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新・事件記者 大都会の罠

東京映画版の新シリーズ第二弾だが、今回は地方で起きた事件の取材の為、前線基地を設置して取材する各社の記者たちと地方の通信員にスポットが当たっており、空撮など全体的に映画的な撮り方が強調されている。

メインとなる東京日報の活躍だけではなく、今回は中央日日のガンさん始め、他社の記者のスクープ活動も描かれており、その分、東京日報の印象はやや薄めになっている。

冒頭から登場するのは懐かしい漫才コンビ「Wけんじ」で、のんきそうな2人の会話と、その足下の別荘内の凄惨な現場の対比がまずは見事。

「やんなっ!」などと言う「Wけんじ」お馴染みのギャグも披露している。

前作に続き大空真弓さんは別のキャラクターとして登場しているが、何故か、前作でメイン扱いだった寺井記者(三上真一郎)はいなくなっている。

代わって、地方局員として「七人の刑事」でお馴染みの芦田伸介さん、そして工藤刑事役の梅津栄さんが参加しており、他にも松尾嘉代さん、福田豊土さんなどが出演している。

おそらく、人気テレビドラマ「七人の刑事」メンバーと「事件記者」の共演がキャスティングの狙いだったのではないか。

この当時から映画はテレビ人気に便乗していたと言うことかもしれない。

過剰な取材合戦が加害者の家族を精神的に追い込んだり、国籍による偏見報道の二次被害など問題提起も含んでいる。

食いしん坊のガンさんは相変わらず活躍するが、今回東京日報で活躍するのはベーさんこと長谷部記者で、出張キャップになっている。

そして相変わらずヤマさんこと山崎記者(園井啓介)の印象は薄い。

村長こと村田部長刑事の粘り強い捜査描写もある。

全体として「事件記者」の出張編のような異色な感じはするものの、単発の事件捜査ものとしての出来は悪くないと思う。

ただシリーズとしては、日活版も含め、当初新人だったガンさんも前線キャップにまで出世しており、他社の活躍も描いているし、山長や村長の活躍も描いているし、映画としてはほぼ描き切ったような雰囲気があり、何となく末期感が漂っているような気もしないではない。 
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1966年、東京映画、島田一男原作、高橋二三脚色、井上和男脚色+監督作品。

ブルドーザーが整地している造成地の空撮

「青空があなたのもの 太陽住宅」と書かれた看板が傾きかけている。

給水車にポリバケツをいくつも下げた主婦たちが水をもらいに急ぐ。

その造成地の上の方になる「鬼頭」と表札が出た別荘では、水槽から水が漏れていた。

そんな別荘の窓から中を覗きながら、鬼頭さん!誰もいないぞ?と困惑していたのは、その日呼ばれていたペンキ屋岡島二(宮城けんじ)だった。

一緒に来た相棒の松下(東けんじ)が、頼まれたことやりゃ良いんだと声をかけ、梯子を使って屋根に上ると、良い景色だな〜と感激する。

でも、水が出るのはここだけで、これから下の分譲地では水が出なくてぶいぶい言ってるらしいぜと2人のペンキ屋が雑談している時、下の別荘内では鬼頭(伊沢一郎)をはじめ、男女2人ずつのカップル3組、計6人全員死亡していた。

タイトル

警視庁内桜田記者クラブ内の中央日日の部屋の前で、のんきに両手に持った団子を食っていたのはガンさんこと岩見記者(山田吾一)だった。

キャップたちは麻雀を打っていたが、その時、「東京日報」の部屋の電話が鳴たので、ベーさんこと長谷部(原保美)が電話を取り、内容を聞いて相沢キャップ(永井智雄)を、お宅の奥さんからとごまかし呼ぶ。

電話口に出た相沢キャップは、何?6人…と驚く。 その声が気になるらしい中央日日のシロさんこと白石記者(近藤洋介)の気を惹くように、東京日報のイナちゃんこと伊那記者(滝田裕介)が、麻雀しましょうかと声をかける。

電話を終えて共用スペースに戻って来た相沢キャップは、親戚から爺さんや婆さんが6人もやって来て、女房がぼやくこと…とごまかしていると、他社の電話も鳴り始め、それを受けた新日本タイムスのクマさんこと熊田キャップ(外野村晋)は、アイさん、うちにも6人の家族が来るんだよと笑いかける。

