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ピンクレディーの活動大写真

当時、人気絶頂だったアイドルデュオ「ピンクレディ」主演のパロディ要素満載のアイドル映画

これが、日本で「スター・ウォーズ」が公開された1978年の作品だと知ると、色んな意味で感慨もひとしおである。

全体的な印象を最初に言ってしまうと、低予算のチャチな映画としか言えず、当時はこんなものしか作れなかったんだ〜…、邦画もどん底だったんだな〜…とまず情けなく感じ、正直、映画としてはあまり褒めようがない。

ターゲットも小学校低学年か未就学児くらいではないかと思うようなコントみたいな内容なのだが、当時を知っていると細かい所があれこれ懐かしく、タイムカプセルを開いたようでそれなりに興味が尽きない。

つまりこの映画は、基本的には、ある世代にとってのノスタルジー映画であり、後はどこまでディテールを楽しめるか、掘り起こせるかの世界だろう。

とにかく、ピンクレディを知る世代にとっては、全盛期の2人が、例えコントのような芝居であろうと、あの時の姿のままスクリーンに登場しているのを観ただけで感激するはずである。

ステージの記録映像は画質はあまり良くないが、本編ドラマの方の2人は今でも高画質でフィルムに焼き付いている。

ピンクレディ自体、「カメレオンアーミー」を歌っている時代なので、ブームとしては後半の方に当たり、初期の頃のまだ幼い顔立ちと体型だった2人が、鍛えられたダンサーみたいな見事な身体になっている時期の映画である。

つまりそれは、ピンクレディのヒット曲はほぼ網羅されていると言うことでもある。

ケイの方は、ステージ映像の部分も本編ドラマの方も、声がかすれている時があり、相当無理をしている印象が伝わって来る。

冒頭、ニューヨークのシーンから始まるのは、当時、ピンクレディのアメリカ進出が企てられていた時期だったからだろう。

まずは、ライトの光の中からカメラクレーンに乗って登場するピンクレディのタイトル部分がカッコ良い!

冒頭に登場している白川冬樹と言うのは、もちろん、当時、日本映画の風雲児と言われていた角川春樹氏の事で、脚本家が語る最初の人情ドラマは、当時の松竹映画のパロディだろう。

アイドル映画なのに、いきなり貧乏臭い下町人情劇なので何となく乗り難いのだが、ここでは若き日の田中健のイケメン振りと、ミーはモテるが、奥手のケイは初恋に破れてしまう…と言う、何だか、ケイちゃんに失礼なような内容になっているのが面白い。

続く、SF仕立てのエピソードは、ゴジラですか?キング・コングですか?と脚本家の青田がバカにするのに対し、もっと現代的な話ですと否定したプロデューサーが語りだすのは、氷河の中から見つかったモンスターと言う妙に古めかしい発端ながら、内容は何だか「E.T.」(1982)みたいな展開で、これはパロディと言うより、意外と先取り感覚だったのかも知れないとさえ思う。

モンちゃんが石を積んで富士山の形を再現するのは「未知との遭遇」(1977)のパロディだと分かるのだが、異形の宇宙人が迷子になって、自分の星に帰りたがっていると言う辺りは「E.T.」そのもの。

ただし、モンスター「モンちゃん」が、何だかゆるキャラのような着ぐるみで安っぽいし不格好なのでモンスターとしての魅力はないし、話自体もSFどころか、単なるドタバタコントにしか見えないので、特別、感心するような内容ではない。

3つ目のエピソードは、西部劇仕立てで、これだけ当時のブームとはずれているし、監督役の田中邦衛が、そのまま空想の世界の方の主役を務めているのも異色。

確か当時、とある地方にウエスタンのライブショーをやるセットが組まれていたので、それを利用して作ったのだろうが、ここでは、監督の妄想と言う形で、田中邦衛とミーのラブシーンがあるのが見物。

西部劇にUFOが登場すると言うのも、劇中では冗談として語られているが、発想としては新しかったような気がする。

ここでも、何だか、ケイちゃんの方が最後は悲劇的に描かれているのが興味深い。

ラスト近くには、ケイの入浴シーンまで用意されているし、コンサート会場には、ちらり「ジャンボマックス」の姿なども垣間見える。

特撮は、東宝効果集団と言う最も不遇な時代の特撮グループと中野稔さん率いる「デン・フィルムエフェクト」。

画質の違う合成シーンなど、荒い部分も目だつが、西部劇に木組みの高架線を走る列車のシーンなど、イメージ的にも面白く、「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3」(1990)などよりもかなり早い表現だ。(西部劇に列車が登場する映画自体は昔からあるのだろうが、この時期の日本で浸透していたイメージではなかったと思う)

最初のエピソードの「終」と言うエンドマークを、プロデューサーがいきなり掴んで引きちぎったりと言った辺りの特撮は、どうやっているのか、あっけにとられる。

全体的にはチープながら、時折、悪くない特撮ショットが混ざっているのが、この時代の特長かも知れない。

ちなみに、この当時の田中邦衛さんは、益田喜頓にどことなく風貌が似ている気がする。

ザ・ハンダースも登場しているが、気がついたのはアゴ勇と鈴木末吉の2人だけで、清水アキラ、アパッチけん、桜金造は気づかなかった。一応5人出ているので、目だっていない3人がそうだったのかも知れない。

小谷承靖監督は、この1978年に桜田淳子主演のミステリ「愛の嵐の中で」も公開しており、両方の作品に大林宣彦監督と田中邦衛さんが登場している。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1978年、T&Cミュージック、ジェームス三木原案+脚本、小谷承靖監督作品。

YEW YORK(摩天楼の写真にズーム)

