白夜館

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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

危いことなら銭になる

都筑道夫原作のコミカルクライムものとでも言うべき作品で「危い〜」の部分は「やばい」と読む。

宍戸錠、長門裕之、草薙幸二郎のおとぼけ3悪党に、いつしか浅丘ルリ子さん演じる柔道と合気道自慢の女の子が加わり…と言う設定が面白い。

何より見所は浅丘ルリ子さんがコメディエンヌをやっていることで、ひっくり返ってパンツ(フレア付きのペティコートのようなもの)を見せたり、大の男たちを投げ飛ばしたりと言ったじゃじゃ馬振りを発揮。

男が考える可愛くて元気が良くて憎めない、コミックなどに良く登場しそうな都合の良いヒロインなのだが、浅丘さんが登場してからがぜん話が面白くなる。

「ルパン三世」のノリに近いと言うべきかもしれない。

おばあさん役の武市豊子さんがガンスピンなどを披露するのも楽しい。

宍戸錠さんと長門裕之さんのおとぼけ演技は見た事があるが、草薙幸二郎さんがこの手の作品に出ていられるのは珍しい気がする。

宍戸錠さんと左卜全さんの組み合せは、後年の「ハレンチ学園」を連想させる。

ただ、錠さん主演作だからか、弟の郷さんはただ出ていると言う印象でセリフもほとんどなく影が薄いのが残念。

西部劇ブーム、拳銃ブーム、おそらく東京オリンピックに向けての高速道路の工事などの時代を感じさせる部分や、相変わらずの「チキンラーメン」とのタイアップなどが楽しいが、メインの三人のあだ名のうち「計算尺」と言うのは知らない人も多いかもしれない。

物差しのように数字が刻まれた平たいスティック状の真ん中がスライドするようになっていて、目盛りを色々組み合わせて計算に使う道具である。

電卓などの普及により、今では見る機会もなくなったような気がする。

劇中でジョーが乗るタイヤの付いた戦闘機のような、前後2人乗りのメッサーシュミットと言う車が珍しい。

乗る時、屋根がウィングのように横に畳むように倒れると言う仕掛けも面白い。

全体としては軽妙で楽しい娯楽映画になっていると思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1962年、日活、都筑道夫原作、池田一朗+山崎忠昭脚色、中平康監督作品。

師曰く、君子危うきに近寄らず… 俺曰く…(と近藤錠次の声)

タイトル(5人の叫び声とともに) 主題歌が流れる中、黒バックに札束が大量に降る画像をバックに、スタッフ、キャストロール

大蔵省の札束用紙を積んだ輸送車が人通りもない郊外を走っていると、脇道から1台の乗用車が尾行し始める。

さらに、輸送車の前に別の脇道から大きなトラックが割り込み道を塞ぐ。

何してるんだよ!と輸送車の助手が文句を言うと、背後から付けて来た車から降りて来た男が近づき、いきなり助手の腹にナイフを突き立てる。

運転手を脅し、輸送車をとある中古業者の敷地に連れ込むと、そこにあらかじめ待ち受けていた仲間が、いきなり輸送車をボコボコに殴りつけ始め、車の中から死体を入れた死体袋を運び出す。

バックナンバーも素早く付け替えタイヤのホイールも外すと、車体の色もその場で塗り替え始める。

トルコ風呂のベッドの上で陽気な歌を歌うマッサージ譲ミス・トルコ(北出桂子)から足を揉まれていたジョーこと近藤錠次(宍戸錠)は、何気なく付けたトランジスタラジオが、大蔵省の千円札に使う透かし入りの三つ又和紙10億8000万円分を運んでいた輸送車が小田原付近で強奪され、運転していた木島五郎さんと竹井一さんの行方が分からなくなったとのニュースを聞き、慌てて帰ることにする。

一方、自宅アパートで友人たちと麻雀していた「週刊犯罪」編集長で数字しか興味がないと言う、計算尺こと沖田哲三(長門裕之)は、勝ち抜けして窓から外を眺めた時、向いのビルの電光掲示板に流れる「10億8千万相当の紙が盗まれた」とのニュースを見て、急いでロッカーから過去の「週刊犯罪」野バックナンバーを探り当て、そこに載っていた「偽札作り日本一 坂本雅章」の記事を読み返す。

その直後、電話を受けた坂本の老妻(武智豊子)は、え?おじいさん?今香港に旅行中で明後日帰ってきますと答え電話を切ると、どうしたんだろう?今日は、3度も電話がかかって来て…と迷惑そうにぼやいていると、又かかってきたので、嫌になっちゃうねと文句を言う。

