白夜館

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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

黒の切り札

大映「黒」シリーズの1本で一種の復讐譚。

オリジナル脚本だが、白黒画面と言うことも相まっていかにもこのシリーズらしい雰囲気の作品になっている。

宇津井健さんと田宮二郎さんと言う大映とこのシリーズを支えて来た2大スターの共演と言うのがミソで、ダブル主演のような構成になっている。

宇津井さんはお馴染みの検事役、田宮さんはサックスを吹きながら独自に事件を追っている復讐鬼と言う異色の役柄を演じている。

劇中で脳病院が登場するので、今、テレビ放映などは難しいと思うが、クライマックスは築地米三郎氏の手になるミニチュア特撮が見物。

ただし、ケーブルカーに積んだダイナマイトから山の麓まで繋がった超長い導火線や、山道がちょうどケーブルカーの真下を通っていて、30分も前に逃げたはずの車が偶然後から降りて来たケーブルカーの下を通るなどと言うのはどう考えてもあり得なさそうなアイデアで、クライマックスはかなり荒唐無稽なのだが、見ているとあまり気にならないのも確か。

女優陣も万里昌代さんを始め、藤由紀子さんなどきれいな女優さんが登場している。

待田京介さんと山下洵一郎さんが田宮さんを助ける復讐仲間と言う設定で、2人は特に悪役と言う感じではない。

ミステリ原作ものほどきっちり考え抜かれていると言う感じではないが、娯楽としては十分に楽しめる内容になっている。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1964年、大映、長谷川公之脚本、井上梅次監督作品。

イラストバックにタイトル キャスト、スタッフロール

抱き合ってキスする男女 もう行かなくちゃ…と男が言い出したので、いや、1人にしないで!と女が甘える。

時計が0時20分を指していたので、いけない、12時過ぎてやがら〜と男が慌てると、いつもの人と会うのね、不思議な人と…、その人とどんな話するの?哲也さん、何かしようとしてるんじゃないの?お父さんの復讐で…と高瀬進子(田中三津子)が案ずると、林哲也(山下洵一郎)は、あの日、動かないで火の中でじっとしていたオヤジのことを忘れられないんだと答える。

私も駆けつけたとき見たわ、社長に焼け落ちた瓦礫が覆い被さるのを…と女が言うと、放火自殺されたら引け目を感じるのは息子の方だよ…と哲也は言う。

あの人とはどんな関係なの?と聞かれた哲也は、友情でもない、同じ復讐仲間としか言いようがないと答える。

同じ頃、とあるバーのカウンターで飲んでいた多田健吉(待田京介)は、昔同じ近松組で今は足を洗ってバーテンをしている男から、もうすぐは灘波多組の吉田や佐々木、上木たちが店に来るからと忠告されたので、足を洗えって言うのか?と多が睨み返すので、親分が死んじゃって健が悔しいのは分かるけど…となだめる。

今に仲間と組んで潰してやる!と多田が言い出したので、俺はもう辞めたんだよとバーテンが怯えると、お前じゃないと多田は言う。

そこに、佐々木(守田学)、上木(藤山浩二)、吉野(橋本力)ら灘波多組の連中が入って来て、健じゃねえか?景気はどうだ?とからかって来たので、寝返らなくても何とかやってるぜと多田が言い返したので、吉野らに殴られる。

身構えた多田だったが、おっと時間がねえ!俺には仕事があるんだ、又会おうぜと言い残し店を出て行く。

暗い路地の電灯の下で多田と哲也は落ち合い、哲也はライターで多田のタバコの火をつけてやる。

どうだ?と多田が聞くと、お巡りの巡回は終わったと哲也は答え、あいつは?と逆に聞くので、来るだろう、1時ジャストだと多田は答える。

そこに車が近づき、降りて来たサングラス姿の男が合流し、2人とも時間厳守、大変立派だと哲也と多田を褒め、3人揃って近くのシャッターの閉まったビルの方へ向かう。

そのシャッターには「極東信用金庫」と書かれてあった。

翌朝、金庫破りが発覚し警察が銀行内に調査に来るが、理事長の宇部泰助 (村上不二夫)は、ない!と金庫内を確認して驚愕しながらも、現金には手を付けられてなかったそうですな?と加藤警部(中条静夫)が聞くと、何も取られたものはありませんと宇部は答える。

