白夜館

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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

人間の証明

こちらも久々にスクリーンで見たが、角川映画としては良く出来ている部類の作品だと認識を新たにした。

正直ストーリー展開は面白いのか面白くないのか微妙な印象もないではないのだが、それは個人的にミリタリーにあまり興味がないからかもしれず、クライマックスの戦闘シーンなどは大量のエキストラを利用し、当時としてはなかなか見応えのあるシーンになっている。

娯楽作品としてはまずは及第点と言って良いのではないかと思う。

自衛隊員なのにレイバンをかけていたりロンゲだったりと不自然な点も気にならなくはないのだが、あくまでも子供向けのマンガみたいなものと解釈すべきなのだろう。

女性のヌードがバンバン出て来るのも当時の東映らしい。

JAC (ジャパンアクションクラブ)や千葉さんや真田さんのアクションもその後の作品などで見慣れたお馴染みの技ばかりなので特に新味はないが、この作品辺りが嚆矢だったのかもしれない。

懐かしい顔ぶれが次々に登場するのでノスタルジーを刺激する部分はある。

特にセリフは全くないのに、岡田奈々さんの美貌は今見ても強烈である。

角野卓造さんなどの若さにも驚かされる。

SFと時代劇の組み合せ自体も日本映画としては珍しく、東映の撮影所システムを巧く利用した痛快作品だったとも言える。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1979年、角川春樹事務所、半村良原作、鎌田敏夫脚本、斎藤光正監督作品。

夜、道路を歩いていた新井和子(岡田奈々)はバス停から「飛ヶ崎」行きのバスに乗る。

同時刻、演習場所に向い車両で移動する21人の自衛隊員 運転席で県信彦(江藤潤)から三尉!と呼ばれた伊庭義明(千葉真一)は、どうした?と聞くと、金星の位置がおかしいです、昨夜はあっちにあったはずですが、今はこちらにある…と夜空を見上げながら言われ戸惑う。

トラックの荷台では、陸士長矢野隼人(渡瀬恒彦)が木を削って何かを作っていた。

今、何時だ?と伊庭が聞くと、腕時計を見た県(あがた)は、5時18分で止まってますねと不思議がる。

同じ頃、和子は列車に乗って移動していた。

目的地である第五補給基地である海岸に到着した彼ら部隊は、集まっているはずの東部方面の他の部隊が誰も集まっていないので戸惑いながら車両から降り立つが、時間を腕時計で確認すると、何故か全員5時18分で止まっていることに気付く。

少し遅れて戦車も到着する。

伊庭は、足下の木に飛んで来たナイフが刺さったので、それを抜くと、矢野、こんな物持っとけと注意しながら返す。 すると矢野は、先ほど木を削って作った拳銃の玩具を撃つ真似をする。

そんな中、一等陸士菊池弘次(にしきのあきら)は同じ一等陸士西沢剛(鈴木ヒロミツ)に、駆け落ちするつもりなんだ、北海道に彼女の友達がいるのでそこに行くんだと打ち明けていた。 やがて空の様子がおかしいことに隊員たちが気付く。

海辺を馬が走って来る。

海には哨戒艇がこちらに向かって来ていたが、その背後の波間が光に包まれ、まるで津波のように押し寄せて来る。

タイトル

正気に戻った伊庭は、県!木村!島田!と部下たちの名前を呼び無事を確認させる。

県は、何があったんでしょう?ずっと長く気を失っていたような気がしますと言いながら腕時計を見て、動いています!と驚く。

今日の日の出は何時だ?ち伊庭が聞くと、今日が何日か分かりませんが、演習日は5時18分でしたと県は答える。

その言葉通り、朝日が水平線に顔を出す。

周囲の様子が明らかになると伊庭たちは愕然とする、一見同じ海岸のようだったが、遠くに見えていたはずの発電所が消えていた。

合流するはずの他の部隊もいなかった。

木村治久三等陸曹(竜雷太)に連絡を命じた伊庭だったが、通信不能だと言う。

周囲の風景が一変していますと戸惑う部下たちだったが、海を見ると哨戒艇の乗組員たちがゴムボートで近づいており、波に飲まれたんじゃなかったのか、あの船…と驚くが、浜に上陸した乗組員 小野章一郎三等海尉(辻萬長)と高島春美一等海士(伊藤敏孝)は、第4管区へ向かう途中だったんですが、大きな光る波に飲まれて…と不可思議な事態を説明する。