ピンクレディーの二人、ミーちゃんこと根本美鶴(未唯)とケイちゃんこと増田啓子(増田恵子)は、大勢の外国人記者に取り囲まれ、ニューヨークの印象などを聞かれていた。

日本人記者(松山英太郎)から、映画に出るそうですね?と聞かれた2人は、予定はそうなってますと答えたので、監督は黒澤ですか?と外国人記者が聞く。

すると、赤沢信平さんですとケイが答えたので、アカザワ?と外国人は首を傾げる。

内容を聞かれたミーが、それがまだ分からないんですと言うので、秘密なんですか?と日本人記者が聞くと、そうじゃなくて、なかなか企画が決まらないんですとケイが答えたので、それは心配ですねと日本人記者が言うと、実は今日、東京で、会議が開かれてるんですとミーが答える。

TOKYO

車の後部座席で英字新聞を読んでいるかに見えたプロデューサーの白川冬樹(石立鉄男)は、葉巻をくわえて、君、急ぎたまえと運転手に声をかけると、擬装用の新聞を落とし、内側に隠していた少年チャンピオンを開いてゲラゲラ笑いながら読み出す。

高速道路上で黄色い車を停めて降りていた監督の赤沢信平(田中邦衛)は、横を自動車が通り過ぎている中、自分の車の前に寝そべり、空に向かって、両手でフレームの形を作り構図を決めていた。

脚本家の青田宏(秋野太作)も車に乗って、待ち合わせの帝国ホテルに向かっていた。(「カメレオンアーミー」の曲が流れている)

ピンクレディを主演に迎えての映画作りは、全てのプロデューサーの夢であり、それをこの不肖白川冬樹が、世界的ヒット作「DOJAWS3」に続いて引き受けることになりました…とホテルの一室に集まった赤沢と青田を前に、プロデューサーの白川は「早春 田植えが始まった時 第三の恐怖が始まった 白川冬樹作品 ドジョーズ DOJAWS3 監督ツブラヤケイスケ 白川映画が贈る超大作」と書かれたポスターの前で挨拶をしていた。

まことに光栄であり、血湧き肉踊る思いなのであります。幸いにして私には、右手にベテラン赤沢信平監督を持ち、左手には鬼才脚本家青田宏君を抱えております。

これで企画さえまとまれば、この映画、大ヒット!大成功!間違いなしなのであります!

さて、日本を代表するスーパースターであるピンクレディをどう捉えるか、どう映像化して行くか、それが今日の議題の全てであります!と演説を終えた白川が、青田と赤沢と同じソファに座ると、みんな、まじめにやって!と、それまで部屋の中でエアロバイクしていた秘書ルミ子(樹れい子)が、白川の前に大きなカチンコを持って来ると、それを鳴らす。

スモークを焚いて、スクーンに向いた照明の中に、ピンクレディのサインと、根本美鶴、増田啓子の2人だけのキャスト名、そしてカメラクレーンに乗ったピンクレディがスライドして登場する。

2人は画面に向い、「ピンクレディの活動大写真」と指差し、タイトル文字が重なる。

球場でのコンサートステージで、「サウスポー」を歌うピンクレディの姿

「ピンク・レディ・コンサート」のポスターを披露した白川は、青田君、ズバリ言って下さい!ピンクレディの魅力は一体何なのか?と意見を求める。

僕は庶民性だと思っています…とタバコを吸っていた青田は答える。

庶民性ね…、ピンクレディのファン層はまことに広い!と白川も同意する。

老若男女を問わず、あの可憐さに痺れている…と白川が続けると、その庶民性を同意カスかが問題でしょうね〜と赤沢が言う。

そう!それなんですよ、良い事言うなぁ〜…、例えばこの映画の中で、ピンクレディにどんなキャラクターを与えるか?と白川は青田に聞く。

当然、下町の娘でしょう…と青田は答える。

下町ね〜…と赤沢は考え込み、2人の関係は?と白川が聞く。

姉妹(きょうだい)です!我々の身近にいくらでもいるような娘です。貧しいけれども、健気に行きていると言う生活感溢れるタイプ!

(空想の世界)下町を流れる川を進む川船

ケイは、看護婦の白衣がぴったりだと思います…と言う青田の言葉に、津村病院と言う川縁の病院がアップになる。

交通事故で首にギブスをはめて入院していた田中静江(春川ますみ)の背中に、孫の手を入れてかいてやっている看護婦のケイ。

そこそこ!良い気持ち!痒い所に手が届くってこの事だね〜…と静江は満足そう。

早くギブスが取れると良いですねと話しかけるケイ。

ありがとう!あなたって本当に優しいのね〜…、あなたのような方が息子のが嫁だったらどんなに良いか…。高之はあなたに大変好意を持ってますのよと静江はケイに嬉しそうに話しかける。

もし高之がプロポーズしたら、あなた、受けて下さいます?と静江は言う。

そこにやって来たのが、静江の息子の田中高之(田中健)で、早かったのね?と静江が聞くと、課長に許可もらって来たんだよと高之は言う。

廊下でくしゃみしなかった?あなたの噂してたのよと静江は笑い、高之は改めて、ケイに、いつもどうも!と頭を下げる。

予想外に良い男だったので、ちょっと上がってしまったケイは、孫の手をそのまま持って部屋を出ようとして、途中で気づき、恥ずかしそうに高之に渡すと、部屋の外に出た所で急にくしゃみをする。

そして、妹のミーは信用金庫に勤めるOLです…と青田が言い、画面では夕食用の秋刀魚をミーが焼いていた。

結婚!と、ミーは、病院から帰って来た姉のケイから聞かされて驚く。

まだどうなるか分からないけど、でも、プロポーズされたら受けるつもりよと嬉しそうに教えるケイ。

ねえ、どんな人?とミーから聞かれたケイは、貿易会社のサラリーマンでね。一流の大学出ているの。田中さんと言う人なんだけど、男らしくて優しくて、割と二枚目なのよ教える。

