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三十六人の乗客

いわゆる「乗り物サスペンス」ものであるが、白黒作品ながら脚本、演出とも巧みで、観ていて最後まで飽きさせない。

刑事役が色々な場所で事件に遭遇すると言うパターンがあるが、浮気旅行の最中に…と言うのがまず意表をついている。

渡辺と愛人美津子との関係、若い運転手(堺左千夫)と交代要員の老運転手との関係など、犯人捜し以外の人間ドラマも過不足なく配され、黄金時代の邦画の底力を見せつけられる思いがする。

志村喬さんが登場する刑事ものに外れはないような気さえする。

劇中に登場する早川ポケットミステリなどからも分かる通り、この当時もミステリブームだったと言うことだろう。

ケイタイやスマホなどがまだない時代であり、バスの乗客が外の状況を知るのは難しいと言うのがサスペンスの1要素になっている為、最初の方でバスのラジオが意図的に破壊されていると言う辺りも犯人が乗り込んでいる伏線になっている。

ただ、中谷一郎さん演じる受験生の設定はちょっと不自然な気がしないでもない。

自殺をしようと厭世的になっている者が深夜の満員のスキーバスなんかに乗り込むだろうか?しかもその人ごみの中で自殺を図るだろうか?など若干設定に無理を感じないでもないが、後半の立ち直る姿などを見ると、ドラマ的には必要だったかなとも感じる。

主役の妻役を演じている若山セツ子さんのキャラクターも浮世離れしていて若干不自然に見えなくもないが、世間知らずで子供っぽいお嬢さんと言う事なのだろう。

少なくとも最後のシーンなどを見ると、嫌いになるようなタイプではなく愛らしいキャラである。

うら若きチャーミングなバスガイド役は、扇千景元国土交通省大臣で、この頃は本当に愛らしい美少女である。

佐藤允さんはまだ若々しく、怖いと言うより可愛い印象。

千秋実さん、塩沢とき(登代路)さん、多々良純さん、中谷一郎さん、森川信さんと言った懐かしい脇役陣が、それぞれ個性的な乗客としてドラマを膨らませているし、刑事役の中には天津敏さんまでいる。

いつもは上流家庭の気取った奥様役が多いイメージがある一の宮あつ子さんが、温泉マークの宿のちょっと下品な女将役を演じていると言うのが珍しい。

バスの背後にスキー板を縦に並べて運んでいる様子なども珍しいし、この当時からスキーはそれなりに盛んであったことが分かる。

隠れた名作だと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
1957年、東京映画作品、有馬頼義原作、井手雅人+ 瀬川昌治脚本、杉江敏男監督。

クリスマスの季節らしく、ジングルベルを歌いながら歩くメガネの酔っ払い(佐田豊)が、どこかから聞こえてきた2発の銃声のような音をクラッカーの音と思い込み、「メリークリスマス!」と叫ぶ。 しかし、車が猛スピードで走り去るのを見た酔客が走って聞いた方向に目をやると、寝間着姿の女(渡絹代)が倒れる所が見えたので今の銃声だったと気づき驚愕する。

タイトル

キャスト、スタッフロール(夜、走り回る車の運転席から見た主観映像)

道脇の大きな岩に衝突し、フロントガラスに拳銃で開いた穴がある車が停まっている所へパトカーが到着する。

一方、工事現場の所では、射殺された死体の痕が白線で描かれ、警察の現場検証が行なわれていた。

捜査本部に戻って来た鏑木警部(佐々木孝丸)は、調査の結果を報告すると部屋で待機していた他の刑事達に言い、被害者は守衛とその妻、そして逃走に使用したタクシーの運転手の3人で全員射殺。

信用金庫から奪われたのは300万円で、銀行の調べで千円札のナンバーは分かっていると言い、他のことに関しては山上刑事(志村喬)に任せる。

代わって立上がった山上は、使用された拳銃はブローニングの32口径、先日神戸で盗まれた物で、球は全部で15発は言っているが今度の犯行で9発使われたので、後6発残っている、ホシは3人も立て続けに殺している割に落ち着いており、相当の凶悪犯だと思われるのでくれぐれも操作は気をつけてくれ、暮から正月にかけて葬式など出されたら堪らないからなと冗談を言う。

そこに別の刑事が帰って来て、駅や県道などの検問の手配はすませたと報告する。

山上は、捜査に出る各刑事の行き場所を指定し始めるが、渡辺刑事(小泉博)の姿が見えないのでどうした?と聞くと、腹痛だそうですと刑事が言うので、しようがないな、こんな時に…と山上は顔をしかめる。