緊張すると小便が近くなる野中学一等陸士(三浦洋一)が近くの川に用足しをしに行ったとき、川向こうの草むらから騎馬武者が3人近づいて来たのを目撃し、お祭りでもやっているのかな?と首を傾げる。

海岸にはヘリコプターが飛来し、清水英二等陸曹(加納正)と大西里志一等陸(清水昭博)が合流し、作戦参加のため基地に向かう途中だったと伊庭に報告する。

その時、突然やが飛んで来たので隊員たちは驚いて周囲を見回すと、崖の上に侍らしき人影が見え、その連中が矢を放ったいるのが分かる。

右腕に矢が刺さった矢野は感情的になり機銃掃射をしたので、矢野!撃つんじゃない!矢野、今度命令に背いたら許さんぞと叱りつけるが、痛えんだよ!と矢野はふて腐れたように答える。

県が、三尉!と呼びかけたので反対側の丘を見ると、そこには別の騎兵たちが並んでおり、その中の数騎が接近して来たので、撃つな!命令だ!絶対撃つな!と伊庭は矢野にも注意する。

馬に乗った中央の男が長尾平三景虎(夏木勲)!と名乗りを上げたので、伊庭も敬礼をして、陸上自衛隊の伊庭義明ですと返答する。

それを聞いた景虎は、同族じゃ!と付いて来た仲間たちにうれしそうに伝えると、どこから来られた?と聞くので、東部方面隊として…と伊庭は戸惑いながら答えるが、何しに来られた?と聞かれると返答に困り、漂流して来たとでも申しましょうか?などと曖昧に答える。

戦車の側に近づいた景虎は、突然警報サイレンが鳴り始めたので驚くが、すぐに愉快そうに笑いながら、黒田長政、すっかり狼狽しておる…と反対側の崖の上の軍勢を見ながら言う。

さらに景虎は、この空飛ぶ鉄の船は?と聞くのでヘリコプターと教え、ダダダッ!と言うこれは鉄砲の一種か?と聞くので、機関銃ですと伊庭が説明する。

すっかり上機嫌になった景虎は、同族方、この鉄の馬をもそっと近くで見せて下さらぬか?と景虎ので、装甲車に乗せてやる。

そしてキャリバ50と伊庭が教えた機関銃に興味を持つので、撃ってみますか?と進めると、景虎は、おい、孫市、これを見ろ!と連れて来た仲間にうれしそうに告げる。

景虎たちの姿を見ていた県は、戦国時代!と呟く。

機関銃を発射してみた景虎はすっかり興奮状態だった。

崖の上の敵軍は、その様子を見て退散したかに見える。 景虎が機銃で狙った崖の木はへし折れてしまう。

景虎は伊庭に、何としても我が軍にお迎えしたいと申し出るが、伊庭が丁寧に断ったので、では込めミソを持たせましょう、兵糧を運べば黒田軍は、あなた方を我が軍と思うでしょうと言うと言った立ち去って行く。

県は伊庭に、我々はタイムスリップして来たんです、全く違った時代に滑り落ちて来たんです、我々は何かの間違いでここに落ちて来たんですと訴える。

その直後、川から矢が打ち込まれて来たので隊員たちは慌てて伏せるが、関おさむ二等陸士(佐藤仁哉)と堀健児 二等陸士(古今亭志ん駒)に刺さって2人は倒れる。

伊庭は、撃つな!誰も撃っちゃならんぞ!と声をあげる中、県は、伊庭三尉、歴史に介入してはいけません!と注意する。

しかし身の危険を感じた伊庭は、機関銃を撃ち始める。

それでも敵は執拗に矢を放って来るので、手榴弾を投げる伊庭。

崖の上からも鉄砲隊が撃って来る。

県、出せ!と命じ、ジープを走らせると機関銃を撃つ伊庭。

ラワム港に攻め込み、砦も大砲で破壊した矢野は、突っ込め!と叫ぶ。

伊庭はジープから振り落とされるが、手榴弾を投げて応戦した矢野は、良いから突っ込め!と絶叫する。

その時、景虎、見参!とやって来て、お味方、うれしゅうござるぞ!と伊庭たちに感謝すると、自ら馬を下りると敵大将と斬り合い、倒すと、戦利品として相手の首を斬り落としてしまう。

