人気コミックの実写化映画で、「るろうに剣心 京都大火編」に繋がる後編に当たる。 スケール感溢れる設定、次々に登場する異色で多彩なキャラクター、スピード感が増したアクロバティックなチャンバラアクション…と、後半への興味を繋ぐには最高の出来だった前作に対し、後編に当たる本作は、前半が師匠比古清十郎との禅問答のような部分を含めた比較的ゆったりした修行シーンなのに対し、後半がアクションの固め撃ちと言った印象で、それなりに見応えはあるものの、登場人物はあらかた前編で紹介済なので新鮮味も薄れ、やや話の展開も大味になってしまった印象を受ける。 特に、ブレイクダンスなど最新の動きにワイヤーを加えた今風のアクション(チャンバラ)シーンは、最初の内ほどその迫力に驚かされるが、さすがに二作ほぼ連続で見せられると、慣れて来ると言うか、若干厭きて来る部分がある。 もう少し、1つ1つのアクションシーンに、はっきりとした違いのあるアイデアがあれば良かったのだが、「京都大火編」に比べると、後編の本作のアクションは全体的に同じような印象を受け、かなり単調に見えてしまう。 鋼鉄船「煉獄」内でのアクションも、何故か、砲撃をしていた志々雄兵などが大勢乗っていたはずなのに、いつの間にか、十本刀以外には誰も乗ってなかったのか?と思いたくなるような閑散とした雰囲気になっている違和感もある。 全員あっさり警官隊に射殺されたり逃げ出したと言うことなのかもしれないが、画面上ははっきり分からず、その辺の説明不足感は残る。 沈み行く「煉獄」内で、逃げ惑う志々雄兵の姿や周囲に何人か泳いでいたり…と言うような描写を入れた方が分かり易かったのでは?とも感じるが、元々大友監督は、エキストラを使っても、最終的には写さないタイプのようなので、そうした説明的なエキストラカットは、例え撮っていたとしても、ほとんどカットしてしまったのかも知れない。 せっかく、大セットを組んで「煉獄」を表現したにしては、後半、密室劇のようなアクションに終始しているのも若干物足りなさを感じる部分だ。 この映画を観ていて思い出したのは、「007 サンダーボール作戦」(1965)に対するミステリ作家都筑道夫さんによる批評だった。 確か、「黄色い部屋はいかに改装されたか?」に納められていた映画評だったと思うが、クライマックス、クルーザーが分離して敵が逃げ出す大掛かりな見せ場に対し、「予算が増え、仕掛けが大きくなった分、見せ物としては面白いのだが、それによってサスペンスが盛り上がった訳ではない」と言うようなことを書かれていたような気がするが、本作のクライマックスも同じような印象を受ける。 大掛かりなセットが作られていることは分かるのだが、それが、アクションのサスペンスを盛り上げているかと言うと…、若干疑問が残らないではない。 せっかく「船」を使っているんだから、水が大量に流入して来る…とか、もっと色々なアイデアが可能だったのではないか? 「京都大火編」の方は、結構、ロケーションの変化もあり、一つ一つのアクションシーンに違いがあっただけに、最後の最後の密室内の戦いには不満が残る。 それでも、全体としては大作感もあり、それなりに楽しめる作品にはなっていると思う。 |
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
2014年、「るろうに剣心 京都大火 / 伝説の最期」製作委員会、和月伸宏原作、藤井清美脚本、大友啓史脚本+監督作品。 とある里に累々と散らばる死体 その中で、1人黙々と手で土を掘っている少年(福崎那由他) 何故、まだここにいる?と声をかけて近づいて来たのは、比古清十郎(福山雅治) 村に行って助けを求めなかったのか?と言いながら、周囲を見回した清十郎は、そこにたくさんの土饅頭が作ってあるのに気づき。まさか、この墓全部…?と驚きながら、俺が斬った野盗じゃないか。お前を売ろうとしていた人買いもいる…と死体を確認する清十郎。 みんな弔ってやる。屍になったらみんな同じ骸だ…と少年が言うので、坊主、名前は?と清十郎が聞くと、心太と少年は答える。 優し過ぎる…、剣客にはそぐわぬ…、お前は今日から剣心と名乗れ!と剣を抜いて、心太に突きつけて来た清十郎は、お前に俺の剣を教えてやると告げる。 目を開いた緋村剣心(佐藤健)は、自分が見慣れぬ小屋の中に寝かされていることに気づく。 誘拐された薫を救出しようと乗り込んだ鋼鉄船「煉獄」の甲板から海に飛び込んだ時の事が鮮明に思い出される。 そんなもんか?伝説の人斬りの実力は!と嘲る志々雄真実(藤原竜也)の姿、 薫殿~!と呼びかけながらも、形勢不利と判断、嵐の海に飛び込む剣心 やっと目が覚めたか?