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花のヒロイン 

 

 

 

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BLEACH

コミックの実写化らしいが原作は知らない。

今年、佐藤信介監督作品を見たのは「いぬやしき」に次ぎ2本目だが、超能力者同士の対決を描くアクションファンタジーと言う全体の構成などは何となく似ているのに、今回は何故か乗り切れなかった。

ここ数年前までさかのぼっても、「アイアムアヒーロー」(2016)辺りをピークに、「デスノート Light up the NEW world」(2016)「いぬやしき」(2018)「BLEACH 死神代行篇」(2018)…と少しずつ作品の面白さが減少しているような気がしないでもなく、マンガの実写化に定評がある監督なのかもしれないが、連発し過ぎてさすがに息切れ状態なのかも知れない。

「いぬやしき」もそんなに予算をかけた印象ではなかったが、今回はさらに予算をかけてない感じで、クライマックスの大掛かりなオープンセットシーン以外はTVドラマでも見ているような安っぽさを感じた。

ではオープンセットシーンは見応えがあったのか?と言えばまずまずと言った所で、セットの中だけにアクションが縛られているように見えなくもなく、広がりが感じられなかったような気がする。

さらに一護が斬られても斬られても何度も立ち上がるシーンなどは格闘系マンガに良くあるパターンだが、今さら…と言う感じもしないではなく、感動と言うよりコントのギャグに見えなくもない。

原作が長編でその一部だけを実写化しているためか、アクション物としても初恋物としても何となく歯切れの悪い終わり方のような気もする。

同じようにマンガの実写化が多い三池崇史監督などに比べると、良くも悪くもアクが少ない作風だけに、展開が凡庸だと急激に魅力を失うのだろうか?

宇宙人に身体を改造された青年と霊が見える青年だけ比べれば、共に似たようなマンガの素材らしいファンタジックな設定なのだが、「いぬやしき」の主人公たちには人間としての素朴な悩みの部分など共感したくなる部分が描かれていたのに対し、本作にはメインの登場人物がほとんど常人設定ではない上に性格的にも普通らしさがあまり感じられない上に、そうした異能者同士の芝居染みたドラマが多く、家庭内とか高校での描写も様式的でエキストラなどが参加した日常性やスケール感を感じるシーンも少ないため、いくら架空の町のファンタジーとは言っても、見た目は日本の地方都市なのに、どうにもリアルさや身近な印象がないのだ。

原作がそうだから…と言うことなのかもしれないが、いつもルキアが高校の屋上で一護を死神にする時、学生服姿の一護の身体の抜け殻をそのまま放置しておくと言うのは解せない。

死神に変身中に誰かが意識のない学生服姿の一護を見つけたらどうするつもりなのだろう?

一護の2人の妹の内、遊子の方は霊を見る能力があるように見えるが、夏梨の方は見えるのか見えないのか映画を見ている限りは分かりにくい。

朽木白哉役のMIYAVIさんも着慣れない衣装を無理矢理着させられた七五三の子供のような印象で強そうに見えないのが辛い。

幼児向けの変身ヒーローなどではないのだから、もう少しどうにかもっともらしさを考えて欲しかったような気がする。

もちろん江口洋介さん演じる一護の父親役など大人のキャラも登場するのだが、親が活躍して家族の絆を取り戻す…と言うような展開でもないし、妻を早く失い子供たちと巧くコミュニケーションが取れない良くあるステレオタイプなキャラ止まりで印象は弱い。

高校のクラスメイトたちが大活躍する…と言う展開でもないし、人間には見えない死神同士の異次元空間での戦いメインではハラハラしようもない。

全体的に緊迫感不足なのだ。

特に最初の「虚(ホロウ)」を倒してからのドラマが単調すぎるように思える。

一護とルキアの間に立場の違いを越えて微妙な共存関係が生まれる重要な部分であることは理解できるのだが、それに1時間も費やすのはいかがなものか?

ファンタジーなのでその独自の世界観の説明などしなければいけない部分が多いことは分かるが、90分くらいにまとめた方が、もっとテンポ良く締まった話になったのではないかとも思う。

高校生に実年齢が一番近いのはルキア役の杉咲花さんではないかと思うが、演じている他の役者陣が総じて年齢が高い上に明らかなアイドル顔の人が脇に配置されていたりで、元々童顔の杉咲さんはヒロインとして色々不利に見えるのも可愛そう。

ここ数年、長澤まさみさんが母親役が不自然ではないおばさん顔になっているのが、年齢的には自然なこととは言え小さな驚きでもある。

少女っぽいアイドル顔のイメージだった真野恵里菜さんも、さすがに高校生としてみると大人びて見えたりもする。 
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
2018年、映画「BLEACH」製作委員会、久保帯人原作、羽原大介脚本、佐藤信介監督作品。

雨でぬかるんだ道を工事用トラックが走って行く。

そのトラックの横を手前に近づいて来たのは傘をさした親子2人。

母親黒崎真咲(長澤まさみ)は途中で立ち止まり、黄色の雨合羽を来た小学低学年くらいの息子一護(高村佳偉人)の顔にトラックがはねた水しぶきを拭いてやると、こっち歩きなさいと内側に誘うが、一護は良い!俺がこっちを歩く、俺が母ちゃんを守る!と笑顔で答える。

それを聞いた真咲は、あら、頼もしい!と笑顔で立ち上がる。

すると一護は、ねえ母ちゃん、手、繋いで良い?と甘えたので、当たり前じゃんと言って真咲は自ら手を差し出したので、一護はやった!と喜ぶ。

手を繋いで歩き始めた直後、一護は横にある川岸に1人の少女が立っているのを目撃し立ち止まる。

あの子、傘持ってないのかな?と一護が案ずると、真咲は、うん?と川の方を見ていぶかしがるが、俺の傘貸してあげる!と言い出した一護は川岸の方へ駆け出す。

一護!と呼びかける真咲の声を無視して草むらの中を突っ切り、川の方を向いて立っている少女に近づいた一護は、冷たいよ、冷たいよ…と呟いている少女の声を聞き立ち止まる。

一護!と真咲が駆けつけるが、母さん、寒いよ…と呟く少女の後ろ姿に一護は釘付けになっていた。

その直後、少女が振り返り、その顔を見た一護が驚く。

暗転 一護…と、仰向けに倒れて気を失った一護の上に覆い被さる真咲は、息子の顔を見やって力つきる。

(超常現象を捉えたような報道映像が続き)タイトル

空座町(からくらちょう)

高架下でスケボーをしていた3人の不良(鈴木龍之介、浅野優貴、金井勝実)と対峙していたのは高校生になった黒崎一護(福士蒼汰)だった。

ああ?と不良のボス格が詰め寄ると、一護は筒木を食らわした後突然足蹴りして吹っ飛ばしたので、後の2人が何してるんだ、てめえ…こらっ!と凄むと、後ろ向きになっていた一護は振り向いて、お前ら、あれを見ろと言い出す。

あれは一体なんでしょう?と言いながら、一護が立っていた1人の不良に詰め寄ったので、ああ?と言いながら不良が言われた方向を見ると、そこにはひっくり返ったガラス瓶と、そこに入れられていた花が散らばっていた。

不良が何も答えないので、もう1人の不良の耳を引っ張り、質問に答えろ!と一護が怒鳴りつけると、交通事故で死んだガキの…と言うので、殴り倒し、どうしてあんなに散らかっているんでしょう?と最後まで立っていた不良に近づく。

不良はその勢いに飲まれ、俺らがスケボーで…と言いかけ、そのまま腰を抜かしたように自分のスケボーの上にしゃがみ込んでしまう。

そんな不良に顔を近づけ、大正解!と言い放った一護は不良が乗ったスケボーを蹴り飛ばし、じゃああいつに謝んなくちゃな…と転がったガラス瓶の方を親指で指す。

そこには少年の幽霊(朝日出響也)が立っていた。

一護はゴーストが見えるのだった。

しかし、ゴーストが見えない不良たちは、あいつって誰のことだよ!と不満そうに言い返して来たので、良いから謝れ!と一護は迫る。 転がっていた3人は全員土下座をして一護にすみませんでした!と頭を下げるが、俺にではなく、あいつにだ!と一護は散らばった花の方角を指差す。 訳が分からないながら何も見えないそちらの方向にも頭を下げて詫びた3人の不良は、スケボーを持って逃げ出して行く。

これだけ脅しとけばもう寄り付かないだろう…とゴーストが一護は語りかけると、ありがとうと少年のゴーストが言うので、こんな所でうろうろしてないで早く成仏しろよと一護は優しく語りかける。

うんとゴーストが頷いたので、一護は転がっていたガラス瓶に花を戻そうと屈むが、その時、くたばりやがれ!とバットを振りかざして来たのは先ほど最初に倒した不良だった。

しかし、その不良はバットを振り下ろす前に吹き飛ばされる。

立ち上がった一護は側にいた茶渡泰虎(小柳友)を見て、茶渡!と微笑む。

茶渡は、一護、後ろ、気を付けろとだけ言い残し立ち去って行く。

一護はサンキューと礼を言う。

夕方帰宅した一護は、夕食中だった双子の妹遊子(平澤宏々路)と夏梨(安藤美優)から、お帰り!と言われる。

食卓の自分の椅子に座りかけた一護にいきなり羽交い締めしながら、遅い!お前、何時だと思ってるんだ!このどら息子が!と文句を言って来たのは父親の一心(江口洋介)だった。

まだ7時だろ?と一護は言い返すが、頭突きを食らわせて来た一心は、家族団らんの大事な食事の時間に遅れるとは何事だ!と叱る。

それが必死こいて除霊して来た息子に対する挨拶か?と一護が言い返すと、除霊?誰がそんなことしろと頼んだ?と一心は呆れてキッチンへ戻るので、俺だって好き好んでこんな体質に生まれたんじゃない!と一護は声を荒げる。