討ち取った!と喜ぶ景虎。 それを見た県たちはあっけにとられる。

夜、勝って良かったなと隊員たちは安堵するが、矢野は、伊庭三尉と同じ事をしただけだとうそぶく。

しかし県は、我々のせいで歴史が変わることになります、歴史は我々を許さないかも…と言うので、帰れないと言うのか?と伊庭は聞く。

自然には復元力があります…と県は何かを恐れるように言う。

しかしそんな中、森下和道一等陸士(速水亮)は三村泰介一等陸士(中康治)に、秋の国際マラソンに出られなくなってほっとしたんだと本音を打ち明ける。

森下は、マラソン出場に向け毎日過酷な練習をして疲れ切っていた頃の自分を思い出していた。

コーチ(勝野洋)は、そんな森下を無視するかのように女子選手たちを先導して走っていた。

もう1時か…と腕時計を確認した菊池が、俺行くよと言い出したので、行くってどこへ?と西沢が聞くと、今春駅へ、和子と待ち合わせしているんだと言うので、タイムスリップしたんだぞと西沢は言い聞かせるが、いつまで辛抱すりゃ良いんだ!関や堀のように死ぬかもしれないんだぞと菊池は切れる。

その時、高島一等海士が照明弾を打ち上げたので、他の隊員たちは驚く。

ヒゲをナイフで剃っていた矢野が、そのナイフを高島の背中に投げて殺したので、菊池と西沢は唖然とし、テントから出て来た伊庭も、何故だ?と矢野に詰め寄る。

あれがトラックの中に火を突っ込んだら俺たち全員殺されていたと矢野は言うので、何故足を狙わなかった?と聞くと、目的を確実に果たせ…、それを教えてくれたのはあんただぜと矢野は平然と言い返す。

その後、菊池は1人で部隊を抜け出し川を渡っていたが、背後から近づいて来た人影に気付き、西沢!と驚く。

1人じゃ危ないよ、俺も一緒に行くと西沢は笑う。

翌朝、伊庭は、昨日亡くなった関、堀、高島の3人の墓を作り、そこに銃を供えていた。 西沢と菊池の姿が見えないことに気付いた野中は、2人だけ現代に戻っちまったのかな?と困惑していた。

森の中に踏み入れた西沢は、歩いてこの山を越すのは大変だぞとぼやいていた。

陣幕の中、伊庭たちと対面した直江文吾(岸田森)は、小泉越後守様が是が非でも城に来て欲しい、鉄の馬をぜひとも見たいと申されておるのだと伝える。

しかし伊庭はお断りします、我々は誰の味方でもないのです、一方に付けば誤解されるので…と答えると、小泉越後守様の言う事が聞けぬと申すのか!と直江は顔色を変える。

次の瞬間、側に控えて話を聞いていた景虎が直江をその場で斬り殺す。

そして、直江の従者たちに、戻って越後守に伝えろ!戦わずして利を得ようとするなど臆病者のすること!景虎がそう申したと言うのだ!と言い渡す

義明殿に会って心を決めた、もう越後守を主君とは思わん!本心に主君と思ってこそ主君、本心に友となってこそ友、わしは今後、本心のまま生きていくのだ!と景虎は決意する。

その後、景虎と伊庭は褌姿になって海岸に立つと、一緒に戦わんか?義明殿?一緒に天下を取らんか?戦うことに生きる人間、義明殿を私と同じようにお見受け致す、義明殿は戦国時代に生きてこそ相応しい人間だと…と話しかける。

