白夜館

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花のヒロイン 

 

 

 

幻想館

 

シェイプ・オブ・ウォーター

60年代に流行った「トワイライト・ゾーン」や「ウルトラQ」と言った怪奇アンソロジーや「E.T.」などを彷彿とさせるモンスター感動もの。

人間がモンスターと情を通じ合うと言う設定は、当時のこの手の番組や映画を見ていた層にはそう違和感はないと思う。

子供たちがカネゴンと遊んだり、モロボシダンがちゃぶ台を挟んでメトロン星人と話合うと言ったシュールな展開を普通に見ていた世代なら、この作品も抵抗なく見られるのではないかと思う。

身体的ハンデがある主人公がモンスターと心を通じ合わせると言うのも「透明人間」や「ウルトラQ」の「五郎とゴロー」などでお馴染み。

つまり本作は、60年代前後の空想科学怪奇ものに親しんでいた世代にとってはノスタルジー気分に浸れる内容なのである。

モンスター物なのだが、水棲生物と言うことと若干不思議な力を持っていると言う以外に特に怪物性や攻撃性はなく、見た目が異形であるだけで中味は極めて人間に近い知性を持っていると言う所がミソだと思う。

「E.T.」のようなグロテスクな見た目とは裏腹に知的な宇宙人などに近い存在かもしれない。

いかにも往年のモンスターマニアの監督らしいキャラ設定である。

ここに描かれているモンスターは口が聞けないヒロインと同じく、一般人とは若干違った部分があるため不遇を託っているマイノリティなだけなのであり、半魚人はそれを分かりやすい形にしているだけだと思う。

身体的ハンデがあったり肌の色が違ったりと言った異質感故に、何となく虐げられた人達の象徴なのだ。

では差別批判を描いた作品なのかと言えばそれだけとも言えず、年老いて会社を追われたイラストレーターなども社会の中核を追われた弱者のようなものだし、スパイに徹しきれない科学者なども国家に従わされている弱者、悪役を演じているストリックランドなども上司の期待に沿おうと虚勢を張っている心理的な弱者である。

つまりメインの登場人物全員が貧富の差こそあれ、何かしら周囲と巧く溶け込めず、孤独感や葛藤を背負って生きている弱者なのだ。

みんな本人に否があると言うより幸薄い…と言うか、人間誰しも夢見るような幸せな人生を過ごせる訳ではないけど、それが普通なんだと言うメッセージのようにも見える。

ヒロイン像も、昔の怪奇映画にありがちな「悲鳴をあげる美女」「ティーンの為のお色気要因」のようなタイプではなく、地味な中年女性になっているのも興味深い。

人気スターで客を呼ぶのではなく、あくまでも無名の俳優などが多かったレトロなB級モンスター映画やTV怪奇ものの雰囲気を再現しようとしているのだと思う。

だから勧善懲悪的な痛快さやコケ脅かし的な怪奇要素、派手なアクション描写などは希薄で、ハッピーエンドと言う感じでもなく、何となく物悲しいやるせなさが残る心にしみる文芸作品のようになっている。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2017年、アメリカ映画、ヴァネッサ・テイラー脚本、ギレルモ・デル・トロ原案+脚本+監督作品。

水中の岩場の中の洞窟の中には、天上灯が灯った廊下がある。

カメラがその中に入り込むと、その奥には椅子やテーブルなどが置いてある部屋がある。

あの頃のハンサムな王子の時代は終わった… 場所は海の近くの港町… そして全てを壊そうとしたモンスターの話… そして奥のソファーには1人の女が死んだように寝ていた。

その女イライザ(サリー・ホーキンス)は、夢から覚めてベッドで起きる。

エリザベス・テイラー主演映画「クレオパトラ」が流れている中、イライザは風呂に入る。

17日の日めくりカレンダーをめくると、その裏には「時は過去から流れる川に過ぎない」と言う格言が書かれてあった。

同じアパートの住人でイラストレーターのジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)に会いに行くと、サイレンで起きた?チョコレート工場が火事だなどと話しかけて来たので、夜食は?とイライザが手話で聞くと、ありがとうとジャイルズは感謝する。

部屋のTVでは黒人と少女がタップを踏む映画をやっていたので、部屋を出て出掛けるイライザは、廊下でちょっとタップを踏む真似をしてみる。

イライザが階段を下りると、下で「砂漠の女王」と「恋愛人生」をアンコール上映中の名画座の主人が、ただ券をくれて、ジャイルズと一緒に来いと言ってくれる。

イライザは停留所からバスに乗って「航空宇宙研究センター」に向かう。

タイムレコーダーの列の前方で待っていた友人のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)が、イライザを手招いて一緒にカードを押してくれる。 並んでいた同僚の女性が割り込み行為に文句を言って来るが、黒人女性のゼルダは気にしなかった。

時刻はちょうど正午になる所だった。

イライザとゼルダの仕事はラボの清掃作業だった。

おしゃべりなゼルダは自分の亭主の悪口を延々と言い始める。

ラボ内は散らかし放題なので、ゴミはゴミ箱に捨てて下さい!とゼルダは研究員たちに文句を言う。

そこへ、ホフステトラー博士(マイケル・スツールバーグ)が今度ここで研究するとフレミングが説明しにやって来る。

水槽タンクのようなものをラボに運び込んで来たホフステトラー博士は、警備の責任者は?と研究員たちに問いかける。

イライザは、何か呼び声が聞こえる運び込まれた水槽の中の濁った水を興味本位で覗いていると、突然、水槽のガラスケースを内側にいる何者かの手が叩く。

イライザは驚くが、それに気付いた上司が、女を外へ!と命じ、掃除中だったイライザとゼルダはラボから追出されてしまう。

帰宅したイライザを外で待っていたジャイルズはいつもの禿頭にカツラをかぶっていたので、別人みたいだった。

ジャイルズはイライザを馴染みのカフェに連れて行き、キーライムのパイを2つ注文し、あんたがデキシーキングか?とカウンター内の主人に聞く。

店の主人は俺はオタワ出身だが、チェーン店になった時訛も直されたよとジャイルズに答えながらパイを手渡す。 アパートのジャイルズの部屋に帰って来たイライザはパイを食べて見るがまずかったので2口目は口にしなかった。