翌々日、羽田空港の待合室で鉢合わせたのはジョーと計算尺で、紙を盗ったのはあんたかね?と計算尺がジョーに杖を突きつけ声をかけていると、ダンプの健こと芹沢健(草薙幸二郎)がやって来たので、3人で分けても間尺は合うかい?とジョーは計算尺に問いかける。

合わないねと計算尺が答えると、じゃあ俺は馬を乗り換えると言ってジョーが立ち去ったので、計算尺は手近にあったガラスケースをコインで引っ掻く。

あいつはガラスを引っ掻く音が嫌いなんだと計算尺が教えると、馬って言うのは?と健が聞くと、奥さんでしょうと計算尺は答える。

案の定、ジョーが近づいたのは坂本名人の帰国を待っていた老妻で、僕は孫のジョーですなどと挨拶し、相手を煙に巻く。

しかしその側には、ボーカーフェースの秀(平田大三郎)、ビッグの修(郷えい治)、紺野(野呂圭介)が既に見張っていた。 それに気付いた健がお供がいますよと言うと、金盗人の連中だなと計算尺は感づく。

ジョーと健が、窓とひ孫を装い老妻に言い寄り、怪しんだ秀たちともみ合っている隙に、税関での荷物チェックを終え出て来た坂本名人(左卜全)に近づいたのは、係員の制服姿で変装した計算尺で、恐れ入りますが荷物をもう一度調べさせて下さいと声をかける。

中味は玩具ばかりだが?と戸惑いながらも、では…と戻りかけた坂本老人だったが、本部の方で調べますと言い、計算尺は別方向へ連れて行く。

相変わらずうちの爺さんは遅いわね~と焦れる老妻の言葉を聞いたジョーは、近くにいた係員に、税関から外に出られる道はここ以外にないですかと聞き、ありますけど係員以外はダメですよと言う返事を聞くと、やられた!と気づき、慌てて外へ向かう。

外ではタクシーに乗せようとする計算尺を怪しんだ坂本名人が、これで行くのかね?と聞いていた。

杖をついて右足が悪いような計算尺は、すぐ着きますし、私はこう云う身体ですから、ノンクラッチの車の方が楽なんですなどと説明していたが、そこに、随分勝手なことやってるじゃないかと言いながら駆けつけたのが健とジョーだった。

孫のジョーですなどと自己紹介している時、秀たちと一緒に老妻も駆けつけて来る。

ご苦労!と秀がジョーや計算尺に銃を取り出すと、ロシアのトカレフ!と一目で老妻が見抜く。

しかし、坂本名人は秀たちの車に乗せられ走り去ってしまう。

すると、心配するな、俺が取り戻すよ!と言い残し、健がダンプへ向かうと、ジョーも真っ赤な2人乗りメッサーシュミットKR200に乗り込み後を追いかける。 後に残された老妻は慌てふためき、計算尺の車に乗り込み後を追う。

秀たちに土方(浜田寅彦)の屋敷に連れ込まれ、道具は揃えてあると言われた坂本名人だったが、道具は自分のじゃないとダメだね、取って来てくれと言う。

仕事はこの屋敷ならどこでも使って良いと土方は申し出るが、こんな所じゃ出来んよと坂本名人が断ったので、何だと!と秀は詰め寄ろうとするが、止せ!秀、世界的に有名なガンペイ(偽札の隠語)のこの方を怒らせたら命取りになるぞと叱りつける。

わしは金儲けの為にやってるんじゃない、いわばタヌキが木の葉を小判に替えるようなもので芸術家なんじゃ、その芸術家を脅すなんてと呆れたように言う坂本名人に、第一偽札なんて百枚も使えば捕まるぞと逆に脅す。

日本で使えばな…と苦笑した土方は、香港の金融業者に買ってもらうのさと言うので、ドルに替えるのかと坂本名人は感心し、どんな仕事部屋なら良いんだと聞かれると、うるさくて待ち合いや芸者などじゃなく、もっと現代風の色っぽい所じゃなどととんでもない要求をして来る。

土方が経営するキャバレー「アカプルコ」のステージ上では、水着の女が丸いガラス張りの上で踊っていた。

そのガラス張りのすぐ真下に陣取った坂本名人は、ビッグの修が見張っている中、うれしそうに偽札の原盤作りをしていた。 支配人室の土方が、どうだ?名人はと聞くと、上を見上げてやってまさあと秀が呆れたように答える。

