白夜館

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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

人間の証明

角川映画はテレビ放映や派手な宣伝で有名だったので、公開時には若干偏見めいたものがなかったとは言えず、今回改めてスクリーンでじっくり見てみることにしたが、正直、昔見た時の印象を払拭するほどではなかった。

ニューヨークロケなど意欲は分かるが、大作風の割には全般的にインパクト不足な印象は否めず、展開も単調。

やはり気になるのは、発想に松本清張の影響を否定できないこと。

この映画を見て「ゼロの焦点」や「砂の器」を連想しない方が難しい。

被害者の謎めいた言葉をヒントに事件を追う展開も酷似している。

70年代の大作には例えば「二百三高地」←「明治天皇と日露大戦争」、「海峡」←「黒部の太陽」など、過去のヒット作の焼き直しを感じるものが多く、本作も意図したものかどうかはともかく、結果的に過去の有名な作品との相似性を感じる。

もちろん森村作品独自の、全く別の事件が偶然に混合して事件が意外な展開を迎えるなどと言う独自のアイデアも入っているが、ミステリの骨格部分で似たような前例を思い出させるのは弱いと感じる。

通俗ミステリとして見ても不自然さが多過ぎて評価しにくい。

松本清張の「砂の器」など原作とは別に映画の方が評価が高い作品もなくはないのだが、本作は映画としても魅力不足に見える。

特に、比較的最初の方から犯人も動機もほぼ特定されているので、後半に見せ場らしい見せ場がないのだ。

NYロケが見せ場とも思えず、サスペンス性も希薄。

何と言っても納得できないのはその動機である。

最後に犯人が 説明しているが、過去の恥部を抹消しようとする保身のためなのか?などと考えても、相手との関係性を考えると理解しにくい。

キャスティングも、撮影所システム時代に活躍した往年の名優たちが顔を揃えているが、正直、あくまでもゲスト的な印象以上のものはなく精彩はない。

特に、ある意味主役的役柄を演じている岡田茉莉子さんの様変わり振りはショッキングでさえある。

松田優作さん演じる棟居刑事も私怨で行動している単細胞のキャラに見え、70年代っぽいキャラだとは思うが正直応援しにくい。

ただ戦略的に考えれば、本作に登場するゲスト陣の多彩さや海外ロケ、劇中に登場するファッションショーなど見世物要素などは客を呼ぶ大きな要因だと思うし、そう言う客集めのノウハウ全開と言う辺りは角川映画の真骨頂だろう。

ジョージ・ケネディは「大空港」シリーズなどで日本でも知られていたし、リック・ジェイソンはTV「コンバット」で日本でもある世代にはお馴染みの俳優。

ヒット作であるかもしれないが、正直、角川映画の中では凡作の1本ではないかと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1977年、角川春樹事務所、森村誠一原作、松山善三脚本、佐藤純彌監督作品。

地球の前に火の鳥が飛んで来る企業ロゴ

ニューヨーク

銀行で金を受け取りサインした黒人ジョニー・ヘイワード(ジョー山中)は、その足で日航に寄りチケットを購入、服も新調して、古いバッグは通りの込み籠に捨ててハーレムの自宅アパートへと戻る。

管理人のおばさんは、出て行くって?お金あるのかい?とジョニーの言葉を聞き驚く。

アパートを後にするジョニーに、どこに行くんだい?と管理人が聞くと、キスミー!ママ、ハレルヤ!とうれしそうにジョニーは言う。

タイトル

日航の旅客機が飛ぶ 東京のロイヤルホテルでは、「飛翔」と題された、今正に人気デザイナー八杉恭子(岡田茉莉子)のファッションショーが行われていた。 振り袖など和服を大胆にアレンジしたような洋服が披露されて行く。

ショーの最後、「YASUGI」の文字が描かれたステージ上の扉の「S」の部分から恭子が登場し、モデルたちと客席に挨拶をする。

ホテルのエレベーターガール(島崎奈々)は、次は42階スカイラウンジでございますと客に案内するが、1人の黒人客が降りようとしないので、お客様、最上階ですが?と声を掛けると、その青年は持っていた西条八十の詩集を床に落とし倒れる。

その胸にはナイフが突き刺さっていたのでエレベーターガールは悲鳴をあげる。 すぐにホテルに到着した麹町警察署の棟居刑事(松田優作)は、チーフ・フロント・マネージャー(森村誠一)にエレベーターの場所を聞く。

チーフ・フロント・マネージャーはボーイを呼ぶと、ご案内してと指示する。

棟居刑事は階段を上がる。

その頃、那須警部(鶴田浩二)は、ガイシャの航空券によるとアメリカから来たジョニー・ヘイワード、1958年10月28日生まれ…、ナイフは胸部左に刺さっており、死因は窒息死…などと刑事たちに伝えていた。