それに気付いたジャイルズは後で食べようと気を利かし冷蔵庫に入れに行くが、中には食べかけのパイが大量に入っていた。

その間、ソファで待っていたイライザが「TVガイド」を見ながらTVのチャンネルをリモコンで回していると、戻って来たジャイルズが、そんなの見たくない、ベティだ!と又ミュージカル番組に変えさせる。

19日、いつものように日めくりカレンダーをめくり、「航空宇宙研究センター」でトイレ掃除の仕事をするイライザは、いつものように、男性トイレがいつも小便で汚れていることへのゼルダの愚痴を聞き流していたが、そこに警備係のストリックランド(マイケル・シャノン)が入って来て、警棒を洗面台に置いて小便器の前に向かうと、両手を使わずに小便をし出す。

イライザが洗面台の掃除に邪魔なので警棒に触ろうとすると、触るな!その棒には電気が走っている!と両手放しで用便中のストリックランドが叱りつける。

ストリックランドが出て行った後、イライザは警棒が置いてあった洗面台に血が付いている事に気付く。

その後、廊下を掃除していたイライザとゼルダはラボ内で騒ぐ音を聞き、そちらを見やると、研究員から連れ出されて来たストリックランドが左手から大出血していることに気付く。

休憩室へ戻って来たゼルダがミートローフを食べようと取り出した時、フレミングが慌てたように呼びに来たので、ゼルダは愚痴るが、紙袋に入ったサンドイッチを食べかけていたイライザが率先してラボに向かう。

言われたのはラボ内の掃除で、見ると床に大量の血が流れていた。

20分以内できれいにしてくれと言われたが、付いて来たゼルダは、私はおしっこやうんちの掃除は慣れているけど、血はダメなのよと又愚痴り出す。

床に水を撒いてモップで履き始めたイライザは、床に落ちていた2本の指を発見する。

ストリックランドの左手のものだった。 それを教えられたエルザは、フレミングを呼ぶわと言うと部屋から出て行く。

指を拾い上げたイライザは、それを自分がサンドイッチを入れて来た紙袋の中に入れる。

その後、ラボに1人取り残されたイライザは緑色に濁ったガラスケースの水槽の中にいる得体の知れない生き物を目の当たりにする。

それは人間のような魚のような半魚人だった。

そこにやって来たフレミングが身体の一部だと?と言うので、イライザは指を入れた紙袋を差し出す。

アパートに帰って来たイライザから半魚人のことを聞いたジャイルズは、僕が以前見た半魚人は下半身が作り物猿だったよと言い、信じようとせず、金をもらったらパイを買おう、君の好きなパイをと言い残し、エージェントの所へ出掛けて行く。

しかし、ジャイルズが絵を持ち込んだ会社の元同僚は、ゼリーは赤じゃなく緑で、もっとハッピーな家庭の姿が欲しいんだ…と直しを要求すると、もう写真の時代だと言い放つ。

そして元同僚は、退職してから食ってるか?と同情して来たので、会社に戻りたいんだとジュアイルズは本音を打ち明ける。

ある日、無人のラボの掃除をした後、ラボ内の噴水のような小さな水槽にあの半魚人がいることに気付いたイライザは、水槽の縁に自分の食事用に持って来たゆで卵をそっと置いてから、その縁を叩いて合図を送ってみる。

その音に気付いたのか、濁った水槽の中からあの半魚人が姿を現したので、イライザは一瞬ひるみながらも、半魚人の首に鎖が付いた首輪が巻いてあることに気付くとゆで卵を剥いてやり、自分で食べる真似をしてみる。

魚人は突然イライラに吼えて来るが、怖がらずにイライザは手話で「卵」と教えてやる。

イライザは半魚人と心を通わせたと思った瞬間、突然誰かから出を掴まれる。 警備のストリックランドだった。

イライザと共に部屋に呼び出されたゼルダは、ストリックランドから名前と付き合いは何年くらいだと聞かれ、ゼルダ・D・フラー、彼女とは10年くらい…と答える。

すると、D?とストリックランドが突っ込んで来たので、デリラと答えると、サムソンとデリラを知っているか?とストリックランドは聞いて来る。

イライザは、イライザ・エスパラート、養護学校出身で、赤ん坊の頃、川で流されていたの…、口の聞けないイライザに代わってゼルダが答える。

お前が拾った俺の指にはマスタードが付いていた、何故紙袋なんかに入れた?と縫合され包帯を巻かれた左手の指を見せながら睨んだストリックランドは、イライザの首に傷があることに気付く。

赤ん坊の頃の傷ですとエルザが教えると、赤ん坊に傷をつけるとは…と少し同情したようなストリックランドは、掃除をしたらすぐ帰れ、奴は南米の汚れた川から運んで来た、こことは相性が悪い…と打ち明け、奴は現地民から神と崇められていたが人間そっくりか?人は神に似せて作られたと言われているが、奴は神に似てるか?などと聞いて来るが、そこに秘書がやって来て、ホイト将軍からお電話ですとストリックランドに知らせる。