そんな親子喧嘩を聴いていた遊子(ゆず)が堪り兼ねたように、止めなよ、兄ちゃん、ご飯が冷めちゃうよと仲裁する。

すると夏梨(かりん)が、放っときなよ遊子…と諦めたように言うので、一護は腹を立て、もう良い!寝る!と言い捨てると自室へ戻る。

おい待て!と一心はご飯を装った茶碗を持って出て来るが、オヤジの作った飯なんか喰えるか!と一護の声が返って来ただけだった。

一護!と一心は腹を立てるが、お兄ちゃん、最近困ってるのよ、前よりたくさん霊が見えるようになって…と遊子(ゆず)が説明するので、何だ、あいつ、そんなことまでお前に話すのか?と一心は意外そうに聞きながら食卓に座ると、話すよと遊子(ゆず)は答えたので、父さんには何の悩みも話してくれないよとぼやく。

すると遊子(ゆず)は茶碗をシンクへ持っていきながら、私も父さんに悩み話さないと言うので、おい遊子(ゆず)!と呼びかけるが、すると今度は夕食を食べ終えた夏梨(かりん)が立ち上がり、そんな幼稚なコミュニケーション手段しか持たないオヤジ、私だって悩みなんて相談しないっての…と嫌みを言う。 一心は、おい夏梨(かりん)、夏梨(かりん)ちゃん…と心細げに語りかけるが返事はなかった。

肩を落とした一心は、最近子供たちが冷たいよ…とため息をつき、おい真咲、俺はどこで間違えたんだ…と、今は亡き妻の遺影に語りかける。

一方、自室に入り学生服を脱ぎかけた一護は、部屋の隅に見知らぬ侍のような格好をした少女が立っていたので唖然とする。

近い!と言うと窓から外を見ていたその少女の霊に、何が?と話しかけると、驚いたように振り返った少女は、貴様、私の姿が見えるのか!と聞く。

いつの時代の地縛霊だよ?とりあえずここから出てけ…と一護が文句を言いかけると、少女は剣を抜いて切っ先を一護に向けて来たので、さすがに一護も驚く。

その剣を回し、柄の方を少女剣士朽木ルキア(杉咲花)が差し出した先には見知らぬメガネの男(大塚ヒロタ)が立っていた。

額に柄を突きつけられたメガネの男は、嫌だ、まだ地獄には行きたくないと抵抗するので、安心しろ、御主が向かうのは尸魂界(ソウル・ソサエティ)、地獄と違って来やすい所ぞ…とルキアは言う。

そしてルキアが剣を鞘に収めると、そのメガネの男の姿は額の部分の光の部分に煙が集まるように消えていく。

何なんだよ今の…、おっさんの霊はどこへ行った?と一護が聞くと、何だか妙な音がし、ルキアが懐から紫色のスマホくらいのガラス玉のようなものを取り出すと、その表面に「東西南北 魚骨堂」等の文字と地図のような文様が浮かび上がり、グランドフィッシャー?違う、フィッシュボーンだ!とそれを見たルキアは呟く。

かなり大きい…と独り言を行ったルキアが部屋の真ん中に進んだので、大きいじゃねえよ!人んちで勝手に!どこの幽霊だ?と一護が文句を言いながら近寄ると、ルキアが呪文のような言葉とともに指を差し出し、後ろ手に何かで縛られてしまった一護は自分のベッドに倒れ込む。

地縛霊!何をしやがるんだ?と一護は抗議するが、ルキアは私は霊ではない、死神だと答える。

死神?と一護が驚いていると、下から、お父さん!と呼びかける遊子の声が聞こえたので、ルキアは来たか?と緊張して振り向く。

何が来たんだよ!と聞きながら無理矢理ベッドから起き上がった一護は、自力で捕縛を解き、部屋を出て行ったので、ルキアは唖然としながら、バカな、人間が自力で…と呟く。

下に降りた一護は、どうした?と言う一心や、遊子、大きな声出して何?…と聞いた夏梨と一緒に窓際にいた遊子を見ると、なんかおっかない声が聞こえて…と遊子は言う。

は?声?どっから…?と一心と夏梨は部屋の回りを見渡すが、その時突然、ガラス窓横の壁の一部が壊れ、何か巨大な手が遊子を掴んで外に連れ去る。

一心と夏梨は衝撃で倒れ意識を失いかけており、唯一立っていた一護は、何なんだよあれ?と唖然としながらも外に飛び出す。

そこに降りて来たルキアは、そんな一護の後ろ姿を捉え、虚(ホロウ)の姿が見えるのか!と驚く。

金属バットを持って家の外に飛び出した一護は、見たこともない巨人のような化物が遊子を掴んでいるのを見て、なんだこいつ…、遊子!と呼びかけながら飛びつこうとするが、あっさり怪物に弾き飛ばされる。

立ち上がろうとした一護の横を、退いてろ!と呼びかけながら通り過ぎたルキアが剣を抜いて怪物に飛びかかる。

剣を振るったルキアが地上に降りると、怪物が遊子を離したので、その下に駆けつけた一護が何とか妹の身体を受け止める。

虚(ホロウ)の姿が見えると言うことは、貴様、やはり相当な霊力を持っているとルキアは話しかけて来る。

虚(ホロウ)と呼ばれた怪物は右手に傷を受けていた。

はあ?と一護は戸惑うが、虚(ホロウ)は霊力の高い魂を食らうとルキアは剣を構えながら説明する。

奴の狙いは…とルキアが良い、虚(ホロウ)が振り向いたので、俺?と一護は驚く。 気絶していた遊子の身体を側に停まっていた車の影に隠した一護は路上に戻り、どうなてるんだよ?何なんだよあいつは?と聞く。

ルキアは虚(ホロウ)だと言うだけなので、だから虚(ホロウ)って何なんだ?と一護は問いかける。

その時、虚(ホロウ)が一護を喰おうと顔を近づけて来たので、思わず一護を押しのけたルキアは自らが虚(ホロウ)の口の中に入り、喰われかける。

しまった!踏み込み過ぎたか!と言いながら、剣で顎の中を支えていたルキアは、この男を狙うのは止めろと叫ぶ。

口の中を斬って外に飛び出したルキアは、大きくジャンプするが、その時虚(ホロウ)の左手に捕まり、霊力を吸い取られかけたので、手をかざして霊力で虚(ホロウ)を弾き飛ばし、自分は近くの車の屋根の上をクッション代わりに路上に転がり落ちる。

おい、大丈夫か?と一護が駆け寄ると、利き腕をやられた、このままでは奴の餌になる…と路上に這いつくばり苦しげにルキアが言うので、なんか方法はねえのか?と一護が聞くと、一つだけあると言うので、何だ?と一護は問いかける。

するとルキアは、死神になれと一護に命じる。

はあ?と一護が驚くと、悪霊虚(ホロウ)を倒せるのは死神だけ…、貴様が死神となりあの虚(ホロウ)を倒せ!それしか方法はない!とルキアは言う。

でもどうやるんだよ?と一護が聞くと、この刀を貴様の胸の中心に刺す、この斬魄刀を通し私の力を注ぎ込む…、もししくじれば2人とも死ぬ…とルキアは言う。

普通死ぬだろう!と一護が言うと、もはやそれしかない!虚(ホロウ)はお前を狙っている、このままでは回りを巻き込む!とルキアが熱弁を振るう中、転んだ虚(ホロウ)が立ち上がろうとしているし、お兄ちゃん、怖いよ…、お兄ちゃん…と車の影で怯える遊子の声が聞こえて来る。

どうする?とルキアが聞き、腹の部分に大きな穴が空いた虚(ホロウ)が完全に体勢を立て直し狭て来たので、ああ!と絶叫しルキアの刀の切っ先を掴んだ一護は、もうやれ!と頼む。

虚(ホロウ)が走り寄って来る中、自ら刀を身体に受け止めた一護は、まばゆい光に包まれたかと思うと、黒い影が虚(ホロウ)に飛びかかり見事に着地する。

次の瞬間、虚(ホロウ)の切断された左腕が落ちて来る。

巨大な斬魄刀を肩に担いだ影が振り返ると、それは死神と化した一護だった。

それを見たルキアは、何だ?この威圧は…、斬魄刀があんなに巨大に!と唖然とする。

左腕を落された虚(ホロウ)が振り向いて一護に向かって来るが、もう一度一護が飛びかかると、虚(ホロウ)は頭から縦にまっ二つに分離する。

それを目の当たりにしたルキアが、貴様、本当にただの人間か?と疑うように聞くと、あたりめえだ、ただの人間だ!と一護は答える。

翌朝、ベッドで汗まみれで目覚めた一護は、夢かい…、焦った〜…と安堵してしたに降りるが、そこには一心と夏梨が、壊れた壁を見て唖然としている所だった。

これ…、昨日の?…と一護は焦るが、トラックが突っ込んだらしいと一心が言うので驚く。

前の道でトラックが暴走して逃げていったって…と夏梨も言うので、どうなってるんだ?と一護は不思議がるが、そこに、わっ!何これ…と遊子も降りて来て驚くので、遊子、無事だったか?と一護は駆け寄って聞く。

えっ?と遊子が怪訝そうな顔になったので、覚えてないのか昨日のこと…と一護も驚く。

何のこと?と答えた遊子は、お父さん、これ何なの?…と一心の所に向かったので、一護は唖然とする。

空座第一高等学校 クラスでは、井上織姫(真野恵里菜)がまだ来ていない一護の机をじっと見つめていたので、こら!また一護のこと妄想して…と女友達の有沢たつき(伊藤梨沙子)が近づいて来たので、違うよと苦笑するが、織姫、あんた一護のどこが良いの?とたつきは聞く。