と言う声で入口の方に目をやった剣心は、そこに立っていた清十郎の姿を観て、師匠!と驚く。 久しぶりだな、バカ弟子…と苦笑する清十郎。 あなたが拙者をここに?と剣心が聞くと、嵐の後、流木を拾いに行ったら、まさか、お前とおかしな剣があった…。心中でもしたのか?と清十郎は言う。 そこへ連れて行って下さい!助けなければ行けない人が!と剣心は頼むが、お前は三日間も眠っていた。三日も経ったら誰1人助からない…と清十郎が諭すと、三日間…と呟いて、剣心は放心する。 御主は出会った頃と変わらんな。この世に起こる全ての悲劇を全て背負おうと言うのか?と、そんな剣心の様子を観て清十郎は聞く。 夢を見ていました…、あなたと会った頃の夢を…、墓を…、ただ、墓を掘り続けていた。無数の屍を前に、ただ、墓を…。 師匠お願いします!飛天御剣流の奥義をお教え願いたい!と剣心は頭を下げる。 拙者には倒さなければいけない相手がいます!拙者同様、陰の人斬りとなって今の国を脅かしています。このままでは多くの人が苦しむことになります。志々雄を倒すことは拙者の使命!時間がない!お願いしますと剣心は、清十郎の前に跪く。 良いだろう…、暇つぶしに話を聞いてやろう。バカ弟子のお前が、この15年の間、一体どこで何をしていたのか?そのおかしな刀で証明してみせろ!と拾った棒を剣心に突きつけ、清十郎は言う。 その頃、浦賀の海岸で漁をしていた漁師たちは、どこからともなく聞こえて来た地響きのような音に戸惑うが、岬の向こうに出現した巨大な戦艦を観て腰を抜かす。 漁師たちは、村に戻って来ると、黒船が出た!と村人たちに知らせるが、そこにいた巡査は、幕末でもあるまいし…とバカにする。 その直後、村に砲弾が飛んで来て、爆発が起こる。 東京警察署 警官たちは、浦賀に現れたと黒船の噂を聞き、まさか志々雄じゃないだろうな?と狼狽していた。 鋼鉄艦「煉獄」の中では、上陸準備だ!国取りを開始するぞ!と志々雄が佐渡島方治(滝藤賢一)たちに命じていた。 その頃、京都では… 葵屋の離れで1人昼間からやけ酒を飲んでいた相楽左之助(青木崇高)に、明神弥彦(大八木凱斗)が昼間っから飲んでる場合か!剣心は?薫は?あいつらどうしたんだよ?と嘆いていた。 志々雄にやられた?と弥彦が呟くと、そんな訳ねえだろ!と左之助は怒鳴る。 巻町操(土屋太鳳)は、四乃森蒼紫(伊勢谷友介)との戦いで瀕死の重傷を負った翁ころ柏崎念至(田中泯)の看病をしていた。 翁を斬った現場を目撃した操は、許さん!もはやあの男、倒すべき私の敵!と悔しがる。 一方、山小屋の庭先では、清十郎が剣心相手に稽古を付けてやっていた。 どうした?もう終わりか?飛天御剣流は決して権力には組みせぬもの。だが、お前は、その掟を破り、倒幕勢力に付いた。それはお前の邪心か?野心か!と問いかけた清十郎に、邪心でも野心でもない!民衆を苦しみから救うために意を決してやったこと!と剣心は答え、又、清十郎に挑みかかって行く。 その頃、鋼鉄船「煉獄」の志々雄の前に、1人の漁師が方治に引き連れて来られていた。 何者だ?と志々雄が聞くと、こやつ、海岸で頬に傷のある男を見つけたのだとか…と報告した方治は、なかなかしぶといじゃないか?その男はどこへ行った!と殴ったり蹴ったりの暴行を始めるが、そんなことには興味がなさそうな志々雄は、良いこと思いついた!ただ国を奪うよりももっと面白いことを!と言い出したので、何ですか?と方治は愉快そうに近づいて来る。 鋼鉄船「煉獄」が見える浦賀の海岸にやって来たのは、伊藤博文(小澤征悦)を先頭にした政府の高官たちだった。 伊藤は、まさか取って喰いはしないだろう…とお供の者たちに言い、テーブルを海岸に用意して待っていた志々雄の前に来る。 方治が、内務省の伊藤博文殿に直々お越し頂き、光栄です!と愛想笑いで出迎え、中央に座っていた志々雄を洋食を共に食し始める。 伊藤のナイフフォークさばきを観た志々雄は、巧いもんだな。イギリス留学の賜物か?とからかうと、あんたも幕末の志士だったよな?何人殺した?何人殺して今のその地位に就いた!と迫ると、従者の1人が、無礼な!と立上がったので、後ろで控えていた十本刀の1人で盲目の魚沼宇水に、背後から突き殺される。 動揺する高官たちに、伊藤は、座れ!と命じ、阿部は、ここに来る前に急死したと世間には伝えよと従者に命じる。 それを聞いた志々雄は、お得意の手だな…、政府に取ってまずいものは闇に葬る…と皮肉ると、政治とはそう言うものだ…と伊藤は答える。 俺を燃やしたのも政治って奴か?と鋭く志々雄は言い返す。 お手は全身の火傷のため、発汗による体温調節が出来なくなったため、長生き出来ないだろうと医者に言われた。 お陰で俺の身体はいつも高音を保っている。