安西君はわしと一緒だと組分けも終え、車の手配を安西刑事(天津敏)に托した山上が出かけようと廊下に出ると、そこに先に出かけたと思っていた刑事が1人待っており、山上さん、ひょっとして知らないんですか、渡辺の奴、腹痛じゃなくて辞表を出したんですよ、3年前と同じです、自分は刑事に向いてないなんて言って…と言うので、山上は、そんなバカなこと言い出したのかね…と驚くと同時に、娘のヒロ子は気付いてないだろうね?前の時も知らせてないんだと案ずる。 それを聞いた刑事は、娘婿は娘より可愛いと言いますからね…、あいつ甘えてるんですよ、それでどうします?と聞くので、この忙しい時にどうにもならんねと山上が答えていた時、安西が車の用意ができたと知らせに来たので、そのまま出掛けることにする。

上野や新宿駅に張り込む刑事達。 そんな中、団地に1人やって来た山上は、階段を登って渡辺の住まいである348号室をノックするが返事がない。

ドアノブを回すと鍵がかかってないのでそのまま中に入ると、台所ではコンロにかけたやかんが沸騰していたので慌てて火を止める。

部屋の中は散らかり放題で誰もいないかに思えたが、孫の研一(高村信孝)が山上に気付き、何だおじいちゃんかと言う。

お母さんは?と聞くと屋上と言うので、又階段を登って屋上へ向かうと、そこで他の子供と一緒にのんきに凧を揚げていたのが山上の娘で渡辺の妻であるひろ子(若山セツ子)だった。

側にいた子供が先に気付きひろ子に山上のことを指差すと、ようやく、あら、お父さん!とひろ子は気付く。

部屋に戻って来たひろ子は、お母さん元気?珍しいわね?何思い出したの?などと言いながら、やかんが乗っていた消えていたコンロに又火を点ける。

今度の捜査、大変そうね、今朝早く、スキー用の靴下とボストンバッグもって出掛けたわとひろ子が言うので、スキー用?と山上がいぶかると、張り込みじゃなかったんですか?とひろ子が言うので、まさかボストンなんて…と山上は否定する。

どうしたの?あいにくお酒を切らしてるのよと言うので、昼間から酒は飲まん、おyかで十分だと山上が答えると、そのお茶も切らしているから研一に買いに行かせるわなどとひろ子が言うので、ひろ子、いい加減にしないか、バカ!お前いくつになるんだ?と山上が叱ると、忘れたんでしょう?お父さんが26の年の子で、お父さん来年51でしょうなどとひろ子はからかって来る。

お前は日頃渡辺と話合うことはあるのか?と山上が聞くと、話さないわとあっけらかんとひろ子が言うので、聞こうとしないんだろうと山上は指摘する。 その時ノックがして、安西刑事が入って来ると、あの聞き込みは当てになりませんと山上に伝える。

山上は、壁にかけてあったネクタイを見ながら、刑事にしちゃ派手すぎないか?と聞くと、ひろ子は、あら嫌だ、あれ、お父さんからのプレゼントだって言ってたわ、高かったでしょう?などと言うので山上の表情が険しくなる。

その後、安西とともに温泉マークの簡易ホテル女主人(一の宮あつ子)に聞き込みに来た山上は、宿帳を見ながら、君の所は総理大臣も来るのか?ここに石橋湛山と同ウメと書いてあるじゃないかと皮肉る。

この上にある美容室の女主人まだ1人か?と山上が聞くと、あれだけきれいでいまだに1人だなんて臭いでしょう?と女主人はからかうように言う。

ホテルを出た山上は、この上に私用のある家があると説明すると、安西刑事は、じゃあ僕先に帰っていますと言って別れる。

「洋裁店アミー」 店内では早川ミステリ「ホロー館の殺人」を熱心に読みふけっている眼鏡っ娘の笑子(河美智子)だけだったので、店に入った山上が、君一人か?と声をかけると、脅かさないでよ、おじさん!と本から目を外した笑子は驚くが、わしは警察の物だよと教えると、急に目を輝かせ、婦人警官取らなくなったそうね?私、中学時代からなりたかったのよ、どうして止めちゃたの?などと聞いて来る。

知らんねと答えた山上が、ここの主人は柳沢三津子さんだね?と確認すると、出掛けた話、スキーよ、渡辺さん言うボーイフレンドと草津に行ったの、ボーイフレンドのことは内緒よ、京橋から8時間だてと笑子が言うので、上野からじゃないのか?と山上が聞くと、バスよ、眠っている間に連れて行ってくれるそうよと笑子は教える。

捜査本部に戻って来た山上は、どうだった?と聞いて来た鏑木警部に、さっぱりでした…と収穫がなかったことを報告する。

すると鏑木は、例の千円札が出たよ、上野駅の上信越線の改札付近で夕方4時頃だと言うので、面割は?と山上が聞くと、見た人がおらんのですと別の刑事が教える。

それを聞いた山上は、逃がしたのか、バカ!張り込んでいて逃がすなんてとんまなデカだ!で、上信越線って?と山上が言うと、その方面に土地勘でもあるのかな?スキー客にでも紛れ込むつもりなのかな?と鏑木も呟く。 それを聞いた山上は、スキー?と驚く。

