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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

激突!若大将

草刈正雄版「若大将」の第二弾で、冒頭に「パートⅡ」の文字が出て来る。

言わば「明朗青春もの」とでも分類すれば良いのか、恋とスポーツに明け暮れるモテモテお坊ちゃんの痛快譚。

2本立ての添え物映画として見れば、可もなく不可もなしと言った所だと思う。

酷くつまらない訳でもないが、取り立てて褒めるような出来とも思えず、まずは平均的なプログラムピクチャーと言った所だろう。

しかも併映は「スリランカの愛と別れ」と言う木下恵介監督作品だったらしく、話題になった記憶もないので、あまりヒットしなかったのではないかと思われる。

おそらくその煽りを受けて本作も目立つ事なく、シリーズ自体消えて行ったのではないか。

本作ではヒロイン鮎子役が設定だけでなく女優まで坂口良子さんに代わっているのでちょっと戸惑う。

部活がアイスホッケーに変更になっており、北海道ロケが見せ場になっているが、その他の大まかな展開はほぼ前作と同じで、後半の展開などは前作のアレンジと言った感じになっている。

その後半の御都合主義はご愛嬌でその感覚は嫌いではないが、いきなり周囲に何もない野外スケートリンクで、熊の着ぐるみが出て来たりするハチャメチャ振り。

唐突に往年の名画パロディなどに持って行く強引さも成功しているのかどうか微妙な所 。 

「笑点」の座布団運びでも知られていた松崎真さんがライバル西北大のエースとして登場しており、試合のシーンでは明らかに雰囲気の似た別人がやっている。

「サインはV」の范文雀さんや、当時歌手や女優として売り出していた長谷直美さん、それに大門正明さんなども出て来る所が時代を感じさせる。

前作に続き青大将役を演じている湯原昌幸さんは田中邦衛さんとは違ったやや軽めの青大将像を作り出している。

前作に続きマネージャー役は役名が変わっているが、同じ丹波義隆さんが演じている。

加山版での江原達怡さんの役どころだと思う。

いつも若大将を可愛がっていた加山版でのおばあちゃん役に当たるキャラが見当たらないが、草刈版では小島三児さん(元トリオ・ザ・スカイライン)演じる千吉と言う板前が加わっており、これは加山版で堺左千夫さんが演じたことがある若大将と何となくそりが合わない板前の変形ではないかとも思う。

トラブルメーカーと言うか嫌なキャラとして描かれているので青大将とダブる部分もあるのだが、本作では後半ギャグ要素として巧く使われている。

小谷承靖監督は撮影所システム崩壊後の日本映画が混迷していた70年代にアメリカとの合作など、色んなジャンルを手がけていた方で、基本的にはB級作品中心に手堅くまとめる職人タイプの方ではないかと言う気がする。

本作なども無難にまとめ過ぎていて、見ている分にはそれなりに楽しめるのだが、これと言って印象に残りにくいような気がしないでもない。

プログラムピクチャーとしてはそれで良いのだけれど。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1976年、東宝映画、田波靖男脚本、小谷承靖監督作品。

「君といつまでも」のメロディに東宝配給マーク 「東宝映画」製作ロゴ

品川スケートセンターで京南大のアイスホッケー部が練習していた。

「Go For It! Young Guy PARTⅡ」と言う副題に続きタイトル

大学に帰って来る途中、ランニングして来た空手部の連中とすれ違うが、青大将見なかったねとマネージャーの杉村(丹波義隆)が言うので、又サボリだろうと若大将こと梅野正三(草刈正雄)は笑う。

その頃、青大将こと井戸山英介(湯原昌幸)はもう1人の部員とともに、大学の生協から野菜や卵を安く分けてもらいに来ていた谷村鮎子(坂口良子)に目をつけていた。

自転車に食料を積み帰ろうとした鮎子の前に立ちふさがったのが空手部の仲間で、わざと通させないようにからかい始めると、打ち合わせ通り青大将がやって来て、この場は僕に任せて下さい!京南大空手部に敵うと思うな!と言いながら仲間を蹴る。

