白夜館

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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

新・事件記者 大都会の罠

NHK人気ドラマの映画化で、日活のシリーズの後を継ぐ形となった東京映画版。

記者クラブの撮り方など全般的に日活版とはタッチが大幅に違うため、前シリーズとはがらり雰囲気が違った印象になっている。

カラーになり、日活版での主役だった菅ちゃんがいなくなった代わりに、東京日報の若手としてスケやんこと寺井記者(三上真一郎)が主役っぽい立ち位置になっている。

他のレギュラー陣はおおむね元々のNHK版に準じているようだが、ガンさんは人気者らしく相変わらず目立つ一方、相沢キャップの出番は少ない印象を受ける。

代わりに、御大の八田記者が自ら朝駆けするシーンがあったり、相沢キャップが東京日々本社の営業と掛け合うなどのシーンがあるのが珍しい。

全体的に記者全体の俯瞰的な描写が多い分、一人一人の個性描写は希薄になっているような気がしないでもなく、日活版では出番が多かった山崎記者(園井啓介)と伊那記者(滝田裕介)は目立たなくなっている。

警察陣も捜査一課長と村田部長刑事以外に新メンバーが増えており、やや混乱する。

ひょっとすると元のNHK版に近づけているのかもしれないが、NHK版の記憶が希薄なので、日活版との違いの方が気になるだけなのだろう。

東宝系の東京映画らしく平田昭彦さんが出演していたり、後に「西部警察」の刑事役などでもお馴染みになる藤岡重慶さんが刑事役で登場しているのも見所。

山本学さんや大空真弓さんなど当時の若手ホープが重要な役所を演じている。

内容は、被害者側がマスコミの報道によって二次被害に追い込まれる、今で言う「報道被害」を描いている。

いくら被害者に身寄りがないとは言え、記者たちが通夜の事件現場に居座ると言う横暴な描写などもプライバシー重視の今では考えにくいと思うが、当時は実際にあってもおかしくないように思える。

あくまでもフィクションなので、マスコミ側が陥りやすい横暴さへの警告的なメッセージなのだろうが、今見ると時代を先取りしていたようにも感じる。

ただ、映画としてもの凄く成功しているかと言うと微妙で、酷くつまらない訳ではないが、何か凡庸な印象を受ける。

日活版のスガちゃんやガンさんは、まだ駆け出しの新人と言う描写が初々しく、彼らの失敗や活躍に感情移入しやすかったのに対し、本作でのスケやんは既にベテラン記者のような落ち着きがあり、三枚目役のガンさんもどう見ても新人と言う年齢ではなくなっているためかもしれない。

結果、おじさんだらけの群像劇みたいな雰囲気で、かと言って刑事物ようなシリアスさは希薄で、何となく軽薄と言うか浮ついたマスコミ連中の空騒ぎに見えてしまうところが、今ひとつのめり込めない部分なのかもしれない。

NHK版への原点回帰を計ったものの、それなりに年を重ねた出演者たち全員の初期の頃の魅力を引き出すのにはあまり成功しなかったと言う所なのかもしれない。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1966年、島田一男原作、石松愛弘脚色、井上和男監督。

国会議事堂が見える高速道路を走る車の窓を背景にタイトル、キャスト、スタッフロール

長い行列の先では目黒区公会堂で行なわれていた「夢・Qポン歌祭り」の御得意招待客たちへの土産「Qポンジュース」を配っていた。

警視庁桜田記者クラブでは、ガンちゃんこと岩見記者(山田吾一)らお馴染み連中がたむろしていた。

東京日報の相沢キャップ(永井智雄)はベイさんこと長谷部記者(原保美)と将棋を指していた。

そんな中、警視庁の司令部に、目黒区公会堂で集団食中毒が発生したとの通報が入る。

会場内では、配ったQポンジュースを飲まないで下さい!と招待客たちにアナウンスがあり、中毒で倒れた幼児たちを運ぶ慌ただしい状況になっていた。

先に情報を知り駆けつけた記者2人は、取材をしようとしたいた所へ他社の記者たちも、集団中毒だって?と駆けつけたので、特ダネフイだよとぼやく。

救急車が到着し患者たちが運び出されると、主任、原因は何です?とガンさんが主任刑事に食らいつく。

翌日、Qポン社長の牧村(金子信雄)が記者たちの前に現れ、この度がご招待したお得意様に対して大失態でありますと謝罪する。

ジュースに有毒物があるんですか?と記者が聞くと、とんでもないQポンジュースは世界のジュースです、我が社が開発した新製品なんですが、歌謡ショーでの中毒騒ぎで商品は出荷停止の大損害、Qポンは年間2億の宣伝費を使っているんですよと牧村が言うので、そんなに使って元取れるんですか?と記者たちから驚きの声があがる。