早速バス旅行案内所に向かった山上は、今日の乗客の名簿がないかと確認するが、船や飛行機じゃないので…と男性スタッフ(中原成男)は言い、別の女性スタッフ(向井正江)が、今日はウィークデイですからお乗りになっているはずですよと言うので、2人が乗っているのは間違いないんだと山上は答え、バス、今、どの辺走ってるんでしょう?と聞く。

鉄橋を渡った所で、提灯を持った顔なじみの警官(加藤寿八)が検問していたので、スキーバスのバスガイド幸子(扇千景)が停まったバスから降りると、怪しい奴いないかい?と聞かれたので、乗ってるわよ!ギャングがと冗談で返す。

車内に戻って来た幸子は、運転席の横でラジオを修理していた交代要員の運転手笠根運転手(堺左千夫)に、まだ直らないの、ラジオ?と聞くが、これはただの故障じゃないぜ、裏側から線を引きちぎられている、倉庫の近くのガキの仕業だ!と決めつけるので、そのとき運転していた佐々木老運転手(宮島健一)が注意すると、おやじさんは黙って運転してれば良いんだと笠根はバカにしたように命じる。

幸子は乗客達に向い、浦和、熊谷、高崎と今後の経由地点とその到着予定時間を知らせると、小田急バスと草津温泉が合同で作ったと言うチラシを配り始める。

その際、自分を見つめる異様な顔つきの女性客に気付いたので、御気分でもお悪いんですか?と聞くと、隣の席でその女性の肩に手を回していたメガネの近藤(佐藤允)が、こいつ、車に酔うんですよね、浦和で降りて外の空気を吸ったらすぐに直りますよと笑顔で言うので、それを信じることにする。 学生のように見える山岡(中谷一郎)は、何故か幸子の視線を避けるようにコートの襟を立て窓の方に顔を背ける。

ポケットウィスキーを飲んでいる万造(多々良純)と言う男も気になる。 本橋(千秋実)は隣の席に大きなバッグを置いているので、お上げしましょうと幸子が声をかけ網棚に持ち上げようとすると、慌てて幸子を睨みつけバッグを押さえて来る。

中年の星山(森川信)と若い〆蝶(塩沢登代路)の組み合せも気になる。

刑事の辞表を出して来た渡辺一郎(小泉博)と並んで座っていた柳沢三津子(淡路恵子)は、後悔してるんでしょう?後悔してるんだわ、あの人あんたのこと信じきっているのよ!とひろ子のことで嫌みを言って来るので、当て推量は止せよと渡辺は叱る。

あいつは刑事がどれだけ退屈か、どれだけ危険か知らないだけだ、辞表を出して来たんだぜと渡辺が言うと、どうせ山上さんが握りつぶすのを見越してのことでしょう?私がプレゼントしたネクタイもしてないじゃない!意気地なし!と三津子は罵倒する。

確かに悪かったよ、今夜こそ俺の運命を決めてくれるような気がするんだと渡辺が言うと、又三津子はバカにする。

その時、子供の宏(小林きよし)がトランジスタラジオで音楽を流し出したので、良いラジオだね、ちょっと貸してごらんと渡辺が笑顔で声をかけると、そうやって話をそらす!と三津子は怒る。

その時、宏の父親の島村(三谷勉)がを席に呼び寄せ、嫌だ!ラジオ聞きたいんだ!と母親良子(黒田隆子)との間に座った宏がだだをこねる中、迷惑だからとラジオのスイッチを切ってしまう。 最初の休憩地浦和駅に到着し、5分停車しますのでお手洗いの方はお急ぎくださいと幸子が呼びかける。

すると突然三津子は、私東京へ帰るわ!と渡辺に言い出し、バスを降りて行ったので、慌てて後を追った渡辺が手を引いて止めようとすると、離してよ!と三津子は抵抗する。

ずっと待ってたのよ、強く引っ張って欲しいのよ、はっきりした気持を聞かせて欲しいのとじれったそうに三津子が言うので、良し、俺も降りよう、荷物を取って来ると言い、バスへ戻りかけた所で渡辺さん、ちょっと!と呼びかけられたので渡辺が驚くと、相手が出した手帳を見ると浦和署の刑事(桜井巨郎)だと分かる。

人気のない商店街の方へ浦和署の刑事と向かった渡辺が、良く僕だって事分かりましたねと聞くと、私も刑事ですから、一目見れば目つきで分かりますと相手は言うと、30分前に連絡がありまして、例の信用金庫強盗犯があのバスに乗っている可能性があるので、草津までバスの中で警戒するようにとのことですと相手が言うので、それは…と渡辺が戸惑うと、休暇だったんですか?拳銃をお渡ししますと良い、浦和署の刑事は拳銃を渡辺に渡すので、僕はもう今の仕事は…と渡辺は躊躇するが、善良なバスの客に怪我をさせられません、それから山上さんが、大事な物は帰るまで預かっとくそうです、それだけ言えば分かるからって…と浦和署の刑事は言う。