すると吹っ飛んだ仲間は本当に壁にぶつかって痛がったので、慌てて青大将が謝りながら駆け寄ると、本気で蹴るんだから…と仲間がぼやくので、2人で仕組んだ狂言と鮎子は気付き、急いでその場を立ち去ろうとする。

それに気付いた青大将と仲間は慌てて後を追いかけ、田んぼの脇道で自転車を引き倒してしまう。

そこに、おい!止めろよ!と呼びかけながら駆けつけたのが若大将で、投げ飛ばされた青大将は側にあった肥だめに落ちてしまう。

慌てて這い上がろうとした青大将だったが、目の前に蛙がいるのに気付き、気絶しながら又沈んで行く。

大学内の合宿所で汚れた服の代わりにセーターを鮎子に着せてやったアイスホッケー部の賄い係のはな(賀原夏子)は、それ若大将のだからとセーターの持ち主を明かす。

杉村と若大将に助けてもらった礼を言った鮎子は、名前を名乗るとセントメリーホームで保母をしていますと若大将に教える。

若大将の実家であるトンカツ屋「梅長」に帰ると、新人の板前佐伯良夫(大門正明)と若大将の妹梅野志律子(関根恵子)が何やら話していたので、訳を聞くと、板長の千吉(小島三児)に虐められていたから慰めていたのよと言う。

そう聞いた若大将は口うるさく他の板前を怒鳴りつけている千吉に、お客さんがいるんだからガミガミ言うなよと注意する。

その後、肉の卸問屋の丸さんこと丸山(藤木悠)と仕入の打ち合わせ中だった父親で店の主人、梅野長太郎(フランキー堺)の部屋に顔を出した若大将は、アイスホッケー部主催のフォークコンサートの切符買ってもらいたいんだとチケットの束を差し出す。

長太郎は丸山さんと何をしてると思ってるんだ?肉の仕入を安くしてもらっていた所だと叱ると、カツサンドを会場で売ろうと思ってるんだと若大将が提案して部屋を後にしたので、商売が巧くなったねと丸山は感心し、そろそろ嫁さんをもらわなくっちゃ…、良い人がいるんですよ、梅長さん好みだよと言い出したので、どんな人?と梅長は身を乗り出す。

京南大学では文化祭が始まり、会場内には「およげ!たいやきくん」が流れていた。

京南大へやって来た志津子を待っていた若大将は、凄くカツが売れている、後100個くらいいるなと追加注文する。

店に戻って来た志津子は、千吉に後100個ねと伝える。

急いでキャベツの千切りを始めた良夫は、慌てて指を切ってしまったので、それに気付いた志律子(関根恵子)が慌てて治療の為に奥へ連れて行こうとしたので、それをうらやんだ千吉も指に怪我をしたとアピールする。

すると志津子はすぐに治療しなさいと冷たく指示し、デブの板前が治療しようと近づいて来たので、千吉は慌てて指を嘗めて治ったと言う。 大学に戻った若大将はフォークコンサートで自分のオリジナル曲を客の前で歌い出す。

そこにやって来た芸能プロダクションの山川たまき(范文雀)はその歌声に足を止める。

アイスホッケー部にやって来たたまきは、フォークコンサートの出演依頼をして来た杉村に会い、伊能さくらが九州から戻らないそうなのと伝える。

それを聞いた杉村はヤバい事になりやがった!と焦る。 フォークコンサートの目玉がなくなったからだ。

さらに間の悪いことに突然雨が降り出して来たので、若大将の歌を聞いていた客たちが一斉に帰ってしまう。

そんな中、最後まで聞いていたのはたまきと鮎子だけだった。

売れ残ったカツサンドを大量に入れたビニール袋を手に部室に戻って来た若大将は、雨に濡れながら入り口の前で鮎子が待っており、残念だったわね、あいにくの雨で…と声をかけて来たので、最後まで聞いてくれてありがとうと礼を言う。

歌が素敵だったからよと鮎子は言うので、これどうぞ!ホームの子供らにどうぞ、カツサンド!と言って渡すと、僕送りますと言い、部室の中から傘を持って来るが、開いて見ると穴だらけのボロ傘だった。