先週もお宅に泥棒が入ったそうですな?と加藤警部は重ねて聞くが、何も取られたものはありませんと宇部は平静を装い答える。

その後、億様お電話ですと女中から知らせを聞いた桂和代(若松和子)は、電話の相手が宇部と知ると、旦那様は今ご旅行中ですと答えるが、宇部が言うには例の帳簿が盗まれたらしかった。

東京地方検察庁 検事の大崎稔(宇津井健)は、報告に来た加藤警部から極東信用金庫の話を聞いていた。

内偵始めたことに気付いて自分で始めたのでは?と広瀬事務官(竹村洋介)が言うと、そうだとすると上がおろおろしているのがおかしいと加藤警部は宇部の様子を考え反論する。

そこへ荷物が今届きました、持って来た人物は名乗らなかったと雨宮事務官(青山良彦)が部屋に入って来る。

中味を見た大崎は、極東の隠し帳簿だ!と驚き、これを誰が持って来たか至急調べてくれと雨宮事務官に命じる。

ナイトクラブ「シルクロード」でサックスを吹いていたのは根来恭平(田宮二郎)だった。

そこにやって来たのがこの店の社長灘波多で、ホステスの西原美樹(万里昌代)にあのバンマス、お前が連れて来たんだって?と聞くと、小さなノミやにいたのと美樹は答える。

そこに入って来たのが多田と哲也で、三五郎さん、俺は近松組の多田健さ、あんたは人を使って親分を殺したが、俺は生成どうどうと自分でやって来たぜと言いながら、哲也とともにナイフを取り出す。

その時、多田のナイフを持った手を掴み、ここは客商売だ、けりは外で付けてくれ、サツが来たら臭い飯を食うことになるぜ、止めとくんだと説得し、2人を店から追い返す。

それを見た灘波多は、お前なかなか良い腕してるじゃないか、一杯やろう!と酒を勧めるが、客が待ってますからと値ごろは言い、又ステージに戻ってサックスを吹き始める。

根来恭平って言うのと美樹が教えている所に子分がやって来て灘波多に耳打ちしたので、これは褒美だ、奴に渡しといてくれと言いながら札束を数枚財布から抜き取ると美樹に渡して灘波多は店を出て行く。

深沢義則(内田朝雄)の家にやって来た宇部は、浮き貸しの事実が明るみに出たら…と怯えていたが、そこに灘波多が駆けつけて来る。

灘波多社長、和代から聞いてくれましたか?と深沢が聞くと、あらましは…と灘波多は答える。

昨日こんなものが郵送されてきましたと宇部が取り出したのは、手錠をかけられたマスコット人形だった。

早急に調べて欲しいと深沢は灘波多に頼む。

灘波多は、警察が動き出すかもしれん、宇部さんしばらく別荘へ行っていては?と勧めると、白雲山の?と宇部は聞き返すが、もっと遠くだ、香港!と灘波多は教える。

そこへ又女中が、億様お電話ですと知らせに来たので、切り替えられた部屋の電話を取った和代だったが、相手は名乗らないと言いながら深沢に代わる。

深沢だが?と受話器を受けた深沢だったが、相手は何も言わず、妙な音楽が聞こえて来たので、和代と灘波多らに聞かせる。

すると、その曲に聞き覚えが会った宇部が、葬送行進曲ですと教える。

その音楽はテープを回していたもので、電話をかけて来たのは多田と哲也だった。

今、テープを聴かせてやった、驚いてたぜ、あいつらと愉快そうに笑う多田は同じ部屋にいた値ごろに教える。

それを聞いた値ごろは、宣戦布告は終わった、後はあの帳簿を大崎が調べてくれるかどうかだと言うので、知り合いか?と多田が聞くと、大学の同期みたいなもんだと値ごろは教える。