バスの側に戻った渡辺に、じゃあ、送りませんよと声をかけ浦和署の刑事は帰って行く。

まだ待っていた三津子に、どうしよう?と渡辺が呟くと、何を?と聞かれたので、今、浦和署の人から頼まれたことをさ…と教えると、刑事辞めるんじゃないの?御勝手にと呆れたように三津子は答える。

渡辺が1人でバスに戻ると、幸子が、お連れ様は?と聞いて来たので、良いんだ、用事が出来て帰るんだと渡辺は答える。

バスが出発するのと反対に三津子は駅に向かう。

出発したバスの中で、幸子は、次は熊谷、午前1時着の予定ですと客達に伝える。

その頃、捜査本部では、又例の千円札が見つかり、犯人は八丁堀でスキー靴と雨合羽を買って行ったと言うことを小林刑事(三原秀男)が報告する。

しかし犯人はマスクをしていたため顔は分からなかったと言う。 山上刑事は、小林君、靴の文数は分かっているね?と聞きながら浦和署へ再び電話を入れるが、もうバスは出た後だと知る。

拳銃をコートの下に隠し持ちバスに乗っていた渡辺は、犯人がこの平和なスキーバスの中に乗っているのだろうか?と考えていた。

何食わぬ顔で乗っているとしたら…、2人掛けの椅子が片側に9つ、両側で36人か… とにかくこの乗客の中から特別な匂いがする者を見つけ出すんだ、後はマークした奴の監視だ!…と考えながら、渡辺はそれとなく周囲の乗客の顔を観察し始める。

もし仮にこの中に犯人がいるとしたら、そいつは眠っているはずがない… 犯人は300万の札束を持っているはずだ、この大事そうな鞄は何が入っているんだ?と渡辺は、大きなバックを大事そうに抱えている本橋に目をつける。

さらに渡辺は、先ほどから熱心に地図を見ている若者に目をつけ、どの方面の地図なんだ?と気にする。

後ろを見た渡辺は、自分の方を見ていたのに、すぐ目を閉じてねた振りをしたハンチング帽の岸(瀬良明)に気づき、確かに俺を見ていた、俺が刑事だって知ってるんじゃないか?と疑う。

さらに、先ほどからずっと酒を飲んでいる万造を見ると、何故かいきなり万造が近づいて来て渡辺の隣に座り込む。

そして、旦那、どうです?1杯…、話し相手が欲しかったんですよと言いながらポケット瓶を取り出すと、変なことおまへんか?このバスの中、息苦しい…、この人達みんなスキーをやりに行く人でっか?と万造は言い出す。

さらに、このバスの中に刑事が乗っているんやと言い出したので渡辺はぎょっとして、どうして分かった?と聞くと、その刑事はわいのポン友だと万造が言うので、自分のことではないらしいと渡辺は察する。

何の用で乗ってるんだ?と聞くと、犯人追ってるんや、ほんまの犯人はわいやと万造は言う。

その頃、浦和駅の近くのつばめタクシーに来て、東京まで乗せて行って欲しいと頼んだ三津子だったが、先に行った会社同様そこでも断られる。

呆然としてそこを立ち去りかけたとき、1人の男が受付の窓を閉めたばかりのつばめタクシーにやって来て、明日にしてくれと中から断られるが、警察署の杉崎だ!と呼びかけるのを三津子は聞く。

時刻は深夜0時40分になっていた。

渡辺は隣に座った万造に、確かに刑事が乗っているんだろうな?と念を押していた。

そんな中、運転をしていた笠根は、バックミラーで背後から付けて来る車に気付く。

側に立っていたガイドの幸子も何だか気味が悪い自動車ね、付けてるみたいよと笠根に告げる。

一番後ろの席で休んでいた佐々木老運転手も背後の車に気付き振り返る。

やがてスキーバスは熊谷駅に到着する。 幸子は、ここで15分間休憩します、駅前にサービスステーションがありますからご利用ください、その間に車内の掃除を行いますなどと乗客に声をかける。

笠根運転手は、追って来た車が横付けして来ると、どうだい、抜けないだろう!とバカにしたように声をかけるので、佐々木老運転手が止さないか、スピードを出し過ぎてスリップでもしたら大変だぞと注意すると、眠気覚ましって所さと反論する。

渡辺は、付けて来た車から降りて来たのが三津子だったので、君は一体…と驚く。

三津子は、バスが出た途端、犯人の体格と服装が分かったそうなのよ、身長は6尺4〜5寸、年齢は34〜5、薄茶のアノラックを買ったそうよと教えたので、すまなかったなと渡辺がねぎらうと、私が望んで来たんじゃないのよ、浦和署の刑事が自分が行くと目立つからって無理に押し付けて来たのよと三津子は言う。