事情を聞かれていたエレベーターガールは、お客さんは「ストーハ」と言って倒れたんです。

ホテルにいて事情を聞かれていた東洋技研部長の新見隆(夏八木勲)は、一緒にいた女性なおみ(范文雀)を妻ですと刑事に伝える。

ホテルの外では警察犬を使い、被害者が刺された現場を探していたが、清水谷公園で血溜まりを見つけ、そこが現場だと推測する。

那須警部は、遺留品を捜せと部下たちに命じる。

そこに、主任、こんなものがと刑事が持って来たのは子供用の麦わら帽だった。

「ストーハ」とは「ストローハット(麦わら帽)」のことでは?無理ですか?と棟居刑事は那須警部に告げる。

ここから歩いて行ったのかな?と山路部長刑事(鈴木瑞穂)が考えながらホテルの方へ目をやると、屋上の方に点灯していた電飾の形が麦わら帽に見えることに気付き、ストローハットだと呟く。

その時、雨が降り出して来たので、山路部長刑事は証拠品探しを急がせる。

土砂降りになった中、タクシーでホテルから帰宅途中だった新見と同乗していなおみは運転手に次の角で停めてと頼む。

新見が家まで送るよと申し出るが、良いの、誰かに見つかるとうるさいの…となおみは言い、タクシーを降りると近くの公衆電話ボックスの中に入り雨宿りする。

それを見かねた新見が、タクシーのドアを開け、戻って来るよう呼びかけるが、電話ボックスの中野尚美は首を横に振るので、諦めた新見はそのままタクシーを走らせて行く。

新見のタクシーは一台の猛スピードで走り去る車とすれ違う。

その直後、公衆電話ボックスを出て道路の反対側に向かおうとしていたなおみは、走って来た猛スピードの車にはね飛ばされる。

車は急停車し、中から運転していた郡恭平(岩城滉一)と同乗していた朝枝路子(高沢順子)が降りて来る。

途中、やはりナオミのことが気になった新見は、運転手にさっきの場所へ戻るように頼む。

その間、恭平と女は、轢かれたナオミの身体を現場から運んでいたが、その時、女は懐中時計を現場に落して来たことに気付かなかった。

公衆電話ボックスの所に戻って来たに意味は、ナオミの姿がどこにもおらず、道路に懐中時計が落ちていることに気付き拾い上げる。 その頃、恭子はフジテレビの小川宏ショーに出演、司会者の小川宏(本人)からインタビューを受けていた。

今回の作品はお子さんが小さい頃に描いたえからヒントを得たとか?と聞いた小川宏は、そのお子さんをお招きしましたと良い、郡恭平をスタジオ内に呼び込む。

さらに小川宏は、ショッキングな事件が昨夜起きましたねと話題を変え、アシスタントの露木茂アナウンサーが事件の概要を紹介し始める。

ロイヤルホテル42階で死んでいた被害者は、清水谷公園から歩いて来たと思われる。

清水谷公園で麦わら帽が見つかっており、昭和22年発行の西条八十詩集も被害者は持っていたとTVで露木アナが紹介していた中、小山田武夫(長門裕之)は1人支度で目覚める。

麹町警察署の捜査本部では、昨夜、新宿の喫茶店「エルザ館」のボーイから電話があったと報告した刑事は、その証言内容は、7時から7時半頃、清水谷公園でふらついていた被害者を見たが、酔っぱらいだと思った。

その3分くらい前、弁慶橋から女が来たが暗くて顔は分からなかった、車は色のクラウンとボーイ(鈴木ヒロミツ)が証言したと言う。

自宅に戻った恭子は、夫の郡陽平(三船敏郎)が、恭平、そこに座りなさいと息子の恭平が言われたので、どうしたの?怖い顔して…と夫の態度にいぶかる。

その花瓶、古物商にあったそうだ…と言うので、恭子は、古物屋に売るなんて!と驚く。

金が欲しいのならこそ泥みたいな真似をせずに堂々と言えば良いんだ!と陽平は叱りつけるが、恭平の反抗的な顔を見ると、なんだその目は?どうしてそう逃げようとするんだ?と陽平は嘆く。

すると恭平は、俺がこそ泥なら政治家なんてお泥棒だろう?妾作って子供まで作りやがって!と言い返して来る。

おふくろだって同じだよ、手前が終わりだろう?などと暴言を吐くので、人を非難しても自分を正当化することは出来んぞ!と陽平は叱る。

その後、バイクでやって来た恭平に、待っていた朝枝路子は時計を落っことしたのと新聞を見せながら言う。

乗れよと恭平が誘うと、母さんに叱られるんでしょう?と言いながらバイクに乗った路子は、持っていた新聞を捨てて行く。

恭平は、時計を探しに行くんだ、足がついたらどうするんだと女に良いバイクを走らせる。

その頃、銀座のクラブ「順子」にやって来た小山田は、ママの田村順子(本人)に、昨夜なおみが帰って来なかったんだと言うと、昨夜はお休みですよ、5時頃電話がありましたと順子ママは言うと、電話を受けたホステスのフミちゃんを呼び確認する。