俺は喧嘩で怪我して半死半生のとき、あんたに病院に連れて行ってもらったと多田は感謝し、哲也は、バーのカウンターであんたが声をかけて来たと根来との出会いを話す。

俺も復讐したいんだと言う根来に、訳を聞かせてくれと哲也は頼むが、根来は持っていたブランデーグラスを握りつぶしたので、哲也と多田は驚く。

そんなに悔しいのか?と哲也は聞き、気の向いた時に聞かせてくれと多田も根来の手の手当をしながら労る。

俺たちは同志だ、善良な奴を潰して伸し上がるような奴らをぶっ潰すと根来は言い、3人で乾杯をし直す。

やがて、極東信用金庫の浮き貸しの事実が新聞にすっぱ抜かれる。

それを読んだ根来は、出し抜かれるとは大崎もだらしない奴だと呟く。

俺は灘波多にさらに接近してみる、と根来は多田と哲也に伝える。

一方、新聞にすっぱ抜かれたことを知った雨宮検事正(北原義郎)は、宇部の居所を徹底的に調べてもらうと大崎に命じる。

黒幕連中は法律も良く知っており、法制が6割、暴力4割で庶民を狙う、三田村、武部、深沢辺りの1人が宇部の背後にいるのではないかと睨んでいますと大崎は答える。

今回はあまり深入りするな、政治問題になると、色々邪魔が出て来る、そうなると捕まるにはチンピラだけだ、とりあえず今までの闇金の被害者を当たるんだねと雨宮は大崎にアドバイスする。

その時、凱旋からお電話です、こちらにお繋ぎしましたと事務官が知らせに来たので、失礼と断り大崎が出ると、相手は婚約者の森知子(藤由紀子)だった。

知子さんですか?いつ帰って来たの?と聞くと、友達に代わってもらって1日早く帰って来たんです、今日は私の誕生日ですからと知子は言うので、「シルクロード」と言うナイトクラブでお祝いしましょう、今夜8時に席を予約しておきますと大崎はうれしそうに伝える。

電話を終えた大崎は、今のはしようだけではなく、実は仕事も関係していて、今夜行く「シルクロード」と言う店をやっている灘波多は元愚連隊なんですが、深沢義則と繋がっているんです、その辺を探って来ようと思うんで、本当は費用を出して欲しいんですが、このくらいは国家にサービスしましょうと大沢は雨宮に冗談を言って笑わせる。

その夜「シルクロード」にやって来た知子は、しばらく!ここでサックス吹いているんですと言って声をかけて来たのが根来と知り驚く。

誰とお待ち合わせなんですか?当ててみましょうか?大崎でしょうと根来が話しかけていると、美樹がやって来て同じテーブルに腰掛ける。

まだ結婚しないんですか?変わりませんね、あなたは静かで目が澄んでいる、あの頃は私も張り合っていたものです、人生ではあいつが勝ちですが…と根来が言うので、あなたはご結婚は?と知子が聞くと僕は1人です、結婚なんてしませんと根来は言う。

好きな人がいるんでしょう?と知子が聞くと、ええ、忘れられない人が…、だから永遠に1人なんですと根来は言う。

その時ボーイが近づいて来て、美樹さん社長がお見えになりましたと伝えたので美樹は席を立ち社長室へ向かう。

灘波多に会った美樹は、差し出がましいようですが、根来さんが社長の耳に入れておいた方が良いだろうって…と…と用件を切り出し、昔の近松組の仲間を集めて社長の組に殴り込みをするようですと伝言する。

その頃、ホールで根来と踊っていた知子は、あの日突然去ってしまうんですもの…と過去のことを思い出しながら悲しむ。

ご両親にご不幸があったとお聞きしましたが?と知子が言うので、母は自殺しましたと根来が言うので、驚いた知子は、何がありましたの?私にも知る権利がありますわ、1度は将来を約束した事があるんですもの…と知子は言う。

しかし根来は黙ってテーブルでブランデーを飲むだけだった。 そこにやって来たのが大崎で、よお、根来じゃないか!と驚き握手を求める。

今でも少しはピアノやってるのかい?続けていたら、今頃ステージでジャズ・シンフォニーだと根来がからかうと、検事も楽じゃないんだと大崎が苦笑するので、理事長に逃げられるとは手ぬるいと根来は皮肉を言う。

良く調べているようだな?と大崎が言い返すと、俺も法科だ、成績は君より上だと根来は答える。

この店にはいつ頃から?と大崎が聞くと、半月ほど前から働いていると根来が言うので、ここの社長の灘波多と理事長は関係があるらしいと大崎は教える。

深沢を洗っているうちに、君のお父さんのことが浮かんで来た、亡くなったのか?と大崎が聞くと、死んだも同然だ、肉体だけが生きているのさ…と根来は言いにくそうに答える。

深沢に恨みがある君が灘波多の店で働いているのは偶然じゃないだろう?日本には立派な法律がある、俺たちに任せろと大崎は言い聞かせると、みんな法律の網をかいくぐって栄えているじゃないか!俺も法律は勉強したんだ、陰ながら君の成功を祈っているよと根来は言う。