それでも渡辺は又三津子をバスに乗せ、君、この人又ここから乗るよとガイドの幸子に伝える。

その後、車内に幸子と2人きりになった渡辺は、君、大事な相談があるんだ、僕はこう云う者なんだと手帳を見せ、300万を持ってる犯人だ、それから僕のこと誰にも内緒だよと言い聞かすと、電話は?と聞くと、駅の向こう側にありますと幸子が教える。

バスを降りると本橋が渡辺に近づいて来て、偉いことやってますね、私も純情派が好きですが…などと、幸子との会話を勘違いしたらしく嫌らしい笑いを浮かべて話しかけて来る。

さらに、あの中年男と一緒の女は柳橋の芸者ですよなどと教えてくれるが、こっち来るとトイレですよと注意し遠ざけた渡辺は公衆電話に入る。

その間、幸子は、網棚に置かれた乗客の鞄をチェックし始める。

しかしその時、〆蝶がバスに戻って来て、幸子が自分の鞄を開けている所を目撃してしまう。

公衆電話に入った渡辺は熊谷警察署に電話を入れるが、ちょうど間近を列車が通過する所だったのでうるさくて会話が出来ない。

ようやく通り過ぎ、相手が出た所で、渡辺は近くの壁に人影が映っていることに気付き、誰かが盗聴しているに気付くと会話を諦めて外に出る。

駅前では焚き火をやっており、すっかり泥酔した万造がその前の箱で眠りこけていた。

何時からいるんだ?と万造を怪しみ渡辺が聞くと、始めからだよと焚き火をしていた男は言う。

その時、渡辺は、バスの中で何か騒ぎが起きていることに気付き戻ってみると、幸子が客の鞄を勝手に開け、何かしていたと〆蝶が訴え、他の客達が疑いの目を幸子にかけている所だった。

私、開けてなんか…と力なく反論する幸子に、私見たのよ!と〆蝶が睨むので、佐々木老運転手だけが本当のことを言ってごらんと優しく彼女を庇う。

そんな騒ぎを見物していた本橋が、皆さん、自分の持ち物を調べたら?と言い出したので、佐々木老運転手はこの子は人様の物をこっそり頂戴するようなことは決して…と必死に庇う。

その時、さかんに時間を気にしていた学生が、こんなことに時間を取られたらやりきれないぜ、行こうよ!と訴えるので、そのままバスは出発することにする。

渡辺が気付くと、いつの間にかが三津子の隣に座っていた。

バスが出発しかかったとき、先ほどの焚き火をやっていた男が、忘れ物だよと言いながら、酔った万造を連れて来る。

渡辺は、出発したバスの乗客の中から薄茶色のアノラックにスキー靴をヒントに人物を特定しようとするが、4人…と数えていると、もう1人も荷物から同じ色のアノラックを取り出してはおり出したので、証拠にはならん!と諦める。

犯人は確かにこの中にいるんだ、だからして調べることも当然なのだ、だがもしも犯人がいないんだったら、俺のやっていることは全く馬鹿げている…と渡辺は思案していた。

見込み違いなら…、見込み違いだったら…?と迷う渡辺だったが、やるだけやるんだ!と決心する。

そして、あのバスガールには悪かったな…と、一番背後の席で佐々木老運転手の横で顔を覆って泣いているように見えた幸子の方を振り返る。

しかし、良く見ていると、顔を覆った手の指を少し開いた幸子の目は、渡辺の方を見て笑っていたので、芝居だと気づき安堵する。

そんな渡辺の隣に座って居眠りをしていた万造は、確かにこの中に乗っているね、刑事がこの中に…と寝ぼけたように言うので、君は悪い酒だな…と渡辺は叱る。

刑事なんて人間のカスがやるんや!と万造が言い出したので、そうだろうか?と渡辺は反論するが、どあほ!などと暴言を吐くので、静かにしたらどうだ?と渡辺は注意する。

すると万造は、立て!と喧嘩を吹きかけて来たので、止さないか!と渡辺は止めるが、その時、バスが急停車する。

前の方から自殺したんだ!と誰かが騒ぎ、学生風に見えた山岡が座席にぐったり横たわっていたのに気付いた渡辺は側に駆けつけ、手首の傷を見て、動脈には達してない、君、オキシフル!と幸子に呼びかける。

すると、本橋が大きなバッグを開け、中には大量の薬が入っていたので、君は!と渡辺が驚くと、薬品のセールスを…と元橋は自分の職業を笑って明かす。

お医者様に行ったらどうかしら?と誰かが提案するが、こんな時間に医者に行っても…と疑問の声や、医者より警察に行った方が?と別の乗客が言い出し、それを聞いた山岡は、警察は止めて下さい!僕は医学生なんですが、試験全然だめで…、今度ダメだったら2度目なんで…、警察に連れて行かないで下さい!と訴える。