びっことダンプはあれからどうした?と土方が聞くと、あんな連中に対したことは出来ませんよと別の子分が嘗めたことを言うので、土方は殴りつけ、どいつも消すんだ!と命じる。

横浜中華街 メッサーシュミットでやって来たジョーは、とある店に入ると、見張りがカードを3枚出して絵柄を見せたので、ジョーの方も銃が印刷されたトランプのカードを3枚出してみせ、中に入る。

中にはガンマニアの売人政(井上昭文)が、よおジョーさん、良い出物あるよといくつか銃の種類をあげてみせるが、俺の探しているのじゃない、政ヤンの所なら世界中からガンが集まっていると思ったが、トカレフのオートマチックさ今日は何が欲しいんだねと残念がると、先日一丁だけ手に入ったんだが、すぐ買い手が見つかったんだと昌が言うので、誰が買ったと聞くと、ジョーさんも人が悪いな、この商売、名を言う訳がないじゃないかと政は笑う。

そこを何とか…と粘るジョーは、ガンマニア垂涎のポーランドのラドMを取り出してみせる。

それを見た政は目の色を変え、ラド!殺生な…と悩むと、仕方ない、言うわ、ボーカーフェースの秀、ザキの「ピンキー」と言う店にいそうだなと教える。

その後、「ピンキー」の側の公衆電話に入った秀を見つけたジョーは、扉の裏に身を隠し、秀が回すダイヤルの長さを自分の腕時計で計算し、かけた相手の番号を知ると、秀が出た後同じ番号を回し、子供が大変なんです、吉岡です、3丁目の!と間違い電話を装う。

すると相手の女は、間違いですよと言うので、え?そんなはずは?とジョーは誘導し、うちは鵣川町の共栄商会ですと相手の住所を聞き出す。

翌日、その共栄商会なる部屋を訪れたジョーは、留守番らしき娘、秋山とも子(浅丘ルリ子)から、押売りと間違えられ断られたので、おいくつ?と思わず聞いてしまう。

化粧品もノーサンキュー!などと言った後、とも子は、押売りじゃないの?とようやく気付いたようだった。

その時、机の電話が鳴り出したので、とも子を押しのけ、先に受話器をジョーが取ると、相手は君は誰かね、そこに女の子がいるはずだが?と男の声で聞いて来たので、今、昼寝の最中ですと嘘を答える。

すると相手は、羽田の邪魔者君か?と気付いたので、坂本名人のボディガードとして俺を雇わないか?もう2人の邪魔者が彫っておけば名人をかっさらうぜ、そして五万と身代金を吹っかけて来るぜとジョーは持ちかける。

しかし電話の相手は断ると言い、その女の子にも言ってくれ、今日限り首だとなと言い切ってしまう。

ジョーがとも子にそのことを伝えると、何ですって!と驚いたとも子は椅子に腰掛けようとして目測を誤り大きく転んでパンツが見えてしまう。

それを見たジョーは、君みたいなタイプはパンティ履いてないのかと思ったとがっかりする。

どうしてくれるのよ!私、パリに行こうと思って貯金してたのに!ととも子が怒るので、何しに行くんだいと聞くと、知りたい?と言うなり、とも子はジョーを投げ飛ばし、今のは払い腰、八方崩しとも言うの、私、柔道教師になるのよと言う。

城南大の仏文にも行ってるのに…、今の相手の電話番号教えてよ、私雇われただけでいつも電話は向こうからかかって来るだけなのととも子が言うので、じゃあ、どうやって雇われたの?とジョーが聞くと、お金に困ってアパートを追出されそうになた時、管理人のおじさんが紹介してくれたの、月2万だから良いかなって思って受けたのと答えたとも子とも子は、私これからあなたについて行くわ、失業したから!などと言い出す。

とも子のアパートの管理人を訪ねると、管理人の長井(山田禅二)が、あの男、ここに来ますぜと誰かに電話をしている所だった。

おじさん!と電話を終えた長井を呼びかけたとも子は、あの仕事辞めさせられたのよ、今月分の給料ないんですって、労働法違反でしょう?社長の居場所分かる?と聞くので、土方と言う人で横山町のキャバレー「モンテカルロ」にいるだろうと教える。