そんな中、中央日日の電話だけならないので、焦れたウラさんこと浦瀬キャップ(高城淳一)は本社のデスクに電話を入れ、何か入ってないの?6人とか何かの…と問い合わせるが、ガンさんはのんきに、みっちゃんこと光子(八木千枝)にお茶を注文していたので、ウラさんはバッキャロー!と怒鳴りつけ、シロさん!と急かす。

しかし、シロさんと一緒に外へ飛び出すたガンさんだったが、どこ行きゃ良いんだよ?教えてくれよ!と次々に出発する他社の車に乗り込んだ記者たちに聞き回るが、誰も教えてくれない。

そこに中央日日の車が到着したので、それに乗り込んで他社の車を追いかけ始める。

キャスト、スタッフロール

抜きつ抜かれつ、事件現場の南多摩方面に向かう各社の車の空撮

現場は焼け跡になっており、南多摩署による現場検証が行なわれていた。

各社の記者はそれぞれの通信員たちと合流するが、中央日日のガンさんとシロさんは、通信員がいないことに気付く。

各社の記者たちは夕刊に間に合わせたいと言い説明を急かすが、南多摩署の橋本署長(永田靖)は、志望した6人のうち、身元が分かっているには、別荘の持ち主の鬼頭周作だけで、事件が発覚したのは朝6時…などと分かっていることだけを発表する。

そんな現場の周辺に集まっていた地元の野次馬に混じり、ペンキ屋の岡と松下も除いていたが、関わり合いになるの嫌だから、昨日来たこと言うなよと岡は松下に念を押す。

そんな中、イナちゃんが、鬼頭さんのこと知っている人?と呼びかけながら証人を捜していた。

しかし、これじゃあ金が取れないぞと岡が気付く。 一方、地元のタクシー会社には刑事が押し掛け、昨夜、鬼頭さんの別荘に乗せて行った人いないかと聞いていた。

配車係(矢野宣)は、それだったら藤田と富永だが今日は2人とも明けです。

昨夜は2台、黒猫から…、住吉町のバーですがね、電話があったと答える。

早速、そのバー「黒猫」に向かった湯浅主任(館敬介)と地元署刑事だったが、出て来たバーテン(稲吉靖)は、ママなら留守だぜとめんどくさそうに答える。

ママさん、死んだよ、ちょっと署まで来てくれと湯浅主任が教えると、ママ死んだって本当ですか!とバーテンは顔色を変える。

遠藤刑事(藤岡重慶)らは、富永運転手の自宅を訪ねるが、妻の菊枝(瞳麗子)は、主人が何か?と聞いて来る。

一昨日の夜、客を乗せてまだ帰って来ていませんと言うので、パチンコですか?と遠藤刑事が聞くと、家の人は明けになったらまっすぐ帰ってきます!と菊枝は怒ったように答える。

藤田さんも言い合わせたように帰らないとはね…と、同行の地元署の刑事も不思議がる。

その後、鬼頭の自宅から事情を聞き終えた遠藤刑事らが帰る中、門の外では記者たちが何とか中に入ろうと騒いでいたが、屋敷の中では妻のしげ子夫人(三戸部スエ)が、別荘に行ったことは知らなかったと、何とか先に屋敷の中に入りこめた中央日日のガンさんとシロさんの前で泣いていた。

ガンさんは台所に来ると女中に、君の写真ないかな?新聞に大きく載せたいんだよ、ついでに社長の写真もあったら借りたいんだけど、あくまでそっちはついでだけどねなどと調子に良い事を言っていたが、女中が自分の写真を探しに行った時、勝手口から顔を覗かせたのがペンキ屋の岡と松下だった。

ガンさんが用向きを聞くと、ペンキの代金を頂きに来ました、昨日の昼間別荘の屋根の上を塗ったので…と言うので、それ誰かに話しました?払ってやるけど…とガンさんは興奮を抑えて答える。

そこに女中が、あんまり良いのなかったけど…などと言いながら自分と鬼頭の写真を持って来る。

それを受け取ったガンさんは、煙草吸いながら塗ったとかないかな? それじゃ、俺たちが火事の原因だと言うんですかい?といきり立った岡は、ダイコンじゃないですか?レンコン?怨恨じゃないですかと松下がぼけまくるので顔を叩いて、「やんな!」と言われる。