そこに戻って来た美樹が根来に社長がお呼びよと伝えに来たので、テーブルから立ち上がった根来は、大崎、知子さんを幸せにしないと俺が許さんぞと言い残して客席から出て行く。

根来の姿が見えなくなると、奴が帳簿を送って来たのだろうと大崎は推測する。

社長室に根来が来ると、美樹から聞いたが、その情報どこから仕入れた?と灘波多が聞いて来たので、私は昔ぐれてましてね、その頃の仲間から聞いたんですよと根来は答える。

念のため、灘波多は建設事務所に電話を入れると、チンピラの岡(大川修)が出て来て、おめえ誰なんだ?名前は?などと威嚇して来る。

側で麻雀をしていた佐々木が慌てて電話を代わり謝るが、近松組が襲って来るようだと言う話を聞くと、そんな情報はありませんぜと否定する。

それを灘波多が根来に伝えると、そんなら結構なんですがねと根来はとぼける。

その直後、佐々木や吉野らが又麻雀を再開している工事事務所の外に停めてあったトラックやブルドーザーが動き出す。

物音で佐々木から命じられた岡が窓から外の様子を伺うと、トラックとブルドーザーが事務所に迫って来たのに気付き大騒ぎになる。

闇に乗じて多田と哲也はそのまま運転席から飛び降り、彼らが動かしたトラックとブルドーザーは、逃げ出す佐々木らの事務所を押しつぶしてしまう。

翌朝、後片付けしている小林たちの元に根来と車でやって来た灘波多は、くそ!と悔しがり、多田だと思うんですがね…と犯人を推測する小林に、わざわざ電話したのに…このざまか!気を付けろ!と喝を入れる。

すぐに帰ろうとした灘波多が根来に声をかけると、ちょっと用事があるので…と帰りの同乗を断った根来は、現場の様子を見ながらほくそ笑む。

その頃、深沢は、会長を務める新アジア開発で白雲山の開発について尽力するとの意見表明をしている所だったが、灘波多が会いに来たとの知らせを受け中座する。

こう云う人前で会わん方が良いと思うが?と深沢が苦言を呈しながら灘波多と2人きりでエレベーターに乗り込むと、陳から電話があり、宇部が戻って来るらしいです、何でも子供の容体が悪いとかで…と灘波多は伝える。

同じ情報が東京検察庁の大崎にも知子が電報を打って来たので、ただちに雨宮検事正に報告する。

その電報を見ながら間違いないね?と雨宮は確認し、持つべきものは良いフィアンセだねと褒める。

知子はスチュワーデスをしており、香港から戻る飛行機の乗客の中に宇部がいることを知ったのだった。

そんなことは知らず羽田に降り立った宇部は、待ち受けていた加藤警部から逮捕令状です、ご同行願いますと言われ愕然とする。

そんな宇部の様子を近くから監視していた根来は薄笑いを浮かべるが、それをスチュワーデスとして空港に降りて来た知子が目撃してしまう。

宇部が逮捕されたことを知った灘波多は、非常手段で口を封じましょうと信玄氏、深沢もお任せしましょうと灘波多に一任すると、昔から君が欲しがっていたものをあげようと言い和代に合図すると、和代が灘波多に渡したのは大きなダイヤモンドの指輪で、元子爵の奥様の持ち物ですよと説明する。

そんな凄い褒美を目にした灘波多は恐縮し、身をもって処理しますと約束する。 財務局の管理課長、何と言ったかな?と深沢が聞いて来たので、小山ですか?と灘波多が教えると、ちゃんと握っているんだろうね?家にこんなものが送られて来たんだと良いながら絞首刑のように首に縄が結ばれた人形を取り出すと、家にはこれが…と言いながら灘波多が出したのは胸に五寸釘が刺さった人形だった。

多田の奴では?と灘波多が指摘すると、違う!この裏にはそんなチンピラなんかじゃない誰かいる!それが分からんのかね!と深沢は苛立つ。

その時電話がかかって来たので深沢が出ると、又葬送行進曲が流れて来たので、又だ!と良いながら灘波多にも聞かせ、相手はしかも周到な案をねっている、よく調べるんだ!と命じる。