電話に出たストリックランドは、人差し指と中指を食いちぎられましたと報告し、お待ちしてますと答える。

その頃、水槽に鎖でつながれていた半魚人は、水槽の縁に残されていたゆで卵の殻を見ながら「卵」と手話で表現してみる。

ストリックランドは友人の車に送ってもらい、久々のボルチモアの自宅に戻る。

車を降りたストリックランドは、運転手に明日は21時30分に迎えに来てくれと頼む。

キッチンで食事を始めたストリックランドに息子が甘えかかり学校へ出掛ける。 すると妻が、食べたら二階へ来てねとストリックランドに誘う。

二階の寝室に来たストリックランドは妻に新しい車を買おうと思うと打ち明けると、妻はそのストリックランドの手を握り、自分の胸をはだけて触らせる。

ストリックランドは妻とベッドで久々のセックスをする。

一方、いつものように1人でラボの掃除を終えたイライザは、隠し持って来た携帯用蓄音機を取り出すと、水槽の近くでレコードをかけながら、持って来た弁当用のサンドイッチを食べる。

するとすぐに水槽から半魚人が姿を現したのでイライザはレコードを止め、手話で「音楽」と教える。

その日帰宅したイライザは、自宅アパートの浴槽を見つめ何事かを考える。

そしていつものようにゆで卵も作り、ラボの水槽の縁にたくさん並べておく。

すっかり半魚人と心を通じ合わせたように感じたイライザは、1人水槽の前で掃除をしながらモップとバケツを使いミュージカルのように踊ってみたりする。

そんな様子を物陰からこっそり覗いていたのはホフステトラー博士だった。

ホフステトラー博士は机から何かのノートを取り出すと郊外の無人の廃墟にやって来る。

そこで待っていた男と「窓の花台に巣を作る」「鷲は獲物を捕る」と言う暗号を確認し合って近づくと、待っていた男の車に乗り込む。

ホフステトラー博士と2人の男はとあるレストランの奥の厨房に入ると、ボブと呼ばれたので、僕の名前はディミトリスだと訂正すると、ラボから持ち出して来たノートを渡し、身体の構造レポートだと伝える。

さらに知性を有し言葉や音楽を理解することも出来ると上に報告してくれとホフステトラー博士はロシア語で相手の男に耳打ちする。

相手2人は、テーブルに用意されたステーキとロブスターを旨そうに食べ始める。

イライザは時間ギリギリに「航空宇宙研究センター」に到着し、いつものように先に並んでいたエルザがタイムレコーダーの列に割り込ませてくれ、いつものように後ろに並んでいた他の同僚から文句を言われる。

そんなイライザをストリックランドがさりげなく見守っていた。

洗濯物を入れたカートを洗濯屋の車の待っている場所までエルザと持って行ったイライザだったが、そこにいた黒人がタバコを勧めて来る。

イライザは監視カメラを気にして遠慮するが、男はカメラは動かしてあると言うので、エルザと共に煙草をもらう。

その後、いつものようにこっそり食料の入った袋持参で1人ラボに侵入したイライザは、水槽から出され鎖の付いた首輪をはめられ弱っていた半魚人を発見する。

慌てて駆け寄って介抱するが、その時、紙包みからゆで卵が1個床に転がり落ちたことにイライザは気付かなかった。

しかしイライザに首輪を外せるはずもなく、気がつくと扉が開くランプと、側の椅子に置かれていた電気ショック棒に気付いたので、急いでイライザは紙袋を掴んで物陰に隠れる。

そこへキャンディを食べながらやって来たのはストリックランドで、首輪で繋がれた魚人に電気ショック棒を突きつけて虐待し始めるが、その最中、ストリックランドは靴先が触って床に転がったゆで卵に気付く。

一方、通路に掃除用具が置きっぱなしになっておることに気付いたゼルダはイライザの名を呼び探す。

ストリックランドはラボにホイト元帥がやって来たので、それを出迎えると、これをアマゾンの部族民たちが崇拝していますと魚人のことを説明する。

この生物でソ連に優位になりますなどとストリックランドは説明するが、犬を宇宙に送ったと思ったら…とホイト元帥は懐疑的のようだった。 それでもストリックランドは生体解剖すべきですと主張する。

魚人が血にまみれていることに気付いたホフステトラー博士は何があったんです?とストリックランドに聞き、部屋を出掛けたホイト元帥にこれを殺したくないと訴える。

しかしホイト元帥は自分の勲章の数で立場の違いを示し、決定権は自分にあると答える。

その時、ホフステトラー博士は物陰に身を隠して覗いていたイライザの姿を目撃する。

その直後、イライザはホフステトラー博士の後から部屋の外に抜け出し、ホイト元帥とストリックランドが乗り込んだ通路用の自動車の背後に後ろ向きに乗ったホフステトラー博士を見送る。

さらに魚人が改造されると聞いて動揺したイライザはホイト元帥たちが戻った司令室の階段を掃除する振りをして、何とか彼らの言葉を聞こうとする。

やがて階段を降りて来たホイト元帥はストリックランドに生体解剖で結果を出せと命じているのがイライザの耳に届いた。

アパートへ戻った後、イライザはカツラをかぶってコートを着て出掛けようとしていたジャイルズに手話で、彼は1人ぽっち!私は何なの?私が言葉を話せないことも含め、彼はありのままの私を見ている!今の私に出来ることは彼を救うことだけ!と何とか魚人を助けたい気持を訴え協力を求めるが、ジャイルズは今から仕事で出掛けるんだ、出直すチャンスなんだ!僕は政局に向いてない、危なすぎる!と言い、必死にすがるイライザの手を振り払って出掛ける。