ジョーはとも子をメッサーシュミットに乗せ「モンテカルロ」にやって来るが、俺は君を相棒とは思ってないぜと釘を刺すが、柔道2段、合気道3段よととも子は睨んで来る。

何かあったら、新宿の喫茶店「プール」で会おうとジョーはあらかじめ打ち合わせしておく。

その頃、人気のない場所でダンプの健が捕まえ紺野をダンプの荷台の下に縛って寝かせ、荷台を下げて押しつぶす振りをしながら坂本名人の居場所を自白させようとしていた。

ちょっとしたハンバーグステーキだな?などと健は脅すが、止めてくれ!と紺野は恐怖で喚いていた。

キャバレー「アカプルコ」の支配人室では、土方が、どうだ?と聞くと、あれだけ張り込んでいるんで、ジョーて奴が魔法でも使わない限りは入れませんぜと秀が答える。 キャバレーの入り口には何人もの子分が監視していた。

そこにやって来たのは紺野を助手席に乗せてやって来た健のジャリトラで、妙だぞ、見張りの数が多いな?と店の様子を見て健が怪しむ。

紺野は知りませんよと言うが、このハジキを知っているか?と取り出した健は、コルトパイソン357マグナムって言うんだ、この中から頭狙っているぞと服の中に中を隠し紺野を脅し、一緒に降りる。

すると、入り口を見張っていたクロちゃん(黒田剛)が近づいて来て、こんな所にジャリトラ止めやがって!と健に文句を言うが、一緒に紺野がいるのに気付くと、兄貴!と驚き、さっきから社長が呼んでましたよと伝える。

支配人室で外の様子を見ていた子分が、ジョーの代わりに紺野の奴があのひょろっとした奴と来ますと土方に教える。

支配人室に入って来た健を待ち伏せていた秀が銃を付きつける。

その頃、表でジャリトラの番をしていたクロちゃんに、近所のホステスが近づいて来て、黒ちゃん!探してたのよ、このお勘定払って!と迫って来るが、その隙にジャリトラに乗り込んだとも子は、ジャリトラをバックさせながらキャバレー「アカプルコ」の入り口に突っ込む。

店から出て来た健が、あれほど見張ってろって言っただろうとクロちゃんを殴る。

そんな騒ぎの「アカプルコ」の裏の通用口からジョーととも子が中に潜入する。

なんだおめえら?と見張りが警戒すると、ヤバくなったから、爺を他に移すんだ、社長命令だとジョーが小芝居すると、あっさり信じた見張りは、ドアを空けたので、ジョーととも子は見張りを殴って倒す。

部屋の中で仕事をしていた坂本名人は、何だ、騒々しい!と文句を言う。

店が混乱しているのに怒った土方は、速くショーを始めろ!と命じると、坂本名人の様子を見に行くが、見張りが気絶してドアに持たれかけされており、名人の姿が見えないことに気付く。

さらに部屋の奥に「上を見ろ↑」と書かれていたので上を見上げると、スタージが見えるガラス窓に「今からでも遅くない ジョー」と書かれてあった。

ジョーは坂本名人をメッサーシュミットに乗せて去ろうとするので、とも子が、私はどうなるの?と聞くと、自分のことは自分でねと言い残し、ジョーは去って行く。

平和ビル前にやって来たジョーは坂本名人を抱えて降りて来るが、そこに待っていたのは計算尺と老妻で、おじいさん!道具は亡くなるし、どうしようかと思ってたのよ!と坂本名人にすがりつく。

計算尺はずっと君のことを付けていたんだと言うので、この爺さんを俺から巻き上げうようと慕って、そうは問屋が卸さねえぜ!とジョーは睨みつける。 しかし計算尺が小さなガラス板二枚を取り出しこすり出すと、その音が苦手はジョーは一目散に逃げ出す。

共栄商会の事務所に戻って来たとも子は、テーブルの上にジョーが寝ていたので、あら?と驚き、人を置き去りにして!ヒッチガールしたけど誰も停まってくれなかったのよ!と不満を述べおじいさんは?と聞くと、卑劣な手を使う奴に連れて行かれたとジョーはぼやく。

宿泊料1000円!辞めさせらとは言え、私にはここの居住権はあるはずよととも子が要求すると、今時700円でベッド付きの部屋が借りられるぜとジョーはぼやきながらもとも子に金を払ったので、じゃあお休み!と言うと、とも子は服を着たまま横に鳴り、油断大敵火はぼうぼうと言うでしょう?などと言うので、改めて名前をジョーが聞くと、秋山とも子と名乗る。

ジョーも近藤錠次と名乗り、計算尺の野郎、ただじゃすまねえ!何とか落し前を付けてやる!と恨み言を言うが、とも子はもうそんなに食べられない!と寝言を言っているので、寝付きが良い子だなと呆れる。