その曲のテープを愉快そうに電話に流していたのは根来だった。

大崎は呼び出した高瀬進子に林哲也の住所を知らないか?と聞いていたが、半月前までは桜台のアパートだったんですが、今は電話が繋がらないんですと言う。

彼は復讐しているです、彼のお父さんが高利貸しから金を借り、返せなくなって会社に火を点けたんです。

(回想)燃え上がる会社に駆けつけた哲也は、会社内に座り込み動こうとしない乳の最期の姿を目撃する。 そこに高瀬進子も駆けつけるが、その時、火の点いた瓦礫が哲也の父親(河原侃二)の上に崩れ落ちる。

(回想明け)話を聞き終えた大崎は、それ以来哲也君の人が変わったと言うんですか?今どんな奴と付き合ってるか分かりますか?と聞くと、ヤクザともう1人は妙な人なんですと進子が言うので、根来と言うんじゃないですか?と大崎は確認する。

しかし進子は分かりませんと言うだけだった。

進子が帰ると、だんだん分かって来た、羽田に根来がいたらしいと大崎は知子から聞いた情報を事務官たちに話すと、この勝負は僕の勝ちだ、法律にものを言わせてみせると自信を見せる。

根来はいつものように「シルクロード」でサックスを吹いていた。 その日ステージではミミイ君川(十和田翠)が水着でダンスを披露していた。

テーブル席には南波田が財務省の役人小山課長(小山内淳)を接待しており、ミミイを後で会わせると耳打ちして喜ばせていた。 南波田は支配人斎藤(津田駿)に手配するよう耳打ちする。

ステージが終わり楽屋で着替えかけていたミミイの所にやって来たのは根来で、君と1度遊びたいんだと言うので、喜んだミミイは身体は自信あるわと乗って来たので、今夜どう?と誘うと、今夜は先約があるの、社長がちっぷ払ってくれるんだって、相手、お役人なんだ、明日にしてくれない?とミミイは言うので、だだっ子のお守りがすんだら俺の所に来てくれと根来は言う。

ミミイは、良いわ、鍵をかけないで待っててと答える。

その夜、ベッドでミミイを抱いた根来は、官吏課長だったわ、何でも土地の払い下げらしいわ、自分の書類次第でどうにでもなると自慢してたわと小山の寝物語を聞き出す。

白雲山か?と根来が呟くと、来週書類出すと言ってたわ、社長からお金ふんだくったら温泉行かない?とミミイは甘えて来るが、その時、ノックが聞こえたので、根来は仲間だと思ってドアを開けると、そこにいたのは美樹だった。

ベッドに寝ていたミミイを見つけた美樹は、何よ、あんた、出てってよ!と怒ると、あんたより私の身体の方がずっと良いらしいわよとミミイが嘲ったので、美樹は思わずビンタをする。

ミミイが部屋を出て行くと、昨夜の客を知りたくてミミイを引っ張り込んだのね?あんたは一体何なの?私も利用しようとするの?何か何か探しているのね?社長に良い着付けやる、あんたはスパイだって!言うの?と美樹が責めて来るので、思わず抱き寄せてキスをした根来は、俺を滅ぼそうって言うのかい?と囁きかける。

すると美樹は、出来るわけないじゃない!一目会った時から好きだったのよ!と良いながらしがみついて来る。

その頃、東京地検の大崎検事は、宇部の尋問を続けていた。

何もかも話したらどうですか?あなたが理事長になった時の裏を知っているのは誰です?と憔悴し切った宇部に迫っていたとき、電話がかかって来て、受話器を取った広瀬事務官が大沢にメモを手渡す。

それを見た大崎は、一郎と言うのは坊ちゃんですね?臨終に近いと病院から連絡がありましたと教えると、宇部は慌て、一目で良いから会わせて下さい!と訴えて来る。

早速、宇部を乗せ上石坂病院に連れて来た大崎は、東京地検からずっと付けて来た車があることに気付かず、入り口前で宇部を降ろした所で宇部を狙撃されてしまう。

事態を知った雨宮から、偽の電話でおびき出されるとはうかつだったねと苦言を呈せられた大崎は一言もなかった。

これで極東の捜査は終わりだと雨宮が落胆している所に、今、犯人が自首して来たそうです!と事務官が知らせに来る。

自首して来た男(藤山浩二)は宇部に騙されて金を借りていたなどと言うが、誰かの差し金だろう!そんなことを言ってここで通用すると思っているのか!と加藤警部が追求するが、男は答えなかった。