廊下に出たジャイルズに、壁を叩いて振り向かせたイライザは、助けないなら私たちも人間じゃない!と手話で訴える。

しかし修正した絵を持って元勤めていた会社の同僚に会いに行ったジャイルズだったが、外で待っていた同僚は会社に戻ろうとはせず、絵を見ながら今は時期が良くないと言う。

ジャイルズはその言葉で復職の望みはないことを覚り、絵を取り戻すと、分かった…、良い時期っていつ?と皮肉を返す。 同僚はそんなジャイルズの肩を叩いて会社に戻って行く。

いつもの食堂に来たジャイルズに主人は、描いてるのか?と聞かれたので、もう写真には敵わない…と力なく答える。

落ち込んだジャイルズを慰めるように、キーライムじゃないけどこれで良ければ…と言いながらパイをおごってくれると、カウンターの横に座って悩みの相談役になろうとする。

感謝の意味で主人の手を握ったジャイルズだったが、主人の顔色が代わり、何をする?と手を引っ込め立ち上がる。

その時、男女の客が入って来て空いているカウンターに座ろうとするが、いきなり主人が、座らないで!そこは予約があるんだ!と言い出したので、客は驚き、さすがに見かねたジャイルズも失礼じゃないかと主人に注意すると、主人はジャイルズにも、出て行け!うちはそんな変な店じゃないんだ!と怒鳴りつけたので、ジャイルズは呆れアパートへ帰ることにする。

浴槽を磨いていたイライザは、やって来たジャイルズから、僕にとって話し相手は君だけだ、君が必要だ、手伝わせてくれと言われ、思わず抱きつく。

その頃、再び町外れの廃屋でロシア人と落ち合い、無人のレストランで待っていたロシア人と再会したホフステトラー博士は、ボブ、君は政局に向いてない、危険すぎるとロシア人から警告される。

生体解剖は明日だと伝えると、ロシア人は、ヒューズの近くに置けば電気が一時止められる小型装置と毒薬の注射を渡し、殺すんだと迫る。

その指示を聞いたホフステトラー博士は唖然とし、アメリカに来たのは学ぶ為だ、科学者としてアメリカ人に学ぶものはまだ多い…と反論するが、ロシア人は、アメリカ人に学ばせないようにしろと命じる。

一方、ストリックランドはキャデラックの店に見に行き、ティールと言う変わった色の新車を購入することにする。

その日「航空宇宙研究センター」で清掃をしていたゼルダはイライザのおかしな行動に気づく。

ジャイルズは、私は朝5時に搬入口に車を持って行く、君は監視カメラを動かすと…魚人強奪作戦をイライザと確認すると互いの時計の針を合わせる。

その後ジャイルズは「航空宇宙研究センター」に入る許可証を偽造するため、「マイケル・パーカー」54歳と言う名でカードを作る。

新車でやって来たストリックランドは、イライザに気付き近づくと、そんな傷は平気だと首のことを言うと、私の好みだ、お前の喘ぎ声が聞きたいなどと言い寄ろうとしたので、驚いたイライザは手を振り払って逃げる。

一方、ホフステトラー博士は無人のトイレの中で注射器にアンプルから毒薬を注入していた。

イライザは一旦ロッカールームに戻りエルザが帰って行った後、腕時計で4時半であるのを確認し、洗濯物の搬出口へ来ると、ダンボール缶を重ね足場にして監視カメラを動かす。

ホフステトラー博士はストリックランドの部屋に来ると、あんな美しいものを殺したくない!奴には知性がある、言葉がわかる!と訴える。

しかし本を読んでいたストリックランドは、ソ連の諜報員もだ…と意味有りげに答える。

その時、ホフステトラー博士は、ストリックランドの背後に並んだ監視カメラのモニターの一つが動かされるのに気付く。

その後、監視カメラの場所に来たホフステトラー博士は、カメラが動かされており、その下に足跡の付いたダンボール缶が置いてあることを確認する。

イライザは布を水で濡らし、何枚も洗濯用のカートに入れて行く。

エルザはエレベーター前でイライザが来るのを待っていたが一向に来ないので怪しむ。

ラボにやって来たイライザは、魚人をカートに入れて運ぼうとするが、異変を察知し物陰に隠れていたホフステトラー博士が出て来て、そいつを連れ出すのか?お前はどこの人間なんだ?と問いかける。

魚人を庇おうとしたイライザだったが、意外なことにホフステトラー博士は彼女に鍵を差し出す。

エルザはタイムレコーダーの所に来て、イライザがカードをまだ押してないことを確認すると勝手にカードをレコーダーに差し込む。

カートに魚人を入れているイライザにホフステトラー博士は5分後に電気が消えると教える。

5時直前、ジャイルズは打ち合わせ通り、クリーニング屋の車に化け「航空宇宙研究センター」の入り口に到着する。

ホフステトラー博士は電源装置の側に爆薬装置を仕掛ける。

運転席のジャイルズが守衛に身分証明書を出すと、守衛はそのカードをじっくり確認し始める。

ストリックランドは魚人の解剖まで12時間に成ったのでサインをもらいに来たフレミングと会う。

一方、魚人を入れたカートを運んでいたイライザの前に立ちふさがったのはエルザで、正気なの?イライザ、止めて!と無謀な作戦を止めさせようとする。

ストリックランドは入り口の監視モニターに映ったジャイルズのバンに気付き、あの車は?と聞くと、フレミングは洗濯屋のバンでは?と曖昧な返事をするので、その場から守衛に電話を入れようとする。