宣伝に宣伝を重ねないと売れないんですよ、時代に置いてきぼりを食うんですよと良いながら、牧村はQポンのCMソングを自ら歌って見せ、こういう歌が世間に浸透しないとダメなんですと力説する。

宣伝のし過ぎで製造管理が疎かになったなんてことはないでしょうね?とべえさんが質問すると、とんでもない、今回の件は何者かが我が社を陥れようとする策略ですと牧村が言い出したので、スリーム食品の陰謀と言うことですか?記者たちはライバル会社の名を出す。

ポンQは我が社の技術陣が作り出したものであり、昨年以来のパテント合戦は良い迷惑です、夕べの中毒事件は何者化が有毒物質を入れたんですと牧村は言う。

その後、招待客は23200人、毒物が混入していた細工されていたジュースは99個、毒物はパラチオンが検出されたとの報告がベイさんから東京日報にもたらされる。

毒は注射器で細工したらしいと言う。

その時電話があり、受けたキャップは、何!出た?死人が!と驚く。

被害者は女性で、弁当と一緒にQポンジュースが被害者の側にあった。 粗にジュースの匂いを嗅いだ刑事は、こいつは大の男もころりだよと断定する。

部屋から出て帰る山城刑事に、殺しですか?とスケやんが声をかけた所に、姉さん!と部屋の中を覗き、その場で気絶した女性に気付いたので、慌てて抱いたスケやんは、隣のお内儀(若水ヤエ子)がうちへどうぞと招いたので、隣の部屋のベッドに寝かしつける。

この方たち2人きりなんです、この方、大学の寮にいますとお内儀が気絶した被害者の妹の説明をしている時、桂冬子(大空真弓)が目覚めるが、今出たら記者連中にもみくちゃにされるからとスケやんは教える。

近くの公衆電話から須賀記者(須賀了輔)が、被害者は桂けい子、商事会社の総務課勤務!と連絡している背後には他社の記者たちが電話の明くのを待って苛ついていた。

その電話を受けていた相沢キャップは、美人のご登場?ガイシャの写真を頼んだよと指示すると、ベイさん、淀橋に飛んでもらうと言い、ベイさんは、車の手配を電話で頼む。

その背後のソファに腰掛けていた八田老人(大森義夫)が、夕べのQポンは人命に関わらなかったのにおかしいな…と疑問を口にする。

その後、ベイさんが戻って来て、夕べのQポンは倉庫から直接会場に運んだそうです、製品に触れる可能性があるのは運転手も含めざっと40人!と名簿を取り出したので、多いな、警察に任せましょう、結果を聞いて動きましょうと相沢キャップは判断する。

被害者のアパートでは、ガンさんら記者が被害者の棺桶を安置し、その側で様子を見ていた冬子に、お姉さんのアルバムはありませんか?新聞用に1枚頂けないでしょうか?とガンさんが頼む。

冬子がアルバムを取り出すと、各社の記者たちが争って写真を撮り始めたので、スケやんは、ガンさん!と注意する。

言われたガンさんがベランダの方に目をやると、冬子が寂しげに表を見ていたので、アルバムにたかっている記者たちの手から写真をかき集め、これ1枚もらって、各社で焼き増ししようと提案し、我々はキャップの顔色をうかがってやってる訳じゃないからと言い聞かせると、冬子に、仕事柄つい焦っちゃて…、すみませんでしたとスケやんと一緒に詫びる。

警視庁では、ガイシャは桂けい子、毒物はパラチオン、ガイシャは即死なんだと捜査一課長(高島敏郎)が記者たちに発表していた。

殺しと見て捜査本部を立てた所から、何かあるんでしょう?と記者たちが詰め寄るが、今は御答えできないと一課長は言う。

その時、山さんこと山崎記者(園井啓介)がガイシャは夕べの招待客なんですか?と聞くと、Qポンの名簿には載ってないと一課長は答える。

その頃、桂けい子のアパートでは、記者たちが通夜の席に居座っている中、誰が姉さんをこんな目に遭わせたの?どうして!何故なの!と冬子が突然泣き出したので、しっかりするんです、犯人はきっと見つかりますよとガンさんが慰めるが、でも亡くなった姉さんは戻って来ない!と冬子は嘆く。