それを聞いたミーは、やったわね、お姉ちゃん!と笑顔で、タンスの上の鈴を鳴らすと、お母さん、お姉ちゃん、結婚するんだって…と報告する。

あなたもぐずぐずしてないで、恋人の1人くらい早く見つけなさいよとケイが勧めると、ちゃんといます。今までお姉ちゃんには黙っていたけど、私もその人と結婚したいと思ってるの…とミーは告白する。

まあ、呆れた…、で、信用金庫の人?とケイが聞くと、ううん、スナックのバーテンをやっているのとミーは言うので、それを聞いたケイは、だめ!お姉ちゃんは絶対反対よ!と答える。

そんな事言わないで!とミーは言い、一度会ってみてよ。そうしたら、お姉ちゃんもきっと好きになると思うわとミーは頼む。

その時、窓から忍び込んだ猫が焼き魚を加えて逃げてしまったので、それを観た2人は、思わず顔を見合って笑い出す。

ねえミーちゃん、悪い事は言わないわ。今のうちに別れなさいよ。スナックに勤める男なんて…、きっと狼なんだから!と言いケイが何気なくテレビをつけると、画面の中ではピンクレディが「SOS」を歌い踊っていた。

そのTVを、翌日、スナック「シンドバッド」のカウンターで悩んでいたミーに、バーテンの高之がカクテルを作って出してくれる。

私、頼んでないわ…とミーが困惑すると、そんな…、いつも美味しいって飲んでいる「ピンクレディ」だよと高之は言い、元気出して!と励ます。

私…、アパート出ようと思うのとミーは呟き、あなたの所へ行っちゃいけないかしら?と高之に聞く。

無茶言うなよ、ミーちゃん、もうちょっと待ってくれないかな〜…、今の僕には交通事故で入院している母がいてさ、それに…と口ごもってしまう。

そうした高之の態度に、私の気持ち、全然分かってないのね…とミーは嘆き、「ピンクレディ」のグラスを口に運ぶ。

ステージでは、ピンクレディが「カルメン’77」を歌っていた。

翌日、静江の病室にタオルを持って来たケイは私服に着替えていたので、お出かけ?と静江は聞く。

私用でちょっと…とケイが答えたので、もしかしたら、高之がお誘いしたんじゃありません?と静江は聞く。

いえ…、妹と待ち合わせているんです。妹がどうしても恋人を紹介したいと言うものですから…とケイが答えると、高之は、決心がついたって行ってましたよ。近いうち、プロポーズするって…と静江は言うので、笑顔になったケイは、私にですか?と確認する。

もちろん!あなたに決まってますよと静江が答えてくれたので、浮き浮き気分で病室を出ようとしたケイだったが、そこに近づいて来た婦長(塩沢とき)が、ケイちゃん、すぐにレントゲンの仕度をして下さい!救急の患者なんです。頭の骨が折れているかもしれませんから!と言って来る。

でも私…、今日は…とケイが断ろうとすると、何を言ってるんですか!ここは救急病院ですよ!こんな場合に急いで下さい!と婦長は怒鳴りつける。

ケイは、腕時計で時間を気にしながらも着替えに戻る。

料理屋の二階でケイを待っていたミーと高之だったが、なかなかケイがやって来ないのでやきもきしていた。

1時間も待たせるなんて…、失礼ね〜…とミーはがっかりしていた。

津村病院ではレントゲン撮影が始まろうとしていた。

料理屋の看板まで待ったミーと高之だったが、とうとうケイは現れなかった。

津村病院では、レントゲン検査の結果、何ごともなかったので、運ばれて来た患者杉本(なべおさみ)は、もう大丈夫だよと言い、ベッドから降りようとするので、やっと意識が戻ったばかりでしょう?2、3日は安静にしてなくちゃダメですよとケイが叱りつけていた。

ほお〜、怖い姉ちゃんだな!と杉本が言うと、何ですか?と側に寄って来たのは婦長だったので、可愛い姉ちゃんだなって言ったのよと杉本は訂正する。

ケイちゃん、後をお願いいたしますわと言い、婦長は先に帰ってしまったので、ケイは腕時計を観て唇を噛む。

アパートに帰って来たケイは、ミーがバッグに荷物を詰めているのを観て、何してるのよ、ミーちゃん?と聞く。

観れば分かるでしょう!ここを出て行くのよ!とミーが言うので、本気で言ってるの?とケイが聞くと、もちろん本気よ!あれほど頼んだのに…、約束をすっぽかすような人、大嫌い!と言うと、ミーはバッグを持って出て行こうとするので、急患が会って出られなかったんだってば!とケイは訴えるが、弁解なんか聞きたくない!とミーは言う。

ミーちゃん、お願いだから目を覚ましてよ!とケイは止めようとするが、!自分の生き方は自分で決めます!とミーは出て行こうとする。

男の人にそそのかされてるのね…とケイが言うと、どうしてそんな考え方しか出来ないの!私は彼と一緒にスナックで働きます!とミーが言い張るので、思わずケイはビンタしてしまう。

何するのよ!とミーが怒ると、言うことを聞かないからよ!あんたにこんなもの持って行く資格なんてないわ!と言い、ケイは、ミーが持って行こうとしていた母親の遺影を奪い取る。

そして、壁にその遺影を押し当てながら、お母さん!とケイは泣き出す。

その姿を観ていたミーも、思わずバッグを落とすと、お姉ちゃん!とケイにもたれかかる。

翌日、病院を早引けしたケイは、スナック「シンドバッド」に1人来ると、薄暗い室内で、服部さんと言う方にお会いしたいんですが…と言葉をかけると、電球を交換していた男が、服部は僕ですがと答える。

光代の姉ですが、いつも妹がお世話になっているそうで…とケイは挨拶するが、明かりが点き、そこにいたバーテンが田中高之であると知り驚く。

どうしてここに!と聞くケイに、ここでは服部と言う名前なんです。ミーちゃんのお姉さんと言うのはあなたでしたか…とバツが悪そうに高之は言う。

田中さん、貿易会社にお勤めだったんじゃなかったんですか?とケイが聞くと、実は…、円高で倒産したんです。やむを得ず、大学のアルバイトの経験を生かして、今はバーテンを…と高之は答える。

妹の事、どう思ってらっしゃるの?とケイが聞くと、好きです!でも母はあなたの事を…と高之は言い、ケイが落ち込んでいると、そこにミーから店に電話がかかって来る。

ちょうど良かった。今、お姉さん、みえているんだと高之が答え、受話器をケイに渡す。

お姉ちゃん!そこで何してるの?病院を早退けしたりして!卑怯な真似は止めて!