小山田は、これみんな店の客からもらったって言ってたんですがね?と聞き、ママ、私はなおみの夫ですよと訴える。

捜査本部では、その後判明したことを刑事たちが報告していた。

草場刑事(地井武男)は、凶器に使われたナイフは昭和51年製で3000本も出回っていると言う。

麦わら帽は昭和20年頃のもので、詩集も昭和22年清雅社発行だが、現在廃刊になっていると言う。

山路部長刑事はインターポールからの連絡で、被害者は1950年10月28日生まれ、住所は311西120ストリップ、父親はウィルシャー・ヘイワード、母親はテレサ・ノウウッドだが母親は既に他界…と刑事たちに伝える。

それを聞いていた棟居刑事は、木で鼻をくくるような返事だ、黒人なんか人間と思ってなかったでしょう…と呟く。

棟居刑事は、子供だった闇市で米兵らから殴られ、小便を引っ掛けられた時のことを思い出していた。

その頃NYでは、ニューヨーク市警察27分署の刑事ケン・シュフタン(ジョージ・ケネディ)が強盗を逮捕していた。

27分署に戻って来たケンは署長から、来てくれ、仕事が出来た、インターポールからの依頼で、ハーレム出身の黒人が殺されたと言うので、どこでだ?と聞くと、東京だ署長は答える。

ケンが乗り気ではない顔をすると、人が足りないんだ、私だって日本の手伝いなんて嫌なんだ、真珠湾で弟を亡くしたから…と署長は言う。

やむなくケンはハーレムのジョニーのアパート前にやって来たので、階段に座ってラジオを聞いていたガキにジョニーの部屋を聞くが、相手が無視するので締め上げる。

中に入って管理人のマリオを訪ね、ヘイワードっているね?と聞くと、2階の奥だよと黒人女性の管理人は警戒しながら答える。

彼は死んだ、誰かに日本で殺されたんだとケンが教えると、衣料センターで働いていた、ヤクはやらないとマリオは言うので、どこへ行くと言ってた?と聞くと、キスミーに行くと言ったよ、そう聞こえたよとマリオは言う。

ケンはこの証言を日本に送る。 それを受けた麹町署の捜査本部では、「キスミー」と聞こえる人名と地名を黒板に書き出していた。

その頃、恭子はアシスタントたちに、みんなミスしないようにね、後2週間しかないからと指示していた。

そこにアシスタントの1人が、先生、お坊っちゃまが…と伝えに来る。

恭平に合うと、昨年買ってくれたオルゴール、もう1つ欲しいんだとねだるので、後にしてくれない?と迷惑顔で恭子が言うと、俺だって時間ないんだと恭平は言う。

その表情に何かを感じた恭子は、10分だけ時間作ったわ、どうしたの?恭平さんと一旦仕事場に戻ってすぐに帰って来る。

すると恭平は50万くれないか?50万で良いんだと言うので、何に使うの?と恭子が聞くと、いい加減そう云うセリフ止めてくんないかな?俺に一生の問題なんだ、頼むよおふくろ!と必死に頼むので、50万で良いのね…と恭子は言う事を聞くことにする。

その頃、新見隆は警察を名乗って面会に来た小山田武夫と会うが、いきなり女房を返して下さい、私は夫です!と迫られ愕然とする。

あなたは南大塚の水明荘でなおみと関係を持った、何なら旅館の女中を連れて来ようか?私も表立てることはない…と小山田が責めると、新見は観念し、私も信じられなかったと新見は打ち明ける。

私たちは1日に1回連絡を取り合っていたが、半月以上何の連絡もない…、家に閉じ込められていると信じようとした…と新見は言う。

話を聞いた小山田は、じゃあ、この時計を持ってた奴が上房を殺したんですね?と雨の晩、道で新見が拾った懐中時計を見せられ、そいつを捜し出そうじゃないですか!と新見に言う。

一方、時計屋に来ていた朝枝路子は、友達の結婚プレゼントにしたいんだけど、この時計と同じものを買おうとしていたが、これはヨーロッパで4つしかなかったので…記念に自分が1積もっているだけで売る訳にはいかないと言うと、35万出しても良いから売ってよと路子は食い下がる。

NYでは、ケンが再びジョニーのアパートに来て、迷惑がる管理人のアダムスに金を渡し、ジョニーの部屋を見たいと頼む。

管理人同伴で部屋の中に入ったケンは、メモに書かれていた住所と名前を見つけ、ジョニーは金持ちの友達がいたか?ライオネル・アダムス…、5番街なら金持ちだと聞くが管理人は知らないようだった。

ビルの屋上ベランダで昼食中だったアダムス(リック・ジェイソン)に会いに言ったケンは、ジョニー・ヘイワードと言う男を知っているか?黒人ですと聞くと、老人ですか?と言うので22か3ですと教える。