あの別荘の下の方は「太陽住宅」と言う所が分譲地を売り出したんですが、水は出ないは、駅まで10分どころか、泥んこ道を1時間も歩かなければ行けなかったりと嘘ばかりとペンキ屋はべらべら情報を教える。

単なる怨恨で無関係な人間を5人も殺すかな? プロパンガスのコックをひねったのは誰か? 覗きをやってた男では?男ってこれ好きでしょう?と岡が小指を立ててにやつく。 ペンキ屋への支払いは53000円と聞き、高いな…とガンさんはぼやく。

南多摩署の取調室に来た「黒猫」のバーテンは、事件当夜「黒猫」の2階で寝ていたと言うので、何故別荘に行かなかったんだ?と刑事が聞くと、ラーメンを食いに行きましたと答えたので、あんたのアリバイはっきりして欲しいんだ、6日の夜、被害者たちに会ったのは、あんたとタクシーの運転手くらいしかいないんだと刑事は食い下がる。

その頃、山長こと山本部長刑事(野口元夫)は記者たちを前に、ガイシャ4人の身元が判明したと発表したので、不明は後1人だけか…と記者から声が聞こえる。

バーテンのアリバイがはっきりしないんだが…と言っている所に「別荘焼死事件」と書かれた本部に張り出される紙が持ち込まれて来る。 山本部長刑事の状況説明が続く。 事件現場は南多摩駅から車で20分の太陽住宅地の上部。

判明した被害者はバー「黒猫」のママ宮下ユリ子(阿部百合子)32歳、長沢寛治42歳、麻雀屋の主人大岡、ホステス小川鈴子(金子勝美)20歳、鬼頭社長の側で死んでいた40歳程度の女性の身元はまだ不明だと言う。

死亡時刻は?との記者からの質問には、解剖の結果を待たないと…と答えた山本部長刑事は、頭部に鈍器の痕があったのでは?と聞かれると、火事で天上が崩れて来た傷とも考えられるので、今の所、他殺、無理心中、他殺の3つの可能性で考えていると言う。

その頃、村長こと村田部長刑事(宮阪将嘉)が山本部長刑事に、タクシーの運転手が2人ともいなくなっていると耳打ちして来る。

それが聞こえたのか、ベーさんが、運転手はどうなってるんですか?と質問する。

一方、桜田記者クラブの中央日日のウラさんの元にガンさんから電話が入り、鬼頭未亡人談話独占とペンキ屋の証言が取れたとの連絡があったので、さすがだね、ガンさん!と褒める。

東京日報の部屋では、どうなってるのかね、ベーさんは…と八田老人(大森義夫)がぼやくので、待ちましょうと相沢キャップは答える。

ベーさん達は地元の通信員石川六造を訪ねて自宅にやって来るが、編み機を自宅で教えていた娘の信子(大空真弓)は、本社から連絡がなかったから外出してますと言う。

石川さんがいないので本部の設営も出来なくて…、どこか宿を知りませんかね?とベーさんが聞くと、新宿屋にいるのでは?宿屋ですと信子は教える。

新宿屋に行って見ると、現れましたね、石川六造ですと挨拶して来た石川(芦田伸介)は、見知らぬ2人の男と酒を酌み交わしていた。

前線キャップのベーですと長谷部記者が戸惑いながら挨拶を返すと、運転手さんですと石川が紹介したのは、行方不明だったタクシーの運転手、藤田(富田仲次郎)と富永(福田豊土)だった。

石川が2人の身柄を素早く押さえていたのだった。

6人で別荘まで歩けそうにない、鬼頭社長の車は車検のため出してあった…と言いながら、写真の未現像フィルムをベーさんに渡しながら、私は地方記者だ、パチンコの大量の偽玉が発見されたと知らせがありましてね…と言うとさっさと出て行ってしまったので、ちょっとした侍だね…と驚いたようにイナちゃんこと伊那記者(滝田裕介)が石川のことを見送る。