一方、野中は近くの村の老婆と偶然出会い、死んだ孫に似とるよ、お前さん…と話しかけられ懐かれる。

川にいた根本茂吉二等陸士(かまやつひろし)も村の子供と出会い、落ち武者に父ちゃんを殺されたと言うその子をおぶって家まで連れて行くと、そこには母親と兄弟がいた。

森を進んでいた西沢は、女ってそんなに良いか?俺は女を好きになったことなんてないねと菊池に話しかけていた。

三村泰介一等陸士(中康治)は、村の娘みわ(小野みゆき)と出会っていた。

伊庭はその後、隊員たちを集め、どうだみんな、昭和に戻るより天下を取って歴史を変えたいと思わんか?と提案する。

そのショックで時の神が我々を昭和へ戻すに違いないんだと説明する。

しかしそれを聞いた県は、歴史は我々を殺すかもしれませんと反論する。 矢野、あのことはもう忘れろと伊庭は、いまだに反抗的な態度を改めない矢野に話しかける。

しかし矢野は、俺は裏切られたんだよ、好きじゃないんだな、クーデターが起こると思っていた…、それを信じた俺自身のバカさが許せないんだと言う。

すると県が、上司の命令だったんです、三尉は乗り気だったんですと横から口を出すが、矢野から殴られたので、止めろ!と伊庭が制する。

みわに三村は近づき抱きつこうとするが、みわは蹴飛ばして抵抗し逃げ出す。

三村はその後を追い、滝の所で追いつくと川の中で抱き合いキスする。

森の中を進んでいた菊池と西沢は、背後に小枝で身を隠してた敵が密かに尾行していることに気付いていなかった。

木の根元で小休止することにした西沢は菊池に煙草を渡す。

その頃、現在の駅では新井和子がやって来ない菊池を待っていた。

菊池が一服吸った煙草を西沢に返していた時、西沢は敵に気付き、走れ先に行くんだ!お前には彼女が待っているんだ!と菊池を逃がしながら自分がその場を守り抜こうとする。

西沢には矢が突き刺さっていた。

何とかその場を逃れ、西沢は逃げようとする。

菊池も懸命に走っていた。

現代の和子は駅構内を彷徨っていた。

和子〜!と絶叫した菊池は崖から墜落する。 西沢も敵と相打ちになって果てる。

その頃、哨戒艇に矢野や平井正芳一等陸士(高橋研)たちがいきなり武器を持って乗り込んで来たので、乗っていた小野がこの武器どうしたんだ?と聞くと、任務なんでね、伊庭三位の命令なんです、あの人の考え、俺たちにも分からん…などと言いながら、いきなり矢野は小野をナイフで突き刺す。

死ぬか生き残るか…、エンジン動かせ!と矢野は命じる。

哨戒艇をジャックした矢野たち数名の反乱軍は、近隣の村々を襲撃し、女を哨戒艇にさらって来てレイプして行く。

反乱兵に加担した須賀利重一等海士(角野卓造)はグリースで頭を固め、これまで生きてるって実感なかったからななどと浮かれる。

彼らが蹂躙した村は全滅状態で、裸の子供が1人取り残され泣いていた。

それを知った伊庭は悩む。

どっかの城を乗っ取ったら俺たち殿様だぞ!と浮かれていた叛乱グループを乗せた哨戒艇の矢野に、伊庭から話がしたいと通信が入る。

放っときゃ良いんですよと平井は言うが、矢野は無線に出ることにする。

その哨戒艇をヘリで探していた伊庭は発見し、位置の確認を命じると、矢野には、戻って来い、今、降伏したら処分しないと無線に呼びかけるが、俺たちは片っ端から村を襲う、俺は手前のような腰抜けじゃないんだ!と矢野が返して来たので、そんなに言うなら相手になってやると伊庭も答える。

ヘリの操縦士が、いました、2時の方向です!と言うのを聞いた伊庭は哨戒艇に接近させる。

叛乱グループは誘拐していた裸の女たちを海に突き落とすと、俺、降りるよ、俺はお前たちに付いて行けないと加納がビビると、自分の生き方は自分なりにけりをつけないといけないんじゃないかと言いながら矢野が撃ち殺す。