するとアダムスは、いつだったか、運転手がいないとき自分で車を運転していたら、黒人の老人が飛び込んで来て轢いてしまった。

老人はわざとぶつかったんだと思う、怪我は大した事なかったが、頭が痛いと言うので6000ドル渡したと言う。

その老人の名は、ウィリー・ヘイワードでしたか?とケンが聞くと、確かヘイワードだったよとアダムスは答える。

その報告を東京麹町警察署で知った棟居刑事は、親爺は自分で飛び込んだんですよと指摘すると、ウィルシャーは今行方不明だ、入院してたんだが逃げたと那須警部は言う。

ウィルシャーはかつて日本にいた、昭和21年2月から9月頃から3年7ヶ月横須賀キャンプにいた…、ガイシャは日本にいたときの知り合いを訪ねたのかもしれない…、麦わらと詩集はその証拠とも考えられるねと那須警部は推理する。

(回想)戦後の闇市で米兵数人に白昼レイプされようとする日本人女 米兵から殴られる少年時代の棟居の父親 棟居少年も乱暴される

(回想明け)雷雨の中、停電して暗い自宅に帰宅した恭子は、夫の陽平は国会対策で徹夜だそうですと女中から教えられる。

その時、恭平の部屋からガラスが割れる音が聞こえたので、蝋燭を持って恭平の部屋に入ってみると、恭平がベッドの横でうずくまっていたにで、どうしたの?と聞くと、何でもないよ、ベッドから落っこちただけと言いながら起き上がった恭平は、ベッド脇から落ちた電気スタンドを戻しながら答える。

恭平さん、あなた何か隠しているんじゃないの?本当のことを言って!50万じゃ足りなかったのね!と恭子が迫ると、俺…、人を殺しちゃったんだ、車で撥ねちまったんだよ、怖くて何とかしなくちゃと思って、海に捨てたんだよ!と打ち明けたので、それを聞いた恭子は愕然とする。

お父さんに頼んで代人立てるとか…と恭子が思いつきを言うと、そんなヤクザなことできないよ!俺、自首して刑務所に入るよと恭平が言うので、それで死んだ人は生き返るの?あなたがやったことなら最後まで責任取るのよ、あなたは人を殺して海に捨てたのよ!と恭子が詰め寄ったとき、窓の外では雷鳴が轟く。

悪人なら悪人らしく最後までその苦しみを背負うのが悪人のやり方でしょう?と恭子は恭平に言い聞かせる。

罪を許してもらおうなんて甘ったれた考えよと言う京子に、それは理屈だよと恭平は反論する。

この間、私のこと薄汚いって言ったわね?そうよ、お母さんは生まれた時から泥まみれよ、30年前戦後の混乱の中お父さんと出会った… お父さんは強くてたくましかった…、会社を興して、お前が生まれ、お父さんが初めて当選したとき、お父さんの裏切りが始まった…、でもお前がまだ小さかったから別れられなかった。

それでデザインの勉強を始めたの、もう私たちにはお父さんは必要ない!でも私はあなたの為にだけに生きて来たの! NYに行きなさい、5番街に店を買ったの、そこで待っていなさい、罪を背負ってこれからどう生きるかがこれからのあなたの生きる証しになるの…、行きなさいNYへ、新しい人生を始めるのよと恭子は懇々と言って聞かす。

ケネディ空港に降り立った恭平と路子は、スタトラヒルトンホテルへと向かう。

一方、麹町警察署にやって来たのは新見で、顔見知りの横渡刑事(ハナ肇)に相談したい事がありまして…と話しかけ、「順子」と言う店のホステスなおみが失踪したことを打ち明ける。

現場に残されていた懐中時計をヒントに持ち主を捜してみた所、4つしかない時計の持ち主は時計屋の主人、順子、芸能人のジョニー岡本、最後の1つは八杉恭子が息子にやったものらしいが、その店の主人に売ってくれとしつこく言って来た女がいたらしいなどと新見は訴えるが、横渡り刑事はそれでは警察は動けない、なおみと言う人の死体でも出れば別ですがね…、一つ間違ったらこっちの首が飛ぶ、あいては政治家でしょう?女房はデザイナーだし…とビビる。

すると、それを側で聞いていた棟居刑事が言い出したので、横渡刑事も付いて行くしかなくなる。

恭子の自宅に来て、停まっていた車を横渡刑事と調べていた棟居刑事は、自宅から出て来た京子に問題の懐中時計を見せながら、これに見覚えありませんか?息子さん、今でもお持ちですか?会いたいんですが…と聞く。

すると恭子は、NYに行ってますわ、大学に行かせようと思って…、轢き逃げですって?と恭子は驚いてみせる。

先生がロイヤルホテルでファッションショーをやった日ですと横渡刑事が教える。

恭子は、その日なら恭平は私とずっと一緒でしたしスパゲティを食べましたわなどと嘘を言う。

そんな話を聞いていた棟居刑事は、恭子の面影に何かを思い出し、そそくさと帰るので、横渡刑事は慌てて追って来る。

八杉恭子…、こんな所で会うとは思わなかった…と棟居刑事は呟き、昭和24年春闇市で会ったことがありますと横渡刑事に教える。

(回想)米兵にレイプされる恭子 それを助けようとして米兵から暴行される男

(回想明け)その傷が元で2日後に父は死にました…と馴染みの飲み屋で打ち明けた棟居刑事は、すみちゃん、もう1本!と店の澄子(坂口良子)に酒を注文する。

そこに入って来てカウンターに座った2人組の中年の方(大滝秀治)が、西条八十を今の詩人と一緒にしちゃダメだろうと若い連れ(佐藤蛾次郎)に言う。

良いんだよ八十は…、優しいんだよね…と中年客は言い、母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?…と詩の一節を暗誦し始める。