そんなガンさんに他社の記者たちが、ガンさん、抜け駆けはいけませんよとからかい、しかし薄情だな、親類縁者誰も来ない…と呆れたように記者たちが嘆くと、私たち、2人きりだったんですと冬子は明かす。

姉さんに恋人は?とガンさんが聞くと、いません、私が大学卒業するまで結婚しないって言ってたんですと冬子は言う。

そこに、ようやく、けい子が勤めていた丸菱商事の上司と女子社員が数人弔問に訪れる。

アパートの階段下でタバコを吸っていたスケやんは、階段を降りて帰る女子社員たちが、けい子に恋人がいたって本当かしら?昼間の刑事さんからしつこく聞かれたわよなどと話しているのを偶然耳にする。

翌朝、自宅から犬を連れて散歩に出ようとしていた村田部長刑事(宮阪将嘉)は、八田老人が杖をついて近づいて来たので驚くと、朝駆けじゃよと笑うので、材料ありませんねととぼけるが、桂けい子の男関係調べているそうじゃないですかとスケやんからの情報を元に聞くと部長刑事が驚いたので、地獄耳じゃよと八田老人は自慢する。

翌朝、クラブにガンさんが顔を出し、熱いお茶頂戴!などと光子(八木千枝)に声をかけていると、朝帰りか?と浦瀬キャップ(高城淳一)が睨んで来て、ガイシャの妹美人だってな?と聞いて来たので、ケツに敷かれたって、あんな子なら…とガンさんがぽーっとしたような顔で答えると、バッキャロー!ふわふわ女にうつつ抜かしている場合か!とウラさんの雷が落ちる。

そこに杖をついて帰って来たのが貼った老人で、久々に裏さんのバッキャローを聞いたね、背筋がピンと伸びたよと冗談を言う。

東京日々に部屋に入ったはった老人は、スケちゃんの図星だよ、解剖の結果、ガイシャは大勢の男と交渉があったらしいと相沢キャップらに小声で教える。 それを聞いたスケやんは、まさか!と驚く。

ガンさんは又会社のアパートへ聞き込みに来ると、すでにスケやんが隣の内儀に事情を聞いている所だった。 けい子さん、真夜中だろうが、電話があると出掛けてたのよと内儀は言う。

事件の夜も?とスケやんが聞くと、あったのよ、夜8時頃点、いけない、これ警察の人から言っちゃダメって言われてのよね、誰にも言わないでねなどと内儀は言う。

スケやんがガイシャの部屋に入ると、同じ内儀に、日報さんだけと言うのは不公平ですとガンさんが迫ると、私、口固いのよ、夜8時に電話があったの…などと内儀は又ぺらぺら教えてくれる。

どうです?少しは気が落ち着きましたか?冬子さん、大学の寮だそうですね?と部屋にいた冬子にスケやんが声を掛けると、一緒に住みたかったんですけど、姉に反対されたんです、1人になる方が大人になる勉強になるからって…と冬子は言う。

そんな2人の会話を、新聞入れからガンさんが除こうとしていると、君君!何やってるの!あんまり良い趣味じゃないわねと注意しに来た隣の内儀は、自分が同じように新聞入れから中を覗き始める。

私、働きながら大学出ようと思うんです、それが学費を出してくれた姉の為にもなると思って…と決意をスケやんに打ち明け、タバコを吸い始めたスケやんに灰皿とマッチを出してやる。

そのマッチの「名曲喫茶アカデミー」と書かれた印刷を読んだスケやんに、部屋を整理していたらたくさんありましたの、良く姉が行っていたんですわと冬子が言うので、新宿ですね…とスケやんは呟く。

その後、スケやんはその「名曲喫茶アカデミー」に行ってみると、そこには山長こと山本部長刑事(野口元夫)がいたので、山長さんこそジュースなんて様になりませんよと声を掛けると、僕はこう云う音楽が好きなんだなどと山長はとぼけるので、マッチを出してみせ、桂けい子の部屋から出て来たんですよ、いつも電話で呼び出されて出掛けていたそうですよと教える。