地獄の業火と言う奴だ!俺たちを良いように使ったのはお前らだぞ!俺と抜刀斉だよ!明治政府が幕末に何をやったか庶民に知られたくなかったら、抜刀斉を見つけて処刑しろ!と言うと、志々雄は自らの刀を抜いてみせる。 すると、その刀は炎を発する。 お前とお前らによる過去の悪行を、神の前にさらけ出せ!と志々雄は伊藤に迫る。 その後、極悪人として人斬り抜刀斉の人相書が全国に貼り出される。 東京警察署 その人相手配書を観た斎藤一 (江口洋介)は、何だ、これは?志々雄を殺すどころか、志々雄の言いなりになるのか?と警視総監に聞く。 総監は、志々雄の言うことを拒むと、奴はあらゆる手で政府に揺さぶりをかけて来る。簡単に突っぱねない…と、苦渋の決断であることを明かすと、その間、あの船の研究をし攻撃の手段を探るのだと言うので、志々雄は捨て駒って訳か…と斎藤が呟くと、言葉が過ぎるぞ!と総監は気分を害する。 それを聞いた斎藤は、政府の高官は武士の心を忘れたのか!と苛立たしそうに吐き出す。 この人相書を京都の葵屋で観ていた左之助は激怒していた。 しかし弥彦は、こんなもので剣心を探しているってことは、剣心が無事だってことじゃないのか?きっと薫も一緒だ!と聡明なことを言う。 側にいた操も、どうして幕末の人斬りのことを今頃…と、剣心の指名手配のことを不思議がっていた。 いら立った左之助は、神谷道場に行くぞ!東京へ帰るんだ!と弥彦に伝えるが、そこへ見知らぬ女性が、これはこちらのものではありませんか?と葵屋の手ぬぐいを持って来る。 それは、京都大火の夜、操が、怪我をした薫の左腕に巻いてやったものだったので、これは!と操は驚く。 薫は、病院に入院していた。 看護婦の説明では、漁船に見つかって、ここに運ばれて来たのだと言う。 左之助は、意識不明の状態の薫に、何やってるんだよ!世の中大変なことになっちまってるんだ!俺たちがやらなくて、誰があいつを守るんだ!と枕元で呼びかける。 その頃、剣心は、まだ師匠の清十郎と雨の中、森の中で修行を重ねていた。 剣は恐怖!剣術は殺人術!どんなにきれいなお題目を唱えようとそれが現実だ。 お前のその薄甘い理想と目の前の人間、どっちも守りたいなどと言うのは、お前の勝手なわがままなってことだ!と清十郎は言い聞かす。 みじめに倒れ込んだ剣心は、薫殿…と呟くのが精一杯だった。 お前は墓を掘ることしか出来ない子供のままだ!と清十郎が嘲ると、再び剣心は飛びかかって来る。 しかし、簡単に弾き返した清十郎は、そんな腕で奥義を得ることができると思ったか!身を鍛え、技を研ぎすませろ!と厳しい言葉を投げかける。 あの頃は何度も向かって来た…、打たれても…、倒されてもな…と、子供の頃の剣心の事を思い出しながら清十郎は呟く。 左手首に、願い事のミサンガを付けた操が、翁の部屋からたらいを持って出ようとした時、みさお…と呼びかける声に驚いて振り返る。 爺や!良かった!と操が気がついた翁に近寄ると、蒼紫…、奴はどうした?と翁は聞く。 京都の町は無事か?と聞くので、無事よ…、でも緋村が…と操が人相書のことを教えると、そうか…、緋村君が生きているとすれば、奴の向かう所はただ一つ!と、翁は人相書を観ながら言う。 山小屋では、その日の稽古を終えた清十郎が、手製の酒を剣心に勧めていた。 頂きますと杯を受け取った剣心は、何故、陶芸の道を?と聞くと、さあな…、強いて言うなら、自分のために作った器で、自分が集めた絵を観ながら飲みたかった…、その程度のことだろうと清十郎が答えると、そう言えば、師匠は良く言ってましたね。春は夜桜、夏は蛍、秋は紅葉、冬は雪…、それを目でるだけで酒は十分だろう。それがないのなら、自分自身が病んだ証しだと…と剣心は思い出しながら、自らも酒を飲む。 その頬の傷と、幕末の京都の都を震撼させた、噂に聞く抜刀斉の残虐さが、俺にはどうしても結びつかない…と清十郎は呟く。 酒をたしなむようになったのは、この傷が付けられるようになった頃だった…、何を飲んでも血の味がした…、俺はもう人は斬りません!と剣心が言うと、その誓いがそのおかしな刀になった訳か…と清十郎は納得しながらも、斬らずに勝てる相手なのか?と聞く。 今は志々雄はおろか、志々雄の手下にも敵わない…と、瀬田宗次郎(神木隆之介)に刀をへし折られた時の事を思い出しながら、剣心は答える。 強ければ生き、弱ければ死ぬ…、単純明快な理屈だと清十郎が言うと、命を捨てても、ここで奥義を会得しなければ…と剣心が焦っているので、愚かな!と言うと、清十郎は手にした鉄火箸を剣心ののど元に突きつけ、ならば、死ぬか?今ここで!と叱り、時間をやる、今のお前にかけているものが何なのか、そのバカな頭で証明してみせろ!