無愛想だしガキだし短気だし髪の毛の色変だし…などとたつきが一護の欠点を並べてみせると、面白い所が好き!と織姫は妄想しながらうれしそうに言う。

面白いか?とたつきが言うと、たつきちゃんには分からないよ、黒崎君のあのしかめっ面を思い浮かべるだけで…と織姫は言い、サイコー!と恥ずかしそうに手で顔を覆ったので、ダメだ…、付いていけないわ…とたつきが呆れた時、職員室で聞いたけど、一護の家、夜中にトラックが突っ込んでめちゃくちゃらしいぜと浅野啓吾(山田寛人)が報告にいたので、じゃあ黒崎君は?と織姫が驚いて聞くと、死んだ…、可哀想に即死だそうだ…と浅野は言いながら時分の席に座り込む。

えっ!と織姫が驚いた時、生きてるよ!と言いながら当の一護がやって来る。

振り向いた浅野は、やっぱりと笑顔になり、織姫は黒崎君!大丈夫?と喜んで駆け寄る。

見ての通り…と言いながら一護が浅野の後ろの時分の席に着席すると、殺しても死なないタイプだ…と後ろの席の茶度が話しかけて来たので、お前には言われたくねえと一護は言い返す。

良かった〜!と織姫は喜ぶが、トラックが突っ込むって凄いよな?と浅野が言い、どんな感じで?とたつみも聞いて来たので、実はトラックじゃないんだといちごが教えると、じゃあ何なの?クラン?などとたつみが口を挟む。

すっごいでっかい化物の手が突っ込んで来てさ…と一護が教えると、聞いていた浅野や織姫たちは唖然とし、一護、頭打ったか?と浅野が案じて聞いて来る。

俺は大丈夫だよ!と憮然とした表情で一護が答えると、お早うございます!と元気な声が聞こえて来る。

その顔を見た一護が、あっ!と声を出して驚くと、近づいた織姫が、今日からうちのクラスに入った転校生の朽木さん!と紹介したのは制服を来たルキアだった。

こちらが黒崎君!と織姫は紹介するが、一護の表情を見て、お知り合い?と聞くので、一護が口ごもると、黒崎君!と言いながら一護の襟首を掴んで近くの机の所に引きずって来たルキアは、教科書ってこれで大丈夫かしら?と言いながらページを開いて見せる。

あるページを開くと、そこには「さわいだら殺す!」と言う落書きが書いてあったので、一護は唖然とする。

その後、屋上にルキアと2人で上がった一護が、返る所がない?と聞くと、この世と尸魂界(ソウル・ソサエティ)を行き来できるのは死神だけ…、死神の力を失った以上、尸魂界(ソウル・ソサエティ)に帰る術がない…とルキアが言うので、どこ行ったんだよ、その死神の力は?と聞くと、半分だけ分け与えるつもりが全部貴様に吸い取られた!と一護を指差しながらルキアは言う。

貴様の霊圧は想像以上に高かったからだ!とルキアは気に喰わぬように腕組みしながら言う。

しかし話がピンと来ない一護は、俺のどこが死神なんだ?と問いかける。 するとルキアは、今貴様はその肉体の中の魂が死神化している…と言いながら近づいて胸を指す。

じゃあお前は死神じゃなくなったからみんなに見えるのか?と一護が聞くと、私は緊急用の肉体擬態を使って人間を装っている…、本来死神も霊も虚(ホロウ)も人間には見えない…と解説したルキアは、のんびりしている場合じゃない、死神の力を返してもらうと言いながら左手に、髑髏マークが付いた赤いフィンガーレスグローブをはめる。

そしてその赤いフィンガーレスグローブをはめた右手を差し出して一護の胸を押して来たので、一護は焦るが、次の瞬間、高校生姿の一護の背中から死神の衣装になった一護が転がり落ちる。

死神になった一護は、今までの高校生だった自分の姿が倒れ込んだので、俺!俺!どうなってるんだよ!と戸惑う。

ルキアは、もう一回この刀を私の胸に刺し力を戻す!と言いながら、一護の斬魄刀の切っ先を自分の胸に当てて命じるので、一護は、ちょっと待て!と慌てるが、そっちちゃんと持て!とルキアは斬魄刀の柄のことを指摘する。

一護が止めろ!止めろ!とビビる中、自ら刃を胸に差し込もうとしたルキアだったが、ダメだ、貴様の霊圧が足りないと言う。

刀を放し考え込んだルキアを見て、え?じゃあどうすりゃ…と戸惑いながら立ち上がった一護に、貴様には死神代行としてしばらくの間死神の仕事を手伝ってもらう…とルキアは言い出す。

仕事?…と一護は戸惑う。 良いか?この世には2種類の霊がいる…とルキアは少女っぽいイラストを描きながら一護に説明し出す。

1つは「プラス」と呼ばれる通常の霊…、貴様が通常目にしている「幽霊」と言うのは全てこれに当たる。

もう1つが「虚(ホロウ)」と呼ばれる怪物化した悪霊…、虚(ホロウ)はこの世に恨みを残した人間の霊で魂を食らう。

そこで死神の仕事は2つ…、1つは「プラス」を成仏させ「ソウル・ソサエティ」へ導くこと…、我々はこれを「魂葬(こんそう)」と呼ぶ。

貴様の部屋ではこの「魂葬」を試みた。 そして2つ目は「虚(ホロウ)」を斬魄刀で斬り、昇華・滅却すること、今回貴様にはこれを手伝ってもらう…とルキアが言うので、知らねえよ、そんなの…と屋上で聞いていた一護はそっぽを向く。

お前の家族のと同じように罪もない人が「虚(ホロウ)」に襲われるのを放っておくのか?とルキアが迫って来たので、知ったこっちゃねえな!昨日はただ俺の家族を守るために仕方なくやっただけ、死神の力とやらは今すぐ返させてもらうよと一護が言うと、だから無理だ、貴様の霊圧が低すぎるとルキアは言うので、昨日は高いって言ったじゃないかと一護が言い返すと、戻すことはできても今のまま行なうと貴様は確実に死ぬとルキアは言う。

確かに貴様に霊圧は高い、しかしまだまだ未熟だ、そんな貧弱な肉体と霊圧では私に死神の力を戻した瞬間朽ち果てるだろう…とルキアは説明するので、じゃあいつ返せるんだ?と一護が聞くと、霊圧は修業し「虚(ホロウ)」と戦うことで少しずつ高くなる、肉体を鍛えてその霊圧に耐える器を作るのだとルキアは言う。

修業だ?と一護が呆れると、諦めろ、これは定めだ…とルキアは言うので、知らねえよ、何が定めだ!と一護はふて腐れてその場を去ろうとするが、ふと死神の姿のままである事に気付いたのか、俺を早く俺に戻せ!と振り返る。

その後、元の高校生の姿に戻り帰宅すると、遊子が二階から下りて来て、遊子のパジャマ知らない?と聞いて来たので、そんなもん知るわけないだろう…と一護が無視して二階へ上がると、どこ行っちゃったんだろう?と遊子は困惑する。

自分の部屋に入り、押し入れを開けた一護は、そこに遊子のパジャマを着たルキアが入っており、無礼者!人の部屋を勝手に!と叱って来たので、ここは俺の部屋だ、て言うか、遊子のパジャマ!と指摘すると、私には住む所も着るものもない…、第一騎様は私が側にいないと死神になれない…などとルキアが一方的に言うので、だから俺は死神なんかじゃねえって!と一護は言い返す。

貴様の定めだ、諦めろとルキアが突き放したように言った時、おい一護、誰か来てるのか?といきなり部屋に入って来たのは一心だった。

何?と押し入れの前で一護が焦っていると、お前何やってるんだ?と言いながら一心が近づいて来たので、別に…と一護はごまかすが、いきなり一護の胸を叩いてよろけさせた一心が、こんにちは!と言いながら押し入れを開けるが、そこには誰もいなかった。

部屋に女子を連れて来たら必ず父さんにも紹介しろよ!と言い捨てて部屋を出る一心に、何考えてるんだよ?ととぼけた一護は、おい、死神!と呼びかけながらもう一度押し入れを開けると、朽木ルキア…、私の名前だ…と一護には見えるルキアは名乗る。

さっさと出て行け!俺の前から消えてくれと一護は頼むが、貴様はもはや死神代行の定めから逃れることはできないとルキアは答え、今後共同生活の規則はきちんと守れ!と偉そうに命じ、扉を閉めたので、共同生活!と一護は唖然とする。

翌朝、いきなり布団をめくられたので、オヤジ!と寝ぼけながら目覚めた一護だったが、そこにいたのはルキアで、行くぞと無表情に言いながら制服を投げつけて来る。

ルキアが連れて来た橋の下で、バットを持たせられた一護は、いきなりピッチングマシンのボールを打たせられる。

何なんだ、これ?と一護が戸惑うと、ボールを連投して来たルキアは死神の修業だ!と言う。

全くビールを避けられず、ボールがぶつかった一護は、ふざけんな、こらっ!と怒ってバットを捨て、その場から去ろうとすると、おい、逃げるな!とルキアが呼びかける。

しかしそれを無視して教室にやって来た一護は、一護!あの転校生と付き合ってるんだって?と浅野が抱きついて来て聞く。

はっ?付き合う訳ねえだろ!と一護が怒ると、いつの間に?手が早いなお前!と浅野はしつこく聞いて来るので、それを聞いていた織姫の表情が険しくなる。

それを見かねたたつきが、色々転校生に教えてあげてるんでしょう?と助け舟を出すが、色々と!早えな〜!と浅野が面白がる。

その時、あり得ません!と反論したのは登校して来たルキアだった。

お早う!とごまかした浅野に、黒崎君とはただのクラスメイトですとルキアは言うと、ところで黒崎君、ちょっと良いかしら?と一護に呼びかける。

何?朽木君…と一護が答えると、いきなりその襟首を掴んで立たせたルキアは一護の腹を殴り、どうしたの?黒崎君、おなか痛いの?保健室に行かなくっちゃ!などと言いながら浅野に作り笑顔を見せながら教室から連れ出す。