何言ってるの、ミーちゃん。私、考えが変わったのよ。服部さんなら申し分ないわ。あなたの恋人にはもったいないくらいよ。頭から反対して、お姉ちゃん、バカだった…とケイは詫びると、そのまま店を飛び出し、商店街を走って帰るケイ。

一方、津村病院の赤電話を切ったミーも、考え込みながら帰路につくが、途中、レコード店の前で立ち止まる。

そこには、「ピンクレディ」の「渚のシンドバッド」がかかっていたからだ。

ステージ上で歌うピンクレディの姿を、電気も点けないアパートのTVで観ていたケイを、帰宅したミーが発見する。

おかしくなちゃうな、あの人、両天秤にかけてたの。お姉ちゃんは結婚の対象、私は遊びの相手…とミーが嘆くと、そうじゃないのよ。私の方は別に…、何でもなかった…とケイは答える。

ダメダメ!あの人言ってたもの…、本当に愛しているのはお姉ちゃんの方だって!と明るくミーは教える。

まさか!とケイが言うと、まさかじゃないのよ、良く考えてみると、私はあの人を愛してたんじゃなくて、恋愛と言うものに憧れていただけだったのよ…とミーは言う。

違うわ!あの人と結婚するのはミーちゃんよ。私はお姉さんで十分…とケイ。

強がり言わないでとミーが言うので、強がりとは何よ!とケイが怒ると、だって、お姉ちゃんに取っては大事な初恋の人でしょう?私なんて、ボーイフレンド山ほどいるもの!とミーは明るく話す。

翌日、誤解だよミーちゃん、俺、お姉さんにそんな意思表示した覚えないよと、「シンドバッド」にやって来たミーに言う高之。

すると、これからして欲しいの…と頼むミー。

お願い!姉にとっては、たった一つの恋よ…、私は若いから、これからなんで…と哀し気に打ち明けるミー。

すると高之は、酷い事言うね、ミーちゃんと彼女の腕を掴むが、私、姉の気持ちを思うと…と苦しむミー。

その時、服部さん?田中さん?と呼びかけながらケイがやって来たので、ミーは高之に、黙ってて!と指を口に当て、棚の背後に身を隠す。

高之が姿を現すと、あの…、私、お詫びに来たんです…とケイは言い出す。

私…、あなたとは結婚出来ないんです。今まで、妹にも黙ってたんですけど、私には恋人がいるんです。前に勤めていた診療所の…とケイは言い、杉本を呼び寄せる。

あたしたち、春には結婚する予定ですとケイは言い、杉本は、なかなか良い店ですな、ビールは400円ですか?と話しかける。

そう言う事ですから、私の事は諦めて下さい。あなたの気持ちを乱した罪は深くお詫びします、ごめんなさいと謝ると、妹はじゃじゃ馬ですけど、根はとても純情な子です。どうかあなたの手で幸せにしてやって下さい店とケイが言うので、分かりましたと高之が答えると、それじゃあ…、さようなら!と言い、杉本とミーは店を出て行く。

どう言う事かしら?と言いながらミーが出て来ると、君は良いお姉さんを持ったね。分からないのか?君と僕を結びつけるために下手な芝居を打ったんだよと高之は説明する。

じゃあ、あの男の人は?とミーが聞くと、母と同じ病院に、怪我で入院してた男さと高之は言う。

バカみたい…と呟いたミーだったが、お姉ちゃん!と泣き出す。

高之はそんなミーを優しく抱いてやるのだった。

橋の袂までやって来たケイは、どうもありがとう。助かったわ…と杉本に礼を言い、これ、気持ちです!と言いながら謝礼を渡そうとする。

しかし、笑わしちゃいけねえよ。そんなもん受け取れるかいと拒否した杉本は、俺はね、あんたが妹を思う気持ちが嬉しくてやっちゃったんだよ。あばよ!と言い、杉本は立ち去りかけると、振り返って、良い女だな!見つけろよ!な?と言いながら、親指を立ててみせる。

笑顔で答えたケイだったが、その後、寂し気な顔で帰って行く。

ミーは田中と結ばれ、ケイは初恋を失う…、これでエンドマークになる訳ですと言う青田の声が重なり、「終」の文字が画面に出て来るが、その「終」の文字を掴んだ白川は、違うんだよな!違うんだよな!と言いながら、その文字を引き裂き始める。

(現実)どうしました?プロデューサー?あ!ラストシーン、お気に召しませんか?とホテルにいた青田が聞くと、嫌々、ラストシーンだけの問題じゃないんですよね、監督?と白川は赤沢にすがる。