もしそれが分からなければ、お前はここで命を落とすことになる…と言い放つ。 小屋の表に出た剣心は、「おれに欠けているもの…」と心の中で呟いてみる。 一方、祠の前に置いてあった刀を取った清十郎は、それを抜いて振ってみる。 剣心は、その夜、陶器を焼く窯の前で、一晩中座って考え事をしていた。 翌日 近くの竹林で対峙した剣心に、夕べは一睡も出来なかったか?どうだ、欠けているものを見いだすことができたか?と聞いた清十郎は、いえ…と答えた剣心に刀を投げて渡す。 それがお前の限界かてん、己に欠けているものを見いだせなければ敵に勝つことは出来ん。もし仮に、心の中に住み着いた人斬りに打ち勝つことができんのなら、お前は生涯、悩み、孤独に苛まれ、また、人を斬るようになる。ならば、人斬り抜刀斉と言う化物に引導を渡してやるのが、師匠としての最後の勤め…と言いながら、清十郎は自分の剣を抜く。 震えている…、恐れているのか?志々雄を…、否!と心の中で考えた剣心は、清十郎から渡された剣を捨てると、自らの逆刃刀を抜いて清十郎に向かう。 恐れるな!死への覚悟など、幕末の動乱をくぐり抜けて、覚悟は出来ているはず!命捨てても、俺は…と考えていた剣心は、かつて、結婚したばかりの夫を斬殺した時の事をお乱していた。 死ねない!俺はまだ死ぬ訳にはいかない!斬られて路傍に倒れ込んだ相手はそう最後まで呟いていた。 生にしがみつこうとしていた。 やっと気がついたようだな?人を斬り、幾多の命を奪って来たお前には、その悔恨から自分の命の重さから逃れようとしている! 死への恐怖の間に見いだした、生きようとする意志が必要だ。 愛しき者を一時助けたとしても、その者たちの心の中に悲しみは残り、本当の救いにはならない。 お前も1人の命!その重さが分かってこそ、奥義への道は広がる!そう言う清十郎の言葉を聞いていた剣心は、俺の命?…と呟く。 その命はお前1人の為にあるものではない…、そう言うと、自らの刀を捨てて、分かったら、もう1度かかって来い!と清十郎は剣心に語りかける。 京都の病院で、薫の額を冷やしていた弥彦は、井戸端に水を替えに来る。 そこに、牛乳瓶を下げた左之助が、赤ベコの牛鍋喰いてえな…などと言いながら近づいて来る。 しかし、弥彦は不機嫌そうに、うるさい!早くあっちへ行け!と左之助を追いやる。 ベッドの所にやって来た左之助は、ベッドがもぬけの殻であることに気づくと、慌てふためく。 薫は、1人、海岸に歩いて来ていた。 必ず生きて!と薫が叫ぶと、薫殿!と剣心が叫び返した、あの「煉獄」での最後の会話が脳裏に蘇る。 そこにやって来たのが弥彦で、左之助にも薫がいた!と知らせると、心配させやがって!と呼びかけながら近づいて来る。 薫が、剣心が来てくれた…と「煉獄」での遭遇を言うと、左之助たちは、え?どこに?と周囲を探しまわり、弥彦は、夢でも観たんじゃねえのか?とバカにする。 行くわよ!と突然薫は言い出し、どこへ?と左之助たちが狼狽すると、東京よ!と薫は答える。 その頃、「煉獄」が停泊している浦賀では、海岸へ大砲を運ぶ警官たちの姿が見受けられた。 そんな中、形成した器を釜に運んでいた清十郎は、身支度を整えた剣心に気づき、行くのか?と問いかける。 時間がない。こうしている間にも志々雄は!と剣心が言うと、うぬぼれるなよ、お前1人が守れるほど、明治と言う時代は軽くないぞと清十郎は諌める。 そこに、京都から駆けつけた操がやって来て、剣心を発見すると、薫さん、生きてるわ!世の中大変なことが起きているのよ。志々雄が浦賀に姿を現し、爺やが、志々雄は緋村を探させているのだと言ってたわと伝える。 それを一緒に聞いていた清十郎は、早く行け!生きようとする意志は何よりも強い!約束しろ、剣心!お前の命、決して無駄にはしないと!と言い聞かす。 はい!と答え、深々と頭を下げた剣心は、操と共に清十郎の元を離れて行く。 そんな2人を見送った清十郎は、死ぬなよ…と呟く。 葵屋の離れに戻って来た剣心だったが、政府の奴らが躍起になって緋村を探している。見つかったら処刑されるんだと知らされた剣心は、お庭番が使う抜け道の地図を渡される。 剣心は礼を言い、翁殿に別れを言いたい嫁げると、操は分かったと言い、翁の部屋に向かうが、そこに翁の姿が観えないと気づくと、まだ、傷が直ってへんのに…と嘆く。 剣心の元に戻って来た操は、仲間の黒尉(小久保丈二)たちが何か自分に隠していると察し、問いつめる。 その頃、翁は、満身創痍の身体を棒で支えながら、とある場所にやって来ていた。 かつて、お庭番衆が東へ向かうとき、必ずこの道を通った…。緋村君もここを通る…、そう思ったんやろ?と翁が誰かに語りかけると、案の定、その場で身を隠していた四乃森蒼紫が姿を現す。 