しかし朝野は、殴った…、今、殴ったよな?…と信じられないものを見たような顔で2人を見送る。

茶渡は無言で2人を見ていた。

再び橋の下でのボール避けをさせられた一護は、こんなことやってられるかい!帰る!とバットを捨ててルキアに文句を言うが、ルキアは木刀で一護の腹を突いて来る。

そして倒れた一護にその木刀を投げて来たので、それを拾い上げた一護は、自分も木刀を持ったルキアに、てめえなんか死神化してなけりゃ…と睨みつけながら向かっていく。 しかし剣道でも全くルキアに歯が立たなかった。

悔し紛れに、お前友達いないんだろ?俺がなってやろうか?などと一護はからかうが、足を払われると、たわけ!死神と人間が友達なんかになれるかとルキアは一護の喉元に木刀を突きつけ言い放つ。

冗談だよ、何ムキになってるんだよ!と言いながらルキアを押し倒しマウントを取った一護が言うと、木刀で一護の首を押さえながら、友達などいらん、死神は掟に従って生きるのみ…と言い返す。

掟?と一護が聞き返した時、黒崎君!どうしたの?と声をかけて来たのは織姫だった。 井上…と慌てて起き上がり、これはその…と一護は狼狽するが、朽木さん?と声をかけられたルキアはあら?井上さん、ご機嫌麗しゅう…と笑顔で挨拶を返すので、どこの挨拶だよ!と一護は小声で突っ込む。

貴様の本に書いてあったとルキアが言うので、マンガ勝手に読むなよ!と一護はキレるが、現代語の勉強だとルキアが言うので、それ現代語じゃないから…と一護が反論していると、なんか、私、お邪魔だね…、じゃあね!と織姫は勝手に気を効かせて帰って行く。

どうするんだよ、又変な誤解させちまったじゃないかよ…と織姫を見送りながら一護がぼやいても、続けるぞとルキアは言うので、もう辞めた!と一護は拒否する。

死神界では上の言う事は絶対!とルキアが言うと、ふん!お前の下になった覚えはないよと答え、一護は勝手に帰ろうとするので、貴様が自分の力を上げねば、私は尸魂界(ソウル・ソサエティ)に…とルキアが呼びかけるが、一護は、お前1人でもこっちでやって行けるよ、剣道のインストラクターとか就職の道はあるし…、じゃあお先!と言い残し勝手に帰ってしまう。

その後、ルキアは単身、浦原商店と言う古物商を訪れる。 どうした、その義骸?人間の女子高生姿もなかなか似合ってますよ…、浦原喜助(田辺誠一)が奥から声をかけて来たので、戯れ言を言うな、したくて人間の振りをしているんではない…とルキアは言い返す。

新しいバッテリー、仕入れておきましたと笑いながら浦原は品物を持って近づいて来る。

ルキアはスマホサイズの紫の伝令神機の裏に、そのバッテリーを装着し、手を表面井触れると紫色に光り出す。

どうするつもりです?死神の力の受け渡しは刑に値します…、成り行きとは言え、掟を破ったことがあちらにバレたら…と浦原が聞くので、 同じ頃、尸魂界(ソウル・ソサエティ)… 伝令神機と同じ紫色に光る伝令神機を前に、霊圧が下がっているらしく、見つかりません…、ルキアに限ってフィッシュボーンごときにやられたとは考えがたい…、まさか、本当に死神の力の受け渡しを…と阿散井恋次(早乙女太一)が言うと、探れ、力の受け渡しが本当なら捉えよ…、上からのお達しだ…と命じたのは朽木白哉(MIYAVI)だった。

夕方、暗くなった高架下を帰っていた一護は、目の前に立っている人影に気付き、誰だ?と聞く。

するとその人影は、ほお…、俺が見えるのか?と嘲るように聞いて来る。

俺に何か用か?と一護が聞くと、この辺りでれいあつのたかいやつを探していたらお前に行き当たった…とその人影阿散井恋次は答える。

ルキア…、知ってるな?女の死神、お前の前に現れたろう?と恋次は聞く。

死神?んなもん知るわけないだろうと一護がごまかすと、とぼけるんじゃねえや!ルキアはグランド・フィッシャーと言う虚(ホロウ)を追い、霊圧の高いお前を探してここまで来た…と言う恋次に、グランド・フィッシャー?と一護はごまかすが、おい、ルキアはどこ行った?と恋次は迫って来る。

それでも一護は、死神なんか知るか…と答えると、死神に嘘付くなや…と言いながら恋次は刀に手をかける。 一護は何とか喉元に突きつけられた刃を交わし、その場から逃げ出すが、それを追おうとした恋次は、何かが飛んで来たので思わず身を隠すが、あの矢…と呟く。

物陰から様子を見ようと身を乗り出した恋次は、又矢を放たれたので、まさかクインシーか?と舌打ちし、その場は一旦去ることにする。

一護は用心深くもとの高架下に戻って来るが、もう恋次はいなかった。

帰宅した夜、ベッドに寝ていた一護が、ルキア、ここに来た訳を話せと押し入れに語りかけると、何の話?とルキアが押し入れの中から答える。

俺はな、裏で俺の知らないことが勝手に進んでいるのが大嫌いなんだと一護が語りかけると、言っている意味が分からないと言うルキアの声が返って来たので、嘘を言うなよ、隠し事を全部言えと一護は命じる。

ルキアが何も隠してないと言い返すと、じゃあ何で俺はあんな死神に殺されかけたんだ!と一護が聞くと、ルキアは急に黙り込んだので、ほ〜ら見ろと言いながらベッドに起き上がった一護は、全部言え!と迫る。

そして、急に押し入れの扉を開けた一護は、じゃあ俺が言ってやろうか?お前はグランド何とかと言う「虚(ホロウ)」を追ってこの世に来た、で今、赤毛の死神がお前を追っている、そして俺はお前を匿っているせいでそいつに殺されかけた…と指摘すると、貴様は黙って修業を詰め!と言いながらルキアは扉を閉めようとするので、又押し開いた一護は、おい冗談じゃねえぞ!お前のごたごたに巻き込まれるなんてまっぴらだ!と迫ると、良いからお前は修業しろとルキアは又戸を閉める。

したらどうなるんだ?俺はお前がソウル何とかに戻れるかどうかなて関係ねえからな!そもそもお前がここに住んでいるのがいけねえんだ!と又戸を開けた一護は感情を剥き出しにするが、ルキアは戸を黙って閉まるだけだった。

ルキアは押し入れの中で、修業しなければ…貴様は死ぬ…と心に誓う。 尸魂界(ソウル・ソサエティ)に戻った恋次からの報告を受けた朽木白哉は、間違いないか?と念を押す。

次に「虚(ホロウ)」が現れる時、ルキアは必ずその男と現れますと恋次が言うと、白哉は剣を取って立ち上がる。

翌日の高校 あの子ってどこに住んでるんだろうね?と織姫がルキアのことをたつきに話しかけると、たつきはふざけて、一護と同棲してたりして…と冗談を言うと、織姫はえっ!本当に!と真に受けたので、かもねって話よ…とたつきはなだめる。

昼休み、教室で弁当を開けた一護は、「自分に勝て」と白飯の上に海苔で文字が書いてあったので、オヤジ…とぼやく。

それでも一応手を合わせ、飯を喰い始めた時、1人の生徒が一護の前に立ち、君、死神か?と話しかけて来たので、一護は思わず食べていた飯を吹き出す。

その狼狽振りを見たそのメガネの生徒は、やっぱり…と納得したので、お前バカかと一護はごまかすが、君の霊圧が高いことは前から分かってる…、それが先日から異常な高さになっている…、ちょうどあの転校生が来た日を境に…とその生徒は何もかも知っているように言うので、さすがに一護は焦り始める。

あの女、一見人間に見えるが、さては義骸?とメガネの生徒が言い出したので、一護はああ!と立ち上がって相手の口を塞ぐと、お前、何なんだ?と聞く。 するとメガネの生徒は、僕の存在に気付いていなかったようだね?と一護を睨んで来る。

そう言えば、お前、1年前に転向して来て話したのは今日が初めて…、一体何者だ?と一護は不思議そうに問いかける。

するとメガネの生徒は、僕の名は石田雨竜(吉沢亮)と名乗る。

2人きりで屋上に上がった後、一護は、俺の霊圧の高さとやらをお前が何で知ってるんだ?と聞く。

僕は死神に滅ぼされた一族「クインシー」の生き残りだ…と石田は答えたので、お前も頭がおかしい…と一護はバカにしようとするが、見ろ!と言い石田が右手首部分から剥がしたのは一方が尖った小さなリングのようなものだった。

そしてその尖った鏃部分とリングを両手で引き延ばすと、間に青い光りの矢が発生する。

その矢を大空に向かって放つと、当たった雲が発光したので、昨日の矢はお前か…と気付いたので、信じる気になったか?と石田は聞く。

僕は「虚(ホロウ)」を倒す能力を持ち、「虚(ホロウ)」と石田一族を倒した死神たちを倒すために生きている、1年前、異常な霊圧を感じてこの町に留まった…と言った石田はまた弓を引き絞り一護に矢を向けると、僕と勝負しろ!と迫る。

はっ?と一護が戸惑うと、この世は人間だけが支配した単純なものではないと石田は言う。

生きた人間と成仏できない霊…、「虚(ホロウ)」化してしまった魂、死神、その死神を恨んでいる一族…、人間が見えない世界で様々な因縁が蠢き合っている…、僕は君が死神である以上戦わなければならないと弓を引いたまま一護を狙う石田が言うので、話が何言ってるか分からねえよ!と一護は呆れる。