話は良く出来てんだよね〜…と言いだした赤沢は、もっとダイナミックと言うか、スケールのもっと大きい映画やりたいじゃない!と言い出す。

それそれ、良い事言うな〜、監督!僕も同感ですよ、ダイナミックでスケールの大きい!と白川も同調する。

それを聞いた青田は、リアリズムが…とぼやくと、後ろ手エアロバイクを漕いでいたルミ子に、ウィスキー下さい!ストレートで良いと頼む。

はい!と立上がったルミ子が、洋酒が並んだ棚の方へ近寄った時、電話がかかって来る。

ルミ子が出ると、プロデューサー!ニューヨークですよと白川に呼びかける。

白川は、英語相手では苦手だと言う風に、電話に出るが、相手はケイからだった。

私たちの映画、どうなりました?とケイが聞くと、今、打ち合わせの真っ最中!クライマックス!などと白川が言うので、じゃあ、まだ決まってないんですか?とケイが聞く。

1時間以内に結論を出して、こちらから電話を入れるからと白川はごまかそうとする。

困ります。私たち、心配で寝られそうにもないんですとケイが言うので、僕個人はあれで行こうかと思うんだよ…、SF!と白川はつい言ってしまう。

SF?と、ミーと一緒にニューヨークのホテルのベッドの上で電話を聞いていたケイは驚く。

ミーも、SFねえ!と喜ぶ。

ハハハ、ゴジラですか?それともキング・コングと、ホテルで聞いていた青田は、バカにしたように白川に聞く。

ノーノーノー!、もっと現代的な話です!と白川は否定し、ある年、アラスカの氷河でエスキモーが氷のクレバスの中でこんこんと眠る珍しいモンスターを発見!と白川は思いつきを話しだし、映画はここで始まる!とソファーに乗ってモンスターのような格好をしながら言うと、又、ルミ子が大きなカチンコを持って現れ、それを叩く。

(空想の世界)港で、輸送船から檻に入ったピンク色のモンスター(団巌)が陸に降ろされる。

そしてこのモンスターは、ある日本のサーカス団に、客寄せの目玉として、多額のお金で買い取られて行く訳なんです…と白川の声が重なる。

ミーとケイは、訓練係兼飼育係ですと白川の声。

メグレ大サーカスに連れて来られたモンスターは、2人から「モンちゃん」と呼ばれ、優しく訓練を始めるがうまくいかない。

やがて食事時間になるが、ターバンを巻いた芸人猪熊(佐藤蛾次郎)、外国人の団長(ビル・ロス)、ピエロ(三角八郎)たちは、お前たちとモンスターは飯抜きだ!どんどん練習しなくちゃ!たくさんのお金がかかっているんだからね!と意地悪を言って来る。

猪熊たちは、無理矢理モンちゃんに芸を仕込もうとし、巧く出来ないと、甘やかすな!最初が肝心だ!とミーとケイにも、鞭を振りながら言い聞かす。

気絶したもんちゃんに水をかけるピエロ。

団長は、逃げないように見張ってろと2人に命じる。

夜、外の檻に入れられたモンちゃんが食欲をなくしている事に気づいた2人は、モンちゃんが、泣いているので、モンちゃん、寂しいのね…と言うと、モンちゃんが頷く。

あら?私の言う事が分かったんだわ!とケイは喜び、慰めてあげようよ!とミーは言い出す。

モンちゃんを元気づけるために、2人はその場で「モンスター」を歌ってやる事にする。

コンサートステージ上で「モンスター」を熱唱するピンクレディ

翌朝、外に出て来たピエロは、檻の中からモンちゃんの姿が消えており、後には、白く巨大な糞だけが残されているのを発見し、驚きくと同時に、団長!と騒ぎだす。

その頃、モンちゃんは、ケイの運転するサーカス団のトラックの荷台に乗って逃亡していた。

途中、ピクニック気分でモンちゃんと食事を始めた2人だったが、モンちゃんは、フォークやナイフを巧く使えない。

その内、ミーが、歌を教えたらどうかしら?と言い出し、食器を打ち鳴らして音楽を教えようとする。

その後、ミーとケイは、モンちゃんが石を積み上げ「フヒ」などと言っているのを聞く。

夜、モンちゃんはギターをかき鳴らしながら、夜空を見上げ、意味不明な言葉で歌のようなものを歌いだしたので、2人は首を傾げる。

翌日も、輸送トラックでの旅を続けるケイとミーだったが、荷台のモンちゃんがぐったりしている事に気づく。

私たちの言葉がわかるんですもの、頭は良いのよねと運転しながら言い出したケイは、偉い先生に調べてもらおうか?研究所の…と提案したミーに、それが一番、モンちゃんには良いかもねと賛成する。

その場でトラックの方向を変え戻ろうとしたケイだったが…

BUT

追って来た団長や猪熊たちのジープと遭遇してしまう。

九十九折れの道を逃げるケイたち、それを追う団長たちのジープは。トンネルを出た所でハンドルを誤り、無人のガソリンスタンドに突っ込んでしまう。

運転をしていたピエロは謝るが、バカヤロー!びっくりさせやがって!と怒った団長が、くわえていた葉巻を、転がっていたドラム缶からこぼれていた油の中に投げ捨ててしまったので、大爆発し、燃え上がる。

驚いた団長たちはジープを飛び降り、消火にやって来た消防車を奪い取ると、それに乗ってミーとケイたちを追いかけ始める。

AND THEN…

夜、ケイが運転するトラックはガソリンが切れ、行き止まりにも阻まれ、湖の側で停まってしまう。

車を降りたケイとミーは、モンちゃんを降ろして逃げようとするが、その時、モンちゃんは、眼前に広がる富士山を観て騒ぎだしたので、この事だったので、モンちゃん!と夕べのモンちゃんの石積みを思い出す。

その時、ケイは、湖の畔にボートが繋いである事を発見、急いでそれに乗り込む。

そこに、サイレンを鳴らした、団長たちの消防車が近づいて来て、猪熊やピエロが追って来るが、その時にはもう、モンちゃんとケイとミーの乗ったボートは岸辺を離れていた。

その時、上空にUFOが出現、ボートに接近すると、光をボートに当てる。

団長たちが岸辺から見守る中、ボートはいつの間にか消滅、UFOは飛び去って行く。

ミーとケイは、ボートと一緒に見知らぬ空間にいる事に気づく。

モンちゃんは何故か大喜びしている。

ミーとケイは、窓から遠ざかって行く地球を観てびっくり!