それでも身を寄せ合って帰る2人に気付いた杉村たちが、部室の前に出て来て2人の後ろ姿に向かって冷やかす。

その直後、若大将を目当てに部室へやって来たたまきを見たはなは、ここをどこだと思ってるの?女人禁制だよと文句を言って来たので、あなたは女性じゃないの?とたまきも言い返す。

そんな部室に、大勢の女性に追われた杉村が逃げ込んで来る。

コンサートのチケットを買ったのに、お目当ての歌手は出ないし雨で中止になったので払い戻しを求める女性たちだった。

お金返さないと座り込むわよ!と部室に乗り込もうとするので、はながバケツの水をかけて追い払う。

女性たちが雲の子を散らすように逃げ去った後、改めて杉村に、ご免下さい、梅野さんっていっらしゃる?山川と申しますとたまきが声をかけて来たので、今出掛けていますと答えると、では待ってますわ、ここは女人禁制らしいので…とたまきは皮肉を言う。

そこに若大将が戻って来たので、ここは女は入れないそうですから表へ行きましょうとたまきは誘う。

喫茶店に落ち着き、たまきが切り出したのは、若大将にレコードを出さないかと言う申し出だった。

若大将は、レコードを!と驚くが、たまきは、きっとヒットしますわと太鼓判を押し、食事でも?と誘うが、若大将が断ったので、気が向いたら電話してと言い、たまきは名刺を渡して帰る。

その頃、「梅長」に空手部員たちを引き連れやって来たのは青大将で、部員たちに好きなものを注文させると、持って来たコンサートのチケットの束を取り出し、払い戻してもらおうじゃないの?と店側に詰め寄る。

そこに丸山が若大将の見合い相手を来たので、志津子は奥の座敷に通す。

座敷に案内された明代(加茂さくら)が、お店に電話しとかなきゃと良い席を離れた所に長太郎がやって来て、そこに丸山と共に座っていた和子(長谷直美)を紹介されると喜びながらも複雑な顔になり、中庭に丸山を呼び寄せると、20になったばかりだと言う和子のことを、丸さん、ちょっとまずいよ、いくらなんでも自分の娘より若いのをもらうなんて恥ずかしくて…と困惑したように囁きかけたので、正三君だって20ちょっとだろう?梅さん、まさか自分の見合いだと思ってたの?と丸山は呆れる。

そこに和子の伯母の明代が戻って来て挨拶をし、丸山からこちらのママさんは新橋で小料理屋をやっているんだと聞いた長太郎は明代を見て一目惚れしたようで、志津子!酒でもビールでもじゃんじゃん持って来てくれ!と上機嫌で呼びかける。

青大将はヒレの一番良い所頼む!などと店内で好き勝手に注文していたが、そこに若大将が帰って来たので、友達が来てるわよと志津子が教える。

青大将がコンサートチケットの払い戻しのことを切り出して来たので、杉村と話してくれよと若大将は困惑する。

そこへ長太郎が若大将を呼び、奥の座敷に招き入れる。

明代が銘の和子ですと若大将に紹介する。

しかしそこに又志津子が来て、兄さんお客さんと伝える。 店に来たのは杉村で、若大将、助けてくれよとチケットトラブルのことで泣きついて来る。

そうした中、カウンターでふんぞり返っていた青大将がロースカツを注文したので、千吉はカツの裏側に大量のカラシを塗って裏返して差し出す。

それを知らずに、表にもカラシを付けて口に入れた青大将は辛さに飛び上がり、水!と要求するが、千吉はクップに注いだ水にこっそり七味唐辛子を投入したものを渡したので、受け取って飲んだ青大将はさらに飛び上がる。

座敷に上がった杉村は、伊能さくらは来ないし、コンサートは雨で中止になっちゃうし、これじゃあ軽井沢での強化合宿も出来そうにないよと苦境を若大将に打ち明け、何とか200万ほど出来ないだろうかと言うので、若大将が手提げ金庫の方へ移動したので、まさか店の金を持ち出すんじゃ?と杉村が案ずると、若大将は金庫の横の電話をかけ始める。