守衛はその受話器を取ろうとするが、その時、ジャイルズのカードの年齢部分が上書きされていることに気付く。

守衛がなかなか電話に出ないのでストリックランドは電話を諦め、電気ショック棒を持って入り口に向かう。

守衛はカードを怪しみ、銃を取り出すとジャイルズに降りろと命じるが、その時、ホフステトラー博士が電源室に仕掛けた装置が爆発し、配電盤を溶かし停電する。

ホフステトラー博士は、エルザがカートを妨害している所に来ると、そのまま入り口に向かう。 エルザは何を思ったか急にイライザの作業を手伝い出す。

安全ベルトが引っかかり、なかなか運転席から降りられないジャイルズに銃を突きつけた守衛の背後に近づいたホフステトラー博士は、持っていた注射の毒液を守衛の首筋に突き刺すと、車から降りていたジャイルズに彼女が待っていると教える。

ジャイルズは狼狽しながらも車を走らせ、洗濯物を受け取る場所へ向かう。

そこにはホフステトラー博士も駆けつけ、カートの中のシートに隠していた魚人を起き上がらせる。

その異様な姿を見たジャイルズは固まるが、そのままイライザと魚人を車に乗せ出発する。

ホフステトラー博士はエルザを連れその場から逃げ出す。 美しい!と運転席からイライザの方を振り向き魚人を褒めるジャイルズにイライザが前を向くように注意する。

次の瞬間、ハンドルを謝ったジャイルズは、駐車場に停めてあったストリックランドのヘッドライト部分に衝突して逃げる。

逃亡するバンに気付いたストリックランドは発砲して来るが、その時、建物内の電気が復帰する。

ジャイルズのバンは逃げ延び、ストリックランドは買ったばかりの自分の新車の前面が大破していることに気付く。

その後、ラボに駆けつけたストリックランドは、水槽の魚人がいなくなっていることに気付き、糞!と悔しがる。

アパートに魚人を連れ帰ったイライザは、自分の部屋の浴槽に水を張り、そこに魚人を入れてやる。

そしてホフステトラー博士からもらった薬品を浴槽に入れると、急いで塩を探す。

テーブルの食卓塩では足りないと察し、買い置きの塩を棚から取り出すと浴槽に入れてやる。

環境の変化で苦しんでいた魚人はそれで何とか落ち着きを取り戻す。

ストリックランドは電源室の爆発した装置を主任と調べっていたが、女性秘書からホイト元帥からの電話が入ったと教えられる。

電話に出たストリックランドは、諦めるなんてとんでもない!必ず取り戻します!と盗まれた魚人のことを報告する。

イライザはアパート側の水門の所に来て、10月〜11月、水位が9mになったら開門すると書かれた看板を確認する。

アパートにも戻って来たイライザはカレンダーの10日の日の部分に「雨」「桟橋」と書き込むが、買い物から戻って来たジャイルズは、雨が降らなかったらどうする?と問いかける。

イライザはきっと降るわと笑顔で答えながら、浴室の魚人に、友達になれてうれしいと印刷されたパンフレットを見せる。

魚人はそれを理解したかのようにイライザの手に触れて来る。

翌日、いつものように「航空宇宙研究センター」に出向いたイライザに、エレベーターで一緒になったエルザは、何食わぬ顔でいて!でも聞かれたらどうしよう?と昨日のことを案じていた。

そんな2人はいつもと違い、MPたちが大勢エレベーター前に集まっており、各人のIDカードと入館証の提示を求められる。

魚人を奪ったのは資金力のある特殊チームで、少なくとも10名はいたのではないかと主任が推理するのをストリックランドは頷きながら聞いていた。

イライザが仕事に行っている間、ジャイルズはアパートの浴室にいた魚人の絵を描いていた。

ずっと1人か?仲間はいない?俺だって同じだ…、年を取ったよ…、今の時代に合わないんだ…、ひょっとして俺たちは一緒だな…とジャイルズは浴槽に浸かった魚人に話しかける。

ホフステトラー博士は、主任に連れられイライザとエルザがはストリックランドのいる司令室に入るのを目撃する。

ストリックランドは2人に、何か知ってることはないか?くだらないことでも良いんだと聞くが、エルザは何も知らないと答える。

イライザも手話で何も知らないと答える。

ホフステトラー博士が出入りする姿は?と聞かれたイライザはないですと否定する。

掃除係に聞くなんてどうかしている!

糞や小便相手の連中だ…とストリックランドは自虐的に言い、行って良いと解放するが、その時イライザはファックユー!と手話で伝えたので、何と言っている?とストリックランドが聞くと、ありがとう…ですとエルザは嘘を教える。