そして、近づいて来るヘリに向けて機銃掃射を始める。

平井はロケットランチャーを発射する。

60mm迫撃砲です、当たれば木っ端みじんですよ!と言われた伊庭は、三村、あの紹介艇の位置を良く覚えておけ、ヘリを島の影に降ろすからお前は海に降りて、俺が囮になるから狙撃しろ、お前は部隊一の狙撃手だからな、チャンスは1回きりだ、良いな?と三村に言い聞かす。

岬の陰に回って低空飛行するヘリから会場へ降りた三村は、岩陰に隠れ、哨戒艇の位置を探す。

一方、哨戒艇へ再び向かうヘリから縄梯子を降ろし、伊庭はそれを伝って降り、途中に足を絡めたまま哨戒艇に向かう。

又来よったぜと平井はあざけりロケットランチャーを担ぐ。

縄梯子に足を絡めた伊庭が撃って来る。

矢野は機関銃で応戦し、縄梯子を切断しようとする。 そんな平井を岩陰から狙撃した三村は、次いで矢野も射殺する。

叛乱グループが全滅した哨戒艇に降りた伊庭は、まだ死に切ってなかった矢野が木彫りの拳銃を向けて来たので、機銃を撃ちとどめを刺す。

息絶えた矢野の手から木の拳銃が転がり落ちる。

(サンゴーズダウン♩と挿入曲が流れる) 伊庭は矢野の木の鉄砲を拾い上げるとヘリに戻り飛び上がると、伊庭は哨戒艇を撃ち爆破する。

部隊に戻った伊庭は隊員たちに、これから俺は本心のままに生きる!長尾景虎と共に天下を取る!と宣言する。

すると三村も、俺も行きます!ここでこうしているうちに我々の仲間は死んでいる、どうせ死ぬなら!と言う。

それをきっかけに次々の他の隊員たちも付いて行くと声をあげる中、緊張した野中は、また小便して来る!と場を離れる。

久々に戦車走らせることが出来るぞ!と丸岡正男一等陸士(倉石功)も張り切る。

戻って来た野中は、みんなが行くなら俺も行きますと答える。

そうした中、根本だけは、俺は残りますと言うので、1人でか?と伊庭が問いかけると、あいつの兄帰任なるって約束したんで…と、側でこちらを見ている村の子供を見ながら根本は言う。

そんな根本に県は、祖先がいるかもしれないんだぞと言い聞かそうとするが、県、行かせてやれと伊庭は声をかける。

根本は子供の元へ向かう。

景虎の軍と伊庭の部隊はそれぞれ出発する。

それを見送る根本。 野中は仲良くなった婆さんからお守りをもらって戦車に戻る。

ヘリも随行して飛ぶ中、忙しいんだよな、俺…と言いながら、1人の農民(草刈正雄)が走り去る。

景虎と出会った伊庭は敬礼して挨拶をする。 景虎は、春日山城へ!と命じる。

そんな部隊を追って来る女がいた。

みわだった。 ジープに乗っていてそれに気付いた隊員が、お前の女か?と三井に聞くが、三井は、いや、別に…と答える。

その内、みわの姿は見えなくなる。

その夜、野営していた部隊に、ぼろぼろになった菊池が戻って来る。

和子が待っているんだよ…とうわごとのように言う菊池の帰還を知った伊庭は、手当てしてやれと命じる。

景虎は、明日はいよいよ春日山城、楽しみにしているわと言うと、城の図面を見せられた伊庭の方も愉快気に微笑む。

翌日、春日山城の天守閣で小泉越後守行長(小池朝雄)と対面した景虎は、越後守の家臣たちが取り巻く中平然としていた。

景虎!その方、わしをたわけと申したようだな?と越後守が聞くので、いかにも、俺と黒田を戦わせて、色部一族と手を組もうとなさってると景虎が指摘すると、命を捨てに来たか!と越後守が激怒したので、命を取りに来た!と言いながら景虎は左腕に巻き付けていた腕時計の時刻を確認する。