電話をした相手は音楽プロデューサーの山川たまきだった。

その後、店を訪ねて来たのは鮎子だったが、まだ店に残っていた青大将が若大将は出かけたよと教え、馴れ馴れしく近づくと、鮎ちゃん、僕とドライブしない?と誘い車に乗せる。

青大将が連れて来たのは新宿の高層ビルの中にあるレストランだった。

初めて高層ビルのレストランから見る東京の眺望に感激した鮎子だったが、そこにやって来たのが若大将とたまきだった。

鮎子は驚くが、若大将の方が気付かずに玉置と同じテーブルに座ると、200万貸していただけますか?と聞く。

承知したたまきは、その代わり、私の言う事を聞いて良い子にしてね、私も今度のレコードは当たりそうな気がするのと言いながら若大将の手を握って来たので、それを見た鮎子は怒り出し帰る!と席を立つ。

それを聞いた青大将は帰るの?と聞くが、近くにいたウェイトレスがそれを聞き違え、蛙ですね?と言うと、蛙の料理を持って来たので、青大将は発作を起こし、近くのテーブルの料理の中に倒れ込んでしまう。

こうして若大将は、たまきに従い「この愛にすべてを」と言う曲のレコードの吹き込みをやるはめになる。

若大将を使ったポスターは銀座などの目抜き通りに貼られる。

一方、この200万のお陰で無事アイスホッケー部の軽井沢合宿は無事行なわれることになる。

しかしランニング中でも飯への不満を部員たちは漏らしていた。

練習場に来た京南の部員たちだったが、先に練習をしていた西北大の部員たちが規定時間を過ぎても止めないので、キャプテンが杉村に文句を言いに行かせる。

仕方なく杉村が西北大の部員の所に交渉に行くと、俺たちの練習をスパイしに来たんだろうと因縁をつけられる。

杉村は因縁をつけて来た大岩(松崎真)の鼻が曲がっていることをからかうが、怒った大岩に捕まってしまう。

西北のキャプテンがなだめて何とか解放された杉村だったが、合宿所に戻って来ると、はなの手伝いをさせられる。

わらびと菜っ葉か…と愚痴ると、文句言うんじゃないよとはなに叱られる。 そこにやって来たのが鮎子で、今、幼児教育の研修会をやっているのだと良い、若大将は?と聞く。

杉村が若大将のいる場所へ案内している途中、地面に生えている茸に気付き、松茸!と喜ぶ。 杉村がその茸を採り始めたので、鮎子は若大将の歌声が聞こえる方向へ1人進み始める。

しかし近づいた屋敷の屋根で修理していた大工が、鳴っていたラジオを止め、近づいて来た鮎子に何か用かね?と声をかけて来たので、歌はラジオから流れていたのだと気づき、慌てて離れる。

(若大将が、トロッコに乗ったり、線路を歩いたりする、人気のない駅のホームにいるイメージ)

やがて、湖畔でギターを弾いて歌っていた若大将を見つけた鮎子はこっそり背後から近づき目隠しをする。

鮎子は若大将を研修をやっているグリーンホテルに連れて来て、お休み今日までなのと教える。 しかし若大将も、なけなしの費用で来てるんだ、練習しなくちゃいけなくて合宿しているからと教える。

そこへへ突然車でやって来たのが先日「梅長」で見合いをした小島和子で、マトンを持って来たから合宿所へ行きましょうと若大将を誘う。

和子と鮎子は互いに意識し合うが、ホテルから鮎子を教習会が始まると仲間が呼びかけたので、鮎子はその場で別れることになる。

ちょうど夕食を始めていた合宿所へ来た和子はマトンを差し入れるが、部員たちは喜んでそれを杉村が採って来た茸と一緒に焼いて食べ始める。

すると和子はその茸を見て、これは松茸ではなく、北海道にも生えている笑い松茸と言うもので、食べると中毒を起こし、おかしくないのに急に笑い出すのだと全員に教える。

みんな驚き、杉村を責め始めた所にやって来たのが西北のキャプテンと裏表で在学8年だと言う大岩で、さっきの練習時間のことで詫びに来たとキャプテンが説明し、大岩は持って来た「白雪」の一升瓶を差し出し、これで一杯やって勘弁して下さいと声をかけるが、何故か京南の部員たちは礼を言うどころか一斉に笑い出してしまう。