翌日、再びとも子とキャバレー「アカプルコ」の前にやって来たジョーは、君は俺が店に入って5分後に行動開し、10分後に電話を鳴らすと指示し、店に入って行く。

見張りが土方にお客さんですと声をかけ、ジョーが入って来たので、直接来てくれるとはと土方が喜ぶと、大事な用件、電話じゃまずかろう?ととぼけたジョーは、いくらで爺さん売るつもりだと切り出されると、200万!と言いたい所だが、ご当地初お目見えなので100万で売りましょうと吹きかける。

しかし土方が反応しないので、90万!80万!75万!72万!と小刻みに下げて行くが、てんで話にならないぜ、せいぜい30万と土方はあしらう。

その時机の電話が鳴り出したので、ジョーは腕時計を見ながら、早すぎる!とぼやく。

しかかけて来た相手はとも子ではなく計算尺で、名人が仕切りに仕事部屋を恋しがっているぜ、東宝としても進んでお返ししたいので1000万!と言いたい所だが100万で手を打ちましょう、場所は明日午後3時警視庁の3回ロビーと一方的に言うと切ってしまう。

受話器を置いた土方は、この野郎!名人を握っているなんて言いやがって!とジョーを睨みつけ、まさか無事に帰れるなんて思ってたんじゃあるめえな?と睨みつける。

蜂の巣になりてえか?と部屋に入って来た秀たちが一斉に銃を向けると、帰りますよと答えたジョーは無線機を取り出し、本日は晴天なりなどと言い出す。

これ、ワイヤレスマイクで、通信先にはテープレコーダーもついてますから今までの話は全部録音されており、俺に何かあったらすぐ警察に渡す手はずになっておりますとジョーは腕時計でタイミングを計りながら説明する。

その時、計画通り電話がかかって来て、受話器を取った土方に電柱によじ上って電話線を繋いでいたとも子が、今、磯崎警察署前だけど…と言うので、いきなり笑い出す。

ジョーも笑い出し、銃を向けていた子分たちもわけも分からず笑い出したので、ジョーはそのまま帰って行く。 いつまでも笑っている子分たちに、バカヤロー!と土方がどやしつける。

翌日ジョーは、側面に「チキンラーメン」の広告が描かれた宣伝カーを運転し、警視庁前にやって来る。

やがてボーカーフェースの秀とビッグの修が警視庁の中に入り、おどおどしながら3階ロビーに来ると、そこには坂本名人と老妻が待っており、ご苦労さんと声をかけて来る。

秀は封筒に入った100万を手渡すと、勘定してからと言い、老杉がその場で札束を数え出したので、秀と修は周囲を見回しながらおどおどする。

その時、表に停めてあっ宣伝カーから、警視庁の皆様に申し上げます、こちらは東京精神病院です、本日午後1時凶暴性がある老人2人が病院を脱走しました!と大音響のアナウンスが響き渡る。

婆さんの方はドングリ眼であめ玉をしゃぶっているようなしゃべり方をし…などと言う説明に気付いた老妻たちは、あれ、私たちのことじゃないの?私辛党だからあめ玉なんかしゃぶらないわよ!と憤慨するが、秀と修は刑事たちがロビーに集まって来たので身動きできなくなる。

マイクロバスの周囲にも人垣が出来るが、バスの中はもぬけの殻で、運転席のマイクの側には回転しているテープレコーダーだけが残されていた。

リベート10万くれるって言ったでしょう!などと老妻は喚き出すが、ロビーを眺められる回廊に来ていたジョーは、ロビー内での騒ぎを見て、しまった!ちょっと薬が効き過ぎたかな?と苦笑する。

その頃、銭湯から洗面器を抱えてアパートへ帰って来たとも子は、管理人室で電話をしていた長井が、名人がいなくなった?紙の方は私が調べに生きましょうと答えているのを聞き、思わず身を隠し、外出する長井をやり過ごし尾行する。

長井は中古自動車置き場に置いてあった色も状態もバックナンバーも替えた輸送車の所に来ると、中の紙幣用和紙の点検をする。

その時、見張りの男が背中にもたれかかって来たので、重いよと文句を言いながら振り返った長井だったが、見張りは気絶しており、そこにいたとも子からご苦労さんと言われバールで殴られる。

その後、坂本名人の自宅前にやって来たジョーは、そこに健と計算尺もいたので、又お会いしましたねと愛想笑いする。

3人で一緒に名人の家に入ってみると、座敷で老妻が倒れていたので驚く。

すると、障子の億からガンマン姿の坂本名人が出て来て、婆さん、いつまで死んどるんだ?と倒れていた老妻に文句を言う。

すると死んだ振りをしていた老妻が起きながら、爺さんが西部劇が好きで玩具をたくさん買って来てガンスピンやりたいなんて言うから…などとぼやきながら、自分がガンスピンの真似をやってみせる。