それを聞いていた棟居刑事は何かを思いつき、麹町署に戻ると、黒板に西条八十の詩を書き出し、ガイシャはこの詩に強い関心を持っていた…と説明し出す。

ガイシャが言い残した言葉がある。キスミーとは霧積ではないか?と棟居刑事が言うと、ちょっと無理じゃないかな?と他の刑事は首を傾げるが、スペイン系はRの音が強いので、わざとRを小さく言う傾向があるらしく、ストローハットがストーハ、霧積がキスミー…、ジョニーはスペイン系のイーストハルム出身ですと棟居刑事は説明する。

なくしてしまった帽子に托して母を想う…、ウィルシャーは自信の身を犠牲にして息子を日本にやったのではないか? ガイシャが会おうとしていたのは日本の母親、ガイシャの母親か関係者だと思いますと棟居刑事は推理する。

ガイシャの母親は死んでいるんだぞと草場刑事が意見を言うと、戸籍上の母はね…、この際、霧積に行って調べた方が良いと思いますと那須警部に進言する。

横川駅 霧積の温泉宿にやって来た棟居刑事と横渡刑事は、女中にここらに昔外人さん来たと思うんだ、黒人なんだが…と聞くと、おタネさんなら知っとるかも…、今、ダムの上の村に1人でいると言う。

さらに、今、その孫の静坊がいると言うので呼んでもらうと、中山静枝(竹下景子)が挨拶に来る。

おばあちゃん、昔のこと、覚えていますかね?と横渡刑事が写真を見せながら聞くと、おばあちゃんは黒い人を見たことがあると言ってました、親子連れで温泉に来たと言ってましたと静枝が言うので、おばあさんに会わせてもらえませんか?と頼む。

静枝は2人の刑事を連れ、ダムの上の祖母の家に案内する。

しかし、中に入っても誰もおらず、灰皿が出ていたことから、お客様だったみたい…と静枝は言う。

その直後、静ちゃん!と声をかけながらやって来たのは村も駐在だった。

駐在に連れられ河原にやって来た静枝は、そこで死んでいた祖母と対面し号泣する。

既に現場検証が行なわれていたので、横渡刑事は、殺しですか?橋から突き落とされたんですなと現場周辺の様子を見て聞くと、棟居刑事と東京から来たと地元の警部に挨拶する。

棟居刑事は、この地を訪れたはずの黒人親子のイメージを思い起こし、おタネばあさんを口封じする為の殺しと思われますと言う。

帰京し、棟居刑事からの報告を聞いた那須警部は、先回りして殺したってことか…と言うので、ジョニーとおタネ殺しの犯人は同じだと思いますと棟居刑事は言う。

ガイシャは誰かに会う為に日本に来た…、それは彼に本当の母親かも…と棟居刑事が指摘すると、無理だよ、昭和24年に父ウィリーは帰国して、ジョニーは翌年にテレサの子として生まれていると那須警部が答えると、ハーレムの戸籍は当てにならないと聞いたことがありますと棟居刑事が言う。

あの婆さん、福島の出身だそうですと横渡刑事が言う。 八尾の海岸で海藻拾いをしていた老女(北林谷栄)の元に棟居、横渡両刑事を連れ娘(西川峰子)が声をかけに来る。

吉乃さんですね?従兄弟のタケさんが亡くなったんです…、覚えていることがあったら教えてくれませんかと横渡刑事が聞くが返事をしないので、この間、手紙が来たじゃないのと娘が横から話しかける。

忘れたよと吉野が言うので、あるのか?と聞くと捨てたと興味無さげに吉乃は言う。

そうした吉乃の態度を見ていた棟居刑事が、知ったますね?オタケさん、殺されたことを…と話しかけ、その犯人探しているんだと横渡刑事が教える。

すると口の重かった吉乃は、東京で殺された黒ん坊の犯人を知っているって…、でも名前は聞いてなかったと答える。

俺、死んだ亭主と満州に駆け落ちしたんで、戦争が終わってもこの地に帰れなかった、その時、横須賀のおタネを頼って進駐軍相手のバーに半年世話になって、その後、帰って良いって許しが出たんだ…と吉乃は語り出す。

おタネは1年くらいで店閉めて霧積へ帰った…と言うので、その店で働いていた女の名を覚えてませんか?と棟居刑事が聞くと、この土地の者が1人いたよ、あの頃はみんな生きているのに精一杯だった…と吉乃は言うので、私も浮浪児でした、コ○キみたいな生活していましたよ…と棟居刑事が言うと、八杉恭子…と吉乃は名を告げる。