宇部が暗殺されたと知った哲也の落胆振りは凄まじく、こんなことになるんだったら俺が自分の手で殺しておけば良かった!と悔やむので、これ以上やりたくないなら抜けても良いんだぜと根来が言う。

あんたは何故深沢が憎いんだ?と哲也は根来に聞き、そろそろ話してくれても良いんじゃないか?と同じ部屋にいた多田も好奇心を抑えきれないようだったので、終戦後間もなく満州に旅人が来た、オヤジは親身になってその男の面倒を見たが、その男はオヤジや進駐軍や三国人たちを利用し闇商人として伸し上がった。

そして俺の母親を誘惑した…と根来は重い口を開き出す。

愚かな母は深沢の元に走ったが、父は何も言わなかった… その後、深沢に捨てられた母は自殺した、さらに奴は家を借金にカタに取ろうとした。

俺は大学3年だったが何も出来なかった。 悪い奴は弁護士を大勢連れているから、裁判所から次々と通告が送られて来た。

守ってくれるはずの法律が庶民を苦しめる手段になったんだ。

俺は法律に絶望した。

それから6年、深沢はますます伸し上がり、財界の一方の旗頭だと言うのを聞いた哲也は、お前のお父さんは亡くなったのか?と聞き、多田も自殺か?と根来に問いかける。

すると根来は、死んだら諦めがつく、頼む、聞かないでくれ!と根来が言うので、次の僕の役割は?と哲也が聞き、多田も、こうな ミミイはクラブで又根来に近づく。

その後、ミミイは又小山と会っていたが、ミミイが風呂に入っている間、和代が小山に200万の小切手を渡していた。

和代が立ち去ると和代が上がって来て、お風呂入ったら?と勧め、小山が脱いでいたスーツを取るとすると、大事なものが入っているんだと小山はスーツ取り返して警戒する。

私が片付けておくわと言い、スーツを受け取ったミミイがハンガーにかけていると、小山が風呂場の窓から一緒に入らないかと声をかけて来る。

それを適当に受け流しながら、ミミイは小山のスーツの内ポケットの中の小切手の文面を覚えると根来に電話で知らせる。

その頃、知子と茶店で会っていた大崎検事は根来に会いたいと住所を聞いて来た知子に、今でも愛しているからだと答える。

あなたからあの人の不幸な過去のことを聞いてから眠れないの、堪らないのよと知子が訴えるので、僕は失態をやった…、僕もしくじりを取り返す為に頑張るから自嘲してくれと伝えてくれと言いながら、根来の住所を書いたメモを手渡す。

翌日、財務省で働いていた小山に新聞社を装った根来が電話でインタビューを申し込み、公務員の幹部候補生としてのお話を伺いたいと相手をおだてると、5時半に若い記者がうかがいますと伝える。

その時間、小山を迎えにやって来たのは記者に化けた哲也と多田が運転手役に化けた車だった。

それに乗り込んだ小山が気がつくと、見知らぬ部屋に縛られており、サングラス姿の3人の男が自分を見ていた。

あなたは新アジア開発から美味しいお金をもらいましたね?と1人の男が話しかけて来る。

300万を三ツ星銀行で現金に替え、100万ずつ別の銀行に預けましたね?これがその時の写真ですと、サングラスの男は小山が預金している様子を盗撮した写真を見せつける。

事実と認めますね?さあ、何もかもしゃべっていただきましょうか?とサングラス姿の根来が迫ると、同じくサングラスをかけた多田がオープンリールのテープレコーダーのスイッチを入れる。

そのことを解放された小山は灘波多にそれを報告し、マスクをかけられていたので連れ込まれた場所も分からなければ、サングラスをかけていたので3人の男の素性も分からないないが、1人はヤクザ風で1人はサラリーマン、もう1人は分からないと言う。

話を聞いた灘波多は驚き、それで何をしゃべったんだ?と聞くと、何もかも…と小山は言う。

翌日、どぶ川に浮いた小山の死体が発見される。

秘書と列車で移動中だった深沢に電話が入ったとの知らせが来る。 電話の相手は名乗らず、今日は音楽の代わりに聞いてもらいたいものがあるんだと言うと、小山が灘波多の知り合いに頼まれた、魔がさしたんだとしゃべった録音テープが聞こえて来る。