昨夜「黒猫」に呼ばれたのは12時少し前、鬼頭社長たちはすっかり出来上がっていましたねと藤田が当夜のことを話し出す。

(回想)藤田は店からビールの箱などを車に運び込む手伝いをする。

(回想明け)車に乗った人達はみんな容器に騒いでました。

社長さんを挟んでマダムと奥様風の人がもめている風でした、何か事情があったんじゃ?と藤田は言う。

(回想)別荘に付いたので、又藤田はビールの箱を別荘まで運ぶ手伝いをするが、その時、社長が棄てたのか、くすぶった煙草が落ちていたので靴で踏んで消す。

(回想明け)私たちも飲んで行かないかって誘われたんですけど、飲酒運転になるますから…と藤田は苦笑しながら言うので、三角関係か?とイナちゃんは考え込む。

桜田記者クラブの東京日報の部屋でその連絡を受けた相沢キャップは、運転手の談話独占?と喜び、石川六造ね…、八田さん、聞いたことありましたね?と地方記者の名前のことを聞く。

八田老人は、以前、本社に石川と言うのがいたねと思い出す。

運転手の件は村長さん呼んで紳士協定結んだら?と八田老人は提案する。

一方、ガンさんはもも焼きを食いながら中央日日のウラさんに電話を入れて来て、お客さん!どうぞ!などとガンさんの呼び声を聞き、お前、どこにいるんだ!とどやされると、うち、通信員がいないから、温泉マークにいるんですよとぼやく。

それを聞いたウラさんは、いつから温泉マークで客引になったんだよ!とどやしつける。

南多摩署で中原課長(稲葉義男)は、現場に残されていた靴跡の一つはかかとが斜めになっており、ドライブの靴ですよと報告していた。

菅井室長(松本克平)は山本部長刑事から、プロパンガスが自然爆発するとは思えませんね、バーテンは博打場に出入りしていたらしいと聞くと、ガイシャの1人は小指がなかったと言ってたね?大川と言う麻雀屋の支配人…、暴力団の匂いがすると言う。

工藤刑事(梅津栄)から「黒猫」のマダムは男手入りが激しかったようだね?と聞かれていた運転手の富永は、水虫が酷くて…、夏は靴は履けませんよとこぼす。

村長はもう1人の運転手藤田から事情を聞いていたが、藤田は2人のご婦人が気にかかると言う。

温泉マークに泊まり込んでいた中央日日のシロさんは、東京日報の運転手談話を読み悔しがっていた。

そして、帰って行くアベックを見送りながら、昨夜あいつらがイチャイチャしやがって練られやしないよ、ガンさん、ドヤ替わろうよと勧める。

石川の自宅では、ご飯よと呼びかける信子に、自転車の状態を見ていた石川が生返事をするので、お先に頂きます!と言いながら食べ始める。

運転手の記事出てたわよねと信子が言うと、こう云うのはいつも抜いたり抜かれたりさ…と言いながら石川が食卓へ来たので、ひがんでるの、お父さん?と信子が問いかける。

そんな風に聞こえたか?父さんには地方版の報道って仕事があるんだと石川は言うので、タッチしないの?と信子が聞くと、この世界は記者のセクショナリズムが支配してるんだよと言う。

帰りは遅くなるかもと言い信子が出掛ける準備をし出した時、石川を訪ねて来たのは運転手の藤田で、鬼頭さんを送った後、シートの隙間に落ちとったのを忘れていたので…と言いながら製麺保険のパンフレットを差し出したので、お預かりしておきましょうと石川は受け取る。

何?と信子が聞いて来るが、いや、何でもないと石川がごまかしたので、変なお父さんと信子が言うと、お前はお父さんのすることに興味を持ち過ぎだと石川は答える。

お母さんのせいよと信子が言うと、自分のことだけ考えていれば良いんだと石川が言うので、ブラザーの名古屋本社から小行って言われているのよ、そうなるともう三度三度の食事も作ってあげられないかもよと信子は言う。

食べることなんかどうにでもなるさと石川は答える。

山長の記者たちへの発表があり、器官にやけどがなかったことから、ガイシャたちの死因は火事のある前に死亡していたものと考えられると言うので、ガスでの窒息の可能性は?と記者が聞くと、ガスが溜まる高さは1時間1cm、現場のベッドの高さは50cm…と山長が言うので、窒息するまでに50時間もかかるのか!部長はっきり教えて下さいよ!プロパンがどうしてもれたか?と記者が聞くと、元栓に付いた指紋は「黒猫」のマダムのもんじょだけで、風呂に入るためかもと山長は答える。