狂ったか、景虎!と怒鳴りながら刀を取ろうとした越後守を、景虎は一刀の元に斬り捨てる。

色めき立つ家臣たちを前に、騒ぐな!こんなふぬけを今まで主君と仰いで来たことが恥ずかしい…、わしに付いて来い!逆らう者は斬る!と景虎は呼びかける。

その時、窓の外に飛来して来たのはヘリコプターで、その中から伊庭が機銃掃射をしながら景虎に合図をして来て縄梯子を降ろし窓に接近する。

景虎は窓から身を乗り出し、縄梯子に掴まると城から離れて行く。

この作戦の成功で一気に意気投合した景虎と伊庭は、互いの武器や衣装を交換しあって海辺で腕を競い合うなど戯れあい、大いに笑いあう。

槍合戦や三点倒立などする2人。

その後、今後の作戦を練りあう中、我々はこの道を行こう、戦車が通れると伊庭が伝えると、信玄が待っているぞと浅井、朝倉、信玄は手ぐすね引いているぞと景虎は言うが、京で会おう景虎、そのときこそ、共に天下を取るとき!と伊庭は答える。

良し!と答えた景虎は、自らの家紋を染め抜いた旗を伊庭に托す。

雨の中、伊庭の部隊と戦車が進行するが、気がつくと又みわが車の後を付いて来るので、連れて行ってやれよと仲間から言われた三村はみわを車に乗せ抱き寄せる。

その夜、女、欲しい奴はいるか?この舌の村に話をつけて来た、後家さんがいる、夜ばいして来い、この辺の礼儀だそうだと伊庭が声を掛けると、俺行く!と野中が名乗り出て、一緒に2人が志願する。

村で灯りが付いていた農家を見つけた野中たちは、裸になっちまえばどの人間も同じだろうと思いつき、その場で制服を脱いで裸になって農家に近づく。

県は伊庭とともに焚き火の側で夜を明かしていた。

テント内に寝かされていた菊池は、テントの内側に「和子」と名前を書いていた。

農家に近づいた野中たち3人は、見覚えのない他の3人の男と鉢合わせになったので、夜ばいでござるか?同じでござる、ジャンケンで決めよう、ジャンケン、知ってござるか?と相手の男(佐藤蛾次郎)に小声で話しかける。

1人ずつ順番に中の後家を抱いている間、他の5人は外で裸で待っていたが、相手方の男は、自衛隊のブーツを不思議そうに見ながら握り飯を頬張って待っていたが、森下が言う「マラソン」と言う言葉に首を傾げていた。