じゃが、緋村君には、志々雄を倒すと言う大切な仕事がある。お前に邪魔はさせない!と言うと、翁は、杖代わりの棒を捨て去り、自立する。 しかし、そんな翁の前に降り立った蒼紫は、その身体で何が出来る?と嘲り、足蹴にして倒す。 お前は過去に拘り過ぎている!となおも言って来る翁を蹴る蒼紫。 そこに、剣心を連れ、操らが駆けつけて来る。 それに気づいた蒼紫は、その十字傷!お前が緋村抜刀斉だな!この時を、俺は10年も待っていた!俺は貴様の首をもらう!と呼びかける。 倒れたままの翁は、緋村君!あいつを殺してくれ!操のためにもてん、そして蒼紫自身のためにじゃ…と剣心に声をかける。 そうだ!殺せ!俺を殺してみろ!と挑発する蒼紫。 操に支えられながら、死なせてやってくれ!終わらせてやってくれ!と剣心に頼む翁。 蒼紫!どうして修羅に堕ちた?操とのが慕うお頭ではなかったのか?と問いかける剣心に、お前を倒せるなら、俺は修羅にでも何にでもなってみせる!と叫んだ蒼紫が剣心に飛びかかって行く。 剣心と蒼紫の凄まじい戦いの最中、蒼紫の背中に小さな手裏剣が刺さる。 投じた操が、お前はもう、私たちのお頭ではない!と言いながら近づくと、邪魔をするな!といら立った蒼紫は、操を蹴り倒す。 操殿!と呼び掛け気遣う剣心に、幕末最強と言われたお前が倒せるなら、俺は全てを棄てられる!と叫ぶ蒼紫。 蒼紫!御主がどれだけ過去に傷を負い、苦しみを背負って生きて来たか、拙者には分からぬ。だが、大切なものを欠いた今の御主では、拙者は倒せんよ!と言いながら、剣心は逆刃刀で蒼紫を叩きのめす。 蒼紫様〜!と絶叫する操。 それでも蒼紫は。この時代を終わらせろ…、そうすれば俺は前に進める…とうめき、その場に倒れる。 大切なものを取り戻したとき、それでもまだ最強の称号が欲しいのなら、拙者はいつでも相手になるでござる…と剣心は言い、刀を納める。 その時、橋の上で翁を支えていた黒尉が、操を呼び寄せる。 爺や!と操は翁にすがりつくが、黒尉は剣心に、先を急いで下さい!それが翁の願いでもあります!日本の未来は、あなたのその剣に!と呼び掛け、操も、緋村、早く行って!行け〜!と絶叫して来たので、頭を下げた剣心は東京へ向かって旅立つ。 街道を急ぐ剣心は、その後、小舟に乗って移動する。 操の方は、負傷した蒼紫を葵屋に連れて来て看病していた。 翁の仇を取りたいなら、遠慮なくやれ!哀れみなどいらん!と床に寝かされた蒼紫は強がりを言うが、操は、あなたには生きてもらうわてン、爺やの分も、他のお庭番衆の分も…と静かに答えたので、それを聞いた蒼紫は黙り込む。 東京 神谷活心流道場 留守番役をしていた高荷恵(蒼井優)は、剣心が1人で戻って来たのに気づき驚く。 薫さんや左之助には会えたの?と恵が聞くと頷いた剣心に、今、お茶でも…と億へ下がろうとすると、先を急ぐので…、志々雄は拙者がこの手で止めねばならぬ!と剣心は伝える。 分かった…と答えた恵は、這ってでも戻って来るのよ。死んじゃったらどうにもならないけど、生きてさえいれば、絶対直してあげるから。人を生かす前に、ます自分を生かすことを考えて…と言い聞かす。 それを聞いた剣心は、師匠と同じことを…と苦笑する。 そんな剣心に、ちょっと待って!と呼び止めた恵は、道場に上がって待っていた剣心に、緋色の着物を持って来て、これを着ていきなさいと声をかける。 すぐに着替えた剣心は、「活心真如」と書かれた額をじっと見つめる。 やっぱり剣さんには、そっちの方が似合うわ…と声をかけた恵だったが、その時、突然、警官隊が棒を持って乱入して来る。 周囲はもう取り囲んでいる。お前はどこにも逃げられない!おとなしくお縄に付け!と警官隊が剣心に呼びかけて来たので、恥を知りなさい!志々雄を捕まえるどころか、言いなりになって!連れて行くのなら、私を殺して行きなさい!と恵が剣心の前に立ちはだかる。 ありがとう…とそんな恵を下がらせた剣心は、警官を巧みにかわしながら庭先に降りると、剣を抜きかけるが、怯えた警官たちの様子を見ると、又静かに刃を鞘に戻し、もう良い!拙者が御主らと争う理由がないと言うと、鞘ごとオぼから抜き取り、地面に剣を置く。 すると、警官隊は、無抵抗な剣心を棒で殴り、大勢で取り押さえて、捕縛したぞ〜!と叫ぶ。 人斬り抜刀斉が捕まったと言う知らせは号外となって庶民たちに知らされる。 鋼鉄船「煉獄」の中では、駒形由美(高橋メアリージュン)が、志々雄の腕の包帯を巻き直してやっていた。 それを側で観ていた方治が、人の身体は汗をかくことで体温調節していると医者が申しておりましたと言うと、何分なら保つ?と志々雄は問いかける。 医者によると、15分が限界です。