自分の曲がった鼻を侮辱されたと感じた大岩は怒り出す。

それを見かねた若大将は、これには訳があるんだよと事情を説明しようとするが、大岩は無関係なはなまで大笑いしているので、ばばぁ!と怒鳴る。

その頃、「梅長」の近所に貼ってあった若大将のレコードポスターを剥いだ志津子は店に戻ると、千吉に長太郎は?と聞く。

千吉は、あそこではないですか?と答える。

長太郎はその頃、「結婚しようよ」がかかっていた新橋の明代の店に来ていた。

カウンター度ぇ明代と向かい合った長太郎は、ママ、ずっと店屋っていくつもり?と聞くと、主人がいないので食べていけませんから…と明代は答える。

長太郎は明代と2人きりになりたくて、女店員に煙草買って来てと頼むが、女店員は気が利かず、煙草なら買い置きがありますけど?などと言うので、明代が気を利かせて、借りていたビールをお隣に返して来てと頼み女店員を表に出す。

2人きりになると長太郎は、いきなり明代の手を握る。

その時、突然扉が開き、やって来たのが志津子で、お父さん!兄さんが大変なの!と告げたので、長太郎は慌てて明代を握っていた手を放す。

レコードを出したのが、アマチュア規定に触れるって言う事で練習できないんだって!と剥がして来たポスターを見せて志津子は言う。

若大将から事情を聞いたたまきだったが、ポスターを回収しろって?無理よ…と困惑する。

十分反省してるって態度見せないと…、借金返しますと若大将は頼むが無理だと分かると、「梅長」に戻って長太郎に遺産の前渡しとでも思って…と若大将は頼むが、縁起でもないこと言うな!ノー!と長太郎が拒絶したので、そうかい…、分かった…、俺、家出るよ…と若大将は言い席を立ったので、店の外に追いかけて来た志津子が兄貴、どこ行くの?と声をかけるが、長太郎は放っておけ!この金庫の中のもの見張ってるんだと志津子に言い聞かす。

しかし、長太郎が部屋を出ると、志津子は自ら手提げ金庫を開け、小切手を取り出すと200万の数字を打ち込み、良夫を呼んで、それを山川たまきの所へ持って行かせる。

その様子を千吉が障子ガラスの部分から覗き見していた。

その頃、鮎子が働いているホームに赤いバラの花束持参で会いに来た青大将は、梅野ののことだけど、パパが連盟のお偉方に顔が利くんだ、梅野の代わりに僕と付き合わないか?と迫ったので、卑怯な方ね!と鮎子は憤慨する。

そうかい、それじゃあ梅野のこと、どんな処分になっても知らないよと青大将は嫌みを言い、今夜6時!迎えに来るから!と強引に話を進めようとするが、今夜はホームのクリスマスパーティだから…と鮎子は断る。

行きが降って来たその夜、鮎子がいるホームの窓辺に近づいて来た若大将だったが、部屋の中では「きよしこの夜」のオルガンを弾く鮎子に、プレゼントを持って来た青大将が、子供たちにお礼のキスをせがむついでに鮎子にまでキスをせがんでいる所だった。 若大将は何も言わずにその場を立ち去る。

一方、良夫が持って来た200万の小切手を見たたまきは、これをもらう訳にはいかないわ、ポスターはもう剥がしたし…と拒絶する。

「梅長」では、長太郎が志津子に、あれほど見張ってろと言っただろう!200万、持ってったじゃないか!と叱るので、そんなの何よ!たかがピーナッツ2個じゃない!私もこの店で働いているんだから使う権利はあるわ!と志津子はロッキード事件の賄賂に引っ掛けて言い返す。