東京では「第七回日本デザイン大賞最終選考会」が行なわれていたが、そこに棟居、横渡両刑事がやって来て、棟居刑事は恭子の姿を見ながら又戦後の闇市のことを思い出す。

ロビーへ出て来た恭子に近づいた横渡刑事が、ちょっとお尋ねしたいことが…、10分で結構なんですが…と話しかけるが、恭子は構わず地下駐車場の自分の車の所まで来る。

4月27日、どんな車に乗っておられました?と棟居刑事が聞くと、ファッションショーの日ね…、白のクラウン…と運転席に乗り込んだ恭子は答える。

清水谷公園に行かれませんでしたか?20分ほど会場から姿を消していた時間があるじゃないですか?と聞くと、体調が優れず医務室に行っていたからと恭子は答えるが、薬をもらってすぐに帰ったと医者は言ってますよ、公園に行ったんでしょう?と畳みかかる。

そしてジョニーを刺した、ジョニーは胸にナイフを刺したままホテルの42階まで追って来たですよ、なぜならジョニーはあなたの子供だから…と棟居刑事が詰め寄ると、あなた、小説家になると良いわと恭子ははぐらかす。

あなた昔、米軍相手のバーで働いていましたね?闇市でアメリカ兵に襲われた時、それを助けようと下俺の親爺も殺された…、あんたは昔自分が生んだ子供を殺したんだ!と棟居刑事が迫ると、証拠を見せて頂戴!と恭子は反論する。

5月20日にあなた霧積に行きましたね?中川タネご存知ですね?同じ久之浜出身ですね?と聞くと、あの地域は同姓多いの、同姓同名の八杉恭子って人知ってるわと恭子は答える。

その時、母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?…と横渡刑事が西条八十の詩の一節を口ずさむと、退いて!と言いながら、恭子は強引に車を出発させその場から去る。

麹町署に戻って来て報告した棟居刑事に、何でそんな勝手なことを!と怒った那須警部は、八杉恭子はクロです!と言われ、証拠を持ってないじゃないかと言い返す。

NYに行かせてくれませんか?と棟居刑事は頼み、恭子の息子の恭平が轢き逃げしてNYに逃げたらしいんです、恭平を落せば20分のアリバイを崩せますなと横渡刑事も説明する。

それを聞いた那須警部は、良し、恭子の過去を洗いたまえ、ただし先走りはするなよと釘を刺す。

自由の女神 27分署に棟居刑事が到着する。 オブライエン署長は射撃練習場にいたケンの元へ棟居刑事を連れて行く。

射撃をしていたケンから銃を受け取ったオブライエン署長は自ら標的に向かって撃ってみるが、全部外れてしまう。

いつも言ってるだろう?現場は刑事、書類をやるのが俺だ…と冗談を言うと、日本から来た棟居刑事を紹介すると、ヘイワードを探すの手伝ってやれと指示したので、何だって!とケンは驚く。

仕方ないと言う風に自分の車に棟居を乗せ出発したケンは、米国は初めてか?と聞く。

ケンは棟居刑事をハーレムのとあるバーへ連れて来るが、そこにいた黒人客が、そいつはサツだとあからさまにからかい出す。

店の主人もケンの質問を否定するだけなので、何故口を割らせない?俺が言わせる!と棟居刑事が聞くと、ここは東京じゃない!とケンは制し、次に訪ねたアパートの管理人も、これで3回めじゃないか!と怒り出し、ドアを閉めてしまう。

何の成果もなく帰ることにしたケンは、私の家に泊まれば良いと誘ってくれる。

だが、1人住まいのケンの部屋に入った棟居刑事は、そこに飾ってあったケンの昔の写真を見て衝撃を受ける。

そこには日本人と思しき女と一緒の米兵時代のケンが写っていたからだった。

酒を勧めて来たケンに、僕は行く、ホテルで1人の方が良いと棟居刑事は言い出したので、ケンは、通りの向こうに安い宿があると教える。

棟居刑事が出て行くと、すぐにその宿に電話を入れ、アナか?ケンだ、間もなく日本人がそっちに行く、彼が外出したら知らせてくれと伝える。

その頃、恭平はダンスホールにいたが、時枝が踊ろうと誘っても乗って来ず、お前踊って来いよと言うと、ブツ入ってるよと話しかけて来た外国人に付いて行く。

ケースを持って待っていた別の外国人が恭平に見せたのは銃だった。

その夜、寝ていたケンは電話で起きる。

先に連絡しておいた宿のアナからで、棟居刑事が出掛けたと言うので窓から下の通りを見ると、棟居刑事がタクシーを拾っている所が見えた。

昼間来て相手にされなかったバーにやって来た棟居刑事は、いきなりそこにいた客たちを殴りつける。

そこに遅れて駆けつけたケンも加勢するが、もう止せ!と棟居刑事を叱ると、棟居は黙って店を出て行く。

朝方、茶店に棟居刑事と来たケンは、ここに花にもないよ、帰るんだと言い聞かせるが、空手で帰る訳にはいかない、ジョニーはウィリーとテレサの個じゃない、GIガールとの間に出来たGIベイビーだ、彼は日本の母に会いに行ったんだ…と棟居刑事は説明する。