私たちだって証人になるのよ、私は昔から協力しないことにしてるのと良いながら三津子が山岡の傷の手当をしてやる。

やがてバスは渋川駅に到着する。

万造は本橋の横に座り、最前列の1人、兄妹じゃないね、膝にかけたジャンパーのしたで何をしているか分かりませんねと下卑たことを言う。 渋川駅で横にさせた山岡に、試験に落ちたくらいでなんだ!こいつなんか3度だよなどと大学生の乗客達が励ましていた。

様子を見ていた運転手の笠根が草津まで連れて行けません、万一のことがあったら運転手の責任になるので…と山岡を置いて行くことを説明するが、運転手さん、ここから彼を列車で帰して、飛び込みでもされたら大変だよ、これだけいるんだ、俺たちが守るよと学生が反対する。

その後、人気がなくなったとき、渡辺が寝かせられていた山岡に近づき、君だろう?さっきの公衆電話で盗み聞きしていたのはと聞くと、ええ、家から捜査願いが出てるんじゃないかと思って…と山岡が言うので、僕を刑事だと知っていたのか…と聞くと、浦和署の人と話をしているのを側で聞いていました、話の中味ははっきり聞こえませんでしたけどと山岡は言う。

そんな渡辺に地元署の警官(田辺元)が制服姿で話しかけて来たので、困るね、君、そんな格好で話しかけられたんじゃ、僕の正体がばれてしまうじゃないか注意すると、それが、あのバスに犯人は乗ってないんです、東京から小1時間前に連絡があり、新宿で犯人が捕まったんです。

あんたには渋川からすぐ帰れとのことでしたと警官は伝言するが、渡辺が黙って立ち去って行くので、どうかしたんですか?と怪訝そうに聞いて来る。

渡辺に近づいて来た三津子が、今度はどんな連絡があったの?警察って連絡ばかりねと聞いて来て、私、犯人の目星をつけてみたのよ、前から5番目に若いのが乗ってるでしょう?などと素人推理を始めるので、いい加減にしてくれ!俺たちの仕事はそんなクイズみたいな物じゃないんだ!と渡辺は怒り出す。

一方、捜査本部では捕まえた男が149万8780円しか持っていなかったので、連れはどこだ!300万を山分けしたんだな?と尋問していた。

兄貴のことですか?山の中に逃げてほとぼりを冷ますなんて言ってましたがね…、八丁堀で…と言うので、草津行きのスキーバスだな?と山上刑事は迫る。

川の中に捨てたってのは嘘だろう?ハジキのことだよ!兄貴ってのが持っているんだどう?と追求しているとき、鏑木警部がやって来て、バラしたのはそっちの方だね、まるで狂犬だ、下手にバスの中で感づかれでもしたら偉いことになるぞと焦る。

草津に電話をしようとした山上だったが、雪崩で通じなくなっており、回線復旧の見込みも分からないと知る。 その頃、スキーバスは長野原駅に到着していた。

チェーンを巻いたタイヤチェックをしていた笠根と佐々木運転手に、やって来たトラックの運転手が、こっから先は氷の坂道を飛ばしているような物だよと道の状態を教える。

出発したバスの中では、山岡の回りに集まった大学生達が歌って励ましていた。 三津子は又渡辺の隣に座っていた。

佐々木老運転手はハンドルを握る笠根運転手に、雪深いから気をつけろよと注意するが、笠根は露骨に迷惑がる。

すっかり酔った本橋が隣に座った万造に、あの2人が兄妹かどうか賭けないか?500円でどうだ?と絡み出したので、酒癖悪い奴やな…と万造が呆れるが、そんな万造の頬に本橋はキスして来る始末。

さっきから何考えてるの?とふさぎ込んでいた渡辺に三津子が声をかけると、拳銃だ、こいつを持っているとみんなが犯人に見えて来る…と渡辺は答える。

俺はあの医学生を犯人だと思っていた、影に怯えるギャングとしか思えなかった、まさか死のうと思い込んでいたなんて気付きもしなかった。

人を疑うのが仕事なんだ、俺には出来ない!今度こそ辞める!実は、渋川から帰って来いと言われていたんだ、ごめんよ、今までぐらぐらしていてと渡辺は三津子に詫びる。

酔った本橋が勝手に、兄妹かどうかの賭けを確かめるために立ち上がり、最前列に座っていた近藤の横に立つといきなり膝の上に置いたジャンパーをめくるが、近藤の手に握られていたのは拳銃で、立ち上がった近藤は、バスを出すんだ!と運転手に命じ、みんなは座れ!と言いながら乗客に銃を向ける。

驚いた本橋も元の席に座ると、この中に刑事がいる、立つんだ!と近藤が言い出したので、バレたかと察した渡辺が立とうとすると、貴様どこのデカだ?と近藤が銃を向けたのは後部に座っていたハンチング帽の岸で、伊勢佐木署と言うので、何しに来たんだ横浜から?と近藤が聞くと、掏摸を追って来たと岸は答える。

岸に近づいた近藤の背後から、拳銃を渡すんだ!と立ち上がって銃を向けた渡辺だったが、その近藤に万造が飛びかかろうとした時2発銃声が響き、次の瞬間、近藤が捕まえていたのは子供の宏だった。