お父さんも使ってるじゃない!何に使っているのかしら?などと志津子から追求された長太郎は、誰に渡したの!と聞くが、志津子は記憶にありませんとごまかす。

その時、座敷の電話が鳴ったので志津子が出ると、それは駅からかけて来た若大将だったので、分かったわ、すぐ行くからと言うと立ち上がる。

誰から?と長太郎の質問にも、忘れましたと言い残し志津子は店を飛び出して行く。

そこへ千吉が顔を出し、旦那、知りたいでしょう?これです、貢いでいるんでしょう?などと親指を立てて話しかけて来る。

うちの娘に限って!と長太郎はにわかに信じられないと言う顔をするが、そこに戻って来た良夫が、お嬢さんは?と聞いて来たので、こいつです!と千吉が良夫を指差す。

そして良夫の身体を身体検査し、あった!これ小切手!と言いながら千吉は200万の小切手を長太郎に差し出す。

良夫!世間知らずの娘を騙しやがって!この金どうした!と長太郎は叱りつけるが、良夫は困惑するだけで、僕は何も言えません、お嬢さんに聞いて下さいと言うだけだった。

それを聞いた長太郎は、これをくれてやるから手切れ金だと思って出て行け!と言い渡すと、分かりました…、お金をもらう理由がありませんから…と小切手は置いた良夫は、それじゃあお世話になりましたと言い残し部屋を出て行こうとするので、良夫、止めるのか?と千吉が聞く。

笠谷!と叫ぶアナウンサーの声と今は誰もいなくなった札幌オリンピックのスキージャンプ台の情景

若大将は1人北海道へ渡り、牧場で黙々と働いていた。

牛の世話をしたりしていた若大将だったが、空き時間には1人タイヤを引きづり、雪の中を走って足腰を鍛える訓練にも余念がなかった。

夜はビアガーデンでウェイターのバイトをしていた若大将だったが、そこでばったり和子と遭遇する。

和子も驚き、こんな所でお会いするなんて!家を出たって伯母から聞いてたんですけど…、牧場なら家に来てくれれば良かったのに…と言うので、ここにいることは誰にも内緒なんですと若大将は打ち明ける。

それを聞いた和子は、あの人にも?ほら、軽井沢であった保母さん!と鮎子のことを聞くと、もちろんと若大将が答えたので和子は喜ぶ。

その頃、東京では、ダイヤの指輪を持って長太郎がまた新橋の明代の店にやって来る。

すると明代の姿が見えず、女店員が慌てたようにまだお店開けてないんですよと言い訳していたが、その時、二階から明代が下りて来て、慌てたように長太郎の側に来て気をそらそうとする。

その直後、同じに会から降りて来た丸山が、階段の下に置いたままの自分の靴を隠そうとしているので、明代はそれに長太郎を気付かせまいとするが、あっさり長太郎は丸山を見てしまい、何してるの?それじゃあ、丸さんとママは…と事情を察してしまう。

ごめんなさい、言いそびれてしまって…と明代は詫びるが、ああ、そうだったのか…と長太郎は自分の間抜けさに気付く。

その後、「梅長」の側の神社の階段の所へ戻って来た長太郎は、気を持たせやがって!と叫ぶと、ヤケになって指輪の箱を階段に叩き付ける。

その時、長太郎にぶつかって来たのが慌てた様子の千吉で、お嬢さんが大変なんです!今止めないと、偉いことに!などと言い出す。

ぶつかった拍子に階段を落ちた長太郎は左足をくじいてしまう。

港へやって来た千吉は、お嬢さんが行くのなら俺だって…と決意し、趣向直前の船に近づくと、この船のコックですと港にいた船員に嘘を言い、タラップを登って船に乗り込む。

しかし志津子と良夫はまだ船に乗り込んでおらず、港で別れを惜しんでいた。

どうしても行ってしまうの?どうして相談してくれなかったの、私の気持も知らないで!と志津子が責めると、勘違いしていましたと良夫は素直に謝る。

そんなロマンチックな雰囲気になっていた2人だったが、その時、お嬢さん!と呼ぶ声が聞こえたような気がして周囲を見回す。

それは、出港した船に乗り込んで志津子を探していた千吉が港にいる2人に気付いて呼びかけた声で、船出ちゃったよ…と甲板で呆然としながら港を見つめる千吉に気付いた良夫は、どうしてそこにいるの?と呆れながら港から小さくなって行く船を見つめる。 若大将は、夜、部屋の中で鮎子への手紙を書きかけていたが、かっこ良いことばかり書きやがって!と途中で自分の文に嫌気がさし、そのまま丸めて燃やしてしまう。