自ら剣を取っての戦いは避けられた方が…と方治は忠告するが、15分か…十分過ぎるな…と志々雄は呟く。 警視署に連れて来られた剣心は、警視総監が来ると、警官から後ろ手に縛られていた捕縛を切ってもらえる。 付いて来いと総監に言われた剣心は静かに建物の中に入ると、そこにいたのは、伊藤博文と斎藤一だった。 もう少し時間を稼いでくれると思ったが…と言いながら剣心に向き直った伊藤は、悪いが緋村、お前には生け贄になってもらう。志々雄ははなから交渉するつもりはない。力でこの国を奪うつもりだ。政府の威光ががた落ちになるのが奴の狙いだ。もはや全面戦争しかない…。今戦ったら、首都東京に大きな被害が出る…と告げる。 それに対し剣心は、伊藤さん、拙者が黙って殺されると思うか?志々雄に近づけさえすれば、勝機はある!と答える。 なるほど…、面白い!やれるもんならやってみろ!餞別代わりにお前にふさわしい花道を用意してやると伊藤は答える。 「人斬り抜刀斉、公開残首刑」を知らせる号外を呼んだ恵は沈んでいた。 同じく、その知らせを読んだ左之助は、これじゃあ、江戸時代の市中引き回しじゃないか!と激高していた。 一緒に東京に向かっていた薫は、早く行かなきゃ!と焦る。 剣心は、後ろ手に縛られ、馬に乗せられ、警官隊に付き添われて、浦賀の「煉獄」が見える海岸に作られた処刑場に連れて来られる。 左之助、薫、弥彦も、処刑場に到着し、他の見物人たちと一緒に動静を見守る。 処刑場には、志々雄の姿はなく、代わって、魚沼宇水、夷腕坊、佐渡島方治ら十本刀の一部がいるだけだった。 前に進み出た佐渡島方治は、お前の最期は、志々雄様に代わって俺が見届けてやる!バカな男だ。自分が作った政府に殺されるとはな〜、何の功績も認められず…と剣心を嘲る。 志々雄に、地獄で待ってろと伝えろと剣心が返すと、どこまで虚勢が続くかな?と方治は笑う。 やがて、総監が進み出て、剣心の罪状を読み始めるが、途中で何故か感極まったように書状を読むのを止めてしまう。 それに気づいた方治は、総監からその書状を取り上げると、得々と自分が読み始める。 これらの罪状は、新時代になったからと言って決して許されるものではない!と読み進める方治は、そこに書かれた犠牲者たちの名前を延々と読み始める。 それを聞いていた剣心は、又、祝言を終えたばかりの男を斬った時の事を思い出していた。 この中には、将来を約束された者たちもいた!この残忍きわまりない所行の数々、この者を斬首計に処する!と方治は嬉しそうに読み終える。 剣心は、死ねない!と最期まであがいていた男のことを思い出していた。 己の心に住み着いた人斬りに打ち勝つことができんのなら、お前は生涯、悩み、孤独に苛まれ、また、人を斬るようになる…と言った師匠比古清十郎の言葉が蘇る。 もう俺は二度と人を斬らない!剣心は心の中で叫ぶ。 伝説の最期だな…と嘲る方治。 人を生かす前に、ます自分を生かすことを考えて!と言う恵の言葉も剣心は思い出していた。 竹の柵の間から、薫が、止めて〜!と絶叫する中、編み笠をかぶった着流し姿の介錯人が、刀を振り下ろす。 その刀は、まごうことなく、剣心の捕縛を斬り裂き、剣心の手は自由になる。 編み笠を取った介錯人は、こんな子供騙しはたくさんだ!と叫ぶ。 それは斎藤一だった。 側で控えていた同じ着流し姿の立会人が、剣心に逆刃刀を投げ渡すと、斎藤が、行くぞ!と叫ぶ。 異変を知らせる火玉が海岸から打ち上げられ、方治は慌てて小舟に乗って「煉獄」へと戻る。 見物人たちが逃げ惑う中、左之助は竹柵を押し倒して、警官隊と志々雄兵たちの乱闘の中、剣心に近づきながらハラハラさせるんじゃねえよ!と呼びかける。 警官隊は、鉄砲隊、前へ!と叫ぶ。 そんな中、剣心と左之助が、警官たちが用意していた小舟に乗り込み、一路「煉獄」へと向かう。 十本刀の1人の不二(山口航太)が刑事を斬ると、その刑事は、誰かがやらねば…、新しい時代を…と叫ぶ。 その時、背後に迫った斎藤が不二を斬り、斬られて倒れた刑事に、ご苦労だったな!と感謝する。 次の瞬間、処刑場の砂浜に爆発音が響く。 鋼鉄艦「煉獄」が発砲して来たのだ。 そんな中、薫と弥彦は、逃げ惑っていた。 剣心と共にその「煉獄」に乗り込んだ左之助は、包帯男、出て来〜い!と叫んでいた。 砂浜では、盲目の十本刀魚沼宇水と刀を水平に構えた斎藤が対峙していた。 互いにジャンプするが、斎藤の刃が宇水を貫く。 一方、「煉獄」の中を進んでいた左之助は、警官を殴り飛ばした破壊僧悠久山安慈(丸山智巳)と遭遇する。 左之助は、キリシタンとはやったことあるけど、坊さんは始めてだ!と喜ぶが、安慈の凄まじいパンチを食らって倒れる。 