ジョーたちが感心していると、銃を持った秀たちがやって来たので、さすが本物、トカレフ!などと老妻は秀の銃を見て喜ぶ。

秀たちは名人の部屋の中を家捜しし、こりゃぽんこつだなと仕掛けていた盗聴器を外すと、名人、来てもらいましょうか?まだ聖徳太子のヒゲの部分が残ってますと土方は坂本に声をかける。

その時、ジョーが土方に、我々をコンサルタントに雇いませんか?と申し出たので、しくじったらただじゃすまんぞと土方は念を押す。

計算尺が契約書を取り出し土方に渡すと、ジョーは坂本名人の耳元に本物のストリップを見せてやるよと耳打ちし、計算尺は老妻の方に、リベートはこの前の2倍出すよと囁きかける。

これで共存と言う訳ですなとジョーは言い、紙を盗んだのは?と土方が聞くと、盗んだのは秋山とも子、今いる場所も分かりますとジョーは打ち明け、新宿の喫茶店「プール」に電話をかける。

秀は、例のお仕置きをやらせて下さいと土方に申し入れる。

電話にとも子が出ると、紙はどこだ?とジョーは聞く。

絶対安全な場所にあるわととも子は答えるが、輸送車を置いていたのは交番の横だった。

そこに駆けつけた秀たちやジョーに対し、ダメ!運転は私がやるととも子が言い出したので、健たちは驚く。

おまわりさん、ありがとう!と交番の警官(玉井謙介)に挨拶したとも子は自ら輸送車に乗って出発する。

やむなく、ジョーたちは、秀の運転する共栄1号と言う車に乗りその後を追うことにするが、とも子は時速20kmと言う超のろのろ運転だったので、呆れながらも、無線で「アカプルコ」の支配人室にいる土方に状況を説明する。

土方は、油断なしで付けるんだと秀に命じる。 やがて輸送車が止まったので秀が報告すると、とも子が猫を轢きそうになり助けたのだと分かる。

さらに、水天宮の交差点の真ん中ではエンスト起こしてしまったので、男たちが押して助けようとする。

やがて、やっと動き出しましたと秀が土方に連絡する。

すると今度は、輸送車の横に並んだトラックの運転手(晴海勇三)が、よお、姉ちゃん!凄い車に乗っているじゃねえか!今晩付き合わねえか!などととも子をかかかうが、とも子が相手にしないので、この野郎!侮辱しやがって!と頭に来た運転手は、トラックを輸送車の前に停め、走路を邪魔すると、降りて来て来たので、とも子も降りて柔道で投げ飛ばそうとするが、そんなへっぴり腰にやられるか!こっちは柔道5段だ!と運転手が馬鹿にしたので、今度はペンチと蹴りでとも子は相手をし出す。 秀は土方に、偉いことになりましたと実況中継を始める。

野次馬も集まって来た中、とも子は運転手を近くの噴水の中に投げ飛ばす。

何とか「アカプルコ」に到着すると、土方の子分のノッポ(榎木兵衛)がご苦労さんとねぎらう。

老妻が写真版ですと渡すと、それを受け取った長井は、さすが世界に名の知れたガンペイだと感心する。

その時、とも子は油断していた子分たちから2丁拳銃を奪い取る。

計画を打ち明けたからには俺たちを殺す気なんだろう?とジョーが言い、99%失敗すると計算尺が計画が無謀なことを知らせるが、土方は俺は1%に救われるのさと言い、部屋の外から子分たちがライフルや銃を突きつけて来る。

秀はジョー、計算尺、健、とも子を廊下に並ばせると、1人1人に銃を持った部下を脇に付けると、右向け、右!と号令をかけ地下室まで案内する。

計算尺がついている杖はここに置いて行けと命じるが、これがないとおんぶしてもらわんと行けませんよと計算尺が言うので、そのまま持って行くことを許可する。

そして、全員止まれ!右受け、右!と4人に命じると、ここが君たちの逝去の場だ、君たちは人のことに首を突っ込み過ぎたと一緒に降りて来た土方が笑う。

外では高速道路の工事をやっているから名うても叫んでも外には聞こえない、聞こえるだろう、このすぐ真下が印刷所になっているんだ、紙がドンドン千円札になって行く、今のうちに掏らないと、近々大蔵省はドイツのジオリ社から新しい輪転機を買い替えると言うからねと土方はうれしそうに言う。