君は誰だ?と深沢が気こと、オヤジが地獄から呼んでるぜ、元華族様の…と根来が教えたので、じゃあ君は!と深沢は相手の招待に気付く。

そうさ、お前の所に恨みの籠ったダイヤがあるはずだ、首を洗って待ってろと言うと根来は電話を切る。

小倅がいた!あいつか!と深沢は悔しがる。 根来の方も、相手はこっちの素性を知ったと哲也に話していたが、そこに戻って来た多田が、おい、小山だぜ!変死体になってどぶ川で見つかったと新聞を見せる。

それを聞いた根来は、こうなったら最後の切り札だ、直接ぶつかるぞ!と決意する。

「シルクロード」では、美樹が佐々木たちは社長に呼ばれ遠出のようよ、今日社長、ダイヤを見せびらかせていたわ、何でももと華族様のものだったんですってと情報を根来に教え、ねえ、危ないことは止めてとすがりついて来る。

その頃、東京駅に深沢の様子を見に行かせていた多田からアパートに戻った根来に電話が入り、深沢が降りて来ない、いくら探しても列車に乗ってなかったと知らせて来る。

途中下車したな?白雲山の天下台に行ったに違いない、灘波多も呼ばれたんだ、こっちから乗り込もう、すぐ戻って来てくれと根来は指示する。

電話を切ったとき、ノックの音がしたので、誰?と根来は警戒しながらもドアを開けると、そこに立っていたのは森知子だった。

何の用です?とそっけなく根来が聞くと、随分迷ったんです、もう1度お会いしたくて…と知子が苦しそうに打ち明けたので、私はもう昔の甘い思い出には用のない男ですと根来は答える。

とりあえず部屋に入った知子は、大崎さんから全てを聞きましたと言うので、相手は青春とあなたと未来を奪った男です、帰って下さい、あなたとはもう住む世界が違うんです、方の内側と外側なんです、これを大崎に渡して下さい、後は僕の好きなようにやらせて下さい、君から見たら私はキ○ガイに見えるかもしれませんね、見せたいものがあります…と根来はテープを知子に托すと言い出す

根来が知子を連れて来たのは脳病院だった。 その個室に入れられていたのは、根来の父信通(宮島健一)だった。

覗いて見ると、サトエのダイヤを返せ!と独り言を言っていた。

これが誰にも言わなかった私の最後の秘密です、お分かりでしょう?生ける屍なんです、私は私なりに復讐するつもりです、負けても買っても、後は大崎にやってもらうしかない…と打ち明けた根来は、通りかかった看護婦に金を出して、これであの患者に旨いものでも買って下さいと頼む。

白雲山の天辺に建つ天下台「深沢荘」に行くにはロープウェイと車しか方法はなかった。

そこに車でやって来た灘波多たちに、とうとう正体が分かった、影の男の…、根来と言う男で音楽をやっていた、良い青年だったが…と深沢が教えると、根来?と灘波多は考え込む。

その頃、知子から受け取った小山の証言テープを聞いた大崎は、天下台の敵の本拠地に乗り込むと言ったんですね?と知子に念を押す。

店に電話をした灘波多だったが、根来はいないと言う。

訳を聞いた深沢は、敵は我が知り合いにいた訳か、通りでこっちの動きが読まれるはずだと得心する。

白雲山の麓のロープウェイ乗り場に着た根来たちは、もうロープウェイは終了しましたと言う係員に、我々は新アジア開発のもので会長に急用が…と嘘を言うとあっさり乗せてもらえる。

天下台「深沢荘」に銃を持って根来たちが乗り込むと、そこにいたのは深沢に化けた替え玉たちで、同じく拳銃を持った灘波多たちが、上がって来たロープウェイに警戒し、隠れていた物陰から出て来る。

網を張っていたんだと笑いながら佐々木が根来たちの銃を取り上げると、今まではこっちの負けだったが、今度はこっちの勝ちだと灘波多は言う。

知り過ぎているようですな、宇部も小山も…と言いながら深沢も姿を現したので、テープは警察に送っておいたぞと根来は言い返す。

しかし深沢は、灘波多君、後は良いね?君の車で先に山を下りると言い残し別荘を出て行く。

その頃、大崎らはヘリコプターで白雲山へ飛ぼうと空港に駆けつけるが、操縦士はやかんの飛行は禁止されていますと言うではないか。

根来たち3人は後ろ手で縛られ、その側には時限装置を付けたダイナマイトが置かれる。

30分後に爆発すると灘波多は言い、子分たちとロープウェイに下山する。 根来は側にいた多田に、僕のポケットにライターが入っていると教えると、良し、こっち向け!と多田は答える。

