人のエルフがその少年の住所を言うと、それは少年の町の住所だった。

悪い子です!ともう1人のエルフが報告していた。

報告を受けたエルフは、指令だいの電話を手に取るが、クリスマス間近なので今年は許すが、来年はブラックリストだ!と言って、受話器を切る。

ホールにいた数人のエルフが、透明チューブの中を走る不思議な乗り物に乗って出かけたので、そこへこっそり降りていった少年と少女、孤独な子たちも、次に到着したその乗り物に乗って、スイッチを押してみる。

すると、その乗り物は透明チューブの中を発射し、次の駅に停まる。

乗り物を降りた少女は、又、鈴の音が聞こえる?と言い出し、どんどん前進する。

そこには巨大なベルトコンベアが動いており、クリスマスプレゼントが運ばれていく所らしかった。

そこに、1つプレゼントの箱が流れて来たので、そこに書かれていた「ビリー」と言う届け先を少年が読み上げると、僕の名だ!と孤独な子が叫ぶ。

住所も少年が読むと、僕のだ!と孤独だったビリーは大喜びし、そのプレゼントに飛びつき、自分も一緒にベルトコンベアで運ばれていったので、少年と少女も、その後を追うように、ベルトコンベアに乗って移動する。

やがて、巨大な螺旋状の滑り台のような場所に到着し、3人は滑って巨大な集積場のプレゼントの山の上に落ちる。

さっきから抱きしめていたビリーが、プレゼントの送り主を観ると「Mr.『サ』」と書かれてあった。

少年はビリーに、クリスマスまで開けないのが規則だよと言い聞かす。

すると、突然、プレゼントの山全体が、下の移動台もろとも横にスライドし、何やら円形の発射口の真下に来る。

天井の円形の発射口の扉が開き、そこに向かって、発射台から、何本ものロープが打ち上げられる。

そして、プレゼントの山全体が、下の方から赤い布で覆われていく。

巨大なサンタのプレゼントの袋だったのだ。

打ち上げられたロープは、発射口の上空に待機していた巨大な飛行船によって固定され、やがてプレゼントの袋全体が引っ張り上げられていく。

巨大な赤い袋は、飛行船に引っ張られ、北極の町の上空を飛んでいくので、一番上から眺めていた3人は大喜びする。

その時、自分のプレゼントを抱きしめていたビリーが、誰かが足を引っ張っている!と言いながら体が沈み始めたではないか。

慌てて少年がビリーの片手を掴み、もう一方の手も!と呼びかけるが、ビリーは右手でプレゼントを抱えており放そうとはしない。

仕方がなく、少年は全力でビリーの左手を引っ張り上げると、持ち上がって来たビリーの足を誰かが掴んでいる。

ビリーと共に、プレゼントの山の中から出て来たのは、あのメガネの少年だった。

君たちと一緒で、僕もプレゼントを調べていたんだなどと言う。

真夜中まで後5分!

町の中央の広場には、巨大なクリスマスツリーが立っており、飛行船はその側に接近して来るが、何故か高度が下がり気味だったので、下のエルフの群衆と子供たちと一緒にいた車掌が、高度を上げろ〜!と上空に呼びかける。

すると、飛行船から何人かのエルフが飛び降り、途中でパラシュートが開く。

彼らの体重分軽くなったからか、飛行船は徐々に高度を上げ始めるが、今度は巨大クリスマスツリーの一番上に乗っていた巨大な星形の飾りに飛行船本体が接触してしまい、星の飾り物がツリーから外れ、下で見上げていた群衆たちの上に落下する。