翌日、いよいよ敵と交える場所にやって来た隊員たちは、俺の祖先ももしかしているんじゃないだろうな?と相手のことを気にしていた。

森下!三村!と伊庭が呼びかけると、方位角45度!距離1200!と答え、砲撃を開始する。 そんな自衛隊の様子を、少し離れた場所からみわが不安そうに見守っていた。

ヘリも飛来する中、伊庭たちはジープに乗って敵陣に向かって行く。

菊池はヤケになったように敵陣に乗り込み、野中はヘリから機銃掃射を敵に浴びせる。

県は、補給だ!と叫ぶ。

戦車に、火の点いた木槍を積んだ荷車を敵は突っ込ませて来る。

装甲車には崖から丸太が転がって来る。

ジープは崖から落ちそうになったので、乗っていた伊庭たちが飛び降りた後、落下炎上する。

そんな伊庭の左足に火矢が突き刺さる。

燃料を積んだ輸送車にも、火の点いた荷車を津込まされたので、伊庭は、放棄しろ!と呼びかける。

乗組員たちが飛び降りた直後、燃料に引火して爆発炎上する。

戦車も敵兵が次々に飛び乗って来たので、丸岡が早く撃て!野中、どうした!と狼狽し出す。

しかし野中は、丸岡!近すぎる!と返答する。

周囲に連なる本物の死体の山を見た丸岡は怯える。

装甲車にも忍者部隊が襲撃して来る。 菊池に手裏剣が突き刺さる。

そんな中、伊庭は撃ちまくっていた。 そうした中、六文銭の旗印の鉄砲たちも出現する。

ヘリが飛来したので、野中は助かった!と安堵する。

その時、戦車の大砲に掴まり、中を覗いて来た敵兵がいた。

昨夜、後家の家で鉢合わせしたあの夜ばい男だった。

先方も戦車に乗っていた野中に気付いたようで戸惑いながらも照れ笑いし、ジャンケンをしてみせる。

弾がない!と三村が叫ぶので、ヘリに乗れ!と伊庭は命じる。

そこに馬が数等走って来るが、脇腹にしがみついていた忍者が姿を現し、煙玉を投げて来て暗幕を周辺に張る。

そんな中、県が伊庭に、三尉!あれを!とヘリを指差す。

ヘリの下にしがみついた侍の姿があった。

大西さん!降ろせ!と呼びかけた隊員は斬られる。

大西里志一等陸(清水昭博)はヘリから手榴弾を投げ落し、下にいた敵を爆死させるが、その時、ヘリの下にへばりついていた武田勝頼(真田広之)が機内に上がり込んで来て小柄を投げ、大西を刺し殺す。