空港にいた大崎は夜が白み始めたので、もう良いでしょうと操縦士を急かしている所に加藤警部が駆けつけ、静岡県警に連絡しておきましたと報告する。

それを聞いた大崎を乗せたヘリは飛び立つ。

灘波多たちは麓の乗り場でロープウェイから降り立つが、後3分だ、音くらい聞こえるだろう、見物して行こうと、その場に留まり全員山頂の方を見始める。 深沢は車の後部座席に乗り、ゆっくり山を下りていた。

多田は根来のライターに火を点け、それで根来のロープの結び目を焼き切ると、根来は手が自由になったので急いで時限装置の時計を止める。

時間になっても爆発音が聞こえて来ないので、失敗したと覚った灘波多は、ダイナマイトに導火線を付け、このゴンドラの中に積んでおけ、あいつら降りて来るかもしれないからなと佐々木たちに命じる。

ダイナマイトと積み込んでいた時、予想通りロープウェイが動き出したので、今度こそ木っ端みじんだぜと灘波多たちは笑う。

下りのロープウェイに乗っていた根来たちは、したの道路を走る深沢の車を発見する。

ちょうど、その真上当たりを通過しそうだったので、別荘から持って来たダイナマイトに引火して車の上に落すことにする。

何も知らない深沢は、急に車の周囲にバウ初が起きたので驚くが、やがてハンドルを切り損なった車が崖から墜落する。

それを見た根来たちは、やったぞ!と喜ぶ。

その爆発音に麓で気付いた灘波多は、さっきから変な音が聞こえるな、ケーブルを止めろと命じ、ゴンドラ用の電話で根来を呼び出す。

根来か?寝気出して来るとは大した奴だと呼びかけると、深沢の車は谷底に落っこちたぜ、あいつらしい最期だと根来はあざ笑う。

何!と一瞬驚いた灘波多だったが、ありがたい話だ、あいつがいなくなれば全部俺のものだ、今したから上がって行ったロープウェイには導火線を付けたダイナマイトが積んであるぞと灘波多は教える。

そして、子分に導火線に火をつけさせると、これでみんな俺のものだ、深沢やってくれて助かったぜと電話して切る。

しかし、灘波多たちが外に出ると、そこには静岡県警のパトカーが集まっており、降りて着た刑事が令嬢が出ていますと告げる。 灘波多はみんな深沢のせいだと言い逃れようとする。 そこにヘリが近づいて来る。

それに気付いた根来たちは、救助用の旗を窓から振ってヘリの注意を引こうとする。

それに気付いた大崎は、根来だ!どうしたのかな?といぶかしがり、ヘリを接近させると縄梯子を降ろす。

根来は哲也と多田をその縄梯子にの簿させると、最期は自分が登って行く。

そしてヘリに乗り込むと、あのケーブルカーが爆発するぞ!と教える。

操縦士がヘリを遠ざけようとした時、停まっていた昇りのケーブルカーが大爆発を起こす。

その日の新聞に深沢の死亡記事がでかでかと載る。

東京検察庁の部屋に、連れてきましたと広瀬事務官が根来を連れて来ると、広瀬君、席を外してくれたまえと頼み、大崎は根来と2人きりになる。

無精髭を生やした根来はまだ聞くのかい?とうんざりしたように言うと、さっき灘波多が自供した、やっと法律の力が役に立ったと言う訳だと大崎は教える。

君の勝ちだと言うのかい?峻烈な法の裁きを待ってるよと根来は冷やかす。

法は万能ではない、それでも、善良な社会人の努力が報われるような社会にしたい、君も厳しく裁くつもりだと大崎が言うと、望む所だ、それで僕も報われると根来は言う。

そんな根来に大崎が煙草をくわえさせると、旨いな、人からもらった煙草は…、長いこと、友達がいなかったからな…と根来は呟く。

知子さんは?と聞かれた大崎は、今香港行きの飛行機の中だ、彼女から言って来た、このどのことをすっかり忘れて来るって…と大崎が答えると、そうして欲しいな…と根来も言う。

スチュワーデスとして勤務中だった知子が客席にアナウンスを始め、旅客機が羽田から飛び立って行く。

 


 

 

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