死神よりクインシー一族の方が優れていることを証明してみせると石田は言うので、ちょっと止めろって!と一護は怯えるが、石田は、刀を出せ!と迫る。

止めろ!と言う一護に向かって矢を放った石田はその矢を間一髪で逃れた一護に、じゃあ、無理にでも死神になってもらうしかないと言い、何か小さなものを取り出し指で潰すと、高校の屋上から外に向かって投げ捨てる。

次の瞬間、ベランダにいたルキアのポケットの中の伝令神機が鳴り出す。

何をした?と一護が問いかけた時、一護!「虚(ホロウ)」が騒ぎ出した!仕事だ!と呼びかけながら駆けつけたのはルキアだった。

その間、石田は物陰に隠れるが、それに気付かず、ルキアは赤いフィンガーレスグローブを右手にはめると、ちょっと待て!と制する一護の腹を殴り、背中から死神になった一護を出現させる。

何だよと立ち上がった死神姿の一護に「虚(ホロウ)」が来るとルキアが言うので、俺には関係ない!と一護は抵抗するが、分離した高校生姿の一護が倒れた所を石田は物陰から目撃していた。

「虚(ホロウ)」を倒す霊圧を上げ、貴様から死神の力を取り戻さない限り、私は帰れない…と言うルキアに、いい加減にしてくれ!死神だ、「虚(ホロウ)」なんてもう知らねえよ!と一護は言い返すが、その時、助けて!と叫ぶ子供の声を一護は聞くと、この声!と呟き急いでその場から走り出す。

「蜘蛛虚」「海屍虚」「腐鳥虚」「南無灯虚」「婆留虚」…、伝令神機の表示を見たルキアは次々に「虚(ホロウ)」が現れている!誰かが餌を撒いたのだ!このままでは人間はおろか近くの霊も危ない!と焦る。

一護が駆けつけた無人の公園に怖いよ!と言いながら走って来たのは、いつか会った交通事故死した少年の霊だった。

あいつ、まだ成仏してねえのか…と目撃した一護がぼやいていると、少年の背後の家の屋根に「蜘蛛虚」が姿を現す。

そこへ向かおうとする一護に、待て!あの子供を助けるなら、他の人間や霊も助ける覚悟を決めろ!と遅れて来たルキアが呼びかける。

はぁ?と一護は惑うが、神は全ての人間や霊に対し平等になければならぬはず、あの子供を助けるならここで覚悟を決めろ!とルキアは迫る。

「蜘蛛虚」が近づき男の子の霊が公園の中で倒れるのを見た一護は少し考えた後、死神の覚悟なんかするか!と叫び、鞘をルキアに投げ渡すと、「蜘蛛虚」に向かって行く。

ルキアは倒れた子供を助け起こすと、今のうちだ、逃げろ!と言い追いやる。

「蜘蛛虚」と戦う一護は、わざわざ他人を助けるほど立派な人間じゃねえが、目の前で困ってる奴を放っとくほどクズでもねえ!と叫ぶ。

ほら、こっちだ!と「蜘蛛虚」をからかっていた一護だったが、長い「蜘蛛虚」の足に突き倒されてしまう。

そこに「蜘蛛虚」が足を振りかざして来たので、思わずルキアが危ない!と叫んだ時、突如出現した恋次が「蜘蛛虚」を倒す。

それに気付いたルキアが、恋次!と驚く。

恋次は倒れていた一護に近づき斬り掛かって来たので、一護は斬魄刀で跳ね返そうとするが、遅えよ!と嘲った恋次はさらに攻撃をくわえて来る。

公園の木の幹に叩き付けられ地面に落ちた一護は、側に落ちていた斬魄刀の柄を掴もうとするが、その右手を恋次に踏みつけられる。

死神、嘗めんなよと恋次は言い、一護の身体を蹴飛ばす。

あっけねえな…と嘲りながら、斬魄刀を逆手に持ち替えた恋次が近づき、倒れた一護に止めを刺そうとした時、その前に立ちふさがったルキアが、恋次、止めろ!と頼む。

呆れたような表情になった恋次が斬魄刀を振り回したので、ルキアは一護を庇うように屈んで避けるが、今のはお前が交わしたんじゃねえ、交わさせてやったんだ…と恋次は言う。

どうしてここに?決まってんだろう、手前から力を奪った奴を殺しに来たと恋次が言い、それを睨むルキアに気付き、何だ?手前の面は…、人間味てえな面してんじゃねえや!と苛立って来る。

俺と同じ流魂街に生まれ、大貴族の朽木家に拾われ、死神として英才教育を施されたルキアともあろうお前がそんな人間味てえな面して良い訳がねえ!と恋次は言い、なあ?朽木隊長!と呼びかける。

その呼びかけに答え、公園の隅に姿を現した朽木白哉の姿を見たルキアは、兄様…と驚き、その場に片膝だって敬う。

何故掟を破った?とルキアに近づいた白哉が問いかけると、死神の力を渡さなければ私は「虚(ホロウ)」に喰われていました…、半分だけ渡すつもりが気付いたら全て吸い取られていて…とルキアが説明しようとすると、いい加減なことを言うな、人間への力の受け渡しは重罪…、尸魂界(ソウル・ソサエティ)へ帰れば処刑となろう…、この男から死神の力を取り戻せ、そうすれば罪は許される…と白哉は命じる。

それを聞いたルキアが、今、元に戻せば、この男は霊圧が弱過ぎ、必ず死にますと反論したので、それがどうした?構わんではないか?…と白哉は顔を背けて聞く。

ルキアは背後で仰向けに倒れて動けない一護を見ながら、この男が死神の力を持ったのは私の都合、この男に罪はありません…、罪もない人間を殺すのは死神の仕事ではないはずですと反論する。

何故そんなにこの男に情けをかける?と白哉が問うと、別に情けをかけているのでは…とルキアは言い返そうとするが、この男から力を取り戻し、殺せ…と白哉は静かな口調で命じる。

さもなくばルキア…、そなたが死ぬ…と白哉は告げる。

ルキアは絶句するが、白哉は、次の満月まで待とう…と言い去ろうするので、待って下さい、兄様!とルキアは立ち上がって呼びかけるが、白哉は、恋次、西の「虚(ホロウ)」を頼むと指示するだけだった。

そんな公園内での様子を、近くの木の陰から監視していたのは石田だった。

ルキアは傷ついた一護の身体を夕暮れ迫る高校の屋上まで運んで来て、そこにまだ倒れていた学生服姿の一護の横に並べ、死神の状態で受けた傷、ここで直しておかねば…と一護に話しかける。

元の肉体に戻った時、それが肉体に現れる…、手遅れになれば肉体も魂も死ぬ…と言いながら、ルキアは一護の胸に何か液体を垂らして揉み込む。

苦しみながら一護は、どうするんだよ…、ルキア?と問いかける。

(回想)はい、きれいになった…、一護は雨の日、トラックのはねた泥を浴びた顔を拭いてもらった母親真咲の夢を見ていた。

こっち歩きなさい…

良い、俺がこっち歩く… 俺が母ちゃんを守る!と言う子供時代の一護

あら、頼もしいと微笑む真咲

手、繋いで良い?

当たり前じゃんと手を差し伸べる真咲

その直後、川の縁に佇む少女を見つけた一護が傘を貸そうと走って行く。

一護!と呼びかける真咲の声…

雨が降る中、地面に倒れていた少年の一護が目覚めて横を見ると、そこには真咲がうつぶせに倒れていた。

母ちゃん…?と一護が呼びかけるが、真咲はぴくりとも動かず、その背中は血まみれだった。

(回想明け)在の一護が自宅のベッドで目覚めると、その横には居眠りをして座っている一心がいたので、オヤジ…と呼びかける。

一晩中看病をしていたらしかった。 よお、起きたか…と一心が声をかける。 何…、事故ったんだってな?同級生が連れて来てくれたよ…、今度はちゃんと父ちゃんに紹介しろよと一心が笑って言うので、ルキアが運んでくれたことを察した一護だったが、母ちゃんの夢を見た…と打ち明ける。

ああ、もうすぐ命日だな…と一心が答えると、今でもたまに見るんだ…と一護は明かす。

一心は一護の顔の汗を拭いてやりながら、俺は毎日見る…と告白する。

俺は母ちゃんを守れなかった…、母ちゃんが死んだのは俺のせいだ…と一護が悔いるように呟くと、一心は何も言わず、タオルを洗面器で洗い始める。

一護は涙を隠すため左手で両目を覆い、結局、俺は誰も守れない…と言うと、お前が守れなかったんじゃない…、俺が惚れた女はお前を守って死んだんだ…、俺はそれを誇りに思う…と答える。

高校では毎度のことながら、おい!職員室で聞いたけど、一護、事故ったらしいぜと、浅野が織姫とたつきに報告していた。

えっ!黒崎君は!と織姫らが驚いて聞くと、机に座り込んだ浅野は、死んだ…、可哀想に即死…と哀しげに言いかけたので、生きてる!と背後からやって来た一護自身が訂正する。

それに気付いた浅野は、やっぱり?殺しても死なないタイプだもんな!と笑顔で応える。

それでも織姫は、黒崎君!と近づき、茶渡も立ち上がって、包帯…と呟く。

学生服の下から覗いていた包帯を隠しながら、大した事ねえや…と一護は笑って席に付く。

その一護が窓辺に座って何事か考え込んでいるルキアの方を見たので、その視線に気付いた織姫もルキアを見る。

空座辛野駅前の「ロブズ・バーガー」2階席では、石田が参考書のようなものを読んでいた。

そこに茶渡がやって来る。

織姫とたつきも席でバーガーを食べながら、黒崎君、最近どうしたんだろう?などとだべっていた。

振られたんだよ、杇木さんに…とたつきが言うので、えっ!2人って付き合ってたの?通り姫が驚くと、とぼけちゃって…、織姫、これはチャンスだよなどとたつきは答える。

その頃、橋の下で伝令神機で一護の表示を見ていたルキアは、まだ霊圧が足りない…と呟いていた。

ルキアは、この男から力を取り戻し、殺せ…、さもなくばルキア、貴様が死ぬ…、次の満月まで待とう…と兄の白哉に命じられたときのことを思い出していた。

満月

自宅のベッドに横になっていた一護は、ルキアと最初に会った夜のことを思い出していた。

(回想)「虚(ホロウ)」と戦っていたルキアは、この男を狙うのは止めろ!と叫んでいた。

(回想明け)なあルキア、お前はあの時、何で俺を助けてくれたんだ?と一護が問いかけるが押し入れの中から返事はない。

どこの誰かも分からない俺に死神の力を与えてまで…、それが重罪ってのは分かってたんだろう? 