さらに操縦していた清水も殺される。

墜落するヘリから勝頼は大きくダイブし、味方が下で旗を広げて並べている中に飛び降りる。

その直後、ヘリは墜落爆発する。 それを見た伊庭は喚くな!と味方を鼓舞する。

戦車の上には敵兵が鈴なりに覆い被さっていた。 弾が尽きた伊庭は、敵の槍を拾って戦い始める。

さらに伊庭は馬に飛び乗ると敵の弓を奪う。 和子!と叫び、菊池は敵兵たちに斬られる。 その頃、現代では、和子は相馬馬追い祭りを見ていた。

菊池はさらに敵の槍で突き刺され絶命する。

現代では大雨が降り出す中、和子は傘をさす。

敵の多さの前には戦車ももはや役に立たず後退するしかなかった。

木村は拳銃を抜き後退していたが、その時、1人の若武者(薬師丸ひろ子)に遭遇する。

まだあどけない顔をしたその若武者に槍で腹を貫かれた木村は、まだ子供じゃないか…と唖然としながら銃で撃ち殺し、戦国時代…と呻きながら木村も倒れ絶命する。

伊庭は馬に乗って闘争していたが、敵の忍者たち毛まで追って来る。

伊庭は背後に手榴弾を投げ、爆発のショックで追って来た忍者たちの馬が点灯する。

暴れ馬の一頭が敵の陣幕の中に暴れ込む。

そこには武田信玄(田中浩)がいた。

そこにやって来た伊庭は信玄から伊庭義明殿!と呼びかけられたので、武田信玄殿!と呼び返す。

おぬしが向かう所敵なしと言う伊庭殿かと褒めて来たので、武田殿の戦略にも感服致しましたと伊庭も応ずる。

手出し無用!と家臣たちに告げた信玄は刀を抜き、伊庭も刀を構える。

武田信玄と剣を交えた伊庭は剣を折られ転ぶが、思わず拳銃を抜き、その場で信玄を射殺する。

その時、父の仇!と叫びながら勝頼が駆け寄って来るが、伊庭は信玄の首を切り落し、それを掲げながら討ち取ったぞ!と叫ぶ。

その様子を遠くの丘から見届けた景虎は、良くやった義明、京で会おうぞ!と微笑み馬を走らせて行く。

みわは戦車に近づいて来るが、その戦車は湖に突き進み沈んで行く。

その様子を見ていた三村をみわは見つめる。 雨が降って来る中、生き残っていた自衛隊は6人だった。

大宮根川には長尾景虎がいる!俺たちは天下を取るんだぞ!と伊庭は仲間たちに呼びかける。

その頃、景虎は本願寺光佐(成田三樹夫)と会っていた。

足利義昭(鈴木瑞穂)、細川藤孝(石橋雅史)、九条義隆(仲谷昇)らが座敷に集結していた。

ただ一つの約定の為にみすみす天下を逃すのか?と文を読んだ光佐は景虎に問いかける。

景虎は返事に窮していると、どうなされた?伊庭義明、信玄と野の戦で、鉄の車も空飛ぶ鉄の船ももうない… 妙蓮寺へ兵をやり伊庭義明を殺せ!と光佐は景虎に命じる。

待ってくれ、藤孝殿!時の流れを迷うたなどと言う素性の知れぬ者を許す訳にはいかないと言う。

座敷から顔を覗かせた九条義隆が愉快そうに微笑む。 妙蓮寺にやって来ていた隊員たちは、タイムスリップは起きるのか?県!帰れるのか?と聞くと、金星の位置がずれているのは確かなんだと県は答える。

しかし伊庭は、我々は第五補給基地に戻るべきではないのかも知れないなどと言うので、帰りましょう!と県は迫る。

県!怖じ気づいてそんなことを考えたのか?我々が天下を取ってこそ歴史も狂うのだ、歴史は我々を元の世界へ戻すはずだと伊庭が言うので、歴史は既に14人の仲間を殺しました、県が正しいともいますと三村も言う。

すると伊庭は、貴様、女が出来てふぬけになったな!と伊庭は睨みつけて来る。

既に伊庭はかつての冷静な伊庭ではなくなっていた。

みんなの意見ですと言われた伊庭は、お前たち、俺の命令が聞けんのか!指揮官は俺だ!命令に従わん者はこの場で撃つ!と伊庭は銃を取り出して威嚇するが、5人の隊員たちの銃を伊庭に一斉に向けて来る。

あなたは昭和の時代に戻りたくないのですね?この時代で戦っていたいのでしょう?と指摘された伊庭は、武器を取っても戦えない時代に戻ってどうなる?本心のまま生きようとは思わんか?と伊庭は訴えかけて来る。

俺は女房と子供と3人で暮らしたい!俺は平和な時代が大好きです!と野中が訴えて来る。

その時、伊庭は…j港に向けて発砲する。

丸岡たちが機銃を向けると、伊庭は寺の外に出て発砲する。

それを寺の横にいたみわが黙って見ていた。

歴史なんかに潰されてたまるか!と伊庭が呟く。

翌朝、景虎が兵を従え妙蓮寺にやって来る。

馬を止めた景虎は、もう1度言う、その方たちは来るな!良いな?と騎馬武者たちに命じる。

妙蓮寺の本堂の前では伊庭が1人剣を振るっていた。

寺の中では、みわに拳銃を渡した三井が、ここを狙って撃つんだ、良いな?頼んだぞと銃口を自分の額に付けて頼んでいた。

どこの誰かの手にかかって死ぬのは嫌だ、お前の手で死にたい!と三村はみわに言う。

みわは黙って拳銃を手にしていた。

城門が壊され、景虎が姿を現したので、おお!と伊庭は破顔する。

しかし、その景虎が無表情に鉄砲を持っているので表情が変わる。

弓矢隊が寺の中になだれ込み、伊庭を取り囲んで矢を構える。

本堂から姿を見せた部下たちに、手を出すな!お前たちには関係ないことだと制した伊庭は、景虎!わしは天下を取る!と告げると剣を抜いて構える。

そして剣を構えたまま景虎に近づいた伊庭は、景虎に撃たれる。 次の瞬間、弓矢部隊も一斉に矢を射かけて来る。

みわが手にした拳銃を三村に向かって撃つ。

鳥がさえずる中、自衛隊員たちは全員矢を受け死亡する。

伊庭の死体に近づいた景虎は目をつぶって黙祷する。

(フレンドリ〜♩と歌が流れる)

景虎は伊庭の遺体に自分の陣羽織をかけてやる。

みわは泣きながらしゃがみ込む。

隊員たちの死体は一列に並べられ、家紋の入った旗を上からかぶせる。

景虎の合図で一斉に火矢が妙蓮寺の藁葺き屋根に打ち込まれ、寺はあっという間に火に飲み込まれる。

それをみわは泣きながら見つめていた。

画面右下にタイトル
 


 

 

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