すると山長は、公務執行妨害だなとぼやく。

記者たちのたまり場でもある料亭「ひさご」では、ガンさんとスケやんの独身者レースの話で盛り上がっていた。

それを聞いていた八田老人は、男女の仲がどう転ぶか、一寸先は闇じゃよと蘊蓄のあることを言う。

その時店に電話が入り、女将のお近(坪内美詠子)が受話器を取って、相沢さんよと教える。

受話器を受け取った相沢キャップはスケやんからの電話と知る。

ガイシャはコールガールだったんです、チャームグループと言う組織に入っていて…と報告して来たスケやんは、万札どうにかなりませんか?と相沢にねだるが、その時、電話ボックスの扉の穴から金を持った手が中に入って来たことに気付きそれを振り払う。

それはどこで気付いたのかガンさんの仕業だった。

金なきものは去れ!素敵な美人貸しますか…とガンさんは言うので、どうした?と電話で異変に気付いた相沢が聞いて来るが、事情を聞くと、そう…、やむを得んねとガンさんとの共同取材を了承する。

公衆電話からガンさんがチャームグループに電話を入れることにする。

今いる所?新宿歌舞伎町…とガンさんが電話先に答えると、週刊誌?それをどうするの?と聞く。

指定されたように「名曲喫茶アカデミー」に、週刊誌を丸めてテーブルの横の棚に置いたガンさんの前に、やがて見知らぬ女が待った?と良いながら、丸めた週刊誌を取りながらテーブルに座る。

目指すコールガールだと気づいたガンさんは、一緒に店を出ると、近くにいた似顔絵描き野村精一(山本学)の前に来て、あんた描いてもらったら?とガンさんに勧め、イカすよこの人と絵描きの方にも声をかけた女は、2000円払って、入会金として…と言うので、そう云う仕組みになってるの…とガンさんは気付き、2000円絵描きに渡す。

そんな2人の様子を山長は尾行して物陰から監視していた。

安アパートの部屋に入ったガンさんは、これだけやるから頼みがあるんだと札を二枚を取り出すと、それを見た女はうれしそうにエッチねえ!あんたと言いながらも、2枚ももらえたら悪いもん!と言うと、急いでスリップ姿になる。

桂けい子って知ってるだろう?と聞くと、知らないわと言いながら女がガンさんに抱きついて来たので、それを布団の上に放り出すと、仲間が分からないようになってるのと女は言う。

その頃表ではスケやんが、君、早い所逃げた方が良いよ、もうすぐ捕まるよと似顔絵描きの野村に忠告していた。

あんたは誰だ?と聞かれたスケやんは、味方さ、助けてあげようとスケやんは言う。

その後、ゴーゴー喫茶の中に逃げ込んでいた野村仁輔さんが近づくと、見逃して下さい、僕は単なる入会金係なんですから、警察沙汰になったら学校退学ですと野村は哀願して来る。

見覚えあるか?この子死んだよとけい子の写真を出してスケやんが見せると、知ってますと言うので、彼女の客思い出してくれないかと頼むと、僕のことも新聞に載るんですか?と野村が怯えるので、君のことは伏せるとスケやんは約束する。

遠藤刑事(藤岡重慶)らはコールガールの逢い引き現場を急襲、売春現行犯で逮捕すると同時に、山長らは売春組織を仕切っていた岡村組に突入、管理売春法違反で組長らを逮捕する。

記者クラブでは、特ダネを抜かれた毎朝の記者たちが飯を食べていたが、鶴岡キャップ(中原成男)は、こんな時、良く飯が喉を通るねと呆れていた。

そんな鶴岡キャップを特ダネを抜いた中央日々の浦瀬キャップとシロさんこと白石記者(近藤洋介)がからかっていると、立役者にガンさんが鼻歌まじりにやって来て、この度は御愁傷様と他社連中に得意顔をする。

ウラさんはガンさんのお手柄だ!と褒めると見せかけ、特ダネ掴んで頭に来たな!とからかう。 そんな中央日々の上機嫌振りを見た鶴岡キャップは、お労しいのはこっちだよとしょげる。

東京日々の部屋を覗き込んだガンさんが、スケやんはどこに行ったんです?と聞くと、どこかしら?と山さんがとぼける。

スケやんは相沢キャップとともに捜査一課長の部屋に来ており、ガイシャと一緒だった客の素性が分かったらQポンの招待者名簿と付き合わせれば良いのではと指摘し、名が出ないことを条件に、その重要な情報提供者は野村精一と言う美術学校の生徒だと明かす。