子供を放してくれ!と渡辺が頼むと、拳銃を寄越せ!寄越したら放してやると近藤が言うので、ゆっくり手渡そうとした渡辺は、次の瞬間、窓ガラスに拳銃を投げつけ、窓を突き破った銃は外へ飛び出る。

近藤は渡辺を殴りつけ、嘗めた真似しやがったら、今度は命がねえぞ!と脅す。

運転席の横に戻って来た近藤は、バスを動かさねえのかよ!と脅すが、その時開いていた降車口からドンガメの仁吉(中山豊)が覗き込んでいたので、近藤は慌てて閉める。

大丈夫でしょうか?と客から話しかけられた本橋は、警察に知らせてくれますよと、今覗いていた男に期待するが、あいつはドンガメと言って、この近辺では有名なバカなんだと別の乗客が教える。

その言葉通り、少しバスを走らせかけると、前方に又ドンガメが立ちふさがっていたので、近藤は降車口を開けてやり、乗りな、面白い所へ連れててってやるぜとドンガメを笑顔で誘ってバスに乗せると、外を見るな、みんなブラインドを降ろせ!と乗客に命じる。

捜査本部では、各所への手配が終わったとの報告を受けた鏑木警部が、窓の外に目をやり、夜が明けて来たことに気付くと、君、そろそろ汽車の時間だよと山上刑事に声をかける。

そして、渡辺のことだけど、僕は楽観しているよ、今頃はホシの目星をつけているはずだと鏑木は慰める。

スキーバスの中では、岸の前の席に移動した万造が、旦那、すみません、横浜から3日も付いて来てもらって…と背後の岸に詫びる。

一方、三津子は渡辺に、あなた、さっきは素敵だったわ、あなたが死んだら私も死にますなどと話しかけて来たので、冗談じゃない!と渡辺は怒る。

そんな会話が聞こえたのか、近藤は、デカのお二方には一番前が向いているようだな?と呼びかけ、最前列の席に座るよう命じる。

そして二叉路にやって来た運転手には、左へ向かってもらおうか?俺は温泉場のような俗っぽいのは嫌いなんだと命じ、薬師峠の方へ向かわせる。

その時、〆蝶の横に座っていた星山が、こっそり窓からマフラーを外に捨てるが、近藤はすぐに気付いたらしく、お客さんが落とし物をしたようだぜ、拾って来てもらおうか?と言う。

幸子が立ち上がると、歩いて行くことはねえ、このバスはバックが出来ねえのか?と近藤が言うので、バスが少しバックをし、降りた幸子が雪の中に落ちていた星山のマフラーを拾い上げる。

幸子が戻って来ると、近藤は出せ!と運転手の笠根に命じる。

そして、群馬郡部から行方不明のバスに犯人が乗っている可能性がありますと言うニュースを、宏から奪ったトランジスタラジオで近藤は聞くと、地図を見ていた学生に地図を見せろと声をかける。

宏の母良子は、あのラジオ後で取り戻してくれるからねと宏に囁きかけると、あの警察のおじさんが取ってくれるんでしょう?と宏は最前列に乗っている刑事達のこと期待する。

地図を近藤に見せた学生は、ここから一番近い駅へ行く道や、その困難さなどを熱心に教えるので、近藤は苦笑しながら、その時はあんたのスキーを拝借して行くよと答える。

その時、笠根がバスを止め、ここから先はとても行かれませんと言い出す。

かなり古い木造の橋を渡らねば行けなかったからだ。 夕べぶっ飛ばした勢いで行けよと近藤は命じるが、僕はとても…と笠根運転手は怯え、少し橋を渡りかけるが、勘弁して下さいとすぐに停めてしまう。

すると、最後尾に座っていた佐々木老運転手が、俺が代わると声をかけて来る。

おじさん!と幸子は止めようとするが、運転席にいた笠根にご苦労さんと云うと、みんなにちゃんと席に座るよう言って下さい、安定が取れないと危険ですからと近藤に頼む。

佐々木老運転手がハンドルを握り、橋を渡り始める。

息を飲みながら見守る乗客達。 その頃、二叉路にジープでやって来た山上は、雪の中に落ちていた幸子の帽子を発見し、バスは薬師峠へ向かったことを知る。

すぐにサイレンを鳴らして後を追った警察ジープだったが、木造の橋の所で停まってしまう。

橋は半分ばかり壊れており、とても渡れないと判断したからであった。

一方、無事橋を渡りきったバスの中では、三津子が弱虫!と何も出来ない渡辺のことをぼやいていたが、その時、隣に座っていたドンガメが何か持っていることに気付く。

それは、先ほど窓から渡辺が投げ捨てた拳銃だと知った三津子は、これどうしたの?拾ったの?私に頂戴と話しかけて受け取る。

さすがの佐々木老運転手も、「この先100m危険」と書かれた表札の前に来ると、これ以上は行けないんだと近藤に言ってバスを停める。

しかし近藤は、行くんだ!道のことは気に病むな、停めたらぶっ放すぞ!と凄むので、道が崩れてるんだぞ、バスごと落そうと言うのか?と佐々木老運転手が聞くと、それも良いねなどと近藤は嘲る。