殺されると分かったとも子が、こんなことだと知ってたら、もっと天ぷら蕎麦やインスタントじゃないコーヒー飲んどくんだったと悔しがる。

土方は扉の隙間からガスを出すんだと殺し方を教えると、後ろ手に縛られた4人は床に寝かせられる。

じゃあ、私はこれで…、どうか安らかに息を引き取ってくれたまえと言い残し土方は地下室を後にする。

子分たちも部屋を出て扉を閉めると、側のガス管からホースをドアの鍵穴に差し込み、テープで固定する。

事件や秦多美の上では思念と思っていたがこんな所で死ぬことになるとは…とジョーが嘆くと、これじゃドイツのアウシュビッツだ!と計算尺が嘆き、では土方はアイシュマンか?と健も続ける。

何とかできないの?ととも子は焦れ、ナイフがあるのよここに…と、自分のジーンズの尻ポケットをジョーに見せる。 ジョーはその尻ポケットからナイフを取り出そうと、縛られた後ろ手で探り始めるが、もっと下!とかもっと上と指示するとも子は、突然、エッチ!何するのよ!等と怒ったりする。

やがて、そこよ!と言うので、何とかナイフを取り出し、自分の紐を斬ろうとするジョー。

その時、ドアの外の子分がガスの元栓をひねって去って行ったので、臭い!ガスよととも子が気付く。 健!鍵穴を塞げ!とジョーから指示された健は靴を脱いで鍵穴に足を当ててガスを止めようとするが、ガスの匂いは停まったけど、靴下が臭いですねとすぐ横で寝転がっていた計算尺が文句を言う。

おい、まだか?と健が急かす中、何とか紐を切ったジョーは、レディファーストと言い、まずはとも子の紐を切ってやり、とも子が計算尺と健の紐を切ってやる。

扉の前に来たジョーは、敵は銃を持った連中が大勢いるが、こちらはベビーナイフと足手まといの女だと戦力の差を強調する。

すると、立ち上がった計算尺がしばらくこっちを見ないでくれととも子に言い、いきなりズボンを脱ぐと、右足に撒いていたカバーを外し、そこから取り出した部品と杖の一部を組み合わせオートマチックライフルを完成させる。

それを見た健は、お前、びっこじゃなかったのか!と驚く。 ジョーは、鍵穴を細工し鍵を開ける。そこへクロちゃんがどうも臭いと思ったら…とぼやきながら戻って来たので、いきなりドアを開けて蹴り飛ばす。

しかしクロちゃんの身体を探ったとも子はナイフしか持ってないぜと嘆く。

階段を上がると見張りがいるので、逃げ道はエレベーターは?と提案するが、音が大きいぜと言うことで、エレベーターの脱出口から天上に登る事にする。

一つ上の階の扉をナイフでこじ開けようとしたジョーだったが、ダメだ、見張ってやがるな…とぼやいた時、上から、なるほど、大きなネズミがいやがるなと言う声が聞こえ、3人の子分たちが覗き込んでいたので、失敗だったかと健が悔やむ。

上の階の連中はからかうように火の点いた紙などを投げ落して来たりするので、それを踏み消しながら、計算尺はライフルで応戦し3人を射殺する。

落ちて来た奴の銃で応戦していた健もすぐに弾切れになる。

そうこうするうちにエレベーターが動き出したので、奴らぶつける気だぜとジョーは気付く。

健はナイフで、ジョーは拳銃で、脱出口の下に入り込んだ敵を2人殺すと、自分たちもエレベーターの中に一旦戻る。

3人が持っている玉の合計が28発しか残ってないことを確認すると、こっちから逆寄せするか?と提案するが、80%!失敗率が…と計算尺は言う。 4階のエレベーター前で待機していた土方らは、エレベーターが動き出したので、来るぞ!4階だと身構える。

やがてエレベーターが4階に到着し、扉が開いたので一斉に発砲するが、弾が当たり転がり落ちたのはジョーたちが抱えていた仲間の死体で、その背後に身を隠していたジョーたちが一斉に発砲し、土方以下その場にいた子分たちは全員死亡する。

(葬送曲が流れる中)敵が全滅したかジョーたちが確認していた時、とも子は首筋に何か冷たいものが落ちて来たので見上げると、脱出口の上に落ちて死んでいた死体から流れていた血だと気づき吐きそうになる。