アパートでは、浴槽の側の椅子でいつしか眠ってしまったジャイルズを他所に、外に出て来た魚人はジャイルズの部屋に置いてあった魚人を描いたスケッチを見る。

部屋にはTVも付けっぱなしになってたので、魚人はそれに興味を惹かれる。

TVでは馬を宇宙に送る計画に付いて報じる新聞を読んでいる馬がしゃべる番組「ミスターエド」だった。

さらに魚人はジャイルズがペットで飼っていた猫も見る。

猫がうなると魚人も威嚇する。

ジャイルズはうたた寝から目覚め、魚人がいないので探しながら自分の部屋に入ってみると、そこで猫の頭を食べていた魚人を発見する。

ノー!と驚いたジャイルズは呼びかけるが、魚人は驚いたようにジャイルズの脇をすり抜け逃げ出してしまう。

廊下に出たジャイルズは、アパートの入り口が開きっぱなしであるのを見るが、彼の右腕には魚人が彼を押しのけた時に出来た傷から血が出ていた。

その日、搬送口に来たイライザは監視カメラが撤去されていることに気付く。

いつも通りイライザと一緒に更衣室で着替えを住まし帰りかけていたエルザは、ホフステトラー博士が近入って来たので驚くが、博士は彼は無事か?と聞いて薬品を渡す。

そんなホフステトラー博士に、良い人ねとイライザは手話で伝え、エルザがそれを言葉にする。

するとホフステトラー博士も私はディミトリと教え会釈をし、何かあったら…と言いながら名刺をエルザに渡して去って行く。

その時、別の同僚がアパートから電話があったとイライザに伝える。

驚いてアパートに帰って来たイライザを待っていたジャイルズは猫を食べたよと言うので、血が出ている!とエルザがジャイルズの左腕を案じたので、僕は大丈夫だ、早く探しに行って!と部屋でしゃがみ込んだまま告げる。

驚いてアパートを出たイライザは、下の階の名画座の中に入ってみると、ポスターに魚人の血染めの手形が残されていたので、館内に入ってみると無人の客席に魚人は1人で奴隷たちが鞭打たれながら働かされているシーンの映画を見ていた。

あっさり見つけて安堵したイライザは魚人の胸に触り、一緒に部屋に戻るとジャイルズの腕の治療を始める。

子猫は無事だった、怒ってない…とジャイルズはイライザに言う。

同じ部屋にいた魚人は子猫と戯れていたので、ダメだよ子猫はとジャイルズが注意すると、ジャイルズの側にやって生きた魚人は、ジャイルズの手を自分の頭部に置かせ自分もジャイルズの頭に片手を乗せる。

魚人の身体に青い光が走る。

さらに魚人はジャイルズの右手の傷にも右手を添え青い光を身体に走らせる。

一方「航空宇宙研究センター」では有力な情報が手に入ったとホフステトラー博士を部屋に呼んだストリックランドが告げていた。

見つかると思うか?とストリックランドが聞くので、有力な情報は?とホフステトラー博士が聞くと、あるとストリックランドは言う。

イライザは自宅の浴槽にいる魚人の身体に愛撫していた。

すると魚人の方もイライザの首筋を触って来たので、何か禁断の行為をしていると気づいたイライザは風呂から飛び出る。

一旦は寝室に引き下がったイライザだったが、寝間着姿でもう一度浴室へ戻ると、自らガウンを脱ぎ捨て全裸になって浴槽に入る。

翌日、イライザはバスに乗っていつものように仕事へ向かうが、何か考え込んでおり、雨の水滴が付いた窓に指で触る。

するとイライザの指の動きに会わせ水滴が動きだし、2つの水滴がダンスを踊るように近づき1つに合わさる。

「航空宇宙研究センター」に着き、掃除道具を運ぶイライザの表情は明るく笑顔に見えたので一緒に道具カートを押していたエルザは、何で笑っているの?と不思議に思って聞く。

彼女に様子から魚人とセックスをしたらしいことを知ったエルザは驚き、嘘でしょう?もうやったって!彼にはできるの?と聞くと、エルザは両手を包み込むような形にし、そこから人差し指を突き出して、魚人の身体の仕組みを示す。

意味を解したエルザは、男は油断できない!と嘆く。

その頃、自宅でズボンにアイロンをかけていたホフステトラー博士は、ロシア人2人が訪ねて来たので部屋に招き入れる。

質問があるとロシア人の1人が言い出したので、バターケーキでも?と勧めると、もう1人の手下のロシア人がもらうと言い出す。

キッチンでケーキをさらに切り分けながらホフステトラー博士は身の危険を察し、ナイフをそっと手の中に隠しケーキをテーブルに運ぶ。

死体はどうした?気になる点とロシア人が言うので、解剖したようだが何も聞かされてない、レーニンは言った、古い魚に用はない…とホフステトラー博士はごまかす。

するとロシア人は愉快そうに笑い出し、命令を待て…と言うと帰って行く。

その間、隠し持ったナイフを背中に隠して立ったままだったホフステトラー博士は、緊張しながら帰って行く2人のロシア人を見送る。

ストリックランドは自宅で久々、子供2人と妻とくつろいでいたが、雨が降る中、前方左のヘッドライト部分が壊れた新車の運転席に乗り込むと治り切っていない左手の指を摘み膿のようなものを絞り出す。

イライザはアパートの浴室に水を入れ替えていたが、薬品を入れようとして魚人を見ると何かを思いついたようににこりと笑い、洗面台の蛇口を全開にする。

そして浴室のドアの下にタオルを詰め始める。

そして魚人に向き直ったイライザは、あなたと私、一緒…と手話で伝える。

そしてガウンを脱ぎ捨て裸になると魚人に抱きつく。

洗面所の蛇口から溢れた水が床に堪り始め、浴室全体が徐々に水で満たされて行く。

しかしその床の水は隙間を通って、下の名画座の客たちの頭上や仰向けに寝ていた客の口の中にしたたり出す。

その頃目覚めたジャイルズは鏡を見て、自分の頭髪が増えているのに気付き、思わずテーブルに置いていたカツラを見る。

腕の絆創膏も剥がしてみると、右腕の傷は跡形もなく消え失せていた。

その時、ノックの音が聞こえたので出てみると、下の名画座の主人が水が溢れているぞ!止めないと出て行ってもらう!とイライザの部屋のドアの下を指しながら文句を言って来る。