どうやらそこは、UFOの内部らしかった。

その時、モンちゃんとそっくりのもう2匹のモンスターが現れ、モンちゃんが、ミーちゃん!ケイちゃん!と言葉をかけて来る。

宇宙人だったのね!と2人はようやく納得する。

モンちゃんは、僕たちはパラド星人で、これは父と母で、宇宙で迷子になった僕をずっと探していたそうですと紹介する。

そして、僕と一緒に、平和なパラド星に行きましょうと誘って来たので、2人はびっくりする。

地球は、いつだってこの窓から観られますよとモンちゃんが言うので、窓の外をもう1度眺めると、窓がマルチ分割の画面のようになり、ステージで「UFO」を歌うピンクレディの姿がみえて来る。

AND THEN…

手術台の上に寝させられた2人に、モンちゃんは、手術によって素晴らしいパラド星人になりますと説明を受け、モンちゃんの父親が何やら光のスティックで2人に軽く触れ、2人の全身にシーツをかけると、その中で2人の身体に変化が起き、シーツが風船のように膨らむと、急速にしぼんでしまう。

シーツの下で2人がばたばたしている形が浮き上がるが、シーツがめくれると、その下の台には誰も乗ってなかった。

ミーとケイも、互いの姿を見えてない様子。

モンちゃんは、二人の姿が消えてしまった事に気づき、透明人間!と叫ぶ。

透明人間になったミーとケイは、宇宙船の中で、消えたり現れたりしながら「透明人間」の歌を歌い始める。

歌い終わった2人に、こんな結果になって申し訳ない。父がもう1度手術したいと言ってますとモンちゃんが詫びると、良いのよ、このまま地球に行って、ちょっとやってみたいことがあるの!と声が聞こえる。

透明になった2人はそのままUFOを抜け出ると、地球へ空間を飛んで行く。

再び「透明人間」の曲が流れる中、東京タワーの下で、女子高生たちを追いかけ、無理矢理スカートめくりをしている悪質な男子学生たち(ザ・ハンダース)がいたが、気がつくと、彼らのズボンが脱げ、ふんどしやパンツが飛んで行ってしまう。

さらに、脱がされたズボンが中味を残して走り去ってしまう。

行列ができたバスの停留所「住宅中央」駅に、カップヌードルを食べながらやって来たサラリーマン(小松政夫)は、図々しくも前の方に並んでいた女学生を押しのけ割り込んで列に入る。

次の瞬間、そのサラリーマンは誰かに襟首を掴まれているように列の外に引きずり出される。

カップヌードルも空中を飛んで行く。

やがて、バスが到着し、次々と待っていた乗客が乗り込んでバスは出発し、停留所に残っていたのは、頭に逆さまにされたカップヌードルをかぶせられたサラリーマンだけだった。

無惨な格好になった彼を、側にいた子供たちからからう。

とある会社の壁を破って侵入した泥棒(丹古母鬼馬二)は、室内に仕掛けたダイナマイトの導火線を伸ばしながら外に出て来る。

その直後、室内に置いてあったダイナマイトの束が自然に浮き上がり、外に飛び出して来たので、見回りに来ていたガードマンは腰を抜かす。

導火線の先に付いた起爆装置の所まで泥棒が来ると、彼の背後にあったセメント塗り立ての道に転々と足跡が付き、空中を浮かんで飛んで来たダイナマイトの束を泥棒の背後に置く。

そんな事には気づかない泥棒は、愉快そうに起爆装置のスイッチをひねるが、爆発したのは彼のすぐ後で、泥棒は黒こげになってしまう。

(現実)消えました!と忍者の印のように指を結んだ白川プロデューサーは、エアロバイクしている秘書のルミ子の胸を触ろうとするが、その手を叩かれ、見えてるの、あなたは!と叱られる。

透明人間のピンクレディは、日本中、否、世界中に旋風を巻き起こす!ギャグの連続でお客さんは抱腹絶倒!どうです?私の企画は?スケールが大きいと思いませんか?と赤沢と青田に聞いた白川だったが、青田は、ナンセンスだねと言い、話が全然繋がってないんじゃないの?と疑問を口にする。

繋げるのは君たちの仕事じゃないか!と白川が抗議すると、子供っぽいんだよな…と赤沢が言うので、監督はどう言うものがやりたい訳?と青田が聞く。

立上がった赤沢が取り出したのは、ガンマン姿のピンクレディが移ったポスターで、西部劇!ウエスタン!と言う。

(空想の世界)舞台はテキサスのとある街…と言う赤沢の声で、夜の西部の街に「WANTED」のポスターを、銃の台尻で打ち付けるペッパー保安官(田中邦衛)の姿。

ミーとケイは、酒場の歌姫…と言う赤沢の声

酒場のステージでは、ミーとケイが「カメレオンアーミー」を歌っていた。

そんな2人を店の隅のテーブルで見つめていたのは、ガーリック一家のボス、ガーリック(田中浩)だった。

そのガーリックに命じられ、ボスの相手をしろと子分から声をかけられたケイは、疲れているのと断るが、腕を掴まれ引っ張られそうになったので、何するのよ!とビンタする。

子分は、何しやがるんだ!と怒ってケイにつかみ掛かるが、何とかミーに助けられたケイに、ボスが嫌いか?この街にいる限り、ガーリック一家には逆らわねえ方が良いぜと子分が凄む。