その時、事務所の電話が鳴り出したので、どうするか迷ったジョーたちだったが、出ないと向こうの奴が変だと感づくかもと考え受話器を取る事にする。

すると相手は香港の王(ワン)だと名乗ったので、取引相手だと気づく。

社長はいますか?と言うので、ハンカチで通話口を塞いで声を変え、しゃちょうはちょっと身体を悪くしててんと答えると、困りましたね、5日後に間に合いますか?と王が案じるが、とにかく磯子の埋立地に日曜正午、良いね?と王は言って切る。

一旦は安堵したジョーだったが、今の電話で思い出したんだがガンペイ(偽札)はどうなる?と言い出す。

今や所有権は誰もないと気付いた4人は地下室へと向かうと、そこの印刷所では坂本名人と老妻が偽の千円札を黙々と刷っていた。

1人頭2億7000万だぜと計算尺が素早く計算すると、君たち一体どうしたって言うんだ?と坂本名人が聞いて来たので、連中はロケットに乗らないと行けない世界へ行っちまったんだとジョーは答える。

それを聞いた坂本名人は、惜しいことをしたな、奴らの為にちょっとした細工をしたのに…、君たちが相手だったら、もっと本物らしくしたんだがな…などと言うので訳を聞くと、坂本名人は裁断し終わった偽札を目の前で平らにしてみせる。

ジョーたちも同じように目の前に千円札をかざし、それを徐々に水平にしてみると、何と、聖徳太子のヒゲがある角度になると逆向きになることが分かる。

だっこちゃんがウィンクする原理と同じじゃよと坂本名人は自慢するが、これでは使い物にならないと気づいた計算尺たちはふけようぜと言い出す。

しかしジョーはお先にどうぞ、おれはもうちょっとガンペイを見ていたいんだと言うだけで動こうとしないので、怪しんだ計算尺がガラス片を似まい取り出すと、言うから勘弁してくれとそれを止めたジョーは、構うことねえってことさと言う。

ガンペイとドルを替えれば良いだけだとジョーが言うと、バレたらどうする?と件たちが心配するので、上だけ本物にしとけば良いだろう、1万800束にした場合、一番上に置く本物は1080万…と計算尺が計算する。

とても揃えられる金額ではなかったので意気消沈していると、108万だけ揃えたら?ととも子が提案する。

それを聞いたジョーは、相手がそれ以上見る余裕を与えなければ良いんだと気付く。 108万なら、1人頭27万だけ用意すれば良いことになる。

早い所刷って逃げようじゃないかとジョーが言い、全員協力して偽札を刷り出す。

日曜日、カモフラージュは札束の2段目までだとジョーは言い、車の所に残るとも子には合図のポーズを伝え、じゃあ出発だと言い、件と計算尺とそれぞれトランクを1つずつ持って埋立地の相手方へ近づく。

相手方も3人がそれぞれドル札を詰めたトランクを1つずつ持って近づいて来る。

両者が鉢合うと、それぞれのトランクをその場に置き蓋を開けると6人全員が位置を変わり、相手方の札の確認を始める。

王(藤村有広)が札束の三段目を取り上げそうになったことに気付いたジョーは、後頭部をかく合図のポーズをする。

それを見たとも子は持っていたサイレンを鳴らそうとするが、ハンドルが重くてなかなか音が出ない。

その間、王は三段目の札束を取り上げ何か異変に気付いた様子だったが、とも子のサイレン音がようやく聞こえて来たので、王たちは騒ぎ出し、それぞれ確認を止め、相手方のトランクを持って逃げ出す。

ジョーは、ざまあ見やがれ、引っかかりやがって!と喜び、車の所へ戻って来るが、その時、本物のパトカーや消防署が駆けつけて来たことに気付き、まだ懸命にサイレンを回していたとも子のサイレンを止めるとその場を逃げ出す。

乾杯!坂本名人の自宅に戻って来た4人は老妻も交えて、作戦成功の乾杯をしていた。

坂本名人は、良かった、良かった、わしの芸術が役に立って良かった…、108万で買われたのと同じだと満足そうだったが、香港から巻き上げた奴を1枚見せてくれと頼む。 そして受け取ったドル札を見た坂本名人は急に笑い出す。

こりゃ、和紙が香港に行って作った奴だ、ジョージ・ワシントンの顔を見てみろと言い出す。

ジョーたちがドル札を水平にしながら見ると、ジョージ・ワシントンの口から赤い舌が出て、片目をつぶることが分かる。

危いことなら銭になる!(と4人が叫ぶ)と、ノー!と返事があり、終
 


 

 

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