痛てえな〜…と呻いた左之助は、坊さんのくせに志々雄の仲間か?と聞く。 仲間?と答えた安慈は、みんな目的が同じと言うだけだ。 元明治政府の官僚だったが、政府に疑問を感じた「百識」の方治! 吉原一の花魁で、娼婦たちの悲しみを一身に背負った駒形由美! 妾の子であったため、幼いことより虐待の限りを受け、笑いながら一家を斬殺した瀬田宗次郎!…と安慈は十本刀の面々を紹介して行く。 それを聞いていた左之助は、せっかく平和な時代になったのに、それをぶっ壊そうとするんじゃねえ!と叫ぶ。 一方、剣心の方は、瀬田宗次郎に出会っていた。 お久しぶりです!と明るく挨拶して来た宗次郎は、志々雄さんはあなたには倒せませんよ。あの人は怪物ですからとからかうように言う。 しかし久々に剣心と剣を交わした宗次郎は、前より早くなったじゃないですか?修行で腕を上げて来たのなら、こっちも礼を尽くさないと…と微笑む。 左之助は、安慈にこてんぱんに殴られ、顔中血まみれになっていた。 剣心から、逆刃刀で右足を殴られた宗次郎は、あれっ?と戸惑う。 その後も又、殴られたので、あれっ?おかしいな…と自分が負けている状況が理解出来ないようだった。 強さだけでは生き残れない…と剣心が言うと、イライラするな〜!と神をかきむしり始める宗次郎。 しょせんこの世は弱肉強食!強ければ生き残り!弱ければ死ぬ!強ければ生き残り!弱ければ死ぬ!と何度も言いながら剣心に飛びかかって行く宗次郎だったが、剣心に敵わないことに気づくと愕然とする。 剣を棄てた剣心は、勝負はついたと言って立ち去ろうとする。 僕が間違っていたのか?床に倒れ込み自問する宗次郎。 いや…、勝負に勝った方が生き残ると言うのは志々雄の考え…、一度や二度の戦いで生き方が分かるのなら、誰も生き方を間違えない。答えは御主が自分で見つけるでござるよ…と剣心は言い残し、先を急ぐ。 取り残された宗次郎は半狂乱のようになり、壁に頭を打ち付けて泣きわめく。 安慈に羽交い締めにされていた左之助は、相手の脇腹をくすぐる奇襲に出て、相手に隙が出た所で、逆に相手の後ろを取り、反則技の金的打ちを股の下から浴びせると、バックドロップして、脳天から相手を床に突き落とす。 そして、あばよ!楽しかったぜ!と気絶した安慈に言うと先に進む。 次の瞬間、大きな爆発音と共に船体が傾く。 海岸から、警官隊が大砲を撃って来たのだった。 まだ早いぞ!誰が撃てと言った?まだ中に緋村たちがいる!と総監が制止しようとするが、部下たちが言うことを聞かないので、伊藤様の命令か!と総監は気づき愕然とする。 伊藤博文は、剣心も志々雄も共に葬り去ろうとしていたのだ。 広い船室にやって来た剣心に、方治がガトリング銃を撃ちまくって来る。 それを巧みにかわし船倉を逃げ回る剣心。 その時、方治、邪魔だ!と言いながら、志々雄が姿を見せる。 ようやく会えたな、先輩!と志々雄が声をかけると、待たせたな…と剣心も応じる。 満身創痍か…、そんな身体で戦えるのか?と志々雄が嘲ると、姿を言うなら、御主も同じだろうと剣心も返す。 ま、良いだろう…、減らず口叩けないようにしてやるから!新政府に取っては俺も先輩も同じ穴のムジナ…、都合の悪いものは、さっさと海の藻くずにしようってことらしいな点ちお、志々雄は砲撃が続く中言い、決着付けるぞ!と叫ぶと、剣心に飛びかかって行く。 それを階段上で観ていた方治は、強い!強過ぎる!と志々雄の動きに感動したように叫ぶ。 圧倒的な強さで剣心を追いつめた志々雄は、そんなもんかよ?先輩!とバカにして来る。 素晴らしい!と1人感動する方治。 剣心を、大きな荷物用の木箱に叩き込んだ志々雄は、おい、おい、もう終わりじゃないだろうな?と呆れたように言う。 その時、二階部分に現れたのが斎藤一だった。 それに気づいた志々雄は、懲りずにやって来たのか?さて…、何を見せてくれるかねえ?と言いながら、木箱を踏み台にして大きくジャンプすると、二階の斎藤の側に降り立つ。 2人が戦う様子を対面側で観ていた方治は、効かぬ、効かぬ!と愉快そうに叫ぶ。 斎藤が得意の構えを見せ、突いて来るが、あっさり交わした、志々雄は、残念だったな、斎藤さんよ…と言葉を浴びせる。 その時、通風口から転げ落ちて来た者がいた。 相楽左之助だった。 方治が立ちふさがろうとすると、一発で殴り倒すと、ロープを使い、ターザンのように対岸にいた志々雄の前に降り立つ。 手すりもろとも下の床に斎藤を落とした志々雄は、急に出現した左之助を観て、何だ?お前は…と聞く。 二人は組み合って下に積んであった木箱の上に落ちるが、お前では相手にならん!といら立った志々雄は、左之助の身体を殴りつけ、下の木箱ごと破壊する。 