その時、スケやんに電話が入っていると光子が教えに来る。

スケやんが席を外している間、相沢キャップは捜査一課長に、胸先三寸ですよ、奴さんの身柄我が社が責任を持って引き受けるってことでどうでしょう?と申し出る。

スケやんは電話を受けた冬子に会いに行くが、冬子は、私、大学辞めます、姉さんが可哀想です、姉がどうして死んでからも辱めを受けないといけないの?新聞だから書いても許されるんですか?とコールガールであることを暴いた自分の記事を批判して走るように去って行ったので、取り残されたスケやんは考え込む。

落ち込んでやって来た馴染みの喫茶店では、マスター田川(清水元)が、どうかしたのかね、今朝の、スケやんのスクープだったんだろう?それがそんなに沈み込んでいるとは…と不思議がる。

そこにガンさんがやって来て、どうもすっきりしなくてね、夕べの一件…、夕べの画家どこに隠した?今更知らないとは言わせないよとスケやんに聞いて来る。

その後、スケさんはベイさんとともに画家の野村を車で本部とは別の署へ連れて行く。

そこには事件当夜、桂けい子の客だったと言う大田正三郎(富田仲次郎)が自首していた。

その顔を別室から覗き見た野村はあの時の客に間違いないと言う。

大田は、確かに公会堂から土産を持って行った、10時ちょっと前、自分はスリームではなくQポン関連のフレーバーの仕事をしていると言う。

桂けい子の死を知ったのは?と刑事が聞くと、翌朝の新聞で読んで早く名乗り出なくてはと悩んだと言う。

公会堂ではジュースを回収したそうだが?と聞くと、土産をもらうとすぐに帰った、自分は歌には興味がなく、若いのと遊ぶには今晩しかないと思ったからと大田は言う。

その取り調べを別室で聞いていたベイさんは、彼が犯人だとすると犯行の動機は?町工場のおっさんでは関係ないだろう…と考え、一応相沢キャップに電話で報告する。

それを聞いた山さんは、動機が見つからないと他社に抜かれますねと案ずるが、その会話をソファで聞いていた八田老人は、慌てるコ○キはもらいが少ないってね…とからかう。

ビルの屋上でアドバルーン塗装の手伝いをしていた野村は、下から自分を呼ぶスケやんに気付く。

自宅の屋根裏部屋に連れて来たの村は、桂けい子の常連客の似顔絵を探し出し、スケやんとベイさんに渡す。

その似顔絵を持って冬子に会いに行ったスケやんは、見覚えありますか?事件の夜も会ったそうですと聞くと、姉さんが昔付き合っていた恋人でずっと前に別れたんです、急に別れたんで、その時姉さん自殺しかけたんです、名前は矢野浩三、別れた時大学生だったんですと冬子は教える。

その後、スケやんは矢野が卒業した大学の学生課に向い、昭和29年度の卒業生を知りたいんです、東京日報の寺井ですと申し入れる。

記者クラブではウラさんが電話で怒鳴っていたが、そこにキャップ勢揃いですか、高瀬舟ですねなどと言いながら帰って来たスケやんが、八田さん、茶蕎麦でも…と声をかけたので、八田老人と相沢キャップはスケさんに同行し、ベイさんもこっちも側杖食うかなどと言いながら後に付いて行ったので、何か掴んだらしいな?と他社のキャップは気付く。

矢野と言うのはスリーム食品の研究所勤めで嫁は社長の娘なんですとスケやんは調べ上げたことを相沢キャップらに教える。

早速スリーム食品に取材に行くことにしたベイさんだったが、一緒に立ち上がろうとしたスケやんに、君は留守番だよ、他社に目立ち過ぎていると相沢キャップは言い聞かす。

スクリーム食品を訪れたベイさんは、矢野浩三(平田昭彦)と対面する。

桂けい子さんとお付き合いはあったんですね?実はお2人を見かけた人がいるんですよと聞くと、Qポンの件でしょう?あの原料は私が開発したんです、Qポンはそれを盗み出す以外に作れないはずです、私には妻も子供もあります、コールガールには用はありませんと矢野は言う。

会社から外に出たベイさんは、そこに警視庁の車がやって来て村長が降りて来たので、村長さんどうしてここへ?矢野ですか?と聞くと、ちょっと工場見学で…ととぼけられる。

すると、シロさんら他社の記者たちが後続の車から続々降りて来て、先回りとは…、捜査本部から村長さんを追いかけて来たんですよとベイさんに笑いかける。

一体、どうしようと言うんです!人権無視も甚だしい!と捜査本部に呼び出され取り調べを受けることになった矢野は苛立つ。

刑事は野村が描いた矢野の似顔絵を差し出し、あなたの顔でしょう?事件の夜描いてもらったでしょう?この画用紙にあなたの指紋が残っているんですよと刑事は迫る。

去年の夏、彼女に会いました、それを盾にされクラブを通して客にさせられたんでどうしようもありませんと矢野が打ち明けると、その時、彼女はQポンの土産を持っていましたか?と刑事は聞き、持っていました…と答えた矢野は、まさか私を…、私がやったと思ってるんですか?と矢野は気色ばむ。