あの時…、お前も俺もしくじったら死ぬかもしれなかったんだぞ…、なのに…、お前は俺を救ってくれた…、命を賭けて… 返事がないのでベッドの上に起き上がり、ルキア?と呼びかけた一護は、押し入れのとを開けるが、中には誰もいなかった。

夜の外に出て探しまわった一護だったが、そうだ、あいつだ!と気付く。

駅前の「BOB’S BURGERS」にやって来た一護は、石田がいるのに気付き、尸魂界(ソウル・ソサエティ)はどこにある?と聞く。

薮から棒に何?と石田が聞き返すと、ルキアがいなくなった、尸魂界(ソウル・ソサエティ)に帰ったのか?と同じテーブルに座った一護は聞く。

そんなこと僕が知るわけないだろうと石田が呆れたように言うと、尸魂界(ソウル・ソサエティ)はどこにある?教えてくれ!と一護が迫るので、知ってどうする?朽木さんを取り戻す気?と石田は冷静に切り返す。

だったら何だね?と一護が口ごもると、見物だね…と石田は言う。

君を襲った赤毛の死神は阿散井恋次、名うての死神だ…、この対決は見物だよ…と石田は他人事のように話す。

良いから教えろ!と一護がキレかけると、僕は尸魂界(ソウル・ソサエティ)への行き方なんか知らないと石田が言うので、知らねえのかよ!と癇癪を起こし席を立つ。

すると、ただし、それを知っている奴なら知っている…と石田が言うので立ち止まる。

かつて尸魂界(ソウル・ソサエティ)を追放され、人間界に身を隠す死神がいる…と言う石田の言葉を聞き、浦原商店にやって来た一護は、どうすれば良いと浦原に聞く。

すると浦原は、朽木さんは尸魂界(ソウル・ソサエティ)に帰ったんじゃないっすね…と言う。

帰ったってただ処刑になるだけ…、彼女はそんな無駄死にはしないはずです、彼女はあんたを救おうとしてるんじゃないっすかね?と浦原が言うので、えっ?と一護は驚く。

あんたを守るために、寛恕は身を挺して白哉に会いに行った…と浦原は指摘すると、俺を守るために…と一護は黙り込む。

とある場所の尸魂界(ソウル・ソサエティ)の入り口では、ルキアが兄白哉の前に跪き、あの男を生かしておけば、グランド・フィッシャーが現れます…と説明していた。

グランド・フィッシャーを倒せば、禊ばかりか上への手みやげとなりましょう…、今殺すには惜しい…とルキアは続ける。

それを聞いていた白哉は、ルキア…、何を企んでいる?と問いかける。

浦原商店では、しかしもしそうだとしたら、杇木さんはその場で殺されるかも…、彼女の兄白哉とはそう云う奴です…と浦原が指摘していた。

尸魂界(ソウル・ソサエティ)への入り口はどこにだって作り出せます、この近くに彼らが好んで使う場所があります…と言う浦原の言葉を聞いた一護はひた走る。

そこまでしてあの男を守りたいのか?と白哉はルキアに問いかける。

違いますと答えたルキアに、兄である私の言う事が聞けないのか?私を信じられないのか?私に背いてまであの男を助けたいのか?答えろ、ルキア!と白哉は問いつめる。

しかしルキアは沈黙を保ったままなので、答えろ!と白哉が繰り返し、焦れた恋次があんな男さっさと殺しちまえよルキア、そうすりゃ、てめえの罪は許される…と口を挟んで来る。

それでもルキアが無言のままなので、おいルキア!何で殺さねえんだよ!あんな男、どうせグランド・フィッシャーに喰われて終わりだろう? ただの餌だろう?骨だろう?クズだろう?蛸だろう?…と恋次が罵倒していると、その声をかき消すように、うるせえ!と絶叫したのは到着した一護だった。

やってやろうじゃねえか、グランド何とかだろうが、何であろうが…、この俺が倒してやるよ!と一護は言い出す。

一護に気付いた恋次は、良い所に来たがったな、俺がこの男をぶっ殺してやる!と刀を抜くが、恋次!とルキアが予備、待て!恋次!と白哉も制止する。

驚いたルキアが兄の顔を見ると、良かろう、やってみるが良いと白哉は薄ら笑いを浮かべて言う。

隊長!と恋次は抗議するが、グランド・フィッシャーを倒してみろと白哉は笑う。

ああと答えた一護は、その代わり条件があると言い出す。

グランド・フィッシャーを倒したらルキアを解放しろと一護は言い、ルキア!この俺を本物の死神にしてくれ、グランド・フィッシャーを俺は倒すと頼む。

そして死神の力を熨斗付けて返してやるよと一護は言い切る。

かくして、いつもの橋の下と土手での一護とルキアの死神になるための猛特訓が始まる。

グランド・フィッシャーは54年もの間、我々死神が追い続けている「虚(ホロウ)」だ、攻撃力、俊敏さ、どれをとっても今までの「虚(ホロウ)」とは比べ物にならぬ…、奴は囮を使い、それが見える霊圧の高い人間を食らうことで自らの能力を上げている、貴様が更なる霊圧を身につければ奴は自ずと貴様の前に姿を現す…とルキアは説明する。

下校途中のたつきと織姫が、木刀で練習しているルキアと一護の姿を目撃し不思議がる。

何か河原で一護が剣道みたいなことやってて…と、駅前の「BOB’S BURGERS」で浅野にたつきが教える。

訓練みたいな?しかも杇木さんと…とたつきが言うのを聞いた浅野は、一護が?何でそんなことを?と不思議がるので、ダイエットとか?とたつきが当てずっぽうに言うと、アクション俳優になりたいとか?と浅野も適当なことを言う。

アクション俳優か…、あいつ運動神経良いからね…などと納得しているたつきの話を織姫は側で聞いていた。

近くのテーブルでは茶渡もアイスコーヒーを飲んでそれとなく話を聞いていた。

あいつも夢見つけたか…などと浅野はのんきそうに喜ぶ。

夜中になっても、土手での一護とルキアの修業は続いていた。

貴様に一つ言っておく、「虚(ホロウ)」を斬ると言うことは殺すことではない、罪を洗い流してやると言うことだ、「虚(ホロウ)」の急所は額だ…、グランド・フィッシャーでも額を割れば一撃で倒せると、自宅に戻ったルキアは一護に可愛いイラストを描いて説明すると、これがグランド・フィッシャーかよ?と一護が突っ込んだので、少し違うがの…とルキアはとぼける。

こんな奴、全く実感が涌かないと一護が首を傾げると、とにかくかなり大きいはずだ…とルキアは言う。

グランド・フィッシャーは俺を狙っていると言ったな?と一護が聞くと、うんとルキアが頷いたので、いつからだ?と一護は問いかけると、おそらく貴様が幼き頃からだとルキアは答える。

俺はそいつを見たことはあるか?と一護が聞くと、それは貴様にしか分からない…、グランド・フィッシャーを見たものは少ない…とルキアは言う。

ある者は獣のようだったと言い、ある者は魔界の花のようだとも言った…とルキアが曖昧そうに答えるので、元は…、元はどんな奴の霊なんだ?と一護が聞くと、元?とルキアが聞き返して来たので、「虚(ホロウ)」は元々人間の霊なんだろう?と一護は確認する。

するとルキアは、とある少女の霊だと言う…と答えたので、少女!と呟いた一護幼い頃を思い出し立ち上がる。

どうした?とルキアが聞くと、少女の霊か…と一護が呟くので、思い当たる節でもあるのか?とルキアは聞く。

まあ…と答えた一護は、ルキア、どうやらこれは俺の戦いだ…と、母真咲の写真を見ながら一護は答える。

翌日もルキアとの土手での修業は続いていたが、それを茶渡と織姫が通学路から見守っていた。

ちょっと前、一護が不良に絡んだ…、きっとそいつらだ…と茶渡が言い出す。

その人たちに仕返しされるのかな?と織姫も戸惑いながら答える。

その時突然、お友達はもっとでっかい物を背負ってますよ…と2人に声をかけて来た者がいた。

ただ、でか過ぎて勝てねえかも知れねえ…と織姫と茶渡に話しかけていたのは浦原だった。

それでも彼は命を賭けて戦おうとしているんです…と浦原は言って立ち去って行くので、織姫らは唖然とする。

一護は、一度試みながらできなかった、斬魄刀を振り回して円陣に並べた棒に被せたガラス瓶を全て割ると言う荒技もとうとう成功させる。

やったぜ!と喜んだ一護は、ハイタッチをしにルキアに近づくが、最初やり方が分からず戸惑っていたルキアも何となくハイタッチし、これは何だ?と聞くので、ハイタッチ!と一護は教える。

その様子を帰宅途中の石田もじっと見つめていた。

町を見下ろしながら、良いんですか、隊長?と問う恋次に、どのみちあの男には無理だ…、餌にしてグランド・フィッシャーをおびき寄せろ、グランド・フィッシャーはお前が倒せ…、そしてルキアも殺せ…と白哉は命じる。