すると、又何人かのエルフが飛行船から落下し、落下していた星の飾り物に迫ると、ロープを引っ掛ける。

間一髪、星形は、逃げ遅れた1人のエルフの鼻を押しつぶそうとしていたが、何とかストップし、やがて飛行船に繋がっていたロープでゆっくり上昇していく。

そして、星形は無事、クリスマスツリーの一番天辺に又設置される。

クリスマスプレゼントが詰まった巨大な赤い袋が地上に降りた時、エルフによって、中に入っていた少年たちは発見されてしまう。

出て来い!密航者め!と罵られた彼らは、1人ずつエルフに突き落とされ、大きな袋の斜面を滑り台のように下に降りて行く。

4人の子供が出た袋の口は閉じられる。

ビリーは、自分のプレゼントを放そうとしなかったが、エルフから絶対届けてやる、信じろ!と言われ、渋々渡したのに、袋の斜面を滑って地上に降りる。

地上で、他の子供たちやエルフの大群衆に合流した4人は、トナカイたちの足を持って、踊るように登場したエルフたちの姿を間近で観る。

エルフが演奏する長いラッパが鳴り響き、少女がうっとりするように、本当にきれいな鈴の音…と感激しだす。

エルフたちが抱えていたトナカイたちの体に付いた鈴が揺れているのは少年にも見えたが、やっぱり音は聞こえないままだった。

やがて、子供やエルフの群衆たちは全員で「サンタが町にやって来た」を合唱しだす。

やがて大きな歓声が起こり、大きな建物の中から誰かが出て来たようだったが、少年の目には、前にいるエルフたちが邪魔して、その人物の姿が見えない。

車掌も帽子を脱いで、恭しくその人物を出迎える。

その時、トナカイに付いていた鈴の一つが転げて、少年の足下に転がって来たので、それを拾い上げ、耳元で振ってみるが、音は何も聞こえなかった。

お前は疑っている…と、誰かの声が聞こえる。

分かった!分かったよ!信じます!僕は信じます!と少年は叫ぶ。

すると、持っていた鈴の表面に背後にいるサンタの姿が見えた。

振り向くと、そこにサンタが立っており、今、何と言った?と聞いて来る。

信じますと…、信じます!これ、あなたの物でしょう?と言いながら、少年はサンタに鈴を返す。

すると、サンタも、どうもありがとうと言って、その鈴を受け取る。

サンタを目の前にしたメガネは興奮し、最初のプレゼントは僕に!と呼びかけるが、サンタはそんなメガネに、君にはもう少し、謙虚な気持ちが必要だと言い聞かす。

メガネは素直にはいと答え、一歩退く。

その横に立っていたアフリカ系の少女の前に来たサンタは、お嬢さん、君には自信と勇気がある。クリスマスにふさわしい!と褒める。

次に、その横に立っていたビリーの前に来たサンタは、ビリーだね?友達が出来たね?と優しく言葉をかける。

はい!出来ました!とビリーも答えると、友達は最高の贈り物だな…とサンタは言い聞かす。

そして、その横にいた少年の前に来たサンタは、最初のプレゼントは君に上げようと言うと、自分はそりに乗り込み、その横に少年を手招く。

エルフに連れられてサンタの横に乗った少年は、何が欲しい?とサンタから聞かれ、少し考えた後、何事かをサンタに耳打ちする。

あれか…、とちょっと考えたサンタだったが、良し、良いだろう!と言うと、クリスマスのプレゼントだ。忘れるな…、クリスマスの心は、君の胸の中にあるんだと言い聞かせながら、さっき少年が拾った鈴を少年の手のひらの上に乗せてやる。