だが美しい母は汚れていた…、私は母が殺したんだと思う、黒人の息子がいるかと聞いたら否定した、だから親爺を捜さないとならないんだと棟居刑事は言う。

そんな棟居刑事の熱意を知ったケンは、ハーレムにすむ日本人で写真の仕事をしている女性三島雪子(ジャネット八田)に会いに行く。

ジョニーの写真を見せて、この男を知っているか?と聞くと、ウィリーの息子ねとゆき子が言うので、ジョニーは日本で殺されました、今、ウィリーを探しています、協力していただけませんか?と棟居刑事は頼む。

彼は時々ここへ来て、梅酒を飲ませてくれましたと言いながら、ウィリーとジョニーの親子で写った写真を見せる。

ジョニーは日本で生まれたのかと写真を見た棟居刑事は気付く。

その後、棟居刑事はケンと共に、近くの酒屋を回り、ゆき子からもらった梅酒を探す。

ここしかないと自家製の梅酒の瓶を取り出した店の主人に、いつものようにケンがウィリーの写真と一緒に金をちらつかせると、ウィリー爺さんねと主人は答える。

店の主人から聞いた廃墟のようなボロアパートへやって来たケンは、廊下でうずくまっていた男を麻薬患者だと棟居刑事に教える。

その部屋の一室にウィリーことロバート・アール・ジョーンズ(ロバート・アール・ジョーンズ)はいた。 ジョニーは日本で殺された…とケンが話しかける。

6000ドル作ってやっただろう?何故だ?とケンが聞き、母に会いに行かせたのでは?犯人を挙げたくないのか?恭子だろう?これ覚えているか?と棟居刑事が言いながら西条八十の詩集を取り出してみせる。

そして、母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?…と詩の一節を棟居刑事が言うと、何も答えず黙って聞いていたウィリーは泣き出す。

その頃日本では、離婚を切り出された群陽平が、わしと別れてデザイナーとして1本立ち出来ると思うか?と恭子に問いただしていた。

私が名が出たのは、影であなたが援助して下さったことは分かっています、でもあなたにとってもマイナスではなかったはずです、私は自分の実力を試してみようと思って日本デザイン大賞に応募しました、結果は明後日出ますと恭子が言うと、そんなものはわしの電話1本でどうにでもなるんだと大賞のことを陽平は言う。

大賞なんかどうでも良いけど、NYにお店を出して生活しようと思っているのと恭子が言うと、恭平は跡取りなんだ、ダメな奴だがわしの息子であることは間違いないと言う陽平に、恭平のことは忘れて下さい、人を轢いて海に捨てたんですと恭子は打ち明ける。

それでNYに逃がしたと言うのか!とんでもないことを!と陽平は驚くが、もうあなたの政治力でもどうにもなりません…と恭子が言うと、お前の名でハワイに土地を買ってある、あれを持って行きなさいと陽平は諦めたように言う。

ホテルのカウンターに来た恭平は「人ごろし」と書いたメモを受け取り愕然とする。

すると背後から近づいたと棟居刑事は懐中時計を差し出し棟居だと名乗る。

パニックになった恭平は銃を取り出すと、撃てるのか?バカな真似は止めろ!と棟居刑事は威嚇するが、恭平は、来るな!この野郎!と叫ぶと時枝を押しつけ自分だけ逃げ出す。

ホテルの外に停まっていた車を盗み逃亡した恭平を追うと棟居刑事とケンの車。

町中をカーチェイスの末、車を乗り捨て恭平は走って逃げるので、棟居刑事とケンも走って後を追う。

裏町のビルの階段を登りかけていた恭平が下にやって来たと棟居刑事らに銃を向けて来たので、ケンが発砲し、恭平は落下して死亡する。

死体に駆け寄ったと棟居刑事は、馬鹿野郎!それでも人間か!何人日本人殺せば気がすむんだ!とケンに怒鳴りつける。

その頃、日本の海岸では女の死体が上がって騒動になっていた。

神奈川署 大都美警察署から、遺骨を持って出て来たのはなおみの夫小山田武夫だった。

ケンのアパートでは、オブライエン署長と棟居刑事らが乾杯をしていた。

ケンは優秀な刑事だ、いつ帰ると棟居刑事に聞くと、明日正午ですと棟居刑事は答える。

ケンとオブライエンが釣りの話を始めたので、棟居刑事は隣の部屋に入ってみるが、そこにあったケンの日本人女と写った米兵時代の写真を見ているうちに、ケンの腕に昔闇市で見た米兵と同じ入れ墨があるのに気付く。