そして、窓のガラスに映る鮎子の顔を思い出すのだった。 それは、鮎子と2人で馬車やスノーモービルに乗って楽しむ幻想だった。

鎌倉の中でジンギスカンを食べたり、キスする真似をしあったりする。 お元気ですか?幸せになって下さいと言う若大将からの簡単な手紙を「セントメリーホーム」で受け取った鮎子の元に、青大将が車でやって来る。

そして査問委員会で今日にでも梅野の謹慎が解けるはずだと告げた青大将は、僕は約束を守ったんだから今度は君が約束を守る番だよと迫ったので、どこへでも連れて行ってくれる?と確認した鮎子に、鮎ちゃんのためならどこへでも行くよと青大将は答える。

羽田から飛び立つ旅客機 いよいよアイスホッケーの試合が始まると報じた新聞を呼んでいた若大将の元へ、馬で和子がやって来て、出られない試合のことを考えても仕方ないでしょう、雪祭りに行きましょうと誘う。

その頃、札幌プリンスホテルにやって来た青大将は、フロントで記帳を頼まれたので、井戸山英介、その妻、鮎子…などと勝手に書き込み始めるが、その隙に鮎子は、荷物を外に運び出していたポーターの荷物に隠れ入り口から逃げ出す。

宿帳にサインし終えた青大将は鮎子がいなくなったことに気付き、慌てて探しに出る。

雪祭りに鮎子はやって来るが、若大将に似た後ろ姿の男に気付き、ちょうど和子と一緒に雪祭りを見物していた若大将に気付かず背後を通り過ぎたので、その直後、若大将の方が鮎子の後ろ姿を見かける。

しかし和子からどうしたの?と聞かれたので、何となく返事をはぐらかす若大将。 鮎子の方も、追いついた相手が別人だと気づきがっかりする。

その後、展望台の双眼鏡で人ごみを見ていた鮎子だったが、若大将と和子が一緒にいる所を発見したと思った瞬間、双眼鏡の前を塞いだのが青大将だった。

自分を置き去りにした恨み言を言い出した青大将をごまかすため、スケートに連れてってと鮎子がねだる。

こんな所、誰もいないじゃないと屋外スケート場へ連れて来た青大将は膨れ、僕たち「白い恋人」だねと言いながらいきなり鮎子に抱きつこうとする。

嫌がって逃げ出した鮎子を追って来た青大将は、優しいキスを!などと言いながら迫って来る。

鮎子は若大将!と叫ぶと、リンクで1人滑っていた若大将がその声に気付き、鮎子に絡んでいた青大将の側へ近づいて来る。

若大将が現れたことを知った青大将は、鮎子さん、俺に譲るって言ったじゃないか!などと言い出したので、鮎子さん、信じちゃダメだ!と若大将は言い返し、2人がもみ合っているうちに、青大将は氷の穴の中に落ちてしまう。

引き上げた若大将は、青大将を案じ、必死に人工呼吸を始めるが、目を開かないので口移しで呼吸を怒り込む。

何とか気付いた青大将は早合点して若大将に、鮎ちゃん!と言いながら抱きついて来る。

若大将は横で案じていた鮎子に、水も吐いたし大丈夫と安心させる。

鮎子は、ごめんなさい、もっと早く会えていれば試合に出られたのに…と詫びるが、それを倒れたまま聞いていた青大将は起き上がり正座すると、ごめんなさい、鮎ちゃん、俺、パパに聞いて、梅野が試合に出られるのを知っていたんだ、このお礼に出来ることはするよ、とにかく火を起こそうと言うと、焚き木を集めてじゃんじゃん燃やし始める。