シロさんが、火が消えたのもその時ってことですか?と聞き、事故死と他殺説に偏っているようですが?とベーさんも聞くと、自殺か他殺はまだ決めてないと山長は答える。

桜田記者クラブでは、八田老人と相沢キャップ、ウラさんらがソフトクリームを食べながら事件を推理していた。

大岡を雇ったのはバーのママなんですよ、大岡の小指短かったそうですよなどと山さんこと山崎記者(園井啓介)が情報を伝えていた。

死因は事故死と考えられるねなどと話している所へ、他殺ですよ、もちろんと言いながやって来たのがガンさんで、ウラさんの前に来ると、破産ですよと金がなくなったことを明かす。

お前、前線キャップだぞ!それが温泉マークに停まるなんて金の使い方を知らなすぎるよと売らさんが叱ると、だって前線本部がないんですから…とガンさんがすねると、甘えたこと言うな!とどやしつける。

(夜討ち朝駆け座り込み~、掴んだネタはガセネタか~♩と挿入歌が流れ)

ウラさんは黙って金を差し出したので、すみません、こんなにたくさん!とガンさんは感激し、それをウラさんはにこやかに見つめる。

石川は、豚が子豚を20匹も生んだと言う農家の取材に来ていた。

その後、前線本部の新宿屋に立ち寄った石川は、動機は生命保険ってのは考えられませんか?実は藤田がこんなものを持って来たんですよとベーさんにパンフを渡し、ここに世田谷支店とあるでしょう?と指摘する。

ヤマとは無関係かもしれないが、頭の片隅に引っかかるんだと石川は言うので、頂きましょうとベーは言って受け取る。

石川が帰ると、イナちゃんがけったいなおっさんだと面白がるが、ベーさんはそんなイナちゃんにパンフを手渡し、今日中にこれを満って東京に言ってくれと頼む。

世田谷支店の人事課員(浜田寅彦)は、佐々木はここの勧誘員ですが、ここ2〜3日出車していませんよと言うので、佐々木あやさんの勧誘は何人くらい?とイナちゃんが聞くと、それはお教えできませんと言う。

課長のためメンバーが揃うんですがね?とイナちゃんは麻雀接待に誘う振りをするが、お断りしますときっぱり言われてしまう。

その後、桜田記者クラブで相沢キャップとあったイナちゃんは、鬼頭社長は健康診断を受けており5000万の加入している可能性があると報告する、鬼頭社長の契約が完了していたとすると、御堂人に5000万入るが、契約前だったとすると無意味になる、佐々木綾は杉並のアパートで一人暮らしで、月一度必ず出掛けていたらしいと報告すると、頂こうとキャップは答え電話をする。

東京日報の紙面に「謎の女 第三国人」との見出しが踊り、特ダネを抜かれたウラさんはガンさんに、バカヤロー!と電話で叱りつけ、奴ら帰って来たら全員整列だ!とぼやく。

前線基地の新宿屋では、浅野記者(綾川香)らがランニングとパンツ姿で寝そべっていたが、お客さんですよ、きれいなお嬢さんが2人!と宿の人が知らせに来ると、急に上着を着ていそいそと出迎えに行く。

しかし浅野記者がベイさん、佐々木あやさんのことで会いたいと…と言いながら連れて来た光枝(松尾嘉代)としのぶ(赤沢あさ子)は表情が硬く、あまりに酷過ぎます!佐々木あやは私たちの母ですと言う。

三国人と言うだけでどうして誤解されなければいけないんですか?と光枝が言うので、あやさんは世田谷のアパートで1人で暮らしておられたのでは?とベーさんが聞くと、母は国籍のことを酷く気にしていたので、わざと一緒に住んでいなかったんです、月一度の外出は私たちの所に来ていたんです…、それを…、新聞はデタラメです!鬼頭さんと何とかかんとか、あんまりよ!これじゃお母さん可哀想…と良い、姉妹は泣き出す。

私たちは母が三国人であることを恨みません!と光枝はきっぱり言う。

あなた方には分かっていただけないでしょう、母は悪いこと1つもしていない被害者なんです、記事を描くの止めて下さい!と訴えている間、外から「上を向いて歩こう」の曲を奏でるチンドン屋の音が聞こえて来たので、一緒にいた石川はそっと硝子戸を閉める。