そうでないと言い切れますか?あなたにはチャンスがあった!と刑事は責める。

捜査本部から出て来た捜査一課長に記者たちがたかり、課長、吐きましたか!教えて下さいよ!と呼びかけるが返事はなかった。

一方、東京日報の本社にやって来た相沢キャップは、営業局長(佐々木孝丸)社会部長(秋月竜)のいる応接室へ通され、スーム食品の藤崎秀雄社長(松本染升)を紹介され、うちの重要なスポンサーなので、矢田とガイシャの関係についての特ダネを伏せて欲しいと言われ憤慨する。

そんな相沢キャップに営業局長は、営業のことも考えて欲しいと言い、藤崎社長は、矢野は人を殺せるような人間ではないと言われる。

しかし事実を伏せることは…と相沢キャップは承知しかねるが、このままではうちのデータを奪ったQポンがお株を取ってしまうんですと藤崎社長が訴える。

記者クラブに戻って来た相沢キャップから営業からの妨害が入ったことを知らされたスケやんは唖然とするが、八田老人は、夕食頃にはドカン!となるかも…と警告し、気を付けましょう、スケやんと相沢は注意する。

他社の記者たちは警察の動きからスリーム食品を怪しみ出す。

これを聞いたQポンの牧村社長は、いかにライバルとは言え許しがたい、警察ではっきりしてもらいたい、私は危なく破産する所でした、Qポンには200人の従業員とその家族を守る義務があるんです、このままでは死んでも死に切れません、スパイの言いがかりなどバカバカしい!などと記者連中にアピールする。

やがて、昨年スリーム食品の研究員で退職した小川次郎(川辺久造)と言う男が事情聴取に呼ばれる。

自分は心臓病なんだ!と訴える小川に、何故医者にかからず麻酔医薬品を盗んだ?と聞くと、金ないし、会社にバレたら首になり一家が路頭に迷うと小川が言うので、パラチオンを盗んだんじゃないか?土産用Qピンに細工したろう?と刑事は追求する。

中央日々の部屋にガンさんから電話が入り、シロさんが受けてウラさんに渡す。

浦瀬キャップは、動機は?小川が何故やったんだ?やけっぱち?ガンさん頼んだよ、頼りにしてるからと答える。

警視庁の取調室前で小川と矢野がすれ違う時、互いの顔を見合ったので、今の男知っているのか?と矢野に刑事が聞く。

部下だったんですよと矢野が答えると、自白したよ、君に頼まれたと言っているよ、仕返しするほど憎んでいた、あんたは桂けい子につきまとわれて困ったと言っていた、小川を巻き添えにしたのと違うかね?小川はあの夜、土産をあなたに渡したと言っている、2年先までしか生きられない男が嘘を言うかね?と刑事は矢野に迫る。

君に恩義があってやったと言ってるんだ、あんたには桂けい子を殺す動機も持っているし…と言われた矢野は、誓って潔白です!と矢野は無罪を訴えるが、小川の自白は新聞に載る。

矢野は否認しているとのテレビニュースが点いた部屋で、冬子は悩んでいた。

昼間は商事会社の事務員として働き、夜はコールガールをしていた異常性が…とテレビで解説していた。

その直後、冬子のアパートを訪ねて来たスケやんは冬子さん!と呼びかけるが返事がないので、新聞受けから中を覗こうとしたとき異臭を感じ、靴で窓ガラスを割る。

隣の内儀も騒ぎに気付き駆けつけ、ガス漏れに気付く。

部屋の中では冬子が倒れていた。

急いで病院に運ぶが、発見が早かったこともあり、冬子の命には別状なかった。

そこにガンさんも駆けつけて来る。

スケやんはゴーゴー喫茶にいた画家の野村を通津ねていくが、野村は自分の名が世間に知られなかったことを感謝して来る。

そんな野村に、ノム!巧いことやったな、パリ行きだって?モンパルナスか…などと店の客が声を駆けて来たので、それを聞いたスケやんは、おめでとう、君を庇った甲斐があったと我がことのように喜ぶ。