無理矢理テーブルに座らせられたミーとケイは、何か飲むか?とガーリックから聞かれ、何も欲しくありませんと答える。

俺たちはシュガーに会いたいんだよ。オニオン牧場の若造だよ!おめえはシュガーと深い仲らしいな?とガーリックが言うが、ケイは黙ったまま。

あんな若造のどこが良いんだ?と子分のマスタード(トビー門口)がからかうように聞いて来る。

教えてくれよ?シュガーはどこにいる?と又ガーリックが聞く。

その時、ここだよ!と声がした二階を見上げたケイは、シュガー!と驚く。

俺に何か用か?と聞きながら、シュガー(岡本富士太)が階段を降りて来る。

落としまえをつけてやるぜ!とガーリック一家の子分たちが言うと、牛泥棒が何の落としまえだ?とシュガーは聞き、その場で喧嘩を始める。

そんなシュガーを撃とうとした子分に気づいたケイは、飛びかかって止める。

ケイ、大丈夫か?とケイを起こしたシュガーは、マスタードが近づくと、離れてろとケイに諭す。

止めて!あの人、早撃ちの名人よ、今まで6人も殺しているわとケイはシュガーにすがりつきながら教える。

良いから、離れているんだ!とケイを押しのけたシュガーは、マスタードと一騎打ちし、マスタードを撃つ。

その時、カウンターの背後からタバスコがシュガーを撃って来たので、ケイは思わずシュガー!と叫ぶ。

シュガーはタバスコを撃ち殺し、自分は外に飛び出ると馬に乗って立ち去る。

良くも邪魔してくれたな!とケイとミーにガーリックが迫ると、ミーは気丈にも、関係ないわ!と言い返すが、一緒に来い!とガーリックは言い、子分たちが抵抗する2人を無理矢理連れ去ろうとする。

その時、静かにしろ!と怒鳴ったのは、いつの間にか店に入って来ていたペッパー保安官だった。

ミーとケイが、ペッパー保安官の背後に隠れると、安心しな、女の子を虐めるような奴は俺が許さん!と言う。

いや、待ってくれよ保安官、観てくれよ!マスタードとタバスコがやられたんだよ!と室内に倒れている子分の方をガーリックが披露すると、仲間割れか?とペッパー保安官はとぼける。

いや、そうじゃないんだ。ホシはシュガーと言うオニオン牧場の流れ者なんだ。何の恨みがあるのか知らないが、いきなり殴り込んできやがったんだとガーリックは説明する。

喧嘩を売ったのは、あんたたちじゃない!とケイが口を挟むと、ガーリックは、あの女の言うことを聞いちゃ行けないよ。あいつはシュガーの色なんだと言いながら小指を突き立てる。

しかしペッパー保安官は、色だろうが何だろうが、この2人は街の人気者だ。お前たちには指一本触れさせねえから、そう思え!と言い聞かす。

保安官、そいつは片手落ちじゃないんですかい?野放しにするのか?人殺しのシュガーを見逃すのか?と子分(きくち英一)が迫るが、シュガーは俺が捕まえる…、このバッジに賭けて縛り首にしてやるやるんだから、おめえたち、手を出すんじゃねえぜ!とペッパー保安官が言うので、ミーとケイは驚く。

その後、マスタードとタバスコの死体を調べ、抜いていた拳銃を腰のベルトに納めようとしたペッパー保安官だったが、巧く入らず床に落ちてしまったので、ごめんな、びっくりさせて…と死体に詫びながら、拳銃を拾い上げる。