全員、動けなくなった中、1人部屋の中央に立った志々雄は、だらしねえなぁ〜…、よってたかってそんなもんか?と嘲る。 その時、木箱の中から、剣心が立上がったので、無理すんなよ、先輩!と志々雄は忠告する。 そろそろ終わりにしてやるよ…と剣心に志々雄が向かおうとしたその瞬間、部屋に飛び込んで来て志々雄に斬り掛かって来たのは四乃森蒼紫だった。 抜刀斉は俺が倒す!誰にも邪魔させない!そう叫んで志々雄に斬り掛かる蒼紫、やがて、剣心、斎藤、左之助、志々雄の4対1の戦いが始まる。 その間も、警官隊の砲撃は続いており、「煉獄」は崩壊寸前だった。 俺たちごと海に沈める気か!と左之助は叫ぶ。 取り囲んだ志々雄に、4人が一斉に飛びかかる。 その間、船室内で懐中時計を観ていた駒形由美は、志々雄の体温調節の限界が迫っていることに気づいていた。 しかし、志々雄は、雑魚共!効かねえな!と強気の発言を続ける。 左之助を蹴り飛ばした志々雄は、俺の灼熱と化して消えろ!もっと熱く!と言いながら、口からは大量の血を吐く。 そんな志々雄の前に飛び出して来た由美は、もう止めて!これ以上はもう無理よ!これ以上、志々雄様を苦しめないで!と剣心と頼む。 しかし、そんな由美の背中から刀を貫いた志々雄は、まだ戦いは終わってねえ!と叫ぶ。 それを観た剣心は、貴様!そこまでして!仲間を裏切ってまで!と怒りの表情を見せる。 てめえの物差しで測るんじゃねえ!と言い返した志々雄は、倒れた由美を抱きかかえ、階段の所まで運んでやる。 瀕死の由美は、嬉しい…、始めて、戦いのお役に立てた…と呟く。 先に地獄で待ってろと階段の途中に由美の身を横たえてやった志々雄は囁きかける。 剣心…、そう呼びかける左之助は、もう立上がれないようだった。 もう良い!こやつと決着を付けてやる!かかって来い!と叫ぶ志々雄は、又、大量の吐血をしながら、立ってみろよ!と剣心を挑発する。 瀕死の状態ながら、自らを鼓舞するようにうめき声を上げながら、剣心は飛びかかって行く。 終わっちゃいねえよ!俺がこの無限の力を持っている限り…と志々雄が言うと、終わっている!と断じた剣心は、一旦逆刃刀を鞘に納める。 次の瞬間、その刃を抜きながら志々雄に飛びかかった剣心は、着地後、天翔龍閃 (あまかけるりゅうのひらめき)!と発する。 血を吐きながらも、笑う志々雄は、忘れるな、緋村!時代がお前を選んだだけだ!俺は負けちゃいねえ!と言うと、由美の身体を抱いて階段を登って行く。 久しぶりに楽しい戦いだったぜ!幕末以来だな…、この先、国取りが控えているんでな…、これ以上、遊んでやる暇がねえ…、地獄で会おうぜ抜刀斉!と振り返って言った志々雄だったが、その身体から炎が吹き出し、全身が炎に包まれる。 そして笑いながら倒れる志々雄。 志々雄真実…、さらばだ…と呟く剣心。 斎藤と左之助が、瀕死の剣心を抱きかかえ、崩壊して行く「煉獄」から何とか脱出し、蒼紫らと共に小舟で浜辺に戻って来る。 浜辺の戦いも既に終わっており、死屍累々の状況の中、刈羽蝙也(原勇弥)や夷腕坊(山田崇夫)など、十本刀の残党も全員逮捕されていた。 満身創痍の剣心に近づいて来た薫は、剣心?と戸惑いながらも、良かった!無事で良かった!と笑顔になる。 その時、蒼紫様!と近づいて来た操の姿もあった。 そんな剣心たちの背後では、鋼鉄船「煉獄」がゆっくり沈んで行く。 その時、警笛の音が聞こえ、警官隊を引き連れた伊藤博文がやって来る。 ご苦労だったな。無事で何よりだった…と伊藤が淡々と語りかけると、志々雄は死んだでござる。これで満足でござろうと皮肉る剣心。 志々雄は死んだか…、これで安心だな…、川路!と総監の肩を叩く。 抜刀斉は死んだ!幕末の亡霊としてな…、そう言った伊藤は、剣心を観て、緋村剣心と言ったか?とわざとらしく尋ねると、沖合を観ながら、侍たちに敬礼!と号令をかける。 すると、背後に整列していた警官隊たちも、一切に海に向かって敬礼をする。 薫は剣心に、帰ろう?と声をかける。 神谷道場での平穏な日々が戻って来る。 庭先で紅葉を見上げる剣心、握り飯のおかずとして秋刀魚を焼いている左之助。 聞こえて来る寺の鐘の音 空を見上げていた剣心に近寄って来た薫は、季節が巡って行くわ…。剣心が抜刀斉だった時代もどんどん遠ざかって行く…と語りかける。 すると、地面に落ちていた紅葉の葉を一枚拾い上げた剣心は、それを薫の手のひらに乗せると、その葉が一番美しい…。こうやって生きて行くでござるよと笑いかける。 生きて!新しい時代を!と呼びかけえう薫 薫殿…、共に見守って下さらぬか?と剣心が言い出したので、思わず、えっ?と聞き返す薫… |
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