「ひさご」では、ガンさんが集まった記者たちから冬子への見舞金を集めていた。

そこにスケやんがやって来て、相沢キャップら日報の仲間に、野村に会ってさっぱりしました、今度パリに行くそうです、名が明るみに出たらそうはいかなかったでしょうと報告するが、それを聞いた八田老人は、ぽん引きをやった男がえらい変りようだね…と呟いたので、スケやんとベイさんの表情が変わる。

翌日、野村を外で待っていたベイさんは、野村君、パリへ行くそうだけど良くそんな金があったねと話しかける。

試験に通ったんですよと野村が言うので、調べたら君の名はなかった…、何故嘘をつくんだ?説明して欲しいと迫り、野村の屋根裏部屋まで付いて行くと、君の説明を聞くまで帰れんよと粘る。

油絵を描きかけた野村は、仕事の邪魔だから出て行ってくれ!と感情的になり、それでもベイさんが帰らないと、しつこいな!畜生!と叫び、キャンバスをパレットナイフで斬り割くと、畜生!と叫びベッドにうつぶせに倒れる。

一方スケやんは、入院していた冬子に、どうしても確かめたい事があるんだ、何故自殺しようとしたの?と聞くと、姉が矢野さんを脅迫したって本当なの?と冬子が聞くので、矢野はそう言っているとスケやんが教えると、姉を尊敬してたのよ、もう目の前が真っ暗になってしまって…と冬子が言うので、やっぱりそうか…とスケやんが納得すると、私が弱かったんですと冬子は自嘲する。

君を追い込んだんだ…、命を取り留めたから良かったようなものの、記者だから許されたとは思わないとスケやんは反省する。

すると冬子は、そんなに自分を責めないでと逆に慰める。

野村の自宅前で張っていたベイさんと須賀記者は、野村が出掛け、近所のタバコ屋の赤電話でどこかに電話し、タクシーを停めて乗り込んだので、やっと動き出したなと呟き、車で尾行を開始する。

しかし、彼らの尾行に気付いたのか、信号待ちの時、急にタクシーを降りた野村は、商店街の歩道を逆方向に歩き始めたので、ベイさんも車を降り後を追う。

やがて、角に停まっていた白いライトバンの助手席に野村が乗り込み逃走したので、ベイさんはその車のバックナンバーを手帳にメモする。

新聞記者がしつこくて…と助手席に乗り込んだ野村がぼやくと、何故、パリ行きのことなんかつまらないことしゃべったんだと運転しながら叱ったのは大田正三郎だった。

警察に嘘をついた、出なければ人殺しになるからだ。

土産品を渡したのはあんたじゃない…、Qポンは儲かって笑いが止まらないそうじゃないか? 彼女は昔の恋人に近づき、矢野を無理矢理客にしたそうじゃないか? 僕の一言で事件はひっくり返るんんだよ…、銭をもらいたいんだ、嫌とは言えないだろうと野村が迫ると、宜しい、出してあげよう…と大田は答え、暗闇の中にライトバンを走らせる。

翌日、野村はビルから墜落死していた。 殺し、自殺どっちなの?とベイさんは迫るが、上から落っこちたことは確かだが…と白髪の刑事はとぼけられるだけだった。

家長、殺しですか?と他の記者たちも捜査一課長に詰め寄るが、まだ分からんよと相手にされない。

山長は相沢キャップに、まずいですね、あなたを信用して身柄預けたのに…と野村を死なせたことを責める。

桜田記者クラブの毎朝の部屋では、電話を受けた鶴岡キャップが、殺しと断定した?野村は殺しだ!と回りに伝える。

僕の責任ですとスケやんが落ち込むので、こうなったら我々全員に責任はあると相沢は言い、他社に先駆けて犯人見つけるんだと八田老人が言う。

電話がかかって来たので山さんが出ると、ベイさんですと言う。

相沢がかわると、ライトバンの持ち主が分かった、大田正三郎だとベイさんは報告して来る。

大田の工場に出向いたスケやんに、妻の政江(三戸部スエ)が、主人が又何か?と言うので、奥さんですか?と聞くと、夕べ出たきり帰って来ないんですよ、どこの女と付き合っているのかと、政江は亭主の浮気性にほとほと愛想が尽きたと様子だった。