姉妹が帰ったので、ベーさんが石川の所に来て再び硝子戸を開ける。

宿の前は商店街になっており、チンドン屋はそこでまだ演奏をしていた。 あんたが他派ストレートにヤマをおえば良いんだよ…と石川は考え込むベーさんに言葉をかける。

鬼頭社長の屋敷に来た伊奈ちゃんは、しげ子夫人が何かを懸命に探している現場に出くわす。

何か探しているんですか?と聞くと、あの保険証書がないと5000万もらえないのよ!それがあればのんびり暮らせるの!あなたも探してよ、保険会社に電話したら、払い込みの受け取りが見つからないと無効になるんですって!外交員からまだ書類が届いてないの!としげ子夫人は言いながら、部屋中を探しまわる。

夕方、屋台のラーメン屋の前に来た村長ら刑事たちに、同じようにラーメンを注文しながらベーさんは、村長さん、やっぱりダメですか?と聞き、畜生!片っ端からシロだ!と浅野記者も悔しがる。

その頃、最近毎晩のように飲んで帰るようになった富永が帰宅し、何白んでいるんだよ!と富永が絡んで来たので、待ってたのよ!と菊枝が苛立ったように答えると、誰が大岡と付き合えと言ったんだ?と聞いているんだよ!と富永がしつこく聞くので、堪忍してあなた!と言う菊枝に、富永は、頼みもしねえことを勝手にしやがって!と罵倒するので、とうとう菊枝は泣き崩れる。

翌日、南多摩署に来た富永は、私の口から出たって内緒ですよと前置きし、実はあの夜「黒猫」から呼ばれたのは僕と吉川なんですよと刑事に打ち明ける。

(回想)吉川や他の運転手たちがテレビに夢中になっていたので、帰宅しようとロッカー前で着替えかけていた藤田が、僕が代わってやろうか?と声を出す。

(回想明け)藤田は自分から買って出たって言うのか?と刑事は念を押す。

藤田は1年前まで不動産屋を経営していたが、鬼頭さんに乗っ取られたんですってと富永は教える。

村長こと村田部長刑事はその後、藤田が勤めるタクシー会社にやって来て、休憩時間、ヘボ将棋をやっていた運転手をからかう。

そこに藤田が仕事から帰って来て、靴を脱ぎ、休憩室の畳に横になる。

その靴に目をやった村長は、軽くて履き良いね、俺もこう云うのにするかな?などと言いながら藤田の靴を履いてみて、手洗い借りるよ、嫌だね、年寄りになると近くって…などとぼやきながら便所に入ると、履いて来た藤田の靴と、現場に残されていた靴の足形の写真を照合し始める。 その後、村長は藤田の運転するタクシーに乗り南多摩署に戻って来る。

署に待機していたガンさんらはアイスを食っていたが、村長が藤田を連れ署内に入って来ると、料金足りなかったので払うんだよと言いながら刑事部屋に向かうのを見逃してしまう。

そんな中、「新日本タイムス」のセイカイどんこと青海記者(前田昌明)だけは臭いな…と気付く。

山長こと山本部長刑事の方は、記者たちへの定例会見の席、何もありません、他殺、自殺両面でやっているが、他殺の裏付けがないと発表していた。

無理心中と判断することもないと他の刑事が付け加える。 プロパンガスも誰が栓をひねったか分かってないんでしょう?とシロさんが食い下がる。

2m50mが捜査のメインストリートになっている…と刑事は答える。 取調室に連れて来られた藤田を前に、お前さんがやったんだろう?と遠藤刑事が迫り、別荘出た後どこに寄ったんだ?と別の刑事も攻める。

そんな取調室の裏口に身を潜めていた記者は、中の声を良く聞こうと近づき過ぎ、バケツに入っていた水をかぶってしまう。

すると藤田は重い口を開き、石黒と言う家に行っていた…、金を届けに…と打ち明ける。

1週間ばかり前、泥んこ道でスリップをし、おばあさんを撥ねたんです、調べてもらえば分かりますが、私には前もあり、石黒さんには表沙汰にしないでくれって頼んだんです、又事故ったと分かった私は失業しますと藤田は言うが、そんなことで通じると思っているのか?今晩停まってもらうことになるよ?と刑事たちは脅す。

その時、君、ちょっと靴を脱いでごらんと村長が言い、どうかね?君の靴とぴったり合うんだと言いながら、現場に残っていた足形の写真と並べてみせる。

「藤田運転手の容疑濃厚」と言う記事が載ったのは「新日本タイムス」だけだった。

セイカイどんにすっぱ抜かれたと知った他社の記者たちが、蚊に刺され薬を塗っていた青島記者に嫌みを言って来たので、セイカイどん、風当たりが強くなって来たなとクマさんが苦笑する。