ケンは棟居刑事の父親を殴り殺した米兵の1人だったのだ。 棟居刑事は自分の銃の弾を確認するとケンに向かって銃を向ける。

それに気付いたケンが、何している?と近づいて来たので棟居刑事は発砲する。

棟居刑事が撃ったのはケンが写った反対側の鏡だった。

時枝を連れ空港のJALの場所へ来た棟居刑事は、ケンがこっそり見送りに来ていることに気付くが無言で去る。

日本では「1977年日本デザイン大賞」の授賞式が行われていた。

棟居刑事は那須警部、横渡刑事と共にその会場に乗り込む。

そして、テーブル席に座っていた恭子の側に来た棟居刑事は、ちょっと外に出てくれませんか?と小声で語りかけるが、授賞式が終わってからにして頂戴と言うので、あんたの息子郡恭平は死んだよと教えると、どこで!と恭子が驚いたのでNY…、罪に罪を重ねたあげく射殺されたと教える。

ステージ上では司会者(E・H・エリック)が、金賞、八杉恭子さん!と発表する。

ステージに上がった恭子は、一言ご感想をと言われ、息子が死にました…とマイクに向かって客席に告げる。 私が殺したんです、あの子は私の生き甲斐でした…、たった一つの…。

あの子を守る為なら何でもしました…、どんなことでも…、あの子は私の麦わら帽だったんですと恭子は続ける。

母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?…と恭子は西条八十の詩を暗誦し出す。

私は既に帽子を1つなくしています…、だからもう1つの麦わら帽はどうしても失いたくなかった…

(回想)ママ!と恭子に迫るジョニー

(回想明け)あの子も麦わら帽を求めていたんです、本当の麦わら帽を…

(回想)金なんかじゃない!僕のこと嫌い?と問いかけるジョニーに、あなたがいると、みんなが不幸になるのと恭子は言い聞かせる。

ジョーはそんな恭子にアメリカから持って来た小さな麦わら帽を差し出す。

この身体作ったのは誰?ママとパパ点、何故、僕を生んだ?と迫るジョニー

自宅で、おふくろだって汚いよ!と叫ぶ恭平

清水谷公園にやって来た恭子は、ママ!と喜んで抱きついて来たジョニーの胸を、隠し持って来たナイフで刺す。

その行為に驚いたジョニーは、ママ、そんなに僕が憎いのかい?と言うと、自分でナイフの柄を押してより深く突き刺す。

驚いた恭子はその場を逃げ出す。 ジョニーは、目の前に立ったホテルの上の麦わら帽に見える電飾を見て、ママ!と叫ぶ。

(回想明け)誰でも1つ大切な麦わら帽があります。でも、生きると言うことはその麦わら帽を失うことかもしれません、失った麦わら帽は2度と帰って来ないんです、この大賞はお返しします…、あの子さえ帰って来たら…と言うと、トロフィーを司会者に返し、恭子はステージから降りて会場から出て行く。

逮捕しましょうか?と問われた那須警部は首を横に振る。

恭子はホテルを出ると車で逃げ出す。

棟居刑事と横渡刑事は、恭子の行き先は霧積だと察し車で後を追う。

彼女は闇市で君の父さんも殺したことになるのか…知らなかった…と、棟居刑事から話を聞いた横渡は呟く。

車を運転する恭子は昔を思い出し泣いていた。

(回想)飛行場の側で、ママ〜!と泣く子供時代のジョニーを慰める米兵時代のウィルシャー・ヘイワード。

自殺しようと橋から身を投げかけていた若き日の恭子を助けたのは郡陽平だった。

(回想明け)郡陽平は闇の金で会社を作り伸し上がったんだと横渡刑事は教える。

霧積温泉にやって来た恭子は九十九折りの道路を登り、朝日が登り始めた丘に到着する。

車から降り立った恭子は麦わら帽を手に持っていた。 そこに棟居刑事と横渡刑事の車の到着する。

そして崖の前に立っていた恭子に近づいた横渡刑事は、ジョニー・ヘイワードを殺しましたね?中山タネさんを殺したのもあなたですね?と背後から問いかけ、殺人罪で逮捕します!と言うと前に出ようとするが、その肩に手を老いて止めたのは棟居刑事だった。

(マザ〜!ドゥユーリメンバー♩と歌が流れる)

崖の上の恭子は麦わら帽子を投げ捨てる。

落ちて行った麦わら帽は霧の中に消えて行く。

NYの27分署 オブライエン署長がケンに、東京から連絡があった、ジョニーを殺した母親は自殺したそうだ、先週だ、崖から身投げしたそうだと伝える。

遺品である小さな麦わら帽を持って父ウィリーを訪ねたケンは、部屋の中に横たわっていたウィリーも既に事切れていることに気付き、開いたままの目をそっと閉じてやると、麦わら帽はその胸にそっと置いて行く。

ケンは落ちていた写真を拾い、そこに恭子と写った若い頃のウィリーの姿を見る。

そしてボロビルの外へ出たケンは、物陰に潜んでいた黒人にナイフで腹を刺される。

日本びいきめ!と罵って逃げた黒人は、ハーレムのバーでケンが殴りつけた相手だった。

腹から出血したケンはその場にうずくまるとやがて息絶える。

エンドロール(世界貿易センタービルのあるNYを背景に)
 


 

 

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