翌日、オニオン牧場にやって来たガーリック一味は、シュガーがいないか家捜しを始める。

シュガーはいなかった。

その頃、ケイは、河原でシュガーの傷の手当をしながら、どこに逃げるつもり?と聞いていた。

何とかなるさ…とシュガーが言うと、私も行く!とケイが言い出したので、俺は人殺しのお尋ね者だとシュガーは落ち込む。

でも、愛してるわ…とケイは迫るが、巻き添えには出来ない…とシュガーは乗り気ではなかった。

その時、ガーリック一味が迫るひずめの音と、木製の高架線を汽車が通り過ぎるのを2人は観る。

(現実)ガーリック一味は去り、ケイとシュガーは一難を逃れた…と赤沢は説明する。

そこにボーイが食事を運んで来る。

そこにやっぱり、UFOが来たらどうだろう?と突然、白川が口を挟む。

西部劇にUFO!受けると思うよ…と白川が無責任に言う。

(空想の世界)ガーリック一味は、突然上空に飛来したUFOに驚き発砲する。

(現実)ソファーですっかり酩酊していた青田が、バカバカしいと嘲る。

酔ってるな?と白川が怒ると、酔ってますよ、とてもしらふでは付き合いきれないと青田は言う。

言葉を慎みたまえ!と青田に詰め寄った白川だったが、2人の言い合いに切れた赤沢監督は、静かにしてろよ!と怒鳴る。

あんたも、話の腰を折らんでくれよ!と赤沢は白川に注意すると、又、ペッパー保安官になった自分の世界に戻る。

(空想の世界)知らないんです、私!と保安官事務所に連れて来られたミーは、ケイの居所を聞こうとするペッパー保安官に答えていた。

犯した罪は償わねばなりません。シュガーだって、窮屈な思いをして逃げ回るより、法の保護を受ける方がずっと楽ですと保安官は諭す。

しかしミーは、縛り首にすると言ったわ!と睨む。

そうとは限らん…、ガーリック一味の悪事は知れ渡っている。ちょっとした裁判を受ければ、監獄に入っても7年か8年…、

悔い改めて自首をすれば、刑期はずっと短くなりますとペッパー保安官はミーを説得しようとする。

でも私…、シュガーもケイも、どこにいるのか…とミーは困惑し、壁に貼られた「WANTED」のポスターに書かれた「Sheriff PEPPER」の名を見つめる。

コンサート会場で、「ペッパー警部」を歌うピンクレディ

夜、帰宅するミート護衛して付いて行くペッパー保安官は、私があなたとお送りするのは、仕事のためだけじゃないと語りかけていた。

じゃあ、何のため?とミーが聞くと、多分…、恋のためです…とペッパー保安官は答える。

驚いたミーに、何だか一晩ですっかりやつれてしまった…、あなたの苦しみをこれ以上観ていられないのです…と語りかける保安官。

私はずっと前からあなたの可憐さに惹かれていた…、好きです!と言い、保安官はミーとキスしようとする。

(現実)あ〜!あまりにも下らんね!と酔った青田が混ぜっ返す。

何故、そんな所でキスシーンになるの?安っぽいご都合主義だね!ドラマ以前だよ!と青田がバカにすると…

(空想の世界)ばかやろう!今、一番良い所なのに、何で邪魔するんだよ!続けるぞ、芝居を!とスクリーンの方を振り返ったペッパー保安官が怒る。

その間に、ミーは立ち去ってしまっていたので、慌ててペッパー保安官はその後を追って行く。

酒場に戻って来たミーは、荷物を持って出て行こうとするケイと会ったので、どこに行くの?シュガーと一緒に逃げるつもりね?と止めようとする。

ミーの事は忘れない。あの人には私が必要なの!私が行かなければ、あの人は私を迎えにくるわ。そうなれば、何もかもお終いよ!と言いながら、ミーを振り払って店を出て行こうとしたケイだったが、おっと!お嬢さん、どちらへ?ぜひお供したいですな…とペッパー保安官が入口に立ちふさがる。

裏切ったのね!とケイはミーを見るが、ミーは違うわ!あたし…と否定する。

ケイは、がっかりしてその場に崩れ落ちる。

その後、ガーリック一味が街に戻って来て、ペッパー保安官は事務所にいた所をふいに襲撃され、自ら牢に閉じ込められる。

酒場で「ウォンテッド」を歌っているミーとケイ。

客席にはガーリック一味がおり、待ち伏せしていた。

そんな中、3人のポンチョ姿の男たちが入って来て席に着くが、その中の1人がシュガーである事に、歌っていたケイは気づく。

立上がったシュガーが、迎えに来たぜと言うと、待ち伏せしていたガーリック一味が一斉に発砲したので、思わず、危ないとシュガーに飛びついたケイが撃たれる。

シュガーは売った連中を射殺するが、背後から自らも撃たれてしまう。

ミーは、倒れたケイに抱きつき、店に飛び込んで来たペッパー保安官がシュガーを売った男を撃ち殺す。

畜生!遅かったか…、シュガーとケイの死体を目にしたペッパー保安官は、ガーリック!出て来い!残っているのはお前だけだ!と叫ぶ。

その間、店にいた客たちは全員逃げ出してしまう。

その時、二階から荷物を背負って出て来た男に、街を出て行くのか?ドク・イクデー?と保安官は声をかける。

ピアノの前に降りて来たイクデーは、トーマス高原へでも行ってみようかと思ってね…と呟くと、ピアノで「オーマイダーリン」を奏で始める。

その時、ペッパーの背後に、銃を構えたガーリックが笑いながら現れ、拳銃を抜け!勝負すると言って来る。

その間も、ドク・イクデーはピアノを引き続けている。

保安官殺せば縛り首だぜ…とペッパー保安官は言うが、その直後、ドク・イクデーが、床に転がっていた酒瓶を蹴って、ミーの側に転がす。

ケイにすがりついていたミーは、その酒瓶に気づき、拾い上げると、自分に横に立って拳銃を構えていたガーリックの右腕に叩き付ける。

その時、ペッパー保安官が発砲し、ガーリックは倒れる。

丘の上に作られた「Sugar・Brown」と「Kay・Rose」の墓の前で、ケイちゃん、生まれ変わったら、又一緒に歌おうねと嘆いたミーは、さようなら、あなたの顔なんか、二度と観たくないわ!と一緒に来ていたペッパー保安官に言い放つ。

どこに行くんです?と聞く保安官に、東部に帰るのよ!と答え、荷物を持って立り去るミー。

君を愛してるんだ!と止めようとする保安官に、もうたくさんよ!点数稼ぎに女心を利用するような人、許せないわ!ケイが死んだのはあなたのせいよ!と怒るミー。

信じてくれ!とペッパー保安官は弁解するが、ミーは走り去る。

それを呆然と見送るペッパー保安官をバックに「THE END」の文字が出るが、横から飛来したUFOが、そのエンドマークを破壊する。

怒ったペッパー保安官が丘をおりて来ると、そこにはホテルと同じように、ソファとテーブルがあり、酔った白川と青田が愉快そうに笑っている。

側では、ルミ子がエアロバイクを漕いでいる。

何で又UFOが出て来るんだよ!とペッパー保安官こと赤沢監督が怒ると、UFO抜きのピンクレディなど考えられない!と白川は断ずる。

この石頭!と怒る赤沢監督に、君!ピロデューサーに向かって石頭とは何だ!と白川も言い返す。

君は、首、首!と白川が言い渡す横で、ルミ子はニコニコとエアロバイクを漕いでいる。

赤沢は白川につかみ掛かり、青田は2人に酒を浴びせる。

丘の上で大暴れする赤沢監督。

(現実)ニューヨークのホテルの電話が鳴ったので、ベッドの上でミーが出、ケイは入浴中だったので、浴室内で子機を取る。

プロデューサーの白川です。こっちはもう大変!僕もう気が狂いそう!どいつもこいつも勝手な事ばっかり言って、全然まとまらないんですよ!

まことに申し訳ない。こうなったら、監督も脚本家も首にして、始めからやり直すしかないです!そうなんですよ、僕はSFをやりたいのに、監督は西部劇だと言うし、脚本家は人情話に拘るし…、もう…

SFと西部劇と人情話ですか?面白そうですね。いっその事、それ全部一緒にやったらどうですか?とミーは答える。

ええ!全部?と白川は驚くが、浴室のケイは賛成!と喜び、思わず受話器を湯船の中に落としてしまう。

不可能ですよ、そんな事…と白川が困惑すると、ミーとケイはそろって、「ピンクレディに不可能はありません!」と答える。

待って!と言おうとした白川に、受話器から水がシャワーのように飛び出して来る。

カメラクレーンに乗ったピンクレディの2人は、おかしそうに笑いながら、ライトを横切って後に戻って行く。

ステージ上で「カメレオンアーミー」を歌うピンクレディをバックにキャスト・スタッフロール


 

 

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