馬には乗ってみろ、たまには蚊にも刺されてみろさと青島記者は笑う。

喫茶店「アボニー」にやって来て塞ぎ込む相沢キャップに、マスター(清水元)が、いつも日報さんの独創ばかりじゃつまらないからねと慰め、特別性のモカベースだと言う「コーヒーロイヤル」を作ってやる。

前線基地の新宿屋に「ニッカウィスキー」やイナちゃん用にやっちゃんからの着替えを持って陣中見舞いに来たのは八田老人だった。 ベーさん、頼みますよと八田老人が声をかけると、べそをかきながら張り切るかとベーさんは苦笑する。

六さん、やっぱりあんただったかと八田老人が声をかけたのは石川六造で、この人こそ226事件をすっぱ抜いた人だよと若い連中に教える。

翌日も引き続き取り調べられていた藤田は、あんた昔、鬼頭社長に会社乗っ取られたんだってな?鬼頭、バーのママ、佐々木あやの三角関係なんて言ってたけど、調べてもないそんなことはないらしいんだよ!と刑事は攻める。

教えてやろうか?金を渡した帰り道、あんたは又別荘に戻ったんじゃないかね?と村長が指摘する。

(回想)浴室では、バーのママとホステスが、一緒に風呂に入っていた鬼頭チョリ先に着替えて出ようとしていた。

鬼頭は酔ってたし、裏から入り込めば機会はあっただろう?プロパンの栓をひねる、ガス漏れによる中毒死、良くある事故だしね…と村長は続ける。

犯罪者の心理で、鬼頭がどうなったか心配で、様子を見に行ったんだろう?

(フィルムの巻き戻し)早朝、一旦別荘から逃げかけた藤田が別荘に後戻りする様

(回想明け)6人も死んでいたことを知ると、思わぬ人達まで巻き添えにした恐ろしさに、一晩考えた隙に証拠隠滅のため火を点けた!と村長は断定する。

違います!と大声を上げた藤田は、私はあの日、このドライバーシューズを履いてませんでした!帰り支度だったんですよ!と言う。

(回想)別荘でくすぶっていた煙草を踏み消した藤田の靴は白い靴だった。

(回想明け)これだけ言っても信じてくれないんですか!と藤田は叫ぶ。

ベーさんは相沢キャップに電話し、振り出しに戻ったことを知らせる。

「事件の謎深まる」との見出しが新聞紙上に躍る。

村田部長刑事も考え込んでいた。

山田部長刑事は、藤田のドライバーシューズを誰が履いたか?この一点だと思うねと言う。

男三人浴衣姿で同じ部屋に泊まり込んでいたシロさんは、俺、もう気が狂いそうだよ!トシ!もう起きろよ!と国分記者(谷沢裕之)を起こす。

するとガンさんは、もう分かった!犯人は富永しかいない!ここは勘だよと言い出す。

ベーさんも、藤田さんがシロになったこと、ご存知ですね?と富永の家に来て声をかけると入ってもらえよと富永が菊枝に指示する。

そこに中央日日のガンさんたちも駆けつけて来て、思いは同じか…と他社の動きと同じだったことに気付く。

そろそろ出掛けるんだけど?と富永が言い出したので、今日は明田と聞いて来たんですが?とガンさんが聞くと、明けだって出掛けるさ、治療に行きたいし…と言い残し富永は出掛けて行く。

その頃、南多摩署の山本部長刑事の所に鑑識から電話が入り、ドライバーシューズの中からカプロン酸エステルと言う物質が検出されたと言うので、それを聞いた遠藤刑事も、カプロン酸エステルね…、主に水虫の治療薬だと呟く。

それを聞いた工藤刑事は、富永だ!と叫ぶ。

村長が富永の家に来ると、菊枝は、富永がこんなことするはずがありません!と泣き出す。

富永はせの高い草原を通って帰宅して来るが、家の前に刑事たちが多数立っているのを見つけると慌てて反対方向へ逃げ出す。

「富永、南多摩山稜に潜入!」との新聞記事 山長らも警官と一緒に捜査に出る。 逃げる富永は「立入禁止」の立て札が立っている区域の中に潜り込む。

警察犬も投入され山狩りが続くが、そんな中、山小屋に置かれていたダイナマイトが盗まれていることが分かる。 各社の新聞記者が集まった富永の家では、菊枝が信じられませんと答えていた。