主人が帰った後、イライザ!と呼びかけながら、イライザの部屋に入り浴室のドアを開けたジャイルズは、大量の水が流れ出した後にしっかり抱き合っている魚人とイライザの姿を見て、そのままドアを閉めてしまう。

その後、訪ねて来たイライザにジャイルズは、頭髪が生えて来たことや傷が完治したことをうれしそうに話し、彼は神なのかもな…と言う。 雨の中、帰宅したホフステトラー博士が自宅に入るのを外に停まっていた車から確認したのはフレミングだった。

部屋に入ったホフステトラー博士は電話が鳴ったので出ると、それは例のロシア人からで、用意は良いか?48時間以内に例の場所に来いと言う指示だった。

48時間…と繰り返しながら窓辺に来たホフステトラー博士は、家の外に停まっている車にフレミングが乗って双眼鏡でこちらを見ていることに気付く。

イライザは水門の様子を見に来ていた。 水位はかなり上がっていた。

ジャイルズは、抱き合うイライザと魚人のデッサンを描いていた。

隣の部屋にいた魚人は雨に濡れる窓から外を見ていたが、そこにイライザが帰って来る。

ベッドに横になった魚人は明らかに弱っており、その息づかいは荒かったのでイライザは哀しげに抱きつく。

「航空宇宙研究センター」ではストリックランドが指の薬を飲んでいたが、その水を持って来た女性秘書がホイト元帥が…と言うので、いないと言ってくれと伝えかけるが、いらしてますと言われ絶句する。

ホイト元帥は、いなくなった魚人を探せと言うので、分かってますと答えると、13年前!と元帥が言い出したので、私は釜山で有能な部下でした…、その後もあなたに忠実でした、そしてたった1度ミスっただけです…といつまでも便利屋扱いの境遇できちんとした見返りがないことへの不満を漏らす。

しかしホイト元帥は、36時間以内に別の世界に行くんだ、そうなれば全て消される、だからさっさと解決しろ!ときつい口調で命じる。

その後、トイレに来たストリックランドは又大量に薬を飲み、蛇口の水を掬って飲むと、消毒液を右手に出し手を洗おうとして、まだ包帯を巻いている左手に気付く。

切断後手術した2本の指は変色していた。

鏡に映る自分に、36時間以内に解決するんだ!良いか!とストリックランドは声をかける。

イライザは部屋の中の雨漏り部分の床に鍋を置き、日めくりカレンダーをめくる。

11月10日「雨 ドック」と言う自分で描いた文字がカレンダーに出て来る。

テーブルに座った魚人にさらに置いた数個のゆで卵を置いてやったイライザは、破った9日のカレンダーの裏を読む。

そこには「人生は失敗の積み重ねに過ぎない」と言う格言が印刷されていた。

あなたには決して分からない…とイライザは魚人に手話で伝えかけ、悩んで止める。

部屋が暗転し、白黒画面になった中、ノー…と声に出してみたイライザだけにスポットライトが当たり、あなたは決して分からない…、私がどんなにあなたを愛しているか…、どれほど深く求めているか…といつしかイライザは声に出して歌い踊り出す。

あなたの所へ私も連れて行って…、あなたといつまでも… 魚人と踊るミュージカルのようなイメージも思い浮かべながらイライザは現実に戻り魚人を哀しげに見つめる。

翌日「航空宇宙研究センター」の更衣室で着替え終わって帰りかけたエルザは、隣のロッカーの奥で泣いているイライザに気付く。

どうしたの?とエルザが声をかけると、魚人が衰弱しているとイライザが嘆くので、博士に連絡するわ…とエルザは言う。

以前更衣室に来たホフステトラー博士が彼女に名刺を渡して行ったことを思い出したのだ。

しかしエルザがかけた電話は、ホフステトラー博士が出掛けた直後だったので誰も出なかった。

ホフステトラー博士の家の前の車でフレミングと一緒に見張っていたストリックランドは、匂いますよ、あなたの指ですと言われる。

その時、ホフステトラー博士が出て来たので、ストリックランドは車を降りろとフレミングに命じる。

フレミングは驚き、これは私の車ですよ!と抗議するが、ストリックランドは聞き耳を持たなかった。

ホフステトラー博士は土砂降りの雨の中、以前も来た町外れの廃屋で傘をさして待っていた。

そこにいつもの2人のロシア人が乗った車が近づいて来たので、ホフステトラー博士は立ち上がって懐中電灯で合図を送る。

車から先日バターケーキを食べた食い意地の張ったロシア人が降りて来たので、今日の暗号は…と呼びかけたホフステトラー博士だったが、いきなり相手は撃って来る。

口元を撃たれ水たまりに倒れ込んだホフステトラー博士は、止せ!同志!頼む!と近づいて来たロシア人に哀願するが、 その時、突然銃を構えていたロシア人が撃たれて倒れ、車から降りていた毛1人のロシア人も撃たれる。

背後から撃って来たのは、車で尾行していたストリックランドだった。

悲鳴を上げているホフステトラー博士に近づいて来た巣とリクランドは近くに落ちていた彼の眼鏡を拾って渡してやる。

メガネをかけたホフステトラー博士は、目の前にいるのがストリックランドだと気づく。

今、ロシア語をしゃべっていたな?と聞いたストリックランドは、ホフステトラー博士の口に手を突っ込み、頬に空いた穴に指を引っかけ側の砂山に引きずって行く。

砂山にホフステトラー博士の身体を投げつけたストリックランドは、名前は?と聞き、お前は死ぬ!と言いながら持って来た電気ショック棒でホフステトラー博士が撃たれていた腹の傷に押し付ける。