ルキアにあの男は殺せまい…、情が移っている…、死神にとって情と言う物は病に等しい…、かかれば衰え…、根を張れば死ぬ…と白哉は言う。

その夜一護の家では、ではお母さんの命日に付いて家族会議を開く〜!発言したい人は手を上げること〜!と一心が1人ではしゃいでいた。

すると夏梨と遊子が率先して手を上げる。

一心はそんな2人に、遊子はお弁当を持って行く、夏梨はお線香とお花とお供えって事…と一方的に言いつけたので、えっ?手を上げてるでしょう!と抗議するが、お父さんはビールを持ってくぞと一心が言うので、自分用じゃん、ずるい!と抗議する。

すると一心は、違う、それはお母さんと一緒に飲む用だと言い返したので、他の奴も持ってよう…と妹たちは不満を口にする。

自分の部屋に戻って来た一護に、ピクニックにでも行くみたいだね…と押し入れのルキアが話しかける。

それを聞いた一護は、ピクニック…みたいなものかもな…、おふくろの墓参りは…とけだるそうに答える。

オヤジはもちろん、遊子も夏梨もおふくろが大好きだ…と写真立てに入った真咲の写真を見ながら続ける。

そんな3人から俺はおふくろを奪ってしまった…と一護は自嘲する。 そんなに大事な物か家族の絆…とルキアが聞くので、お前にもいるんだろう?あっちの世界で…と一護が聞くと、親はいないとルキアは言う。

ベッドに寝そべってそれを聞いた一護は起き上がり、このまま人間界にいろよ、俺が仲間になってやると言葉をかけると、そんなことはできないとルキアが言うので、何で?と聞くと、それが掟だと言う。

掟か…、融通が利かないんだな死神は…と一護は呆れたようにまたベッドに横たわる。

ルキアは、でも…ありがとう…、そう言ってもらえただけでうれしい…と答え、バツが悪くなったのか、扉を自分から閉める。

真咲の命日、一心と子供たちは墓参りに来る。

毎年思うけど、この坂本当にきついよねと妹たちがぼやく。

一心はそんな娘たちは無視してさっさと先を歩いて行くので、お父さん!ずるい!と妹たちは文句を言う。

一、水買って来て、坂の下に自販機あったから…、喉乾いて死にそう…と夏梨が言い出し、遊子もパイナップルジュースが良いなどと一護に頼む。

それ自販機通過した時に言えよ!と、長い坂を振り返り一護は文句を言うが、今渇いてきたの!と夏梨はわがままを言う。

ったく…と呆れながらも、じゃあ先に行ってろと一護は登って来た坂を又1人で降りることにする。

坂の途中で伝令神機を見ながらグランド・フィッシャーの出現に警戒していたルキアは、戻って来た一護からどうだ?ルキア…と聞かれ、まだ反応ないと答える。

黒崎家の墓の前にしゃがんだ一心は持って来た缶ビールを開け、1本を墓に供えて、じゃあ真咲、乾杯!と言いながら自分用のビールを飲む。

そして、一護の奴…、お前からも言ってやってくれないか?もういい加減忘れろって…と一心は墓に話しかける。

夏梨と一緒に荷物を持っていたためまだ坂の途中で墓にたどり着いていなかった遊子は、あの子、何してるんだろう?と何かを見つけて呟く。

2人の姉妹の前方に白い服を来た同じ年くらいの少女が立っていたからだ。

その白い服の少女が泣き出すと、ルキアの持っていた伝令神機が光り出し、近い!とルキアが言い、一護と共に走り出す。

夏梨と共に白い服の少女に近づいた遊子が、どうしたの?大丈夫?と声をかける。

泣き止んだ少女が真顔になって2人を見ると、急に表情が怖くなり、少女の背後から黒い触手のような物が伸びて来る。

缶ビールを1本飲み終えて、墓の横の木の下に腰掛けていた一心は、あいつら遅いな〜と一護や娘たちがなかなかやって来ないことに気付く。

坂の上に駆けつけた一護とルキアは、巨大な髪の毛のような物が蠢いているのに気付く。

その髪の毛の塊の中から白い服の少女(後藤由依良)が姿を現したので、グランド・フィッシャー!とルキアは呟く。

一護は、幼い頃、川の側で見かけた少女を思い出し、やっぱりお前か!と言いながら一歩前に出る。

髪の毛の束が少しほどけ、夏梨と遊子を掴んでいる腕が出現する。

ルキア!と一護が叫び、ルキアは右手に赤いフィンガーレスグローブをはめると、行くぞ!と答え、一護の背中を押す。

すると死神姿の一護が飛び出す。

一護は、背中に背負った斬魄刀を抜くとグランド・フィッシャーに飛びかかって行き、2人の妹は坂道に放り出される。

そこにルキアが駆けつけ、一護、グランド・フィッシャーの背を取れ!と命じる。

一護がグランド・フィッシャーに斬魄刀を貫くとその刀に貫かれて髪の毛の中から現れたのは死んだはずの真咲で、一護!と呼びかけるので、母ちゃん!と一護は狼狽する。

周辺はいつの間にか、最初にグランド・フィッシャーに会った雨の日の川縁に変化していた。

一護、会いたかった…と腹から血を流し、笑顔で手を差し伸べて近づいて来る真咲に一護は戸惑うが、それは幻だ!とルキアが叫び現実に引き戻す。

一護の目の前にはグランド・フィッシャーがその不気味な素顔を現す。 おふくろの姿まで担ぎ出すんじゃねえ!と怒りながら、一護はグランド・フィッシャーに立ち向かって行く。

そこに、遊子!夏梨!と呼びかけながら近づいて来た一心に気付いたルキアは、左手をかざし、しばらく眠っていろと命じる。

一心は気を失ったように坂道に崩れ落ちる。 町が見渡せる公園にいた恋次が、始まったようです…と白哉に伝える。

商店街の屋根を突き破りグランド・フィッシャーが路上に落下するが、通行人には竜巻にしか見えなかった。

一護とグランド・フィッシャーは戦いながら駅前にやって来るが、周囲の人間にはそれが竜巻の仕業にしか見えていなかった。

一護はグランド・フィッシャーに押されながらバスターミナルに近づく。

歩行者たちが竜巻だ!と騒ぎながら逃げているのに気付いた停車中の運転手は、車ごとグランド・フィッシャーに押されて衝突する。

一護はグランド・フィッシャーの毛にドラッグ・ストア内に撥ね飛ばされる。

「BOB’S BURGERS」の2階席にいた茶渡たち高校生たちも窓から外の様子に気付き、竜巻じゃない?と言いながら騒ぎ出す。

その場にいた石田も、来たか…と呟く。 次の瞬間、2階席の屋根が崩壊し、外に気をとられていた織姫が驚いて振り返る。

二階席に落ちていた一護は、目の前に同級生たちが揃っていることに気付くが、織姫や浅野たちには死神になった一護の姿は見えていなかった。

黒崎…と気付いていたのは石田だけだったので、見えてねえのか…と安堵した一護だったが、窓の外でグランド・フィッシャーが何かをこちらに向かって投げつけたのに気付き、やべえ!と言いながら窓へ向い斬魄刀でぶった切るが、次の瞬間、その「空座」と書かれた看板の破片を受け止めた茶渡に気付く。

窓から毛を伸ばして襲いかかるグランド・フィッシャーに斬魄刀で立ち向かっていた一護は、茶渡、後を頼む!と言い残し窓から外に飛び出す。

一護!と呟いた茶渡に、茶渡君も感じた?と声をかけたのは織姫だった。

茶渡が頷くと、えっ?一護?と浅野やたつきが不思議そうに口にする。

茶渡と織姫には一護とグランド・フィッシャーの姿は見えなかったが、何となく気配を感じていたのだった。

間違いない…、黒崎君だった…と床にしゃがみ込んでいた織姫が言うと、その手を引いて立ち上がらせた茶渡は、みんなここから逃げろ!とその場にいた客たちに呼びかける。

織姫も茶渡と共に逃げる生徒たちを誘導する。

外では停車中の車の所で一護とグランド・フィッシャーが戦っていた。

グランド・フィッシャーのかぎ爪が一護の右肩に刺さって来るが、この戦いだけは絶対負けられねえ!と一護は踏ん張る。

その時、グランド・フィッシャーに青い光が飛んで来てグランド・フィッシャーは一瞬ひるむ。

駆けつけたルキアと一護は、その青い光が石田が放った矢であることに気付く。

危なかったねと語りかけて来た石田に、お前!と一護は驚き、ルキアも又、クインシー!と驚く。

怒ったグランド・フィッシャーは石田に迫って来たので、石田はその場から走って移動しながら相次いで矢を射かける。

小僧!とグランド・フィッシャーは怒り狂う中、余計なことをするな!と一護は石田の横に転がって来るが、君に死なれたら勝負が果たせなくなるからねと石田は答え矢を構える。

そんな2人に、グランド・フィッシャーは車を投げ飛ばして来る。

2人が避けると、グランド・フィッシャーは立ち上がり、石田と一護を長い毛ではね飛ばす。

一護は停まっていたバスの車内に突っ込む。

終わりだ、もう…と言うグランド・フィッシャーの声が聞こえたかと思うと、窓ガラスを突き破って、グランド・フィッシャーの毛が車内を突き刺して来る。

狭い車内で抵抗していた一護だったが、四肢をグランド・フィッシャーの毛に絡めとられてしまう。

そしてバスの車体ごと翻弄させられる。

それに気付き一護を救おうと矢を引き絞った石田に、額を狙え!と側にいたルキアが指示する。

グランド・フィッシャーはバスを縦にして矢を防ごうとするが、割れたバスの窓越しに矢を射た石田は、外したか!と悔やむ。

矢はグランド・フィッシャーの左目の1つに刺さっていた。

グランド・フィッシャーはバスを握りつぶすが、その中から飛び出した一護が、俺が母ちゃんを守る!と呼びかけた幼い頃を思い出しながら、グランド・フィッシャーの鼻筋に斬魄刀を突き刺す。