ご夫婦は巧く行ってましたか?小川鈴子と間違いがあったなんて事は?とガンさんが聞くと、もしあの人に魔がさしたとしたら、責任は全部私にあるんですと菊枝は言い出す。

今更そんなことを言われても…とガンさんが冷めた口調で言い返すと、私、売女なんです!大岡に身体を売ったんですと菊枝が言うので、死んだ麻雀屋の支配人?とベーさんは驚き、いつ、どこで?奥さん、隠さず真相を話して下さい!と聞く。

私たちの夢は、個人タクシーを開いて独立することでした…と菊枝は語り出す。 資金を増やすため、主人は賭け麻雀に手を出し、30万もの借金を抱え込んでしまったんです。

毎日毎日しつこい催促が続き、それに耐えられなくなって、私、大岡に身体を…、富永を救えるならとバカなことを考えて…、それからは私たち泥沼でした…、富永は私を恨み、それ以上に大岡を憎んだんです! 私がバカだったんです!と菊枝が言いそのまま裸足で言えを飛び出して行ったので、動機は大岡への復讐ですね!とガンさんが指摘するが、あの女、死ぬ気じゃないか?とベーさんが気付く。 イナちゃんや他社の記者たちも慌てて後を追いかける。

奥さ〜ん!奥さん、待って!と呼びかけながらベーさんやイナちゃんが後を追うが、菊枝は列車が迫っていた橋の所から身を投げる。

富永は、「こどものあそびば」と言う立て札のある施設の給食室に忍び込み、そこにあった食料を貪り食っていた。

そこに女性の先生(菅井きん)が来て富永に気付くが、富永は持っていたダイナマイトを取り出して見せたので、驚いて身動きできなくなる。

先生!桜組、取りに来ました!と言いながら、子供たちが給食を取りに来ると、トマトや沢庵を貪り食っていた富永は包丁を振りかざし、静かにしていたらすぐに出て行ってやる!と脅し、怯えて泣き出す子供たちと先生を人質にする。

そこに警察犬が近づいて来て吼える。

山本部長刑事が、富永!これ以上罪を重ねるな!と呼びかける。

村田部長刑事も裏手から近づくと、富永!奥さんが自殺したぞ!お前の罪を償うと言って…と呼びかける。

それを聞いた富永は、くそ!1人残らず殺してやる!と言いながら、富永はダイナマイトの入ったビニール袋を火が燃え盛るコンロに投げ入れようとする。

その時、遠藤刑事が背後から富永の手を押さえ、工藤刑事も飛びかかる。

暴れる富永の右手に遠藤刑事が手錠をかける。

その間、ベーさんがコンロに消化器を吹き付け火を消す。

菊枝が入院した病院に来た石川は、各社の記者たちに、命だけは取り留めたと教えると、輸血だったら言って下さい、俺0型ですと何人かが申し出る。

富永は犯人じゃないって喚いていますとベーさんが教えると、ショックだよとイナちゃんがしょげるので、インタビューがどぎつかったかもてんとベーさんも反省する。

難しいもんだな〜とガンさんも考え込む。

帰宅した石川に信子が、就職断られたわと言うので、三国人のことか?と石川が聞くと、肝っ玉小さいわね、日本の会社…と信子は言う。

そこに光枝としのぶが訪ねて来て、今すぐでなくても良いのですが、何かお世話していただけたら…と頼むので、分かりました、責任を持ってご紹介しましょうと石川は答える。

自転車で別荘の焼け跡に来た石川に、車に乗ったベーさん達が近づいて来て、石川さん、本社に戻る話があるんですって?と声をかけると、この花、誰が供えたと思います?この土地叩いて買った奴ですよ、買ったら又誰かに売るんです…、地方版の記事にうってつけでしょう? この町のそう云う連中が面白くて仕方ないんだよ、私でなきゃ分からんことが一杯あるんです…と石川は言うと、相沢君がこんなものを送ってくれましたと言いながら、万年筆を取り出してみせる。

老骨に鞭打てってことかな?豚の子を撮れと言うのか?石川六造、子供のように喜んでいたと言って下さいとベーさんに告げると、自転車に乗って走り出す。

ベーさん達も後を追い、石川が細い脇道を戻るので、そこで別れ東京へと向かう。

(回る新聞社の輪転機をバックに)終
 


 

 

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