そして、コートの内側からキャンディーの箱を取り出したストリックランドは、このキャンディーは一番だ、不安になると噛みたくなる…と倒れて苦しんでいたホフステトラー博士に背を向けたまま語りかける。

そしてホフステトラー博士の腹の傷に指を突っ込み、名前を言え、階級を言え!と迫る。

悲鳴を上げたホフステトラー博士は、名前は知らん…、階級もない、ただの掃除係だと笑いながら打ち明ける。

椅子に座ってテレビを見ていた夫の為に料理を作っていたエルザは、夕食作ったら友達を助けに行くわと話しかけていた。

その時、ドアを叩く音が聞こえたので夫は、ゼルダ出ろと命じる。

あなたの方が近いでしょう?と文句を言いながらドアを開けに行くと入って来たのはずぶ濡れのストリックだった。

どこだ!といきなりストリックランドが聞くので、何の話?とゼルダが戸惑うと、奴だよと苛立たしそうにストリックランドは言う。

夫は椅子から立ち上がってなだめようとすると、座ってろ!とストリックランドが怒鳴りつける。

何か知ってたら言うわとゼルダはごまかすが、サムソンとデリラの話の最後を知っているか?とストリックランドは唐突に言い出す。

ペリシティのサムソンは神に祈った…、彼は助かり怪力を取り戻した…と言いながら、ストリックランドは自分の左手の腐りかけた2本の指をその場で引きちぎって、床に捨ててみせる。

彼は神殿を壊しペリシテ人を1人残らず殺した!この話が何を意味するか分かるか?デリラ?とストリックランドはエルザを脅す。

その時、椅子に座っていた夫が、あの女だ、話せない女だ!と教えたのでそれを聞いたストリックランドは振り向き、ありがとうと言いながら右手を差し出す。

夫がその手を握手すると、ストリックランドは又雨の外へ飛び出して行く。

エルザは夫に、良くも教えたわね!と文句を言いながらイライザに電話をかけようとすると、関わるな、相手は犯罪者だ!と夫は言いながら電話を止めさせようとするので、あなたはサイテーよ!分かるの?分かるはずないわよね…と諦めたように呟き、又電話をかけ直す。

ジャイルズが出るとイライザに電話を代わってもらったエルザは、そこは危険よ!と知らせる。

イライザは受話器を落して部屋に戻る。

イライザのアパートの下の名画座の前にストリックランドの車が到着する。 アパートへ駆け上がり、イライザの部屋のドアを蹴破って中に入ったストリックランドだったが、中は既にもぬけの殻だった。

浴室の中にも魚人の姿はなかったので、糞!と悔しがるストリックランド。

その頃、イライザはジャイルズのバンで魚人を水門へ運んで来ていた。

どこだ!と苛立ちながらイライザの部屋の中を探しまわっていたストリックランドは、日めくりカレンダーに描かれた「雨 ドック」と書かれた文字を発見する。

イライザとともに肩を貸し、水門の所に魚人を運んで来たジャイルズの頭を又魚人が触る。

魚人はイライザにあなたと私、一緒!と手話で訴えて来るが、イライザは私は行かない…と哀しげに手話で答える。

魚人は哀しげに水に向かうが、少し離れた所で懐中電灯を持って見ていたジャイルズが何かの気配に気付いて振り向くと、そこにはストリックランドが立っており、いきなりジャイルズを殴り倒す。

そしてイライザに向き直った魚人は、ストリックランドに二発胸を撃ち抜かれて倒れる。 驚いたイライザが振り向くと、ストリックランドが撃った3発目の銃弾が彼女の腹を貫く。

イライザはコートに空いたコートの血が指に付いたのを見た上で倒れる。

イライザは側で倒れていた魚人の右手に自分の左手を重ねる。

そんなイライザを見ながら、俺は失敗しないと吐き捨てるが、その時背後で立ち上がったジャイルズが、落ちていた木材でストリックランドの顔を突いて倒すと、倒れていたイライザに駆け寄る。

ジャイルズがイライザを抱き起こしたとき、横で死んだと思っていた魚人が息を吹き返し立ち上がる。

身体には青い光が走っていた。

そして魚人は自分が撃たれた胸を左手でこすると、傷は消えていた。

その時、ストリックランドも立ち上がり、銃の薬莢を捨て、弾を入れ直そうとしていたので魚人は側に近づく。

間近に迫った魚人にお前は神なのか?と問いかけたストリックランドだったが、次の瞬間、魚人の左手の手刀で首を切られる。

声帯を斬られたストリックランドはそのまま声を出すことも出来ないまま倒れる。

そこにパトカーが近づいて来て停まり、ゼルダが降りて来る。

ジャイルズの所へ戻って来た魚人はイライザの身体を抱き、一緒に水の中に飛び込む。

傘をさしたエルザがジャイルズの横に立って水の方を眺める。

水に沈んで行くイライザの身体の周囲を魚人が及び回る。

そして彼女の顔を手で支えながらキスをする。 イライザの口から空気の泡が出て目をうっすら開ける。

彼女について知りたい?(ジャイルズの独白)

私は彼女は今でも幸せに生きていると思う。

イライザは水の中で生き返り魚人と抱き合う。

何百年経っても、彼女の愛は変わらないだろう…

私は優しく漂う…
 


 

 

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