事務所で酔って寝ていた大田の所に来た社員が、大田さん、社長がすぐに起こせってと言いに来る。

小川の心臓病の発作が起きたんですって、手術をすれば直るんだそうですよとスケやんが言いに来る。

金もらったんですとベッドの上の小川は言うので、誰にもらったんだ、君だって生きる資格あるんだぞ、矢野でないことは確かなんだな?と聞くと、まずいことになったんだ、記者をライトバンのこと聞いていたらしいと小川は言う。

会社はどうなる?と大田が開き直ると、私が責任を持ってみてやるよと牧村が姿を現して言う。

うちはあんたの会社の材料仕入れているだけだよ、事件の主犯はあんただ!Qポンは私が面倒見てやるよと大田は牧村を睨む。

牧村さん、小川は自供してるんですがね?あんたに金をもらったと言ってるんですとスケやんも迫る。

あのキ○ガイの言う事なんて…と牧村がとぼけるので、証明できますか?とスケやんが聞くと、来たまえと言い、牧村はスケやんを工場内に誘う。

そこには大田のライトバンが置いてあった。 どうしてこれで証明できるんです?矢野の潔白は証明されています、あなたしかいないんだ!とスケやんは牧村に迫る。

もう1人いるよ、例のコールガールに毒を飲ませたのは奴さんだよと牧村は大田を指す。

中毒事件は矢野を引っ掛ける為の苦肉の作だったぜ…と牧村が自白した時、一緒に聞いていた大田の背後に立っていた部下がペンチで大田の後頭部を殴打しライトバンの乗せる。

まいた種は刈らにゃならんからね…と牧村は冷静に言い笑う。

スケやんも同じようにライトバンに乗せられ後頭部を殴打される。

ライトバンは工場から外に走り出すが、気を失いかけながらもスケやんは窓から自分の手帳を外に放り投げる。

それを拾ったのがベイさんで、スケさんの手帳に血が付着しているのに気付くと、連れ去られたことに気付き、後を追うんだ!と須賀に声をかけ車に乗り込む。 Qポンの本社にパトカーが集結する。

クラブに連絡を!と後部座席の乗っていたベイさんが助手席の乗っていた須賀に命じ、車から降ろす。

やがて頭から出血した大田とスケやんを乗せたライトバンは高速に乗る。

「日本カーベキュー」と言うスクラップ工場に入るライトバン。

一足遅れて駆けつけたベイさんが、スケやん!と叫びながら工場内を探すが、その時、白いライトバンが潰されるのを目撃し、スケや〜ん!とベイさんは絶叫する。

しかし、ベルトコンベアで運ばれるもう一台のライトバンを発見、そちらこそ本物と気づき、プレスの所に降ろされると、スケやん!と呼びかけながら窓から外に引き出そうとするが重くて持ち上がらない。

そこに姿を現したのが牧村とスパナで大田らを殴った社員だった。

牧村、貴様!とベイさんは睨みつけるが、待て!貴様も焼き鳥になりたいのか?と牧村は嘲笑する。

そこへパトカーが到着したので、牧村たちは逃げ出そうとするが逮捕される。

ベイさんは車の中からスケやんを救出し、警官たちも、後部ドアから大田を外に引っ張り出す。

主犯はQポン社長!との見出しが新聞紙上に躍る。

桜田記者クラブ内では、熊田キャップ(外野村晋)は、恐ろしいのは企業の競り合いだねと事件を振り返る。

問題は企業そのものの在り方じゃな…と八田老人も呟く。

企業競争って激しくなるばかりだな…などと記者たちがぼやいている所に、頭に包帯を巻いたスケやんと土産の箱を抱えた冬子が揃ってやって来る。

スケやん、抜きやがったな!と記者たちがからかう中、良かったですねとすねるガンさんは男は顔で笑って心で泣いて…などと言うので、以外と純情なんだなと他の記者たちが苦笑する。

皆さんのお陰ですと退院した冬子が記者たちに礼を言うと、責任重大だねと記者たちはスケやんをからかうので、冗談辞めて下さいよとスケやんはむっとなる。 色に出にけりだね…と八田老人が声をかけた時、各社一斉に電話が鳴り出す。

この山はでかいぞ、各社一斉だ!とみんな各社の部屋に飛び込む。

浅草台東区38番地、ガイシャは野々村和子、36歳!スケやんも東京日報の部屋に飛び込んで行き、1人控え室で取り残された冬子は、あっけにとられながらもふと微笑む。

ウラさんの、ガンさん、何してるんだ!速く!と怒鳴り声が響く。
 


 

 

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