焚き火の大量の煙に気付いた消防車が駆けつける。

消防隊員たちが焚き火の場所へ来たとき、いきなり熊が現れたので消防隊員たちは固まり、全員死んだ振りをする。

その隙に若大将と鮎子は消防車の方へ逃げ、後から熊の着ぐるみを脱ぎながら青大将も消防車に乗り込むと出発する。

緊急自動車が通過します!と鮎子がアナウンスしながら千歳空港にやって来た消防車から降り立った若大将と鮎子は、そのまま飛行機に乗って飛び立つ。

後に残った青大将は、2人とも達者で暮らしなよ…とハンフリー・ボガードのようなコートと帽子をかぶって見送り台から見送る。

隣にはフランスの警官はいないが…と呟いた青大将だったが、横には日本の警官が立っており、窃盗違反で逮捕する!お前はもっとでかいものを盗んどる!と睨んで来る。

青大将はコートと帽子を逆隣にいた外国人に返すと、ごめんなさいと警官に甘える。

警官は、懐くんじゃないよ!と叱りつける。

東京、アイスホッケーの試合場 「梅長」では「本日休業」の札を下げ、長太郎以下、従業員全員でテレビ観戦をしていたが、左足にホッケーのスティック2本をギプス代わりに固定していた長太郎は、正三、いないじゃないか!と気付くと、店閉めることないんだ、店、開けなさいと従業員らに命じる。

会場前では、杉村が若大将の到着を待ちわびていた。 しかし、試合は西北大の方が優勢で、3-0と水を開けられていた。

テレビ観戦していたはなも、全くもう…、若大将、何してるのかね?毎回毎回心臓に悪いよ!とぼやく。

会場のキャプテンの所へ来た杉村は、第2ピリオドになったらユニフォーム着せて下さい!策があるんですと願い出る。

第2ピリオドになり試合に参加した杉村は、西北のエース大岩に近づくと、臭いと鼻が曲がると言うけど、お前は糞溜の生まれか?とわざと悪態をついてからかう。

これに怒った大岩が杉村につかみ掛かった為、大岩は反則を取られ5分間のペナルティを命じられ、リンク脇の檻の中に入れられる。

その間に京南は1点を挙げる。

その試合展開を見た長太郎は、店なんかやってられねえ!と言い出し、又「本日休業」の札を下げさせる。

檻に入れられた大岩を、試合中の杉村があかんべえする。

しかしすぐに大岩は復帰してしまう。

東京に到着した鮎子と若大将はタクシーで試合会場へ向かっていたが、途中で渋滞に引っかかってしまう。

間に合わないと察した若大将はタクシーを降りて歩き出す。

試合では、杉村が又大岩をからかおうと近づくが、大岩は耳栓をしていることに気付く。

試合は4-2でまだ西北優勢だった。 若大将は駆け出し、何とか北品川に到着する。

そこにはながタクシーで駆けつけユニフォームを渡す。

試合に合流した若大将にキャプテンは、残り時間は5分しかないことを告げる。

テレビで見ていた長太郎は息子の登場に興奮し、左足を蹴上げたため、ギプス代わりのスティクが飛び出し、TV画面を壊してしまう。

参加した若大将のシュートで4-3と京南は追い上げるが残り時間がない。

長太郎は足を引きづり、厨房のTVを見に来る。

4-4と京南が同点に追い上げた所に鮎子が会場に到着する。

後12秒、6人攻撃で行こう!と若大将は提案、キーパーを外し、豆川が加わった体制で攻撃開始、若大将のシュートがゴールし、4-5で京南が逆転勝ちをする。

若大将は胴上げされる。

「梅長」では長太郎も授業員たちから胴上げをされていた。

後日、羽田に青大将が帰って来るが、誰も俺の出所を祝ってくれねえのか…とぼやきながら見送り台を見ると、そこに笑顔で手を振っている鮎子の姿を見つけたので喜ぶ。(クラシック映画のような画面)

しかし、鮎子は、いってらっしゃい、若大将!と叫んでおり、それは、世界選手権に出掛ける若大将を見送りに来ていたのだと知ると、やっぱり俺じゃないのか…と青大将はがっくりする。

若大将を乗せた飛行機が飛び立ち、窓から覗く若大将の左目がキラリと光る。

THE END

 


 

 

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