斬魄刀は斬られた額から鼻筋にかけ光と煙を吹き出しながら倒れ、一護も地面に叩き付けられる。

そこに、一護!しっかりしろ!と呼びかけながらルキアが走り寄る。

そんなルキアに微笑み返した一護は、背後に近づいて来た石田を見るとサンキュー!と礼を言うが、石田は、君を助けた訳じゃない、奴に隙があっただけだ…と素っ気なく答える。

その態度を見た一護は可愛くないな…と苦笑すると、さすがに石田も微笑むが、次の瞬間、石田の胸に背後から刀が突き抜ける。

まさかグランド・フィッシャー倒すとはな…と言いながら石田の背後に姿を現したのは恋次だった。

石田が倒れると、剣を抜きながら、クインシーなんか斬ったら刀が腐っちまうよ…と恋次は悪態をつき、とどめだ!と刀を振りかざしたので、恋次!とルキアが止めようとするが、その時、ルキア!と声をかけて来たのは白哉だった。

何故そんなに人間面をしている?どうした、ルキア?今のお前はまるで人間に見える、人間と死神は決して情で結ばれてはならない、その男を殺せ…と白哉は話しかけて来る。

これが最後の命だ、ルキア…、やはり病は治らぬか…と、白哉は答えようとしないルキアの姿を見て呟くと、恋次、やれ!2人ともだ…と命じる。

約束が違うじゃないか…と抗議しながら立ち上がり、恋次に向かおうとするルキアを停めた一護は、俺が守ると言う。

バカなことを言うな、早く逃げろ!と止めるルキアに、そうはいかない!と突き放した一護は、飛びかかって来た恋次と戦い始める。

一護は恋次に剣に弾き飛ばされるが、遅えよ!と口だけは言い返す。

この挑発を受けた恋次は、ぶっ殺す!と感情的になり飛びかかって来る。

恋次の剣に弾き飛ばされた斬魄刀の柄を空中で何とか受け止めた一護は、恋次の剣を辛うじて受け止める。

んなもんかよ?と嘲って来た恋次は、弾き飛ばした一護の斬魄刀を駆け上り、大きくジャンプして来る。

2人は組んず解れず戦い続け、力とスピードで勝る恋次が膝蹴りで放り上げ、地面に落下した一護の顔を踏みつけたりする。

もう終わりかよ!こっからだぜ、この俺と対等に戦うには2000年早えんだよと恋次が嘲ると、自らの刀を灼熱化して変形させ、これが「 蛇尾丸(ざびまる)」だ!と叫ぶ。

その「 蛇尾丸(ざびまる)」は蛇腹のように伸縮自在で、距離が離れた所から一護に襲いかかって来る。

一護がバスの屋根の上に飛び上がると、恋次も並んで停まっていた別のバスの屋根に飛び上がり、一護の身体に「 蛇尾丸(ざびまる)」に巻き付けて振り飛ばす。

そして、あばよと言うと、恋次は「 蛇尾丸(ざびまる)」の先に車を引っかけ、それを一護に叩き付けて来る。

車は一護が落ちた場所に落下し炎上する。

驚いて駆け寄ろうとしたルキアの前に立ちふさがった恋次は、お前が情を注いだ男は死んだ…と告げ、悪く思うなよ、ルキア…と言いながら「 蛇尾丸(ざびまる)」を突きつける。

その時、炎上する車の影から飛び出して来た一護に気付いたルキアの反応から恋次も背後を振り返る。

一護は、何でだか良く分かんねえけど…、全然負ける気がしねえ…と斬魄刀を肩に背負って言う。

何て霊圧だ…と恋次は呆れながら「蛇尾丸(ざびまる)」を構える。

飛びかかって来た一護は斬魄刀で「蛇尾丸(ざびまる)」ごと恋次を弾き飛ばし、側に停まっていたバスの側面に叩き付ける。

起き上がろうとした恋次は「蛇尾丸(ざびまる)」が折れてしまったことに気付く。

その時、恋次下がってろと声をかけた白哉に気付いた一護は、行くぜ!と言うと斬魄刀で斬り掛かろうとするが、気がつくと、その斬魄刀を白哉は人差し指と中指の2本だけで挟み取っていた。

遅いな…と呟いた白哉は、一護が斬魄刀を振り回すと同時に居合いを見せ、斬られた一護は倒れる。

一護!と呼びかけたルキアに白哉が近づこうとすると、待てよ…と背後から声がかかる。 一護!立てるなら逃げろ!貴様の敵う相手ではない!とルキアは叫ぶが、一護は又向かって行く。

しかし又あっけなく白哉の剣に翻弄され、倒れる。

ルキア、まだ目が覚めぬか?と言いながらルキアに白哉が向かうと、俺が守る…と又声が背後から聞こえる。

白哉が振り返ると、又しても一護が立ち上がっていた。 まだまだ…と言いながら斬魄刀を引きずり白哉に近づこうとする一護を見て驚くルキア。

そんな一護に怒ったように自ら飛び込み、一護の胸を斬り割く白哉。

一護!と絶叫するルキアの目の前で一護は倒れる。

今度こそ完全に息の根が停まったかに見えた一護だったが、白哉が歩き出そうとすると、その袴を握りしめて来る。

さすがのしつこさにしろ哉も苦笑し、袴を払いのける。

それでも這いつくばりながら、一護は、まだまだ…と言い放つ。

その様子を見ていた恋次の表情も変化して来て、何て奴だ…と呟く。 何とか起き上がろうとあがきながら、勝負はまだ終わってねえから…と言う一護にキレた白哉が剣を抜こうとした時、突然一護を蹴り倒し、身の程を知れ、小僧!人間の分際で兄さまの裾を掴むとは何事か!と叱責したのはルキアだった。

そこを一歩でも動いてみろ、私は貴様を絶対に許さぬ!と叱ったルキアは、それでも起き上がろうとする一護の肩を足で押さえつける。

そして白かなんお前に非ざまづいたルキアは、兄様、ようやく目が覚めました、朽木ルキア、慎んで我が罪を償わせていただきますと詫びる。

白哉がそれは本心か?と問いかけると、ルキアは少し躊躇した後、はい…と答える。

剣を収めた白哉は、もう良い、帰るぞと声をかける。

はいと答えたルキアは落ちていた斬魄刀を拾い上げると車に寄りかかっていた一護の側に持って行き、死神の力を返してもらうと言う。

貴様が望んだ通り、元の生活に戻してやる、おそらく貴様は全ての記憶を失うだろう…、私と会ったことも全て…と涙ぐむ。

人間界はうんざりだ、特に貴様は下品で短気で横着でいい加減で…と言うと、ルキアは斬魄刀の柄を一護に握らせると、剣の切っ先を自分の胸に近づける。

ルキア…と一護は呼びかけるが、さらばだ一護…と答えたルキアは自ら斬魄刀に胸を押し当てる。

気がつくと、高校の制服姿ではなく死神姿に戻ったルキアが目の前に立っていた。

ルキアは、白哉と恋次が歩き出すのを追って自分も去って行く。 ルキアたちの姿が視界から消え去る中、一護は、俺は又…、守られた…と呟き、白い世界の中に気を失って行く。

一護は自分の部屋のベッドで目覚める。

下に降りると、お早う!いつまで寝ているんだよ!と夏梨と遊子がいつものように朝食を食べながら話しかけて来る。 どうしたの?ぼーっとして…と遊子から聞かれた一護は、何か夢見てた…、良く覚えてねえけど、長い夢を…と答える。

妹たちは互いに顔を見合わせておかしそうに笑い出す。

起きたか?一護と背後から肩を叩いて来た一心は、朝食の椀をテーブルの上に置きながら、しっかり喰って、しっかり生きて、しっかり年取って、しっかり禿げて、死ぬ時は笑って死ねよと言いながら、亡き真咲の遺影にリンゴを供えると、でないと生まれて来た意味がないぞと言って又一護の肩を叩いて台所へ戻って行く。

高校では、昨日の駅前の竜巻凄かったみたいだな!と、いつものように浅野が織姫と立見に話しかけていた。

一護、巻き込まれたらしいぜと言うので織姫が驚き、じゃあ黒崎君は?と案ずると、浅野は力なく席に付きながら、死…と言いかけたので、間髪入れず、生きてるよ!と教室に入って来た一護が訂正する。

やっぱり!生きてたか!と浅野が喜ぶと、織姫も、黒崎君…と言いながらうれしそうに立ち上がる。

たつみは、何か雰囲気変わった?と不思議がると、浅野も、ちょっと大きくなった?と指摘するので、まさか…と一護は苦笑するが、それを見た茶渡も微笑みかけて来る。

一護、貴様には感謝している、命を賭けて私を守ろうとしてくれたのは貴様が初めてだ…(ルキアの言葉が重なる)

お早う…と声をかけて来たのは石田で、待て!と呼び止めた一護は、俺ら初めて話すよな?と聞く。

そうだね…、宜しく…と石田が微笑んで挨拶すると、一護もああ…と応じる。

私はここ尸魂界(ソウル・ソサエティ)で罪を償わなければならないが、掟を破ったことに後悔はない… 人間の友達もできたしな…(とルキアの声)

一護は窓際の席の織姫を見ると、織姫も見返してくれて互いに微笑み合う。

一護はその後、窓際の一番後ろの空席に目をやる。

でももう私に関わる全ての記憶は皆の中から消えている…

貴様も私を思い出すことは永久にない…

授業が始まり、教科書を開いた一護は、その1ページに「さわいだら殺す!」と書かれた見覚えのない落書きを見つける。

永久に…(とルキアの声)

その落書きを見つめていた一護は何故か微笑む。

多分!(とルキアの声)

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「BLEACH 死神代行篇」の文字

 


 

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