その時、12時の時報が町中に響き、群衆たちが全員で「メリークリスマス!」と声を挙げる。

車掌は、なくすなよ!と少年に注意し、少年は貰った鈴を、ガウンの右のポケットの中に入れてソリを降りる。

元の位置に戻って来た少年に、このラッキーボーイとメガネが言う。

ソリに乗っていたサンタが光の鞭を振るうと、トナカイたちが一斉に空中に浮き上がる。

ホ〜ホッホ!サンタが嬉しそうに笑い、力一杯引っ張れ!とトナカイたちに命じると、巨大なクリスマスプレゼントの袋を乗せたサンタのそりは空中に飛び上がって行く。

プランサー!ダンサー!イエイ!とサンタは叫ぶ。

下では、その様子を見ながら、夢に観ていた通りだわ!と少女が感激していた。

これ、夢?とビリーが言うと、違うな…と確信ありげに少年は答える。

上空を飛んでいたサンタのそりが、巨大なクリスマスツリーの端に触れると、クリスマスツリー全体が明るく輝きだす。

やがて、サンタのそりが遠ざかっていき、光の粉が振って来る。

それを見送った地上のエルフたちが皆一斉に赤い帽子を放り投げる。

車掌が、ご乗車くださ〜い!と子供たちに呼びかける。

町では、エルフたちがロックを歌っていった。

乗車券を拝見!と車掌は言い、外れていた最後尾の車両をエルフが操縦して来て連結する。

最初に乗り込もうとしたメガネの乗車券を受け取った車掌は、又新たなパンチをくわえ「LEARN(学べ)」と言う言葉にしてメガネに返す。

続くビリーの乗車券を受け取った車掌は、新たなパンチを入れ「任せろ」と言う意味にして、私たちに任せなさい!私たちの友達だからね…と言い聞かせながら渡す。

少女の乗車券には「LEAD」とパンチを切り、リーダーシップ、君の才能だ!と車掌は言い聞かす。

次に、少年の乗車券を受け取った車掌は、君か…、いつも質問ばかりしていた子だね?と言うと、乗車券を背中の後ろで切り始める。

少年に戻した乗車券には「BeLIEVE(信じろ)」とパンチが入っていた。

少年は受け取った乗車券を左のポケットの中にしまって乗り込む。

客車の中に入ると、メガネが、鈴を見せてとねだって来たので、右手のポケットの中に手を入れた少年は、穴の開いたポケットの中には何も入ってないことに気づく。

ない!落とした!サンタの鈴落とした!と少年は絶望的な声を挙げるが、それを聞いた少女は、心配しないでと慰め、メガネも、僕らで探してやるよ!と言ってくれるが、その時、列車が動き始める。

もう手遅れだった。

残念だったな…とメガネは慰め、本当だよ…と付け加える。

少年はがっかりしたように少女の隣に座り込み、少女も残念だわ…と少年に同情する。

すっかり気落ちした少年。

次は、エドブルック通り〜!と車掌が告げ、停まった場所でビリーが降りる。

ビリーとしっかり握手した少年は、良いクリスマスを!と言い、別れる。

窓から観ていると、ビリーは家に戻る。

その時、少女が少年に、観て!と叫ぶ。

観ると、家の入口から出て来たビリーがあのプレゼントを抱えて、嬉しそうに少年たちに見せていた。

あのサンタのプレゼントが届いていたのだった。

次は少年が降りる番だった。

少年はデッキの所で、少女とメガネに見送られ、降りようとしていた。

少女は、残念だわ…と少年に声をかけ、メガネは贈り物は気持ちだよと慰めてくれる。

少年は、又…と答え、少女を抱きしめると、雪の積もった家の前に降りると、ありがとう!と二人に呼びかける。

車掌は、大切なのは記者の行き先じゃない。乗ろうと決める気持ちだよと少年に言い聞かす。

少年が手を振って、動き出した列車の少女たちを見送ると、車掌は大きな声で「メリークリスマス!」と呼び掛け、遠ざかって行く。

走り去る列車の屋根の上には、あの不思議な男が乗っており、手を振った後、雪のように四散して行く。

少年は、家族が寝静まっていた家の中に入り、二階に上がる。

翌朝、早く来て!サンタが来たみたい!と呼び起こす妹の声で少年は目を覚ます。

ガウンを取ると、又、ガウン掛けに穴の開いた右ポケットが引っかかり、大きく避けてしまう。

下に降りると、玩具の汽車が動いており、妹と少年へのプレゼントが置いてあった。

そんな中、もう一つあった!お兄ちゃんへよと言いながら、テーブルの下から妹が小さな箱を取り出して渡す。

開けてみると、中に入っていたのはあのサンタから貰った鈴だった。

耳元で振ってみると、ちゃんと音が聞こえる。

箱の中には手紙が添えてあり、「ソリの座席の下にあった。 ポケットの穴は塞いでおくように Mr.『サ』より」と書かれてあった。

妹も、その鈴を観て、きれいな鈴ねと言ってくれたが、そこにやって来た両親は、少年の鈴を観て耳元で振ってみるが、残念ね、壊れてるなと言うだけだった。

どうやら大人には聞こえないようだった。

少年の耳には、その鈴の音は聞こえていたからだ。

その鈴は友達にも聞こえたが、妹にはその数年後に聞こえなくなった。

でも、僕には、今でもその鈴の音は聞こえる…(と、少年のナレーション)

金色の鈴のアップ

雪が降る中、歌が流れ、エンドロール

みんな大人になって消えてしまったマジック♪

それを思い出すのがクリスマス♪

全ての夢は叶うはず♪

信じることを忘れなければ♪


 

 

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