その時、約束する、我々はここから動かん、俺を人質にしろ!と渡辺が近藤に提案する。

近藤があざ笑うと、それでも人間か!と渡辺は罵倒するが、人間と思っていたのか?と近藤が笑うので、貴様は人を信用しないのか?と渡辺が迫ると、信用が腹の足しになるならこんなことはやらない!と近藤は答える。

その時、助けてくれ!と1人の乗客が立ち上がり、近藤の方へ近づこうとしたので、近藤はためらわずに発砲する。

その客は右腕を打たれ倒れたので、他の客が席に連れ戻し、医学生の山岡が率先して治療に当たる。

出せ!と近藤が言うので、佐々木老運転手はやむなく少しずつバスを動かし始める。

近藤は搭乗口を開け、道横の崖の様子を観察し出したので、その隙を狙って、星山が三津子から渡って来た拳銃を隣の客にこっそり渡そうとする。

席に戻れ!と近藤から命じられた山岡だったが、僕は医者だ!と言って抵抗する。

オヤジ、道路から目を離すな!と近藤は佐々木老運転手に命じると、最前列に座っていた渡辺に、飛びかかる気か?そいつは止めといた方が良いぜと忠告する。

俺はやっと本気になって貴様を憎む気になったぞ!捕まえてみせるとも!と渡辺は近藤を睨みながら答える。

その間も、拳銃は若者から前の席の岸の手に渡ろうとしていたが、その動きに気付いた近藤が、何してるんだ!と声を荒げたとき、佐々木老運転手はキュブレーキをかける。

そのショックで近藤がバランスを失うと、渡辺が飛びかかり、2人とも降車口から雪の崖を転がり落ちて行く。

近藤は必死の雪山を逃げようとするが渡辺が必死に追いかける。

さらに、岸と大学生達も一斉にバスを降り後を追い始める。

その直後2発銃声が響く。 崖の下だぞ!と大学生達が降りて、銃声のした方向へ近づこうとするが、危ない、待て!と岸が制する。

銃を構えた近藤と対峙していた渡辺は右手から血を流していたが、大丈夫だ、弾はもうないんだと叫ぶと、近藤は悔しそうに銃を投げつけて来る。

それに気付いた学生達が一斉に近藤に飛びかかって行く。

草津温泉に話題のスキーバスと警察ジープがやって来たので、野次馬達が続々と集まって来る。

バスから降りて来た星山は、待ち受けていた新聞記者を前に、私は無事でしたが、これは警察制度の欠陥ですななどと論評する。

友達とどちらが先に着くか競争していた学生は、バスから降りて先に着いていた友達に合流すると、遅れたけど、それより面白い経験をしたよとうれしそうに立ち去る。

そんな中、万造は野次馬の中に紛れて逃げ出そうとするが、路地に入った所で、先回りしていた岸に見つかってしまう。

観念した万造を確保した岸に、ご感想をと事情を知らない記者が聞いて来る。

本橋は、女性達から次々にサインを求められうれしそうに応じていた。

バスを降りた佐々木老運転手の前に、面目なさそうな顔の笠根が近づいて来たので、佐々木は黙って煙草を差し出してやる。

それを1本もらった笠根運転手はマッチで火を点けてやり、照れ笑いを浮かべる。

先にバスを降りた〆蝶は、窓の所から中にいた幸子に、堪忍してね、熊谷のこと…と詫び、あなただったら似合うと思うわ…と言いながらマフラーをプレゼントする。

三津子とバスを降りた渡辺に新聞記者が感想を聞きに来たので、この人、犯人を捕まえた刑事さんよと三津子が教えると、記者は黙って去って行ったので、三津子が不思議がると、犯人を捕まえたのが刑事じゃ当たり前過ぎてニュースにならんからさと渡辺は教える。

そんな渡辺に、ラジオを取り戻した宏が、両親とともに去りながら、おじちゃん、さようなら!と呼びかけて来る。

そこに横付けした車から、山上とひろ子が降りて来たので渡辺と三津子は驚くが、ひろ子が渡辺に近寄って来ると、そっと三津子は離れる。

渡辺に抱きついたひろ子は、良かったわ!あなたにもしもの事があったら、研一と2人で死のうと思っていたのと言う。

渡辺は、車の側に立った山上がその場で辞表を破り捨てるのを見ていた。

その後、自殺未遂した医学生山岡は、歌を歌いながら山を登る10人の学生達と一緒だった。

そんな学生達に手を振って別れを告げた三津子は、1人雪の道を去って行くのだった。

賑わうスキー場の様子


 


 

 

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